JPH07109483B2 - 蓄積性蛍光体シートのノイズ消去方法 - Google Patents

蓄積性蛍光体シートのノイズ消去方法

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JPH07109483B2
JPH07109483B2 JP63223322A JP22332288A JPH07109483B2 JP H07109483 B2 JPH07109483 B2 JP H07109483B2 JP 63223322 A JP63223322 A JP 63223322A JP 22332288 A JP22332288 A JP 22332288A JP H07109483 B2 JPH07109483 B2 JP H07109483B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、放射線画像情報が蓄積記録されている蓄積性
蛍光体シートに励起光を照射して放射線画像情報読取り
を行なった後に、このシートに残存している放射線エネ
ルギーを光照射により放出させるようにした、蓄積性蛍
光体シートのノイズ消去方法に関するものである。
(従来の技術) ある種の蛍光体に放射線(X線、α線、β線、γ線、電
子線、紫外線等)を照射すると、この放射線エネルギー
の一部が蛍光体中に蓄積され、この蛍光体に可視光等の
励起光を照射すると、蓄積されたエネルギーに応じて蛍
光体が輝尽発光を示すことが知られており、このような
性質を示す蛍光体は蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)と呼
ばれる。
この蓄積性蛍光体を利用して、人体等の放射線画像情報
を一旦蓄積性蛍光体のシートに記録し、この蓄積性蛍光
体シートをレーザ光等の励起光で走査して輝尽発光光を
生ぜしめ、得られた輝尽発光光を光電的に読み取って画
像信号を得、この画像信号に基づき写真感光材料等の記
録材料、CRT等の表示装置に放射線画像を可視像として
出力させる放射線画像情報記録再生システムが本出願人
によりすでに提案されている(特開昭55-12492号、同56
-11395号等)。
また本出願人は、上記の蓄積性蛍光体シートを利用する
ことにより、電子顕微鏡像を高感度、高画質で記録再生
可能で、しかも各種処理が容易となるように、顕微鏡像
を担持する電気信号が直接得られる、新しい電子顕微鏡
像記録再生システムを提案した(特開昭61-51738号、特
開昭61-93539号等)。この蓄積性蛍光体シートを用いる
電子顕微鏡像記録再生システムは基本的に、該シートに
試料を透過した電子線を真空状態で蓄積記録し、次いで
このシートに励起光を照射して蓄積されたエネルギーを
光として放出させ、この放出光を光電的に検出して画像
信号を得、この画像信号を用いて試料の透過電子線像を
再生するものである。
上述した放射線画像あるいは電子顕微鏡像(本明細書で
はこれらを総称して放射線画像という)情報の記録再生
システムにおいては、放射線画像情報の読取り時に十分
な強度の励起光を照射すれば、蓄積放射線エネルギーは
全て放出されるはずである。しかし実際に読取り時に照
射する励起光の強度はそれほど高くはなく、したがって
蓄積性蛍光体シートを繰り返し使用するときは、読取り
時に前回記録の放射線画像情報がノイズとなって現われ
るという問題がある。このような残存放射線エネルギー
は、例えば特開昭56-11392号に示されるように、放射線
画像情報読取り後の蓄積性蛍光体シートに光を照射する
ことによって放出させることができる。この光すなわち
消去光の照射量を非常に高く設定しておけば、当然良好
なノイズ消去効果が得られるが、この消去光量を不必要
に高く設定することは経済的でないので、読取情報に基
づいて蓄積性蛍光体シートの残存放射線エネルギーレベ
ルを検出し、この検出レベルに応じて消去光照射量をほ
ぼ必要最少限に制御することが従来から考えられている
(例えば特開昭58-80633号、同60-260035号等)。
