JP3042101B2 - 複合粒子および中空粒子の製造方法 - Google Patents

複合粒子および中空粒子の製造方法

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JP3042101B2
JP3042101B2 JP3308003A JP30800391A JP3042101B2 JP 3042101 B2 JP3042101 B2 JP 3042101B2 JP 3308003 A JP3308003 A JP 3308003A JP 30800391 A JP30800391 A JP 30800391A JP 3042101 B2 JP3042101 B2 JP 3042101B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子材料、導電材料、
磁性材料、触媒、医薬、診断薬等に好適に使用される複
合粒子の製造方法および光学材料、マイクロカプセル材
料、隠蔽材料、充填材料、導電材料、触媒等に使用でき
る中空粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】標準粒子、診断薬用担体粒子、滑剤等に
使用されている粒子として粒子径分布の狭い重合体粒子
等が用いられている。しかし、例えば標準粒子および滑
剤に用いる場合にはこの粒子の強度が弱い為、シアのか
かる、あるいは高温となる条件では、粒子が変形若しく
は崩壊するケースがあり、本来有する特性を生かせず、
使用範囲が非常に限られたものとなる。これらの欠点を
改善する為に、これに例えば架橋性単量体等を共重合さ
せ、高架橋体にする等の方法が提案されているが、基本
的に重合体である為にまだ充分ではない。また、診断薬
用、医薬用等に前記粒子が応用されているが、抗原や抗
体との親和性、生体適合性等に限界があり、その使用、
応用範囲等が限られるという欠点があった。
【0003】一方、電子材料、磁性材料、光学材料、耐
熱性材料、強度材料等のセラミック用途には、数多くの
種類の金属化合物粒子が使用されており、また、用途の
多用化、性能の多用化に応ずる為、種々の複合化粒子が
提案されている。例えば酸化鉄粒子にケイ素化合物を被
覆することにより、熱処理して針状の磁性体を製造する
際の形崩れや磁性体間の焼結を防止させようとするも
の、鉄粉に銅を被覆させ、粉末冶金材料としての強度を
上げようとするもの、あるいは黄色酸化鉄粒子にアンチ
モンおよびアルミニウム酸化物を被覆し、耐熱性を上げ
ようとするもの等が報告されている。しかし、これらの
ほとんどが金属化合物同士の複合粒子であって、用途の
多用化に充分対応できず、さらに種々の機能を発現させ
得る複合粒子の開発が特に電子材料、光学材料等で要求
されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述の通り、共重合体
粒子は非常に優れた性能を有するにもかかわらず、高分
子であるがゆえに耐熱性、強靱性、耐光性、耐摩耗性に
劣り、また生体適合性、粒子表面の抗原、抗体に対する
親和性のコントロールの幅も限られ、この粒子表面を金
属化合物で被覆した複合粒子のようなものの出現が期待
されていた。勿論、その他の重合体粒子の用途、たとえ
ば隠蔽材料、滑剤、カラム充填剤、標準粒子のような用
途でも、重合体とは異なる性能を持つ金属化合物での粒
子表面改質が望まれていた。
【0005】一方、電子材料、導電材料、磁性材料、光
学材料等の用途において、導電性のない物質からなるコ
ア粒子に導電性を有する物質を被覆した複合材料の開発
が望まれていた。
【0006】また、金属および金属化合物中空粒子が触
媒、マイクロカプセル等の用途に使用されようとしてい
るが、その粒子に磁性および導電性を持たせることが望
まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる実情
に鑑み、鋭意研究した結果、後述する製法によれば、前
記目的を達成する複合粒子または中空粒子が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、加水分解性鉄塩また
は加水分解性銅塩の水溶液中にコアとなる球状重合体粒
子を均一に分散せしめ、加水分解反応により該球状重合
体粒子上に均一な酸化鉄、塩基性炭酸銅または酸化銅の
被覆層を設け、必要に応じ酸化および/または還元処理
を施すことを特徴とする、(a)コアが重合体、(b)シェル
が金属鉄、酸化鉄、金属銅、酸化銅および塩基性炭酸銅
