JPH0698650A - ギョウジャニンニクの組織培養による大量増殖法 - Google Patents

ギョウジャニンニクの組織培養による大量増殖法

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JPH0698650A
JPH0698650A JP27550292A JP27550292A JPH0698650A JP H0698650 A JPH0698650 A JP H0698650A JP 27550292 A JP27550292 A JP 27550292A JP 27550292 A JP27550292 A JP 27550292A JP H0698650 A JPH0698650 A JP H0698650A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物組織培養の手法を用いて、ギョウジャニ
ンニクの幼苗を大量に増殖する。 【構成】 ギョウジャニンニクの根茎基部切片を植物ホ
ルモンを含む培地で培養し、不定芽を誘導する。不定芽
を移植して大量に増殖、肥大成長させた後、さらに発根
用培地へ移植し完全な幼植物を育成する。幼植物は馴化
させた後、鉢上げして移植用苗として供給できる。 【効果】 ギョウジャニンニクは自然条件下では増殖率
が非常に低いが、本発明の方法により周年的かつ連続的
に大量の苗を生産、供給することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、組織培養法を利用した
ギョウジャニンニクの大量増殖法の確立に関するもの
で、これにより苗の周年供給およびギョウジャニンニク
の安定的大量生産を可能とする。
【0002】
【従来の技術】ギョウジャニンニクは北海道から本州北
部にかけて自生するユリ科ネギ属の多年草で、これらの
地方では古くから郷土色豊かな山菜として食用に供され
てきた。更に、ギョウジャニンニクはアリチアミン効果
による疲労回復やコレステロール抑制作用、抗血栓作用
などの薬理効果を持つことから健康食品、機能性食品用
の素材として種々の形で加工利用されている。近年の自
然食品ブームとも相まってギョウジャニンニクに対する
需要は飛躍的に高まっているが、供給源はもっぱら山野
に自生する個体の採集に依存しており、また自然環境下
では生育が極めて遅く栽培法も確立されていないため資
源の枯渇が懸念されている。
【0003】ギョウジャニンニクを組織培養により増殖
しようという試みは、根から不時出芽する不定芽を利用
する方法(園芸学雑誌60巻別冊2、P232−23
3、1991)や生長点の培養による増殖法に関する報
告がある(北海道立工業試験場報告、1−24、198
8及び特開平3−247217)。しかし、いずれも増
殖率は種子繁殖と比較して飛躍的な増大とは言い難い。
本発明による方法はこれらの報告と比較して操作がより
簡便である上、はるかに高い増殖率が得られることを特
徴とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は植物組
織培養の手法を用いてギョウジャニンニクの幼苗を大量
に増殖させるための最適条件を確立することであり、そ
れによって大きな需要に対応することができ、ひいては
天然資源の保護にも貢献できる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はユリ科ネギ属植
物であるギョウジャニンニクの鱗茎基部を植物ホルモン
を含む培養培地上で培養して不定芽を誘導し、それをさ
らに増殖、肥大させた後発根させる過程より成る幼苗の
連続的大量増殖法である。
【0006】1.培養に供する植物体の部位 組織培養法を植物の増殖のための手段として適用する場
合、若い葉、茎、鱗茎部、生長点や根部など種々の組織
を使ってカルスや不定芽、不定胚を誘導させる方法が考
えられる。一般に植物の組織培養により増殖を行なう場
合、植物の種により最適な部位は異なることが知られて
おり、一義的に定まるものではなく、部位の選択が重要
である。予備実験の結果、本発明のギョウジャニンニク
の場合は茎盤部を含む根茎基部を培養し不定芽を誘導さ
せる方法が最も効率が良いことが明らかになった。しか
も、本発明において使用される根茎部は生長点を含むご
く限られた小切片である必要はなく、外側の包葉を剥い
で残る直径1cm前後の部分すべてを分割して培養に供試
できるので、従来の方法に比べ格段に大量の不定芽を一
度に誘導することが可能である。
【0007】2.不定芽の誘導 不定芽を誘導させるための培地はMS培地又はMS培地
の無機塩類にB5培地の有機成分を加えたMS改変培地
が使用できる。本願発明におけるMS改変培地は表1に
示す組成のものである。
【0008】
【表1】
【0009】上記培地に添加する植物ホルモンは、オー
キシン類としては、ナフタレン酢酸(NAA)、サイト
カイニン類としてはベンジルアデニン(BA)を組み合
わせて添加することにより効果的に不定芽を誘導するこ
とができる。従来、オーキシンとしてはNAAの他に
2.4ジクロロフェノキン酢酸(2,4−D),サイト
カイニンとしてはBAの他にカイネチンを用いることが
知られているが、予備実験の結果、NAAとBAの組み
合わせが最も好ましいことが明らかになった。さらに、
NAA濃度は0.1〜0.3mg/l、BA濃度は1.
0〜5.0mg/lとするのが好ましい。また、カザミ
ノ酸を100〜500mg/l添加すると更に効率が良
くなる。
【0010】3.不定芽の増殖 最初に誘導された不定芽の集合体(多芽体)は分割して
増殖培地に移植を繰り返すことにより急速にかつ連続的
に不定芽を増殖させることができる。培地は上記と同様
で良く、植物ホルモンはオーキシン濃度を0.1〜0.
2mg/lに、サイトカイニン濃度は1.0〜3.0m
g/lの範囲で使用するのが好ましい。
【0011】4.不定芽の成長と発根の促進 増殖した不定芽はサイトカイニンの濃度で0.1〜0.
5mg/lに下げた培地に移植することにより、増殖率
は低下する代わりに個々の個体は肥大成長が顕著にな
り、一部では発根が観察される場合もある。MS培地成
分の内、主要塩類を2分の1に減らし、植物ホルモンと
してインドール酪酸(IBA)を0.5〜2.0mg/
l添加した培地上で培養すると活発に発根し始め、完全
な幼植物体を得ることができる。
【0012】5.馴化と鉢上げ 発根促進培地上で旺盛な発根が認められかつ茎葉部が3
cm以上に成長した幼植物体は根に付着した寒天を完全に
洗い落としてからバーミキュライトを入れた容器に植え
込み、透明フィルムなどで覆って水分の蒸発を防ぎなが
ら2〜4週間、18〜25℃、光量500〜2,000
Lux 、16時間日長下で育てると植物体全体が外部環境
に耐えられる丈夫さになる。これら幼植物を培養土の入
った鉢や育苗バットに移植して温室内で1カ月以上育て
ることにより戸外の土壌へ移植可能な健全なギョウジャ
ニンニク苗を大量に生産することが可能である。
【0013】
【実施例】ギョウジャニンニク植物体を流水中でよく洗
浄し、1,000倍希釈した市販漂白剤溶液の中で伸長
葉と根を取り除く。クリーンベンチ内で緑色の茎葉部分
と根の着生部分をメスで切除し白色の鱗茎部を取り出
す。この鱗茎部を最初70%エタノール溶液に20〜3
0秒間、次いで20%次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効
塩素濃度1%)に5〜20分間浸漬した後、滅菌水で3
回洗った。次亜塩素酸ナトリウム溶液への浸漬時間は5
分間でも十分と考えられるが、ごくまれに雑菌の混入が
認められた場合があるのでなるべくそれ以上の時間処理
したほうが良いと考えられる。20分間以上の処理はか
えって鱗茎部が薬害を受けるので避けたほうが良い。た
だし、次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度を低くして浸漬
時間を長くすることは可能である。
【0014】消毒した根茎基部は茎盤を含む部分を0.
5〜1cmの厚さに横断し、さらにそれを8〜10個に縦
断分割して不定芽を誘導するための培地に移植した。不
定芽誘導にはMS培地の無機塩類にB5培地の有機成分
を加えたものを基本培地とし、カザミノ酸500mg/
l、オーキシンとしてNAAを0.1〜0.3mg/
l、サイトカイニンとしてBAを0〜5.0mg/l、
蔗糖を30g/lを添加した。pHを5.8に調整し、
0.8%の寒天を加えてオートクレーブ滅菌した後、ク
リーンベンチ内であらかじめ滅菌しておいた培養容器に
分注した。BA濃度を1.0 mg/lに固定したときのN
AA濃度の効果については表2に示したように、0.1 〜
0.3 mg/l区が最も良い成績が得られた。
【0015】
【表2】
【0016】培養開始後6週間目に不定芽の形成を観察
した結果を表3に示した。(NAAは0.1mg/l添
加の場合)
【0017】
【表3】
【0018】表3の結果から、BAの濃度が1.0mg
/l以上で不定芽形成率が明らかに高くなり5.0mg
/lまでその効果が認められた。オーキシンはNAA以
外、例えば2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−
D)を使用した場合不定芽の形成率は2〜4割ほど低下
したことから、NAAとBAの組み合わせが最も適して
いると考えられた。カザミノ酸の添加は不定芽の誘導と
肥大成長に補足的な役割を果しているように思われた。
【0019】成長した不定芽の集合体を分割し、MS培
地またはMS改変培地にNAA0.1mg/l,BA
2.0mg/lを添加した培地上で継代培養すると6週
間毎に2倍以上の増殖率が得られた。継代培養における
BA濃度の影響についての結果を表4に示す。表中の数
値はそれぞれ10回の反復実験の平均値である。
【0020】
【表4】
【0021】表4から明らかなように、BAの濃度は不
定芽の形成と肥大成長に大きな影響を持ち、低濃度では
新しい不定芽の誘導を抑え、既に形成されている不定芽
を成長させる。高濃度では逆に不定芽の成長はそれほど
目立たないが、新しい不定芽の活発な誘導が認められ
た。従って、不定芽を増殖する目的のためには1.0〜
3.0mg/lのBA濃度を、発根培地に移植する前に
個体の発育を促すためには0.1〜0.5mg/lの範
囲の濃度を用いると良い。
【0022】不定芽が3cmほどに成長したら1〜2本ず
つ切り離して発根促進用培地へ移植する。BAの濃度を
低くするか無添加にしてもある程度の発根は認められた
が、本数、長さおよび太さのいずれも馳化できるまで育
てるのに長期間の培養が必要であった。そこで、培地成
分と、BA以外の植物ホルモンの効果について調べた。
その結果、培地成分としてはMS培地成分の主要塩類を
2分の1に希釈した培地が、また、植物ホルモンの種類
ではIBAが特異的に発根促進に効果を持つことが明ら
かになった。表5にIBAの濃度と発根促進効果の関係
を示した。各区とも20反復の平均値で表示した。
【0023】
【表5】
【0024】表5の結果から0.5〜2.0mg/lの
範囲においてIBAの添加は活発な発根を促進させる作
用を有することが推察された。また、MS培地にIBA
を添加しても「普通」〜「悪い」の評価しか得られなか
ったことから、MS培地成分のうち無機塩類を2分の1
に減らすことも発根を促進するうえで重要な要因である
ことが明らかとなった。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、1本の親植物か
ら1年間でフラスコ苗であれば1000本以上、馴化、
鉢上げした成苗でも250本以上の大量増殖が可能であ
る。このようにして誘導、増殖した多数の不定芽を発根
させて馴化、鉢上げすれば、周年的にかつ連続的に大量
のギョウジャニンニク苗を生産供給することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギョウジャニンニクの根茎基部を分割
    し、MS(Murashigeand Skoog )培地又はMS改変培
    地上で培養して複数の不定芽を誘導させ、それらをさら
    に増殖させた後、発根用培地上で発根を促進させて幼植
    物体を大量に得ることを特徴とする組織培養法。
  2. 【請求項2】 組織培養法において不定芽の誘導と増殖
    促進の各段階にオーキシンとしてナフタレン酢酸(NA
    A)を0.1〜0.3mg/l、サイトカイニンとして
    ベンジルアデニン(BA)を1.0〜5.0mg/lの
    範囲で組み合わせた培養培地を使用することを特徴とす
    る請求項1記載の組織培養法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の組織培養法において得ら
    れたシュート(苗条)をMS培地の主要塩類を2分の1
    に減じ、オーキシンとしてインドール酪酸(IBA)を
    0.5〜2.0mg/l添加した培地上で培養すること
    により速やかに発根を促進させ、完全な幼植物体を得る
    ことを特徴とする組織培養法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105265316A (zh) * 2015-11-02 2016-01-27 吉林省蔬菜花卉科学研究院 一种葱属植物鳞茎盘快速繁殖方法
CN105265317A (zh) * 2015-11-02 2016-01-27 吉林省蔬菜花卉科学研究院 一种茖葱快速繁殖方法
CN111492981A (zh) * 2020-06-11 2020-08-07 包头市农牧业科学研究院 一种红葱的组培快繁方法

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CN105265317A (zh) * 2015-11-02 2016-01-27 吉林省蔬菜花卉科学研究院 一种茖葱快速繁殖方法
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