(発明が解決しようとする課題) ところで、人体の放射線画像を撮影(記録)してそれを
読み取る場合には、蓄積性蛍光体シートに著しく多量の
放射線が照射されることは通常考えられないが、前述の
電子顕微鏡像を記録する場合は、極めて多量の電子線が
蓄積性蛍光体シートに照射されることもありうる。その
ような場合は、この蓄積性蛍光体シートからの電子顕微
鏡像情報読取り時に、励起光照射により著しく高レベル
の輝尽発光光が発せられることになる。輝尽発光光を光
電的に検出して得られる画像信号は、予めその一般的な
レンジを考慮して収録範囲が決定されているので、上述
のようにして画像信号が特異的に大きい値を取るとき
は、収録信号値は収録範囲内の最大値にクリップされ
る。
この場合には、蓄積性蛍光体シートの残存放射線エネル
ギーレベルを読取情報に基づいて検出することが不可能
になるから、消去光量をほぼ必要最少限の最適量に制御
することもできなくなる。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであ
り、読取画像信号がクリップされるほどに蓄積性蛍光体
シートの蓄積放射線エネルギーレベルが高い場合でも、
該シートに照射する消去光量を最適に制御することがで
きるノイズ消去方法を提供することを目的とするもので
ある。
(課題を解決するための手段) 本発明による蓄積性蛍光体シートのノイズ消去方法は、
前述したように蓄積性蛍光体シートに読取処理を施し
て、その後該シートに消去光を照射するに当たり、 蓄積性蛍光体シートの一部から発せられた輝尽発光光を
検出して得た画像信号が、正しく放射線画像情報を把握
可能な範囲のレベルを超えているとき、該範囲内にある
その他の画像信号の分布状態に基づいて、上記一部に蓄
積されている放射線エネルギーレベルを予測し、 この予測された放射線エネルギーレベルに基づいて消去
光の照射量を決定することを特徴とするものである。
(作用) 読取画像信号が上記の範囲を超えているとき、その信号
が担うべき輝尽発光光量つまり蓄積放射線エネルギーレ
ベルを、その信号から求めることはできない。しかしそ
の画像信号が情報を示すべきところの画素(これを以
下、クリップ画素という)に近いいくつかの画素に関す
る画像信号が、上述の範囲内にあって画像情報を正しく
示していれば、この画像情報に基づいて上記蓄積放射線
エネルギーレベルを推定することができる。
つまり、例えば第3図(1)に示すように、1本の走査
ライン内の画素列P1、P2……Pnについて考えたとき、こ
の画素列P1〜Pn内に上述のクリップ画素がいくつかあっ
て(図中斜線を付す)、それらの外側の画素についての
画像信号が第3図(2)に実線で示すような分布をとっ
ているとする。このとき、上記クリップ画素についての
信号値が、もしクリップされないとすれば、第3図
(2)に破線で示すような分布をとるであろうことは、
ある程度正確に推定可能である。こうして推定できる画
像信号は、勿論蓄積性蛍光体シート上の蓄積放射線エネ
ルギーレベルに対応するものであるから、結局クリップ
画素における残存放射線エネルギーレベルを推定できる
ことになる。
(実施例) 以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。
第1図は、本発明の方法を実施する電子顕微鏡像記録再
生システムの一例を示すものである。電子顕微鏡1の鏡
体部1aは、一様の速度の電子線2を射出する電子銃3
と、電子線2を試料面に絞り込む磁気レンズ、静電レン
ズ等からなる少なくとも1コの集束レンズ4と、試料台
5と、上記集束レンズ4と同様の対物レンズ6と、投影
レンズ7とを有してなる。試料台5上に載置された試料
8を透過した電子線2は上記対物レンズ6により屈折さ
れ、該試料8の拡大透過像8aを形成する。この拡大透過
像8aは投影レンズ7により、結像面9に結像投影される
(図中の8b)。
上記鏡体部1aの下方には、電子顕微鏡像記録読取装置10
が配置されている。この電子顕微鏡像記録読取装置10
は、鏡体部1a内の前記結像面9に固定された2次元セン
