JPH07102541A - 管状導水構造物および防波堤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 湾外側より湾内側へ向かって貫通孔に流入し
た波が逆流して湾外側に戻ってしまうことを防止できる
管状導水構造物および防波堤を提供する。 【構成】 管状の導水構造物１における内部の貫通孔２
の下部に堰形状の仕切部３を形成し、この管状導水構造
物１を、波浪４に対向して配置された防波堤５に埋め込
み、湾外６側より湾内７側へ向かう横方向に配置する。
湾外６側からの波浪４は防波堤５の貫通孔２に流入し
て、貫通孔２内において堰形状の仕切部３側に流れ、波
浪４は仕切部３を乗り越える。したがって、この後に、
湾外６側の波浪４が谷部となって湾外６側の水位が低下
した際でも、管状導水構造物１の貫通孔２に流れ込んだ
波浪４は堰形状の仕切部３により逆流が阻止され、湾外
６側の波は湾内７側に良好に導びかれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、管状導水構造物および
防波堤に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、港湾などにおいては防波堤が
築堤されており、この防波堤に囲まれて閉鎖的水域が形
成されている。この閉鎖的水域においては海水の流通性
が乏しいために湾内側の海水が汚濁される問題があっ
た。この問題を解消するものとして、前面壁が波浪に対
向して配置されている防波堤において、湾外側より湾内
側へ向かう横方向に均一流路断面積で貫通する複数の貫
通孔を設けたものがある。この防波堤によれば貫通孔を
通して湾内に海水が流入して、湾外の水域と湾内の閉鎖
的水域との間に交流が生じ、湾内の閉鎖的水域における
汚濁を防止することができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来構成の防波堤によれば、貫通孔が均一流路断面積で形
成されているため、湾外の波が山部であった際に貫通孔
に一旦流入した後、湾外の波が谷部となった際に湾外側
が低水位となるために逆流して湾外側に戻ってしまい、
湾内に波が導かれないために良好に交流が生じないこと
があった。

【０００４】本発明は上記問題を解決するもので、湾外
側より湾内側へ向かって貫通孔に流入した波が逆流して
湾外側に戻ってしまうことを防止できる管状導水構造物
および防波堤を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に本発明の管状導水構造物は、湾外側より湾内側へ向か
う横方向に配置される管状の導水構造物であって、管内
の貫通孔の下部に堰形状の仕切部が形成されたものであ
る。

【０００６】また、本発明の防波堤は、湾外側より湾内
側へ向かう横方向に貫通する貫通孔が形成され、この貫
通孔の下部に堰形状の仕切部が形成されたものである。

【０００７】

【作用】上記構成の管状導水構造物または防波堤によ
り、湾外側より貫通孔に流入した波は貫通孔内において
堰形状の仕切部を越えて一旦流れ込むと、湾外側の波が
谷部となって湾外側の水位が低下した際でも流れ込んだ
波は堰形状の仕切部によりその逆流が阻止され、この結
果、貫通孔に流入した波の逆流が軽減されて湾外側の波
は湾内側に良好に導びかれる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図１の（ａ）において、１は管状の導水構造物で、
内部の貫通孔２の下部には堰形状の仕切部３が形成され
ている。この管状導水構造物１は、たとえば図３に示す
ように、波浪４に対向して配置された防波堤５に埋め込
まれ、湾外６側より湾内７側へ向かう横方向に配置され
る。

【０００９】図１の（ａ）に示すように、管状導水構造
物１における仕切部３には、湾外６側の部分に湾内７側
ほど高くなるスロープ部３ａが形成されている。一方、
仕切部３の湾内７側の部分は垂直面とされている。管状
導水構造物１の断面形状は、図２に示すように、角形
状、丸形状、三角形状、台形状などのいずれの形状でも
よく、いずれの管状導水構造物１においても内部の貫通
孔２の下部に堰形状の仕切部３が形成されている。この
実施例においては、仕切部３は管状導水構造物１の貫通
孔２における湾外６寄りに設けられている。

【００１０】図３に示す防波堤５においては、管状導水
構造物１が最低水位に対応する高さと最高水位に対応す
る高さとの上下２段に設けられている。ここで、図×に
おいて、８はコンクリート壁、９はコンクリート壁８と
管状導水構造物１の外部との間に充填されている砂であ
る。

