JPH0696417A - データ記録再生装置の磁気ヘッドおよび磁気信号変換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、共振点の下限を維持し、かつ
高記録密度に対応するＳＮＲを向上させることができる
磁気ヘッドおよび磁気信号変換装置を提供することにあ
る。 【構成】フェライトコア１に設けられた同一巻数の複数
のコイル２ａ，２ｂから、記録媒体の記録磁界を変換し
て得られる複数の電気信号を出力する磁気ヘッドが使用
される。プリアンプ５，６および減算器７は、磁気ヘッ
ドの各コイル２ａ，２ｂから出力される各電気信号の一
方をそのまま増幅しかつ他方を極性反転させて増幅して
減算する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばハードディスク
装置等のデータ記録再生装置に使用されて、記録媒体に
データの記録再生を行なう磁気ヘッドおよび磁気信号変
換装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ハードディスク装置（ＨＤＤ）等
の磁気記録再生装置では、記録媒体に対してデータの記
録再生を行なうために磁気ヘッドが使用されている。磁
気ヘッドは、図３に示すように、フェライトコア１とコ
イル２からなる。磁気ヘッドは、フェライトコア１のギ
ャップ１ａにより記録媒体の記録磁界を検出し、コイル
２の出力端子から記録磁界を電気信号に変換して出力す
る。コイル２から出力された電気信号は、プリアンプ
（差動増幅回路）３により増幅されてリードデータ再生
系４に供給される。リードデータ再生系４は、磁気ヘッ
ドにより変換された電気信号（リード信号）をリードデ
ータに再生する処理を実行する。

【０００３】なお、記録媒体にデータをライトする場合
には、コイル２に電気信号であるライトデータが供給さ
れて、フェライトコア１のギャップ１ａから記録磁界を
発生することになる。

【０００４】ところで、ＨＤＤでは記憶容量の増大化に
伴って、記録媒体の記録密度は高密度化されつつある。
このため、磁気ヘッドから出力されるリード信号のレベ
ルが低下の傾向にある。リード信号のレベルが低下する
と、信号対雑音比（以下ＳＮＲと省略する）が低下する
ことになる。

【０００５】磁気ヘッドの出力信号のレベルを単純に増
大するには、コイル２の巻数を増大化させればよい。し
かし、巻数の増大はコイル２のインダクタンスの増加を
招き、プリアンプ３の入力容量、浮遊容量等で構成され
る共振回路の共振点を下げることになる。共振点は信号
帯域により下限に制限があり、またヘッドの構造的な理
由から、コイル２の巻数の上限は制限されることにな
る。

【０００６】具体的には、例えば薄膜ヘッドでは、イン
ダクタンス分が１マイクロヘンリー、抵抗分が４０オー
ム程度である。最新のプリアンプ３では、信号帯域を１
０ＭＨｚとした場合に、雑音電圧が１．５８μＶ程度で
ある。ここで、ヘッドの抵抗分から発生する雑音電圧
は、同じ信号帯域では２．６６μＶ程度となる。したが
って、リードデータ再生系のＳＮＲは、ヘッドの性能に
大きく依存していることになる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ヘッドのコイル２の巻
数を増加すれば、巻数のルートに比例してＳＮＲを向上
させることができる。しかし、信号帯域による制限（共
振点の下限の制限）やヘッドの構造的な物理的制限によ
り、単純に巻数を増加することは不可能である。一方、
フェライトコア１を使用するヘッドでは、抵抗分が比較
的低いが、インダクタンス分が大きいため、共振点を高
くすることはできない。コイル２の巻数を減少させる
と、共振点は低下するが、ＳＮＲの低下を招くことにな
る。

【０００８】本発明の目的は、共振点の下限を維持し、
かつ高記録密度に対応するＳＮＲを向上させることがで
きる磁気ヘッドおよび磁気信号変換装置を提供すること
にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、記録媒体に記
録磁界を検出するためのギャップを有する磁気コアおよ
び磁気コアに設けられた同一巻数の複数のコイルからな
り、各コイルから記録磁界を電気信号に変換して出力す
るコイル手段を備えた磁気ヘッドである。

【００１０】さらに、本発明は、前記磁気ヘッドの各コ
イルから出力される電気信号をそれぞれを相互に極性を
反転して増幅して減算する増幅手段を備えた磁気信号変
換装置である。

【００１１】

【作用】本発明では、磁気コアに設けられた同一巻数の
複数のコイルから、記録媒体の記録磁界を変換して得ら
れる複数の電気信号を出力する磁気ヘッドが使用され
る。磁気信号変換装置は、磁気ヘッドの各コイルから出
力される各電気信号の一方をそのまま増幅しかつ他方を
極性反転させて増幅して減算する。

【００１２】

【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例を説明す
る。

【００１３】図１は第１の実施例に係わる磁気ヘッドお
よび磁気信号変換装置の構成を示すブロック図、図２は
第２の実施例に係わる磁気ヘッドおよび磁気信号変換装
置の構成を示すブロック図である。

【００１４】第１の実施例に係わる磁気ヘッドは、図１
に示すように、フェライトコア１に同一巻線の独立した
複数のコイル２ａ，２ｂを取り付けた構造である。各コ
イル２ａ，２ｂの出力端子は、それぞれ相互に極性を反
転させたプリアンプ５，６の入力端子に接続されてい
る。プリアンプ５，６の各出力信号は、オペアンプ７か
らなる減算器７に入力されている。減算器７は減算して
得られるリード信号をリードデータ再生系４に出力す
る。

【００１５】リードデータ再生系４は、通常ではＡＧＣ
アンプ４ａ、ローパスフィルタ（ＬＰＦ）４ｂ、微分回
路４ｃおよびパルス生成回路４ｄからなる。ＡＧＣアン
プ４ａは、ＬＰＦ４ｂの出力振幅を一定化させるための
自動利得制御機能を有するアンプである。ＬＰＦ４ｂは
リード信号のノイズ除去を行なう。パルス生成回路４ｄ
は微分回路４ｃにより微分されたリード信号のゼロクロ
ス点を検出し、そのゼロクロス点に基づいてリードパル
スを生成する。

【００１６】次に、同実施例の動作を説明する。

【００１７】同実施例の磁気ヘッドでは、コイル２ａ，
２ｂの各巻数は、図３に示すように、従来のコイル２の
巻数と同一でよい。即ち、コイルの巻数を２倍にする代
わりに、同一巻数の複数のコイル２ａ，２ｂを使用す
る。

【００１８】コイルの巻数を２倍にすると、ヘッドのイ
ンダクタンスは巻数の二乗に比例して増加するため、前
記のように、コイルの共振点を下げることになる。例え
ばＳＮＲを３ｄＢ向上させるためには、コイルの巻数を
２倍にすればよいが、共振点は１／２になる。通常で
は、共振点はリード信号の最高周波数の２倍程度必要で
あるため、コイルの巻数には制限がある。

【００１９】そこで、同実施例では、同一巻数の複数の
コイル２ａ，２ｂを使用した磁気ヘッドが使用される。
各コイル２ａ，２ｂに接続されたプリアンプ５，６の出
力はそれぞれ、図３に示すプリアンプ３のＳＮＲと同一
である。また、各コイル２ａ，２ｂの巻数も同一である
から、共振点も変化していない。プリアンプ５，６の出
力は相互に極性が反転して、減算器７により減算される
ため、リード信号のレベルは２倍となる。このとき、ノ
イズ電圧は巻数（抵抗分）のルート２倍となるため、Ｓ
ＮＲは３ｄＢ向上することになる。また、各コイル２
ａ，２ｂの巻数を１／２にすれば、ＳＮＲは同じで共振
点を２倍にすることが可能となる。

【００２０】したがって、従来と比較して、共振点を下
げることなく、リード信号のレベルを２倍にして、ＳＮ
Ｒを向上させることができる。なお、プリアンプ５，６
の雑音はヘッドからのノイズと比較して、無視できるほ
ど小さいと仮定している。

【００２１】なお、磁気ヘッドにより記録媒体にデータ
をライトする場合には、ライト信号を出力するアンプ８
の出力端子を、コイル２ａ，２ｂのいずれかに接続すれ
ばよい。

【００２２】第２の実施例は、図２に示すように、コイ
ルとしてセンタータップ２０ａ付きのコイル２０が取り
付けられた磁気ヘッドを使用する。第２の実施例では、
センタータップ２０ａを共通の出力端子として使用する
ことにより、同一巻数の複数のコイルを使用した場合と
同一の構成となる。

【００２３】このような磁気ヘッドを使用して、図２に
示すように、プリアンプ５，６の各反転入力端子にセン
タータップ２０ａを接続し、各正相入力端子にコイル２
０の各出力端子を接続した磁気信号変換回路を構成す
る。プリアンプ５，６の各出力信号は、オペアンプ７か
らなる減算器７に入力されている。減算器７は減算して
得られるリード信号をリードデータ再生系４に出力す
る。

【００２４】したがって、第２の実施例の場合でも、前
記第１の実施例の場合と同様の作用効果を得ることがで
きる。但し、第２の実施例では、通常のセンタータップ
２０ａ付きのコイル２０を使用した磁気ヘッドであるた
め、第１の実施例の磁気ヘッドと比較して製造工程が簡
単である。一方、第１の実施例の磁気ヘッドは、２個の
コイル２ａ，２ｂだけでなく、さらにコイルを増加させ
ることも可能である。

【００２５】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、共
振点の下限を維持するためにコイルの巻数を単純に増加
させることなく、記録媒体からリードしたリード信号の
レベルを増加してＳＮＲを向上させることができる。特
に、高記録密度の記録媒体に対して適用することによ
り、高記録密度に対応するＳＮＲの向上を図ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係わる磁気ヘッドおよ
び磁気信号変換装置の構成を示すブロック図。

【図２】本発明の第２の実施例に係わる磁気ヘッドおよ
び磁気信号変換装置の構成を示すブロック図。

【図３】従来の磁気ヘッドと磁気信号変換装置の構成を
示すブロック図。

【符号の説明】 １…フェライトコア、２ａ，２ｂ…コイル、５，６…プ
リアンプ、７…減算器、２０…センタータップ付きコイ
ル。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録媒体に記録磁界を検出するためのギ
   ャップを有する磁気コアと、 この磁気コアに設けられた同一巻数の複数のコイルから
   なり、前記各コイルから前記記録磁界を電気信号に変換
   して出力するコイル手段とを具備したことを特徴とする
   データ記録再生装置の磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 記録媒体に記録磁界を検出するためのギ
   ャップを有する磁気コアおよび前記磁気コアに設けられ
   た同一巻数の複数のコイルからなり、前記各コイルから
   前記記録磁界を電気信号に変換して出力するコイル手段
   を有する磁気ヘッド手段と、 前記各コイルから出力される各電気信号のそれぞれを相
   互に極性を反転して増幅して減算する増幅手段とを具備
   したことを特徴とするデータ記録再生装置の磁気信号変
   換装置。
3. 【請求項３】 記録媒体に記録磁界を検出するためのギ
   ャップを有する磁気コアおよび前記磁気コアに設けられ
   たセンタータップ付きコイルからなり、前記センタータ
   ップ付きコイルの複数の出力端子から前記記録磁界を電
   気信号に変換して出力するコイル手段を有する磁気ヘッ
   ド手段と、 前記各出力端子から出力される各電気信号のそれぞれを
   相互に極性を反転して増幅して減算する増幅手段とを具
   備したことを特徴とするデータ記録再生装置の磁気信号
   変換装置。