サとしての蓄積性蛍光体シート11と、励起光源12および
光走査系13からなる励起手段と、前記鏡体部1aの周壁に
設けられた透光窓14を介して蓄積性蛍光体シート11に対
向するように配されたフォトマルチプライヤー(光電子
増倍管)15と、消去光源16とを有している。
上記蓄積性蛍光体シート11は前述したような蓄積性蛍光
体が透明支持体上に層成されてなるものである。また励
起光源12は一例としてHe-Neレーザ、半導体レーザ等か
らなり、光走査系13は第1および第2の光偏向器13a、1
3bと、固定ミラー13cとからなる。第1および第2の光
偏向器13a、13bとしてはそれぞれ、ガルバノメータミラ
ー、ポリゴンミラー、ホログラムスキャナ、AOD等の公
知の光偏向器が使用されうる。励起光源12から射出され
た励起光ビーム12aは第1の光偏向器13aにより偏向され
るとともに、第2の光偏向器13bにより上記偏向の方向
と直角な方向(図の矢印A方向)に偏向され、例えば鉛
ガラス等が嵌め込まれた透光窓21を透過して鏡体部1a内
に入射し、固定ミラー13cにおいて反射して前記蓄積性
蛍光体シート11上に入射する。このようにして蓄積性蛍
光体シート11は、励起光ビーム12aによりX−Y両方向
に走査される。なお図示はしないが、励起光源12から発
せられた励起光ビーム12aは、蓄積性蛍光体シート11が
発する輝尽発光光(後に詳述する)の波長領域をカット
するフィルターを通過させ、ビームエキスパンダーによ
りビーム径を調整した後、光偏向器13a、13bで偏向さ
れ、次いでfθレンズを通過させて均一なビーム径とし
て蓄積性蛍光体シート11に入射されるのが好ましい。
前記消去光源16は蓄積性蛍光体シート11の励起波長領域
に含まれる光を発生するものである。そして上記第2の
光偏向器13bと固定ミラー13cとの間において励起光ビー
ム12aの光路中に入る位置と、該光路から外れた位置を
とりうるミラー17が配設されている。消去光源16が発す
る消去光源16aはレンズ18によって集光され、上記ミラ
ー17が励起光ビーム12aの光路中に入る位置に設定され
ていれば、該ミラー17および固定ミラー13cにおいて反
射して、蓄積性蛍光体シート11を全面的に照射する。ま
た対物レンズ7と蓄積性蛍光体シート11との間において
鏡体部1aには、電子線2を遮断しうるシャッター19が設
けられ、蓄積性蛍光体シート11とフォトマルチプライヤ
ー15との間には光シャッター22が設けられている。そし
て前記透光窓14には、蓄積性蛍光体シート11が発する輝
尽発光光のみを透過させ、励起光ビーム12aを取り除く
光学フィルターを備えたガラス20が嵌着されている。ま
た鏡体部1aの内部は通常の電子顕微鏡におけるのと同様
に、蓄積性蛍光体シート11が配置されている部分も含め
て、電子顕微鏡稼動中には真空ポンプ等の公知の手段に
より真空状態に維持される。
以下、上記構成の電子顕微鏡像記録読取装置10による電
子顕微鏡像の記録、読取りについて詳しく説明する。試
料台5に試料8を載置し、電子銃3、集束レンズ4、対
物レンズ6および投影レンズ7を駆動させ、そして前述
のシャッター19を開くと(第1図図示の状態)、結像面
9に固定された蓄積性蛍光体シート11に、試料8の拡大
透過像8bを担持する電子線2のエネルギーが蓄積され
る。この電子線露光の際に、光シャッター22は閉じられ
ているのが好ましい。次いでシャッター19が閉じられ光
シャッター22は開かれ、続いて前述のように励起光源12
から射出され、X−Y両方向に偏向された励起光ビーム
12aがシート11上に入射せしめられる。このように偏向
された励起光ビーム12aにより蓄積性蛍光体シート11は
2次元的に走査され、該シート11は上記電子線エネルギ
ーのレベルに応じた強度の輝尽発光光を放出する。この
輝尽発光光はシート11の裏側から、上記励起光ビーム12
aを取り除く光学フィルターを備えたガラス20を介して
フォトマルチプライヤー15によって受光され、輝尽発光
光量が光電的に読み取られる。
上記輝尽発光光の光量を担持するフォトマルチプライヤ