から選ばれる金属または金属化合物からなる球状重合体
−金属化合物複合粒子の製造方法を提供するものであ
る。
【0009】本発明は、また、(a)コアが重合体、(b)シ
ェルが金属鉄、酸化鉄、金属銅、酸化銅および塩基性炭
酸銅から選ばれる金属または金属化合物からなる球状重
合体−金属化合物複合粒子を加熱することにより、コア
の重合体を分解し、粒子内部に空孔を持たせ、必要に応
じ酸化および/または還元処理することを特徴とする中
空粒子の製造方法を提供するものである。
【0010】
【0011】
【0012】〔球状重合体−金属化合物複合粒子〕球状
重合体−金属化合物複合粒子について詳細な説明をす
る。コアの球状重合体粒子としては特に制限するもので
はないが、複合粒子の耐久性、耐摩耗性、耐熱性等が特
に優れたものにする場合、重量平均分子量が5000以
上のものが好ましく、5万以上のものがさらに好まし
い。場合によっては、コアの球状重合体粒子の重合時に
架橋性単量体を使用し、架橋させることもできる。ガラ
ス転移点(Tg)については、耐熱性、耐摩耗性等の点で
コアとなる共重合体のTgは、通常80℃以上、好ましく
は90℃以上である。
【0013】コアとなる重合体の組成についても何ら制
限されないが、耐久性、耐熱性等を複合粒子に期待する
場合は、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート
(共)重合体、ジビニルベンゼン(共)重合体および/
または塩化ビニリデン(共)重合体を主体とするものが
好ましい。これらの中では、スチレン(共)重合体、メ
チルメタクリレート(共)重合体がさらに好ましいもの
である。先に述べた架橋性単量体としては、例えばジビ
ニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げら
れ、そのうち耐摩耗性、強度等に優れることからジビニ
ルベンゼンが特に好ましい。
【0014】一方、シェルの組成を変えることにより複
合粒子に種々の性能を付与することができる。例えば、
当該複合粒子に磁性を持たせようとする場合、シェル組
成としては、マグネタイト(Fe34)、マグヘマイト
(γ−Fe23)等が好ましく、特に好ましくはマグネ
タイトである。このような複合粒子は磁性粒子として種
々の用途に使用できる。
【0015】また、当該複合粒子に、光学的特性、電気
的特性、生体適合性等を付与させようとする場合、必要
特性に応じて金属鉄、鉄化合物、金属銅および銅化合物
から選択してシェルを設ければよい。
【0016】〔球状重合体−金属化合物複合粒子の製造
方法〕 上に述べた球状重合体−金属化合物複合粒子の製造方法
について説明する。上記複合粒子の製造方法は、コアと
なる球状重合体粒子の表面に、加水分解性鉄塩または加
水分解性銅塩を加熱等により加水分解させることにより
金属化合物を均一に被覆させ、必要に応じて表面処理を
施すものである。
【0017】加水分解反応は、好ましくは40℃以上、
さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以
上の温度で加熱することにより容易に起こる。
【0018】上記方法で重要なのは水溶液中に、コアと
なる球状重合体粒子を均一に分散させることである。例
えば分散状態が悪く、コア粒子となる球状重合体粒子が
凝集し、数個〜数百個のかたまりとなっていれば、その
上から金属化合物が被覆されてしまい、均一な複合粒子
ができない。また、生成された複合粒子同士が溶液中で
会合、凝集してしまい、再分散できない場合もある。こ
れらの欠点を改良する為に、水溶液中に水溶性高分子お
よび/または界面活性剤を分散性改良剤として添加する
ことが好ましい。これら分散性改良剤の使用量は、コア
となる球状重合体粒子に対し、好ましくは1重量%以
上、さらに好ましくは3〜300重量%、特に好ましく
は5〜250重量%である。水溶性高分子または界面活
性剤として好ましいものは、ポリビニルピロリドン、ポ
リビニルアルコール、ポリカルボン酸ソーダ、ヘキサメ
タリン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソーダ、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ、ドデシル硫酸ソーダ等で
ある。さらに好ましくは、ポリビニルピロリドン、ドデ
シル硫酸ソーダである。これらは単独または複合して用
いてもよい。
【0019】球状重合体−金属化合物複合粒子の生成の
