JPH0699324B2 - 組織プラスミノーゲンアクチベーターの溶解法 - Google Patents
組織プラスミノーゲンアクチベーターの溶解法Info
- Publication number
- JPH0699324B2 JPH0699324B2 JP4190012A JP19001292A JPH0699324B2 JP H0699324 B2 JPH0699324 B2 JP H0699324B2 JP 4190012 A JP4190012 A JP 4190012A JP 19001292 A JP19001292 A JP 19001292A JP H0699324 B2 JPH0699324 B2 JP H0699324B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- arginine
- purified
- solubility
- solution
- plasminogen activator
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Medicinal Preparation (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は組繊プラスミノーゲンア
クチベーターの溶解方法に関するものである。詳細に
は、他の蛋白質を除く組織プラスミノーゲンアクチベー
ターの水溶液中の濃度を、少なくとも0.2mg/ml
以上とする方法に関するものである。
クチベーターの溶解方法に関するものである。詳細に
は、他の蛋白質を除く組織プラスミノーゲンアクチベー
ターの水溶液中の濃度を、少なくとも0.2mg/ml
以上とする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、血栓溶解剤としては尿または培養
腎細胞から分離精製されたウロキナーゼを中心として発
展し、その他にβ溶連菌より抽出されたストレプトキナ
ーゼが実用に供されてきた。しかし、ウロキナーゼは血
栓に対する親和性が低いため、所望の治療効果を得るに
は大量投与を必要とし、殊に全身投与の場合、血流中に
大量に生じたプラスミンによる凝固因子の破壊による出
血が危惧されていた。この点、ヒトまたは動物組織中、
それらの組織由来の細胞培養液または腫瘍細胞培養液中
に見出される組織プラスミノーゲンアクチベーター(以
下、t−PAと称する)は、ウロキナーゼに比して血栓
に対する親和性が高く、さらに血栓溶解能も優れている
ことから少量の投与で所望の治療効果が得られ、新しい
血栓溶解剤として期待されている。また、最近では遺伝
子工学的手段によってt−PAを産生することが試みら
れており、今後の期待に拍車がかけられている。
腎細胞から分離精製されたウロキナーゼを中心として発
展し、その他にβ溶連菌より抽出されたストレプトキナ
ーゼが実用に供されてきた。しかし、ウロキナーゼは血
栓に対する親和性が低いため、所望の治療効果を得るに
は大量投与を必要とし、殊に全身投与の場合、血流中に
大量に生じたプラスミンによる凝固因子の破壊による出
血が危惧されていた。この点、ヒトまたは動物組織中、
それらの組織由来の細胞培養液または腫瘍細胞培養液中
に見出される組織プラスミノーゲンアクチベーター(以
下、t−PAと称する)は、ウロキナーゼに比して血栓
に対する親和性が高く、さらに血栓溶解能も優れている
ことから少量の投与で所望の治療効果が得られ、新しい
血栓溶解剤として期待されている。また、最近では遺伝
子工学的手段によってt−PAを産生することが試みら
れており、今後の期待に拍車がかけられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、t−P
Aの精製を行い、これを有効成分とする血栓溶解剤の製
法について検討を加えてきた。ところが、t−PAは精
製の程度が進むに従って溶解性が低下することが明らか
