JPH07100796A - 脆性材料板の孔あけ方法 - Google Patents

脆性材料板の孔あけ方法

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JPH07100796A
JPH07100796A JP24562693A JP24562693A JPH07100796A JP H07100796 A JPH07100796 A JP H07100796A JP 24562693 A JP24562693 A JP 24562693A JP 24562693 A JP24562693 A JP 24562693A JP H07100796 A JPH07100796 A JP H07100796A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型の装置を用いることなく、高歩止まりで
脆性材料板に貫通孔を形成できるようにすること。 【構成】 ダイス孔4aを有するダイス4と前記ダイス
孔4aと略同径のポンチ孔7aが形成された押え板7とを
用いて所定の圧縮力で脆性材料板6をその両面から挟ん
だ状態で、前記ポンチ孔7aに収容されたポンチ9を前
記ダイス孔4aに向けて押付けることにより、前記脆性
材料板6に貫通孔を形成する脆性材料板6の孔あけ方法
である。前記ポンチ9は、前記ダイス孔4a及びポンチ
孔7aの内径に嵌合する外形を有する被ガイド部分と、
その先端部に設けられた打抜き用先端部分とを有してい
る。前記打抜き用先端部分は先端に行くに従って外径が
縮小する形状を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業用、工芸用ガラス
又はファインセラミックス等の脆性材料板に貫通孔を形
成する方法、すなわち、脆性材料板の孔あけ方法に関す
る。本発明は、工業用、工芸用ガラスの孔あけ加工,フ
ァインセラミックスの孔あけ加工など硬脆材の様々な孔
あけに利用できる。
【0002】
【従来の技術】ガラスの孔あけ法については、タンガロ
イ製の二枚刃四枚刃を有する工具を用いる孔あけ、ダイ
ヤモンドリ−ルやビット等のダイヤモンド工具を用いる
孔あけ法などが広く用いられている。実用高強度ファイ
ンセラミックスの孔あけ法は上記のダイヤモンド工具を
用いる方法の他、超音波加工、アブレシブウオ−タ−ジ
ェット法、レ−ザ孔あけ法、電子ビ−ム加工法、マイク
ロ波加工法などのハイテク技術が採用されているが、そ
の加工は高価である。
【0003】プレス法を用いた機械的孔あけ法について
は、金属材料板の精密せん断孔あけ法に類する方法、す
なわち孔あけダイスを設置した厚板と押え板によって脆
性材料板(被穿孔板、被加工板)をはさみ、予圧縮を脆
性材料板の板に垂直方向に負荷しダイス孔とほぼ同径の
先端が平坦な角ポンチで被加工板を打ち抜く、せん断形
式の孔あけ法がガラスの孔あけ加工に試みられている
(機械学会論文集.S61−11.52巻483号 P
2967)。
【0004】この方法において0.7mmのガラスのプレ
ス法による孔あけをほぼ成功させるには400〜100
0Mpa(約40〜100Kgf/平方mm)程度の予圧
縮が必要であると決論されている。この予圧縮力は脆性
材料板(被加工板)が50×50mm寸法の平板とすると
100t以上要することになり、この予負荷装置は極め
て大型化する。この装置に加えて、ポンチ負荷用の装置
が併設されねばならないから、全体としてこの孔あけ法
による負荷装置は極めて大型、高価となる。
【0005】この方法に従って行った本発明者の実験結
果によると、予圧縮を40Kgf/平方mmとしても上述
の予圧縮過程において、ガラスに割れが入ることが度々
生じ、この割れを防ぐためには、装置の細心の注意を払
った芯出し、金属箔をガラスとダイス及び押え板に挿入
し、緩衝材として用いる事など極めて高度な熟練が要求
される。又孔あけ加工後のガラスの孔周辺部に強度を大
きく低下させる半径方向の微細な割れが度々導入されて
おり、理想的あるいは許容され得ると思われる孔加工の
歩止りは極めて低く明らかに1/3以下である。
【0006】高静水圧力を用いた孔あけ法については粘
塑性圧力媒体を利用したガラス板の孔あけ加工法(日本
機械学会論文集.S63−4 54巻500号 P98
4)がある。これは厚さ1mm以下のガラスを圧力容器内
に設置し、粘塑性高分子材の圧力を利用して、孔あけを
行うものであるが、圧力容器内での加工の為大型品の加
工が不可能に近いこと、原理的に一度に一個の孔しかあ
けられぬことなど実用上の制限が多く、実験室内の研究
にとどまっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】脆性材料板の孔あけを
ポンチと孔あけダイスを使って金属材料のプレスによる
孔あけ加工と同様の方法によって行う場合脆性材料板は
ポンチによる負荷によって主に半径方向の割れによって
破砕される。この半径方向の放射状の割れを抑えて孔あ
けを成功させる為には、金属材料の精密せん断加工法に
類する押え板によって脆性材料板(被加工板)内に生じ
る圧縮応力によってこの割れを極力抑えることが一つの
方策として考えられる。これが前述の高静水圧下におけ
るガラスの孔あけ法であるが、この従来の方法は精密せ
ん断打抜きと同じようにせん断変形による脆性材料板の
打抜きを意図し、先端が平坦なポンチが採用されてい
る。
【0008】このせん断打抜き負荷方法を採用すると、
極めて大きなポンチ荷重を要し、つれて放射状の割れの
主因となる孔周辺部での円周方向の引張応力が極めて高
くなる。この引張応力と相殺させるため、板に先の垂直
応力(予圧縮力)を増加させねばならず、これが又打抜
きのためのポンチ荷重の増加を招く。すなわち、所謂い
たちごっこの過程に陥る。このことはガラスの孔開けの
実験結果でも確認されており、40kgf/平方mmの予圧
縮力を加えても孔開けの成功率は低く、歩留りは悪い。
本発明者が行ったアルミナ板(1mm厚、孔径10mm)の
実験ではほぼ100%近くこの半径方向の割れが1,2
本導入される。この比較的大きな割れは脆性材料板(被
穿孔板)の実用上の使用を不可能にする。すなわち、従
来技術では、ファインセラミックス等の高強度硬脆性の
材料板の実用的な孔あけ加工は実用的観点から見ると不
可能に近いといえる。
【0009】本発明は前述の事情及び検討結果に鑑み、
下記(O1)の記載内容を課題とする。(O1) 大型の
装置を用いることなく、高歩止まりで脆性材料板に貫通
孔を形成できるようにすること。
【0010】
【課題を解決するための手段】次に、前記課題を解決す
るために案出した本出願の発明を説明するが、本発明の
構成要素には、後述の実施例の構成要素との対応を明か
にするため、実施例の構成要素の符号をカッコで囲んだ
ものを付記している。なお、本発明を後述の実施例の符
号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易に
するためであり、本発明の範囲を実施例に限定するため
ではない。
【0011】前記課題を解決するために、本出願の第1
発明の脆性材料板の孔あけ方法は、ダイス孔(4a)を
有するダイス(4)と前記ダイス孔(4a)と略同径の
ポンチ孔(7a)が形成された押え板(7)とを用いて
所定の圧縮力で脆性材料板(6)をその両面から挟んだ
状態で、前記ポンチ孔(7a)に収容されたポンチ
(9)を前記ダイス孔(4a)に向けて押付けることに
より、前記脆性材料板(6)に貫通孔を形成する脆性材
料板(6)の孔あけ方法において、下記の要件(A
1),(A2)を備えたことを特徴とする、(A1)前記
ポンチ(9)は、前記ダイス孔(4a)及びポンチ孔
(7a)の内径に嵌合する外形を有する被ガイド部分
と、その先端部に設けられた打抜き用先端部分とを有す
ること、(A2)前記打抜き用先端部分は先端に行くに
従って外径が縮小する形状を有し、その最先端は前記貫
通孔の中心部分に配置されたこと。
【0012】また、本出願の第2発明の脆性材料板
(6)の孔あけ方法は、前記第1発明の脆性材料板
(6)の孔あけ方法において、下記の要件(A3)を有
することを特徴とする、(A3)前記打抜き用先端部分
の形状は、その外径が連続的に縮小していること。
【0013】なお、本発明の脆性材料板(6)の孔あけ
方法は、前記第1または2発明の脆性材料板(6)の孔
あけ方法において、下記の要件(A4)を有することが
できる。(A4)前記打抜き用先端部分の外径が連続的
に縮小する部分は、外側に膨らんだ形状を有すること。
【0014】また、本出願の脆性材料板(6)の孔あけ
方法は、前記第1または2発明のいずれかの脆性材料板
(6)の孔あけ方法において、下記の要件(A5)を有
することができる。(A5)前記脆性材料板(6)の両
面と前記ダイス(4)及び押え板(7)との間に緩衝用
シートを配置すること。
【0015】前記脆性材料板(6)としてはガラス及び
ファインセラミックなどを使用することができる。ま
た、前記ダイス(4)は、ダイス孔(4a)を有する厚
板により構成される。前記脆性材料板(6)は、前記ダ
イス(4)及びダイス(4)のダイス孔(4a)とほぼ
同径の貫通孔を有する押え板(7)とで孔あけしようと
する部分の周辺を圧縮力が5.0〜30Kg/平方mmに
達するまで圧縮変形予圧縮が加えられ、脆性材料板
(6)の孔をあけようとする円形部分の周辺が固定状態
にされる。前記ポンチ(9)としては、先端が前記孔あ
けしようとする円形部分の直径よりも小さなポンチ
(9)が用いられる。また、前記ポンチ(9)として
は、先端にゆるやかな曲率面(曲率半径の大きな面)を
有する擬丸ポンチを使用することが好ましい。
【0016】前記脆性材料板(6)の表面仕上あるいは
押え板(7)、ダイス(4)の表面仕上げは均一である
ことが必要である。前記脆性材料板(6)を挟む押え板
(7)、ダイス(4)の表面が研削加工により均一に形
成されていると、押え板(7)及びダイス(4)により
脆性材料板(6)を直接挟んだ状態で、脆性材料板
(6)に半径方向の割れを生じさせずに孔あけすること
が可能である。前記押え板(7)、ダイス(4)の表面
が十分均一でない場合には、所定の厚みの銅箔、アルミ
箔ないし高分子材料膜を脆性材料板(被穿孔板)(6)
の上下面に緩衝材として配する必要がある。前記脆性材
料板(6)の反り又は凹凸の許容範囲は10〜50μ程
度の厚みの銅箔、アルミ箔ないし高分分子材料膜を被穿
孔板の上下面に緩衝材として配した状態で上述の5.0
Kgf/平方mmの予圧縮で脆性材料板(6)に割れが発
生しない程度に均一な状態(凹凸の無い状態)が必要で
ある。また、押え板(7)、ダイス孔(4a)を有する
厚板の表面仕上げも、前記割れが発生しない程度の仕上
げでよく、必ずしも最高級の研削を要しない。
【0017】
【作用】次に、前述の特徴を備えた本発明の作用を説明
する。前述の特徴を備えた本出願の第1発明の脆性材料
