JPH0692968A - ビオチン導入試薬 - Google Patents

ビオチン導入試薬

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JPH0692968A
JPH0692968A JP24611292A JP24611292A JPH0692968A JP H0692968 A JPH0692968 A JP H0692968A JP 24611292 A JP24611292 A JP 24611292A JP 24611292 A JP24611292 A JP 24611292A JP H0692968 A JPH0692968 A JP H0692968A
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biotin
nucleic acid
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JP24611292A
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English (en)
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Junichi Inagawa
淳一 稲川
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NAKARAI TESUKU KK
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NAKARAI TESUKU KK
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 短時間で、効率よく、核酸および/またはタ
ンパク質にビオチンを標識することのできるビオチン導
入試薬を提供する。 【構成】 D−ビオチンおよびN−ヒドロキシスクシン
イミドにN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを添
加し反応させ、ビオチニル−N−ヒドロキシスクシンイ
ミドを得る。これをアミノペンタノールと反応させ、ビ
オチン−アミノペンタノールを得て、酸化し、ビオチン
−アミノペンタナールから成るビオチン導入試薬を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核酸またはタンパク質
へのビオチン導入試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】核酸[デオキシリボ核酸(DNA)やリ
ボ核酸(RNA)]の検出は、一般に、試料の核酸を1
本鎖に変性した後、ニトロセルロース膜などの固相に固
定し、これに目的の塩基配列と相補的な塩基配列を有す
る標識した核酸を、ハイブリッド(複合体)形成条件下
で接触させ、結果として結合した標識物質を測定するこ
とにより、ハイブリット形成の有無を確認することで行
われてきた。つまり標識した核酸は、核酸検出に欠くこ
とのできない物である。以上の既存技術に関する詳細
は、文献[メソッズ・イン・エンザイモロジー(Method
s in Enzymology )68巻、1979年,モレキュラー
・クローニング、1989年]などに記載されている。
【0003】従来、核酸の標識は、標識物質として、32
P、14Cあるいは 3Hなどの放射性同位体が用いられ、
ニックトランスレーション法[ジャーナル・モレキュラ
ー・バイオロジー(J.Mol.Biol. )113,237,1977. Rigb
y P.W.S.]により核酸への組み込みが行われて来た。
【0004】放射性同位体を標識した核酸を用いる検出
法は、高感度ではあるが、安全性と経済性の問題が指摘
されている。つまり、一般的に放射性同位体は人体に有
害であり、使用には特別に教育された技術者と専用施設
が必要であり、廃棄物の取扱にも注意を要する。また、
放射性同位体は、半減期を考慮して保存・使用する必要
がある。これらの点を補うために、非放射性の核酸標識
法とその検出法の開発が盛んに行われている。
【0005】核酸の非放射性標識法は、大別して、標識
物を核酸に直接に結合させる直接法と、特異的結合性の
強い2物質の一方を核酸に結合し、後に標識物を結合し
た他方を反応させる間接法に分類できる。
