JPH07106469B2 - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents
低水素系被覆アーク溶接棒Info
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- JPH07106469B2 JPH07106469B2 JP8460191A JP8460191A JPH07106469B2 JP H07106469 B2 JPH07106469 B2 JP H07106469B2 JP 8460191 A JP8460191 A JP 8460191A JP 8460191 A JP8460191 A JP 8460191A JP H07106469 B2 JPH07106469 B2 JP H07106469B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アークの安定性を良好
にしスパッタの飛散を減少すると共に、生産性が良好で
健全な溶接性能が得られる低水素系被覆アーク溶接棒
(以下低水素系棒と称する)に関するものである。
にしスパッタの飛散を減少すると共に、生産性が良好で
健全な溶接性能が得られる低水素系被覆アーク溶接棒
(以下低水素系棒と称する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低水素系棒は、耐われ性や靱性が良好で
大型構造物用鋼材への適用や低温鋼用あるいは耐熱鋼用
などへ使用されるが、アーク中の溶滴が短絡移行である
ため、非低水素系溶接棒に比べアークの安定性が悪く、
スパッタの発生量が多く、鋼板への付着スパッタ除去作
業に手間がかかり、さらには溶接作業場の可燃物への引
火が懸念されているのが現状である。
大型構造物用鋼材への適用や低温鋼用あるいは耐熱鋼用
などへ使用されるが、アーク中の溶滴が短絡移行である
ため、非低水素系溶接棒に比べアークの安定性が悪く、
スパッタの発生量が多く、鋼板への付着スパッタ除去作
業に手間がかかり、さらには溶接作業場の可燃物への引
火が懸念されているのが現状である。
【0003】このような低水素系棒の問題に対しては種
々提案されているが例を挙げると、特開昭58−209
499号公報では、被覆剤中に細粒アトマイズ原料を使
用することでアークの安定性を向上させスパッタの低減
を図ろうとするものであるが、被覆剤が緻密となり乾燥
工程で被覆われを生じ、生産歩留の低下が問題であっ
た。
々提案されているが例を挙げると、特開昭58−209
499号公報では、被覆剤中に細粒アトマイズ原料を使
用することでアークの安定性を向上させスパッタの低減
を図ろうとするものであるが、被覆剤が緻密となり乾燥
工程で被覆われを生じ、生産歩留の低下が問題であっ
た。
【0004】一方、特開昭58−116991号公報で
は被覆剤中に多量のTiO2 を含み、かつ鋼心線中のC
を低減させMnを限定することでスパッタの発生を減少
させるもので、その目的はかなり達成される。しかし、
同号公報は非低水素系溶接棒に関わるものであり、この
手法を低水素系棒に適用してもほとんど効果がなく、T
iO2 が多いために溶接金属中に非金属介在物が多くな
り靱性劣化の問題も生じた。
は被覆剤中に多量のTiO2 を含み、かつ鋼心線中のC
を低減させMnを限定することでスパッタの発生を減少
させるもので、その目的はかなり達成される。しかし、
同号公報は非低水素系溶接棒に関わるものであり、この
手法を低水素系棒に適用してもほとんど効果がなく、T
iO2 が多いために溶接金属中に非金属介在物が多くな
り靱性劣化の問題も生じた。
【0005】このように、現状の低水素系棒において、
生産性と溶接性能を満足しつつ、良好なアーク状態が得
られスパッタを低減させることは非常に困難であった。
生産性と溶接性能を満足しつつ、良好なアーク状態が得
られスパッタを低減させることは非常に困難であった。
【0006】一方、溶接棒を使用する各業界からは、作
業能率や火災発生の危険性の点からスパッタの少ない溶
接棒が強く求められ、それに合わせて良好な溶接作業性
と欠陥のない健全な溶接金属を確保でき、これらすべて
