JPH0696799A - 二次電池 - Google Patents

二次電池

Info

Publication number
JPH0696799A
JPH0696799A JP4271203A JP27120392A JPH0696799A JP H0696799 A JPH0696799 A JP H0696799A JP 4271203 A JP4271203 A JP 4271203A JP 27120392 A JP27120392 A JP 27120392A JP H0696799 A JPH0696799 A JP H0696799A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
battery
metal
lithium
secondary battery
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4271203A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3281057B2 (ja
Inventor
Hirotoshi Iketani
裕俊 池谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP27120392A priority Critical patent/JP3281057B2/ja
Publication of JPH0696799A publication Critical patent/JPH0696799A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3281057B2 publication Critical patent/JP3281057B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部の制御によらず、電池自体の本質的な特
性としてリチウム等が金属状態で全く存在しない状態を
維持できる、つまりリチウム等の金属微結晶が生成せ
ず、発火の危険性がない安全な二次電池を提供しようと
するものである。 【構成】 正極、負極および非水電解液を備え、金属イ
オンのインターカレーションを利用した二次電池におい
て、前記非水電解液は前記金属イオンから生成された金
属と反応して非金属に変換する有機溶剤を含むことを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池に関し、特に
非水電解液を改良した新規な金属イオン二次電池に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は、負極における電気
化学的反応の違いによって、2種類に分類されている。
その一つは、負極にリチウム金属またはその合金を使用
し、充放電時に負極のリチウム金属の表面で次の二つの
反応、(1) リチウムイオンが電荷を失って金属になって
析出する反応、及び(2) リチウム金属が電荷を得てイオ
ンになり溶出する反応を行う方式の電池である。他の一
つは、負極にカーボンその他の非金属を使用し、充放電
時に負極の表面で次の二つの反応、(1) リチウムイオン
がイオン状態のまま負極材料中に侵入(インターカレー
ション)する反応、及び(2) インターカレーションした
イオンが再び電解液中に脱離する反応を行う方式の電池
である。
【0003】前者の反応を行う二次電池をリチウム金属
二次電池と称し、後者の反応を行う二次電池をリチウム
イオン二次電池と称して区別する。なお、リチウム以外
の金属、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、
アルミニウム、亜鉛その他の金属を用いて同様の二次電
池を作製することができる。
【0004】前述したようにリチウム金属二次電池とリ
チウムイオン二次電池とでは電池系内に存在する金属の
形態が異なる。リチウム金属二次電池は、負極にリチウ
ム金属やその合金を用いているため、常に電池内にリチ
ウム金属が存在する。この電池内のリチウム金属の存在
形態としては、最初から存在する電極板のほかに、充放
電により、電極上に必然的に生成するリチウム微結晶が
ある。
【0005】前記リチウムの電極板は活性で、空気や水
と反応するので、これらと接触させると危険であり、ま
た空気中で加熱すると自然発火する。また、前記リチウ
ム微結晶は、さらに活性で反応性が高く、空気に触れる
だけで容易に自然発火する。したがって電池の安全弁が
開いて内容物が排出されたり、電池が破壊されたりし
て、前記リチウム微結晶が空気に曝されると、このリチ
ウム微結晶が自然発火するため、極めて危険である。
【0006】このようなリチウム金属二次電池に対し、
リチウムイオン二次電池は負極にカーボンその他の非金
属材料を用いているため、リチウム金属二次電池に比
べ、負極に危険なリチウム金属等や合金を用いていない
分、安全性が高い。
【0007】前記リチウムイオン二次電池においては、
電池内に存在するリチウムは通常、すべて安全なイオン
状態になっており、金属状態では存在しない。したがっ
て、理想状態では、前記リチウムイオン二次電池はリチ
ウム金属二次電池に比べ安全な二次電池であり、万一電
池が破壊されて、電池の内容物が空気に曝されても、そ
れだけで発火に至ることはない。
【0008】前記各二次電池においては、非水電解液が
用いられる。前記非水電解液は、前記各二次電池に共通
に用いることが可能である。前記非水電解液として、エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブ
チロラクトンなどの高沸点、高誘電率の有機溶媒、およ
びテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジオキソランなどの低沸点、低
粘度の有機溶媒が用いられている。前記高誘電率の有機
溶媒は粘度が高く、前記低粘度の有機溶媒は誘電率が低
いので、両者を混合して用いることが多い。
【0009】前記有機溶剤の沸点は、前者の3つの高誘
電率の有機溶媒がそれぞれ248℃、242℃、206
℃であり、後者の4つの低粘度の有機溶媒がそれぞれ6
6℃、78℃、85℃、78℃である。これらの有機溶
剤の引火点は、前者の3つの高誘電率の有機溶媒がそれ
ぞれ152℃、132℃、93℃であり、後者の4つの
低粘度の有機溶媒がそれぞれ−14℃、−11℃、0
℃、1℃である。したがって、前者は消防法による規定
の第四類第三石油類に該当し、後者は第四類第一石油類
に該当する。
【0010】以上のように、上記リチウムイオン二次電
池等の非水電解液は引火性、可燃性である。そのため電
池内部に収容され、通常に使用されている間は問題がな
いが、何らかの理由によって外部に漏出したときには、
発火源があれば容易に燃焼し、火災に至る潜在危険性を
持っている。
【0011】ところで、前述した理想的なリチウムイオ
ン二次電池においては、原則としてリチウムが金属状態
では存在しない。例えば、外部の過充電保護回路等によ
って、過充電等が起こらないように制御することによっ
て前記理想状態を維持することが可能である。しかしな
がら、前記制御が外されて過充電等を続けると直ぐに電
池系内のリチウムイオンが金属状態に変化し、電極にリ
チウム微結晶が生成し始める。
【0012】現実のリチウムイオン二次電池において
は、前記理想状態が維持されているとは限らず、何等か
の原因(例えば、制御回路の故障、制御のばらつき、電
池製造における原料のばらつき、製造工程のばらつきな
ど)により、過充電、過放電、あるいはその他の電気化
学反応が、電池全体あるいは局所的に起こることがあ
り、その場合には、リチウム金属が電極上に生成し、リ
チウム微結晶を形成する。
【0013】前記リチウム微結晶が生成したリチウムイ
オン二次電池は、リチウム金属二次電池と同等の危険性
を有し、電池の安全弁が開いて内容物が排出されたり、
電池が破壊されたりして、上記金属微結晶が空気に曝さ
れると、この金属微結晶がまず発火し、次いでこれが非
水電解液に引火し、火災に至る。
【0014】以上のように、従来のリチウムイオン二次
電池は、本質的にリチウムが金属状態で存在しない電池
ではなく、外部の制御回路によってリチウムが金属状態
で存在しないように制御されている電池であり、リチウ
ム金属が生成する潜在的な危険を常に有している。した
がって、制御回路の故障その他の原因により、リチウム
金属微結晶が生成することがあり、それによる発火の危
険があった。従来技術ではこの問題点を解決することが
できなかった。
【0015】また、前述した理由により従来のリチウム
イオン二次電池は電池単体で販売することが難しく、必
ず外部の制御回路に組み合わせた形態で販売されてい
る。これは、電池単体で販売した場合、購入者が必ずし
も専用の制御回路付きの充電器で充電してくれるとは限
らず、誤って制御回路付きでない他の充電器で充電する
可能性があるためである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、外部
の制御によらず、電池自体の本質的な特性としてリチウ
ム等が金属状態でまったく存在しない状態を維持できる
二次電池、つまりリチウム等の金属微結晶が生成せず、
発火の危険性がない安全な二次電池を提供しようとする
ものである。
【0017】本発明の別の目的は、外部の制御によら
ず、電池自体の自己制御によりリチウム等の金属微結晶
を電極上に生成せず、リチウム等の金属の生成量が少な
い場合には電池特性を維持する機能と、リチウム等の金
属の生成量が多い場合には正極、負極間の導通を遮断し
て電池動作を喪失する機能とを有する二次電池を提供し
ようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる二次電池
は、正極、負極および非水電解液を備え、金属イオンの
インターカレーションを利用した二次電池において、前
記非水電解液は前記金属イオンから生成された金属と反
応して非金属に変換する有機溶剤を含むことを特徴とす
るものである。
【0019】前記正極としては、例えばカルコゲン化合
物を活物質として含むものが用いられる。前記カルコゲ
ン化合物としては、例えば二酸化マンガン、リチウムマ
ンガン複合酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウム
ニッケルコバルト酸化物、リチウムを含む非晶質五酸化
バナジウム、二硫化チタン、二硫化モリブデン等を挙げ
ることができる。特に、リチウムコバルト酸化物は正極
電位を高め、電池電圧を高くすることができるために有
用である。
【0020】前記負極としては、例えばリチウムイオン
を吸蔵・放出する炭素質物質を活物質として含むものが
用いられる。前記炭素質物質としては、例えばコーク
ス、合成樹脂の焼結体、炭素繊維、熱分解気相炭素物
質、メソフェーズピッチ系炭素質物質またはメソカーボ
ンマイクロビーズ等を用いることができる。前記炭素質
物質としては、予めリチウムを吸蔵させたものを用いて
もよい。
【0021】前記金属を非金属に変換するとは、電池内
にイオン状態で存在するリチウム等の金属元素が、初期
のイオン状態から化学変化により金属微結晶を生成した
とき、反応性の有機溶剤の作用により、生成した金属を
再び、無機塩、有機酸、金属錯体、イオン、有機金属化
合物などのような、非金属の状態に変換することを意味
する。
【0022】前記有機溶剤とは、電池を使用する状態あ
るいは製造する条件で有機溶剤と見なせるものを意味し
ている。例えば、常温で固体であっても、温度を上げて
溶解して用いる場合、あるいは他の溶剤と混合して溶解
し、混合溶剤として用いる場合なども含む。また逆に常
温で気体であっても、圧縮して液化して用いる場合、あ
るいは他の溶剤と混合して溶解し、混合溶剤として用い
る場合なども含む。
