JPH0699145B2 - ホウ素、炭素、窒素からなる繊維およびその製造法 - Google Patents

ホウ素、炭素、窒素からなる繊維およびその製造法

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JPH0699145B2
JPH0699145B2 JP63079090A JP7909088A JPH0699145B2 JP H0699145 B2 JPH0699145 B2 JP H0699145B2 JP 63079090 A JP63079090 A JP 63079090A JP 7909088 A JP7909088 A JP 7909088A JP H0699145 B2 JPH0699145 B2 JP H0699145B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はホウ素、炭素、窒素からなる繊維およびその製
造法に関し、耐熱性、化学的安定性、耐熱衝撃性等に優
れた窒化ホウ素の物性とグラファイトの耐薬品性、高導
電性等の物性を併わせ持つ繊維に関するものであり、高
温耐食材料、導電性耐食材料等の各種複合材料用として
有用なものである。
[従来技術] 従来より各種基材マトリクスと繊維材料を混合して強
化、あるいは複合機能を付与した材料は種々知られてお
り、この繊維材料として、ガラス繊維、炭素繊維、各種
セラミクス繊維等がある。このうちセラミクス繊維とし
ては、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が知られているが、ホ
ウ素、炭素、窒素からなる繊維を得た例はない。ホウ
素、炭素、窒素からなる材料については、A.R.Badzinら
(Proc.Int.Conf.Chem.Vap.Dep.3rd.1972,747〜753)が
BCl3、CCl3、N2、H2を用い、化学気相析出法(以下CVD法と
いう)により得ているが、生成物は粉状で得られる。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、かかる従来の問題点に鑑み、鋭意検討の
結果、CVD法において、基体として特定の材料を選び、
反応を減圧下でおこなうことにより、本質的にホウ素、
炭素、窒素からなる繊維を得ることに成功し、本発明に
至ったものである。
本質的にホウ素、炭素、窒素からなり、CuKα線による
X線回折測定による2θが23〜27°の範囲に回折ピーク
を有し、アスペクト比が10以上であることを特徴とする
繊維であり、製造法はホウ素源ガス、炭素源ガスおよび
窒素源ガスからなる混合ガスを金属基体を保持した反応
容器内に導入し、500mmHg以下の圧力で化学気相析出法
により該基体上に本質的にホウ素、炭素、窒素からな
り、CuKα線によるX線回折測定による2θが23〜27°
の範囲に回折ピークを有し、アスペクト比が10以上であ
る繊維を形成することを特徴とする繊維の製造法であ
る。
本発明の繊維は窒化ホウ素と炭素の固溶体であるのか、
窒化ホウ素マトリックス中に炭素が均一に分散した連続
相からなるものかは定かでないところであるが、いずれ
にしても連続相からなるものであるのが特徴である。本
発明の繊維は本質的にホウ素、炭素、窒素からなるもの
であるが、原料ガスに由来する水素が含まれるものであ
る。
ホウ素、炭素、窒素の比は原子比でホウ素、窒素はほぼ
1:1であり、残部が炭素である。炭素量は80重量%以上
となる。
かかる本発明の繊維はCVD法において特定の基体を選
び、500mmHg以下の減圧下にすることによりはじめて得
られるものであり、基体としては金属、特に遷移金属が
好ましく、ニッケル、鉄等およびこれらの合金が挙げら
れる。
本発明によれば、直径1μm以下、アスペクト比10以上
の繊維状物が容易に得られるものである。金属、特にニ
ッケルあるいは鉄系の材料が本発明において特異的に優
れている理由は必ずしも定かではないが、これらの材料
が触媒的な作用をし、繊維化が進行するものと考えられ
る。本発明においては500mmHg以下の減圧下での反応が
好ましく、これ以上では繊維状とはならず、膜あるいは
粉として得られる。また、10mmHg以下では繊維径、長さ
のバラツキが大きくなり、好ましくない。また、圧力を
低くするほど他の条件が同一であれば繊維中の炭素量は
小さくなる。
本発明で用いる原料ガスとしては、特に限定されない
が、ホウ素源としてBCl3等のハロゲン化ホウ素、窒素源
としてはNH3等の反応性の高いガスが好ましく、炭素源
としては、炭化水素、特に不飽和結合を有するガスが好
ましく、反応性等からアセチレンが最も好ましい。ま
た、これら原料ガスの量的関係については特に制限され
ないがホウ素源ガスと窒素源ガスは少なくとも原子比
で、1:2以上が好ましい。炭素源ガスに対してホウ素源
ガスと窒素源ガスを増加すれば繊維中のBN含有量は20重
量%までは増加するが、これ以上ガス比を増大させても
BN含有量は増加せず、BN粉末あるいは膜として分離して
しまう。
反応温度は特に限定的ではないが、600℃以上が好まし
い。これ以下では反応速度が極端に小さくなる。反応速
度の面からは反応温度は高い方が好ましいが、本発明に
おいては、基体として金属を用いており、この金属の耐
熱温度に依存し、1200℃程度以下での反応が推奨され
る。また、温度を高くすると他の条件が同一の場合、得
られる繊維中の炭素量が小さくなる傾向がある。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1 内径40mm長さ1000mmの石英管からなる熱CVD装置の中央
に500mm×20mm×3mmのニッケル基板を設置し、BCl3、C2
H2およびNH3を原料とし、反応管中央を800℃に加熱した
炉内に導入した。それぞれのガス流量は次のとおりであ
る。
BCl3 15cc/min NH3 30cc/min C2H2 8cc/min 炉内圧力は20mmHgに保持した。
以上の条件で6時間反応をおこなったのち、ガス導入と
基板加熱をやめ、炉内を真空排気、冷却した。基板上に
は黒色で長さ1〜5mm、径50〜500μmの針状物質が2.8g
生成した。これは炭素基準で約80%の収率である。この
ものは直径0.1〜0.3μm、長さ1〜10の繊維から構成さ
れていた。このSEM写真を第1図に示した。この繊維
(生成繊維)の元素分析の結果を第1表に示した。
また、この生成繊維を窒素ガス中2000℃で、1時間熱処
理し(焼成繊維)たところ形状の変化はなかった。ま
た、元素分析をおこない結果を第1表に示した。生成繊
維と焼成繊維とをCuKα線によるX線回折測定をおこな
い、この解析パターンを第3図(生成繊維)、第4図
(焼成繊維)に示した。第3図において、2θが20〜30
°においてブロードなピークを有し、無定形BNと無定形
Cの002の回折ピークが重なりあったものである。この
生成繊維は、結晶化度が低く、ブロードなパターンとな
ることが特徴である。生成繊維を焼成して得た繊維はこ
の熱処理により水素は除去され、X線回折線はよりシャ
ープになり、結晶性が向上したが、第4図に示したとお
り、2θが26°においてBNとCの002の回折ピークが重
なりあったピークとなるが、これはh−BN、h−Cの00
2の回折ピーク(2θが26.5°)よりも低角度であるこ
とが特徴であり、焼成によっても回折ピークが顕著には
鋭くならないものである。
なお、元素分析において、C、H、Nは燃焼法により、
Bはアルカリ分解させたのちICPにより定量分析をおこ
なった。
実施例2 炉内圧力を30mmHgとする以外は実施例1と同様にして、
反応をおこなった。この結果径0.1〜1μmで10μm以
下の種々の形状の繊維が0.3g得られた。繊維の収率は約
10%であった。
実施例1と同様にして生成繊維、焼成繊維の元素分析を
おこなった。この結果を第1表に示した。
実施例3 炉内圧力を400mmHgとする以外は実施例1と同様にし
て、反応をおこなった。この結果、径0.05〜0.3μm、
長さ1〜10μmの繊維が1.1g、収率約30%であった。元
素分析の結果を第1表に示した。また、SEM写真を第2
図に示した。
比較例1 炉内圧力を700mmHgに保持した以外は実施例1と同じ条
件で反応を行ったが繊維は得られず、ホウ素、炭素、窒
素から成る膜、および粉、炭素粉、BN粉しか得られなか
った。
[発明の効果] 本発明の繊維は、耐熱性、化学的安定性、耐熱衝撃性等
に優れた窒化ホウ素の物性とグラファイトの耐薬品性、
高導電性等の物性を併わせ持つものであり各種の材料と
複合させ、高温耐食材料、導電性耐食材料等あるいは電
磁波シールド剤等として各種用途に供すことのできるも
のであり、CVD法により容易に得ることができるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1の繊維の形状のSEM写真、第2図は実
施例3の繊維の形状のSEM写真、第3図は実施例1の生
成繊維のX線回折パターン、第4図は実施例1の焼成繊
維のX線回折パターンを示すものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本質的にホウ素、炭素、窒素からなり、Cu
    Kα線によるX線回折測定による2θが23〜27°の範囲
    に回折ピークを有し、アスペクト比が10以上であること
    を特徴とする繊維。
  2. 【請求項2】ホウ素源ガス、炭素源ガスおよび窒素源ガ
    スからなる混合ガスを金属基体を保持した反応容器内に
    導入し、500mmHg以下の圧力で化学気相析出法により該
    基体上に本質的にホウ素、炭素、窒素からなり、CuKα
    線によるX線回折測定による2θが23〜27°の範囲に回
    折ピークを有し、アスペクト比が10以上である繊維を形
    成することを特徴とする繊維の製造法。
JP63079090A 1988-03-31 1988-03-31 ホウ素、炭素、窒素からなる繊維およびその製造法 Expired - Fee Related JPH0699145B2 (ja)

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