JPH07100361A - 複合粒子の製造方法 - Google Patents

複合粒子の製造方法

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JPH07100361A
JPH07100361A JP32570493A JP32570493A JPH07100361A JP H07100361 A JPH07100361 A JP H07100361A JP 32570493 A JP32570493 A JP 32570493A JP 32570493 A JP32570493 A JP 32570493A JP H07100361 A JPH07100361 A JP H07100361A
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浩司 志保
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征二 青谷
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智子 神代
Kiyoshi Kasai
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強度および耐熱性に優れ、被覆層が剥離や脱
落を起こし難く、被覆層成分が各種媒質中へ溶出や移行
することがなく、保存安定性にも優れ、常に安定した遮
光性、強磁性等を示す複合粒子を、効率的かつ容易に製
造する。 【構成】 複合粒子の製造方法は、コアとなる微粒子を
水系媒体中に分散した分散液中で、反応系のpHを1.
4以上4未満に制御しつつ、加水分解性第1鉄塩および
加水分解性第2鉄塩を溶液状態において加水分解させ、
該微粒子上に鉄化合物被覆層を形成し、引き続いて反応
系のpHを4以上10以下に上昇させることにより、該
鉄化合物被覆層を強磁性酸化鉄を有する被覆層に変換お
よび/または該鉄化合物被覆層上にさらに強磁性酸化鉄
を有する被覆層を形成させる工程を経る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コアとなる微粒子上に
シェルとなる強磁性酸化鉄を有する被覆層を形成させる
複合粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶ディスプレー(以下、「LC
D」という。)においては、基板間隙を規制し、液晶層
の厚みを適性に保つためにスペーサー粒子(以下、LC
D用スペーサー粒子を単に「スペーサー粒子」とい
う。)が用いられている。一般に、このようなスペーサ
ー粒子には、LCD基板アッセンブリー工程における
加圧加熱条件に耐えうる十分な強度と耐熱性を有するこ
と、基板間隙を均一に保持しうる狭い粒度分布を有す
ること、液晶成分に溶解せず、かつ金属イオン等の不
純物が少なく(好ましくは、粒子1個当たり10ppm
以下)、液晶の配向を乱さないこと等が求められてい
る。また、さらに最近では、特にカラー液晶パネルの
コントラスト向上等による画質の高品質化の観点から、
着色スペーサー粒子(以下、LCD用着色スペーサー粒
子を単に「着色スペーサー粒子」という。)が用いられ
るようになってきているが、この着色スペーサー粒子に
ついては、十分な遮光性を有することが強く求められて
おり、しかも液晶の注入等の液晶パネル製造工程や液
晶パネルの使用中に、着色成分等の構成材料が剥離や脱
落することがないこと等も必要とされている。特に、着
色スペーサー粒子等に使用される着色粒子は、(イ)無
色乃至白色の粒子を染色する方法、(ロ)着色剤を含む
モノマーを懸濁重合あるいは乳化重合して球形粒子を得
たのち、分級する方法、(ハ)ポリマーと着色剤とを混
練したのち、造粒、分級する方法等により製造されてい
る。しかしながら、従来の着色粒子の製造方法のうち、
前記(イ)の方法では、染料が粒子内部まで十分浸透せ
ず、色調が薄くて遮光性が不十分なものしか得られない
のみならず、染料が液晶成分中に溶出あるいは移行し
て、液晶の配向を乱すおそれがあり、また前記(ロ)お
よび(ハ)の方法では、基材粒子の構成成分との親和性
が無いか、あるいは乏しい着色剤が高濃度に分散される
ため、しばしば脆い粒子しか得ることができず、着色粒
子の構成材料が剥離したり脱落したりするおそれがある
のみならず、着色剤に起因して不純物の濃度を十分下げ
ることが困難である。したがって、従来の着色粒子の製
造方法では、前記〜等の諸条件を満足する着色スペ
ーサー粒子が効率よく提供されないという問題がある。
また近年、免疫測定法、殊に酵素免疫測定法において
は、抗原抗体反応の結果生じた抗原と抗体とが結合した
結合型と、抗原および抗体が結合していない遊離型とを
分離(即ちB/F分離)する効率的な方法として、磁性
粒子を利用する方法が提案されている。その磁性粒子の
製造方法として、例えば有機高分子材料からなるコア粒
子上に、第一鉄塩の酸化反応により、酸化鉄系のフェラ
イトからなる被覆層を形成する方法が知られている(例
えば特開平3−115862号公報参照)。しかしなが
ら、この磁性粒子は、フェライト被覆層が剥離したり脱
落したりしやすく、また長期保存下における安定性が低
い等の欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、強度
および耐熱性に優れ、被覆層が剥離や脱落を起こし難
く、被覆層成分が各種媒質中へ溶出や移行することがな
く、保存安定性に優れ、常に安定した遮光性、強磁性等
を示す複合粒子を効率よく、かつ安全に製造するための
複合粒子の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によると、前記課
題は、コアとなる微粒子を水系媒体中に分散した分散液
中で、反応系のpHを1.4以上4未満に制御しつつ、
加水分解性第1鉄塩(以下、「第1鉄塩」という。)お
よび加水分解性第2鉄塩(以下、「第2鉄塩」とい
う。)を溶液状態において加水分解させ、該微粒子上に
鉄化合物被覆層を形成し、引き続いて反応系のPHを4
以上10以下に上昇させることにより、該鉄化合物被覆
層を強磁性酸化鉄を有する被覆層に変換および/または
該鉄化合物被覆層上にさらに強磁性酸化鉄被覆層を形成
させることを特徴とする複合粒子の製造方法、によって
達成される。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。これによ
り、本発明の目的、構成および効果が明確になるであろ
う。本発明における複合粒子のコアとなる微粒子(以
下、「コア微粒子」という。)の材料としては、特に限
定されるものではないが、例えばガラス、シリカ、アル
ミニウム、チタン、鉄、ニッケル、銅、銀、金、ステン
レススチール、酸化鉄、フェライト、カーボンブラック
等の無機材料;エチレン、プロピレン等のオレフィンの
(共)重合体;スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族
ビニル化合物の(共)重合体;酢酸ビニル等のビニルエ
ステルの(共)重合体;アクリロニトリル等のシアン化
ビニル化合物の(共)重合体;メタクリル酸メチル等の
(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体;塩化ビニ
ル、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化ビニル化合
物の(共)重合体;ポリアセタール;ポリカーボネー
ト;ポリエステル;アルキド樹脂;不飽和ポリエステ
ル;ポリアリレート;ポリスルフィド;ポリスルホン;
ポリアミド(例えばナイロン−6、ナイロン−12
等);ポリイミド;ポリシロキサン;エポキシ樹脂;フ
ェノール樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナ
ミン樹脂;セルロース;アイオノマー等を使用すること
ができる。コア微粒子が有機高分子材料である場合は、
架橋構造を有することもできる。これらのコア微粒子
は、予め2種以上の材料を混練・混合後、造粒、分級し
た粒子でもよく、また異なる材料からなる2種以上の粒
子の混合物であることもできる。これらのコア微粒子の
色調は特に限定されない。
【0006】コア微粒子の調製方法としては、特に限定
されるものではないが、例えば転動造粒、流動層造粒、
撹拌造粒、解砕・粉砕造粒、圧縮造粒、押出造粒、溶融
造粒、混合造粒、噴霧冷却造粒、噴霧乾燥造粒、沈澱・
析出造粒、凍結乾燥造粒、懸濁凝集造粒、滴下冷却造粒
等の物理的造粒法;乳化重合、懸濁重合、沈澱重合等の
化学的造粒法等を、コア微粒子の材料に応じて適宜選択
して造粒し、分級する方法を挙げることができる。ま
た、コア微粒子が市販品として入手できる場合は、それ
を使用することもできる。
【0007】本発明に使用されるコア微粒子の粒径の範
囲は、通常、0.03〜50μm、好ましくは0.03
〜40μm、特に好ましくは0.08〜10μmであ