になり、製剤化に際しての大きな障害となった。
Aの精製を行い、これを有効成分とする血栓溶解剤の製
法について検討を加えてきた。ところが、t−PAは精
製の程度が進むに従って溶解性が低下することが明らか
になり、製剤化に際しての大きな障害となった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、t−PA
の溶解性の問題を解消すべく鋭意研究した結果、t−P
Aはアルギニンまたはその酸付加塩を含む溶媒系を使用
することにより、溶解性が著しく増加することを見い出
し、本発明を完成した。
の溶解性の問題を解消すべく鋭意研究した結果、t−P
Aはアルギニンまたはその酸付加塩を含む溶媒系を使用
することにより、溶解性が著しく増加することを見い出
し、本発明を完成した。
【0005】本発明はt−PAの溶解性を増加させるた
めに、アルギニンまたはその酸付加塩を有効量含有させ
ることを特徴とするt−PAの溶解方法に関するもので
ある。
めに、アルギニンまたはその酸付加塩を有効量含有させ
ることを特徴とするt−PAの溶解方法に関するもので
ある。
【0006】本発明に用いるアルギニンはD体、L体あ
るいはラセミ体のいずれであってもよく、さらにこれら
の酸付加塩、例えば、塩酸塩であってもよい(以下、特
に記載のない場合は、アルギニンというときは、これら
全てを包含する。)。t−PAの溶解性を高めるために
必要なアルギニン量は1mM以上500mM以下、好ま
しくは5mM〜200mMが適当である。後記実験例1
で示されるように、1000mMであっても有効である
が、それに見合うt−PAの溶解性の上昇は見られない
ので、実用上500mM以下が適当である。さらに、中
性塩、特に塩化ナトリウムを0.02M〜2.0Mの濃
度、好ましくは、0.1〜1.0M濃度でアルギニンと
併用すればより好ましい。アルギニンまたはアルギニン
と塩化ナトリウム等の中性塩とを含有するt−PA溶液
はリン酸ナトリウム等の緩衝液でpH2〜12、好まし
くは、6〜11の範囲に維持するのが好ましい。
るいはラセミ体のいずれであってもよく、さらにこれら
の酸付加塩、例えば、塩酸塩であってもよい(以下、特
に記載のない場合は、アルギニンというときは、これら
全てを包含する。)。t−PAの溶解性を高めるために
必要なアルギニン量は1mM以上500mM以下、好ま
しくは5mM〜200mMが適当である。後記実験例1
で示されるように、1000mMであっても有効である
が、それに見合うt−PAの溶解性の上昇は見られない
ので、実用上500mM以下が適当である。さらに、中
性塩、特に塩化ナトリウムを0.02M〜2.0Mの濃
度、好ましくは、0.1〜1.0M濃度でアルギニンと
併用すればより好ましい。アルギニンまたはアルギニン
と塩化ナトリウム等の中性塩とを含有するt−PA溶液
はリン酸ナトリウム等の緩衝液でpH2〜12、好まし
くは、6〜11の範囲に維持するのが好ましい。
【0007】本発明のt−PAの溶解方法により製造さ
れる血栓溶解剤は、主成分であるt−PAの他、少なく
とも、アルギニンを含有していればよく、必要に応じ、
その他の成分、例えばアルブミン、マンニトール、ゼラ
チン、塩化ナトリウム等製剤化の際に一般的に用いられ
る賦形剤、安定化剤等、リン酸、あるいはクエン酸等を
含有させることは任意である。
れる血栓溶解剤は、主成分であるt−PAの他、少なく
とも、アルギニンを含有していればよく、必要に応じ、
その他の成分、例えばアルブミン、マンニトール、ゼラ
チン、塩化ナトリウム等製剤化の際に一般的に用いられ
る賦形剤、安定化剤等、リン酸、あるいはクエン酸等を
含有させることは任意である。
【0008】本発明のt−PAの溶解方法による血栓溶
解剤の製造は、精製したt−PAをアルギニンを含有す
る溶媒に溶解させた後、無菌濾過し、アンプル、バイア
ル等に充填して行うが所望により凍結乾燥を行ってもよ
い。また、t−PAをアルギニンを含有する溶媒に溶解
する代わりに、t−PAと所定量のアルギニンを秤量
し、所望なら他の成分と共に適当な溶媒に溶解するか、
あるいはこれらの混合物として、適当な容器に充填する
ことにより製造してもよい。ここに使用する溶媒として
注射用蒸留水、生理食塩水、0.01M〜0.1Mリン
酸緩衝液等を挙げることができる。製剤の剤型として
は、通常、注射剤とするのが有利であるが、t−PAの
血栓溶解能を維持できる限り任意の剤型としてよい。本
発明のt−PAの溶解方法により製造される血栓溶解剤
の人体投与量は、おおむね2万〜5万IU/Kgである
が、症状に応じて、適宜増減してよい。
解剤の製造は、精製したt−PAをアルギニンを含有す
る溶媒に溶解させた後、無菌濾過し、アンプル、バイア
ル等に充填して行うが所望により凍結乾燥を行ってもよ
い。また、t−PAをアルギニンを含有する溶媒に溶解
する代わりに、t−PAと所定量のアルギニンを秤量
し、所望なら他の成分と共に適当な溶媒に溶解するか、
あるいはこれらの混合物として、適当な容器に充填する
ことにより製造してもよい。ここに使用する溶媒として
注射用蒸留水、生理食塩水、0.01M〜0.1Mリン
酸緩衝液等を挙げることができる。製剤の剤型として
は、通常、注射剤とするのが有利であるが、t−PAの
血栓溶解能を維持できる限り任意の剤型としてよい。本
発明のt−PAの溶解方法により製造される血栓溶解剤
の人体投与量は、おおむね2万〜5万IU/Kgである
が、症状に応じて、適宜増減してよい。
【0009】以上の様に、アルギニンを含む溶媒を使用
してt−PAの溶解性を増加させれば、t−PAを高濃
度の溶液とすることが可能となり、従って、少容量の製
剤用容器、例えばバイアル、アンプル等に多量のt−P
Aを充填することが可能となり治療上有効な血栓溶解剤
をつくることができる。
してt−PAの溶解性を増加させれば、t−PAを高濃
度の溶液とすることが可能となり、従って、少容量の製
剤用容器、例えばバイアル、アンプル等に多量のt−P
Aを充填することが可能となり治療上有効な血栓溶解剤
をつくることができる。
【0010】なお、t−PAの精製過程における透析、
濾過、クロマトグラフィー等の精製工程、特に、ゲルク
ロマトグラフィーを実施する工程においてアルギニンを
含有する溶媒を用いるとt−PAを高濃度の状態に維持
して精製することが可能になるので、効率的な精製を行
うことができる。従って、t−PA溶液にアルギニンを
含有せしめることは、t−PAの製剤化に際して極めて
有用であると共に、高純度のt−PAを工業的規模で効
率的に製造する上でも極めて有用である。
濾過、クロマトグラフィー等の精製工程、特に、ゲルク
ロマトグラフィーを実施する工程においてアルギニンを
含有する溶媒を用いるとt−PAを高濃度の状態に維持
して精製することが可能になるので、効率的な精製を行
うことができる。従って、t−PA溶液にアルギニンを
含有せしめることは、t−PAの製剤化に際して極めて
有用であると共に、高純度のt−PAを工業的規模で効
率的に製造する上でも極めて有用である。
【0011】次に、実験例および実施例によって本発明
をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。なお、以下の実験例および実
施例では、ヒトメラノーマ細胞培養液および遺伝子工学
的手段でt−PA遺伝子を移入したチャイニーズハムス
ターオバリー(以下、CHOと称する)細胞の培養液よ
り精製したt−PAについて記述したが、ヒトまたは動
物組織から得たt−PA、ヒトまたは動物組織由来の細
胞培養液から精製したt−PAあるいは前記以外の遺伝
子工学的手段で得たt−PA、すなわち、t−PA遺伝
子を移入した真核細胞またはt−PA遺伝子を移入した
大腸菌、枯草菌、酵母等の微生物から得たt−PA等で
あってもよい。
をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。なお、以下の実験例および実
施例では、ヒトメラノーマ細胞培養液および遺伝子工学
的手段でt−PA遺伝子を移入したチャイニーズハムス
ターオバリー(以下、CHOと称する)細胞の培養液よ
り精製したt−PAについて記述したが、ヒトまたは動
物組織から得たt−PA、ヒトまたは動物組織由来の細
胞培養液から精製したt−PAあるいは前記以外の遺伝
子工学的手段で得たt−PA、すなわち、t−PA遺伝
子を移入した真核細胞またはt−PA遺伝子を移入した
大腸菌、枯草菌、酵母等の微生物から得たt−PA等で
あってもよい。
【0012】t−PAの活性測定は95%凝固フィブリ
ノーゲン(プラスミノーゲン含有約50カゼイン単位/
g凝固蛋白)を用いて作成したフィブリン平板法によ
り、t−PA(WHO認定品)を標準品として用いて行
った。
ノーゲン(プラスミノーゲン含有約50カゼイン単位/
g凝固蛋白)を用いて作成したフィブリン平板法によ
り、t−PA(WHO認定品)を標準品として用いて行
った。
【0013】(t−PAの製造例1) コーレン(Collen)らの方法(ザ ジャーナル
オブ バイオロジカルケミストリー(The J.Bi
ol.Chem.)256(13)、7035−704
1、1981)によりヒトメラノーマ由来細胞を用いて
産生した粗t−PA培養液約60Lを、リーケン(Ri
jken)らの方法(トロンボシスアンド ヘモスタシ
ス(Thromb.Haemostas.)48
(3)、294−296、1982)を参考にして精製
操作を行った。すなわち、培養液をZn−キレートクロ
マトグラフィー(13.5×17.5cm)で精製した
後、Con Aセファロースクロマトグラフィー(5×
30cm)を行った。ConAセファロースカラムより
0.4M α−Dメチルマンノシドを含む2.0Mチオ
シアン酸カリウム溶液で溶出したt−PAをポリエチレ
ングリコールを用いて濃縮した後、0.25Mアルギニ
ン塩酸塩を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)
で平衡化したセファアクリルS200(ファルマシア社
製)を充填したカラム(7.5×90cm)でゲル濾過
を行い、精製t−PAを得た。この一連の精製工程によ
り、比活性2.5×105IU/mg、1800万IU
の精製t−PAを得た。得られたt−PAを4℃で一
夜、蒸留水に対して透析した後、凍結乾燥し、後述の実
験例および実施例に使用した。
オブ バイオロジカルケミストリー(The J.Bi
ol.Chem.)256(13)、7035−704
1、1981)によりヒトメラノーマ由来細胞を用いて
産生した粗t−PA培養液約60Lを、リーケン(Ri
jken)らの方法(トロンボシスアンド ヘモスタシ
ス(Thromb.Haemostas.)48
(3)、294−296、1982)を参考にして精製
操作を行った。すなわち、培養液をZn−キレートクロ
マトグラフィー(13.5×17.5cm)で精製した
後、Con Aセファロースクロマトグラフィー(5×
30cm)を行った。ConAセファロースカラムより
0.4M α−Dメチルマンノシドを含む2.0Mチオ
シアン酸カリウム溶液で溶出したt−PAをポリエチレ
ングリコールを用いて濃縮した後、0.25Mアルギニ
ン塩酸塩を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)
で平衡化したセファアクリルS200(ファルマシア社
製)を充填したカラム(7.5×90cm)でゲル濾過
を行い、精製t−PAを得た。この一連の精製工程によ
り、比活性2.5×105IU/mg、1800万IU
の精製t−PAを得た。得られたt−PAを4℃で一
夜、蒸留水に対して透析した後、凍結乾燥し、後述の実
験例および実施例に使用した。
【0014】(t−PAの製造例2) ペニカ(Pennica)らの方法(ネイチャー(Na
ture)301(20)、214−221、198
3)に準じてt−PA遺伝子を作成し、カウフマン(K
aufman)とシャープ(Sharp)の方法(ジャ
ーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mo
l.Biol.)159、601−621、1982)
に準じて、前記t−PA遺伝子をCHO細胞に移入した
後、このCHO細胞を用いて産生した粗t−PA培養液
40Lを得た。この粗t−PA培養液をt−PAの製造
例1と同様に精製し、比活性1.7×105IU/m
g、1200万IUの精製t−PAを得た。
ture)301(20)、214−221、198
3)に準じてt−PA遺伝子を作成し、カウフマン(K
aufman)とシャープ(Sharp)の方法(ジャ
ーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mo
l.Biol.)159、601−621、1982)
に準じて、前記t−PA遺伝子をCHO細胞に移入した
後、このCHO細胞を用いて産生した粗t−PA培養液
40Lを得た。この粗t−PA培養液をt−PAの製造
例1と同様に精製し、比活性1.7×105IU/m
g、1200万IUの精製t−PAを得た。
【0015】(t−PAの製造例3) コーレン(Collen)らの方法(ザ ジャーナル
オブ バイオロジカルケミストリー(The J.Bi
ol.Chem.)256(13)、7035−704
1、1981)によりヒトメラノーマ由来細胞を用いて
産生した粗t−PA培養液約60Lを、リーケン(Ri
jken)らの方法(トロンボシスアンド ヘモシスタ
ス(Thromb Haemostas. )48
(3)、294−296、1982)を参考にして精製
操作を行った。すなわち、培養液をZn−キレートクロ
マトグラフィー(13.5×17.5cm)で精製した
後、Con Aセファロースクロマトグラフィー(5×
30cm)を行なった。ConAセファロースカラムよ
り0.4M α−Dメチルマンノシドを含む2.0Mチ
オシアン酸カリウム溶液で溶出したt−PAをポリエチ
レングリコールを用いて濃縮した後、0.25Mアルギ
ニン塩酸塩を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.
5)で平衡化したセファクリルS200(ファルマシア
社製)を充填したカラム(7.5×90cm)でゲル濾
過を行った。溶出したt−PAをポリエチレングリコー
ルを用いて濃縮した後、0.25Mアルギニン塩酸塩を
含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化し
たセファクリルS200を充填したカラム(7.5×9
0cm)で再度、ゲル濾過を行い、精製t−PAを得
た。この一連の精製工程により、比活性4.2×10 5
IU/mg、1400万IUの精製t−PAを得た。得
られたt−PAを4℃で一夜、蒸留水に対して透析した
後、凍結乾燥し、以下の実験例および実施例に使用し
た。
オブ バイオロジカルケミストリー(The J.Bi
ol.Chem.)256(13)、7035−704
1、1981)によりヒトメラノーマ由来細胞を用いて
産生した粗t−PA培養液約60Lを、リーケン(Ri
jken)らの方法(トロンボシスアンド ヘモシスタ
ス(Thromb Haemostas. )48
(3)、294−296、1982)を参考にして精製
操作を行った。すなわち、培養液をZn−キレートクロ
マトグラフィー(13.5×17.5cm)で精製した
後、Con Aセファロースクロマトグラフィー(5×
30cm)を行なった。ConAセファロースカラムよ
り0.4M α−Dメチルマンノシドを含む2.0Mチ
オシアン酸カリウム溶液で溶出したt−PAをポリエチ
レングリコールを用いて濃縮した後、0.25Mアルギ
ニン塩酸塩を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.
5)で平衡化したセファクリルS200(ファルマシア
社製)を充填したカラム(7.5×90cm)でゲル濾
過を行った。溶出したt−PAをポリエチレングリコー
ルを用いて濃縮した後、0.25Mアルギニン塩酸塩を
含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化し
たセファクリルS200を充填したカラム(7.5×9
0cm)で再度、ゲル濾過を行い、精製t−PAを得
た。この一連の精製工程により、比活性4.2×10 5
IU/mg、1400万IUの精製t−PAを得た。得
られたt−PAを4℃で一夜、蒸留水に対して透析した
後、凍結乾燥し、以下の実験例および実施例に使用し
た。
【0016】 (実験例1) t−PAの溶解性に対するアルギニン濃度の影響を調べ
た。製造例1で得た精製t−PAを5mgずつ秤量し、
それぞれ表1に示したアルギニン濃度の溶解液0.5m
lで溶解し、溶液中のt−PAの活性を測定してt−P
Aの溶解度を調べた。t−PAが完全に溶解せず沈澱が
生じた場合には、その上清活性を測定した。結果を表1
および図1に示した。1mMのアルギニン溶液で、t−
PA0.2mg/ml以上の溶解性が得られた。
た。製造例1で得た精製t−PAを5mgずつ秤量し、
それぞれ表1に示したアルギニン濃度の溶解液0.5m
lで溶解し、溶液中のt−PAの活性を測定してt−P
Aの溶解度を調べた。t−PAが完全に溶解せず沈澱が
生じた場合には、その上清活性を測定した。結果を表1
および図1に示した。1mMのアルギニン溶液で、t−
PA0.2mg/ml以上の溶解性が得られた。
【0017】
【表1】
【0018】(実験例2)製造例3で得た精製t−PAの溶解性に対するアルギニ
ンの種類の影響を、実験例1と同様に調べた。その結
果、t−PA溶解性に対して実験例1と同様の結果が得
られた。
ンの種類の影響を、実験例1と同様に調べた。その結
果、t−PA溶解性に対して実験例1と同様の結果が得
られた。
【0019】(実験例3) t−PAの溶解性に対するアルギニンの種類の影響を調
べた。表2に示した各種のアルギニン25mMを含む溶
液0.5mlに、製造例1および2で精製したt−PA
1mgを溶解し、実験例1と同様に溶液中のt−PAの
活性を測定した。結果を表2に示した。
べた。表2に示した各種のアルギニン25mMを含む溶
液0.5mlに、製造例1および2で精製したt−PA
1mgを溶解し、実験例1と同様に溶液中のt−PAの
活性を測定した。結果を表2に示した。
【0020】
【表2】
【0021】(実験例4) L−アルギニン塩酸塩と塩化ナトリウムとを含む溶媒系
での溶解性を調べた。L−アルギニン塩酸塩と塩化ナト
リウムとを含みそのpH調整をした溶液0.5mlに製
造例1で得た精製t−PA5mgまたは1mgを溶解
し、溶液のt−PA活性を測定してt−PAの溶解度を
調べた。結果を表3および表4に示した。
での溶解性を調べた。L−アルギニン塩酸塩と塩化ナト
リウムとを含みそのpH調整をした溶液0.5mlに製
造例1で得た精製t−PA5mgまたは1mgを溶解
し、溶液のt−PA活性を測定してt−PAの溶解度を
調べた。結果を表3および表4に示した。
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】(実験例5) 毒性試験 後記実施例1および2で製造した製剤を生理食塩水また
は注射用蒸留水に溶解し、マウスおよびモルモットに5
0万IU/Kg投与したが、異常は認められなかった。
また、同製剤20万IU/Kgをウサギに投与して発熱
性物質試験を行なったが、いずれの製剤も陰性であっ
た。
は注射用蒸留水に溶解し、マウスおよびモルモットに5
0万IU/Kg投与したが、異常は認められなかった。
また、同製剤20万IU/Kgをウサギに投与して発熱
性物質試験を行なったが、いずれの製剤も陰性であっ
た。
【0025】 以上の実験例から明らかな様に、アルギニ
ンはt−PAの溶解性を高めるのに有用である。
ンはt−PAの溶解性を高めるのに有用である。
【0026】
【0027】 (実施例1) t−PA 5,000,000 IU L−アルギニン塩酸塩 21 mg リン酸ナトリウム 173.9 mg 精製ゼラチン 100.0 mg 上記の各成分を注射用蒸留水10mlに溶解し、無菌濾
過した後1.0mlずつバイアルに充填し、凍結乾燥し
て血栓溶解剤を調製した。
過した後1.0mlずつバイアルに充填し、凍結乾燥し
て血栓溶解剤を調製した。
【0028】 (実施例2) t−PA 5,000,000 IU L−アルギニン塩酸塩 52.5 mg リン酸ナトリウム 173.9 mg 塩化ナトリウム 64.3 mg ヒト血清アルブミン 20 mg 上記の各成分を秤取得し、実施例1と同様の方法で血栓
溶解剤を調製した。
溶解剤を調製した。
【図面の簡単な説明】図1はt−PAの溶解度とアルギ
ニン濃度との関係を示すグラフである。
ニン濃度との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 組織プラスミノーゲンアクチベーターの
溶解性を増加させるために、少なくとも、アルギニンま
たはその酸付加塩を有効量含有させて、組織プラスミノ
ーゲンアクチベーターの水溶液中の濃度を少なくとも
0.2mg/ml以上とする方法。 - 【請求項2】 アルギニンまたはその酸付加塩の前記有
効量が、1mM〜500mMである請求項1記載の方
法。 - 【請求項3】 アルギニンまたはその酸付加塩の前記有
効量が、5mM〜200mMである請求項1記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4190012A JPH0699324B2 (ja) | 1985-10-02 | 1992-06-24 | 組織プラスミノーゲンアクチベーターの溶解法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60219606A JPH0672105B2 (ja) | 1985-10-02 | 1985-10-02 | 血栓溶解剤及びその製法 |
JP4190012A JPH0699324B2 (ja) | 1985-10-02 | 1992-06-24 | 組織プラスミノーゲンアクチベーターの溶解法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60219606A Division JPH0672105B2 (ja) | 1985-10-02 | 1985-10-02 | 血栓溶解剤及びその製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06206829A JPH06206829A (ja) | 1994-07-26 |
JPH0699324B2 true JPH0699324B2 (ja) | 1994-12-07 |
Family
ID=26505813
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4190012A Expired - Lifetime JPH0699324B2 (ja) | 1985-10-02 | 1992-06-24 | 組織プラスミノーゲンアクチベーターの溶解法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0699324B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1332027C (zh) * | 2005-11-01 | 2007-08-15 | 武汉大学 | 一种重组人tPA的制备方法 |
-
1992
- 1992-06-24 JP JP4190012A patent/JPH0699324B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06206829A (ja) | 1994-07-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0217379B1 (en) | Thrombolytic composition and a process for production thereof | |
US5770700A (en) | Liquid factor IX formulations | |
JP5025868B2 (ja) | 可逆的に不活性な酸性化プラスミン組成物の調製法 | |
CA1297008C (en) | Aqueous parenteral solution of tissue-plasminogen activator | |
FI85335B (fi) | Foerfarande foer framstaellning av lyofiliserad, farmaceutisk vaevnadsplasminogenaktivator(t-pa)-komposition. | |
BR9809304B1 (pt) | formulação liofilizada estável, processo para preparação da mesma, bem como forma de dosagem unitária. | |
JPS6236332A (ja) | 医薬投与単位 | |
AU623347B2 (en) | Thrombolytic agent | |
JP3007785B2 (ja) | トロンボモジュリン組成物およびその変性防止方法 | |
EP0310065A2 (en) | Fibrinolytic activity enhancer | |
Shih et al. | Plasminogen and plasminogen activator assembly on the human endothelial cell | |
US4999194A (en) | Two-chain urokinase plasminogen activators for treatment of thrombotic disease | |
JPH0699324B2 (ja) | 組織プラスミノーゲンアクチベーターの溶解法 | |
EA026017B1 (ru) | Фармацевтические композиции тенектеплазы | |
JPS62153224A (ja) | プラスミノゲン製剤 | |
JPS6226234A (ja) | 非経口溶液製剤 | |
JPH0597703A (ja) | 改変型組織プラスミノーゲン活性化因子含有組成物 | |
JPH0462302B2 (ja) | ||
Sherry | The fibrinolytic system and its pharmacologic activation for thrombolysis | |
JPH11171790A (ja) | トロンボモジュリン用変性防止剤 | |
JP2005502710A (ja) | ヒト組織ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子製剤 | |
JPH1112194A (ja) | 組織プラスミノーゲン活性化因子医薬組成物 | |
JP2005035921A (ja) | 組織プラスミノーゲン活性化因子含有製剤 | |
JPS6259221A (ja) | 組織プラスミノ−ゲン活性化因子含有組成物 | |
AU2002323643A1 (en) | Human tissue urokinase type plasminogen activator formulation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |