JPH0697481A - ホモ接合半導体装置とそれを用いた光電変換半導体装置の製造方法 - Google Patents

ホモ接合半導体装置とそれを用いた光電変換半導体装置の製造方法

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JPH0697481A
JPH0697481A JP4244375A JP24437592A JPH0697481A JP H0697481 A JPH0697481 A JP H0697481A JP 4244375 A JP4244375 A JP 4244375A JP 24437592 A JP24437592 A JP 24437592A JP H0697481 A JPH0697481 A JP H0697481A
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thin film
iii
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atom
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JP4244375A
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English (en)
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Shigemi Furubiki
重美 古曵
Takayuki Negami
卓之 根上
Mikihiko Nishitani
幹彦 西谷
Takahiro Wada
隆博 和田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 I-III-(VI)2のカルコパイライト化合物半導
体薄膜と格子定数、基体表面に対する配向性、表面モホ
ロジーを整合可能とし、デバイス特性を改善したホモ接
合半導体装置および光電変換半導体装置を提供する。 【構成】 Mo下部電極上に、CuInSe2薄膜、ZnOおよびIT
O薄膜を具備した素子を製造し、これにN原子のイオン線を
加速して照射し、CuInSe2薄膜中にホモ接合を形成し、光
電変換半導体装置を作製した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高効率太陽電池あるいは
非線形素子等に利用され得る、制御性の良いカルコパイ
ライト型化合物半導体ホモ接合に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化学式((Ia)1-x-(Ib)x)-((III
a)1-y-(IIIb)y)-((VIa)1-z-(VIb)z2(但し、上付サ
フィックスaおよびbは、それぞれ同族の異種原子を表
す。)で表される同族原子同士を置換したカルコパイラ
イト構造の化合物半導体は報告されている。このような
カルコパイライト結晶構造中で、母体となるI族、III族
およびVI族原子を、Ia原子とIb原子、IIIa原子とIIIb
子、VIa原子とVIb原子で置き換えると、電気的特性や、
光学的特性など各種の物性が変化する事が知られいる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、((Ia)1-x-(Ib)
x)-((IIIa)1-y-(IIIb)y)-((VIa)1-z-(VIb)z2で表
される同族原子同士を置換したカルコパイライト構造の
化合物半導体薄膜、または、非化学量論比組成の化学式
((I)x-(III)y)-(VI)2(但し、x+y=2)で表され
るカルコパイライト化合物半導体薄膜は、格子定数、基
体表面に対する配向性、表面モホロジーが異なり、薄膜
p−n接合を作製した場合、接合界面で多くの欠陥を生
じる。その結果、界面に高密度の再結合センターが存在
する事になり、例えば太陽電池、光センサなど半導体装
置の特性を劣化させるという課題があった。すなわち、
図1に典型例を示すように、従来は太陽電池に例えばC
dS/CuInSe2などのヘテロ接合を用いていた。
この場合、接合界面での格子不整合と、それにともなう
高密度の再結合センターの存在とにより、半導体装置の
特性が劣化するという課題があった。
【0004】本発明は、接合界面での格子不整合と、高
密度の再結合センターに起因する上記の問題点を解決
し、半導体装置の特性を向上することと、特性を向上し
た半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】化学式I-III-(VI)
2-x(V)xで表されるカルコパイライト構造と、化学式I-
III-(VI)2-x(VII)xとで表されるカルコパイライト構造
とがホモ接合した半導体装置によって、かかる従来の課
題を克服した。
【0006】また、このホモ接合した半導体装置を用い
た光電変換半導体装置は、不透明基体上に電極を形成
し、この電極上に化学式I-III-(VI)2で表されるカルコ
パイライト構造薄膜を形成し、この薄膜上に透明電極を
形成した後、加速したV族、VII族、または0族原子の何
れかのイオン線を用いて、薄膜中にカルコパイライト構
造のホモ接合を形成する製造方法か、透明基体上に透明
電極を形成し、前記電極上に化学式I-III-(VI)2で表さ
れるカルコパイライト構造薄膜を形成し、前記薄膜上に
電極を形成した後、加速したV族、VII族、または0族原
子の何れかのイオン線を用いて、前記薄膜中にカルコパ
イライト構造のホモ接合を形成する製造方法かによって
製造できる。
【0007】
【作用】化学量論比組成の化学式I-III-(VI)2で表され
るカルコパイライト化合物半導体薄膜は、p型の伝導型
を持つものが得難いとされている。これはI-III-(VI)2
カルコパイライト化合物半導体の電子構造が、基本的に
I-VI族原子のd−p軌道混成により支配されている事と
関係があり、最高被占準位を支配するVI族原子をV族原
子で置換すれば、当然価電子帯に空孔が導入される事に
なる。すなわち、化学量論比組成のI-III-(VI)2-x(V)x
カルコパイライト化合物半導体は、p型の伝導型を持
つ。
【0008】このI-III-(VI)2中でのV族原子がVI族原子
の置換することでn型からp型への伝導型の転換によ
り、ホモ接合半導体装置を構成できる。このホモ接合半
導体装置は、同一の結晶構造で格子定数を整合させるこ
とができ、接合界面に生じる欠陥を減少させ、例えば太
陽電池、光検出器等のデバイス特性の劣化を抑えること
ができる。
【0009】化学式I-III-(VI)2-x(V)xまたはI-III-(V
I)2-x(VII)x(以下、同族原子同士で置換したものと非
化学量論比組成のものを含めて、VI族原子をV族原子で
置換したカルコパイライト構造の化合物半導体を化学式
I-III-(VI)2-x(V)xで、また、VI族原子をVII族原子で置
換したカルコパイライト構造の化合物半導体をI-III-(V
I)2-x(VII)xで表わす。)で表されるカルコパイライト
構造の化合物半導体薄膜と、化学式I-III-(VI)2(以
下、同族原子同士で置換したカルコパイライト構造の化
合物、非化学量論比組成のカルコパイライト構造の化合
物とを含め、VI族原子をV族原子で置換していないカル
コパイライト構造の化合物半導体を、化学式I-III-(VI)
2で表わす。)で表されるカルコパイライト化合物半導
体薄膜とでホモ接合を形成すると、伝導型の異なる半導
体層がエピタキシャル成長し、格子定数や基体表面に対
する配向性、表面モホロジーが整合可能となる。従っ
て、本発明のホモ接合半導体装置では、従来のヘテロ接
合半導体装置に比べて上記のデバイス特性が改善される
ことになる。
【0010】
【実施例】本発明は、VI族原子を異なる族の原子、例え
ばV族またはVII族原子で置換した化学式I-III-(VI)
2-x(V)x、または、I-III-(VI)2-x(VII)xで表されるカル
コパイライト構造の化合物半導体を用いたホモ接合半導