板(6)の孔あけ方法は、ダイス孔(4a)を有するダ
イス(4)と前記ダイス孔(4a)と略同径のポンチ孔
(7a)が形成された押え板(7)とを用いて所定の圧
縮力で脆性材料板(6)をその両面から挟んだ状態(予
圧縮した状態)で、前記ポンチ孔(7a)に収容された
ポンチ(9)を前記ダイス孔(4a)に向けて押付け
る。前述のように脆性材料板(6)を予圧縮した状態で
は、脆性材料板(6)の円周方向に生じる応力の値が小
さくなり、割れを押さえることができる。前記圧縮応力
の値としては、脆性材料板(被加工板)(6)の孔部周
辺(すなわちダイス孔(4a)周辺)での支持条件が材
料力学や弾性論でいわれる周辺固定の条件(孔部周辺で
変位0、たわみ角0)が達成されると思われる比較的低
い圧縮応力(30Kgf/平方mm以下)で十分である。
【0018】前記ポンチ(9)は、前記ダイス孔(4
a)及びポンチ孔(7a)の内径に嵌合する外形を有する
被ガイド部分と、その先端部に設けられた打抜き用先端
部分とを有しており、前記打抜き用先端部分は先端に行
くに従って外径が縮小する形状を有している。このた
め、前記脆性材料板(6)の孔あけをしようとする円形
部分の中央部分(すなわち、ポンチ(9)の前記打ち抜
き用先端部と脆性材料板(6)との接触部分)には、準
静的あるいは衝撃的な力を負荷することができる。前記
力の負荷により、脆性材料板(被穿孔板)(6)とダイ
ス孔(4a)が接して形成する円を底面とし、ポンチ
(9)先端部と被穿孔板の接触部を頂点とする円錐部分
が最初に陥没する。そして、脆性材料板(6)の孔あけ
しようとする部分の中央部にほぼ円錐形の貫通孔が形成
される。この陥没孔をあけるに要する荷重は、剪断型の
平頭ポンチの際の荷重のおよそ1/10程度である。す
なわち、小さな荷重で脆性材料板(6)に孔をあけるこ
とができる。
【0019】つづいて前記ポンチ(9)をさらに押し込
むことによって徐々に前記陥没貫通孔の径が拡大し、孔
があけられる。このとき、前記最初にあいた円錐形の貫
通孔は、上面から負荷され、徐々に粉砕されてその径が
拡大されながら大きくなる。前記孔径がダイス径の70
〜80パーセントに達すると、半径方向の垂直応力σr
によって、前記円錐底面に円形の割れが入る。このよう
に前記中央部の陥没孔を拡大させながら徐々に孔径を拡
大することによって、孔の周辺部での円周方向、半径方
向の応力値は前記剪断変形を用いておこなう従来の孔あ
け法での応力値の半分以下となり、半径方向の放射状割
れをほぼ完全に押さえることができる。
【0020】前述のようにして孔あけされた脆性材料板
(6)の孔は荒仕上げ貫通孔であり、この荒仕上げ貫通
孔の孔あけ完了後、ダイヤモンドビット等で精密な寸法
加工が行われる。孔あけ可能な直径(ダイス径)Dは、
脆性材料板(6)の厚みをtとすると1.5≦D/t≦
50を満すものである。
【0021】次に、前記本発明による中央部近傍に負荷
をかけて中央部に最初に陥没孔を形成して貫通孔とする
孔あけ法(TYPE1)を、従来の平頭ポンチを用いて
行う剪断タイプの孔あけ法(TYPE2)と比較しなが
ら、本発明の作用をさらに詳しく説明する。図1Aは前
記TYPE1(本発明の孔あけ法)に対応する力学的モ
デル、図1Bは前記TYPE2(従来の孔あけ法)に対
応する力学的モデルである。ここで、脆性材料板(被穿
孔板)(6)の孔あけ部分(円形部分)の周辺Aの支持
条件は材料力学や弾性論でいう周辺固定の状態であると
し、座標系を図1Aのようにとる。これらのモデルにお
ける応力状態は弾性論によって与えられており、TYP
E1(中央陥没型孔あけ法)では、ポンチ(9)の負荷
によって最大応力σmaxは孔の中央下面で生じ、σr、σ
eを各々半径方向r、円周方向e(通常はθを用いると
ころであるが、θの小さな字体がないので、θの代わり
にeを用いることにする)の応力とすると、次式(1)で
表される。
【0022】
【数1】 ここで、ν:ポアソン比、a:中央部の負荷領域の半
径、Ro:ダイス孔(4a)の半径、P:ポンチ(9)荷
重、であり、式(1)中の(σr),(σe)の添え字oは
中心を表す。また、ポンチ(9)による負荷によって脆
性材料板(被穿孔板)(6)全体に割れが伝播すること
の目安となるr=Ro(周辺)でのσr及びσeの値は各
々次式(2),(3)で与えられる。
【数2】
【数3】
【0023】一方、剪断型のTYPE2(従来の孔あけ
法)においては、σmax(以下、「σm」とも記載する)
はr=Ro(周辺)のσrで生じ、次式(4),(5)で与えら
れる。
【数4】
【数5】
【0024】図2A,2Bは、前述のTYPE1及びT
YPE2のプレス孔あけ法により、図3A、3Bに示す
ダイス孔(4a)径10mmのダイス(4)、前記ダイス
孔(4a)と略同径のポンチ孔(7a)が形成された押え
板(7)、およびポンチ(9)を用い、厚さ1mmのアル
ミナ板(脆性材料板(6))に孔あけを行う実験によっ
て得たポンチ(9)荷重とその変位の関係を示す図であ
る。中央陥没型のTYPE1の場合、ポンチ(9)によ
る負荷によって最高荷重の1/3〜1/5の荷重(点C
参照)でピンという小さな破壊音を発して中央部に数本
の放射状の割れが生じる。この割れは極めて小さなもの
で、式(2)によって予知されるものである。一方従来の
剪断型のTYPE2のときには、比較的低い荷重で割れ
が入るが、その荷重点はTYPE1ほど明瞭ではなく、
半径方向(放射状)の割れとダイス孔(4a)に沿う円
周方向の割れから成っている。これら双方の微細割れは
脆性材料板(6)の破砕に至るものではなく、双方とも
になおポンチ(9)の負荷に耐えて荷重は上昇し、最高
荷重点に達する。
【0025】この最高荷重点でTYPE1の場合には中
央部に円錐状の陥没孔を生じる(図3A)。一方TYP
E2の場合には最高荷重点で極めて大きな破壊音を発し
て、孔全面に渡って破砕陥没し(図3B)孔あけが終わ
る。前記最高荷重をTYPE1、TYPE2について各
々、P1m、P2mとする。荷重PがP1m,P2mをとるとき
のσmaxの値をσmとし、このσmを脆性材料板(6)の
破損強度とする。P1m,P2mは前記式(1),(4)より次式
(6),(7)で表される。
【数6】
【数7】 前記式(6),(7)よりP1m,P2mの比として次式
(8)を得る。
【数8】
【0026】いま、ν=0.25、a/Ro=0.1、b
/Ro=0.8とすると、P2m/P1mの値は8.0、b/
Ro=0.9とすると、P2m/P1mの値は15.2とな
る。すなわち、従来の剪断型孔あけ法を用いると、本発
明の中央陥没型孔あけ法の孔あけ荷重の大略10倍、又
はそれ以上の荷重が必要となる。
【0027】一方、孔あけ加工の際、孔あけの成否を決
める放射状割れの主因となるr=Roでのσeの値の比を
求めると次式(9)となる。
【数9】 ここで、〔(σe)Ro〕の添字1と2は各々中央陥没
型、剪断型孔あけ法に対応するものである。前記式
(9)で(a/Ro)=0.1とおくと、この比はν=
0.25として約2.9となる。すなわち、剪断型孔あけ
法における(σe)Roの値は陥没型孔あけ法のそれの約
3倍となり、プレスによる孔あけの際、放射状割れ(半
径方向の割れ)が導入され易い状況になることを示唆す
る。
【0028】表1にダイス孔(4a)径10mm、板厚1.
0mmと0.63mmのアルミナ板の孔あけ加工の際の陥没
時の荷重P1mとP2mの値、及び孔周辺(r=Ro)での
σeの値、〔(σe)Ro〕1と〔(σe)Ro〕2の値の実験
結果を示す。
【表1】 ここで、予圧縮力は6.5〜9.0Kgf/平方m、剪断
型孔あけの際のb/Ro=0.81、中央陥没型孔あけの
際のa/Ro=約0.1に設定した。1mm厚、0.63mm
厚の場合のP2m/P1mの値は表1より各々大略7.2,
9.6、又〔(σe)Ro〕2/〔(σe)Ro〕1の値は各々
2.6,3.5となっており、式(8),(9)から得ら
れる計算結果とほぼ一致している。
【0029】アルミナ板の引張強度は16〜20Kgf
/mm2程度であるから、表1を参照すると、中央陥没孔
あけ法では〔(σe)Ro〕1の実験値はこの値を十分下回
っており、ほぼ理想的孔あけが可能であることを示唆し
ている。一方、剪断型孔あけ法では〔(σe)Ro〕2の値
は引張強度値を上回っており、この大きなσeの値によ
って放射状割れがダイス(4)の孔径を越えて大きく板
内に伝播する可能性を示す。これらのことは、一連の孔
あけ加工後の脆性材料板(被穿孔板)(6)の浸透液を
用いた観察で確認されている。
【0030】以上のTYPE1及びTYPE2の説明か
ら分かるように、TYPE1とTYPE2との大きな差
はポンチ(9)先端部の形状である。図4Aのように、
先端に比較的鋭い頂角を持つポンチ(9)を用いる場合
と図4Bのように先端が鈍い曲率面を持つポンチ(9)
を用いる場合を考えると、中央に陥没貫通孔が生じるま
での力学的挙動は両者ほぼ同様であるが、陥没後の孔径
拡大の際の力学的挙動には差異がある。すなわち、図4
Aの場合、脆性材料板(被穿孔板)(6)とポンチ
(9)の接触点でポンチ(9)が陥没孔の内面をこすり
ながら降下するから、ポンチ(9)に著しい磨耗が生じ
ることが多く、再利用が難しくなる。一方、図4Bの場
合、鈍い曲率面を持つポンチ(9)では陥没孔の拡張は
主にポンチ(9)の下向きの力によってなされ、ポンチ
(9)がき傷つくおそれは少ない。
【0031】少量生産の場合には図4Aの方法を採用す
ることが可能であるが、多量生産の場合には、中央部付
近に負荷することを考慮して、ポンチ(9)先端部の形
状として図5A、5Bのようなものを採用するのが有利
である。図5A,5Bにおいて、ポンチ(9)先端部の
曲率面の半径Rはポンチ(9)径をDとして、大略R=
(2〜10)Dの範囲で選択することが好ましい。ま
た、図5Bのような先端が平坦なポンチでは、平坦部の
直径dは、大略d=D/3以下とするのが好ましい。し
かしながら、これらの寸法は、脆性材料板(被穿孔板)
(6)の強度、弾性率等に依存するものであり、また、
曲率の精密な加工を必要とするものではない。
【0032】
【実施例】次に図面を参照しながら、本発明の脆性材料
板の孔あけ方法の実施例を説明するが、本発明は以下の
実施例に限定されるものではない。
【0033】(実施例1)図6は本発明の実施例1の脆
性材料板の孔あけ方法の説明図で、図6Aは脆性材料板
の孔あけ方法を実施する装置の要部の平断面図で後述の
図6BのVIA−VIA線断面図、図6Bは同装置の要部の
側断面図で前記図6AのVIB−VIB線断面図である。図
6A,6Bにおいて、プレス1は、従来公知のプレスで
あり、下方に配置された固定板2と上方に配置された可
動板3とを有している。プレス1の固定台2上には、ダ
イス孔4aを有するダイス4が載置されている。図6
A,6Bではダイス孔4aは1個だけ図示されている
が、ダイス孔4aの数は複数とすることが可能であり、
また、複数のダイス孔4aの内径の大きさも複数種類と
することが可能である。
【0034】ダイス4の上面には脆性材料板6が配置さ
れている。この脆性材料板6上面には、ポンチ孔7aを
有する押え板7が配置されている。押え板7のポンチ孔
7aは前記ダイス孔4aの数及び形状に応じて形成され
る。前記押え板7の上面にはポンチ孔8aを有する予圧
縮用の高弾性高分子材(予圧縮を加える手段)8が配置
されている。高弾性高分子材8のポンチ孔8aは前記ダ
イス孔4a及び前記ポンチ孔8aの数及び形状に応じて形
成される。前記押え板7及び高弾性高分子材8のポンチ
孔7a及び8a内にはポンチ9が配置されている。ポンチ
9の下面の形状は脆性材料板図5Aに示す形状と同様に
形成されている。ポンチ9の上面は高弾性高分子材8の
上面よりわずかに低い位置となっている。
【0035】この図6A,6Bに示す状態で、前記プレ
ス1の可動板3を下方に移動させると、高弾性高分子材
8が大きく圧縮変形し、最初に前記脆性材料板6に予圧
縮が加えられる。次に、ポンチ9上面は可動板3に接
し、下方に押圧される。このとき、ポンチ9の下面は脆
性材料板6に最初に陥没孔を形成したのち、その陥没孔
を拡大し、脆性材料板6の孔あけを行う。
【0036】(実施例2)図7は本発明の実施例2の脆
性材料板の孔あけ方法の説明図で、脆性材料板の孔あけ
方法を実施する装置の要部の側断面図である。なお、こ
の実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に
対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な
説明を省略する。図7において、下枠11と上枠12と
はボルト13により一体的に結合されている。前記上枠
12にはポンチ孔12aが形成されている。下枠11の
上面には固定台14が固定されている。この固定台14
に対して油圧又は空気圧により上下動可能な可動台16
が支持されている。可動台16の上面には前記実施例1
と同様のダイス孔4aを有するダイス4が載置されてい
る。
【0037】前記ダイス4の上面には脆性材料板6が配
置されている。この脆性材料板6上面には、ポンチ孔7
aを有する押え板7が配置されている。押え板7の上面
にはポンチ孔8aを有する高弾性高分子材8が配置され
ている。前記押え板7及び高弾性高分子材8のポンチ孔
7a及び8a並びに前記上枠12のポンチ孔12a内には
ポンチ9が配置されている。ポンチ9の下面の形状は脆
性材料板図5Aに示す形状と同様に形成されている。ま
た、ポンチ9の上面は前記ポンチ孔12aを貫通して上
枠12の上方に突出している。
【0038】この図7に示す状態は可動台16が上昇
し、可動台16と上枠12とによってダイス4、脆性材
料板6、押え板7、及び高弾性高分子材8が予圧縮され
た状態である。この図7に示す状態で、前記ポンチ9の
上面に落下荷重、又は他の押圧装置によって下向きの力
を作用させると、ポンチ9の下面は脆性材料板6に最初
に陥没孔を形成したのち、その陥没孔を拡大し、脆性材
料板6の孔あけを行う。
【0039】〔変更例〕以上、本発明の実施例を詳述し
たが、本発明は、前記実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内
で、種々の小設計変更を行うことが可能である。例え
ば、前記各実施例において、脆性材料板6の上又は下に
緩衝用シートを配置することが可能である。また、脆性
材料板6に予圧縮を加える手段としては、脆性材料板6
をその両面から所定の力で挟み付けることが可能な種々
の手段を採用することが可能であり、高弾性高分子材8
以外の弾性部材を用いたり、エアシリンダ又は液圧シリ
ンダ等の各種シリンダ装置等を用いることが可能であ
る。
【0040】
【発明の効果】前述の本発明の脆性材料板の孔あけ方
法、最初に脆性材料板の孔あけ部分の中央部に孔あけ部
分よりも小さな陥没孔を形成してからこその陥没孔を拡
大することにより孔あけを行うので、従来の脆性材料板
の孔あけ方法で採用されていた剪断型の孔あけ方法に比
較して小さな力で孔あけを行うことができる。このた
め、大型の装置を用いることなく、高歩止まりで脆性材
料板に同時に多数個の貫通孔を形成することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の作用説明図で、図1Aは前記
TYPE1(本発明の孔あけ法)に対応する力学的モデ
ル、図1Bは前記TYPE2(従来の孔あけ法)に対応
する力学的モデルである。
【図2】 図2はダイス孔径10mmのダイスを用い、厚
さ1mmのアルミナ板(脆性材料板)に孔あけを行う実験
によって得たポンチ荷重とその変位の関係を示す図で、
図2A、2Bはそれぞれ、前述のTYPE1及びTYP
E2のプレス孔あけ法に対応する図である。
【図3】 図3は脆性材料板にポンチ荷重を加えたとき
の状態を説明する図で、図3Aは本発明、図3Bは従来
例に対応する図である。
【図4】 図4は本発明の実施例の説明図で、図4A,
4Bはそれぞれポンチ先端形状の相違による作用の違い
を説明するための図である。
【図5】 図5はポンチ先端形状の好ましい形を示す図
であり、図5A,5Bはそれぞれ異なる好ましい形状を
示す図である。
【図6】 図6は本発明の実施例1の脆性材料板の孔あ
け方法の説明図で、図6Aは脆性材料板の孔あけ方法を
実施する装置の要部の平断面図で後述の図6BのVIA−
VIA線断面図、図6Bは同装置の要部の側断面図で前記
図6AのVIB−VIB線断面図である。
【図7】 図7は本発明の実施例2の脆性材料板の孔あ
け方法の説明図で、脆性材料板の孔あけ方法を実施する
装置の要部の側断面図である。
【符号の説明】
4…ダイス、4a…ダイス孔、6…脆性材料板、7…押
え板、7a…ポンチ孔、8…予圧縮を加える手段(高弾
性高分子材)、9…ポンチ、

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイス孔を有するダイスと前記ダイス孔
    と略同径のポンチ孔が形成された押え板とを用いて所定
    の圧縮力で脆性材料板をその両面から挟んだ状態で、前
    記ポンチ孔に収容されたポンチを前記ダイス孔に向けて
    押付けることにより、前記脆性材料板に貫通孔を形成す
    る脆性材料板の孔あけ方法において、 下記の要件(A1),(A2)を備えたことを特徴とする
    脆性材料板の孔あけ方法、(A1)前記ポンチは、前記
    ダイス孔及びポンチ孔の内径に嵌合する外形を有する被
    ガイド部分と、その先端部に設けられた打抜き用先端部
    分とを有すること、(A2)前記打抜き用先端部分は先
    端に行くに従って外径が縮小する形状を有し、その最先
    端は前記貫通孔の中心部分に配置されたこと。
  2. 【請求項2】 下記の要件(A3)を有することを特徴
    とする請求項1記載の脆性材料板の孔あけ方法、(A
    3)前記打抜き用先端部分の形状は、その外径が連続的
    に縮小していること。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103381624A (zh) * 2012-05-03 2013-11-06 江俊昇 易碎片状工作物的裁切方法及装置
JP2013233799A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Chun-Sheng Chiang 脆弱な薄片状の被加工物の切断方法およびその切断装置
CN105437388A (zh) * 2014-08-08 2016-03-30 江俊昇 对易碎板材施以冲压成型的方法及其装置

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