【0023】前記有機溶剤は、リチウム等の金属とほぼ
定量的に反応して、非金属に変換するものであれば何で
あってもよいが、電解液として用いられるため、電池系
に悪影響を及ぼさないものが好ましい。また、低温にお
いても前記反応が遂行されるような化合物であることが
好ましいし、高い反応速度を有する化合物であることが
好ましい。
【0024】前記条件を満足する好ましい有機溶剤の一
例として、ハロゲン化炭化水素が挙げられる。ハロゲン
化炭化水素とは、炭化水素の水素原子が1個あるいはそ
れ以上ハロゲン原子(I、Br、Cl、F)に置換され
た化合物である。このようなハロゲン化炭化水素として
は、例えばヨードエタン、ヨードプロパン(1−ヨード
プロパン、2−ヨードプロパン)、ヨードブタン(1−
ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メ
チルプロパン、2−ヨード−2−メチルプロパン)、ヨ
ードペンタン(1−ヨードペンタン他)、ヨードヘキサ
ン(1−ヨードヘキサン他)、ヨードオクタン(1−ヨ
ードオクタン他)等のヨウ化アルキルの各種置換体;
1,1−ジヨードエタン、1,2−ジヨードエタン、1,
1−ジヨードプロパン、1,2−ジヨードプロパン、
1,3−シヨードプロパン、1,1−ジヨードブタン、
1,4−ジヨードブタン、1,5−ジヨードペンタン、
1,6−ジヨードヘキサン、1,8−ジヨードオクタ
ン、1−ヨード−2−ブロモエタン、1−ヨード−3−
ブロモプロパン、1−ヨード−4−ブロモブタン、1−
ヨード−5−ブロモペンタン、1−ヨード−6−ブロモ
ヘキサン、1−ヨード−8−ブロモオクタン、1−ヨー
ド−2−クロロエタン、1−ヨード−3−クロロプロパ
ン、1−ヨード−4−クロロブタン、1−ヨード−5−
クロロペンタン、1−ヨード−6−クロロヘキサン、1
−ヨード−8−クロロオクタン、1−ヨード−2−フロ
ロエタン、1−ヨード−3−フロロプロパン、1−ヨー
ド−4−フロロブタン、1−ヨード−5−フロロペンタ
ン、1−ヨード−6−フロロヘキサン、1−ヨード−8
−フロロオクタン、1−ヨード−ポリフロロエタン、1
−ヨード−ポリフロロプロパン、1−ヨード−ポリフロ
ロブタン、1−ヨード−ポリフロロペンタン、1−ヨー
ド−ポリフロロヘキサン、1−ヨード−ポリフロロオク
タン、ヨードメタン、ジヨードメタン、ヨードブロモメ
タン、ヨードクロロメタン、ヨードフロロメタン等のヨ
ウ化アルキル;ヨードエチレン、ヨードプロペン、ヨー
ドブテン、ヨードペンテン、ヨードヘキセン、ヨードオ
クテン、ヨードブタジエン等のヨウ化アルキレン,ヨウ
化アルキルポリエン;ブロモエタン、ブロモプロパン
(1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン)、ブロモ
ブタン(1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブ
ロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルプ
ロパン)、ブロモペンタン(1−ブロモペンタン他)、
ブロモヘキサン(1−ブロモヘキサン他)、ブロモオク
タン(1−ブロモオクタン他)等の臭化アルキルの各種
置換体;1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプ
ロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペ
ンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,8−ジブロモ
オクタン、1−ブロモ−1−クロロエタン、1−ブロモ
−2−クロロエタン、1−ブロモ−1−クロロプロパ
ン、1−ブロモ−2−クロロプロパン、1−ブロモ−3
−クロロプロパン、等の臭化アルキル;ブロモエチレ
ン、ブロモプロペン、ブロモブテン、ブロモペンテン、
ブロモヘキセン、ブロモオクテン、ブロモブタジエン、
ジブロモエチレン、ジブロモプロペン、ジブロモブテ
ン、ジブロモペンテン、ジブロモヘキセン、ジブロモオ
クテン、ジブロモブタジエン、等の臭化アルキレン,臭
化アルキルポリエン;クロロプロパン(1−クロロプロ
パン、2−クロロプロパン)、クロロブタン(1−クロ
ロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチル
プロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン)、クロロ
ペンタン(1−クロロペンタン他)、クロロヘキサン
(1−クロロヘキサン他)、クロロオクタン(1−クロ
ロオクタン他)等の塩化アルキルの各種置換体;1,1
−ジクロロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,
4−ジクロロブタン等の塩化アルキル;ジクロロプロペ
ン、ジクロロブテン、ジクロロブタジエン等の塩化アル
キレン,塩化アルキルポリエン;ヨードシクロプロパ
ン、ヨードシクロブタン、ヨードシクロペンタン、ヨー
ドシクロヘキサン、ヨードトルエン、ヨードキシレン等
およびこれらのポリヨード化合物等のヨウ化環状化合
物;上記ヨウ化環状化合物のヨウ素を臭素に置換した臭
化環状化合物;上記ヨウ化環状化合物のヨウ素を塩素に
置換した塩化環状化合物等がある。
【0025】前記ハロゲン化炭化水素の中でもヨウ素置
換化合物が最も好ましく、特にヨウ素置換脂肪族炭化水
素が好適である。次に好ましいハロゲン化炭化水素は、
臭素置換化合物、その次は塩素置換化合物である。前記
好適な順序は、後述するようにハロゲン化炭化水素と電
池内に生成したリチウム等の金属微結晶との反応性の順
序および反応の種類の差である。すなわち、ヨウ素置換
脂肪族炭化水素が最も反応性が高く、かつ安全な反応を
行うことが可能であるため、最も好ましい。
【0026】前記ハロゲン化炭化水素は、炭素の一部お
よび/または水素の一部または全部が、他の官能基によ
って置換されていてもよい。
【0027】前記ハロゲン化炭化水素は、不燃性である
ことが好ましい。不燃性であれば、万一これらの化合物
が電池外部に排出されたときでも、これらの化合物が外
部の発火源によって着火、燃焼することはない。
【0028】前記有機溶剤は、単独で電解液として用い
てもよいが、2種類以上混合して用いてもよい。混合す
る場合には、前記有機溶剤のみの組み合わせでもよい
が、前記有機溶剤と既存のリチウム二次電池に用いられ
る非水溶媒(例えばプロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン)との組み合わせでもよい。既
存のリチウム二次電池に用いられる非水溶媒と組合わせ
る場合には、前記有機溶剤を生成するリチウム等の金属
の微結晶の量に対応して配合することが好ましい。
【0029】本発明に係わる別の二次電池は、正極、負
極および非水電解液を備え、金属イオンのインターカレ
ーションを利用した二次電池において、前記非水電解液
は前記金属イオンから生成された金属と反応して非金属
に変換すると共にガスを発生する有機溶剤を含むことを
特徴とするものである。
【0030】前記有機溶媒としては、前述したハロゲン
化炭化水素の中の例えばヨードエタン、ヨードプロパン
(1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン)、ヨード
ブタン(1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨ
ード−2−メチルプロパン、2−ヨード−2−メチルプ
ロパン)等のハロゲン基を1つ有するものを用いること
ができる。このようなハロゲン化炭化水素の中でもヨウ
素置換化合物が最も好ましく、特にヨウ素置換脂肪族炭
化水素が好適である。
【0031】前記金属イオンから生成された金属と反応
して非金属に変換する機能とガスを発生する機能とは、
1種類の有機溶剤で達成するようにしてもよいし、2種
以上の有機溶剤で達成するようにしてもよい。
【0032】本発明に係わるさらに別の二次電池は、正
極、負極および非水電解液を備え、金属イオンのインタ
ーカレーションを利用した二次電池において、前記非水
電解液は前記金属イオンから生成された金属と反応して
非金属に変換すると共に重合性物質を生成する有機溶剤
を含むことを特徴とするものである。
【0033】前記有機溶媒としては、前述したハロゲン
化炭化水素の中の例えば1,1−ジヨードエタン、1,2
−ジヨードエタン、1,1−ジヨードプロパン、1,2
−ジヨードプロパン、1,3−シヨードプロパン、1,
1−ジヨードブタン、1,4−ジヨードブタン、1,5
−ジヨードペンタン、1,6−ジヨードヘキサン、1,
8−ジヨードオクタン、1−ヨード−2−ブロモエタ
ン、1−ヨード−3−ブロモプロパン、1−ヨード−4
−ブロモブタン等のハロゲン基が2つ以上有するものを
用いることができる。このようなハロゲン化炭化水素の
中でもヨウ素置換化合物が最も好ましく、特にヨウ素置
換脂肪族炭化水素が好適である。
【0034】前記金属イオンから生成された金属と反応
して非金属に変換する機能と重合物を生成する機能と
は、1種類の有機溶剤で達成するようにしてもよいし、
2種以上の有機溶剤で達成するようにしてもよい。
【0035】本発明に係わるさらに別の二次電池は、正
極、負極および非水電解液を備え、金属イオンのインタ
ーカレーションを利用した二次電池において、前記非水
電解液は前記金属イオンから生成された金属と反応して
イオン性の非金属に変換する機能と、前記金属イオンか
ら多量の金属が生成された際に前記金属と反応してイオ
ン性の非金属に変換すると共に前記正極および負極間の
導通を遮断するバリア物質を生成する機能の少なくとも
一つとを有する有機溶剤を含むことを特徴とするもので
ある。
【0036】前記有機溶剤としては、前述したハロゲン
化炭化水素の中で前記金属イオンから生成された金属と
反応してイオン性の非金属に変換すると共に、ハロゲン
基が1つ有するもの、またはハロゲン基が2つ以上有す
るものを用いることができる。前者の有機溶媒は、ガス
をバリア物質として発生し、後者の有機溶媒は重合物を
バリア物質として生成するものである。前者の有機溶媒
として使用されるハロゲン化炭化水素は、ヨウ素置換化
合物が最も好ましく、特にヨウ素置換脂肪族炭化水素が
好適である。後者の有機溶媒として使用されるハロゲン
化炭化水素は、ヨウ素置換化合物が最も好ましい。
【0037】本発明に係わる二次電池は、容器に安全装
置を取り付けることを許容する。
【0038】前記安全装置は、電池が過充電その他の理
由により、通常の使用温度を超えて温度が上昇した場
合、また内部圧力が著しく高くなった場合に、電池が自
己制御するために設けられている。したがって、電池の
温度が危険と見なされる温度を超えた場合、あるいは危
険と見なされる内部圧力を超えた場合に、電池内部を開
放し、電池の機能を失わせる機構になっている。このよ
うな安全装置が作動することにより、電池内部を開放
し、内部の電解液を排出させる。電解液が排出されるの
で、電池の内部圧力が下がり、また電池の機能が失われ
る。そのため、過充電が停止し、電池の温度は次第に低
下する。
【0039】前記安全装置は、電池の温度が危険と見な
される温度を超えた場合、あるいは危険と見なされる内
部圧力を超えた場合に作動する安全弁その他の開放機構
によって構成される。危険と見なされる温度、あるいは
危険と見なされる内部圧力の数値は、その電池の仕様を
考慮して、電池の設計者が任意に決めればよい。一般的
なリチウム二次電池の場合には、通常、80〜200
℃、あるいは3〜30kg/cm2 の範囲に設定するこ
とが多い。
【0040】前記設定値に対して、安全機構が感度よく
作動することが好ましい。安全機構の精度は、それぞれ
の二次電池の危険防止の目的を達成するために必要な範
囲内で設定される。電池の温度が、ある設定数値を超え
た場合に作動する安全機構は、例えば、ある温度で融解
する低融点金属、ある温度で変形する金属、ある温度で
強度が低下する熱可塑性樹脂等、ある温度で、物性、形
状等が変化する材料を用いて、その変化を利用すること
により実現できる。
【0041】前記安全機構で完全密封された電池は、あ
る温度に到達するまでは、内容物が外界から遮断されて
いるが、その温度に到達すると、例えば電池の蓋をシー
ルしていた金属が溶融し、蓋が自由な状態になる。そう
すると電池内部の電解液蒸気の圧力により蓋が外れ、電
解液がガスおよび液体の形で排出される。
【0042】電池の圧力が、ある設定数値を超えた場合
に作動する安全機構は、例えば、ある圧力で壊れるよう
に工夫された金属フィルムや、ある圧力で外れるように
設計された弁など、材料や構造の工夫で実現することが
できる。
【0043】前記安全機構で完全密封された電池は、あ
る圧力に到達するまでは、内容物が外界から遮断されて
いるが、電池内部の電解液が沸騰などにより膨張し、そ
のため電池の内部圧力が上記圧力に到達すると、その内
部圧によって、例えば電池をシールしていた金属フィル
ム製の蓋が壊れ、電解液がガスおよび液体の形で排出さ
れる。
【0044】前記安全機構は、一度作動すると元に戻ら
ない非復帰型、内部圧力が減少すると元に戻る復帰型の
どちらでもよい。
【0045】上述した安全装置は、前記不燃性有機溶剤
を排出する機構のほかに、温度あるいは圧力に応じて電
池に流れる電流を制御する安全機構を組み合わせてもよ
い。前記安全機構は、例えば電池内部で正極リードに電
気的に接触している電極端子(安全弁)を設定圧力で動
作することができるようにしておき、内部圧力が上昇し
て設定圧力に達すると、その圧力で電極端子を動作して
正極リードと非接触状態にし、回路を遮断するものであ
る。この組み合わせにより、電池の過充電をより一層確
実に防止することが可能になる。特に、金属と反応して
ガスを発生するタイプの有機溶媒を含む電解液を用いた
二次電池に前記安全機構を付設すると、金属の生成量に
比例して発生するガスの圧力によって電流を遮断し、金
属の生成を停止させることができるので、非常に好まし
い。
【0046】前記電流を制御する安全機構は、以下に説
明する一度作動すると元に戻らない非復帰型、内部圧
力、電池温度が減少すると元に戻る復帰型の方式があ
る。
【0047】前記非復帰型は、一度でも電池が危険な状
態に陥った場合に、その電池の機能を永続的に停止する
方式で、例えば過充電保護回路が故障した場合に、電池
の内部圧力が上昇して電池に組み込まれた非復帰型の安
全装置を作動させ、その電池を永久的に充電不能とする
ことにより、電池への過充電を防止し、その電池がさら
に危険な状態になるのを阻止する。
【0048】前記復帰型は、電池が危険な状態に陥った
場合に、その電池の機能を一時的に停止する方式で、例
えば過充電保護回路が故障した場合に、電池の温度が上
昇して内部圧力が大きくなり、電池に組み込まれた復帰
型の安全装置を作動させ、その電池を一時的に充電不能
とすることにより、電池への過充電を防止し、その電池
がさらに危険な状態になるのを阻止する。過充電が停止
したために、電池の温度が低下して内部圧力が減少する
と充電回路が復帰し、再び充電が始まるが、再度電池の
温度が上昇して内部圧力が大きくなると再び安全装置が
作動し、電池を一時的に充電不能にする。この動作を繰
り返すことにより、電池が爆発などの危険な状態になる
のを阻止する。
【0049】前記電流を制御する安全機構は、安全弁と
独立に設置しても、安全弁と組み合わせて設置してもよ
く、どのような機構を用いるかについての制限はない。
例えば、前記非復帰型の安全弁を電流回路に利用すれ
ば、安全弁の作動と同時に電流も遮断されるので、非復
帰型の電流制御機構を兼ねることができる。逆に、復帰
型の安全弁を電流回路に利用すれば、復帰型の電流制御
機構ができる。
【0050】前記電流制御方法として、ある一定圧力を
境にしてON−OFFの非連続制御する方法、圧力に比
例して連続的に電流値を減少させる方法、及びこの組み
合わせる方法(例えば、ある一定圧力まで一定電流値、
それ以上では圧力に比例して連続的に電流値を減少させ
る方法、または逆にある一定圧力まで圧力に比例して連
続的に電流値を減少させ、それ以上では電流を遮断する
方法)などを採用することができる。
【0051】前記電流を制御する安全機構は、特に充電
器の保護回路が壊れて電池が過充電状態になったときの
対策に有効である。
【0052】特に、安全弁が作動する設定温度、設定圧
力より低い温度、圧力で作動する電流制御機構を組み込
んでおけば、安全弁が作動する前に電流制御機構が作動
し、電池の過充電状態を停止させることができるので、
電池の安全対策がより確実になる。
【0053】さらに、本発明に係わる二次電池におい
て、異常反応(特に金属イオンから生成された金属、電
解液の分解、ガスの発生、内部圧力の上昇、熱の発生、
異常電流の発生、異常電圧の発生、出力値の異常等)を
センサにより検知してその安全性をモニタするモニタシ
ステムを外部に付設することを許容する。
【0054】前述した安全装置が電池内部に設置されて
電池の機能を制限することによりその安全を図るのに対
し、前記モニタシステムは主に電池外部に設置されて前
記安全装置が電池機能を制限する作動がなされる前に、
電池の異常を検出して警報信号を送ったり、または自動
的に電池を含む必要な回路全体を制御して電池を保護す
るシステムである。
【0055】前記安全装置と前記モニタシステムとを比
較すると、安全装置を組み込んだ電池は前記安全装置が
作動した時に初めて使用者が前記電池の異常を気付くの
に対し、モニタシステムは前記安全装置が作動する前に
電池の異常を検出できる。このため、前記モニタシステ
ムは特に大型の二次電池を使用する場合や二次電池を重
要な設備(例えば電気自動車などの乗り物用電源、家庭
用、産業用の電力貯蔵システム、コンピュータ等の制御
システムのバックアップ用電源等)に組み込んで使用す
る場合、前記電池および設備を未然に保護することが可
能になる。
【0056】前記モニタシステムは、電池の異常反応を
検知する手段と、その情報を処理する手段とからなる。
ここで、前記電池の異常反応とは電池が正常に作動する
ための妨げとなる全ての反応を意味する。また、前記異
常反応を検知するとは異常反応そのもの、または異常反
応によって引き起こされる現象を検知することを意味す
る。
【0057】前記異常反応検知手段は、電池内部で始ま
る異常反応を安全装置が作動する前にのなるべく早い時
期に検知し、信号を前記情報処理手段に送る。前記情報
処理手段は、前記信号を受けて所望の安全処置を行う。
前記安全処置は、(1) 使用者に電池の状況を知らせる、
(2) 自動的に電池を含む必要な回路全体を制御して電池
を保護する、などが挙げられる。場合によっては、前記
安全処置のうちの一つを行うだけでよい。
【0058】前記情報処理手段は、判断機能を有するコ
ンピュータを用いた高度のものから、簡単な伝達を行う
だけの単純なものまで、どのようなものであってもよ
い。情報処理の内容は、電池が使用されるそれぞれのシ
ステムに応じて選択されることが望ましい。使用者に電
池の状況を知らせる方法としては、ディスプレイ画像上
にメッセージ表示する方法、光、音声を含む音波、その
他の手段で伝達する方法を採用することができる。これ
らの方法を活用して電池に異常反応が発生したこと、そ
の異常反応の内容、自動的に実施した安全処置の内容と
その処置後の電池の状況、使用者が行うべき具体的な処
置法などを必要に応じて伝達する。
【0059】前記単純な情報処理および高度な情報処理
を以下に具体的に例示するが、これらの例に制限されな
い。
【0060】前記単純な情報処理の例としては、電池に
何等かの異常があったことをディスプレイに表示する、
監視パネルに警報ランプで点灯する、ブザーなどの音を
発生して警告するなどの方法で、異常発生を使用者に知
らせることが挙げられる。
【0061】前記高度の情報処理の例としては、種々の
センサを用いて常時多面的に電池の状況を監視し、それ
らから得れる情報を総合してコンピュータにより電池の
状況を診断する。電池に異常が見られる場合には、推論
などの手法により異常の状況を判断し、原因を確定す
る。原因を確定した後は、最適な対応策を選定し、実行
する。対応策の実行によって起きる状況を監視し、必要
に応じて次ぎの対策を実行する。これらの経過および結
果を使用者にディスプレイ画面表示、監視パネル表示、
音声などを通して伝達する。
【0062】例えば、過充電によりリチウム等の金属が
生成した時には、有機溶剤との反応で生成したガスによ
る内圧上昇信号、反応熱による温度上昇信号、電池の電
極の電圧異常信号、充電電流の異常信号及びそれらに加
えて電池外部の充電回路の異常を示す信号を総合的に判
断し、充電回路の故障により電池が過充電状態になって
いることを推論し、直ちに充電を停止すると共に、以上
の経過および結果を使用者に伝達する。
【0063】
【作用】本発明に係わる二次電池は、正極、負極および
非水電解液を備え、金属イオンのインターカレーション
を利用した二次電池において、前記金属イオンから生成
された金属と反応して非金属に変換する有機溶剤を前記
非水電解液に含有する構成になっている。前記有機溶剤
は、電池内に生成したリチウム金属微結晶と反応して前
記リチウム等の金属を非金属化合物を変換するため、前
記金属微結晶をすべて安全な化合物に変化させることが
できる。その結果、二次電池内にリチウム等が金属状態
で存在しない状態を維持することができる。
【0064】前記反応の典型的な例は、リチウムの金属
微結晶とヨウ素置換脂肪族炭化水素との反応である。例
えば、反応性の高いヨウ化アルキルは、次式(1)に示
すWurtz反応を起こし、発火を生じない安全なリチ
ウム塩(ヨウ化リチウム)を生成する。
【0065】 2C2 5 I+2Li→C4 10+2LiI …(1) 上述したように有機溶剤を含む非水電解液は、電池内に
生成するリチウム金属微結晶を発火性のない安全な化合
物に変換し、電池の安全な状態を維持することができ
る。
【0066】また、リチウム金属微結晶と他のハロゲン
化炭化水素との反応は、その条件によってWurtz反
応の他に次のハロゲン置換反応が起き、中間物質として
有機リチウム化合物が生成する。例えば、次式(2)に
示すように臭化tert−ブチルはtert−ブチルリ
チウムを生成する。
【0067】 (CH3 3 CBr+2Li→(CH3 3 CLi+LiBr…(2) 生成したtert−ブチルリチウムは、活性が高く、た
だちに他の電解液等と反応する。
【0068】例えば、電解液がテトラヒドロフランであ
る場合には、次式(3)に示す反応が生じて、発火しな
い安全なリチウム化合物(C2 3 OLi)に変化す
る。
【0069】 (CH3 3 CLi+C4 8 O →C2 4 +C4 10+C2 3 OLi …(3) また、例えば電解液がエチレンカーボネートである場合
には、次式(4)に示す反応が生じ、同様に発火しない
安全なリチウム化合物に変化する。
【0070】 2(CH3 3 CLi+(CH2 O)2 CO →(CH3 3 CCOC(CH3 3 +(CH2 OLi)2 …(4) さらに、電解液に例えばトリフェニルホウ素を予め溶解
しておけば、直ちに次式(5)に示す反応が起き、安全
なリチウム塩に変化する。
【0071】 (CH3 3 CLi+(C6 5 3 B →[(CH3 3 C(C6 5 3 B]Li …(5) 上述したように中間物質として有機リチウム化合物を経
由する方法によっても、電池内に生成するリチウム金属
微結晶を発火性のない安全な化合物に変化することがで
きる。
【0072】以上の式(1)〜(5)を比べてみると、
ヨウ素化物は反応が速いことに加え、発火危険性のある