を満たすことのできる低水素系棒が要望されていた。
業能率や火災発生の危険性の点からスパッタの少ない溶
接棒が強く求められ、それに合わせて良好な溶接作業性
と欠陥のない健全な溶接金属を確保でき、これらすべて
を満たすことのできる低水素系棒が要望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述した実情
に鑑み、被覆剤組成を吟味し従来の諸性能を確保すると
ともに、アークの安定性を極めて良好にすることでスパ
ッタの減少を図り、かつ被覆剤の固着性を高めることで
良好な生産性が確保できる低水素系棒を提供するもので
ある。
に鑑み、被覆剤組成を吟味し従来の諸性能を確保すると
ともに、アークの安定性を極めて良好にすることでスパ
ッタの減少を図り、かつ被覆剤の固着性を高めることで
良好な生産性が確保できる低水素系棒を提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前述した要望に
応えるために溶接棒の被覆剤を種々検討した結果、生産
歩留が高く、アークの安定性が良好でスパッタの発生を
著しく減少させたものであって、その要旨とするところ
は人造珪灰石が0.5〜5.5重量%(以下%で表わ
す)、天然珪灰石が0.3〜4.5%、人造珪灰石量に
対する天然珪灰石量の比を0.3〜1.5とし、アーク
安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、有機物および固着剤か
らなる被覆剤、またはそれにさらに鉄粉を52%以下加
えたのを用いて鋼心線に塗布したことを特徴とする低水
素系棒である。
応えるために溶接棒の被覆剤を種々検討した結果、生産
歩留が高く、アークの安定性が良好でスパッタの発生を
著しく減少させたものであって、その要旨とするところ
は人造珪灰石が0.5〜5.5重量%(以下%で表わ
す)、天然珪灰石が0.3〜4.5%、人造珪灰石量に
対する天然珪灰石量の比を0.3〜1.5とし、アーク
安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、有機物および固着剤か
らなる被覆剤、またはそれにさらに鉄粉を52%以下加
えたのを用いて鋼心線に塗布したことを特徴とする低水
素系棒である。
【0009】スパッタの発生原因は、アーク発生時のプ
ラズマ気流やアーク力が過剰に強い場合、あるいは溶滴
のガス爆発などが挙げられることが知られている。特
に、粗大化した溶滴は、その内部ガスの圧力により破裂
し大粒スパッタになり、アーク電圧の変動も大きくなっ
てアークの安定性も悪くなるのである。従って、スパッ
タの減少を図るには、適度なアーク力を保持し、溶滴を
細粒化させることが極めて有効であることに着眼し、種
々研究を積み重ねた。その結果、CaO化合物がスパッ
タ減少に効果あることを見出した。ここでいうCaO化
合物とはマンガンスラグ(MnO、CaO)、ザクロ石
(SiO2 、Fe2 O3 、CaO)、カリガラス(Si
O2 、K2 O、CaO)、珪灰石(SiO2 、CaO)
などであるが、その中でも溶接性能に悪影響を与えずス
パッタ低減できるものは珪灰石であることを突き止め
た。マンガンスラグやザクロ石はスラグの流動性が悪く
ビード外観の劣化を招き、カリガラスは被覆剤が吸湿し
易くなる問題があったのでこれらは採用するに至らなか
った。
ラズマ気流やアーク力が過剰に強い場合、あるいは溶滴
のガス爆発などが挙げられることが知られている。特
に、粗大化した溶滴は、その内部ガスの圧力により破裂
し大粒スパッタになり、アーク電圧の変動も大きくなっ
てアークの安定性も悪くなるのである。従って、スパッ
タの減少を図るには、適度なアーク力を保持し、溶滴を
細粒化させることが極めて有効であることに着眼し、種
々研究を積み重ねた。その結果、CaO化合物がスパッ
タ減少に効果あることを見出した。ここでいうCaO化
合物とはマンガンスラグ(MnO、CaO)、ザクロ石
(SiO2 、Fe2 O3 、CaO)、カリガラス(Si
O2 、K2 O、CaO)、珪灰石(SiO2 、CaO)
などであるが、その中でも溶接性能に悪影響を与えずス
パッタ低減できるものは珪灰石であることを突き止め