体装置を開示するものである。化学式I-III-(VI)2-x(V)
xはp型を呈し、また、化学式I-III-(VI)2-x(VII)xはn
型を呈する。
【0011】なお、VI族原子を更にV族原子またはVII族
原子で置換した((Ia)1-x-(Ib)x)-((IIIa)1-y-(IIIb)
y)-((VIa)1-z-(VIb)z2-p(V)pカルコパイライト化合
物、または、((Ia)1-x-(Ib)x)-((IIIa)1-y-(II
Ib)y)-((VIa)1-z-(VIb)z2-p(VII)pカルコパイライ
ト化合物にすると、各種半導体装置の設計に利用できる
物性がさらに大きく広がるため好ましい。
【0012】また、本発明のホモ接合半導体装置に適用
されるV族原子はN、P、As、Sb、Bi等を表し、
また、VII原子はF、Cl、Br、Iを表す。また、こ
れらV族原子の一部を更に他のV族原子で(すなわちVa
子とVb原子)、VII族原子の一部を更に他のVII族原子
(すなわちVIIa原子とVIIb原子)で置換した半導体装置
も、本発明に含まれること勿論であり、このようにV族
原子の一部をV族原子同士で置換またはVII族原子の一部
をVII族原子同士で置換することによって、利用できる
物性をもっと大きく広げることになる。
【0013】本発明のホモ接合半導体装置は、予め作製
されたI-III-(VI)2に、VII族原子またはV族原子の何れ
かを導入することによって作製できる。例えば、予め作
製されたI-III-(VI)2にVII族原子のイオン線を用いると
I-III-(VI)2-x(VII)xで表されるカルコパイライト構造
の化合物半導体が形成でき、I-III-(VI)2-x(VII)2は、
伝導帯下部に電子が導入されn型の伝導型を持つことに
なる。このように、I-III-(VI)2中でのV族またはVII族
原子によるVI族原子の置換により、n型とp型との伝導
型制御およびホモ接合半導体装置の作製が可能となる。
これにより同一の結晶構造で格子定数を整合させること
ができ、接合界面に生じる欠陥を減少させ、例えば太陽
電池、光検出器等デバイスの、特性劣化を抑えることが
できる。
【0014】また、カルコパイライト構造の化合物半導
体薄膜の金属原子成分の組成を厳密に化学量論比に制御
し、結晶構造中のVI族原子の置換のみによりに伝導型制
御を行うことが可能となるため、例えば過剰の金属成分
およびそれに起因する金属間化合物などの析出、カルコ
パイライト構造以外の異相化合物の出現等、電気特性に
悪影響を与える現象が起こらず、各種半導体装置のデバ
イス特性が改善されダブルヘテロ、トリプルヘテロなど
の構造作成も可能となる。
【0015】本発明のホモ接合半導体装置は、例えばC
uInSe2等で代表されるカルコパイライト構造の化
合物半導体薄膜を基本構成とし、例えば太陽電池など光
電変換素子に応用する場合特に有効である。
【0016】本発明のホモ接合半導体装置を用いた光電
変換半導体装置は、予め基体上に形成した下部電極上
に、化学式I-III-(VI)2で表されるカルコパイライト構
造薄膜を形成し、この薄膜に上部電極を形成した後、加
速したV族原子のイオン、VII族原子のイオンまたは0族
原子イオンの何れかのイオン線を用いて、導電型を変換
したカルコパイライト構造薄膜をホモ接合層を形成する
工程を含む。
【0017】基体としては、例えばガラス等の透明材料
もしくは例えばステンレス等の不透明材料の何れであっ
てもよい。また、下部電極材料としては、基体が不透明
材料の場合には例えばモリブデン等の材料が適応でき、
基体が透明材料の場合には光を通す例えばITO等の透
明電極材料が適用できる。但し、基体が不透明材料に場
合には上部電極が透明電極である必要がある。なお、透
明電極には例えばZnO等の光を透過する導電性の材料
を介していてもよいこと勿論である。また、上部電極材
料についても、下部電極材料と同様な材料が適応でき
る。
【0018】予め下部電極上に形成するI-III-(VI)2
構造のカルコパイライト構造薄膜の形成方法としては、
