JPH07103650A - 塗装品乾燥炉の運転制御方法 - Google Patents

塗装品乾燥炉の運転制御方法

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JPH07103650A
JPH07103650A JP26821593A JP26821593A JPH07103650A JP H07103650 A JPH07103650 A JP H07103650A JP 26821593 A JP26821593 A JP 26821593A JP 26821593 A JP26821593 A JP 26821593A JP H07103650 A JPH07103650 A JP H07103650A
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英明 中所
Yasushige Hane
靖栄 羽根
Takashi Sakai
隆 坂井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】塗装された自動車ボディ等の乾燥炉1におい
て、第1の温度センサ11および第2の温度センサ12を輻
射加熱パネル4の区域の中央付近の位置および同区域の
炉入口寄りの位置に設け、輻射加熱用ファン5およびバ
ーナー6の運転をこれら温度センサの検出温度に基づい
て、次の場合には優先される温度センサの検出温度に基
づいて制御する方法。 1)第1、第2の温度センサのうちいずれかの検出温度が
設定された炉温の範囲の下限より下降した場合は、当該
温度センサが他の温度センサより優先され、 2)第1の温度センサ11の検出温度が設定された炉温の範
囲の上限を上回った場合は、第1の温度センサ11が第2
の温度センサ12より優先される。 【効果】塗装品が集団ごとに乾燥処理され、その間空炉
の状態が発生する場合であっても、乾燥不良の発生を有
効に防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗装品乾燥炉、特に塗
装された自動車ボディ等の表面塗膜の乾燥処理のために
使用されるところのオーブン、の運転を制御する方法に
関する。とりわけ、本発明は、かかる乾燥炉において、
所謂空炉時の運転から乾燥処理時の運転に移行するとき
の制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車工場においては、電着塗装又は静
電塗装された自動車ボディ等は、その後乾燥炉の中を通
過させ、その輻射加熱域とこれに続く対流加熱域とで夫
々加熱処理をなすことにより、その表面塗膜の乾燥処理
が行なわれている。
【0003】そして、適切な塗膜乾燥を達成するため
に、かかる乾燥炉については、通常、温度センサを例え
ば輻射加熱パネルの区域に(普通その中央の位置に)備
え、これにより検出された温度信号に基づいて、熱風循
環路におけるバーナーおよびファンの運転を制御するこ
とにより、輻射加熱パネルへの加熱空気の供給量や温度
を調節し、輻射加熱パネルの区域における温度が常に好
ましいとされる温度範囲内(例えば約200±5℃)に
保たれるようにするという運転制御が一般に行われてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の検出温
度に基づく運転制御がなされているにもかかわらず、従
来、塗装品に対する輻射加熱が不十分であることに因
る、焼き甘と呼ばれる乾燥不良が発生する場合があっ
た。かかる乾燥不良は、多数の塗装品が一連に続いて乾
燥炉内の通路を順次搬送されて処理される場合(所謂、
連続乾燥時)には、ほとんど発見されないが、処理され
るべき塗装品が乾燥炉内に存在しない所謂空炉の状態の
後、次の集団の塗装品が乾燥炉に搬送されて処理される
場合において、特にその次集団の列の先頭より2、3番
目までの塗装品について、ときどき見い出される。すな
わち、乾燥炉の輻射加熱用ファンおよびバーナーの運転
レベルが連続乾燥時における高いレベルにあるときに
は、乾燥不良は発生せず、これに対して、ファン等の運
転レベルが空炉の状態(経済性の面からレベル降下され
ている。)における低いレベルから乾燥処理時における
高いレベルに復帰するときには、乾燥不良が起きる。空
炉の状態は生産調整により塗装品の数を減少したときあ
るいは塗装品の製品仕様を新たなものに変更したとき等
において発生し、かつ、空炉時から乾燥処理時に移行す
るときには乾燥炉の運転レベルを上昇させるという制御
法が一般に採られることから、焼き甘と呼ばれる乾燥不
良が頻繁に生じる可能性がある。
【0005】本発明者は、かかる事情を考慮し、上記の
乾燥不良の発生を防止する方法を検討、研究することと
した。そして本発明者は、その研究過程で、空炉の状態
において、次の集団の塗装品が乾燥炉内に搬入されたと
きは、乾燥炉の内部の温度は炉全体にわたって均一には
保たれず、温度の高低分布がある程度(普通±20℃ぐ
らいの範囲で)生ずることを見出した。例えば、次の塗
装品の搬入時、輻射加熱パネルの区域のうちの炉入口寄
りの位置における温度は、同区域のうちの、温度センサ
が普通備えられるところの中央の位置における温度より
も、約10ないし20℃程度、より低くなることを見出
した。
【0006】従って、かかる事実から、上述の乾燥不良
(焼き甘)は、空炉時の運転から乾燥処理時の運転に移
行するとき、処理されるべき次の集団の塗装品が乾燥炉
の中に搬送され始めている段階で、たとえ輻射加熱パネ
ルの区域のうち中央の位置における温度は乾燥処理に適
する範囲の温度に維持されているとしても、同区域のう
ち炉入口寄りの位置における温度が乾燥処理をなすには
不十分な低い温度のままにあり、このために塗装品に対
する加熱が不十分となることを原因として、発生するも
のであると推量される。なお、このことから、温度セン
サの取付位置を輻射加熱パネルの区域のうちの中央の位
置から炉入口寄りの位置に移すという手段が着想される
が、温度センサの位置をそのように変更するとすれば、
炉入口寄りの位置における温度センサの検出温度に基づ
いてバーナーおよびファンの運転制御がなされることか
ら、輻射加熱パネルの区域における温度が全体としては
適度の範囲を超えた高い温度となりやすく、乾燥処理さ
れた塗装品について加熱過剰による乾燥不良がよく発生
するようになることが予測されるので、上記の手段は直
ちに採用することができない。
【0007】以上より、本発明の目的は、連続的に乾燥
処理される場合だけでなく、塗装品が集団ごとに乾燥処
理され、その間に空炉の状態が発生する場合であって
も、焼き甘等の乾燥不良の発生を有効に防止することが
でき、従って塗装された自動車ボディ等の塗装品の乾燥
処理において適度でかつ経済的な塗膜乾燥を達成するこ
とができるところの塗装品乾燥炉の運転制御方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも2
個の温度センサを塗装品乾燥炉に、特に輻射加熱パネル
の区域の中央付近の位置および炉入口寄りの位置にそれ
ぞれ設け、そして、これら温度センサの検出温度に基づ
いて、加熱空気を輻射加熱パネルに供給するところのバ
ーナーおよびファンの運転を制御することにより、輻射
加熱パネルの区域における炉温の調節を行なうという運
転制御方法に関する。
【0009】複数の温度センサを用いる運転制御におい
ては、各々の温度センサから得られた複数の検出温度の
うちいずれの検出温度に基づいて、バーナーおよびファ
ンの運転制御を行うかが問題となる。本発明の方法は、
この問題の一つの解決法を提案するものであり、乾燥炉
の運転制御を行うにあたって、「高レベルの運転が連続
してなされるときには、輻射加熱パネルの区域の全体に
おいて温度が適度の範囲内に維持されるとともに、その
後低レベルの運転となりそして再び高レベルの運転に復
帰するときには、塗装品が輻射加熱パネルの区域に進入
した時点で、輻射加熱パネルの区域のうちの炉入口寄り
の位置における温度がすでに適度の範囲内に保たれてい
る」ように、温度情報の提供源として優先される温度セ
ンサを決定するものである。
【0010】明確には、本発明による塗装品乾燥炉の運
転制御方法は、複数の温度センサを塗装品乾燥炉に、少
なくとも第1の温度センサを輻射加熱パネルの区域の中
央付近の位置にまた第2の温度センサを同パネルの区域
の炉入口寄りの位置に設け、そして、これら温度センサ
の検出温度に基づいてバーナーおよびファンの運転を制
御することにより、輻射加熱パネルの区域における炉温
の調節を行なう方法であって、 1)第1および第2の温度センサのうちいずれかの温度セ
ンサの検出温度が設定された炉温の範囲の下限より下降
した場合には、当該温度センサが他の温度センサより優
先され、その後、当該温度センサの検出温度が設定され
た炉温の範囲の下限を上回るまでの間においては、当該
温度センサの検出温度に基づいてバーナーおよびファン
の運転制御を行ない、また、 2)第1の温度センサの検出温度が設定された炉温の範囲
の上限を上回った場合には、第1の温度センサが第2の
温度センサより優先され、第1の温度センサの検出温度
に基づいてバーナーおよびファンの運転制御を行なうこ
とを特徴とするものである。
【0011】本発明に使用される第1の温度センサおよ
び第2の温度センサとしては、室温ぐらいの温度から対
象とする塗装品の乾燥処理に適する温度領域までの範囲
にわたって計測可能な温度センサが適用され、例えば、
電着塗装された自動車ボディ等の乾燥処理のための炉に
あっては、室温より約250℃ぐらいまでの範囲にわた
って鋭敏に感応するところの温度センサが適する。
【0012】
【作用】本発明においては、設けられた複数の温度セン
サ、特に第1および第2の温度センサの検出温度が設定
された炉温の範囲(例えば200±5℃の範囲)内にあ
る場合は、これら温度センサの検出温度、特に輻射加熱
パネルの区域の中央付近における第1の温度センサの検
出温度に基づいてバーナーおよびファンの運転制御がな
され、そして、第1および第2の温度センサのうちいず
れかの温度センサの検出温度が設定された炉温の範囲の
下限より下降した場合には、検出温度がそのように下降
したところの温度センサの検出温度に基づいて、即ち該
温度センサを他の温度センサよりも優先させて、バーナ
ーおよびファンの運転制御がなされる。そして、後者の
場合における制御は、その後、当該温度センサの検出温
度が設定された炉温の範囲の下限を上回るまでの間、続
けられる。
【0013】従って、かかる運転制御により、輻射加熱
パネルの区域における炉温は常に、同区域の中央付近の
位置においてもまた同区域の炉入口寄りの位置において
も、輻射加熱による乾燥処理に適する温度に維持される
ように調節される。したがって、例えば数多くの塗装品
が連続して乾燥炉に搬送されるような場合(連続乾燥
時)であっても、各塗装品に対して適温の輻射加熱を行
なうことができ、適切な乾燥処理が達成され得る。
【0014】また、上述の運転制御は、特に、ある集団
の塗装品の乾燥処理が終了し空炉の状態となりその後次
の集団の塗装品が到来して乾燥処理を行なう場合におい
て、以下に述べるように意義のあるものである。一つの
塗装品集団の乾燥処理が終了し空炉の状態となったと
き、熱を奪う塗装品が乾燥炉内に存在しないことから、
第1の温度センサの検出温度に基づいて、ファンおよび
バーナーの運転レベルを低下するような運転制御がなさ
れる。その後、次の集団の塗装品が乾燥炉に到来し、炉
内に進入したとき、その塗装品により熱が奪われること
から、輻射加熱パネルの区域の炉入口寄りの所における
炉温は低下し、従って、第2の温度センサの検出温度も
下降する。この時点にでは、輻射加熱パネルの区域の中
央付近については未だ炉温の低下が起きておらず、第1
の温度センサの検出温度もまだ従前のままである。そし
てその後、炉入口寄りの位置における温度低下より少し
遅れて、輻射加熱パネルの区域の中央付近における炉温
は低下し、従って、第1の温度センサの検出温度も下降
する。このように、第2の温度センサの検出温度は第1
の温度センサの検出温度よりも先に、設定された炉温の
範囲の下限より下降するが、本発明では、第2の温度セ
ンサの検出温度が設定された炉温の範囲の下限より下降
した時点で、優先される温度センサが第1の温度センサ
より第2の温度センサに替わり、その後は第2の温度セ
ンサの検出温度に基づいて運転制御がなされ、これによ
り、ファンおよびバーナーの運転レベルは急速に高めら
れる。そして、かかる運転レベルの上昇は、その後第2
の温度センサの検出温度が設定された炉温の範囲の下限
を上回るまでの間、続けられる。なお、第2の温度セン
サの検出温度が設定炉温の範囲の下限を上回った後は、
第1の温度センサの検出温度に基づく運転制御に戻る。
従って、次の塗装品集団が輻射加熱パネルの区域に進入
したとき、その進入によって同区域の炉入口寄りの位置
における温度が一時的に降下したとしても、その温度を
直ちに(次の塗装品が炉入口付近に存在するうちに)乾
燥処理に適する炉温の範囲内に復帰することができ、よ
って、その次集団の塗装品の列の先頭の塗装品から、適
温の輻射加熱を満足に行なうことができ、その集団の各
塗装品について適切な乾燥処理を達成することができ
る。したがって、乾燥処理時の運転から空炉時の運転を
経て再び乾燥処理時の運転に戻るというプロセスが頻繁
になされるとしても、乾燥処理された塗装品について、
焼き甘等の欠陥が発生しない。
【0015】その上、本発明においては、第1の温度セ
ンサの検出温度が設定された炉温の範囲の上限を上回っ
た場合には、第1の温度センサの検出温度に基づいて、
バーナーおよびファンの運転レベルを下げるような制御
がなされる。かかる運転制御は常に第1の温度センサを
第2の温度センサより優先させるものであり、空炉の状
態を経て次の集団の塗装品が乾燥炉内に進入したときで
あって、第2の温度センサの検出温度に基づいて、バー
ナーおよびファンの運転レベルを上げるような運転制御
がなされている過程においても、第1の温度センサの検
出温度が設定された炉温の範囲の上限を上回ったときに
は、直ちに第1の温度センサの検出温度に基づく運転制
御に変換され、輻射加熱パネルの区域における過剰な温
度上昇が防止されるのである。従って、塗装品に対する
過剰な輻射加熱が抑制され、加熱過剰による乾燥不良品
の発生を防止することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を、その実施例を図面により説
明することにより、より明確なものとする。図1は、自
動車工場における、電着塗装された自動車ボディ等の乾
燥処理を行なうための塗装品乾燥炉1を示す。この乾燥
炉1は、輻射加熱域2とこれに続く対流加熱域3とより
構成され、輻射加熱域2においては、輻射加熱パネル4
を炉内の左右の側壁などに設けるとともに、ファン5お
よびバーナー6を炉外に設置し、そして、これらを接続
して一つの循環路7を形成して成り、バーナー6の燃焼
により生じた加熱空気をファン5の回転により循環路7
中に循環させて加熱パネル4に連続的に供給することに
より、電着塗装された自動車ボディ等、炉内の通路14
を搬送される塗装品10に対して輻射加熱をなし、その
表面塗膜の初期の乾燥処理を行ない得るようになってい
る。図中、矢印fはパネル4内の加熱空気の流れを示
す。また一方、対流加熱域3においては、輻射加熱され
た塗装品に対してその後対流加熱により完全な塗膜乾燥
をなし得る構造となっている。
【0017】また、輻射加熱パネル4の区域における上
記の運転の制御装置としては、ファン5にはインバータ
制御器8、バーナー6には弁開度コントロールモータ9
がそれぞれ備えられており、制御器8はファン5の回転
数の制御を行ない、また、モータ9は燃料をバーナー6
に供給するところの弁の開閉度の制御を行ない得るもの
となっている。
【0018】本実施例においては、第1の温度センサ1
1を輻射加熱パネル4の区域の中央付近の位置に、そし
て第2の温度センサ12を同パネル4の区域の炉入口寄
りの位置にそれぞれ設けてなり、これらセンサ11およ
び12は各々検出した温度の信号pを温度制御器13に
出力する。温度制御器13は、インバータ制御器8およ
びコントロールモータ9と接続されており、温度センサ
11および12からの温度検出信号pを受けたとき、こ
れら温度センサ11、12の検出温度に対応する制御信
号qを制御器8およびモータ9に送る。そして、インバ
ータ制御器8およびコントロールモータ9は、入力され
た制御信号qの内容に基づいて、ファン5の回転数を増
加または減少し、またバーナー6の燃焼を強弱にする。
従って、かかる制御により輻射加熱パネル4への加熱空
気の供給量および温度が調節され、該パネル4の区域に
おける温度の高低制御が可能となっている。
【0019】そして、本実施例では、場合により特定の
温度センサが優先される以下のような運転制御が行われ
る構成となっている。 1)第1の温度センサ11および第2の温度センサ12の