る。なお、これらのコア微粒子は、通常、球形状あるい
はほぼ球形状であるが、必ずしも対称形状とはいえない
場合の平均粒径は短軸径をとるものとする。
【0008】本発明においては、以上のようなコア微粒
子上にシェルとなる強磁性酸化鉄被覆層を以下の方法に
従って形成する。
【0009】まず、コア微粒子上に鉄化合物被覆層を設
ける。その方法は、基本的には、コア微粒子の均一な分
散液中で、第1鉄塩および第2鉄塩(以下、これらをま
とめて「鉄塩」という。)を、溶液状態において加水分
解させることからなる。この加水分解は、室温または加
熱下で容易に進行する。その結果、酸化鉄、水酸化鉄等
の鉄化合物からなる被覆層がコア微粒子上に形成され、
コア/シェル複合構造を有するものとなる。
【0010】前記第1鉄塩としては、例えばFeCl
等の塩化物;Fe(NO等の硝酸塩;FeSO
等の硫酸塩を挙げることができ、前記第2鉄塩としては
FeCl等の塩化鉄;Fe(NO等の硝酸鉄;
Fe(SO等の硫酸鉄を挙げることができる。
本発明においてはこれらの第1鉄塩と第2鉄塩とをそれ
ぞれ1種以上混合して使用することが必要である。
【0011】本発明における第1鉄塩と第2鉄塩との使
用割合([第1鉄塩]/[第2鉄塩])は、モル比で
0.01〜100、好ましくは0.1〜10である。第
1鉄塩と第2鉄塩との使用割合がこの範囲外であると、
得られる複合粒子が強磁性を示さなかったり、あるいは
被覆層に凹凸が生じたり、被覆層が形成されない場合が
ある。
【0012】加水分解反応における鉄塩の濃度は、通
常、0.1ミリモル/反応媒体1リットル以上、特に好
ましくは1ミリモル/反応媒体1リットル以上である。
鉄塩の上限濃度は、鉄塩が室温あるいは加熱下で反応媒
体中に完全に溶解でき、均一な加水分解反応を生じうる
限界であり、鉄塩や反応媒体の種類によって変わるが、
通常、1000ミリモル/反応媒体1リットル以下であ
る。
【0013】また、加水分解反応におけるコア微粒子の
濃度は、通常、0.01g/反応媒体1リットル以上、
特に好ましくは0.5g/反応媒体1リットル以上であ
る。コア微粒子の上限濃度は、コア微粒子および得られ
る複合粒子の均一な分散状態を維持できる限界であり、
通常、300g/反応媒体1リットル以下である。
【0014】加水分解反応における水系反応媒体として
は、水を主体とし、必要に応じて、例えばメタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類の如き
有機溶媒を併用する。特に好ましい反応媒体は、水単独
または水と飽和アルコールとの混合溶媒である。有機溶
媒を水と併用する場合は、水との混和性、混合溶媒への
各鉄塩の溶解性等を考慮して、各有機溶媒の使用量を適
宜調節する。
【0015】加水分解反応に際しては、鉄塩溶液中にお
けるコア微粒子および得られる複合粒子の分散状態を均
一に維持することが重要である。例えばコア微粒子の分
散状態が悪く、該微粒子が数個〜数百個凝集した固まり
となっては、そのまま鉄化合物で被覆されてしまい、均
一な複合粒子を得ることができず、また、得られた複合
粒子が反応媒体中で会合、凝集し、再分散できなくて
も、均一な複合粒子とすることができない。
【0016】コア微粒子および複合粒子の均一な分散状
態を維持するためには、鉄塩を含む反応媒体に可溶な高
分子化合物、界面活性剤等を、分散安定剤として反応媒
体中に添加することが好ましい。
【0017】このような分散安定剤としては、例えばカ
ルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ヒドロキシ
エチルセルロース、ポロアクリル酸ナトリウム、ポロエ
チレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン等の高分子化合物;ステアリン酸ナトリウム、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸
ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウ
ム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム
等の界面活性剤を挙げることができる。好ましい分散安
定剤は、ポリビニルピロリドン、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム等である。これらの分散安定剤は、高
分子化合物および界面活性剤それぞれについて、単独で
または2種以上を混合して使用することができ、また高
分子化合物と界面活性剤とを併用することもできる。
【0018】分散安定剤の使用量は、コア微粒子100
重量部に対して、好ましくは1重量部以上、さらに好ま
しくは3〜300重量部、特に好ましくは5〜250重
量部である。
【0019】本発明における鉄塩の加水分解反応によ
り、コア微粒子上に鉄化合物被覆層が形成されるメカニ
ズムは、基本的に2つある。その1つは、(i)加水分
解された鉄イオンおよび/または加水分解により生成し
た錯体が、コア微粒子表面に吸着されて被覆層を形成す
るメカニズムである。他の1つは、(ii)加水分解段
階を経て、鉄化合物の極めて小さい微小粒子からなる核
が反応初期に形成され、この微小粒子が、へテロ凝集機
構によってコア微粒子表面に吸着されることにより、被
覆層が成長するというメカニズムである。この後者のメ
カニズムでは、コア微粒子上に吸着される鉄化合物の微
小粒子の数と粒径とを調節することにより、被覆層の厚
みを制御することが可能となる。
【0020】前記2つのメカニズムのうち、(ii)へ
テロ凝集機構を経るメカニズムは、コア微粒子が電荷を
有する場合に支配的となる。例えば、鉄塩の加水分解反
応が、生成する鉄化合物の微小粒子の等電点以上のpH
で起こる場合は、コア微粒子に正電荷を持たせることに
より、該微小粒子が効率よく吸着される。また、鉄塩の
加水分解反応が、鉄化合物の微小粒子の等電点以下のp
Hで起こる場合は、コア微粒子に負電荷を持たせること
により、該微小粒子が効率よく吸着されることになる。
【0021】本発明において(ii)のメカニズムが採
用される場合は、コア微粒子表面にスルホン酸基、カル
ボキシル基等を導入して負電荷を持たせることが好まし
く、それにより、コア微粒子の分散性も改善される。
【0022】鉄化合物被覆層を形成する場合、鉄塩の加
水分解速度は速過ぎても遅過ぎても、被覆層の成長が円
滑に起こらず、その結果、鉄化合物被覆層に隙間や凹凸
が生じたり、さらには鉄化合物が被覆層に成長できず、
小粒子となって遊離する場合がある。したがって本発明
においては、鉄塩の加水分解反応の速度を調節するた
め、加水分解時の反応系のpHを1.4以上4未満、好
ましくは1.6以上3以下、特に好ましくは1.8以上
2.5以下に制御する。
【0023】鉄塩の加水分解時の反応系のpHは、酸お
よび/またはアルカリを添加することにより、1.4以
上4以下に調整されるが、この際に使用される酸として
は、例えば塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸、酢酸等の無機
酸または有機酸を挙げることができ、またアルカリとし
ては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カルシウム等のアルカリ金属の水酸化物およびアンモ
ニアを挙げることができる。本発明における鉄塩の加水
分解反応において、酸としては塩酸および硝酸が、また
アルカリとしては水酸化ナトリウムおよびアンモニアが
好ましい。これらの酸およびアルカリは、それぞれにつ
いて単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
き、また必要により、酸とアルカリとの両者を併用し
て、pHを微調整する。
【0024】これらの酸またはアルカリを反応媒体に添
加する場合、それらの使用量は、通常、1モル/反応媒
体1リットル以下であるが、好ましくは0.5モル/反
応媒体1リットル以下、特に好ましくは0.005〜
0.2モル/反応媒体1リットルである。
【0025】鉄塩を含む反応媒体は、通常、酸性を示
し、加水分解反応によりpHはさらに低下する。したが
って、(a)反応媒体中に尿素および/またはホルムア
ミドを添加しておき、それらの熱分解によるpHの上昇
を相殺するように、鉄塩および/または酸を逐次あるい
は連続的に添加する方法、(b)鉄塩を一括して、逐次
または連続的に添加し、鉄塩の加水分解によるpHの低
下を、アルカリの逐次添加または連続添加により相殺す
る方法、(c)これらの方法の組み合わせ等により、加
水分解時のpHを実質的に一定に維持することが好まし
い。このように逐次添加または連続添加される酸および
アルカリとしては、前記した反応系のpH調整に使用さ
れるものを挙げることができる。
【0026】上述のようにして、鉄塩の加水分解反応に
より形成される鉄化合物被覆層の厚さは、鉄塩の使用
量、反応時間等を制御することにより適宜に調節するこ
とができる。
【0027】また、鉄化合物被覆層の厚さおよび密度
は、鉄化合物被覆層を形成した複合粒子をシード粒子と
して、鉄塩の加水分解反応を繰り返すことにより大きく
することができる。
【0028】本発明においては、鉄化合物被覆層に強磁
性を付与または強磁性酸化鉄成分を増加させるために、
前記鉄化合物被覆層形成後、引き続いて反応系のpHを
4以上10以下、好ましくは4以上9以下、特に好まし
くは4.5以上9以下に上昇させる必要がある。ここで
pHを上昇させる方法としては、(a)アルカリを添加
する方法、(b)尿素および/またはホルムアルデヒド
を添加し、それらを熱分解させる方法、および(c)こ
れらの方法の組み合わせ等により、加水分解時のpHを
実質的に一定に維持することが望ましい。
【0029】この際に使用されるアルカリとしては前記
した反応系のpH調整に使用されるものを挙げることが
できる。なお、これらのアルカリを使用する場合のその
規定度は、通常、0.01〜10規定であり、好ましく
は0.05〜1規定である。
【0030】また、鉄化合物被覆層に強磁性酸化鉄成分
を増加させるために尿素および/またはホルムアミドを
使用する場合のそれらの使用量は、通常、1000g/
反応媒体1リットル以下であり、好ましくは200g/
反応媒体1リットル以下、特に好ましくは10〜100
g/反応媒体1リットルである。
【0031】このようにして形成された強磁性酸化鉄を
有する被覆層は、磁性を有するので、被覆層として例え
ばγ−Fe(赤褐色〜黒色)および/またはFe
(黒色)を有する複合粒子は、そのまま強磁性複
合粒子として使用することができる。
【0032】また所望により、前記したような鉄塩の加
水分解反応により、Feを生成したのち、空気雰
囲気中で、例えば150〜400℃に加熱して酸化する
ことにより、γ−Feに再変換することもでき
る。
【0033】このようにして得られる複合粒子は、強磁
性酸化鉄を有する被覆層がコア微粒子上に形成されたコ
ア/シェル複合構造を有するものである。この強磁性酸
化鉄を有する被覆層においては、前述した鉄化合物を強
磁性酸化鉄に変換する反応条件、複合粒子の鉄化合物被
覆層の性状等に応じて、(d)該被覆層中に含有される
鉄化合物の一部がランダムに強磁性酸化鉄に変換される
場合、(e)該被覆層中に含有される鉄化合物のすべて
が強磁性酸化鉄に変換される場合、(f)該複合粒子の
鉄化合物被覆層の外層部分に存在する鉄化合物のみが、
一部または全部、強磁性酸化鉄に変換される場合、
(g)該複合粒子の鉄化合物被覆層が強磁性酸化鉄を有
する被覆層によりさらに被覆される場合、あるいは
(h)これらが混在する場合がある。
【0034】前記したような複合粒子を製造する方法
は、所望の複合粒子の生成効率が高く、工業的に極めて
効率的かつ容易に実施することができる。
【0035】本発明により得られる複合粒子の平均粒径
は、コア微粒子の平均粒径、強磁性酸化鉄を有する被覆
層の厚さ等を調節することにより、適宜に設定すること
ができるが、通常、0.04〜50μm、好ましくは
0.04〜40μm、特に好ましくは0.1〜10μm
である。なお、これらの粒子は、通常、球形状あるいは
ほぼ球形状で得られるが、必ずしも対称形状とはいえな
い場合の平均粒径は、短軸径をとるものとする。
【0036】また、前記複合粒子の粒子径に対するコア
微粒子の粒子径の比(以下、「内径比」という。)は、
通常、0.3〜0.99であり、好ましくは0.5〜
0.99、特に好ましくは0.7〜0.99である。内
径比が0.3〜0.99の範囲外では、強磁性酸化鉄を
有する被覆層の厚さが厚過ぎるか薄過ぎるため、良好な
特性を有する粒子を効率よく製造することが困難な場合
がある。
【0037】本発明により得られる複合粒子は、例えば
水中に分散して超音波を当てても、もはや被覆層がコア
微粒子から剥離したり脱落することがないとともに、被
覆層成分が各種媒質中へ溶出あるいは移行するおそれが
なく、また保存安定性にも優れ、常に安定した遮光性、
磁性等を示すことができる。しかもコア微粒子本来の特
性が何ら損なわれることがないので、粒子全体としての
強度および耐熱性を、コア微粒子と同等の優れたものと
することができる。
【0038】本発明により得られる複合粒子は、電子材
料、磁性材料、光学材料、触媒、スペーサー粒子、カラ
ム充填材、現像剤用キャリヤー、診断薬用担体、隠蔽材
料、吸油剤、顔料、電波吸収体、ドラッグデリバリーシ
ステム、MRI診断用造影剤、細胞分離用担体、シール
ド剤、トナー、カラム充填剤等として好適に使用するこ
とができる。
【0039】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明は、その要旨を越えない限り、
これらの実施例に何ら制約されるものでない。 実施例1 平均粒径0.4μmのポリスチレン粒子25g、ポリビ
ニルピロリドン6g、1規定塩酸30ml、蒸留水81
0mlの混合物を2分間超音波処理したのち、95℃に
加熱した。次いで、塩化第2鉄6水和物0.20g、塩
化第1鉄4水和物0.10gおよび尿素6.0gを蒸留
水20mlに溶解した溶液を一度に添加した。このとき
の反応系のpHは1.6であった。1時間40分後に尿
素30gを蒸留水40mlに溶解した溶液と塩化第2鉄
6水和物15gおよび塩化第1鉄4水和物10gを蒸留
水100mlに溶解した溶液を、反応系のpHを2に制
御しつつ、4時間30分かけて添加し、鉄化合物被覆層
が形成された平均粒径0.48μmの粒子を得た。次い
で0.1規定NaOHを添加してpHを9に上昇させ、
その後1時間加熱した。室温まで冷却した後、得られた
粒子を水で洗浄し、60℃で12時間減圧乾燥した。こ
の粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径
が0.5μm、内径比が0.80で、均一な被覆層を有
する黒色、球状の複合粒子であった。また、この複合粒
子をX線回析およびオージェ分析装置により分析したと
ころ、コアがポリスチレン粒子、シェルがFe
らなる複合粒子であることが確認された。
【0040】実施例2 平均粒径0.4μmのポリスチレン粒子25g、ポリビ
ニルピロリドン6g、1規定塩酸30mlおよび蒸留水
810mlの混合物を2分間超音波処理した後、95℃
に加熱した。次いで、塩化第2鉄6水和物0.20g、
塩化第1鉄4水和物0.10gおよび尿素6.0gを蒸
留水20mlに溶解した溶液を一度に添加した。このと
きの反応系のpHは1.6であった。その1時間40分
後に尿素30gを蒸留水40mlに溶解した溶液と塩化
第2鉄6水和物15gおよび塩化第1鉄4水和物10g
を蒸留水100mlに溶解した溶液を反応系のpHを2
に制御しつつ、4時間30分かけて添加し、鉄化合物被
覆層が形成された平均粒径0.48μmの粒子を得た。
次いで、さらに尿素10gを水10mlに溶解した溶液
を添加して、pHを6以上に上昇させ、その後1時間加
熱した。室温まで冷却した後、得られた粒子を水で洗浄
し、60℃で12時間、減圧乾燥した。この粒子を走査
型電子顕微鏡で観察したところ、平均粒径が0.5μ
m、内径比が0.80で均一な被覆層を有する黒色、球
状の複合粒子であった。この複合粒子をX線回析、オー
ジェ分析装置により分析したところ、コアがポリスチレ
ン粒子、シェルがFeからなる複合粒子であるこ
とが確認できた。
【0041】
【発明の効果】本発明によると、強度および耐熱性に優
れ、被覆層が剥離や脱落を起こし難く、被覆層成分が各
種媒質中へ溶出したり移行したりすることがなく、保存
安定性に優れ、常に安定した遮光性能、強磁性等を示す
複合粒子を、工業的に極めて効率的かつ容易に製造する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠井 澄 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアとなる微粒子を水系媒体中に分散し
    た分散液中で、反応系のpHを1.4以上4未満に制御
    しつつ、加水分解性第1鉄塩および加水分解性第2鉄塩
    を溶液状態において加水分解させ、該微粒子上に鉄化合
    物被覆層を形成し、引き続いて反応系のPHを4以上1
    0以下に上昇させることにより、該鉄化合物被覆層を強
    磁性酸化鉄を有する被覆層に変換および/または該鉄化
    合物被覆層上にさらに強磁性酸化鉄を有する被覆層を形
    成させることを特徴とする複合粒子の製造方法。
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WO2011096230A1 (ja) * 2010-02-08 2011-08-11 学校法人慈恵大学 磁性粒子、及びその製造方法、並びに磁性粒子含有製剤

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