JPH0710788A - エチレンの回収方法 - Google Patents

エチレンの回収方法

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JPH0710788A
JPH0710788A JP5172057A JP17205793A JPH0710788A JP H0710788 A JPH0710788 A JP H0710788A JP 5172057 A JP5172057 A JP 5172057A JP 17205793 A JP17205793 A JP 17205793A JP H0710788 A JPH0710788 A JP H0710788A
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
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    • C07C29/03Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by addition of hydroxy groups to unsaturated carbon-to-carbon bonds, e.g. with the aid of H2O2
    • C07C29/04Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by addition of hydroxy groups to unsaturated carbon-to-carbon bonds, e.g. with the aid of H2O2 by hydration of carbon-to-carbon double bonds

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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、設備費用が安価で、ユーテイリテ
イ費用も低減でき、しかもエチレンの回収率が高く、高
純度の回収エチレンが得られる触媒を用いたエチレンの
水和反応によりエタノールを製造する際のエチレンの回
収方法を提供することを目的とする。 【構成】この発明に於いては、エタノールを製造する際
の循環未反応エチレン流中の不純物を、ゴム状高分子膜
を用いる膜分離法によりエチレンと分離させることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高分子膜を用いる膜
分離法によるエチレンの回収方法に係り、更に詳記すれ
ば、触媒を用いたエチレンの水和反応によりエタノール
を製造する際に、循環未反応エチレン流のパージガス中
に含まれる水素、窒素、メタン及びエタン等の不活性ガ
ス並びに炭素数4以上の炭化水素成分(以下C4+ポリ
マーと称す。)を、ゴム状高分子膜を用いる膜分離法に
よりエチレンと分離させるエチレンの回収方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】触媒、例えば燐酸,硫酸等の鉱酸類、ケ
イタングステン酸,リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸
類、酸化タングステン,シリカアルミナ或はニオブ酸等
の金属酸化物またはゼオライト類、を用いたエチレンの
水和反応によりエタノールを製造することは公知であ
る。この方法は、一般的に適用される温度、圧力及び水
/エチレンのモル比等の反応条件下では、反応平衡の制
約により、1回通過のエチレンのエタノールへの転化率
は、高々6%程度に過ぎない。そこで、大量の未反応エ
チレンを循環ガスとして操作し、反応に再度供すること
により、エタノールの全収率を通常約96%に向上させ
ている。この反応の副反応生成物は、主としてジエチル