有機リチウム化合物を生成しないため、有機溶剤として
ヨウ素化物を用いることが最も安全である。
【0073】有機溶剤として臭素化物、塩素化物、フッ
素化物を用いると、中間生成物として、発火危険性のあ
る有機リチウム化合物を生成するが、これは更に反応し
て発火危険性を失うので、これらを用いても二次電池の
安全性を確保できる。これらの3種のハロゲン化炭素中
では、臭素化物が金属イオンから生成されたリチウム等
の金属との反応が最も速く、したがって、ヨウ素化物に
次いで好ましい。その次に塩素化物、フッ素化物の順に
なる。
【0074】リチウムより活性の高いナトリウム、カリ
ウム等の金属イオンを用いた二次電池では、これらの金
属微結晶とハロゲン化炭化水素との反応は置換ハロゲン
の種類にかかわらず、迅速にWurtz反応が起こる。
これらの場合には、中間生成物として発火危険性のある
有機アルカリ化合物を生成せず、安全な塩(NaCl,
NaBr,NaI,KCl,…等)を形成する。
【0075】アルカリ金属以外の、カルシウム、マグネ
シウム、アルミニウム、亜鉛等の金属イオンを用いた二
次電池では、金属イオンから生成された金属とハロゲン
化炭化水素が次式(6)、(7)、(8)に示す反応が
起こる。
【0076】 2RX+2M→RR+2MX…(6) RX+2M→RM+MX …(7) RX+M→RMX …(8) ただし、式中のRXはハロゲン化炭化水素、Xはハロゲ
ン、Mは金属イオンから生成された金属を表す。
【0077】前記式(6)〜(8)の反応のうち、式
(6)の反応はWurtz型の反応である。式(7)の
反応は前述の有機金属化合物を生成する型の反応であ
る。これらの金属においても、前述のリチウムの場合と
同様に、金属が安全な非金属に変換される。
【0078】前記式(8)の反応は、いわゆるグリニャ
ール試薬を生成する型の反応である。例えば、ヨードエ
タンとマグネシウムイオンから生成された金属マグネシ
ウムが反応すると、次式(9)に示すように空気に触れ
ても自然発火しない生成物を生じる。
【0079】 C2 5 I+Mg→C2 5 MgI …(9) さらに、前記生成物がヨードエタンと次式(10)に示
す反応が起こり、安全なマグネシウム塩に変化する。
【0080】 C2 5 I+C2 5 MgI→C4 10+MgI2 …(10) なお、他の金属元素についても同様である。
【0081】以上のように前記有機溶剤を含む電解液
は、二次電池内に発生するリチウム金属微結晶とただち
に反応し、安全な化合物に変化させる。また、前記有機
溶剤は、金属イオンから生成されたリチウム等の金属と
単に反応するだけでなく、ほぼ定量的にしかも迅速に反
応して金属を非金属に変換することができる。このた
め、前記電解液を用いたリチウムイオン二次電池にはリ
チウム等が金属状態で存在せず、常にリチウム等の金属
をイオン状態に保持することができる。したがって、本
発明に係わる二次電池は発火性がなく、安全である。
【0082】これに対し、従来の電解液はリチウム等の
金属とほとんど反応せず、僅かに反応したとしても反応
速度が遅く、金属表面のごく一部分しか反応しない。し
たがって金属イオンから生成された大部分の金属がその
まま残ってしまう点が、本発明の電解液と明らかに異な
るすなわち、金属イオンから生成されたリチウム等の金
属は活性であるため、厳密にいえば接触するほとんどの
電解液と表面反応する。しかし、従来の電解液とリチウ
ム等の金属との反応は、リチウム等の金属の表面でのみ
起こり、内部に進行しないで停止する。例えば、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロ
ラクトン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランその
他の電解液が、金属リチウムと表面反応することが知ら
れている。しかし、これらの反応は定量的なバルクの反
応でなく、表面のみ僅かに反応するにすぎない。反応の
結果、金属リチウム表面に保護膜が形成され、それ以上
の反応は停止する。したがって、金属イオンから生成さ
れたリチウム等の金属は、そのままリチウムとして残っ
てしまう。しかも、反応速度が小さいため、これらの反
応では金属リチウムの生成を防ぐことができない。
【0083】したがって、前述した電解液を用いたリチ
ウムイオン二次電池を過充電すると、電極上に金属リチ
ウムが生成し続け、生成量が増大していくので危険であ
る。途中で過充電を停止しても、生成した金属リチウム
量は減少せず、そのまま金属リチウムとして残留するの
で、危険な状態は継続する。
【0084】本発明の二次電池は、生成されたリチウム
等の金属微結晶を安全な化合物に変換するメカニズムが
組み込まれているため、電池系内にリチウム等の金属が
存在しない状態を常に維持でき、従来の二次電池とは明
確に区別される。
【0085】本発明に係わる二次電池は、電池内部を開
放する安全装置および電池内部を流れる電流を制御する
機構等の安全装置と組み合わせると、より一層その作用
効果を発揮する。
【0086】規定温度または規定圧力で開く安全装置を
従来のリチウムイオン二次電池に装着した場合、安全弁
から引火性、可燃性の電解液が排出され、しかも、生成
したリチウム等の金属微結晶が空気に触れて発火するた
めに、電解液、電池が燃焼する危険がある。このため、
従来の安全弁付きリチウム二次電池は、爆発を防ぐこと
ができても、燃焼を防ぐことはできなかった。
【0087】これに対し、本発明の二次電池に前記安全
装置を装着すると、爆発を防ぐことはもちろん、リチウ
ム等の金属微結晶が存在しないために、燃焼、火災も防
ぐことができる効果を奏する。
【0088】電流を制御する機構と、本発明の二次電池
に収容される電解液を組み合わせた場合の作用効果を以
下に説明する。
【0089】電流を制御する機構と従来の電解液を組み
合わせた電池の場合、過充電による電池の爆発を防ぐ効
果はあるものの、リチウム等の金属の生成を防ぐことは
できなかった。すなわち、非復帰型の電流制御機構を用
いた場合には、過充電により電流制御機構が作動した時
点でリチウム等の金属の生成も停止するが、それまでに
生成したリチウム等の金属は、そのまま残留する。
【0090】一方、復帰型の電流制御機構を用いた場合
には、過充電状態が断続的に続くためにリチウム等の金
属の生成も断続的に続き、生成量は次第に増大してい
く。
【0091】これらの電池においては、生成したリチウ
ム等の金属がそのまま電池内に残っている。したがっ
て、安全装置の開放、破損などの原因で、電池の内容物
が空気に触れることがあると、金属イオンから生成され
たリチウム等の金属が発火する危険がある。
【0092】これに対し、前記有機溶剤を含む電解液を
組み合わせた場合には生成したリチウム等の金属は前記
有機溶剤によりただちに安全な化合物に変換されるた
め、非復帰型の電流制御機構を用いた場合はもちろんの
こと、復帰型の電流制御機構を用いた場合でも電池内は
常にリチウム等の金属が存在しない状態が保たれ、電池
の内容物が空気に触れても安全である。
【0093】本発明の電解液と電流制御機構とを組み合
わせないで使用した場合と、電流制御機構を組み合わせ
た場合とを比較すると、組み合わせた場合が断然有利で
ある。その有利な点は、電流制御機構により、リチウム
等の金属の生成量が制限を受けることにある。このた
め、前記有機溶剤の負担が軽くなり、反応が完全に進行
するのに効果があるばかりでなく、前記有機溶剤の配合
量を減らすことも可能になる。
【0094】さらに、前述したように安全装置が作動し
ても危険がないということから、電池の安全装置に対す
る基本的な思想を変革することができ、従来制限されて
いた安全装置の活用を大幅に拡張することができる。す
なわち、従来は安全弁が作動すると電池が燃焼する危険
があったので、安全弁の作動を極限まで制限し、より一
層の危険性、爆発性が避けることができなくなった場
合、それが起こる寸前に作動するように設計されてい
た。つまり、一種の爆発力緩和装置だった。
【0095】本発明においては、安全装置が作動しても
火災の危険がないため、安全装置を単なる爆発力緩和装
置としてだけではなく、広く危険を未然に防ぐ装置とし
て積極的に活用することが可能である。例えば、充電の
保護回路が故障し、電池が過充電状態になったとき、過
充電による発熱またはそれに伴う電池の内部圧力の増加
を利用して電池の安全弁を開放し、電池の機能を停止さ
せることによって、過充電を停止させ、電池が危険な状
態になるのを未然に防ぐ役割を果たすことができる。
【0096】すなわち、爆発力緩和装置から切り離し、
電池に組み込まれた単なる温度過昇防止装置、圧力過昇
防止装置として活用することができる。
【0097】以上のように、本発明の二次電池は、安全
弁を活用することによって、充電の保護回路が故障した
場合にも、あるいは使用者が誤って保護回路が付いてい
ない充電器で充電した場合でも、危険を未然に防ぐこと
ができる。すなわち、爆発力緩和装置から切り離し、電
池に組み込まれた単なる温度過昇防止装置、圧力過昇防
止装置として活用することができる。
【0098】特に、ガスをは発生する有機溶剤を含む電
解液を備えた二次電池と電流制御機構を組み合わせた場
合には、安全弁を開放しないで、電流を遮断して危険な
状態に至るのを防止できるため、さらに安全度を向上で
き、好ましい。前記方式は、生成した金属を直接検知す
る点、および金属生成量に比例してガスを発生する点で
他の方式にない優れた特徴があり、したがって他の方式
が不可能な条件でも正確に安全装置を起動することがで
きる。
【0099】また、安全装置を活用することによって、
充電の保護回路が故障した場合にも、あるいは使用者が
誤って保護回路が付いていない充電器で充電した場合で
も、危険を未然に防ぐことができる。
【0100】従来のリチウムイオン二次電池は、使用者
が誤って保護回路が付いていない充電器で充電した場合
に危険なので、それを未然に防ぐような形態で、製造販
売されるのが一般的であった。すなわち、電池は専用充
電器とセットにして分離できないような形態で製造販売
されるか、機器内部に組み込んで、一般使用者が取り出
せないような形態で製造販売される。それに対し電池単
体での製造販売は危険を伴う。これに対し、本発明のリ
チウムイオン二次電池は安全なので、電池単体での製造
販売が可能になった。
【0101】さらに、本発明に係わる二次電池は前記電
解液に含まれる有機溶剤により金属イオンから生成され
たリチウム等の金属を非金属に変換できるため、金属イ
オンのインターカレーションを阻害する電極上への金属
生成を防止でき、良好な特性を維持できる。
【0102】すなわち、金属イオンから生成されたリチ
ウム等の金属が電極上に生成され、電極表面上に保護膜
が形成されて安定的に存在すると、金属イオンのインタ
ーカレーションが妨害されるため、電極の特性を低下さ
せる。また、前記析出された金属は再イオン化し難いた
めに、除去することが困難である。さらに、前記金属の
生成のための金属イオン量が減少する。このように金属
の析出は、二次電池の特性を低下させる。
【0103】これに対し、本発明では前述したように前
記電解液に含まれる有機溶剤により金属イオンから生成
されたリチウム等の金属を非金属に変換できるため、電
極上に生成された金属が析出して電極を被覆するを未然
に防止できる。したがって、金属イオンのインターカレ
ーションを阻害することなく、良好な特性を維持でき
る。
【0104】また、本発明に係わる別の二次電池は、正
極、負極および非水電解液を備え、金属イオンのインタ
ーカレーションを利用した二次電池において、前記金属
イオンから生成された金属と反応して非金属に変換する
と共にガスを発生する有機溶剤を前記非水電解液に含有
する構成になっている。前記有機溶剤は、電池内に生成
したリチウム金属微結晶と反応して前記リチウム等の金
属を非金属化合物に変換するため、前記金属微結晶をす
べて安全な化合物に変化させることができる。その結
果、二次電池内にリチウム等が金属状態で存在しない状
態を維持することができる。
【0105】また、前記有機溶剤は前記金属イオンから
生成された金属と反応してガスを発生する。例えば、有
機溶剤としてヨードエタンを用いた場合、リチウムイオ
ンから生成されたリチウムと前述した式(1)に示す反
応が起こってヨウ化リチウムを生成すると共にブタンを
ガスとして発生する。
【0106】このように(a)リチウム等が金属状態で
存在しない状態を維持すること、(b)電池系内にガス
を発生することによって、リチウムイオン等の金属イオ
ンから生成されたリチウム等の金属の量に対応して次の
ような2つの機能が発揮される。
【0107】すなわち、金属リチウムの生成、前記有機
溶剤との反応によって発火がなく、安全な非金属に変換
でき、しかも金属イオンのインターカレーションを阻害
する電極上への金属析出を防止することができる。前記
非金属の生成と同時に発生するガスは、前記金属リチウ
ムの生成量に相関し、前記金属リチウム量が少ない場合
には当然ガス発生量の少ない。このような少量のガス
は、電解液に溶解するため、気泡を生成せず、電池の特
性に悪影響を及ぼさない。したがって、前記金属イオン
のインターカレーションを阻害する電極上への金属析出
を防止できること、前記金属と有機溶媒との反応で生成
するガスが電池に悪影響を及ぼさないこと等により、電
池の特性が維持される第1の機能がなされる。
【0108】特に、前記非金属が例えば前記式(1)で
変化されたヨウ化リチウムなどのイオン性の非金属であ
る場合には、リチウムイオンとヨウ素イオンとに解離し
て再生したリチウムイオンは電解質として作用するた
め、電池特性をより良好な状態に維持する機能を実現で
きる。
【0109】一方、前記金属リチウムの生成量が増大す
ると、その生成量に対応して前記有機溶剤が化学理量論
的に反応を継続し、大量のガスを発生する。この際、ガ
ス発生量が電解液への溶解度を超えるため、前記ガスは
電池系内にガス状態で存在することになる。前記ガス
は、電極表面およびセパレータ表面を覆い、また電極と
セパレータの間に入り込む。その結果、前記ガスは正
極、負極間の導通を遮断するバリア物質として作用する
ため、正負極間に流れる電流を抑制する。したがって、
リチウムイオンから金属リチウムを生成する機構が停止
する第2の機能、つまり電池特性を低下させる機能がな
される。
【0110】さらに、二次電池を内部圧力で作動する安
全装置を具備した構成にすれば、前記大量のガスによっ
て内部圧力を高めることができる。このため、安全装置
が作動し、電池内部の電流回路を改善に遮断することに
よりリチウムイオンから金属リチウムを生成する機構を
完全に停止する、第2の機能が強化される。
【0111】このように2つの機能は、電池系内に金属
イオンから生成される金属の量に応じてそれぞれ発現さ
れる。つまり、前記金属の生成量が少ない段階では前記
第1の機能が働き、金属の生成が継続された金属の生成
量が増大すると自動的に前記第2の機能が発現される。
【0112】前記2つの機能は、電池および電池に係わ
るシステムを保護する。具体的には、前記第1の機能は
金属イオンから生成された金属による一時的な特性劣化
を防止して電池特性を維持すると共に、電池内部に生成
した金属を安全な非金属状態(もしくはイオン性の非金
属状態)に変換して安全性を確保するものである。前記
第2の機能は、電池を破裂や発火から保護するためであ
り、また電池動作を喪失することによってシステムが被
ったかもしれない火災などの危険から保護するためであ
る。
【0113】以上のように、本発明に係わる別の二次電
池によれば外部の制御によらず、電池自体の自己制御に
よりリチウム等が金属状態でまったく存在しないか、も
しくはリチウム等の金属微結晶が生成せず発火の危険性
がない上、リチウム等の金属の生成量が少ない場合には
前記生成金属による一時的な特性劣化を防止して電池特
性を維持する第1の機能と、リチウム等の金属の生成量
が多い場合には正極、負極間の導通を遮断し、場合によ
って安全装置で電池動作自体を喪失して電池特性を低下
する第2の機能とを有し、高付加価値化を実現できる。
【0114】さらに、本発明に係わる別の二次電池は、
正極、負極および非水電解液を備え、金属イオンのイン
ターカレーションを利用した二次電池において、前記金
属イオンから生成された金属と反応して非金属に変換す
ると共に重合性物質を生成する有機溶剤を前記非水電解
液に含有する構成になっている。前記有機溶剤は、電池
内に生成したリチウム金属微結晶と反応して前記リチウ
ム等の金属を非金属化合物に変換するため、前記金属微
結晶をすべて安全な化合物に変化させることができる。
その結果、二次電池内にリチウム等が金属状態で存在し
ない状態を維持することができる。
【0115】また、前記有機溶剤は前記金属イオンから
生成された金属と反応して重合性物質を生成する。例え
ば、有機溶剤とし1,2−てジヨードエタンを用いた場
合、リチウムイオンから生成されたリチウムと前述した
次式(11)に示す反応が起こってヨウ化リチウムを生
成すると共に1,4−ジヨードブタンを重合性物質とし
て生成する。
【0116】 2C2 4 2 +2Li→C4 8 2 +2LiI …(11) 前記リチウムの生成が継続すると、前記1,4−ジヨー
ドブタンがさらに反応して分子量が増大していく。
【0117】このように(a)リチウム等が金属状態で
存在しない状態を維持すること、(b)二次電池内に重
合性物質を生成することによって、リチウムイオン等の
金属イオンから生成されたリチウム等の金属の量に対応
して次のような2つの機能が発揮される。
【0118】すなわち、金属リチウムの生成、前記有機
溶剤との反応によって発火がなく、安全な非金属に変換
でき、しかも金属イオンのインターカレーションを阻害
する電極上への金属析出を防止することができる。前記
非金属と共に生成する重合性物質の分子量は、前記金属
リチウムの生成量に相関し、前記金属リチウム量が少な
い場合には当然、前記重合性物質の分子量も小さい。こ
のような低分子量の重合性物質は、電解液に溶解するた
め、電池の特性に悪影響を及ぼさない。したがって、前
記金属イオンのインターカレーションを阻害する電極上
への金属析出を防止できること、前記金属と有機溶媒と
の反応で生成する重合性物質が電池に悪影響を及ぼさな
いこと等により、電池の特性が維持される第1の機能が
なされる。
【0119】特に、前記非金属が例えば前記式(11)
で変化されたヨウ化リチウムなどのイオン性の非金属で
ある場合には、リチウムイオンとヨウ素イオンとに解離
して再生したリチウムイオンは電解質として作用するた
め、電池特性をより良好な状態に維持する機能を実現で
きる。
【0120】一方、前記金属リチウムの生成量が増大す
ると、その生成量に対応して前記有機溶剤が化学理量論
的に反応を継続し、高分子量の重合性物質を生成する。
前記高分子量の重合性物質は、電解液への溶解度が低い
ために分離し、前記重合性物質はオリゴマーまたはポリ
マーとして電極表面およびセパレータ表面を覆い、また
電極とセパレータの間に入り込む。その結果、前記オリ
ゴマーまたはポリマーは正極、負極間の導通を遮断する
バリア物質として作用するため、正負極間に流れる電流
を抑制する。したがって、リチウムイオンから金属リチ
ウムを生成する機構が停止する第2の機能、つまり電池
特性を低下させる機能がなされる。
【0121】以上のように、本発明に係わるさらに別の
二次電池によれば外部の制御によらず、電池自体の自己
制御によりリチウム等が金属状態でまったく存在しない
か、もしくはリチウム等の金属微結晶が生成せず発火の
危険性がない上、リチウム等の金属の生成量が少ない場
合には前記生成金属による一時的な特性劣化を防止して
電池特性を維持する第1の機能と、リチウム等の金属の
生成量が多い場合には正極、負極間の導通を遮断して電
池特性を低下する第2の機能とを有し、高付加価値化を
実現できる。
【0122】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0123】実施例1 正極に含リチウム二酸化コバルト(LiCoO2 )、負
極に炭素、セパレーターにポリエチレンの多孔質フィル
ム、電解液にプロピレンカーボネート40体積%、テト
ラヒドロフラン40体積%および不燃性のヨードエタン
20体積%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リ
チウム(LiPF6 )を用いた容量1000mAhの円
筒型リチウムイオン二次電池を製作した。
【0124】比較例1 電解液にヨードエタンの代わりにテトラヒドロフランを
20体積%用いたほかは、実施例1と同様な円筒型リチ
ウムイオン二次電池を製作した。
【0125】前記実施例1および比較例1の電池を2C
Aの電流で1時間過充電した後、電池の内容物を取り出
した。
【0126】その結果、実施例1の二次電池においては
生成したリチウム金属はヨードエタンと反応したため、
リチウム金属の生成がなく、空気に触れても安全であっ
た。これに対し、比較例1の二次電池はリチウム金属の
微結晶が生成しており、これが空気に触れて発火した。
さらに、テトラヒドロフランに引火し、プロピレンカー
ボネートに燃え移り、電池全体が燃焼した。
【0127】また、前記実施例1および比較例1の電池
を、0.1CAの電流で50時間かけて過充電した後、
電池の内容物を取り出した。
【0128】その結果、実施例1の二次電池において
は、生成したリチウム金属はヨードエタンと反応したた
め、リチウム金属の生成がなく、空気に触れても安全で
あった。これに対し、比較例1の二次電池はリチウム金
属の微結晶が生成しており、これが空気に触れて発火し
た。さらに、テトラヒドロフランに引火し、プロピレン
カーボネートに燃え移り、電池全体が燃焼した。
【0129】実施例2 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液にプ
ロピレンカーボネート70体積%およびヨードエタン3
0体積%の混合液、電解質に過塩素酸リチウム(LiC
lO4 )を用いた容量1000mAhの円筒型リチウム
イオン二次電池に、圧力の作用で開く安全弁を取り付け
た。
【0130】前記安全弁は、通常時、図1(a)に示す
ような状態になっている。すなわち、図中の1は、電池
容器である。導電板2、3は、絶縁板4を挟んで前記容
器1の上部に配置されていると共に、これら導電板2、
3および絶縁板4に中心部には穴5が開口されている。
帽子形の電極端子6は、前記上部の導電板2に取り付け
られている。正極リード7は、前記下部の導電板3に接
続されている。金属バネ8は、前記穴5内に配置され、
かつアルミニウムからなる安全弁9は前記バネ8に付随
して取り付けられている。前記安全弁9は、電池の内容
物を外気から遮断する役割があるが、電池内の異常によ
り電池の内部圧力が高まった場合には、5kg/cm2
以上の圧力を受けたときに外れて開封されるように設定
されている。下部が開放された箱形絶縁部材10は、前
記電極端子6の内側に取り付けられている。空気孔11
は、前記電極端子6および前記絶縁部材10の上部に開
口されている。なお、前記上部の導電板2、前記絶縁板
4および前記電極端子6は、前記容器1に保持されてい
る。このような構造において、電池内の電流回路は前記
正極リード7と前記下部の導電板3が電気的に接続さ
れ、前記導電板3は前記安全弁9に付随している金属バ
ネ8によって前記上部の導電板2と電気的に接続され、
さらに前記導電板2は前記電極端子6に接続されてい
る。したがって前記安全弁8は前記正極リード7と前記
電極端子6を結ぶ電流回路を構成している。
【0131】開封された状態を図1(b)に示す。この
ように、電流回路を兼ねた安全弁9が開封されると、電
池内に流れる電流が遮断される。
