JPH0697985B2 - 流動槽付反応器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本件発明は蛋白等の付着し易い物質を含むものを原料と
する場合に用いられる反応器中の固定化酵素、固定化微
生物（以下、固定化生体触媒という。）の洗浄殺菌及び
ゲル、固定化担体等への有用物質の吸着を容易にする装
置に関するものである。

（従来技術） 従来、固定化生体触媒による生産技術の確率は目ざまし
く、これに用いられる反応器は充填層型、流動層型、撹
拌槽型、膜型等多岐にわたる。これらの反応器内の固定
化生体触媒の洗浄殺菌技術について、特公昭62−33873
号がある。右先行技術は、反応器と固定化生体触媒の洗
浄殺菌機を閉鎖回路で連結し、水中に分散された固定化
生体媒体を循環搬送出来るようにしたものである。

（発明が解決しようとする問題点） 特公昭62−33873号の技術では、固定化生体触媒の洗浄
殺菌機を反応器とは別個に設けたため、反応器使用中は
洗浄殺菌機は運転されておらず非効率的であり、又、洗
浄殺菌機の設置スペースを別個に設けなければならず、
不経済であった。更に、閉鎖回路とはいえ反応器と洗浄
殺菌機は管や弁を介して連結されているため、これらの
設備により固定化生体触媒が汚染されることも少なくな
かった。

更に、従来の流動槽を利用した洗浄殺菌においてはカラ
ムと固定化生体触媒とを別に洗浄していたため、撹拌駆
動系や洗浄駆動系が必要だった。

（問題点を解決する手段） したがって本発明の技術的課題は、設置スペースを別個
に設ける必要がなく、撹拌駆動系や洗浄駆動系の必要が
ない固定化生体触媒の洗浄殺菌やゲル、固定化担体等へ
の有用物質の吸着を容易にする装置を提供しようとする
もので、この技術的課題を解決する本発明の技術的手段
は、固定化生体触媒、ゲル、固定化担体等の流出防止用
網を内装したカラム槽（３）に流動槽（２）を連結し、
先端開口部（13）に固定化生体触媒、ゲル、固定化担体
等の流出防止用網を装着した内管（12）を流動槽内を通
してカラム槽に当接し、該内管（12）は流動槽内を移動
可能にしたことを特徴とする流動槽付反応器である。

（作用） 本発明の作用について、固定化生体触媒による溶出、洗
浄及び殺菌の例を、第１図により説明すると、基質を含
んだ溶液は、内管（12）の溶液口（12A）より下降し、
流出防止用上網（14）から充填室（17）に至り、固定化
生体触媒により反応する。反応液は、流出防止用下網
（15）を通過して管（９）から次の工程に至る。

固定化生体触媒に蛋白等が付着して圧力損失が激しく、
固定化生体触媒を洗浄、殺菌をしたい場合には、内管
（12）を上昇させ、先端開口部（13）の外面を上部漏斗
状部（４）の上内面に当接させる。そして漏斗状の管
（９）より、洗浄液を高圧で流入させ、先端開口部（1
3）から内管（12）を通過させ排出する。そうすること
により、固定化生体触媒は、流動槽（２）の上部漏斗状
部（４）の流出防止用上網（14）から、カラム槽（３）
の下端の流出防止用下網（15）まで、自由に移動可能で
あるから、洗浄水は主として流動槽（２）内で渦巻き流
が生じ、固定化生体触媒は右洗浄水の渦巻き流により、
撹拌洗浄される。右洗浄後、固定化生体触媒は、第４級
アンモニュウム塩等の界面活性剤にて殺菌するが、洗浄
の方法と同様に殺菌液を漏斗状の管（９）より高圧で流
入させ、先端開口部（13）から内管（12）を通過させ排
出させる方法で行う。その後、殺菌液流を止めると、洗
浄殺菌された固定化生体触媒は、カラム槽（３）まで沈
降する。その後内管（12）の先端開口部（13）の外周端
をカラム槽（３）の内壁（3A）に当接させる。そして、
流動槽（２）内に残った残液を先端開口部（13）より、
上方にある洗浄液等出口（10）より外部に排出する。

（実施例） 次ぎに、本発明の一実施例について説明すると、（１）
は、反応器であり、中空の流動槽（２）の下部に中空の
カラム槽（３）が接続されている。流動槽（２）は、中
心の円筒部（５）とその上下の上部漏斗状部（４）、下
部漏斗状部（６）とは、上部漏斗状部（４）の下部フラ
ンジ（4B）と円筒部（５）の上部フランジ（5A）及び円
筒部（５）の下部フランジ（5B）と下部漏斗状部（６）
の上部フランジ（6A）とをボルト締めすることにより、
接続されている。

下部漏斗状部（６）の下部には、フランジ（6B）があ
り、カラム槽（３）の上部フランジ（3A）とクランプ継
手（７）を介して接続されている。又カラム槽（３）の
下部フランジ（3B）は、漏斗状の管（９）の上部フラン
ジ（9A）とクランプ継手（８）を介して接続されてい
る。カラム槽（３）の上部には、洗浄液等出口（10）が
あり、その下方のカラム槽（３）の外周には、ジャケッ
ト（11）が周設され、（11A）、（11B）はジャケット内
に充填される冷却水の入口と出口である。

（12）は内管であり、上部漏斗状部（４）の内管挿入口
（4A）を貫通しており、その先端には漏斗状の先端開口
部（13）が延設され、先端開口部（13）の外面に流出防
止用上網（14）が冠設されている。先端開口部（13）の
外周端はカラム槽（３）の内壁（3A）と当接自在となっ
ている。なお、内管（12）は昇降自在であり、固定化生
体触媒の洗浄殺菌をしたい場合には、内管（12）を上昇
させ、先端開口部（13）の外面を上部漏斗状部（４）の
上内面に当接させれば良い。

カラム槽（３）の下端には、流出防止用下網（15）が設
けられており、固定化生体触媒（16）は、流出防止用上
網（14）と内壁（3A）と流出防止用下網（15）で囲まれ
た充填室（17）に充填されている。（18）は固定化生体
触媒のサンプル取出口であり、（19）は、サンプル取出
口（18）に挿入自在となっているサンプル管であり、そ
の端部には、ピンチコック（図示せず）が設けられてい
る。サンプル管（19）をサンプル取出口（18）から出し
入れすることにより、充填室（17）の液や固定化生体触
媒が自由に取り出せる。なお、カラム槽の内圧が大気圧
より高いため、液や固定化生体触媒を取り出すのに特段
の技術的手段は必要ない。このようにサンプルを取り出
すことにより、固定化生体触媒の洗浄殺菌状況や溶出能
力を調べることが出来る。

なお本発明の反応器は、下向流式充填層型反応器に限定
されるものではなく、上向流式充填層型反応器にも適用
出来、又流動層型反応器としても使用可能である。

更に、内管（12）を上昇させ、先端開口部（13）の外面
を上部漏斗状部（４）の上内面に当接させた状態で、流
出防止用上網（14）と流出防止用下網（15）間に充填さ
れているゲル、固定化担体へ管（９）から有用物質を流
入、吸着させることが可能である。

（効果） 本発明によれば、固定化生体触媒の洗浄殺菌機構を反応
器の内部に設けたため、別個に洗浄殺菌機の設置スペー
スを設ける必要がなく、非常に効率的であり、経済的で
ある。

又、反応器外に洗浄殺菌用の管や弁を設けていないた
め、これらの設備により固定化生体触媒が汚染されるこ
とも無くなった。

又、洗浄液や殺菌液を高圧で流入させるだけなので、撹
拌駆動系や洗浄駆動系が不必要である。

又、ゲル、固定化担体等への有用物質への吸着も可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す一部断面を含んだ斜
面図、 第２図は、第１図の断面図、 第３図は、カラム部分の詳細図である。 ２……流動槽 ３……カラム槽 ４……上部漏斗状部 4A……内管挿入口 12……内管 13……先端開口部 14……流出防止用上網 15……流出防止用下網 20……エアー抜き

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土岐 良一 埼玉県狭山市入間川２―３―９ 三田狭山 ガーデン303 (72)発明者 桑水流 守 埼玉県川越市南大塚1265―153 (72)発明者 下田 幸三 東京都練馬区南大泉１―34―９ (72)発明者 吉田 友衛 埼玉県所沢市北秋津876―２―Ｅ棟204

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】流出防止用網を内装したカラム槽に流動槽
   を連結し、先端開口部に流出防止用網を装着した内管を
   流動槽内を通してカラム槽に当接し、該内管は流動槽内
   を移動可能にしたことを特徴とする流動槽付反応器
2. 【請求項２】内管の先端開口部は、漏斗状又は円筒状と
   した特許請求の範囲第１項記載の流動槽付反応器