エーテルであり、その他に例えば少量のアセトアルデヒ
ドやアセトン等のカルボニル化合物が生成する。エチレ
ンの約1〜2%がエチレンの二〜五量体の飽和及び不飽
和の炭化水素等の前記したC4+ポリマーに変化する。
また、エチレンの二〜五量体に対応した少量の高級アル
コール類も副生する。
【0003】C4+ポリマーは、炭素数約10位までの
ものであり、通常の反応条件下ではガス状であるが、こ
れら低分子量のポリマーから逐次高分子量のポリマーが
生成され、主反応生成物であるエタノールと共に下流の
反応系外にわずかに除去されることにより、一定に保た
れる平衡状態になるまで蓄積する。この高分子量のポリ
マーは、操作上重大な障害を惹起する。例えば、触媒表
面を覆うことによって、活性の低下や触媒寿命の短縮が
引き起こされるほか、反応塔からの流出物を冷却する熱
交換器の流入口に沈着物を形成させたり、圧縮機及び/
或は下流にあるエタノールを濃縮精製するための蒸留塔
を汚染する。従って、このような高分子量のポリマーの
生成を防止するため、循環未反応エチレン流中に低分子
量のポリマーが高い比率で存在する事態は避ける必要が
ある。
【0004】また原料エチレン中には、少量の窒素、水
素、メタン及びエタン等の不活性ガスが含まれている。
これらの不活性ガスは、高分子量ポリマーのように反応
操作に重大な障害を引き起こすことはないが、反応系外
に抜き出される量は微量であるので、次第に循環未反応
エチレン流中に蓄積し、エチレン濃度が低下する。エタ
ノールの生成量はエチレン濃度に比例することから、エ
チレン濃度を高めに維持することも重要である。ジエチ
ルエーテルはエタノール及び水と反応平衡にあるので、
反応操作上特段の問題はない。またアセトアルデヒド、
アセトン等のカルボニル化合物及び高級アルコール類
は、水を用いた吸収操作により主反応生成物であるエタ
ノールと一緒に下流の反応系外に抜き出されるので蓄積
することはなく、ジエチルエーテルと同様に反応上特段
の問題はない。
【0005】公知方法では循環未反応エチレン流の一部
をパージガスとして排出し、精製処理することにより循
環未反応エチレン流中のエチレン濃度を約85%程度に
保つのが普通である。なぜならば、循環未反応エチレン
流中の不純物の増加量はそれほど大きくないからであ
り、エチレン濃度を高くすると反応は増大するので、製
造装置の建設費や製造エネルギー経費は減少するが、排
出すべきガス量を著しく増大させねばならず精製処理費
の増大やエチレンの損失量の増加を招き、結局、経済性
を悪化させるからである。また、エチレン濃度が85%
を著しく下回るような操作方法は、エタノールの生成量
がエチレン濃度に比例することから、生産量が低下する
だけでなく、C4+ポリマーの蓄積により前述した種々
の重大な障害を惹起する。
【0006】循環未反応エチレン流中のC4+ポリマー
を減らすための公知の処理方法としては、深冷或は低温
蒸留法(米国特許第3,827,245号、特公昭51
ー9728号)及び重質炭化水素による吸収法(特開昭
48ー15805号)が開示されている。米国特許第
3,827,245号によれば、エチレン濃度85〜9
5%の循環未反応エチレン流の一部を抜き出し、アルミ
ナ等の乾燥剤が充填されているドライヤーに導き、該ガ
ス流を乾燥させ、深冷蒸留塔に供給する。深冷蒸留塔の
操作圧力は、約290PSIG(19.7気圧)、塔頂
温度は約−19°F(−28.3℃)、塔底温度は約+
260°F(+126.7℃)とし、塔頂流をコンデン
サーで約−22°F(−30℃)まで冷却し塔頂に還流
させる。還流液のエチレン濃度は97〜99%まで精製
される。還流液の一部を抜き出し回収エチレンとして反
応系に再循環させる。この方法は、エチレンの精製度合
が高いので、循環未反応エチレン流の抜き出し量を少な
くし、それだけエチレン損失量を低下させることができ
るが、ドライヤー、低温用の蒸留塔、比較的大容量の冷
凍機、ポンプ、リボイラー、コンデンサー等の設備費が
増大するだけでなく、冷凍機用の電力やリボイラー用の
スチーム等が必要なので、ユーテイリテイ費用も増大
し、経済性は悪化する。
【0007】特公昭51ー9728号の公知発明は、上
記深冷蒸留分離法の経済性を高める方法として、エチレ
ン濃度90.0%以上の循環未反応エチレン流の一部を
抜き出し、水和物の形成による装置の閉塞を阻止するた
めに少量のエチレングリコールを添加した後、還流冷却
器を備えた低温蒸留塔に該ガスを直接供給し、蒸留塔
は、エチレンの臨界点に近い塔頂操作条件下で操作さ
れ、塔頂冷却器の頂部からエチレン濃度95〜97%の
ガス状回収エチレンを抜き出し、これを反応系に再循環
させるものである。この方法は、エチレンの臨界圧近く
で操作することにより、不純物の分離を容易にし、しか
も0℃程度の低温で操作できるので、米国特許第3,8
27,245号の方法よりは、操作温度の高い分だけや
や経済的であるが、低温蒸留であるので、依然として冷
凍機等の設備費やユーテイリテイ費用の大幅な改善はな
されていない。
【0008】特開昭48ー15805号の方法は、吸収
法で操作することで設備費やユーテイリテイ費用の改善
を目指した方法である。この方法によれば、エチレン濃
度85〜90%の循環未反応エチレン流の一部を抜き出
し洗浄塔の底部に導く。洗浄塔は、圧力55〜85気
圧、温度15〜75℃で操作され、該エチレンガスは水
で洗浄されて含酸素化合物を除去して上部より抜き出
し、吸収塔の底部に導かれる。吸収塔は圧力20〜65
気圧で操作され、軽ガス油からなる重質炭化水素を用い
て該ガス中のC4+ポリマーを吸収除去し、上部から実
質的にC4+ポリマーを含まない回収エチレンとして抜
き出し、反応系に再循環させる。C4+ポリマーを吸収
した軽ガス油は、圧力1〜8気圧で操作するストリッピ
ング塔に導かれ、エチレン及びC4+ポリマーを含む廃
ガスとC4+ポリマーを含まない軽ガス油とに分離さ
れ、C4+ポリマーを含まない軽ガス油は吸収塔に再循
環される。
【0009】この方法は蒸留法より簡便な吸収法であ
り、なるほど設備費やユーテイリテイ費用はかなり改善
されるが、ストリッピング塔の廃ガス中に含まれるエチ
レン濃度がかなり高いために、主原料であるエチレンの
回収率が悪く、深冷蒸留法或は低温蒸留法よりもエチレ
ン原単位が悪化するという欠点がある他、窒素、水素、
メタン等の不活性ガスはこの吸収法ではほとんど除去さ
れず、操業が長期に亙ると次第に反応系内に蓄積し、循
環未反応エチレン流中のエチレン純度が悪化するため生
産量や経済性が低下するという欠点もある。
【0010】このようにエタノールを製造する際の循環
未反応エチレン流からのエチレン回収に係る従来法は、
いずれも装置の設備費用、ユーテイリテイ費用、エチレ
ン原単位等の点で未だ充分に満足すべきものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】この発明はこのような
事情に鑑みなされたものであり、設備費用が安価で、ユ
ーテイリテイ費用も低減でき、しかもエチレンの回収率
が高く、高純度の回収エチレンが得られるエタノールを
製造する際のエチレンの回収方法を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、エチレンと窒素、水素、メタン及びエ
タン等の不活性ガス並びにC4+ポリマーとの経済的で
効果的な分離法を化学工学的観点からまず検討した。触
媒を用いたエチレンの水和反応によりエタノールを製造
する際の循環未反応エチレン流は、圧力50〜80kg/c
m2Gで操作されており、膜分離法の駆動力が圧力差である
ことから、膜分離法で未反応エチレン流からエチレンを
効率よく回収できれば、未反応エチレン流の圧力を利用
できることから、電力やスチーム等のユーテイリテイ費
用を必要としないだけでなく、分離のための膜モジュー