【0132】実施例2の二次電池に5CAの電流を流し
て過充電試験を実施した。
【0133】その結果、過充電の発熱で電池内部の温度
が100℃以上に上昇すると、ヨードエタンが気化し
て、電池内部の圧力が高まり、安全弁が開いて、電解液
が排出された。この時、電極が露出して空気に接触した
が、金属リチウムはヨードエタンと反応して非金属であ
るヨウ化リチウムに変換されて金属リチウムの生成がな
いため、空気に触れても発火しなかった。
【0134】比較例2 ヨードエタンを含まないプロピレンカーボネートのみの
電解液を使用した以外、実施例2と同様な二次電池を作
製し、5C過充電試験を実施した。
【0135】その結果、過充電による発熱で電池内部の
温度が100℃を超えたが安全弁は作動せず、200℃
を超えたところで爆発をともなって安全弁が開封した。
それによって高温の電解液が噴出した。このとき電極が
露出して空気に接触し、電極上に生成した金属リチウム
と反応して発火した。この火が電解液に引火し、電池が
燃焼した。
【0136】比較例3 ヨードエタンの代わりに同体積のテトラヒドロフランを
用いた電解液を使用した以外、実施例2と同様な二次電
池を作製し、5C過充電試験を実施した。
【0137】その結果、過充電の発熱で電池内部の温度
が100℃以上に上昇すると、テトラヒドロフランが気
化して、電池内部の圧力が高まり、安全弁が開いて、電
解液が排出した。このとき電極が露出して空気に接触
し、電極上に生成した金属リチウムと反応して発火し
た。この火が電解液に引火して、電池が燃焼した。
【0138】実施例3 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液とし
てγ−ブチロラクトン50体積%、エチレンカーボネー
ト30体積%およびヨードエタン20体積%の混合液、
電解質にヘキサフルオロリン酸リチウムを用いた容量1
000mAhの円筒型リチウムイオン二次電池に、圧力
の作用で開く安全弁を取り付けた。
【0139】前記安全弁は、通常時、図2(a)に示す
ような状態になっている。すなわち、電池内の電流回路
は、正極リード7と下部の導電板3が電気的に接続さ
れ、前記導電板3は下部が開放された箱形のアルミニウ
ム製の安全弁9によって上部の導電板2と電気的に接続
され、さらに前記導電板2は電極端子6に接続されてい
る。したがって、前記安全弁9は前記正極リード7と前
記電極端子6を結ぶ電流回路を構成している。前記安全
弁9は、電池の内容物を外気から遮断する役割がある
が、電池内の異常により電池の内部圧力が高まった場合
には、10kg/cm2 以上の圧力を受けたときに、外
れて開封されるように設定されている。
【0140】開封された状態を図2(b)に示す。この
ように電流回路を兼ねた安全弁10が開封されると、電
池内に流れる電流が遮断される。
【0141】実施例3の二次電池に0.5CAの電流で
10時間過充電試験を実施後、熱板の上に置き、徐々に
温度を上げていった。
【0142】その結果、100℃以上に上昇すると、ヨ
ードエタンが気化して、電池内部の圧力が高まり、安全
弁が開いて、電解液が排出された。この時、電極が露出
して空気に接触したが、金属リチウムはヨードエタンと
反応してヨウ化リチウムの非金属に変換されて金属リチ
ウムが存在しなかったため、空気に触れても発火しなか
った。
【0143】比較例4 電解液としてヨードエタンを用いず、γ−ブチロラクト
ン50体積%、エチレンカーボネート50体積%の混合
液を使用した以外、実施例3と同様な二次電池を作製
し、0.5C過充電試験を10時間実施後、熱板加熱試
験を実施した。
【0144】その結果、電池の温度が100℃を超えて
も安全弁は作動せず、200℃において爆発をともなっ
て安全弁が作動した。それによって高温の電解液が噴出
した。この時、電極が露出して空気に接触し、電極上に
生成した金属リチウムと反応して発火した。この火が電
解液に引火して、電池が燃焼した。
【0145】比較例5 電解液としてヨードエタンの代わりに同体積の1,2−
ジメトキシエタンを用いた電解液を使用した以外、実施
例3と同様な二次電池を作製し、0.5C過充電試験を
10時間実施後、熱板加熱試験を実施した。
【0146】その結果、電池の温度が150℃以上に上
昇すると、1,2−ジメトキシエタンが気化して、電池
内部の圧力が高まり、安全弁が開いて、電解液が排出さ
れた。この時、電極が露出して空気に接触し、電極上に
生成した金属リチウムと反応して発火した。この火が電
解液に引火して、電池が燃焼した。
【0147】実施例4 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリエチレンの多孔質フィルム、電解液として
プロピレンカーボネート30体積%、テトラヒドロフラ
ン50体積%および1−ヨードプロパン20体積%の混
合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウムを用いた
容量900mAhの角型リチウムイオン二次電池に、前
述した図2に示す安全弁を取り付けた。
【0148】実施例4の二次電池に5CAの電流を流し
て過充電試験を実施した。
【0149】その結果、過充電による発熱で電池の温度
が120℃以上に上昇すると、1−ヨードプロパンが気
化して、電池内部の圧力が高まり、安全弁が開いて、電
解液が排出された。この時、電極が露出して空気に接触
したが、金属リチウムは1−ヨードプロパンと反応して
非金属であるヨウ化リチウムに変換されて金属リチウム
が存在しなかったため、空気に触れても発火しなかっ
た。
【0150】実施例5 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液とし
てプロピレンカーボネート40体積%、1,2−ジメト
キシエタン50体積%および1−ヨードブタン10体積
%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウムを
用いた容量900mAhの角型リチウムイオン二次電池
に、前述した図1に示す安全弁を取り付けた。
【0151】実施例5の二次電池に3CAの電流を流し
て過充電試験を行い、過充電の発熱で電池内部の温度を
100℃以上に上昇させた。
【0152】その結果、1,2−ジメトキシエタンが気
化して、電池内部の圧力が高まり、安全弁が開いて、電
解液が排出された。この時、電極が露出して空気に接触
したが、金属リチウムは1,2−ジメトキシエタンと反
応して非金属であるヨウ化リチウムのに変換されて金属
リチウムが存在しなかったため、空気に触れても発火し
なかった。
【0153】比較例6 1−ヨードブタン10体積%の代わりに同体積の1,2
−ジメトキシエタンを用いて、プロピレンカーボネート
40体積%、1,2−ジメトキシエタン60体積%の電
解液を使用した以外、実施例5と同様な二次電池を作製
し、3C過充電試験を実施した。
【0154】その結果、過充電の発熱で電池内部の温度
が100℃以上に上昇すると、1,2−ジメトキシエタ
ンが気化して、電池内部の圧力が高まり、安全弁が開い
て、電解液が排出された。この時、電極が露出して空気
に接触し、電極上に生成した金属リチウムと反応して発
火した。この火が、電解液に引火して、電池が燃焼し
た。
【0155】実施例6 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液にプ
ロピレンカーボネート60体積%およびヨードエタン4
0体積%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチ
ウムを用いた容量1000mAhの円筒型リチウムイオ
ン二次電池に、圧力の作用で電池に流れる電流を制御で
きる安全装置を装着した。
【0156】前記安全装置は、通常時、図3(a)に示
すような状態になっている。すなわち、図中の12は電
極端子6の穴13の周辺に立設された筒体である。蓋体
14は前記筒体12上にリング状の低融点金属板15を
介して取り付けられている。前記低融点金属板15は、
電池の温度が150℃以上になったときに溶融して開封
するようになっている。穴16を有する絶縁板17は、
前記電極端子6の下面に取り付けられている。スライダ
18は、前記電極端子6の穴13内に配置されいる。コ
イルスプリング19の一端は、前記スライダ18に取り
付けられ、かつ他端は前記蓋体14に取り付けられてい
る。前記スライダ18は前記コイルスプリング19によ
り前記絶縁板17に向けて付勢されており、5kg/c
2 以上の圧力を受けた時に前記付勢力に抗して動くよ
うに設定されている。正極リード7は、前記スライダ1
8のか論に接触されている。このような構造において、
前記正極リード7は前記スライダー18および前記電極
端子6は電気的に接続される。
【0157】実施例6の二次電池に3CAの電流を流し
て過充電試験を行い、過充電の発熱で電池内部の温度を
100℃以上に上昇させた。
【0158】その結果、ヨードエタンが気化して、電池
内部の圧力が高まり、図3(b)に示すようにスライダ
ー18を蓋体14に向けて動かし、充電電流を切断し
た。そのため過充電による金属リチウムの生成は停止し
た。
【0159】また、既に生成した金属リチウムはヨード
エタンと反応して非金属である安全なヨウ化リチウムに
変換された。
【0160】実施例7 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液にプ
ロピレンカーボネート40体積%、ジエチルカーボネー
ト40体積%および1−ヨード−3−クロロプロパン2
0体積%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチ
ウムを用いた容量1000mAhの円筒型リチウムイオ
ン二次電池に、前述した図3に示す安全装置を装着し
た。
【0161】実施例7の二次電池に3CAの電流を流し
て過充電試験を行い、過充電の発熱で電池内部の温度を
140℃以上に上昇させた。
【0162】その結果、1−ヨード−3−クロロプロパ
ンが気化して、電池内部の圧力が高まり、図3(b)に
示す状態になって充電電流を切断した。そのため、過充
電による金属リチウムの生成は停止した。
【0163】また、既に生成した金属リチウムは1−ヨ
ード−3−クロロプロパンと反応して非金属である安全
なヨウ化リチウムに変換された。
【0164】実施例8 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液にプ
ロピレンカーボネート40体積%、テトラヒドロフラン
40体積%、臭化tert−ブチル20体積%の混合
液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウムを用いた容
量1000mAhの円筒型のリチウムイオン二次電池
に、10kg/cm2 以上の圧力を受けたときに開封す
る安全弁を取り付けた。
【0165】前記安全弁は、通常時、図4(a)に示す
ような状態になっている。すなわち、互いに重ねられた
導電板2および絶縁板4には、穴5が開口され、可動弁
(安全弁)20は前記導電板2側に前記穴5を塞ぐよう
に取り付けられている。前記可動弁20は、下面側に位
置するアルミニウムとプラスチックを積層した構造にな
っている。正極リード7は、前記絶縁板4に取り付けら
れていると共に、前記可動弁(安全弁)20の下面に電
気的に接続されている。このような構造において、前記
可動弁(安全弁)20は内部圧力の増加により上方に向
けて動くように設定されており、3kg/cm2 以上の
圧力を受けた時に図4(b)に示すように動き、前記正
極リード7と前記可動弁20、つまり前記導電板2との
電気的接続が遮断されるように設計されている。
【0166】実施例7の二次電池に0.1CAの電流を
50時間かけて流す過充電試験を実施した。
【0167】その結果、過充電が進むにつれて、リチウ