【００１１】上記構成により、湾外６側からの波浪４は
防波堤５の貫通孔２に流入して、貫通孔２内において堰
形状の仕切部３側に流れる。この際に、仕切部３には湾
内７側ほど高くなるスロープ部３ａが形成されているた
め、波浪４は容易にスロープ部３ａ上をはい上がって仕
切部３を乗り越えることができる。したがって、この後
に、湾外６側の波浪４が谷部となって湾外６側の水位が
低下した際でも、管状導水構造物１の貫通孔２に流れ込
んだ波浪４は堰形状の仕切部３により逆流が阻止され、
湾外６側の波は湾内７側に良好に導びかれる。この結
果、貫通孔２に流入した波浪４の逆流が軽減されて貫通
孔２を通して湾外６側の水域と湾内７側の閉鎖的水域と
の間に交流が生じ、湾内７側の閉鎖的水域における汚濁
が防止される。

【００１２】なお、図１の（ｂ），（ｃ）に示すよう
に、管状導水構造物１における仕切部３の断面形状を四
角形状としたり、円弧形状としてもよい。また、管状導
水構造物１における仕切部３の位置は特に限定されるも
のではないが、上記のように、管状導水構造物１の貫通
孔２における湾外６寄りに設けることにより、貫通孔２
に流入した波浪４がすぐに仕切部３を乗り越えることと
なり、貫通孔２の湾外６側開口と仕切部３との間の波浪
４の体積を最小限に抑えることができるので、逆流防止
効果が大きくなる。一方、管状導水構造物１における仕
切部３の位置を貫通孔２の湾内６寄りに設けることによ
り、波浪４の流れ方向が一定化して仕切部３を乗り越え
易くなり、仕切部３による波浪４の反射率をより低減す
ることができる。

【００１３】次に、図４は本発明の他の実施例にかかる
もので、この防波堤５はコンクリート１０製とされ、コ
ンクリート１０を流す枠体の内部に中子からなる内径枠
が配置されて形成され、コンクリート１０が硬化した後
に内径枠が取り外されて、貫通孔２および仕切部３が形
成される。この防波堤５によっても上記と同様な作用効
果が得られるとともに、製造工程の簡素化を図ることが
できる。

【００１４】なお、図５に示すように、防波堤５におけ
る波浪４が来ない水面下の箇所に仕切部３を有する貫通
孔２を設けてもよい。この場合には、波浪４が高い湾外
６側の水が、波浪４が低い湾内７側にその圧力差により
導かれる一方、湾外６側の波浪４が谷となって湾内７側
より低くなった時でも、湾外６側への逆流が堰形状の仕
切部３により軽減されることとなる。

【００１５】さらに、図６に示すように、管状導水構造
物１により形成した仕切部３を有する貫通孔２の通路
を、鉄管やヒューム管などの各種管１１で延長すること
も可能であり、管状導水構造物１を各種管１１と組み合
わせることも容易に行うことができる。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、湾外側よ
り湾内側へ向かう横方向に配置される管状の導水構造物
において管状内の貫通孔の下部に堰形状の仕切部を形成
したり、波浪に対向して配置される防波堤において湾外
側より湾内側へ向かう横方向に貫通する貫通孔を形成
し、この貫通孔の下部に堰形状の仕切部を形成したりす
ることにより、湾外側より貫通孔に流入した波が逆流す
ることが低減されて湾外側の波を湾内側に良好に導びく
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）〜（ｃ）はそれぞれ本発明の実施例にか
かる管状導水構造物の断面図である。

【図２】（ａ）〜（ｄ）はそれぞれ図１の（ａ）のＡ−
Ａ線断面図である。

【図３】本発明の一実施例にかかる防波堤の断面図であ
る。

【図４】本発明の他の実施例にかかる防波堤の断面図で
ある。

【図５】本発明の他の実施例にかかる防波堤の断面図で
ある。

【図６】本発明の他の実施例にかかる防波堤の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 管状導水構造物 ２ 貫通孔 ３ 仕切部 ３ａ スロープ部 ４ 波浪 ５ 防波堤 ６ 湾外 ７ 湾内 １１ 各種管

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 湾外側より湾内側へ向かう横方向に配置
   される管状の導水構造物であって、管状内の貫通孔の下
   部に堰形状の仕切部が形成されていることを特徴とする
   導水管。
2. 【請求項２】 波浪に対向して配置される防波堤であっ
   て、湾外側より湾内側へ向かう横方向に貫通する貫通孔
   が形成され、この貫通孔の下部に堰形状の仕切部が形成
   されていることを特徴とする防波堤。