ルを設備すれば逐次操作圧力を下げていけばよいので、
その他の高価な設備は必要がないこと、即ち、設備費用や
ユーテイリテイ費用の点から極めて安価なエチレン回収
装置になることに着目した。そこで、膜分離法に使用する
種々の高分子膜のエチレン、不活性ガス及びC4+ポリ
マーの膜透過性能(透過係数)について鋭意探求した結
果、ゴム状高分子膜はエチレンの透過係数が不活性ガス
類の透過係数及びC4+ポリマーの透過係数と異なるだ
けでなく、エチレンの透過係数は温度を変化させても変
化せず一定であるが、不活性ガス並びにC4+ポリマー
の透過係数は約80℃以下の温度条件にすると大きく変
化し、エチレンと簡単に分離できることを見いだし、本
発明に到達した。
【0013】即ち、本発明は、触媒を用いたエチレンの
水和反応によりエタノールを製造する際に、循環未反応
エチレン流中の不純物を、ゴム状高分子膜を用いる膜分
離法によりエチレンと分離させることを特徴とする。本
発明で用いられるゴム状高分子膜は、使用状態でゴム状
弾性を有する高分子膜であり、例えばシリコンゴム、ニ
トリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチル
ゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル
共重合体或は可塑剤を多量に配合したポリ塩化ビニル、
ポリビニルアルコール等が挙げられる。特に、シリコン
ゴム膜が好適に用いられる。
【0014】まず、ゴム状高分子膜の各種ガスの透過性
能の測定例を示す。 (透過性能測定例1)ゴム状高分子膜の一例として、ジ
メチルシロキサンからなるシリコンゴム膜(膜厚:30
0μm)を50mmφに切り取り、市販のガス膜透過実
験装置に取り付け、水素、窒素、メタン、エタン、イソ
ブタン、イソブテン、トランス−2−ブテン及びエチレ
ンのガス透過量を種々の温度及び圧力で測定し、透過係
数(cc(STP)・cm/cm2・sec・cmHg)を求めた。得られた透
過係数(Pi)から次式(1)を用いて各種ガスのエチレン
との分離係数(αi C2H4)を求めた。 αi C2H4=( Pi/ PC2H4) (1) 次表−1に、ジメチルシロキサンからなるシリコンゴム
膜の各種ガスの透過性能を示す。
【0015】
【表−1】
【0016】次表−2に、上記式(1)で求めたシリコ
ンゴム膜のエチレンに対する各種ガスの分離係数を示
す。
【0017】
【表−2】
【0018】表−1の結果から、シリコンゴム膜の各種
ガスの透過係数を温度に対してプロットし図2に示す。
表−1、2及び図2から、エチレンの透過係数は、温度
を10〜50℃に変化させても一定であるが、エチレン
より透過しにくい水素、窒素及びメタン等の不活性ガス
は、温度を下げると益々透過しにくくなるから、分離係
数が1より更に小さくなり、温度を下げるとエチレンと
これらのガスは分離し易くなることが判明した。また、
エチレンより透過し易いエタン、イソブタン、イソブテ
ン及びトランス−2−ブテン等のガスは、温度を下げる
と益々透過し易くなるので、分離係数が1より更に大き
くなり、温度を下げるとエチレンとこれらガス類は分離
し易くなることが判明した。
【0019】(透過性能測定例2)ゴム状高分子膜の一
例として、アクリロニトリル及びブタジエンからなるニ
トリルゴム膜(膜厚:300μm)を50mmφに切り
取り、測定例1と同様にして、メタン、トランス−2−
ブテン及びエチレンのガス透過量を種々の温度及び圧力
で測定し、測定例1と同様にして透過係数を求めた。次
表ー3に上記ガスの透過係数を、次表ー4に上記ガスの
エチレンに対する分離係数を示す。
【0020】
【表−3】
【0021】
【表−4】
【0022】上記結果から、ニトリルゴム膜を使用した
場合も、シリコンゴム膜を使用した場合と同様に、エチ
レンは温度を変化させても透過係数は一定であるが、メ
タンはエチレンよりニトリルゴムを透過しにくく、温度
を下げると透過係数が低下するのでエチレンと分離し易
くなり、また、トランス−2−ブテンはエチレンよりも
ニトリルゴムを透過し易く、温度を下げると透過係数が
上昇するのでエチレンと分離し易くなることがわかる。
そこで、触媒を用いたエチレン水和反応によりエタノー
ルを製造する際の、循環未反応エチレン流を、ゴム状高
分子膜を用いる膜分離法で2段で処理すると、1段目の
膜分離において、水素、窒素及びメタンはエチレンより
低温になるほどゴム状高分子膜を透過しにくいので高圧
側に蓄積し、透過側にエチレン、エタン及びC4+ポリ
マー等が濃縮され、そして2段目の膜分離において、エ
タン及びC4+ポリマー等は低温になるほどゴム状高分
子膜を透過し易いので透過側に分離され、高圧側にエチ
レンが極めて効果的に濃縮されることが判明した。
【0022】次に、本発明のエタノールの製造法に於け
るエチレンの回収法を、図面に基づいて説明する。図1
は、本発明の一例を示すフロー図である。触媒を用いた
エチレンの水和反応によりエタノールを製造する際の循
環未反応エチレン流の一部を公知方法により水洗した
後、ライン1から水蒸気選択透過性膜からなる膜モジュ
ールM1に供給する。該ガスは同伴されるエタノールを
回収するため上記のように水洗されるので、水洗の操作
条件に於ける飽和水蒸気を含有している。エチレンは低
温になると、固形の水との分子化合物(エチレン水和
物)を形成するので、減圧操作時の断熱膨張による温度
低下などの際に装置閉塞等の障害が生じる。そこで公知
方法では、ドライヤーで乾燥するか、エチレングリコー
ルを添加するか、或は加温してエチレン水和物の形成を
阻止している。
【0023】本発明においては、市販の水蒸気選択透過
性高分子膜、例えばポリビニルアルコール系膜、キトサ
ン系膜、ポリイミド系膜等からなる膜モジュールM1を
用いて、透過側(低圧側)に水蒸気を選択的にエチレン
流と分離し、ライン3から水蒸気或は水を排出させ、高
圧側の脱湿されたエチレン流をライン2から次のゴム状
高分子膜からなる膜モジュールM2に供給する。この脱
湿工程によりその後の操作におけるエチレン水和物の形
成は好適に阻止されるが、公知のドライヤーを用いた乾
燥法或は加温によりエチレン水和物形成の阻止方法の組
み合わせ若しくは代替も当然に本発明に包含される。膜
モジュールM1の高圧側の操作圧力は、3kg/cm2G以上
であればよいが、通常はその後の分離操作圧力の関係か
ら30〜80kg/cm2Gとするのが好ましい。透過側圧力
は、高圧側より低圧であればよいが、脱湿効果の関係から
常圧が好ましい。操作温度は、高温ほど脱湿効果がある
が、高分子膜の耐熱性から常温〜120℃が好ましい。
【0024】ゴム状高分子膜、好ましくはシリコンゴム
膜からなる膜モジュールM2で高圧側に水素、窒素及び
メタンが濃縮され、ライン4から排出される。低圧側に
エチレン、エタン及びC4+ポリマーを選択的に透過さ
せ、水素、窒素及びメタンを分離したエチレン流をライ
ン5から次のゴム状高分子膜からなる膜モジュールM3
に供給する。膜モジュールM2の高圧側の操作圧力は、
同様に3kg/cm2G以上であればよいが、膜モジュールM1
の高圧側ガス流をそのまま導けばよいので、通常は30
〜80kg/cm2Gとするのが好ましい。透過側圧力は、高圧
側圧力より低圧であればよいが、分離効率及び反応系の
エチレン供給用コンプレッサーの吸入圧力の関係から、
10〜70kg/cm2Gとするのが好ましい。操作温度は、前
記したようにゴム状高分子膜のガス透過性質から80℃
以下であればよいが、操作性や経済性の点から0〜80
℃が好ましい。
【0025】受け入れ原料エチレンが高純度で水素、窒
素、メタン及びエタンの含有量が極めて少ない場合は、
膜モジュールM2での分離操作を省略し、膜モジュール
M1或は従来法で脱湿したガスをライン10から膜モジ
ュールM3に導入してもよい。ゴム状高分子膜、好まし
