JPH0693449A - 金属基材へのカーボン被覆法 - Google Patents

金属基材へのカーボン被覆法

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JPH0693449A
JPH0693449A JP4271180A JP27118092A JPH0693449A JP H0693449 A JPH0693449 A JP H0693449A JP 4271180 A JP4271180 A JP 4271180A JP 27118092 A JP27118092 A JP 27118092A JP H0693449 A JPH0693449 A JP H0693449A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
base material
metal
coating
cvd
Prior art date
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Pending
Application number
JP4271180A
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English (en)
Inventor
Akira Kondo
明 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
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Publication date
Application filed by Tokai Carbon Co Ltd filed Critical Tokai Carbon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属基材を低温度に保持しながらCVD法に
より密着性に優れたカーボン被膜を形成する金属基材へ
のカーボン被覆法。 【構成】 金属基材の表面に無電解めっき法でニッケル
めっき被膜を形成し、400〜600℃の温度範囲で空
気酸化することにより酸化ニッケルを被覆担持させる。
ついで、酸化ニッケルの被覆面に炭化水素ガスの熱分解
によるCVDを介してカーボン被膜を析出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属基材の表面に比較
的低温度のCVD操作により密着性に優れるカーボン被
膜を形成することができる金属基材へのカーボン被覆法
に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンは固有の性状特性として優れた
自己潤滑性を有しているため、古くから固体潤滑材とし
て広く利用されている。潤滑材として用いられるカーボ
ンの形状は、一般に微粒子状の粉体であることが多い
が、各種の部材に潤滑性を付与しようとする場合には対
象部材の表面にカーボンの被覆層を形成する手段が有効
である。このため、機械部材の大部分を占める金属材料
の表面に密着性よくカーボンを被覆させる技術が必要と
なる。
【0003】従来、カーボン被膜を形成するための最も
実用的なコーティング技術として、炭化水素ガスを熱分
解させて基材面にカーボン層を気相析出させるCVD法
(化学的気相析出法)が知られている。ところが、CV
D法によりカーボン被膜を効率よく析出させるためには
基材温度を少なくとも800〜1100℃付近に保持す
る必要があり、このためカーボンに比べて1桁以上大き
い熱膨張係数をもつ通常の金属材料を基材とした場合に
は、冷却時に熱膨張差(熱応力)に基づいて形成したカ
ーボン被膜が剥離する現象が生じる。
【0004】このようなCVD法の問題を解消するた
め、基材温度が殆ど上昇することのないプラズマCVD
法を用いて金属面にカーボン被膜を形成する方法(特開
平2−30755 号公報) が提案されている。しかし、プラ
ズマCVDには被膜形成するための堆積速度が極めて遅
いという欠点がある。この堆積速度は電力密度を高める
ことによりある程度増大させることは可能であるが、電
力密度の高度化はプロセスのエネルギー消費を高めるう
えに金属基材に損傷を与える原因となる。
【0005】このほか、金属基材とカーボン被膜の密着
性を改善するために、両者の間に熱応力の緩和を目的と
する金属粒子とカーボンによる複合中間層を設ける方法
(特開昭59−143498号公報、特開平3−191065号公報)
も提案されているが、製造工程が煩雑となって生産コス
トの高騰を招く問題点がある。また、CVD法以外のカ
ーボン被覆化手段として、金属基材面にフェノール系や
フラン系のような炭化収率の高い熱硬化性樹脂液を塗布
し、塗布層を焼成炭化してカーボン層に転化させる方法
もあるが、塗布した樹脂層は炭素化に際して大きな収縮
を伴うため剥離現象の発生が避けられない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、CVD法
を適用して金属基材面に密着性よくカーボン被膜を形成
するための方策、条件等につき多角的な研究を重ねた結
果、金属基材面に予め酸化ニッケルを担持させておく
と、その触媒的作用によりCVD時における金属基材の
保持温度が400℃以下の低温度域においてもカーボン
の析出度合が飛躍的に向上するという従来技術では知ら
れていない新規な事実を解明した。
【0007】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的は、金属基材を低温度に保持しながら
CVD法により密着性に優れたカーボン被膜を形成する
ことができる金属基材へのカーボン被覆法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による金属基材へのカーボン被覆法は、金属
基材の表面に酸化ニッケルを被覆担持させ、前記酸化ニ
ッケルの被覆面に炭化水素ガスの熱分解によるCVDを
介してカーボン被膜を析出させることを構成上の特徴と
する。
【0009】本発明の基材となる金属材料は、500℃
以上の融点を有する金属類が対象となり、典型的には
鉄、銅またはこれらの合金が用いられる。これら金属基
材の表面には、予め酸化ニッケルを被覆担持させる。酸
化ニッケルを被覆担持させる方法としては、金属基材に
めっき処理を施してニッケルめっき被膜を形成し、つい
で大気中で加熱して空気酸化することによりニッケルめ
っき被膜を酸化ニッケルに転化させるプロセスが好まし
く適用される。
【0010】ニッケルめっき被膜を形成するためのめっ
き処理方法には特に制約はなく、通常の電気めっき法を
用いることもできるが、一般に常用されている建浴方式
による無電解めっき法を用いることが望ましい。この無
電解めっき法は、必要に応じて金属基材面を塩化パラジ
ウムにより前処理して触媒核を形成したのち、ニッケル
塩、還元剤、錯化剤およびpH調整剤などを適宜に配合
した組成のニッケルめっき浴に浸漬して一定時間めっき
反応させる方法が採られる。ついで処理する空気酸化工
程においては、酸化処理温度を400〜600℃の範囲
に設定することが好ましい。400℃未満の温度ではニ
ッケルめっき層の酸化反応が円滑に進行せず、600℃
を越えると金属基材の熱劣化や基材金属自身の酸化現象
を招く危険性がある。
【0011】酸化ニッケルを被覆担持させた金属基材
は、CVD炉に移し、金属基材を加熱した状態で炉内に
炭化水素ガスを導入して熱分解させることにより酸化ニ
ッケル被覆面にカーボンとして気相析出させる。カーボ
ン源となる炭化水素ガスとしては、例えばメタン、エタ
ン、プロパン、エチレン、アセチレン等を挙げることが
でき、いずれも本発明の目的に対して好適に使用され
る。この際、金属基材の加熱温度は350〜450℃の
範囲に保持すれば十分であり、この低温度域において均
質なカーボン被膜が密着性よく形成される。
【0012】
【作用】炭化水素ガスを熱分解してCVD法により金属
基材面に効率よくカーボン被膜を形成するためには、処
理条件として金属基材の温度を800℃以上に保持する
ことが必要条件とされている。この場合、基材面にニッ
ケルやコバルトのような遷移金属が介在すると、触媒作
用によってカーボンの析出温度が下がることが知られて
いるが、酸化物形態における挙動については解明されて
いない。
【0013】本発明の方法によれば、金属基材面に被覆
担持させた酸化ニッケルが触媒的機能を飛躍的に向上さ
せ、この作用を介して350〜450℃程度の低基材保
持温度においてカーボン被膜を効率的にCVD形成する
ことが可能となる。したがって、従来技術に比べてエネ
ルギーコストを低減し得るとともに、処理後の冷却段階
における温度差が少なくなる関係で形成された被膜層が
剥離する現象はなくなり、常に密着性に優れるカーボン
被膜が被覆形成される。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
【0015】実施例1〜4 鉄鋼材〔新日本製鐵(株)製、S45C〕を、塩化パラ
ジウムを溶解した塩酸水溶液に浸漬して活性化処理を施
したのち、硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム(還元
剤)、クエン酸ナトリウム(醋化剤)および酢酸ナトリ
ウム(pH緩衝剤)からなる組成の建浴されためっき浴
(温度60℃、pH5)に浸漬して無電解めっき反応を
おこなった。このようにして無電解めっき法により表面
にニッケルめっき層を被覆した金属基材を大気雰囲気に
保持された加熱炉に入れ、加熱温度を変えて空気酸化し
て金属基材面に酸化ニッケルを被覆担持させた。
【0016】ついで、金属基材をCVD炉にセットし、
基材を所定の温度に加熱しながら炉内にエチレンガスを
導入して1時間に亘りCVD操作を継続し、金属基材の
表面にカーボン被膜を形成した。得られたカーボン被膜
の状況を、適用した条件と対比させて表1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】表1の結果から、基材面に予め酸化ニッケ
ルを被覆担持させることにより350〜450℃の基材
温度でカーボン被膜を形成することができる。但し、ニ
ッケルめっき層の酸化処理温度が350℃ではカーボン
被膜の膜厚が薄く、また650℃の空気酸化ではカーボ
ン被膜に剥離現象が生じ、基材自体に熱劣化部分が認め
られた。
【0019】比較例1 実施例1と同一の金属基材をそのままCVD炉にセット
し、実施例3と同一の条件でCVD操作をおこなった。
その結果、基材面にカーボン被膜は観察されなかった。
【0020】比較例2 実施例1と同一条件で無電解ニッケルめっきを施した金
属基材を、空気酸化処理を施さずにCVD炉にセット
し、実施例3と同条件でCVD操作をおこなったとこ
ろ、金属基材面にはカーボン被膜が形成されなかった。
【0021】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係る金属基材へ
のカーボン被覆法に従えば、金属基材の表面に予め触媒
層として酸化ニッケルを被覆担持させたのちCVD法で
カーボン被膜を形成するプロセスにより、従来技術に比
べ極めて低い基材保持温度の条件で密着性の良好な均質
のカーボン被膜を効率よく形成することが可能となる。
したがって、各種金属基材に対する工業的なカーボン被
膜形成手段として極めて有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材の表面に酸化ニッケルを被覆担
    持させ、前記酸化ニッケルの被覆面に炭化水素ガスの熱
    分解によるCVDを介してカーボン被膜を析出させるこ
    とを特徴とする金属基材へのカーボン被覆法。
  2. 【請求項2】 金属基材にめっき処理を施してニッケル
    めっき被膜を形成し、ついで400〜600℃の温度範
    囲で空気酸化することにより金属基材の表面に酸化ニッ
    ケルを被覆担持させる請求項1記載の金属基材へのカー
    ボン被覆法。
JP4271180A 1992-09-14 1992-09-14 金属基材へのカーボン被覆法 Pending JPH0693449A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0823607A2 (en) 1996-08-06 1998-02-11 Shin-Etsu Handotai Company Limited Method and apparatus for drying flat objects
US9390999B2 (en) 2005-03-23 2016-07-12 Noriaki Kawamura Metal substrate/metal impregnated carbon composite material structure and method for manufacturing said structure

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0823607A2 (en) 1996-08-06 1998-02-11 Shin-Etsu Handotai Company Limited Method and apparatus for drying flat objects
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