【0006】間接法としては、ビオチン・アビジンの特
異的結合性を応用したビオチン標識核酸の使用が主であ
り、ビオチン標識核酸の調製は、ビオチン化ヌクレオチ
ドをニックトランスレーション法により、核酸に組み込
む方法が一般的である。ハイブリッド形成後の検出は、
例えば、酵素標識したアビジンをハイブリッドのビオチ
ンに接触させ、アビジン・ビオチン結合を介してハイブ
リッドに酵素を結合し、酵素の活性を測定することで行
う。
【0007】また、光学活性のアジド基誘導体を用いた
ビオチン標識法も開発されている。標識物質としは、フ
ォトビオチン(Photobiotin )が用いられ、市販品[ブ
レサ(BRESA )社,フォトビオチンR (Photobiotin
R)]もある。
【0008】さらに、ビオチンヒドラジド誘導体や、ビ
オチンスペルミン誘導体などのように、側鎖にアミノ基
を有するビオチン誘導体をグルタルアルデヒドやジエポ
キシオクタンなどのような二価性架橋剤を用いて、核酸
塩基と結合させる試みもなされている[特開平 1-22850
0 号,アル−ハキン・エー・エッチら(AL-Hakim,A.H.,
et al )バイオケミカル・ジャーナル(Biochemical.J
)251 巻、935 ページ、1988年]。
【0009】また、核酸の重合体や断片を作らない優れ
たビオチン導入試薬として、ビオチン−アミノカプロイ
ル−N−ヒドロキシスクシンイミドも知られている。一
方、核酸と同様に、ビオチン・アビジンの特異的結合
は、酵素免疫測定法(EIA)やタンパク質糖鎖分析に
応用され、汎用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述した、ニックトラ
ンスレーション法は、核酸の標識に酵素反応を用いてお
り、標識時間が長いこと(例えば約90分間)、正確な温
度管理(15℃付近)が必要なこと、1本鎖核酸の標識
が不可能なこと、標識後に細かい核酸断片が生成するこ
となどの問題がある。
【0011】また、光学活性のアジド基誘導体を用いた
ビオチン標識法については、アジド基誘導体は、光感受
性が高いため、弱光下で操作する必要があり、反応時間
も40〜60分間程度必要である。
【0012】さらに、ビオチンヒドラジド誘導体や、ビ
オチンスペルミン誘導体などのように、側鎖にアミノ基
を有するビオチン誘導体を二価性架橋剤を用いて、核酸
塩基と結合させる方法は、二価性架橋剤の使用により、
ハイブリダイゼーション(複合体形成)の特異性低下の
原因となる核酸塩基同士の架橋が生じやすいと言う問題
がある。
【0013】また、ビオチン−アミノカプロイル−N−
ヒドロキシスクシンイミドは、核酸の重合体や断片を作
らない優れたビオチン導入試薬であるが、反応時間は、
2時間から一昼夜必要であり、短時間(10分程度)で
は標識が十分に行えないと言う問題がある。
【0014】また、核酸と同様に、ビオチン・アビジン
の特異的結合は、酵素免疫測定法(EIA)やタンパク
質糖鎖分析に応用され、汎用されているが、この場合に
用いるビオチン標識抗体やビオチン標識レクチンの調製
においても、グルタルアルデヒドのような二価性架橋剤
を用いた標識方法では、抗体やレクチンの重合体が形成
され、標識効率低下の原因となる。つまり、タンパク質
の標識においても、核酸の標識と同様な問題がある。
【0015】特に最近は、非放射性の核酸やタンパク質
の検出法が普及するに従って、簡易な標識操作にて、効
率良くビオチンを標識することのできる試薬が望まれて
いる。
【0016】本発明は、特別な反応条件を必要とせず、
短時間で、効率よく、核酸および/またはタンパク質に
ビオチンを標識することのできるビオチン導入試薬を提
供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、簡便な核酸
およびタンパク質のビオチン導入法に関して鋭意研究を
重ねた結果、アミノ基とホルミル基がシッフ塩基を形成
し、さらなる還元により、安定な共有結合に転移するこ
とを応用し、短時間で効率よくビオチン標識のできるビ
オチン導入試薬を発明するに至った。
【0018】すなわち、前記本発明の目的を達成するた
め、本発明の核酸またはタンパク質へのビオチン導入試
薬は、下記一般式(化1)または(化2)で示される化
合物から成る。
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】但し、(化3)または(化4)において、
