JPH0710317B2 - ミシン駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ミシンと該ミシンを駆動するための電動機
と、該電動機を制御する制御装置とを備えた工業用ミシ
ンの駆動装置に関し、特にそのプログラム縫製時の補正
縫い装置に係る。

従来例の構成とその問題点 第１図はプログラム縫製の可能な工業用ミシンの概略の
構成を示したもので、１はミシン本体、２はミシン台、
３はミシンペダル、４はミシン本体１を駆動するための
電動機、５はミシン本体１の針位置及び回転数を検出す
る検出装置、７は縫い目数設定器、６はミシンペダル３
と検出装置５の状態を比較し、設定器７により設定され
たプログラムに従って電動機４を制御する制御装置を示
す。

以下プログラムによる縫製（以下プログラム縫製と呼
ぶ）について、ポケットの取り付けを例にとって説明す
る。

第２図はポケットの取り付けを示したものである。図か
らわかるようにポケットの取り付けはＩからIVに示す４
つの工程からなりたっている。

プログラム縫製でこのポケット付けを行なうには、この
４つの工程のそれぞれの縫い目数をあらかじめ設定して
おき、ミシンペダルの操作によりミシンが設定された縫
い目数縫製を行なって自動的に停止するという動作をく
り返すことで行なわれる。

このそれぞれの工程は通常定寸縫いと呼ばれるもので、
一定の寸法を縫製する工程である。

ところが以上の説明からわかるように、プログラム縫製
では定寸縫い目数の設定、つまり定縫い目数という方法
で行なっているため、布送り等のバラツキにより定めら
れた縫い目より長くなったり短くなったりする可能性が
ある。

第３図〜第５図はそのようすを示したもので、同じＮ縫
い目の定寸縫いを行ないながら第３図は正常に仕上った
場合、第４図の（イ）は短く仕上った場合、第５図
（イ）は長く仕上った場合を表わしている。

短く仕上った場合、あるいは長く仕上った場合正常な仕
上りにするために補正縫いというものが通常行なわれ
る。

第４図，第５図の（ロ）はそのようすを示したもので、
破線で示すＨは補正縫いを示すものである。

従来、この補正縫いを行なうには、補正縫い用として準
備されたスイッチを手で操作することで行なわれてき
た。

ところが、この作業は作業者にムダな動作を強いるだけ
でなく、時間的ロスも大きく、プログラム縫製を行なう
にあたっての、ひとつのネックとなっていた。

発明の目的 本発明は、前記定寸縫い時の補正縫いをスイッチ操作に
よらず、ミシンペダルの操作あるいはそれに類する信号
で行なうことでより使い易い、プログラム縫製可能な工
業用ミシンを提供するものである。

発明の構成 本発明は前記目的を達成するため、制御装置内に定寸縫
い終了でセットされ、ミシンペダルあるいはそれに類す
る駆動信号の停止信号でリセットされるフリップフロッ
プを設け、該フリップフロップ出力でミシンを低速駆動
することにより補正縫いを行なうものであり、また定寸
縫い終了を確認するため、制御装置内に前記フリップフ
ロップで動作を開始するタイマー回路を設け、該タイマ
ー回路が動作している間はミシンを停止させることも可
能とした。

実施例の説明 以下本発明のタイマー回路が有る場合の一実施例を第６
図，第７図に従い説明する。

第６図において、１はミシン本体、２はミシン台、３は
ミシンペダル、４はミシン本体を駆動する電動機、５は
ミシン本体１の回転数・針位置を検出する検出装置、６
はミシンペダル1,検出装置5,後述する設定器７の状態に
応じ電動機４を制御する制御装置、７はプログラム縫製
時の縫い目数の設定器を表わす。

また制御装置６内部の、60は検出装置５の針位置信号を
カウントするカウンタ、61はカウンタ60と後述する設定
回路62のデータを比較し出力を出す比較回路、62は設定
器７の設定状態を読み込み動作に応じた設定値を比較回
路61に出力する設定回路、63は比較回路61の出力のエッ
ジでセットされ、後述するペダル信号回路65の駆動信号
のエッジでリセットされるRSフリップフロップ、64はRS
フリップフロップ63の出力で動作するタイマー回路、65
はミシンペダル３の動作を受け駆動信号及び速度設定信
号を出力するペダル信号回路、66はタイマー回路64とペ
ダル信号回路65の駆動信号のANDを出力するAND回路、67
はRSフリップフロップ63の出力によりペダル信号回路65
の速度設定信号を低電圧にするトランジスタ回路、68は
ペダル信号回路65の速度信号,AND回路66の出力，検出装
置５の出力，比較回路61の出力を受け電動機４を制御す
る制御回路を表わす。

第７図は、第６図における回路の動作状態を示したもの
で、ａは検出装置５からの針位置信号、ｂは比較回路61
からの出力信号、ｃは比較回路61からのもうひとつの出
力信号、ｄはRSフリップフロップ63の出力信号、ｅはタ
イマー回路64の出力信号、ｆはペダル信号回路65の速度
設定信号、ｇはペダル信号回路65の駆動信号、ｈはAND
回路66の出力をそれぞれ表わしている。なお出力はすべ
てHIGH能動として表わしている。

電源ON時、図示されないリセット回路によりカウンタ60
は初期状態（カウント０の状態）,RSフリップフロップ6
3はリセット状態となり同時に設定回路62は設定器７に
よる設定のうち、第１の設定値（ここでは仮りにN1縫い
目とする）を出力する。