くはシリコンゴム膜からなる膜モジュールM3で高圧側
にエチレンを濃縮精製させ、ライン6から回収エチレン
として反応系に戻される。低圧側に選択的に透過させた
エタン及びC4+ポリマーを、エチレン回収率を高める
ため、ライン7から次のゴム状高分子膜からなる膜モジ
ュールM4に供給する。膜モジュールM3の高圧側の操
作圧力は、3kg/cm2G以上であればよいが、膜モジュール
M2の透過側ガス流をそのまま導けばよいので、通常は
圧力10〜70kg/cm2Gで操作される。透過側圧力は高圧
側圧力より低圧であればよいが、分離効率及び反応系の
低圧エチレン回収用コンプレッサーの吸入圧力の関係か
ら、1〜30kg/cm2Gとするのが好ましい。操作温度
は、膜モジュールM2と同様にゴム状高分子膜のガス透
過性質から80℃以下であればよいが、操作性や経済性
の点で0〜80℃が好ましい。
【0026】2段目のエチレン回収用のゴム状高分子
膜、好ましくはシリコンゴム膜からなる膜モジュールM
4において、ライン7から導かれたエタン、C4+ポリ
マー及び同伴してくるエチレンを含むガス流を、高圧側
圧力1〜30kg/cm2G、透過側圧力0〜10kg/cm2G、操
作温度80℃以下、好ましくは0〜80℃の条件で分離
操作する。高圧側にエチレンが濃縮精製され、ライン8
から回収エチレンとして反応系に戻される。透過側にエ
タン及びC4+ポリマーが更に濃縮され、ライン9から
排出される。エチレン回収率を高めるために更に逐次段
に膜モジュールを組み合わせる方法や反応系における触
媒のエチレン水和活性等の関係で循環未反応エチレン中
のエチレン純度が高い場合などでは、膜モジュールM4
を省略する方法も当然に本発明に包含される。また従来
の吸収法プロセスにおけるストリッピング塔の廃ガスか
ら、ゴム状高分子膜を用いた膜分離法でエチレンを回収
する組み合わせ法も本発明に包含されるのは勿論であ
る。
【0028】
【実施例】次に、本発明の一実施例を図1を参照しなが
ら説明する。エチレン水和反応に使用した循環未反応エ
チレン流の一部を、ライン1から市販のポリイミド系水
選択透過中空糸膜からなる膜モジュールM1に供給し、
該エチレン流を高圧側圧力60kg/cm2G、透過側圧力常
圧、温度70℃の条件で乾燥させ、高圧側の乾燥ガス
(エチレン濃度87.2%)をライン2からジメチルシ
ロキサンからなるシリコンゴム中空糸膜500m2を有す
る膜モジュールM2に276Nm3/hで供給し、高圧側圧力
50kg/cm2G、透過側圧力30kg/cm2G、温度35℃の条
件で分離させ、高圧側から不活性ガスを多く含む廃ガス
(エチレン濃度29.3%)8.2Nm3/hをライン4か
ら排出した。
【0029】透過側ガス流(エチレン濃度89.0%)
267.8Nm3/hをライン5からジメチルシロキサンか
らなるシリコンゴム中空糸膜50m2を有する膜モジュー
ルM3に供給し、高圧側圧力30kg/cm2G、透過側圧力
10kg/cm2G、温度30℃の条件で分離させ、高圧側か
らエチレン濃度91.7%の回収エチレンがライン6か
ら207.2Nm3/h 得られた。透過側ガス流(エチレン
濃度79.5%)60.6Nm3/hを、ライン7からジメチ
ルシロキサンからなるシリコンゴム中空糸膜50m2を有
する膜モジュールM4に供給し、高圧側圧力10kg/cm
2G、透過側圧力3kg/cm2G、温度25℃の条件で分離さ
せ、高圧側からエチレン濃度92.2%の回収エチレン
がライン8から37.3Nm3/h 得られた。エタン及びC
+ポリマーを多く含む透過側ガス流(エチレン濃度5
9.2%)23.3Nm3/hをライン9から廃ガスとして
排出した。
【0030】本発明方法のエチレン回収率は、93.3
%で後記比較例の吸収法の回収率89.7%よりも良好
であるので、それだけ反応系から抜き出す循環未反応エ
チレン量が少なくて済むことと、廃ガス中に不純物を高
濃度まで濃縮することで廃ガス中のエチレン濃度を低く