Xは主鎖の炭素原子数が4〜16で側鎖に炭素原子数が
10以下の分岐を有していてもよい脂肪族炭化水素基、
もしくは、これらの脂肪族炭化水素基の2つがアミド結
合またはエステル結合により結合している基を表す。
【0022】以下、本発明に関して詳細に述べるが、以
下に挙げる物質および方法に限定されるものではない。
ここで以下に記述する用語について解説する。プローブ
とは、検出目的の核酸塩基配列と相補性を有する標識し
た核酸断片を示し、ハイブリダイゼーションとは、検出
目的の核酸配列とプローブを接触させて、その相補性に
より結合させる操作を指す。また、ハイブリッドとは、
ハイブリダイゼーションで生じた核酸配列同士の複合体
を指す。
【0023】ビオチン標識した核酸やタンパク質は、一
般的に以下の様に用いられる。すなわち、固相担体に固
定した核酸とビオチン標識したプローブを接触させ、ハ
イブリダイゼーションを行った後、未反応のビオチン標
識したプローブを洗浄除去する。更に標識したアビジン
をこれに接触させ、固相担体に固定した核酸と結合して
いるプローブのビオチンに、ビオチン・アビジン複合体
を形成させることで、標識物を結合し、この標識物を適
当な方法で検出する方法である。
【0024】また、酵素免疫測定法(EIA)の場合
は、抗体を結合した固相担体で目的物を補足し、ビオチ
ン標識抗体を接触させて目的物にビオチンを結合させ
る。タンパク質糖鎖分析の場合は、固相担体にタンパク
質を固定し、ビオチン標識レクチンを接触させて目的の
糖鎖にビオチンを結合し、以後は核酸と同様の検出法で
行うことができる。これらの検出方法は、ビオチン・ア
ビジン複合体の結合定数が、1015 モル-1ときわめて
高いこと[グリーン・エヌ・エム(Green,N.M.)、アド
バンス・イン・プロテイン・ケミストリー(Adv. Prote
in Chem.)29巻、85ページ、1975年]、アビジンが4ヵ
所のビオチン結合部位を持つことを利用して高感度検出
を可能にしたものである。以上のように、ビオチン標識
した核酸やタンパク質は、高感度検出法に欠くことので
きないものであり、簡易な操作でビオチン標識できるビ
オチン導入試薬が望まれている。
【0025】本発明のビオチン導入試薬の特徴は、特別
な反応条件を必要とせず、ビオチン標識効率が高く、か
つ反応時間が極めて短いことである。本発明のビオチン
導入試薬の合成反応は、前記(化3)で示される化合物
の場合には、適当な溶媒、例えばN,N−ジメチルホル
ムアミドなどの中において、N,N−ジシクロヘキシル
カルボジイミドなどの縮合剤の存在下で、ビオチンにN
−ヒドロキシスクシンイミドを加えて反応させ(反応
は、例えば室温で撹拌する方法など)、ビオチン−N−
ヒドロキシスクシンイミドとし、次いでこれに所定のア
ミノアルコール[H2 N−X−CH2 OH:但し、Xは
(化3)のXと同じ基を表す。]を当モルまたは過剰に
加えて反応させ(反応は、例えば室温で撹拌する方法な
ど)、ビオチンとアミノアルコールがアミド基で結合し
た誘導体とし、次いで、得られた誘導体の末端のOH基
を適度の酸化条件下で酸化させてホルミル化することに
より、容易に行なうことができる。
【0026】また、前記(化4)で示される化合物の場
合には、適当な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムア
ミドなどの存在下で、ビオチンに所定のジオール[HO
−X−CH2 OH:但し、Xは(化4)のXと同じ基を
表す。]を大過剰(例えば5倍モル程度)加え、必要な
エステル化触媒(酸触媒など)を加えて加熱還流させて
エステル化し、前記ジオールの一方のOH基がエステル
結合を形成してビオチンと結合した誘導体とし、得られ
た誘導体の末端のOH基を適度の酸化条件下で酸化させ
てホルミル化することにより、容易に合成することがで
きる。
【0027】前記(化3)の化合物の合成反応で用いる
アミノアルコールとしては、前記化学式で示したアミノ
アルコールが使用されるが、中でも、5−アミノ−1−
ペンタノール、4−アミノ−1−ブタノール、3−アミ
ノ−1−プロパノール等が好ましく、特に、スペーサー
基の炭素鎖を延長する効率から考えて、5−アミノ−1
−ペンタノールや6−アミノ−1−ヘキサノールなどが
好ましく用いられる。