た。マンガンスラグやザクロ石はスラグの流動性が悪く
ビード外観の劣化を招き、カリガラスは被覆剤が吸湿し
易くなる問題があったのでこれらは採用するに至らなか
った。
【0010】ところで、珪灰石は特開昭51−8175
3号公報に示されるように、溶接ヒューム低減を目的と
して適用され溶接作業環境改善に寄与されるが、同号公
報では非低水素系棒に関わるものであり、人造および天
然珪灰石の活用方法が明記されておらず、安易に珪灰石
を利用しても、生産性や溶接性能を満足しつつスパッタ
の発生量を低減させることはできないことを突き止め
た。
3号公報に示されるように、溶接ヒューム低減を目的と
して適用され溶接作業環境改善に寄与されるが、同号公
報では非低水素系棒に関わるものであり、人造および天
然珪灰石の活用方法が明記されておらず、安易に珪灰石
を利用しても、生産性や溶接性能を満足しつつスパッタ
の発生量を低減させることはできないことを突き止め
た。
【0011】珪灰石には前述のとおり人造品と天然品が
あるが、人造珪灰石は特に溶滴が細粒化されスパッタ発
生も極めて少ない原料であることが判明した。しかし、
人造珪灰石は多量に使用すると固着剤である水ガラスと
反応し易くなり、製造中に乾燥工程で被覆表面にガスふ
くれが生じたり、被覆剤の固着性が劣化するので乾燥わ
れ発生の原因にもなり、さらにアーク力が弱くなるので
スラグ巻込みやブロホールが多発しX線性能の劣化が問
題となった。
あるが、人造珪灰石は特に溶滴が細粒化されスパッタ発
生も極めて少ない原料であることが判明した。しかし、
人造珪灰石は多量に使用すると固着剤である水ガラスと
反応し易くなり、製造中に乾燥工程で被覆表面にガスふ
くれが生じたり、被覆剤の固着性が劣化するので乾燥わ
れ発生の原因にもなり、さらにアーク力が弱くなるので
スラグ巻込みやブロホールが多発しX線性能の劣化が問
題となった。
【0012】一方、天然珪灰石は、粒状を呈する人造珪
灰石と異なり、繊維状の珪灰石であり、被覆剤に使用す
るとこの繊維が他の原料と複雑にからみ合って被覆剤の
固着性が向上し乾燥われ防止として効果も有している。
天然珪灰石の適度な使用はアークに安定性と広がりを見
せスパッタも低減するが、過剰に使用すると逆に溶滴の
粗大化を招きスパッタの飛散が多くなることが分かっ
た。従って、良好な生産性と溶接性能を確保しつつアー
クの安定性が良好でスパッタの少ない低水素系棒を得る
には、人造珪灰石と天然珪灰石の併用はかかせないもの
であり、その添加量を限定する必要がある。また、これ
ら課題をさらに向上させ満足させるには、人造珪灰石量
に対する天然珪灰石量の比が極めて重要であることも見
出した。
灰石と異なり、繊維状の珪灰石であり、被覆剤に使用す
るとこの繊維が他の原料と複雑にからみ合って被覆剤の
固着性が向上し乾燥われ防止として効果も有している。
天然珪灰石の適度な使用はアークに安定性と広がりを見
せスパッタも低減するが、過剰に使用すると逆に溶滴の
粗大化を招きスパッタの飛散が多くなることが分かっ
た。従って、良好な生産性と溶接性能を確保しつつアー
クの安定性が良好でスパッタの少ない低水素系棒を得る
には、人造珪灰石と天然珪灰石の併用はかかせないもの
であり、その添加量を限定する必要がある。また、これ
ら課題をさらに向上させ満足させるには、人造珪灰石量
に対する天然珪灰石量の比が極めて重要であることも見
出した。
【0013】本発明は以上の知見に基づいてなされたも
のである。
のである。
【0014】
【作用】以下に本発明における作用について詳述する。
【0015】まず、被覆剤中の人造珪灰石と天然珪灰石
の適正添加量を調べるために、次のような実験を行っ
た。
の適正添加量を調べるために、次のような実験を行っ
た。
【0016】即ち、表1に示す全姿勢用の低水素系棒の
被覆剤に人造珪灰石を0〜9.4%、天然珪灰石を0〜
7.5%変化させ、これを直径4.0mm、長さ450
mmのJIS G 3523、SWY11の軟鋼心線に
被覆塗装し、乾燥して溶接棒を作製し、交流溶接機にお
いて各種溶接性能と生産性を調査した。スパッタ発生量
の調査は幅200mm、長さ600mm、高さ200m
mの銅製の補集箱を作製し、その上部の開閉板に幅40