できるので、本発明のエチレン損失量は16.2Nm3/h
となり、比較例のエチレン損失量31.8Nm3/hと比較
すると、エチレン損失量は約1/2であった。また、ユ
ーテイリテイは、乾燥の際にわずかにスチームを使用し
ただけである。
【0031】
【比較例】エチレン水和反応に使用した循環未反応エチ
レン流(エチレン濃度87.2%)の一部を抜き出し、
圧力21kg/cm2G、温度38℃で操作されている吸収塔
(塔径284mm×塔高7500mm)の下段に35
4.4Nm3/hで供給し、次のストリッピング塔から循環
される軽ガス油を、上段から342リットル/hで降ら
して主としてエチレン及びC4+ポリマーを吸収させ、
吸収塔塔頂からエチレン濃度88.2%の回収エチレン
が314.5Nm3/hで得られた。主としてエチレン及び
C4+ポリマーを吸収した軽ガス油は、熱交換器で圧力
7kg/cm2Gのスチームで120℃に加熱され、次の圧力
3kg/cm2Gで操作されているストリッピング塔(塔径上
部298mm×塔径下部700mm×塔高2850m
m)に供給し、ストリッピング塔塔頂から廃ガス(エチ
レン濃度79.8%)を39.8Nm3/hで排出した。ス
トリッピング塔塔底からポンプを用いて軽ガス油を抜き
出し、熱交換器で工業用水を使用して冷却後、吸収塔に
循環させた。この時のエチレン回収率は、89.7%で
エチレン損失量は31.8Nm3/hであった。
【0032】
【作用】膜を用いたガス分離におけるガスの透過機構は
溶解拡散機構と言われている。本発明に用いられるゴム
状高分子膜は、水素、窒素及びメタン等の不活性ガスの
溶解係数が小さいので、拡散速度が支配的となるから低
温になるほど透過しにくくなるものと考えられる。一
方、エタンやC4+ポリマーは、溶解係数が大きく、溶
解によりゴム状高分子が膨潤し更に溶解性が増大するほ
か、膨潤により高分子セグメント間隙が大きくなるた
め、透過分子が大きくなっても拡散阻害は生じないの
で、溶解速度が支配的となり低温程よく溶解し、透過し
易くなるものと考えられる。それに対して、エチレンは
温度変化による溶解速度変化及び拡散速度変化が結果と
して相殺されるので、透過速度が一定になっているもの
と思われる。
【0033】
【効果】本発明方法によれば、深冷蒸留法或は吸収法に
よる従来のエチレン回収法と比較して、膜モジュールを
設備するだけでよく、循環未反応エチレン流の圧力によ
り膜分離法の駆動力とすることができるので、設備費が
深冷蒸留法の1/5〜1/3程度、吸収法の1/2〜2
/3程度で済むと共に、電力は一切使用せず、スチーム
は脱湿工程で僅かに加温するだけであるから、ランニン
グコストは殆ど必要としないほか、エチレン回収率が吸
収法より優れており、エチレン損失量が少ないので、エ
タノール製造に於けるエチレン原単位を向上させ得るこ
とから、それだけ安価にエタノールを製造できる等、従
来のこの種エチレン回収法と比べて著しく顕著な効果を
奏する。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜分離プロセスフロー概念図である。
【図2】シリコンゴム膜の各種ガスの透過係数を温度に
対してプロットしたグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒を用いたエチレンの水和反応によりエ
    タノールを製造する際に、循環未反応エチレン流中の不
    純物を、ゴム状高分子膜を用いる膜分離法によりエチレ
    ンと分離させることを特徴とするエチレンの回収方法。
  2. 【請求項2】前記ゴム状高分子膜が、シリコンゴム膜で
    ある請求項1に記載のエチレンの回収方法。
  3. 【請求項3】前記膜分離操作温度が、0〜80℃である
    請求項1若しくは2に記載のエチレンの回収方法。
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