【0028】また、前記(化4)の化合物の合成反応で
用いるジオールとしては、前記化学式で示したジオール
が使用されるが、中でも、1,6−ヘキサンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,3−プロパンジオール等が好ましく、特に、スペー
サー基の炭素鎖を延長する効率から考えて、1,6−ヘ
キサンジオールが好ましく用いられる。
【0029】本発明のビオチン導入試薬のビオチン分子
とホルミル基との間のスペーサー基の長さは、主鎖の炭
素数で、4から32原子が好ましい。スペーサー基は、
炭素、酸素あるいは窒素原子を含有する分子から構成さ
れ、例えば5−アミノ−1−ペンタナールのように、直
鎖であることが好ましい。主鎖の炭素数で32原子より
大きな長さのスペーサー基を用いることもできるが、よ
り良い効果は期待できない。また、主鎖の炭素数で4原
子より小さな長さのスペーサー基とした場合には、DN
Aなどとの立体障害のため、効率のよい標識化ができに
くくなる。
【0030】尚、分岐鎖を導入したものをスペーサー基
として用いることもできる。この場合には側鎖の炭素数
は、10以下にすることが好ましい。ビオチン分子とス
ペーサー基との結合は、特にエステル結合、アミド結合
またはエーテル結合などで形成することができる。
【0031】本発明のビオチン導入試薬の理解を助ける
ものとして、以下にビオチン導入試薬の使用法、ビオチ
ン標識核酸の検出法そして標識対象について例示する
が、これらの方法や物質に限定されるものではない。
【0032】核酸をビオチン標識する場合、以上の方法
により合成したビオチン導入試薬を1本鎖の核酸と混合
し、好ましくは37℃で10分間反応させることで標識を完
了させることができる。また、この反応は、室温で行う
こともできる。核酸の塩基同士の架橋など不都合な反応
は起こらない為、反応時間を延長しても支障は無い。
【0033】この結合は、水素化ほう素ナトリウム等の
還元剤を添加して、より安定な共有結合にすることもで
きる。この場合、標識後のさらなる熱変性が可能であ
る。ビオチン導入試薬と核酸の反応は、種々緩衝液中で
行うことができるが、トリス緩衝液などのアミノ基を含
有する緩衝液の使用は適さない。
【0034】作成したビオチン標識プローブは、エタノ
ール沈澱、“セファデクスG−50”(ファルマシア社
製、ゲル濾過クロマトグラフィー用担体)による分画、
あるいは電気泳動等の各種の方法で精製することが可能
である。作成したビオチン標識プローブは、そのままハ
イブリダイゼーションに用いることができる。また、−
20℃にて保存することも可能である。
【0035】検出する核酸またはタンパク質は、動物、
植物、微生物等のすべての由来のものが使用できる。1
本鎖に変性した核酸を固定する固相担体としては、たと
えば、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、アミノベンジ
ルオキシメチル(ABM)膜、セルロース膜、変性セル
ロース膜、ポリビニリジン・ジフルオライド(PVD
F)膜等が挙げられるが、これらに限定される物ではな
い。
【0036】検出する核酸を、固相に固定する方法は、
公知の方法が使用できる[マニアティス・エム(Maniat
is,M. )ら、モレキュラー・クローニング(Molecular
Cloning )1989年]。たとえば、サザンブロティング、
ドットブロティング、In situ ブロッティング、コロニ
ープラークブロッティングなどが使用できる。
【0037】固相に固定した検出する核酸とビオチン標
識プローブとのハイブリダイゼーションは、ビオチン標
識プローブの長さおよび塩基組成(C+G%)などから
最適と考えられるハイブリッド形成条件の溶液、ならび
に温度で行うことができる。非特異的吸着を抑えるため
に、デンハルト溶液、スキムミルク、ラウリル硫酸ナト
リウム、あるいラウリル硫酸ザルコシンなどを適宜添加
することもできる。
【0038】ハイブリッド形成後のビオチン標識プロー
ブの検出は、標識したアビジンなどを用いて検出するの
が望ましい。アビジンの標識物は、酵素が好ましい。標
識酵素としては、アルカリホスファターゼ、ペルオキダ
ーゼ、β−ガラクトシダーゼまたはグルコースオキシダ
ーゼ等が使用できる。特に、アルカリホスファターゼが
汎用され、アルカリホスファターゼの基質としては、5
−ブロモ−4−クロル−3−インドリルホスフェート
(BCIP)/3,3−(3,3’−ジメトキシ−4−
4’−ジフェニル)−ビス−[5−フェニル−2−(4
−ニトロフェニル)−テトラゾリウム](ニトロブルー
テトラゾリウム、NBT)系により実施されるのが好ま
しいが、他のアルカリホスファターゼ基質系を用いても
良い。
【0039】本発明の方法により標識可能な分析対象の
核酸(DNAあるいはRNA)あるいは、タンパク質と
しては、たとえば動物、植物、微生物等各種由来の全て
の核酸またはタンパク質がいずれも例外なく挙げられ
る。
【0040】
【作用】本発明の核酸またはタンパク質へのビオチン導
入試薬は、前記化学式(化3)または(化4)で示され
る化合物からなるので、そのホルミル基が迅速に核酸や
タンパク質のアミノ基と反応する性質を有する。すなわ
ち、前記本発明のビオチン導入試薬は、ビオチン導入試
薬のホルミル基が容易に核酸やタンパク質のアミノ基と
反応し、シッフ塩基を形成する。この塩基は水素化ほう
素ナトリウムなどの還元剤により安定な共有結合とな
る。このシッフ塩基の形成は、室温でも10分間程度で
終了するため、ビオチン標識反応は短時間で完了する。
また、グルタルアルデヒドの様な二価性架橋剤を用いた
場合に発生するアミノ基同士の架橋反応が起こらないの
で、ビオチン標識効率が高い。従って短時間でのビオチ
ンの導入効率が高く、一定量の核酸やタンパク質に、よ
り多くのビオチンを導入する事ができる。
【0041】さらに、前記一般式(化3)または(化
4)で示されるように、ビオチニル基とホルミル基の間
を結合しているスペーサー基として、特定の主鎖炭素原
子数を有する基Xを含む特定長さのスペーサー基が存在
するので、核酸やタンパク質の立体障害を回避して、ビ
オチンを効率よく核酸やタンパク質に導入し、標識する
事ができる。
【0042】加えて、該導入試薬は、検出感度低下の原
因となる酵素の重合体や核酸断片を産生しないので、高
感度検出のためのビオチン標識核酸やビオチン標識タン
パク質の調製に適している。
【0043】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細の
に説明するが、これら実施例によりなんら限定されるも
のではない。
【0044】実施例1 ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミド(Biotin-N-h
ydroxysuccinimide )の合成。
【0045】ベーカーら(Backer et al.)の方法を用い
て合成した[プロシーディング・ナショナル・アカデミ
ク・オブ・サイエンス・オブ・USA、(Proc. Acad. S
ci.USA.)68, 2604-2607, 1971]。すなわち、D−ビオ
チン 1g およびN−ヒドロキシスクシンイミド 0.6g を
溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(12ml)に、
N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.8g)を添
加し、1昼夜室温で反応させた。生成したジシクロ尿素
を濾別し、溶液を蒸発乾固した。さらに、エチルエーテ
ルで洗浄し、2−プロパノールで再結晶して、ビオチニ
ル−N−ヒドロキシスクシンイミドを得た。
【0046】実施例2 ビオチン−アミノペンタナール(Biotin-aminopentana
l)の合成。実施例1で作成した、ビオチン−N−ヒド
ロキシスクシンイミド(1g)をN,N−ジメチルホルム
アミド(20ml)に溶解し、アミノペンタノール(0.384
g)を添加し、さらに、トリエチルアミン(0.5ml )を
含むN,N−ジメチルホルムアミド(5ml )を加え、1
昼夜室温で反応させた。溶液を蒸発乾固し、2−プロパ
ノールで再結晶して、ビオチン−アミノペンタノールを
得た。さらに、これを酸化して、ビオチン−アミノペン
タナールを生成した。すなわち、ビオチン−アミノペン
タノール(0.329g)をジメチルスルホキシド(5ml )と
ベンゼン(5ml )の混合液に溶解し、これにピリジン
(0.08ml)、さらにトリフルオロ酢酸(0.04ml)を添加
し、最後にN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド
(0.617g)を加え、室温で18時間反応させた。反応終
了後、ベンゼン(30ml)を添加し、室温で2時間撹はん
した。生成したジシクロ尿素を濾別し、反応液を蒸発乾
固した。これをメタノールに溶かし、シリカゲルクロマ
トグラフィー[溶出液:アセトニトリル(10):メタ
ノール(3)、但し、数字は容量割合を示す。]で精製
して、本発明のビオチン導入試薬である下記化学式(化
5)で示されるビオチン−アミノペンタナールを得た。
【0047】
【化5】
【0048】実施例3 ビオチン−アミノカプロン酸−アミノペンタナール(Bi
otin-aminocaproyl-aminopentanal )の合成。
【0049】まず、実施例1で作成した、ビオチン−N
−ヒドロキシスクシンイミドから、コステロら(Costel
lo, et al )の方法を用いて、ビオチン−アミノカプロ
ン酸−N−ヒドロキシスクシンイミド(Biotin-aminoca
proyl-N-hydroxysuccin −imide )を作成した[クリニ
カル・ケミストリー(Clin. Chem. ),25 ,1572-1580,
1979]。
【0050】すなわち、ビオチン−N−ヒドロキシスク
シンイミド(1g)をN,N−ジメチルホルムアミド(8.
8ml )に懸濁し、これにアミノカプロン酸(0.385g)を
含む0.1M 炭酸水素ナトリウム水溶液(pH 8.0 )11.8ml
を加え、室温で4時間反応させる。反応終了後、反応液
を蒸発乾固し、残査を10%クエン酸水溶液で懸濁し、
濾過した。結晶を氷冷した水で洗浄し、乾燥させた。こ
れを、N,N−ジメチルホルムアミド(59ml)に溶解し
(95℃)、さらに、カルボジイミダゾール(0.476g)
を溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(14.7ml)を
加え、95℃で30分間反応した。反応液を室温に戻
し、2時間撹拌し、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.
29g )を添加し、室温で1昼夜反応させた。引続き、反
応液を蒸発乾固し、残査を2−プロパノールで再結晶さ
せて、ビオチン−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシス
クシンイミドを得た。
【0051】これに、実施例2に示したように、アミノ
ペンタノールを結合させ、また同様に酸化反応を用い
て、ビオチン−アミノカプロン酸−アミノペンタナール
を生成し、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製
した。
【0052】以上の方法により、本発明のビオチン導入
試薬である下記化学式(化6)で示されるビオチン−ア
ミノカプロン酸−アミノペンタナールを得た。
【0053】
【化6】
【0054】実施例4 λDNA/Hindのビオチン標識反応。λDNA/Hindを10mM リ
ン酸緩衝液(pH7.7 )に溶解し、100 ℃5分間加熱後、
急氷冷し変性DNAを得た。これに、実施例3に記載の
方法により調製したビオチン−アミノカプロイル−アミ
ノペンタナール溶液を加え、37℃で 10 分間インキュ
ベーションした後、反応液を“セファデックスG−5
0”(ファルマシア社製ゲル濾過クロマトグラフィー用
担体)にかけ、精製標識DNAプローブを得た。得られ
た標識DNAプローブは、そのままハイブリダイゼーシ
ョンに供するか、もしくは-20 ℃にて使用時まで保存し
た。
【0055】実施例5 標識DNAプローブとのハイブリダイゼーション形成。
λDNA/Hindの種々の量をアガロース電気泳動(0.8% ゲ
ル)により分離し、サザンらの方法[ジャーナル・オブ
・モレキュラー・バイオロジー(J. Mol. Biol. )98
巻、 503 ページ、1975年]に従って、DNAをニトロ
セルロースあるいはナイロンメンブレン上に転写した
(サザントランスファー)。このようにλDNA/Hindを固
定した膜を、ハイブリダイゼーション溶液[50% 脱イオ
ンホルムアミド (deionized formamide), 6 ×SSC (1
×SSC; 0.15M NaCl, 0.15mM クエン酸三ナトリウム),
5 ×デンハルト溶液(1 ×デンハルト溶液 ; 0.02%牛血
清アルブミン(Fraction V), 0.02% フィコール, 0.
02% ポリビニルピロリドン,0.5% SDS, 0.01M EDTA (pH
8.0), 0.1mg/ml サケ精液DNA(超音波処理済み)]
中で、42℃、2時間プレハイブリダイゼーションし、実
施例4に記載した方法で調製したビオチン標識プローブ
を添加したハイブリダイゼーション溶液で、42℃、20
時間ハイブリダイゼーションを行った。さらに膜を、2
×SSC, 0.1% SDS で洗浄(室温で5分間づつ3回)し、
さらに、0.2 ×SSC, 0.1% SDS で洗浄を(室温で5分間
づつ3回、および、55℃で15分間づつ3回)行った。
【0056】実施例6 ビオチン標識DNAの検出。実施例5に記載された方法
でハイブリダイゼーションおよび洗浄を終えた膜上の、
ビオチン標識DNAを、次の方法で検出した。
【0057】つまり、ブロッキング溶液[1%スキムミ
ルク、0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH7.5 )、0.15M Na
Cl]で90分間ブロッキングし、ビオチン−アビジン−
アルカリホスファターゼ複合体を同溶液中で1時間反応
させた。続いて、膜を洗浄液[0.1M トリス−塩酸緩衝
液(pH7.5 )、0.15M NaCl、2.5mM MgSO4 、0.5% ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート、0.05% ポリ
エチレングリコール・モノ−p−イソオクチルフェニル
エーテル]で洗浄した(5分間づつ、3回)。
【0058】さらに、洗浄液[0.1M トリス−塩酸緩衝
液(pH9.5 )、0.1M NaCl 、10mMMgSO4 ]で洗浄(2
回、各10分間)後、ニトロブルーテトラゾリウム(N
BT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル
リン酸p−トルイジン塩(BCIP)の発色系により発色さ
せた。この呈色を写真または写真複写にて記録し、膜は
乾燥後保存した。
【0059】実施例7 ビオチン−アミノカプロイル−N−ヒドロキシスクシン
イミドとの比較。実施例4に従って識した標識λDNA/Hi
ndをアガロース(0.8%)電気泳動した。一方、比較とし
て、市販品のビオチン−アミノカプロイル−N−ヒドロ
キシスクシンイミドを同量使用し標識したものを対照と
した。電気泳動後、ゲルを0.2M HClで脱プリン反応し
(20分間)、0.5M トリス−塩酸緩衝液(pH7.5 )で
中和した後、ナイロンメンブレンにサザントランスファ
ーした(18時間)。
【0060】トランスファー終了後、メンブレンを6 ×
SSC ですすぎ、80℃で 30 分間ベーキングした。以下検
出は、実施例5および実施例6に記載の方法により行っ
た。この結果、標識時間を10分間とした場合、実施例3
で合成したビオチン−アミノカプロイル−アミノペンタ
ナールで標識したλDNA/Hindは、ビオチン−アミノカプ
ロイル−N−ヒドロキシスクシンイミドで標識した場合
と比較して、10倍以上の高感度検出が可能であり、数ピ
コグラムの核酸検出が可能であった。
【0061】実施例8 抗体のビオチン標識方法および抗原の検出。抗アルブミ
ン抗体(10mg/ml )を燐酸緩衝液(10mM、pH7.7 )に溶
解し、これに実施例3に記載の方法により調製したビオ
チン−アミノカプロイル−アミノペンタナール溶液を加
え、37℃で1時間反応させ、反応液を透折後、ビオチ
ン化抗アルブミン抗体を得た。
【0062】ヒト血清アルブミンをポリアクリルアミド
電気泳動し、PDVF(ポリビニリデン・ジフルオリ
ド)膜に転写した。この膜を、2%スキムミルクを含む
TBS(20mM Tris-HCl,0.15M NaCl,pH7.4)溶液でブロ
ッキングし、上記のように作成したビオチン化抗アルブ
ミン抗体を同液中で作用させた。さらに、洗浄液(0.05
% ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含む
TBS溶液)で膜を洗浄後、アビジン−アルカリホスフ
ァターゼと反応させ、同様に洗浄した。続いて、この膜
を実施例6に記載の方法により検出を行った。
【0063】この結果、実施例3で合成したビオチン−
アミノカプロイル−アミノペンタナールで標識したビオ
チン化抗アルブミン抗体を用いたアルブミンの検出で
は、アルブミン量として、数十ピコグラムでの検出が可
能であった。
【0064】実施例9 分岐鎖のあるスペーサー基を有するビオチン導入試薬の
合成。分岐鎖のあるスペーサー基を用いたときの例とし
て、以下のスペーサー基を用いてビオチン誘導体を合成
した。つまり、実施例1および実施例3に記載の方法に
より合成したビオチン−アミノカプロン酸−N−ヒドロ
キシスクシンイミド(Biotin-aminocaproyl-N-hydroxys
uccinimide)と分岐鎖のある例として2−アミノ−2−
メチル−1−プロパノール(NH2 (CH 3 ) 2 CHCH2 OH)
とを実施例3に記載と同様な方法により結合させ、さら
に同様に酸化反応を行い目的の本発明のビオチン導入試
薬である下記化学式(化7)で示される誘導体を得た。
この誘導体を実施例7に示した方法でDNAを標識し、
検出を行った。この結果、標識DNAとして数十ピコグ
ラムの検出が可能であった。
【0065】
【化7】
【0066】実施例10 芳香族環のあるスペーサー基を有するビオチン導入試薬
の合成。芳香族環のあるスペーサー基を用いたときの例
として、p−アミノベンジルアルコール(NH2 -(C 6 H
4 )-CH2 OH)を用いて、実施例9に記載と同様な方法に
より、ビオチン導入試薬である下記化学式(化8)で示
されるビオチン誘導体を合成した。この誘導体を実施例
7に示す方法でDNAを標識し、検出を行ったところ、
標識DNAとして、数十ピコグラムの検出が可能であっ
た。
【0067】
【化8】
【0068】実施例11 エステル結合を介してスペーサー基と結合しているビオ
チン導入試薬の合成。ビオチン1gをN,N−ジメチル
ホルムアミド(100ml )に溶解させ、これに1,6−ヘ
キサンジオール(2.36g )を加え、さらに硫酸(1ml )
を加え、15時間還流した。水酸化ナトリウムで中和し
た後、溶媒を減圧蒸留した。残査を2−プロパノールで
再結晶した。得られた結晶を実施例2に記載と同様な方
法によって酸化し、目的の本発明のビオチン導入試薬で
ある下記化学式(化9)で示されるビオチン誘導体を合
成した。この誘導体を実施例7に示す方法でDNAを標
識し、検出を行ったところ、標識DNAとして、数十ピ
コグラムの検出が可能であった。
【0069】
【化9】
【0070】
【発明の効果】本発明は、短時間で、効率よく、核酸お
よび/またはタンパク質にビオチンを標識することので
きるビオチン導入試薬を提供できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(化1)または(化2)で示
    される化合物から成る核酸またはタンパク質へのビオチ
    ン導入試薬。 【化1】 【化2】 但し、(化1)または(化2)において、Xは主鎖の炭
    素原子数が4〜16で側鎖に炭素原子数が10以下の分
    岐を有していてもよい脂肪族炭化水素基、もしくは、こ
    れらの脂肪族炭化水素基の2つがアミド結合またはエス
    テル結合により結合している基を表す。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5700935A (en) * 1994-12-22 1997-12-23 Nisshinbo Industries, Inc. Carbodiimide derivative
WO1999024075A3 (en) * 1997-11-07 1999-09-02 Conjuchem Inc Affinity markers for human serum albumin
US9551723B2 (en) 2011-02-03 2017-01-24 Arkray, Inc. Liquid reagent of thyroid hormone-immobilized carrier and use thereof

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