mm、長さ550mmのスリットを設け、補集箱内部に
板厚20mm、幅50mm、長さ450mmの軟鋼板を
立てスリットに溶接棒を挿入し、板厚面の溶接を行っ
た。溶接条件は電流180A、溶接速度150mm/m
inとし、判定基準は1.3g/min未満を良好の○
印、1.3〜2.1g/minをやや劣るの△印とし、
2.2g/min以上を劣るの×印とした。また、溶接
金属のX線性能試験はJIS Z 3104に基づいて
実施、板厚20mm、幅300mm、長さ500mm、
60°V開先の軟鋼板を用い、電流180Aで下向姿勢
の溶接を行った。判定基準は、1級を良好、2級、3級
をやや劣る、4級を劣るとした。生産性の試験について
は溶接棒約100kgを製造し、塗装または乾燥工程に
おいて被覆に傷やヘコミ、乾燥われがないものを良品と
し、製造した全溶接棒に対する良品の割合を生産歩留と
し、その値が99.0%以上であったものを良好とし
た。
被覆剤に人造珪灰石を0〜9.4%、天然珪灰石を0〜
7.5%変化させ、これを直径4.0mm、長さ450
mmのJIS G 3523、SWY11の軟鋼心線に
被覆塗装し、乾燥して溶接棒を作製し、交流溶接機にお
いて各種溶接性能と生産性を調査した。スパッタ発生量
の調査は幅200mm、長さ600mm、高さ200m
mの銅製の補集箱を作製し、その上部の開閉板に幅40
mm、長さ550mmのスリットを設け、補集箱内部に
板厚20mm、幅50mm、長さ450mmの軟鋼板を
立てスリットに溶接棒を挿入し、板厚面の溶接を行っ
た。溶接条件は電流180A、溶接速度150mm/m
inとし、判定基準は1.3g/min未満を良好の○
印、1.3〜2.1g/minをやや劣るの△印とし、
2.2g/min以上を劣るの×印とした。また、溶接
金属のX線性能試験はJIS Z 3104に基づいて
実施、板厚20mm、幅300mm、長さ500mm、
60°V開先の軟鋼板を用い、電流180Aで下向姿勢
の溶接を行った。判定基準は、1級を良好、2級、3級
をやや劣る、4級を劣るとした。生産性の試験について
は溶接棒約100kgを製造し、塗装または乾燥工程に
おいて被覆に傷やヘコミ、乾燥われがないものを良品と
し、製造した全溶接棒に対する良品の割合を生産歩留と
し、その値が99.0%以上であったものを良好とし
た。
【0017】
【表1】 ※その他は、アーク安定剤、スラグ生成剤、有機物およ
び固着剤中の珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの固質
成分を表わす。
び固着剤中の珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの固質
成分を表わす。
【0018】図1にこれらの試験結果を示すが、珪灰石
が添加されていない従来溶接棒はスパッタの発生が極め
て多く、人造珪灰石においては0.5%の添加で急激に
スパッタが減少し、5.5%を超えると固着剤と反応す
るので被覆剤の固着性が減少し乾燥工程で被覆われが生
じ生産歩留の低下を招き、さらにアーク力が弱くなり、
スラグ巻込みやブロホールが発生しX線性能が悪くなっ
た。また、天然珪灰石は0.3〜4.5%添加の範囲で
スパッタの減少が見られるが、4.5%を超えると逆に
アークの安定性が悪くなりスパッタもやや多くなった。
一方、本発明者らは人造珪灰石量に対する天然珪灰石量
の比が生産性に大きく関与することを突き止め、この比
が0.3未満では繊維状の天然珪灰石添加量が少ないの
で被覆剤の固着性が悪く乾燥工程で被覆われやヘコミな
どが多くなった。また、その比が1.5を超えると被覆
剤の固着性が過剰となって、塗装工程において被覆剤の
押し出し時に被覆剤の流動性が悪くなり、鋼心線が溶接
棒の中心でなく偏った状態で塗布され、所謂、偏心が多
発し、塗装性の劣化が生じることが判明し生産歩留が低
下することも分かった。
が添加されていない従来溶接棒はスパッタの発生が極め
て多く、人造珪灰石においては0.5%の添加で急激に
スパッタが減少し、5.5%を超えると固着剤と反応す
るので被覆剤の固着性が減少し乾燥工程で被覆われが生
じ生産歩留の低下を招き、さらにアーク力が弱くなり、
スラグ巻込みやブロホールが発生しX線性能が悪くなっ
た。また、天然珪灰石は0.3〜4.5%添加の範囲で
スパッタの減少が見られるが、4.5%を超えると逆に
アークの安定性が悪くなりスパッタもやや多くなった。
一方、本発明者らは人造珪灰石量に対する天然珪灰石量
の比が生産性に大きく関与することを突き止め、この比
が0.3未満では繊維状の天然珪灰石添加量が少ないの
で被覆剤の固着性が悪く乾燥工程で被覆われやヘコミな
どが多くなった。また、その比が1.5を超えると被覆
剤の固着性が過剰となって、塗装工程において被覆剤の
押し出し時に被覆剤の流動性が悪くなり、鋼心線が溶接
棒の中心でなく偏った状態で塗布され、所謂、偏心が多
発し、塗装性の劣化が生じることが判明し生産歩留が低
下することも分かった。
【0019】以上の試験結果から良好な生産性と欠陥の
ない健全な溶接金属を確保しつつ、アークの安定性が良
好でスパッタの少ない低水素系棒を得るには図1の点
A、B、C、Dで結ばれた範囲、即ち、人造珪灰石量が
0.5〜5.5%、天然珪灰石量が0.3〜4.5%、
人造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が0.3〜1.
5にする必要があることが分かった。
ない健全な溶接金属を確保しつつ、アークの安定性が良
好でスパッタの少ない低水素系棒を得るには図1の点
A、B、C、Dで結ばれた範囲、即ち、人造珪灰石量が
0.5〜5.5%、天然珪灰石量が0.3〜4.5%、
人造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が0.3〜1.
5にする必要があることが分かった。
【0020】また、本発明では被覆剤中に鉄粉が適用で
きることも確認している。鉄粉は主として作業能率の向
上を目的として添加するものであるが本発明の特許請求
範囲において52%以下としたのは、これを超えて添加
すると被覆筒が短絡し易くアークが不安定になってビー
ド外観が劣化するからである。
きることも確認している。鉄粉は主として作業能率の向
上を目的として添加するものであるが本発明の特許請求
範囲において52%以下としたのは、これを超えて添加
すると被覆筒が短絡し易くアークが不安定になってビー
ド外観が劣化するからである。
【0021】なお、本発明におけるアーク安定剤とは、
ルチール、イルミナイト、長石などであり、スラグ生成
剤は炭酸石灰、炭酸バリウム、螢石、珪砂、マグネサイ
ト、マグネシアクリンカー、マイカ、タルク、アルミナ
などであり、脱酸剤はフェロマンガン、金属マンガン、
フェロシリコン、フェロチタン、フェロアルミニウム、
アルミ・マグネシウムなどを指し、有機物とはセルロー
ス、澱粉、アルギン酸ソーダなどであり、固着剤は珪酸
ナトリウム、珪酸カリウムを指す。これらは、それぞれ
1種もしくは2種以上の組合せで使用できる。
ルチール、イルミナイト、長石などであり、スラグ生成
剤は炭酸石灰、炭酸バリウム、螢石、珪砂、マグネサイ
ト、マグネシアクリンカー、マイカ、タルク、アルミナ
などであり、脱酸剤はフェロマンガン、金属マンガン、
フェロシリコン、フェロチタン、フェロアルミニウム、
アルミ・マグネシウムなどを指し、有機物とはセルロー
ス、澱粉、アルギン酸ソーダなどであり、固着剤は珪酸
ナトリウム、珪酸カリウムを指す。これらは、それぞれ
1種もしくは2種以上の組合せで使用できる。
【0022】
【実施例】次に実施例により本発明の効果をさらに具体
的に述べる。表2〜4は、本発明溶接棒と比較溶接棒の
被覆剤組成とスパッタ発生量、X線透過試験、生産性、
および溶接作業性を示すものである。
的に述べる。表2〜4は、本発明溶接棒と比較溶接棒の
被覆剤組成とスパッタ発生量、X線透過試験、生産性、
および溶接作業性を示すものである。
【0023】なお、溶接棒は直径4.0mm、長さ45
0mmの軟鋼心線を被覆塗装し乾燥して作製したものを
使用し、溶接性能試験では交流溶接機を用い、軟鋼板を
使用した。また、各試験条件とその良否判定は次のとお
りとした。まず、スパッタ発生量の調査は前述の補集箱
を用い、補集箱内部に板厚20mm、幅50mm、長さ
450mmの鋼板を立てて、板厚面を電流180A、溶
接速度150mm/minで下向溶接を行い、判定基準
は1.3g/min未満を良好、1.3〜2.1g/m
inをやや劣る、2.2g/min以上を劣るとした。
また、X線透過試験は板厚20mm、幅300mm、長
さ500mm、60°V開先の鋼板を電流180Aで下
向溶接を行い、判定はJIS Z 3104に基づき等
級で表わした。生産性の調査では溶接棒約100kgを
製造し、塗装または乾燥工程において、溶接棒に偏心が
なく、被覆に傷、ヘコミ、われがないものを良品とし、
製造した全溶接棒に対する良品の割合を生産歩留とし
た。その判定方法は歩留99.0%以上を良好の○印、
97.0%以上99.0%未満をやや劣るの△印とし、
97.0%未満を劣るの×印とした。
0mmの軟鋼心線を被覆塗装し乾燥して作製したものを
使用し、溶接性能試験では交流溶接機を用い、軟鋼板を
使用した。また、各試験条件とその良否判定は次のとお
りとした。まず、スパッタ発生量の調査は前述の補集箱
を用い、補集箱内部に板厚20mm、幅50mm、長さ
450mmの鋼板を立てて、板厚面を電流180A、溶
接速度150mm/minで下向溶接を行い、判定基準
は1.3g/min未満を良好、1.3〜2.1g/m
inをやや劣る、2.2g/min以上を劣るとした。
また、X線透過試験は板厚20mm、幅300mm、長
さ500mm、60°V開先の鋼板を電流180Aで下
向溶接を行い、判定はJIS Z 3104に基づき等
級で表わした。生産性の調査では溶接棒約100kgを
製造し、塗装または乾燥工程において、溶接棒に偏心が
なく、被覆に傷、ヘコミ、われがないものを良品とし、
製造した全溶接棒に対する良品の割合を生産歩留とし
た。その判定方法は歩留99.0%以上を良好の○印、
97.0%以上99.0%未満をやや劣るの△印とし、
97.0%未満を劣るの×印とした。
【0024】さらに、これら性能調査の他に各溶接姿勢
のアーク状態、スラグ状態、ビード外観などの溶接作業
性も同時に調査した。その判定方法は良好を○印、やや
劣るを△印、劣るを×印とした。
のアーク状態、スラグ状態、ビード外観などの溶接作業
性も同時に調査した。その判定方法は良好を○印、やや
劣るを△印、劣るを×印とした。
【0025】溶接棒No.1〜No.15は本発明例で
あり、人造珪灰石と天然珪灰石の添加量が適正で、かつ
人造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が適度であるた
めにアークの安定性が良くスパッタの発生量が極めて少
なく、X線性能や生産性が良好で、他の溶接作業性も満
足するものであった。
あり、人造珪灰石と天然珪灰石の添加量が適正で、かつ
人造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が適度であるた
めにアークの安定性が良くスパッタの発生量が極めて少
なく、X線性能や生産性が良好で、他の溶接作業性も満
足するものであった。
【0026】溶接棒No.16〜No.30は比較例を
示すが、No.16は人造および天然珪灰石の添加量が
少ないので、スパッタが極めて多く発生した。No.1
7、No.20は天然珪灰石が過剰に添加されるのでス
パッタの飛散がやや多く、アークの安定性やビード外観
などの溶接作業性も劣化した。また、No.17では人
造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が大きいので被覆
剤の固着性が過度に高まり、塗装工程の被覆剤押し出し
時にその流動性が悪くなって偏心した溶接棒がやや多く
なり生産性の劣化を招いた。No.20は鉄粉が過剰に
添加されるため被覆筒が短絡し易くなり、極めて溶接作
業性が悪くなった。No.18とNo.26は人造およ
び天然珪灰石が適度に添加されるのでスパッタの発生量
は少なくなっているが、人造珪灰石量に対する天然珪灰
石量の比が大きいので、溶接棒が偏心し易くなり生産性
がやや悪くなった。No.19は珪灰石が添加されない
のでスパッタがかなり多く発生し、アークの安定性も悪
いのでスラグの流動性やビード外観が悪くなった。N
o.21、No.28、No.29では人造珪灰石の添
加量が多過ぎるのでアーク力が弱くなって溶接作業性の
悪化により溶接金属にスラグ巻込みブロホールが発生し
易くなりX線性能が悪くなった。また、これら溶接棒は
製造過程で被覆剤と固着剤が反応現象を生じ、被覆表面
にガスふくれが発生したり、被覆剤の固着性が悪くなる
ので乾燥工程で被覆われを生じ、生産性が悪くなり、N
o.29においては人造珪灰石量に対する天然珪灰石量
の比が小さいことも相まって生産性は極めて悪くなっ
た。No.22とNo.25は、人造および天然珪灰石
の添加量が適正なのでスパッタの発生量は少ないが、人
造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が小さ過ぎるので
被覆剤の固着性が悪く、被覆にヘコミや傷、われなどが
発生し良品の歩留が減少し生産性が低下した。No.2
3とNo.27は、人造珪灰石と天然珪灰石の併用がさ
れない例であり、単独使用では生産性の劣化を招いた
が、それぞれの珪灰石添加量が適正なのでスパッタの低
減は図れた。No.24とNo.30は人造珪灰石量に
対する天然珪灰石量の比が過大なために塗装時の被覆剤
の流動性が悪くなり溶接棒に偏心が多発し生産性が低下
し、No.30においては、鉄粉量の過剰添加により、
アーク力が弱過ぎるのでスラグの粘性が高くなりビード
外観が劣化した。
示すが、No.16は人造および天然珪灰石の添加量が
少ないので、スパッタが極めて多く発生した。No.1
7、No.20は天然珪灰石が過剰に添加されるのでス
パッタの飛散がやや多く、アークの安定性やビード外観
などの溶接作業性も劣化した。また、No.17では人
造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が大きいので被覆
剤の固着性が過度に高まり、塗装工程の被覆剤押し出し
時にその流動性が悪くなって偏心した溶接棒がやや多く
なり生産性の劣化を招いた。No.20は鉄粉が過剰に
添加されるため被覆筒が短絡し易くなり、極めて溶接作
業性が悪くなった。No.18とNo.26は人造およ
び天然珪灰石が適度に添加されるのでスパッタの発生量
は少なくなっているが、人造珪灰石量に対する天然珪灰
石量の比が大きいので、溶接棒が偏心し易くなり生産性
がやや悪くなった。No.19は珪灰石が添加されない
のでスパッタがかなり多く発生し、アークの安定性も悪
いのでスラグの流動性やビード外観が悪くなった。N
o.21、No.28、No.29では人造珪灰石の添
加量が多過ぎるのでアーク力が弱くなって溶接作業性の
悪化により溶接金属にスラグ巻込みブロホールが発生し
易くなりX線性能が悪くなった。また、これら溶接棒は
製造過程で被覆剤と固着剤が反応現象を生じ、被覆表面
にガスふくれが発生したり、被覆剤の固着性が悪くなる
ので乾燥工程で被覆われを生じ、生産性が悪くなり、N
o.29においては人造珪灰石量に対する天然珪灰石量
の比が小さいことも相まって生産性は極めて悪くなっ
た。No.22とNo.25は、人造および天然珪灰石
の添加量が適正なのでスパッタの発生量は少ないが、人
造珪灰石量に対する天然珪灰石量の比が小さ過ぎるので
被覆剤の固着性が悪く、被覆にヘコミや傷、われなどが
発生し良品の歩留が減少し生産性が低下した。No.2
3とNo.27は、人造珪灰石と天然珪灰石の併用がさ
れない例であり、単独使用では生産性の劣化を招いた
が、それぞれの珪灰石添加量が適正なのでスパッタの低
減は図れた。No.24とNo.30は人造珪灰石量に
対する天然珪灰石量の比が過大なために塗装時の被覆剤
の流動性が悪くなり溶接棒に偏心が多発し生産性が低下
し、No.30においては、鉄粉量の過剰添加により、
アーク力が弱過ぎるのでスラグの粘性が高くなりビード
外観が劣化した。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明溶接棒は従
来の低水素系棒の欠点を克服し、アークの安定性を良好
にすることによりスパッタの発生を大幅に低減させ、良
好な生産性と溶接性能を確保できる溶接棒を提供でき、
溶接施工においては火災防止と溶接作業能率向上に大い
に貢献できる。
来の低水素系棒の欠点を克服し、アークの安定性を良好
にすることによりスパッタの発生を大幅に低減させ、良
好な生産性と溶接性能を確保できる溶接棒を提供でき、
溶接施工においては火災防止と溶接作業能率向上に大い
に貢献できる。
【図1】被覆剤中の人造および天然珪灰石の添加量と人
造珪灰石量に対する天然珪灰石の比がスパッタ発生量、
生産性および溶接性能に及ぼす影響を示す図である。
造珪灰石量に対する天然珪灰石の比がスパッタ発生量、
生産性および溶接性能に及ぼす影響を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 人造珪灰石が0.5〜5.5重量%、天
然珪灰石が0.3〜4.5重量%、人造珪灰石量に対す
る天然珪灰石量の比が0.3〜1.5であり、かつアー
ク安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、有機物、固着剤およ
び不可避不純物からなる被覆剤を用いて鋼心線に塗布し
てなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接棒。 - 【請求項2】 人造珪灰石が0.5〜5.5重量%、天
然珪灰石が0.3〜4.5重量%、人造珪灰石量に対す
る天然珪灰石量の比が0.3〜1.5であり、鉄粉が5
2重量%以下、アーク安定剤、スラグ生成剤、脱酸剤、
有機物、固着剤および不可避不純物からなる被覆剤を用
いて鋼心線に塗布したことを特徴とする低水素系被覆ア
ーク溶接棒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8460191A JPH07106469B2 (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 低水素系被覆アーク溶接棒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8460191A JPH07106469B2 (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 低水素系被覆アーク溶接棒 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04294892A JPH04294892A (ja) | 1992-10-19 |
JPH07106469B2 true JPH07106469B2 (ja) | 1995-11-15 |
Family
ID=13835205
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8460191A Expired - Lifetime JPH07106469B2 (ja) | 1991-03-25 | 1991-03-25 | 低水素系被覆アーク溶接棒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07106469B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108436325A (zh) * | 2018-03-21 | 2018-08-24 | 济南市热力工程公司 | 一种低尘低氢电焊条及其制备方法 |
CN115821150B (zh) * | 2022-12-15 | 2024-04-09 | 盐城市联鑫钢铁有限公司 | 一种避免焊条钢h08a气泡缺陷的控制方法 |
-
1991
- 1991-03-25 JP JP8460191A patent/JPH07106469B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04294892A (ja) | 1992-10-19 |
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Legal Events
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A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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