例えばMBE法、スパッタ法、抵抗加熱法等通常の薄膜
形成方法が適用できる。
【0019】また、加速したV族、VII族または0族原子
のイオン線としては、電子線照射しイオン化した後、例
えばイオン加速機等の通常の手法で加速して用いられ
る。
【0020】このように、本発明の光電変換半導体装置
の製造方法は、光電変換半導体装置の基本構成を作製し
た後で、イオン注入によってホモ接合を形成するため、
製造工程が簡略化でき、また、光電変換半導体装置の変
換効率の微調整等にも応用できるため、歩留まりが向上
できる効果もある。
【0021】なお、加速したV族原子のイオン線を照射
するとn型からp型に変換でき、VII族原子のイオン線
または0族原子のイオン線を照射するとp型からn型に
変換できる。但し、p型からn型に変換するには通常VI
I族原子のイオン線を用いる方が、光電変換素子構造に
与えるダメージが少ないため好ましい。
【0022】(実施例1)カルコパイライト構造化合物
半導体CuInSe2と、そのVI族原子Seの一部をV族
原子Nで置換したCuInSe2-xxについて述べ、そ
の後n型CuInSe2−p型CuInSe2-xxホモ
接合無公害太陽電池について述べる。
【0023】図2は、本発明のホモ接合化合物半導体薄
膜および光電変換半導体装置作成装置の一実施例を示
す。この作成装置は、少なくとも超高真空糟1内部に加
熱および冷却が可能な基体ホルダー2と、I-III-(VI)
2-x(V)x化合物半導体薄膜の成分原子であるI族、III
族、VI族、V族原子(本実施例ではCu、In、Se、
N)の分子線源3およびイオン線源4を有しており、ま
た半導体装置作成に必要なスパッタ成膜や電子ビーム成
膜のためスパッタターゲット5、イオン銃6、電子ビー
ム蒸着用ターゲット7、電子銃8、薄膜の評価に必要な
電子銃9、蛍光スクリーン10、電子エネルギ分析装置
11、X線源12、イオン銃13、質量分析器14、レ
ーザー光源15、分光器16、そして雰囲気制御可能な
試料処理糟17も具備している。
【0024】超高真空糟1中のベース圧力を回転ポン
プ、油拡散ポンプ、イオンポンプ、ターボポンプ、Ti
サブリメーションポンプなどを併用して10-10ミリバ
ールまで下げる。表面を脱脂洗浄した石英ガラスを基体
18として用いる。基体18上に先ずMo電極層を形成
するため、Mo電子ビーム蒸着用ターゲット7および電
子銃8を用いて電子ビーム蒸着し、対抗面上の石英ガラ
ス表面にMoを付着させた。
【0025】その後、このMo電極層付きの基体19を
薄膜作成糟20中の基体ホルダー2に移動し装着し、C
uInSe2およびCuInSe2-xxを作成した。ま
ず、Mo電極層上にn型のCuInSe2層を、5×1
-7m程度の厚みで作成した。次いで、p型の伝導型を
有するCuInSe2-xx層を、10-6m程度の厚みで
作成した。
【0026】Cu、In、Se、Nの各分子線源3また
はイオン線源4としては、いわゆる固体のKセルやガス
ソースのKセルのほかに、蒸気圧を利用した液体の分子
線またはイオン線源やハロゲン化金属を用いた分子線、
またはイオン線源等が適応できる。本実施例ではCu、
In、Seの分子線源として、各々の金属を用いた。金
属を熱蒸発させ、その金属蒸気の出口部分に細孔を有す
る蓋をもうけ、その射出方向を基体ホルダー2上の基体
19表面とした。蒸発源と基体19表面との間に、各々
シャツター21を設けた。また、Nイオン線源のソース
としては窒素ガスを用い、これを加熱し、電子衝撃を繰
り返して高密度のプラズマを作成した。
【0027】これを2段のレンズ系で加速集束し、扇形
磁場を通して質量分離を行いN+イオンとし、更に多段
のレンズ系を用いて集束した後減速し、基体19表面上
を低速のイオン線で掃引する。
【0028】但し、その場でCuInSe2-xx層とC
uInSe2層とを最初から作り分ける場合は、このN
イオン線のON/OFFとCu、In、Seの分子線強
度調整、並びに基体ホルダー2の温度調整を行う。ま
た、先にCuInSe2層が形成されている場合、また
はCuInSe2単結晶がある場合には、あとで所望の
厚みのCuInSe2-xx層を作ることになる。この場
合は、Nイオン線のレンズ最終段での加速エネルギを、
所望の厚みが得られるプロジェクションレンジまで引き
上げ、Nをドープすれば良い。例えば10-6m程度のp
型層を得ようとする場合、加速エネルギを104eV程
度に加速しNをドープすれば良い。本実施例では、Cu
InSe2-xx層とCuInSe2層との作成時に、N
イオンを50eVに加速し、さらに基体ホルダー2温度
を各々650Kと、750Kとにした。なお、Cu、I
n、Seの各々の分子線強度の調整は、各々のKセルの
温度を1400〜1450K,1100〜1150K,
400〜450Kの範囲内で調整する事により実現し
た。分子線強度のより厳密なモニタリングには、水晶振
動子を用いた膜厚計よりもイオンモニタを用いる方が好
ましい結果をもたらした。
【0029】太陽電池では、保護膜並びに透明電極層と
してZnO層を用いる。ZnO透明電極層を形成するた
め、ZnOスパッタターゲット5を、イオン銃6を用い
てArイオンでスパッタし、対抗面上のCuInSe
2-xx層表面に、ZnOを付着させる。さらに、その上
にITO透明電極層23を形成するため、ITOスパッ
タターゲットをイオン銃6を用いてArイオンでスパッ
タした後、試料処理糟17中で10-5ミリバールの酸素
を導入しながら400Kで1時間熱処理を行った。
【0030】図3、図4は本発明の製造方法で作成した
CuInSe2-xxおよびCuInSe2との、各々X
線回折図形およびラマン散乱スペクトルである。これら
より、同一の結晶構造で整合する格子定数を有し、金属
間化合物などの析出、または、カルコパイライト構造以
外の異相化合物の出現等の認められない化合物半導体薄
膜が得られた事がわかる。
【0031】(表1)に試料A:CuInSe2-x
xと、B:CuInSe2よの導電率と伝導型を示した。
この表から明かなように、化学量論比のカルコパイライ
ト構造CuInSe2は、高抵抗のn型であるが、CuI
nSe2-xxは化学量論比のカルコパイライト構造薄膜
であるにもかかわらず、SeのNによる置換のため、低
抵抗p型となっている。
【0032】
【表1】
【0033】図5、図6は、本発明の製造方法で作成し
たCuInSe2-xxとCuInSe2の各々Cu2p
準位、価電子帯のX線光電子スペクトルである。これら
よりSeのNによる置換のため、CuInSe2価電子
帯に注入された空孔は、Seの結晶サイトに局在し、最
高被占準位であるCud−Sep反結合分子軌道に位置
して、その電気的特性を支配している事がわかる。
【0034】従来例において既に述べたが、従来はCu
InSe2とCdSのヘテロ接合により太陽電池が構成
されていた。これは有毒物質、公害物質であるCdを用
いており、地球環境問題の観点からも、またヘテロ接合
界面での格子不整合と、それによる再結合センターによ
る特性上の制約というエネルギー問題の観点からも好ま
しい構造ではない。一方本発明の光電変換半導体装置
は、例えばCuInSe 2に代表されるI-III-(VI)2
ルコパイライト構造化合物半導体薄膜のホモ接合を用い
ることにより、有毒物質、公害物質であるCdを使用せ
ず、さらに接合界面での格子不整合と、それによる再結
合センターによる特性上の制約を減少させる新規な無公
害、高性能の太陽電池構造およびその作製方法を示すも
のである。
【0035】図7にその典型的な例を示したが、不透明
もしくは透明基体上に例えばMoなどの下部金属電極、
その上に例えばCuInSe2に代表される化学式I-II
I-(VI)2で表されるカルコパイライト構造の薄膜、その
上にZnOやIn23などの透明電極という構造を形成
したのちに、加速したV族、またはVII族、または0族原
子のイオン線を用いて、カルコパイライト構造薄膜中に
ホモ接合を形成する。イオン線の加速エネルギーは、上
部透明電極を通過し、カルコパイライト薄膜中で所望の
深さでホモ接合を形成するのに必要なエネルギーであれ