この状態でミシンペダル３を駆動方向へ操作すると、駆
動信号ｇが「HIGH」となり同時にミシンペダル３の操作
量に応じた速度設定信号ｆが出力される。この時、タイ
マー回路64の出力ｅは「HIGH」を出力しており、AND回
路66の出力は「HIGH」となる。制御回路68はAND回路66
の出力が「HIGH」状態にある時、検出装置５の出力を受
けながら速度設定信号の電圧に応じた回転数で電動機４
を駆動するよう動作するので、ミシンはミシンペダル３
の操作量に応じた回転数で縫製を開始する。ミシンの回
転に伴い検出装置５は針位置信号ａを出力し、カウンタ
60はその信号をカウントしていく。

比較回路61は、前述のカウンタ60の出力と設定回路62の
設定値（現在の所、N1となっている）を比較し、カウン
タ60の出力が設定値−ｋ（現在はN1-k）となった段階で
出力信号ｂを出力し、カウンタ60の出力が設定値（現在
はN1）と一致した段階でもうひとつの出力信号Ｃを出力
する。

出力信号ｂは制御回路68に入力され、電動機４の回転速
度つまりミシン１の縫製速度をある程度以下に抑えるよ
う制御回路68を動作させる。（この動作は、設定値通り
の縫い目数でミシンを正確に止めるため、従来より一般
的に行なわれてきた方法であり、回路についての説明は
省略する）出力信号ｃはRSフリップフロップ63のセット
信号として入力され、RSフリップフロップ63の出力ｄは
「HIGH」状態となる。

この出力ｄを受けタイマー回路64は動作を開始し、出力
ｅを設定された時間ｔだけ「LOW」状態に保つ。

出力ｅが「LOW」の間、AND回路の出力ｈは「LOW」とな
るため、制御回路68は電動機４を停止、つまりミシン１
を停止させる（通常のミシンでは針下もしくは針上に定
位置停止させる）。タイマー回路64の出力ｅは設定時間
ｔ経過後再び「HIGH」になるが、この時、ミシンペダル
３がひきつづき駆動状態、つまりペダル回路65の駆動信
号ｇが「HIGH」状態にあればAND回路66の出力ｈは再度
「HIGH」状態になり制御回路68は電動機４を駆動状態つ
まりキシン１を駆動状態にする。

ただし、この時、ペダル回路65の速度設定信号ｈはトラ
ンジスタ回路により低電圧に保持されているため、電動
機４は低速回転することになる。次にミシンペダル３を
停止状態にすればペダル回路65の駆動信号ｇは「LOW」
となり、RSフリップフロップ63をリセットする。これに
よりRSフリップフロップ63の出力ｄは「LOW」となり、
カウンタ60の初期化及び設定回路62の設定更新（第７図
ではN2として表わしている）が行なわれる。

再度、ミシンペダル３を駆動状態にすれば前述の動作に
従い第２工程の縫製を行なう。

以上の動作をミシン動作として説明すれば次のようにな
る。

ミシンペダルを駆動状態にすれば、ミシンは縫製を開始
し、予め設定された第１の縫い目数だけ縫製を行ない停
止する。この時、ミシンペダルがひきつづき駆動状態に
あればタイマーで決められた時間経過後ミシンは低速で
縫製を行なう。（つまりこれが補正縫いとなる。） ミシンペダルを停止状態にし再度駆動状態にすれば次工
程の縫製を開始する。なおこの停止状態中に従来例で示
したように図示されない補正縫い用スイッチを操作する
ことで補正縫いを行なうことも考えられる。

発明の効果 以上の説明からも明らかなように本発明は、ペダル操作
のみで補正縫いを行なうことができ、作業能率の向上を
計るとともにプログラム縫製をより実用的なものにする
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はプログラム縫製の可能な工業用ミシンの概略の
構成図、第２図〜第５図はポケット部の縫製例を示す説
明図、第６図は本発明によるミシン駆動装置の１実施例
を示すブロック図、第７図は同装置における各部の出力
波形図である。 １……ミシン本体、３……ミシンペダル、４……電動
機、５……検出装置、６……制御装置、７……設定器、
60……カウンタ、61……比較回路、62……設定回路、63
……フリップフロップ、64……タイマー回路、65……ペ
ダル信号回路、68……制御回路。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ミシンを駆動するための電動機と、前記ミ
   シンの回転数及び針位置を検出する検出装置と、縫い目
   数を設定する設定器と、ミシンペダルの操作あるいはそ
   れに類する駆動信号を受け、その信号状態と前記検出装
   置及び前記設定器の状態を比較し、前記電動機を制御す
   る制御装置とより成り、前記制御装置は、前記検出装置
   の針位置信号をカウントするカウンタと、前記設定器の
   設定状態を出力する設定回路と、前記カウンタと前記設
   定回路の出力を比較する比較回路と、該比較回路の出力
   でセットされ前記駆動信号でリセットされるフリップフ
   ロップとを備え、前記フリップフロップの出力状態によ
   り前記電動機の回転数制御及び前記カウンタの初期化，
   前記設定回路の設定更新を行なうようにしたミシン駆動
   装置。
2. 【請求項２】制御装置は、フリップフロップ出力で駆動
   されるタイマー回路を備え、該タイマー回路出力で電動
   機を停止させる特許請求の範囲第１項記載のミシン駆動
   装置。