検出温度がともに設定された炉温の範囲(例えば、20
0±5℃の範囲)内にある場合には、第1の温度センサ
11の検出温度に基づいてファン5およびバーナー6の
運転制御がなされる。 2)第1の温度センサ11の検出温度が設定された炉温の
範囲の下限より下降した場合には、第1の温度センサ1
1が優先され、その温度センサ11の検出温度に基づい
てファン5およびバーナー6の運転制御がなされ、そし
て、その運転制御は、その後温度センサ11の検出温度
が設定された炉温の範囲の下限を上回るまでの間、続け
られる。 3)第2の温度センサ12の検出温度が設定された炉温の
範囲の下限より下降した場合には、第2の温度センサ1
2が優先され、その温度センサ12の検出温度に基づい
てファン5およびバーナー6の運転制御がなされ、そし
て、その運転制御は、その後温度センサ12の検出温度
が設定された炉温の範囲の下限を上回るまでの間、続け
られる。 4)第1の温度センサ11の検出温度が設定された炉温の
範囲の上限を上回った場合には、第1の温度センサ11
が優先され、第1の温度センサ11の検出温度に基づい
て、ファン5およびバーナー6の運転制御がなされ、そ
してその運転制御は、その後温度センサ11の検出温度
が設定された炉温の範囲の上限より下降するまでの間、
続けられる。
【0020】次に、かかる構成よりなる乾燥炉1におけ
る、輻射加熱域2についての運転制御方法を説明する。
第1の温度センサ11および第2の温度センサ12の検
出温度が設定された炉温の範囲内にある場合は、第1の
温度センサ11の検出温度に基づいてファン5およびバ
ーナー6の運転制御がなされ、そして、これら温度セン
サ11、12のうちいずれかの温度センサの検出温度が
設定された炉温の範囲の下限より下降した場合には、検
出温度がそのように下降したところの温度センサの検出
温度に基づいて、その後その検出温度が設定された炉温
の範囲の下限を上回るまでの間、ファン5およびバーナ
ー6の運転レベルを高めるような運転制御がなされる。
また、第1の温度センサ11の検出温度が設定された炉
温の範囲の上限を上回った場合には、第1の温度センサ
11の検出温度に基づいて、ファン5およびバーナー6
の運転レベルを下げるような運転制御がなされる。従っ
て、輻射加熱パネル4の区域における炉温は、同区域4
の中央付近の位置においてもまた同区域4の炉入口寄り
の位置においても、常に、輻射加熱による乾燥処理に適
する温度に維持されるように調節される。したがって、
連続乾燥時において、各塗装品10に対して適温の輻射
加熱を行なうことができ、適切な乾燥処理が安定して達
成され、加熱過剰による乾燥不良品の発生も無かった。
【0021】また、ある集団の塗装品10・・の乾燥処
理が終了し空炉の状態となりその後次の集団の塗装品1
0・・が到来して乾燥処理を行なう場合においては、以
下のような運転制御がなされる。空炉の状態となったと
き、塗装品10が炉内に存在しないことから、ファン5
(またはファン5およびバーナー6)の運転レベルを下
げるような運転制御が、第1の温度センサの検出温度に
基づいて、なされる。その後、次の集団の塗装品10・
・が乾燥炉1に到来し、そして炉内に進入したとき、輻
射加熱パネル4の区域における炉温は、炉中央付近の位
置よりも炉入口寄りの位置から先に、次第に低下し始め
る。従って、図2に示すように、第1の温度センサの検
出温度曲線aよりも先に、第2の温度センサの検出温度
曲線bが設定された炉温の範囲の下限より下降する。よ
って、第2の温度センサの検出温度曲線bが設定された
炉温の範囲の下限より下降した時点で、優先される温度
センサが第1の温度センサ11から第2の温度センサ1
2に替わり、その後は第2の温度センサ12の検出温度
に基づいて、ファン5(またはファン5およびバーナー
6)の運転レベルを乾燥処理時における高いレベルにま
で急速に上げるような運転制御がなされる。そして、こ
の運転制御は第2の温度センサの検出温度曲線bが設定
された炉温の範囲の下限を上回るまでの間続けられ、そ
して検出温度曲線bが設定炉温の範囲の下限を上回った
後は、第1の温度センサ11の検出温度に基づく運転制
御に戻る。
【0022】従って、次の塗装品集団10・・が輻射加
熱パネル4の区域に進入したとき、同区域4の炉入口寄
りの位置における温度を、一時的な降下があったとして
も直ちに復帰せしめて、上記の設定炉温の範囲内に維持
することができる。したがって、次の塗装品集団の列の
先頭の塗装品から、適温の輻射加熱を満足に行なうこと
ができ、その集団の各塗装品10について適切な乾燥処
理をなすことができ、処理された塗装品について焼き甘
等の欠陥の発生は無かった。
【0023】また、図3に示すように、空炉の状態を経
て次の集団の塗装品10・・が乾燥炉1内に進入したと
きで、第2の温度センサ12の検出温度に基づいてファ
ン5(またはファン5およびバーナー6)の運転レベル
を上げるような運転制御がなされている過程において、
もしも、第1の温度センサ11の検出温度曲線aが設定
された炉温の範囲の上限を上回ったときには、直ちに第
1の温度センサ11の検出温度に基づく運転制御に変換
される。その後、温度センサ11の検出温度に基づい
て、ファン5(またはファン5およびバーナー6)の運
転レベルを下げるような運転制御が、検出温度曲線aが
設定炉温の範囲の上限より下降するまでの間なされる。
従って、輻射加熱パネル4の区域における過剰な温度上
昇をひき起こさず、過剰加熱による不良品の発生も防止
することができた。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の運転制御
方法によれば、連続乾燥時の場合はもちろんのこと、塗
装品が集団ごとに乾燥処理される場合(空炉の状態が発
生する場合)においても、焼き甘等の乾燥不良の発生を
有効に防止することができ、従って、電着塗装された自
動車ボディ等の乾燥処理において適度でかつ経済的な塗
膜乾燥を達成することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の運転制御方法の実施に適する塗装品乾
燥炉、特に輻射加熱パネルの区域についての構成をを示
す図である。
【図2】図1の乾燥炉の輻射加熱パネルの区域の運転に
関して、その制御方法を説明する図である。
【図3】図1の乾燥炉の輻射加熱パネルの区域の運転に
関して、その制御方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 塗装品乾燥炉 2 輻射加熱域 3 対流加熱域 4 輻射加熱パネル 5 ファン 6 バーナー 7 循環路 8 インバータ制御器 9 コントロールモータ 10 塗装された自動車ボディ 11 第1の温度センサ 12 第2の温度センサ 13 温度制御器 f 加熱空気の流れ p 温度検出信号 q 制御信号 a 第1の温度センサの検出温度曲線 b 第2の温度センサの検出温度曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B05C 9/14

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の温度センサを塗装品乾燥炉に、少
    なくとも第1の温度センサを輻射加熱パネルの区域の中
    央付近の位置にまた第2の温度センサを同パネルの区域
    の炉入口寄りの位置に設け、そして、これら温度センサ
    の検出温度に基づいてバーナーおよびファンの運転を制
    御することにより、輻射加熱パネルの区域における炉温
    の調節を行なう方法であって、 1)第1および第2の温度センサのうちいずれかの温度セ
    ンサの検出温度が設定された炉温の範囲の下限より下降
    した場合には、当該温度センサが他の温度センサより優
    先され、その後、当該温度センサの検出温度が設定され
    た炉温の範囲の下限を上回るまでの間においては、当該
    温度センサの検出温度に基づいてバーナーおよびファン
    の運転制御を行ない、また、 2)第1の温度センサの検出温度が設定された炉温の範囲
    の上限を上回った場合には、第1の温度センサが第2の
    温度センサより優先され、第1の温度センサの検出温度
    に基づいてバーナーおよびファンの運転制御を行なうこ
    とを特徴とする塗装品乾燥炉の運転制御方法。
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