ー15の出力は、増幅器23によって適正レベルの電気信号
(読取画像信号)Sに増幅される。次いでこの読取画像
信号SはA/D変換器24において、ディジタル画像信号Sd
に変換され、信号処理回路25において例えば階調処理、
周波数強調処理等の信号処理を受けて画像再生装置60に
送られる。
以下、上記画像再生装置60を詳しく示す第2図を参照し
て、電子顕微鏡像の再生について説明する。画像再生装
置60の機台62へ収容されるマガジン64には、記録材料と
してロール状の熱現像感光材料66が収容されている。こ
の感光材料66はその外周から引き出され、カッタ68で所
定長さに切断された後に、記録ドラムとしての回転ドラ
ム70の外周に巻き付けられるようになっている。この回
転ドラム70の外周に対応して画像記録用ヘッドとしての
露光ヘッド72が配置されており、この露光ヘッド72には
3色の光ビームを発する発光素子73が取り付けられてい
る。これらの発光素子73の作動(ON-OFFあるいは光出
力)は、前記信号処理回路25から出力された画像信号Sd
を受ける変調回路71により、この画像信号Sdに基づいて
制御される。それにより各発光素子73が発する光ビーム
が変調される。そして回転ドラム70が矢印D方向に回転
されるとともに、露光ヘッド72が該ドラム70の表面に沿
ってその長手方向に移動されることにより、上記光ビー
ムの主走査、副走査がなされ、熱現像感光材料66には上
記光ビームが2次元的に照射される。これらの光ビーム
は上述の通り画像信号Sdに基づいて変調されているの
で、これらの光ビームの照射を受けた熱現像感光材料66
には、画像信号Sdが担持する画像、すなわち前述した蓄
積性蛍光体シート11に蓄積記録された試料8の電子顕微
鏡像が写真潜像として記録される。
露光後の感光材料66は回転ドラム70の逆転により、スク
レーパ74で回転ドラム70から剥離され、水塗布部76で画
像形成用溶媒としての水が付与された後に、内部が加熱
部とされた熱現像転写部78へと送られる。
一方、トレイ80に収容されている複数枚の受像材料82の
うち最上部の1枚が、上記熱現像転写部78へ送られる。
熱現像転写部78では互いに密着する搬送ローラ84、86が
入口部に設けられており、感光材料66と受像材料82を密
着させた後に出口部の搬送ローラ88、90へと送り込むよ
うになっている。中間部には搬送ローラ92、94が設けら
れ、搬送ローラ84、86から送り出されて密着している感
光材料66と受像材料82を搬送ローラ88、90へ送り出す。
なお各搬送ローラは図示しないモータにより駆動され
る。各搬送ローラは、感光材料66と受像材料82の搬送経
路の反対側にそれぞれ配置されたヒータ96(電熱体)に
よって、所定温度に加熱されるようになっている。熱現
像感光材料66がこれらの加熱された搬送ローラに接する
ことにより、該感光材料66の写真潜像が熱現像され、現
像された画像は該感光材料66から遊離して、受像材料82
に転写される。
熱現像転写部78の後流には剥離手段98が配置されてお
り、熱現像転写部78から送り出された感光材料66を廃棄
感光材料収容箱96へ、受像材料82を乾燥装置97へと分離
して送り出すようになっている。上述のようにして電子
顕微鏡像が転写された受像材料82は、乾燥装置97で乾燥
された後に機台62の頂部に形成された取出トレイ98上へ
送り出される。
以上説明のようにして、受像材料62には試料8の電子顕
微鏡像が最終的に記録される。ここで、信号処理回路25
において画像信号Sdにカラー化の処理を施せば、上記電
子顕微鏡像をカラー表示することができる。
なお信号処理回路25から出力された画像信号は、以上説
明のように直ちに画像再生装置60に送って電子顕微鏡像
再生に供してもよいし、あるいは後に画像再生するため
に、一旦磁気テープ、磁気ディスク等の記憶媒体28に記
憶させておいてもよい。
上述のようにして輝尽発光光の読取り、すなわち電子顕
微鏡像の読取りが終了した後、光シャッター22が閉じら
れ、ミラー17は励起光ビーム12aの光路中に入る位置に
立てられ、そしてこのミラー17の動作と連動して消去光
源16が点灯される。それによりシート11の表面には、該
消去光源16が発する消去光16aが照射される。蓄積性蛍
光体シート11に前記のように励起光ビーム12aが照射さ
れても、該シート11に蓄積されていた電子線エネルギー
がすべて放出される訳ではなく、残像が残る場合があ
る。しかし上記のようにして蓄積性蛍光体シート11に消
去光16aを照射すれば、上記残像が消去され、蓄積性蛍
光体シート11が再使用可能となる。またこの消去光照射
により、シート11の蛍光体中に不純物としてて含まれて
いる226Raなどの放射性元素によるノイズ成分も放出さ
れる。上記消去光源16としては、例えば特開昭56-11392
号に示されているようなタングステンランプ、ハロゲン
ランプ、赤外線ランプ、キセノンフラッシュランプある
いはレーザ光源等が任意に選択使用され得る。また読取
り用の励起光源12を消去用に兼用してもよい。
なお視野探しとピント合せのための画像は、以上説明し
たのと全く同様にして画像再生装置60に出力可能であ
り、この画像を観察しながら視野探しとピント合せを行
なうことができる。またその他、CRT等のディスプレイ
装置にモニタ画像を出力させ、このモニタ画像を観察し
ながら視野探しとピント合せを行なってもよい。
次に、蓄積性蛍光体シートに照射する消去光16aの光量
の制御について説明する。消去光源16は一定照度の消去
光16aを発し、その点灯時間は光源駆動制御回路50によ
って制御される。前述したディジタルの読取画像信号Sd
は、電子顕微鏡像の再生に供する他、上記点灯時間の制
御のために最大発光量検出部51と演算部52とに送られ
る。最大発光量検出部51は、1枚の画像を担うすべての
画像信号Sdからその最大値Io(クリップされない範囲の
もの)を求めるとともに、読取感度設定部53が設定した
読取感度についての信号Srを受け、上記最大値Ioと該信
号Srが示す読取感度とに基づいて、輝尽発光光の絶対発
光量最大値Iを求める。なお読取感度設定部53は、例え
ば電子顕微鏡像記録時の電子線露出量に基づいて、読取
感度を左右する条件すなわち増幅器23のゲインや励起光
ビーム12aの強度等を最適に設定するものである。
上記絶対発光量最大値Iを示す信号Siは、記憶部54に送
られる。蓄積性蛍光体シート11に残存する放射線エネル
ギーレベルは、この絶対発光量最大値Iが高いほど大き
く、該エネルギーレベルが高いほど、それをほぼ完全に
(前述のノイズとならない程度まで)放出させるのに必
要な消去光照射量(照度×点灯時間)は高くなる。記憶
部54は、この絶対発光量Iの最大値毎に最適の(残存放
射線エネルギーをほぼ完全に放出させる必要最少限の)
消去光源点灯時間tをROM等に記憶しており、該記憶部5
4は入力された絶対発光量最大値Iに対応する必要点灯
時間tを読み出し、この時間tを示す信号Stを光源駆動
制御回路50に送る。該光源駆動制御回路50は、この信号
Stが示す時間tだけ消去光源16を点灯させる。こうする
ことにより、消去光源16の点灯時間すなわち消去光照射
量が必要最少限の最適量に制御される。なお最大発光量
検出部51、演算部52および記憶部54等は、例えばマイク
ロコンピュータシステム等から構成されるものである。
上述のようにして消去光照射量を最適に制御する処理
は、画像信号Sdのレベルがクリップされない範囲にある
とき、つまり該信号Sdが例えば第3図(2)の鎖線bで
示すような分布状態となっている場合に行なわれる。そ
れに対して、画像信号SdがA/D変換器24による収録範囲
の最大値をとったとき、つまり蓄積性蛍光体シート11か
ら発せられた輝尽発光光のレベルが特異的に高くて、信
号Sが一部クリップされているとき、最大発光量検出部
51はそのような画像信号で情報が示される画素(クリッ
プ画素)を含む画素列を示す信号Scを演算部52に送る。
演算部52はこの信号Scが示す画素列の画像信号Sdのう
ち、クリップされていない画像信号の分布状態(第3図
(2)の実線a)に基づいて、クリップ画素における画
像信号がもしクリップされなければ、どのような最大値
Io′をとった筈であるかを予測する。この予測は、第3
図(2)の実線aで示す信号分布状態を例えば あるいはさらに簡単にはy=bx等の関数に近似させ、こ
の近似された関数がクリップ画素の範囲cの中点ではど
のような値となるかを計算することによってなされる。
なお演算部52には、前記信号Scとともに、読取感度を示
す信号Srも入力され、演算部52は予め予測された最大値
Io′と上記信号Srが示す読取感度とに基づいて、該最大
値Io′に対応する絶対発光量最大値I′を求める。演算
部52は信号がクリップされた複数の画素列(このような
画素列が1つだけ存在するということは、通常有り得な
い)の各々について上記絶対発光量最大値I′をそれぞ
れ求め、それらの最大値I′のうちの最も大きい値を示
す信号Si′を記憶部54に送る。記憶部54においては、こ
の入力された信号Si′に基づき、前記最大発光量検出部
51から信号Siが入力された場合と同様にして、消去光源
点灯時間tがROM等から読み出される。この時間tを示
す信号Stは、光源駆動制御回路50に送られる。該光源駆
動制御回路50は、この信号Stが示す時間tだけ消去光源
16を点灯させる。こうすることによりこの場合も、消去
光源16の点灯時間すなわち消去光照射量は、残存放射線
エネルギーをほぼ完全に放出させる必要最少限の最適量
に設定されることになる。
(発明の効果) 以上詳細に説明した通り本発明のノイズ消去方法におい
ては、蓄積性蛍光体シートの一部から発せられた輝尽発
光光を検出して得た画像信号が、正しく放射線画像情報
を把握可能な範囲のレベルを超えているとき、該範囲内
にあるその他の画像信号の分布状態に基づいて、上記一
部に蓄積されている放射線エネルギーレベルを予測し、
この予測された放射線エネルギーレベルに基づいて消去
光の照射量を決定するようにしているから、蓄積性蛍光
体シートに対して特異的に多量の放射線が照射されて
も、必要最少限の消去光照射量により、ノイズ成分とな
る残存放射線エネルギーを確実に放出させることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施する電子顕微鏡像記録再生
システムの一例を示す概略図、 第2図は上記システムに用いられた画像再生装置を示す
概略側面図、 第3図は本発明方法における蓄積放射線エネルギーレベ
ルの予測を説明する説明図である。 1……電子顕微鏡、2……電子線 8……試料、9……電子顕微鏡の結像面 10……電子顕微鏡像記録読取装置 11……蓄積性蛍光体シート、12……励起光源 12a……励起光ビーム、13……光走査系 13a、13b……光偏向器 15……フォトマルチプライヤー、18……消去光源 16a……消去光、23……増幅器 24……A/D変換器、25……信号処理回路 50……光源駆動制御回路、51……最大光量検出部 52……演算部、53……読取感度設定部 54……記憶部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射線画像情報が蓄積記録されている蓄積
    性蛍光体シートに励起光を照射し、 それにより該シートから発せられた輝尽発光光を光電的
    に検出して前記放射線画像情報を担う画像信号を得、 次いで前記蓄積性蛍光体シートに消去光を照射して該シ
    ートに残存している放射線エネルギーを放出させる際
    に、 前記蓄積性蛍光体シートの一部から発せられた輝尽発光
    光を検出して得た画像信号が、正しく放射線画像情報を
    把握可能な範囲のレベルを超えているとき、該範囲内に
    あるその他の画像信号の分布状態に基づいて、前記一部
    に蓄積されている放射線エネルギーレベルを予測し、 この予測された放射線エネルギーレベルに基づいて前記
    消去光の照射量を決定することを特徴とする蓄積性蛍光
    体シートのノイズ消去方法。
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