ム金属微結晶が生成し始めたが、臭化tert−ブチル
と反応して、発生したリチウム金属微結晶はtert−
ブチルリチウムに変化した。このtert−ブチルリチ
ウムは直ぐにテトラヒドラフランと反応し、発火性のな
い、安全なアルコラートに変化した。
【0168】試験後、電池の内容物を取り出したが、リ
チウム金属微結晶が存在しないため、安全であった。
【0169】実施例9 正極に含リチウム二酸化コバルト(LiCoO2 )、負
極に炭素、セパレーターにポリエチレンの多孔質フィル
ム、電解液にプロピレンカーボネート50体積%、テト
ラヒドロフラン30体積%およびヨードエタン20体積
%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウム
(LiPF6 )を用いた容量1000mAhの円筒型リ
チウムイオン二次電池を製作した。
【0170】100%充電した実施例9の二次電池10
個に、さらに3CAの電流を流して、過充電試験を実施
した。そのうちの5個の二次電池は、過充電開始後10
分間停止し、残りの5個の二次電池はそのまま10時間
継続した。
【0171】停止した5個の二次電池について、停止直
後の放電特性を測定したところ、その20%低下してい
た。しかしながら、2時間放置した後、再度放電特性を
調べたところ、元に値に復帰していた。
【0172】一方、継続した5個の二次電池については
内部にガスが充満して内部抵抗が高まったため、過充電
電流が制限されて危険な状態に至らなかった。
【0173】実験終了後、すべての二次電池について内
容物を空気中に取り出したが、リチウムイオンから生成
された金属リチウムがリチウム塩(ヨウ化リチウム)に
変換されていたため、発火した電池は一つも認められな
かった。
【0174】ヨードエタンの代わりに1,3−ジヨード
プロパンを用いたい外、実施例9と同様に二次電池を作
製した。この二次電池についても実施例9と同様な過充
電試験結果が得られた。
【0175】実施例10 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリエチレンの多孔質フィルム、電解液として
プロピレンカーボネート60体積%、エチレンカーボネ
ート20体積%およびヨードエタン20体積%の混合
液、電解質に過塩素酸リチウム(LiClO4 )を用い
た容量1000mAhの円筒型リチウムイオン二次電池
に、10kg/cm2 以上の圧力を受けたときに開封す
る前述した図4に示す安全装置を取り付けた。
【0176】100%充電した実施例10の二次電池1
0個に、さらに3CAの電流を流して、過充電試験を実
施した。そのうちの5個の二次電池は、過充電開始後1
0分間停止し、残りの5個の二次電池はそのまま100
時間継続した。
【0177】停止した5個の二次電池について、停止直
後の放電特性を測定したところ、その20%低下してい
た。しかしながら、2時間放置した後、再度放電特性を
調べたところ、元に値に復帰していた。
【0178】一方、継続した5個の二次電池について
は、過充電の過程で内部に発生したガスの圧力により安
全装置が作動してが電池に流れる電流が遮断されたた
め、過充電電流が途中から流れなくなり、危険な状態に
至らなかった。
【0179】実験終了後、すべての二次電池について内
容物を空気中に取り出したが、リチウムイオンから生成
された金属リチウムがリチウム塩(ヨウ化リチウム)に
変換されていたため、発火した電池は一つも認められな
かった。
【0180】実施例11 正極に含リチウム二酸化コバルト(LiCoO2 )、負
極に炭素、セパレーターにポリエチレンの多孔質フィル
ム、電解液にプロピレンカーボネート30体積%、テト
ラヒドロフラン50体積%および不燃性のヨードエタン
20体積%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リ
チウム(LiPF6 )を用いた容量1000mAhの円
筒型リチウムイオン二次電池に、前述した図3に示す安
全装置を装着した。
【0181】実施例11の二次電池に0.1CAの電流
で、温度50℃以下に保ったままか充電を行った。
【0182】その結果、過充電が進に伴ってリチウム金
属微結晶が生成し始めたが、ヨードエタンと反応して前
記発生してリチウム金属微結晶が徐々に安全な無機塩に
変化した。この時、反応生成物としてブタンガスが発生
し電池内部の圧力を徐々に高めたために、図3(b)に
示すようにスライダ18を動かし、充電電流を遮断し
た。このため、過充電によるは金属リチウムの生成は停
止した。
【0183】試験後、電池の内容物を取り出したが、リ
チウム金属微結晶が存在しなかったために安全であっ
た。
【0184】実施例12 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリエチレンの多孔質フィルム、電解液として
プロピレンカーボネート60体積%、エチレンカーボネ
ート20体積%およびヨードエタン20体積%の混合
液、電解質に過塩素酸リチウム(LiClO4 )を用い
た容量1000mAhの円筒型リチウムイオン二次電池
に、10kg/cm2 以上の圧力を受けたときに開封す
る前述した図4に示す安全装置を取り付けた。
【0185】実施例12の二次電池に実施例11と同
様、0.1CAの電流で、温度50℃以下に保ったまま
過充電を行った。
【0186】その結果、過充電が進に伴ってリチウム金
属微結晶が生成し始めたが、ヨードエタンと反応して前
記生成したリチウム金属微結晶が徐々に安全な無機塩に
変化した。この時、反応生成物としてブタンガスが発生
し電池内部の圧力を徐々に高めたために、図4(b)に
示すように可動弁20を動かし、充電電流を遮断した。
このため、過充電によるは金属リチウムの生成は停止し
た。
【0187】試験後、電池の内容物を取り出したが、リ
チウム金属微結晶が存在しなかったために安全であっ
た。
【0188】比較例7 ヨードエタンの代わりに同体積のジメトキシエタンを用
いた電解液を使用した以外、実施例12同様な二次電池
を作製し、実施例12と同様に0.1CAの電流で、温
度50℃以下に保ったまま過充電を行った。
【0189】比較例7の場合には、生成したリチウム金
属微結晶は殆ど消費されずにその生成が続行され、電極
上に多量のリチウム金属微結晶が生成し、危険な状態に
なった。しかも、充電電流は遮断されずにさらに充電が
継続された。
【0190】試験後、電池の内容物を取り出したが、リ
チウム金属微結晶が存在し、空気に触れて発火した。
【0191】実施例13 実施例12の二次電池に5CAの電流を流して過充電試
験を実施した。
【0192】その結果、実施例12と同様、過充電が進
に伴ってリチウム金属微結晶が生成し始めたが、ヨード
エタンと反応して前記発生してリチウム金属微結晶が徐
々に安全な無機塩に変化した。この時、反応生成物とし
てブタンガスが発生し電池内部の圧力を徐々に高めたた
めに、図4(b)に示すように可動弁20を動かし、充
電電流を遮断した。このため、過充電によるは金属リチ
ウムの生成は停止した。
【0193】また、前記過充電の発熱で電池内部の温度
が上昇したが、前記充電電流の遮断により、徐々に温度
が下がり、室温まで戻った。前記可動弁20を動かし、
充電電流を遮断したのは、ブタンガスの圧力であるた
め、電池が室温まで戻っても、充電電流は遮断されたま
まであった。
【0194】このようにして非復帰型の安全装置を実現
できた。
【0195】試験後、電池の内容物を取り出したが、リ
チウム金属微結晶が存在しなかったために安全であっ
た。
【0196】比較例8 比較例7の二次電池に5CAの電流を流して過充電試験
を実施した。
【0197】その結果、過充電の発熱で電池内部の温度
が100℃以上に上昇すると、ジメトキシエタンが帰化
して電池内部圧力が高まり、図4(b)に示すように可
動弁20を動かし、充電電流を遮断した。このため、過
充電によるは金属リチウムの生成は停止した。
【0198】前記前記充電電流の遮断により、徐々に温
度が下がったが、それと共にテトラヒドロフランが再び
液化したため、電池内部の圧力が低下し、前記可動弁2
0が元に戻って再び正極リード7と可動弁20とが電気
的に接続された。
【0199】したがって、5CAの過充電が再開し、金
属リチウムの生成が開始され、再び過充電の発熱で電池
内部の温度が100℃以上に上昇するまで続いた。
【0200】比較例8の二次電池では、非復帰型の安全
装置を実現できず、前記過程を繰り返し継続した。前記
過程が繰り返される毎に金属リチウムの生成が断続的に
続いたため、電極上に生成された金属リチウム量は増大
し続け、危険な状態になった。
【0201】試験後、電池の内容物を取り出すと、リチ
ウム金属微結晶が存在したため、空気に触れて発火し
た。
【0202】比較例9 ヨードエタンを含まず、プロピレンカーボネート60体
積%、エチレンカーボネート40体積%の電解液を使用
した以外、実施例12同様な二次電池を作製し、実施例
12と同様に0.1CAの電流で、温度50℃以下に保
ったまま過充電を行った。
【0203】その結果、過充電の発熱で電池内部の温度
が100℃を超えたが、図4(b)に示すように可動弁
20が動作せず、過充電が継続されたため、電極上に生
成された金属リチウム量は増大し続け、危険な状態にな
った。
【0204】試験後、電池の内容物を取り出すと、リチ
ウム金属微結晶が存在したため、空気に触れて発火し
た。
【0205】実施例14 正極に含リチウム二酸化コバルト、負極に炭素、セパレ
ーターにポリプロピレンの多孔質フィルム、電解液にプ
ロピレンカーボネート40体積%、テトラヒドロフラン
40体積%、臭化tert−ブチル20体積%の混合
液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウムを用いた容
量1000mAhの円筒型のリチウムイオン二次電池
に、前述した図1に示す安全弁を取り付けた。
【0206】実施例14の二次電池に、0.1CAの電
流で、温度50℃以下に保ったまま過充電を行った。
【0207】その結果、過充電が進に伴ってリチウム金
属微結晶が生成し始めたが、臭化tert−ブチルと反
応して前記生成したリチウム金属微結晶はtert−ブ
チルリチウムに変化した。このtert−ブチルリチウ
ムは、すぐにテトラヒドロフランと反応してリチウム塩
の他にエタンガスおよび2−メチルプロパンを発生し
た。これらのガスによって電池内部の圧力を徐々に高め
たために、図1(b)に示すように安全弁9を開封して
充電電流を遮断した。このため、過充電によるは金属リ
チウムの生成は停止した。
【0208】試験後、電池の内容物を取り出したが、リ
チウム金属微結晶が存在しなかったために安全であっ
た。
【0209】実施例15 正極に含リチウム二酸化コバルト(LiCoO2 )、負
極に炭素、セパレーターにポリエチレンの多孔質フィル
ム、電解液にプロピレンカーボネート30体積%、テト
ラヒドロフラン50体積%およびヨードエタン20体積
%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウム
(LiPF6 )を用いた電気自動車に搭載するための容
量2kWhの大型リチウムイオン二次電池に、前述した
図3に示す安全装置を装着すると共に、異常反応を検知
するモニタシステムを付設した。
【0210】前記モニタシステムは、図5に示すように
電池21の内部圧力を測定する圧力センサ22と、前記
電池21の内部温度を測定する温度センサ23と、前記
圧力センサ22および前記温度センサ23の出力信号を
処理するコンピュータ24と、前記コンピュータ24の
指示により前記電池21に関係する回路(例えば充電回
路等)を制御する制御部25と、前記コンピュータ24
から送られる情報を表示するディスプレィ26と、警報
装置(図示せず)とから構成されている。また、図示し