ば良く、また、イオンのドーズ量はカルコパイライト薄
膜中で伝導型の変化を生じるのに充分な量であれば良
い。したがって、このドーズ量は、はじめに構造を形成
した素子中のカルコパイライト薄膜の結晶性の善し悪し
より変動することは自明である。このはじめに構造を形
成した素子中のカルコパイライト薄膜の伝導型が、n型
であればV族原子のイオン線を加速して用い、逆に素子
中のカルコパイライト薄膜の伝導型がp型であればVII
族原子のイオン線を加速して用いれば良い。また、カル
コパイライト薄膜の伝導型がp型であれば、0族原子の
イオン線を加速して用いることもできる。V族、またはV
II族原子のイオン線を用いてカルコパイライト構造薄膜
中にホモ接合を形成する機構は、これまでに述べたドー
ピングによるものであるが、0族原子のイオン線を用い
る場合は、ドーピングによるものではなくイオン注入時
に生成するドナー型の結晶欠陥、つまり例えばSe空孔
を用いるものである。イオン注入時に生成する結晶欠陥
の分布は、注入原子の分布よりも小さな飛程を持つた
め、p型カルコパイライト薄膜に0族原子のイオン線を
適用してホモ接合を形成する場合は、V族またはVII族原
子のドーピングの場合に比べ、より大きな加速エネルギ
ーが必要である。ドーピング工程の一部としてイオン注
入後のアニール工程が含まれることは自明であり、この
アニールの条件がイオン注入時の加速エネルギー、ドー
ズ量、はじめのカルコパイライト薄膜の結晶性など、色
々な条件でさまざまに変化することも自明である。
【0036】なお、本実施例ではCuInSe2のSe
をNで置換した場合について述べたが、カルコパイライ
ト構造化合物半導体p型CuInSe2と、VI族原子S
eをVII族原子Clにより置換したn型CuInSe2-x
Clxを用いてホモ接合を形成する事も勿論可能であ
る。また、本実施例では一つの例しか述べていないが、
この逆の構造の素子構造を持つ場合も同様であることは
自明である。
【0037】(実施例2)カルコパイライト構造化合物
半導体p−CuInSe2-xxとn−CuInSe2-x
Clxとを例にとり、化学式I-III-(VI)2-x(V)xと、化学
式I-III-(VI)2-x(VII)xで表されるカルコパイライト構
造のホモ接合半導体装置ついて述べる。
【0038】実施例1で説明した図2の装置を用いて、
光電変換半導体装置を製造した。なお、実施例1と異な
る点は、(実施例ではCu、In、Se、NおよびCl)の分子
線源3またはイオン線源4にCu、In、Se、Nおよ
びClを用いた点である。
【0039】実施例1と同様に、超高真空糟1中のベー
ス圧力を回転ポンプ、油拡散ポンプ、イオンポンプ、タ
ーボポンプ、Tiサブリメーションポンプなどを併用し
て10-10ミリバールまで下げた。表面を脱脂洗浄した
石英ガラスを、基体18として用いた。基体18上に先
ずMo電極層を形成するため、Mo電子ビーム蒸着用タ
ーゲット7、電子銃8を用いて電子ビーム蒸着し、対抗
面上の石英ガラス表面にMoを付着させた。その後、こ
のMo電極層付きの基体19を、薄膜作成糟20中の基
体ホルダー2に移動し装着し、CuInSe2-xxおよ
びCuInSe 2-xClx薄膜p−nホモ接合半導体装置
の作成にとりかかる。まず、Mo電極層上に、n型のC
uInSe2-xClx層を5×10-7m程度の厚みで作成
し、その上にp型の伝導型を有するCuInSe2-xx
層を10-6m程度の厚みで作成した。化学量論比のCu
InSe2はMo電極層との接着が良くないため、普通
は僅かにCu成分の多いp型のCuInSe2層をMo
電極上に形成し、その後n型のCuInSe2層を形成
してn−p接合を形成するが、この方法では、作成温度
などのプロセス上、また装置構成上での制約が多く、余
り良い方法ではなかった。本発明では接着性を得るため
に、僅かにCu成分の多いCuInSe2層をMo電極
上に形成するが、そのSeの一部をClで置換すること
によりn型化するので、従来法よりプロセス上、また装
置構成上での制約が格段に減少する。Cu、In、S
e、N、Clの分子線源3またはイオン線源4として
は、いわゆる固体のKセルやガスソースのKセルのほか
に、蒸気圧を利用した液体の分子線またはイオン線源や
ハロゲン化金属を用いた分子線またはイオン線源を用い
られるが、本実施例ではCu、In、Seの分子線源と
してそれぞれの金属を用いた。金属を熱蒸発させ、その
金属蒸気の出口部分に細孔を有する蓋を設け、その射出
方向を基体ホルダー2上の基体19表面とした。蒸発源
と基体19表面の間に、各々シャツター21を設けた。
Nイオン線源のソースとしては窒素ガスを用い、これを
加熱し、電子衝撃を繰り返して高密度のプラズマを作成
した。また、Clイオン線源のソースとしては金属原子
の塩化物を用い、これを加熱し、電子衝撃を繰り返して
高密度のプラズマを作成した。これらを2段のレンズ系
で加速集束し、扇形磁場を通して質量分離を行いN+
Cl+のイオンとし更に多段のレンズ系を用いて集束し
た後減速し、基体19表面上を低速のイオン線で掃引す
る。その場でCuInSe2-xx層とCuInSe2-x
Clx層とを最初から作り分けるため、このN、Clイ
オン線のON/OFFとCu、In、Seの分子線強度
調整、並びに基体ホルダー2の温度調整を行った。さき
にCuInSe2層が形成されている場合、またはCu
InSe2単結晶がある場合は、あとで所望の厚みのC
uInSe2-xx層とCuInSe2-xClx層を作らな
ければならない。この場合は、N、Clイオン線のレン
ズ最終段での加速エネルギを、所望の厚みが得られるプ
ロジェクションレンジまでそれぞれ引き上げ、N、Cl
をドープすれば良い。10-6m程度のn型層を得ようと
する場合、加速エネルギを105電子ボルト程度にに加
速しClをドープすれば良い。10-6m程度のp型層を
得ようとする場合、加速エネルギを104電子ボルト程
度に加速し、Nをドープすれば良い。本実施例ではCu
InSe2-xx層とCuInSe2-xClx層の作成時
に、N、Clイオンをそれぞれ50eVに加速し、さら
に基体ホルダー2温度をそれぞれ650K、750Kと
した。Cu、In、Seの分子線強度の調整は、それぞ
れのKセルの温度を1400〜1450K,1100〜
1150K,400〜450Kの範囲内で調整する事に
より実現した。分子線強度のより厳密なモニタリングに
は、水晶振動子を用いた膜厚計よりも、イオンモニタを
用いる方が好ましい結果をもたらした。
【0040】
【発明の効果】本発明は、によりこれまでに報告されて
いない、化学式I-III-(VI)2-x(V)xまたはI-III-(VI)2-x
(VII)xで表されるカルコパイライト構造化合物半導体と
I-III-(VI)2とのホモ接合半導体装置を新たに得る事が
できる。
【0041】このI-III-VI2中でのV族原子によるVI族原
子の置換にともなうn型からp型への伝導型の転換、お
よびVII族原子によるVI族原子の置換にともなうp型か
らn型への伝導型の転換、およびそれに伴うホモ接合の
形成により、同一の結晶構造で格子定数を整合させるこ
とができ、接合界面に生じる欠陥を減少させ、太陽電
池、光検出器等デバイスの、特性劣化を抑えることがで
きる効果がある。
【0042】また、カルコパイライト構造の化合物半導
体薄膜の金属原子成分の組成を厳密に化学量論比に制御
し、結晶構造中のVI族原子の置換のみによりに伝導型制
御を行うことが可能となるため、過剰の金属成分および
それに起因する金属間化合物などの析出、カルコパイラ
イト構造以外の異相化合物の出現等、電気特性に悪影響
を与える現象が起こらず、各種半導体装置のデバイス特
性が改善される効果がある。
【0043】また、光電変換素子構造の形成後に加速し
たイオン線を用い、カルコパイライト構造薄膜中にホモ
接合を形成する技術を用いることにより、従来用いられ
ていたヘテロ接合形成による格子不整合とそれにともな
う再結合センターによる特性劣化の問題を解決し、さら
に有害物質、公害物質であるCdを使用しない無公害太
陽電池を実現し、エネルギーや地球環境などの問題解決
にも貢献できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のCdS/CuInSe2ヘテロ接合太陽
電池の構造
【図2】本発明光電変換半導体装置を製造する装置の一
実施例
【図3】本発明の製造方法で作成したCuInSe2-xNxとCuI
nSe2のX線回折図
【図4】本発明の製造方法で作成したCuInSe2-xNxとCuI
nSe2のラマン散乱スペクトル
【図5】本発明の製造方法で作成したCuInSe2-xNxとCuI
nSe2のCu2p準位のX線光電子スペクトル
【図6】本発明の製造方法で作成したCuInSe2-xNxとCuI
nSe2の価電子帯のX線光電子スペクトル
【図7】本発明の光電変換半導体装置の一実施例の製造
工程を説明する断面概略図
【符号の説明】
1 超高真空糟 2 基体ホルダー 3 分子線源 4 イオン線源 5 スパッタターゲット 6 イオン銃 7 電子ビーム蒸着用ターゲット 8 電子銃 9 電子銃 10 蛍光スクリーン 11 電子エネルギ分析装置 12 X線源 13 イオン銃 14 質量分析器 15 レーザー光源 16 分光器 17 試料処理糟 18 石英ガラス基体 19 Mo電極層付きの基体 20 薄膜作成糟 21 シャツター 22 ZnO層 23 ITO透明電極層 24 Mo電極層 25 CuInSe2 26 CuInSe2-xNx
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 隆博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学式I-III-(VI)2-x(V)xで表されるカル
    コパイライト構造と、化学式I-III-(VI)2-x(VII)xとで
    表されるカルコパイライト構造とがホモ接合したことを
    特徴とするホモ接合半導体装置。
  2. 【請求項2】不透明基体上に電極を形成し、前記電極上
    に化学式I-III-(VI)2で表されるカルコパイライト構造
    薄膜を形成し、前記薄膜上に透明電極を形成した後、加
    速したV族、VII族、または0族の何れかの原子のイオン
    線を用いて、前記薄膜中にカルコパイライト構造のホモ
    接合を形成することを特徴とする光電変換半導体装置の
    製造方法。
  3. 【請求項3】透明基体上に透明電極を形成し、前記電極
    上に化学式I-III-(VI) 2で表されるカルコパイライト構
    造薄膜を形成し、前記薄膜上に電極を形成した後、加速
    したV族、VII族、または0族の何れかの原子のイオン線
    を用いて、前記薄膜中にカルコパイライト構造のホモ接
    合を形成することを特徴とする光電変換半導体装置の製
    造方法。
JP4244375A 1992-09-14 1992-09-14 ホモ接合半導体装置とそれを用いた光電変換半導体装置の製造方法 Pending JPH0697481A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998033219A1 (fr) * 1997-01-24 1998-07-30 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha SEMI-CONDUCTEUR DU TYPE p, SON PROCEDE DE FABRICATION, DISPOSITIF A SEMI-CONDUCTEUR, ELEMENT PHOTOVOLTAIQUE, ET PROCEDE DE FABRICATION DU DISPOSITIF A SEMI-CONDUCTEUR
WO2005069386A1 (ja) * 2004-01-13 2005-07-28 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 太陽電池とその製造方法

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