メカニズムは原則として2種類あり、その1つは加水分
解された金属イオンまたは加水分解により生成した錯体
がコアの球状重合体粒子の上に吸着し、被覆層を形成し
ていくというメカニズムである。もう1つは、非常に小
さな金属化合物微粒子が初期に形成され、ヘテロ凝集に
よって、このものがコアである球状重合体粒子に吸着
し、それらの粒子表面で金属化合物層が成長していくと
いうメカニズムである。この後者のメカニズムではコア
である球状重合体粒子上に吸着する金属化合物粒子の数
と粒径により、被覆層の厚みがコントロールされる。
【0020】上記ヘテロ凝集を起こさせるにはコア球状
重合体に電荷を持たせる必要は必ずしもないが、好まし
くはプラスまたはマイナスの電荷を持たせる方がよい。
例えば、金属塩の加水分解反応が金属化合物微粒子の等
電点以上のpHで起こる場合、コアとして正電荷を有する
球状重合体を使用していれば効率よく吸着する。また、
金属塩の加水分解反応が金属化合物微粒子の等電点以下
のpHで起こる場合、コアとして負電荷を有する球状重合
体を使用していれば効率よく吸着する。
【0021】次に、上記複合粒子の製造方法を鉄系複合
粒子の場合と銅系複合粒子の場合に分けて説明する。ま
ず、鉄系複合粒子の製造方法について説明する。この方
法は、加水分解性鉄塩を加水分解させるもので、水溶液
中で反応させ、複合粒子の生成を行う。上記方法は、工
業的な見地からも非常に安価で効率よく、安全なもので
ある。ここで、加水分解性鉄塩とは、例えば、Fe(N
33、FeCl3、Fe(SO43等である。これら
の加水分解性鉄塩の使用量は、0.01ミリモル/反応
混合液1l以上が好ましく、さらに好ましくは0.1ミ
リモル/反応混合液1l、特に好ましくは1ミリモル/
反応混合液1lであるが、上限は一般的に100ミリモ
ル/反応混合液1l以下である。
【0022】これらは加熱により容易に加水分解する。
それにより酸化鉄となり、これらがコアとなる球状重合
体粒子表面に均一に被覆される。この被覆効率を向上さ
せるには、核発生時の酸化鉄粒子と球状重合体粒子との
チャージ差を大きくすればよい。例えば、球状重合体は
アニオン性のものを用い、反応混合液の初期pHを酸化鉄
粒子のゼータ電位がプラスの極大を示す領域まで下げチ
ャージ差を最大にし、その状態で加水分解反応させれ
ば、効率よく且つ均一に被覆した複合粒子の製造が可能
である。pH低下のために用いられる酸としては、塩酸、
硫酸、硝酸、シュウ酸、酢酸等のルイス酸および有機酸
である。本反応はこれらの酸の種類にほとんど影響を受
けないが、好ましくは塩酸、硫酸および硝酸である。
【0023】これらの酸の濃度は、例えば加水分解性鉄
塩濃度が5ミリモル/反応混合液1lの時、好ましくは
0.001〜1モル/反応混合液1lであるが、さらに
好ましくは0.001〜0.5モル/反応混合液1l、
特に好ましくは0.005〜0.2モル/反応混合液1
lである。また、シェルの酸化鉄濃度を大とするには、
反応系に尿素を添加して加熱とともに加水分解速度を大
きくし、ヘテロ凝集するヘマタイト微粒子の粒径がさら
に小さい状態で密に凝集させた後、シェル層を成長させ
ることによって達成できる。尿素の使用量は、例えば鉄
塩濃度が5ミリモル/反応混合液1lの時、好ましくは
0.1〜5000ミリモル/反応混合液1l、さらに好
ましくは0.1〜2000ミリモル/反応混合液1l、
特に好ましくは0.1〜500ミリモル/反応混合液1
lである。
【0024】また、反応系にアルコールを加えて加水分
解速度を大幅に小さくし、シェル層をゆっくり成長させ
ることによっても、シェルの酸化鉄の密度を大きくする
ことができる。ここでいうアルコールの種類については
特に制限されないが、好ましくは、メタノール、エタノ
ール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタ
ノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等がよ
い。これらの中でメタノール、エタノール、2−プロパ
ノール等が特に好ましい。その使用量は水に対して0〜
95体積%が好ましいが、より好ましくは10〜70体
積%、特に好ましくは30〜50体積%である。
【0025】シェルの酸化鉄の被覆層を厚くするには、
鉄塩濃度を高くして加水分解を起こさせればよい。ある
いは、被覆層の薄い球状重合体−酸化鉄複合粒子をシー
ドとして鉄塩水溶液の加水分解反応をさらに行うことに
よっても被覆層を厚くできる。
【0026】シェルの酸化鉄としては、例えばヘマタイ
ト、マグネタイト、マグヘマイト、FeO等が挙げら
れ、必要に応じて表面処理することにより、ヘマタイ
ト、マグネタイト、マグヘマイトの間で相互変換でき
る。例えばシェルがヘマタイトの場合、好ましくは15
0℃以上、より好ましくは250℃以上で水素還元する
ことによりマグネタイトにできる。また、シェルがマグ
ネタイトの場合、空気中で好ましくは150℃以上、さ
らに好ましくは200℃以上で酸化することによりマグ
ヘマイトにできる。シェルがマグヘマイトの場合、好ま
しくは150℃以上、より好ましくは200℃以上に加
熱することによりマグネタイトにできる。
【0027】次に銅系複合粒子の製造方法を説明する。
ここでも、加水分解性の銅塩を炭酸イオンの存在下で加
水分解させる。水溶液中で反応させ、塩基性炭酸銅とし
て球状重合体表面を覆い、複合粒子を生成させる。加水
分解性銅塩とは、例えばCu(NO32、CuCl2
CuSO4等が挙げられる。特に好ましいのはCu(N
32である。これらの加水分解性銅塩の使用量は、
0.01ミリモル/反応混合液1l以上が好ましく、さ
らに好ましくは0.1ミリモル/反応混合液1l、特に
好ましくは1ミリモル/反応混合液1lであるが、10
0ミリモル/反応混合液1l以上では複合粒子の製造が
困難である。
【0028】これらは炭酸イオンの存在下室温、または
加熱により容易に加水分解を受け、塩基性炭酸銅として
球状重合体粒子表面を均一に被覆する。炭酸イオンの供
給源としては、二酸化炭素、尿素、炭酸、炭酸塩等を挙
げることができるが、この中でも特に好ましいのは、尿
素および炭酸である。尿素を使用するとき、被覆層を塩
基性炭酸銅として形成するためには、反応終了時のpHを
好ましくは7以下、さらに好ましくは6.5以下、特に
好ましくは6以下に制御する。それ以上高くなると酸化
銅となる。尿素の使用量は銅塩濃度の1000倍以下が
好ましいが、さらに好ましくは800倍以下、特に好ま
しくは500倍以下である。なお、尿素の使用量が銅塩
濃度の1/100以下になると複合化しない場合があ
る。また、炭酸を使用するときは、その使用量は銅塩濃
度の1000倍以下が好ましいが、さらに好ましくは1
00倍以下、特に好ましくは10倍以下である。なお、
炭酸の使用量が銅塩濃度の1/1000以下になると複
合化しない場合がある。
【0029】シェルの塩基性炭酸銅は室温でアルカリと
処理するか、空気中で好ましくは200℃以上、さらに
好ましくは240℃以上、特に好ましくは250℃以上
で加熱することにより酸化銅に変換することができる。
またシェルが酸化銅の場合、水素雰囲気下で好ましくは
100℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好
ましくは140℃以上に加熱することにより金属銅に変
換することができる。これはシェルが塩基性炭酸銅でも
同様に金属銅に還元できる。以上により得られる球状重
合体−金属化合物複合粒子および球状重合体−金属銅複
合粒子の粒子径は、製造上、好ましくは0.07〜50
μm 、さらに好ましくは0.2〜20μm 、特に好まし
くは0.4〜10μm であり、複合粒子の粒子径に対す
るコアとなる球状重合体粒子の粒子径の比は好ましくは
0.4〜0.95であり、さらに好ましくは0.5〜
0.9、特に好ましくは0.6〜0.9である。
【0030】〔中空粒子の製造方法〕本方法は、上記球
状重合体−金属化合物複合粒子を酸素または水素の存在
下で少なくとも100℃以上、好ましくは450℃以上
に加熱することにより、コアの球状重合体粒子を分解
し、ガス化させて粒子内部から飛散させ、粒子内部に空
孔を持たせ、必要に応じて酸化および/または還元処理
して種々の組成の中空粒子を得るものである。
【0031】この結果、単分散で均一なシェル層を有す
る中空粒子を得ることができ、しかも粒子径、空孔径を
自由にコントロールすることができる。
【0032】上記中空粒子の製造方法において、コアの
重合体には何ら制約はないが、完全に分解し、ガス化さ
せやすくする為には、架橋していない方が好ましい。こ
れにより、低温で短時間に空孔を発現させることができ
る。例えばコアの重合体が架橋されている場合は、80
0℃以上、さらに好ましくは1100℃以上で加熱する
必要がある。従って、コアの重合体の単量体成分として
は、完全に加熱により分解する点で、スチレン、アクリ
ロニトリル、酢酸ビニル等の単量体を主成分とするもの
が好ましい。なお、加熱温度が1200℃以上の場合
は、中空粒子表面にクラックが入りやすくなり、また、
昇温率および冷却率も急激であると、シェルが崩壊しや
すくなる。このため、昇温率としては30℃/分以下、
冷却率としては20℃/分以下が好ましい。
【0033】以上により得られた球状中空粒子は、必要
に応じ酸化および/または還元処理することにより、ヘ
マタイト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄、金
属鉄または金属銅からなる中空粒子に相互変換できる。
例えば、中空ヘマタイト粒子の場合150℃以上、さら
に好ましくは250℃以上で水素還元することにより中
空マグネタイト粒子になる。また、中空マグネタイト粒
子は、室温または加熱して注意深く酸化することによ
り、中空マグヘマイト粒子になる。中空マグヘマイト粒
子は150℃以上、さらに好ましくは300℃以上に加
熱することにより中空ヘマタイト粒子になる。
【0034】また、中空酸化鉄粒子を水素雰囲気下、好
ましくは500℃以上、さらに好ましくは550℃以上
の温度で還元することにより中空金属鉄粒子が得られ
る。
【0035】また、中空酸化銅粒子は、水素雰囲気下好
ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以
上、特に好ましくは140℃以上に加熱することにより
中空金属銅粒子が得られる。
【0036】当該中空粒子の粒子径は、通常0.04〜
50μm 、好ましくは0.04〜40μm 、さらに好ま
しくは0.1〜10μm 、特に好ましくは0.2〜1μ
m である。また、粒子径に対する内径の比は、通常0.
3〜0.95であり、好ましくは0.5〜0.9、特に
好ましくは0.6〜0.9であり、この範囲外では製造
が困難な場合がある。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】〔コアとなる球状重合体粒子〕 例−1 1000ml重合用4つ口フラスコに蒸留水574g、過
硫酸カリウム1.0gおよびドデシル硫酸ナトリウム
0.30gを入れ、10分間攪拌し、それらを完全溶解
させた。
【0039】ついで、スチレンを100g添加し、N2
ガスをパージしながら5分間攪拌した。その後フラスコ
をウォーターバスに入れ80℃で4時間反応させ、次い
で室温まで冷却した。冷却後、濾紙を使用し、凝集物を
除去した。得られたスチレン重合体からなる球状重合体
粒子分散液の全固形分は14.7重量%であった。この
球状重合体粒子の平均粒子径は、0.42μm であっ
た。また、この球状重合体粒子のガラス転移点(Tg)は
100℃、重量平均分子量は10000であった。この
球状重合体粒子分散液の濃度を1g/lとなるように蒸
留水を加え調整した。
【0040】例−2 1000ml重合用4つ口フラスコに蒸留水576g、T
riton X−100(ロームアンドハース社製,非
イオン性界面活性剤)0.5gおよび2,2′−アゾビ
ス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN.アルド
リッチ社製)1.0gを入れ10分間攪拌し、完全にT
riton X−100、AIBNを溶解させた。次い
で、スチレンを100g添加し、N2ガスをパージしな
がら5分間攪拌した。その後、このフラスコをウォータ
ーバスに入れ70℃で12時間反応させ、次いで室温ま
で冷却した。冷却後、濾紙を使用し、凝集物を除去し
た。得られたスチレン重合体粒子からなる球状重合体粒
子分散液の全固形分は14.2重量%であった。この球
状重合体の平均粒子径は、0.17μm であった。ま
た、この球状重合体のガラス転移点(Tg)は101℃、
重量平均分子量は95000であった。この球状重合体
粒子分散液の濃度を1g/lとなるように蒸留水を加え
て調整した。
【0041】例−3 1000ml重合用4つ口フラスコに例−2で得られた球
状重合体粒子分散液70g、蒸留水929gおよび過硫
酸ナトリウム1.0gを入れ10分間攪拌し、過硫酸ナ
トリウムを溶解させた。次いでスチレン90gおよびジ
ビニルベンゼン10gを添加し、N2ガスをパージしな
がら5分間攪拌した。その後フラスコをウォーターバス
に入れ70℃で12時間反応させ次いで室温まで冷却し
た。冷却後、濾紙を使用し、凝集物を除去した。得られ
たスチレン/ジビニルベンゼン共重合体からなる球状重
合体粒子分散液の全固形分は9.6重量%で、この球状
重合体粒子の平均粒子径は、0.35μm であった。ま
た、この球状重合体粒子は、150℃以下にガラス転移
点(Tg)はなく、重量平均分子量も100万以上であっ
た。この球状重合体粒子分散液の濃度を1g/lとなる
ように蒸留水を加えて調整した。
【0042】例−4 日本合成ゴム(株)社製、STADEX SC−310
−S(球状スチレン重合体粒子)を使用した。平均粒子
径は3.1μm であった。この球状重合体粒子分散液の
濃度を1g/lとなるように蒸留水を加えて調整した。
また、この球状重合体粒子は、ガラス転移点が105
℃、重量平均分子量が70万であった。
【0043】例−5 Duke Scientific Corporati
on社製、No.120粒子(球状スチレン/ジビニル
ベンゼン共重合体粒子)を使用した。平均粒子径は20
μm 、ガラス転移点は150℃以上で、重量平均分子量
は100万以上であった。この球状重合体粒子分散液の
濃度を1g/lとなるように蒸留水を加えて調整した。
【0044】〔複合粒子の製造〕 実施例1 球状重合体粒子の製造例−1で得られた球状重合体粒子
分散液(濃度1g/l)1ml、ポリビニルピロリドン
(重量平均分子量36万)の3重量%水溶液3ml、4.
4mol /lに調整された尿素水溶液1ml、0.1ml/l
の塩酸3ml、蒸留水1mlおよび塩化鉄(III)5×10
-2ml/l水溶液を容栓付耐圧試験管に入れた。この反応
混合液を1分間超音波ウォーターバスでよく攪拌した
後、予め100℃にセットされた恒温槽に2日間入れ、
加水分解させた。その後、室温まで冷却し、遠心分離に
より複合粒子を沈降させ、上澄溶液を分離後、蒸留水を
加え、超音波ウォーターバスで完全に粒子を分散させた
後、複合粒子を分離するという洗浄工程を5回繰り返し
た。その後、得られた複合粒子を常温で乾燥した。
【0045】得られた複合粒子を電子顕微鏡にて観察し
たところ、平均粒子径は0.58μm 、粒子外径に対す
るコアの粒径の比が0.72の完全に粒子表面が均一な
層で被覆された球状の複合粒子であった。この複合粒子
を分析したところ、コアがポリスチレン重合体、シェル
がα−Fe23からなる複合粒子であることが確認され
た。この複合粒子の電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0046】なお、上記製造においては以下の成分が用
いられた。 例−1のスチレン共重合体 0.1g/反応混合液1l 塩化鉄(III) 5.0×10-3mol /反応混合液1l ポリビニルピロリドン(Mw36万) 0.9重量% 尿素 0.04mol /反応混合液1l 塩酸 0.03mol /反応混合液1l
【0047】実施例2〜21 基本的には実施例1と同様の方法であるが、加水分解さ
せる時に使用する成分および製造条件を表1〜表6に示
すように変えたものを実施例2〜21とした。結果とし
て得られた複合粒子の形状、組成等について、前記実施
例1と合せて表1〜表6に示した。
【0048】
【表1】
【0049】注:PVP=ポリビニルピリロドン ST =スチレン DVB=ジビニルベンゼン PST=スチレン重合体 P(ST/DVB)=スチレン/ジビニルベンゼン共重合体
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】実施例22 実施例9で得られたコアがスチレン/ジビニルベンゼン
共重合体、シェルがヘマタイトの複合粒子0.5gを水
素ガス雰囲気下で室温から200℃まで10℃/分の条
件で昇温し、200℃で3時間ホールドした。その後2
0℃/分の割合で室温まで冷却した。得られた複合粒子
の平均粒子径は0.42nm粒子外径に対するコア粒子の
粒径の比が0.83であった。この複合粒子を分析した
ところ、コアがスチレン/ジビニルベンゼン共重合体、
シェルがマグネタイトであった。
【0056】実施例23〜27 基本的には実施例22と同様の方法であるが、使用する
複合粒子および焼成条件を表7〜表8に示すように変え
たものを実施例23〜27とした。結果として得られた
複合粒子の形状、組成等について、前記実施例22と合
せて表7〜表8に示した。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】実施例28 実施例1で得られたコアがスチレン重合体、シェルがα
−Fe23の複合粒子0.3gを空気雰囲気下で室温か
ら800℃まで10℃/分の条件で昇温し、800℃で
3時間ホールドした。その後20℃/分の割合で室温ま
で冷却した。得られた球状中空粒子の平均粒子径は0.
54nm、粒子外径に対する内部空孔の比が0.78であ
った。この中空粒子を分析したところ、コアが空孔、シ
ェルがα−Fe23であった。
【0060】実施例29〜35 基本的には実施例28と同様の方法であるが、使用する
複合粒子および製造条件を表9〜表10に示すように変
えたものを実施例29〜35とした。結果として得られ
た中空粒子の形状、組成等について前記実施例28と合
せて表9〜表10に示す。
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】実施例36 実施例28で得られた中空ヘマタイト粒子0.3gを水
素ガス雰囲気下で室温から350℃まで10℃/分の条
件で昇温し、350℃で1時間ホールドした。その後2
0℃/分の割合で室温まで冷却した。得られた中空粒子
の平均粒子径は0.50μm 、粒子径に対する内部空孔
の比が0.84であった。この中空粒子を分析したとこ
ろ、コアが空孔、シェルがマグネタイトであった。
【0064】実施例37〜41 基本的には実施例36と同様の方法であるが、使用する
中空粒子および製造条件を表11〜表12に示すように
変えたものを実施例37〜41とした。結果として得ら
れた中空粒子の形状、組成等について前記実施例36と
合せて表11〜表12に示す。
【0065】
【表11】
【0066】
【表12】
【0067】
【発明の効果】本発明の製造法により得られた球状粒子
は、高強度、高耐熱性であり、高機能を発現することが
でき、医薬・診断薬、電子材料、導電材料、耐熱材料、
滑剤、触媒、磁性材料、光学材料等の用途に幅広く応用
できる。また、本発明の製造法により得られた中空粒子
は、磁性マイクロカプセル用途はもとより、他の磁性材
料にも多くの応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた球状スチレン重合体(コ
ア)/α−Fe23複合粒子構造を示す電子顕微鏡写真
である。図中の目盛りは0.4μmを示す。
【図2】実施例15で得られた球状スチレン重合体(コ
ア)/Cu(OH)2CuCO3複合粒子構造を示す電子
顕微鏡写真である。図中の目盛りは0.4μmを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/06 C23C 26/00 C08K 3/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加水分解性鉄塩または加水分解性銅塩の水
    溶液中にコアとなる球状重合体粒子を均一に分散せし
    め、加水分解反応により該球状重合体粒子上に均一な酸
    化鉄、塩基性炭酸銅または酸化銅の被覆層を設け、必要
    に応じ酸化および/または還元処理を施すことを特徴と
    する、(a)コアが重合体、(b)シェルが金属鉄、酸化鉄、
    金属銅、酸化銅および塩基性炭酸銅から選ばれる金属ま
    たは金属化合物からなる球状重合体−金属化合物複合粒
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】(a)コアが重合体、(b)シェルが金属鉄、酸
    化鉄、金属銅、酸化銅および塩基性炭酸銅から選ばれる
    金属または金属化合物からなる球状重合体−金属化合物
    複合粒子を加熱することにより、コアの重合体を分解
    し、粒子内部に空孔を持たせ、必要に応じ酸化および/
    または還元処理することを特徴とする中空粒子の製造方
    法。
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