ないが、前記コンピュータ24には電極電圧、電池に流
れる電流、電池の気温に関する情報が常に入力される。
【0211】個々の電池に関する回路は、コンピュータ
制御により常に適正な状態になるように、例えば充電電
圧、充電電流、充電時間等がコントロールされている
が、万一ある電池に異常が見付かった場合には、自動的
にその電池は回路から切り離されて保護される。しか
も、前記異常となった電池の代わりに予備の電池が回路
に組み込まれ、全体の電池構成が維持される。
【0212】異常の判定は、例えば温度補正後の電池の
内部圧力が初期値の1.2倍に上昇したは場合、上昇速
度を加味した上、温度、電極電圧、電池に流れる電流等
を総合的に判断して前記コンピュータ24が行う。
【0213】これらの経過および処置の結果は、前記デ
ィイスプレイ26および警報装置を通して使用者に伝達
される。
【0214】前述したモニタシステムが付設された実施
例15では、極めて初期段階で異常が判別され、電池が
保護されるため、判別された電池もまだ十分に使用可能
であり、原因究明して必要な調整を行った後、再び使用
することができた。
【0215】実施例16 正極に含リチウム二酸化コバルト(LiCoO2 )、負
極に炭素、セパレーターにポリエチレンの多孔質フィル
ム、電解液にプロピレンカーボネート40体積%、ジメ
トキシエタン50体積%およびのヨードエタン10体積
%の混合液、電解質にヘキサフルオロリン酸リチウム
(LiPF6 )を用いた余剰電力を貯蔵するための家庭
用電力貯蔵システムに使用される容量2kWhの大型リ
チウムイオン二次電池に、前述した図3に示す安全装置
を装着すると共に、異常反応を検知するモニタシステム
を付設した。
【0216】前記モニタシステムは、前述した図5と同
様であるが、異常反応が検知された時に電池が交換され
るだけでなく、使用電源系統を家庭用商用電源に切り替
えることができるようにもなっている。
【0217】実施例17 正極に含リチウム二酸化コバルト(LiCoO2 )、負
極に炭素、セパレーターにポリエチレンの多孔質フィル
ム、電解液にプロピレンカーボネート90体積%および
ヨードエタン10体積%の混合液、電解質にヘキサフル
オロリン酸リチウム(LiPF6 )を用いた容量10A
hの角型リチウムイオン二次電池に、前述した図3に示
す安全装置を装着すると共に、異常反応を検知するモニ
タシステムを付設した。前記電池はパーソナルコンピュ
ータの電源として使用される。
【0218】前記モニタシステムは、圧力センサと情報
処理部からなる簡単なもので、圧力センサからの出力
が、初期圧力の1.3倍になった時にディスプレイ画面
に“電池内部圧力が異常”、したがって“商用電源を切
り替えて使用すること”を勧告するメッセイジを表示す
る。
【0219】使用者は、これを見て適切な処置を行なう
ことができる。
【0220】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば外
部の制御によらず、電池自体の本質的な特性としてリチ
ウム等が金属状態でまったく存在しない状態、つまりリ
チウム等の金属微結晶が生成せず、発火や火災の危険性
がない安全な二次電池を提供できる。また、本発明によ
れば外部の制御によらず、電池自体の自己制御によりリ
チウム等が金属状態でまったく存在しない状態を維持す
る、つまりリチウム等の金属微結晶が生成せず発火の危
険性がない上、リチウム等の金属の生成量が少ない場合
には電池特性を維持する機能と、リチウム等の金属の生
成量が多い場合には正極、負極間の導通を遮断して電池
動作を喪失する機能とを有する二次電池を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池に付設される安全装置を示す部分
概略断面図。
【図2】本発明の電池に付設される安全装置を示す部分
概略断面図。
【図3】本発明の電池に付設される安全装置を示す部分
概略断面図。
【図4】本発明の電池に付設される安全装置を示す部分
概略断面図。
【図5】本発明の電池の安全をモニタするシステムを示
す概略図。
【符号の説明】
1…電池容器、2、3…導電板、5…穴、6…電極端
子、7…正極リード、8…金属バネ、9…安全弁、11
…空気孔、15…低融点金属板、18…スライダ、19
…コイルスプリング、20…スライダ、21…電池、2
2…圧力センサ、23…温度センサ、24…コンピュー
タ、26…ディスプレイ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極および非水電解液を備え、金
    属イオンのインターカレーションを利用した二次電池に
    おいて、 前記非水電解液は前記金属イオンから生成された金属と
    反応して非金属に変換する有機溶剤を含むことを特徴と
    する二次電池。
  2. 【請求項2】 正極、負極および非水電解液を備え、金
    属イオンのインターカレーションを利用した二次電池に
    おいて、 前記非水電解液は前記金属イオンから生成された金属と
    反応して非金属に変換すると共にガスを発生する有機溶
    剤を含むことを特徴とする二次電池。
  3. 【請求項3】 正極、負極および非水電解液を備え、金
    属イオンのインターカレーションを利用した二次電池に
    おいて、 前記非水電解液は前記金属イオンから生成された金属と
    反応して非金属に変換すると共に重合性物質を生成する
    有機溶剤を含むことを特徴とする二次電池。
  4. 【請求項4】 正極、負極および非水電解液を備え、金
    属イオンのインターカレーションを利用した二次電池に
    おいて、 前記非水電解液は前記金属イオンから生成された金属と
    反応してイオン性の非金属に変換する機能と、前記金属
    イオンから多量の金属が生成された際に前記金属と反応
    してイオン性の非金属に変換すると共に前記正極および
    負極間の導通を遮断するバリア物質を生成する機能の少
    なくとも一つを有する有機溶剤を含むことを特徴とする
    二次電池。
JP27120392A 1992-09-14 1992-09-14 二次電池 Expired - Fee Related JP3281057B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27120392A JP3281057B2 (ja) 1992-09-14 1992-09-14 二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27120392A JP3281057B2 (ja) 1992-09-14 1992-09-14 二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0696799A true JPH0696799A (ja) 1994-04-08
JP3281057B2 JP3281057B2 (ja) 2002-05-13

Family

ID=17496787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27120392A Expired - Fee Related JP3281057B2 (ja) 1992-09-14 1992-09-14 二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3281057B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014225457A (ja) * 2008-06-30 2014-12-04 エルジー・ケム・リミテッド リチウム二次電池
JP2021525434A (ja) * 2019-05-07 2021-09-24 国网江蘇省電力有限公司電力科学研究院 新規なリチウムイオン電池及び電池モジュール
WO2023223595A1 (ja) * 2022-05-20 2023-11-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 固体電解質組成物、固体電解質層、電極、および、電池

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014225457A (ja) * 2008-06-30 2014-12-04 エルジー・ケム・リミテッド リチウム二次電池
JP2021525434A (ja) * 2019-05-07 2021-09-24 国网江蘇省電力有限公司電力科学研究院 新規なリチウムイオン電池及び電池モジュール
WO2023223595A1 (ja) * 2022-05-20 2023-11-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 固体電解質組成物、固体電解質層、電極、および、電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP3281057B2 (ja) 2002-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2216898C (en) Improved additives for overcharge protection in non-aqueous rechargeable lithium batteries
JP3055358B2 (ja) 非水電解質電池
EP2827408B1 (en) Lithium-ion rechargeable battery
CN104733775B (zh) 电极、二次电池、电池组、电动车辆和电力存储系统
US5609972A (en) Cell cap assembly having frangible tab disconnect mechanism
EP2219247B1 (en) Cylindrical secondary battery
US6045939A (en) Lithium secondary battery having thermal switch
KR100601500B1 (ko) 온도와 압력 감응형 안전 벤트를 갖는 리튬 이온 이차 전지
JP2009099322A (ja) 電池パック
KR101841803B1 (ko) 전지셀 압력 상태 모니터링에 의하여 안전성이 향상된 전지모듈 및 이를 포함하는 전지팩
JPH1140203A (ja) 二次電池
JP6428873B2 (ja) 二次電池用電極、二次電池、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電動工具および電子機器
KR20130064031A (ko) 안전성이 향상된 이차전지
EP3544085A1 (en) Battery connecting device and battery pack having same
JPH117931A (ja) 二次電池
JPH11176470A (ja) 有機電解液二次電池
JP5343918B2 (ja) リチウム二次電池及び非水系電解液
JP2000067847A (ja) 二次電池及び組電池
JP3281057B2 (ja) 二次電池
JP2001102088A (ja) 非水電解液電池
JP2002289159A (ja) 非水電解質二次電池パック
JPH0513105A (ja) 非水電解液電池
JPS6386358A (ja) 非水電解液電池
KR100880525B1 (ko) 과충전 및 고온 안전성이 우수한 전기화학소자 및 상기 전기 화학 소자의 발화 및 폭발을 방지하는 방법
JP2000208132A (ja) 非水電解液二次電池および電池用熱動継電器

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees