JPH0692899A - フェノール類の選択的パラ位カルボキシル化方法 - Google Patents

フェノール類の選択的パラ位カルボキシル化方法

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JPH0692899A
JPH0692899A JP4247867A JP24786792A JPH0692899A JP H0692899 A JPH0692899 A JP H0692899A JP 4247867 A JP4247867 A JP 4247867A JP 24786792 A JP24786792 A JP 24786792A JP H0692899 A JPH0692899 A JP H0692899A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】フェノール類の第四級ホスホニウム塩と二酸化
炭素との反応により、選択的にパラヒドロキシ安息香酸
類を製造する。 【効果】サルチル酸類および4−ヒドロキシイソフタル
酸類は全く副生しないため、従来行われていた繁雑な分
離精製工程を簡略化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール類の選択的
パラ位カルボキシル化方法に関するものである。本発明
の方法で得られるパラヒドロキシ安息香酸類は、ファイ
ンケミカル中間体、エンジニアリングプラスチック原料
として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、フェノール類と二酸化炭素からパ
ラヒドロキシ安息香酸類を製造する方法としては以下の
方法が知られている。
【0003】フェノール類のアルカリ金属塩と二酸化炭
素との反応は、古くは無溶媒法で高温加圧下で行うコル
ベ・シュミット(Kolbe Schmidt)反応として知られて
いる。この反応では、フェノールのナトリウム塩の無水
物に二酸化炭素を吸収させたものを120 〜140 ℃に昇温
する事によりサリチル酸のモノナトリウムおよびジナト
リウム塩が生成し、パラヒドロキシ安息香酸は生成しな
い。然し、フェノールのカリウム塩を用い、二酸化炭素
加圧下高温に加熱した場合にはパラヒドロキシ安息香酸
が主生成物となり、サリチル酸が副生成物となる。(有
機化学ハンドブックP.454(1968) (東京、技報堂))。
【0004】一方、フェノール類のアルカリ金属塩と二
酸化炭素との反応を溶媒中で行った例としては、tert−
ブタノール等のプロトン性溶媒、トルエン、ジフェニル
エーテルおよびジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等の非プロトン性溶媒、または、灯油、軽油等の
高沸点溶媒等、種々の溶媒中での反応が平尾らによって
検討されている(有機合成協会誌24巻P.1051(1966)、25
巻P.412 、417 、577、1031、1202(1967)、26巻P.439
、992(1968) 、27巻P.648(1969) 、28巻P.426(1970)
)。さらに、有機ホスフィンオキサイドを溶媒として
用いる方法は特開平2-22354 に開示されている。これら
の溶媒法では、フェノールのナトリウム塩を原料として
用いても、無溶媒法では生成しなかったパラヒドロキシ
安息香酸がサリチル酸と共に生成してくる。
【0005】また、フェノール類のアルカリ土類金属塩
と二酸化炭素との反応は、日本化学会誌1991(2)170に記
載されている。
【0006】さらに、フェノール類のアルカリ金属また
はアルカリ土類金属塩を使用しない例としては、1,8
−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−センの存
在下で、フェノールに二酸化炭素を反応させる方法が特
開昭64-9954 に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
出発原料としてフェノールを用いて、上述した従来公知
のパラヒドロキシ安息香酸類の製造方法に基ずき反応を
行うと、生成物としてパラヒドロキシ安息香酸のほかに
サリチル酸および4−ドロキシイソフタル酸が同時に得
られる。従って、これらの生成物の中から高純度のパラ
ヒドロキシ安息香酸を得るために、複雑で多段階に渡る
分離精製工程が必要となり、工業的に満足できる製造方
法とはいえなかった。このため、工業的見地からみる
と、サリチル酸および4−ヒドロキシイソフタル酸を副
生しない選択的なパラヒドロキシ安息香酸の製造法の開
発が強く望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を行った。その結果、従来全く
知られていなかったフェノール類の第4級ホスホニウム
塩と二酸化炭素との反応を行うと、驚くべきことにサリ
チル酸類および4−ヒドロキシイソフタル酸類は全く生
成せず、選択的にパラヒドロキシ安息香酸類が生成する
事を見いだし本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明のフェノール類の選択的パラ位カルボキシル化方法
は、フェノール類の第4級ホスホニウム塩に二酸化炭素
を作用させる事を特徴とするものである。
【0009】本発明の方法において、原料として用いら
れるフェノール類は、例えば、フェノールの他に、o−
クレゾール、m−クレゾール、2−エチルフェノール、
3−エチルフェノール、2、3−キシレノール、2、5
−キシレノール、2、6−キシレノール、3、5−キシ
レノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,
3,6−トリメチルフェノール、2−n−プロピルフェ
ノール、3−n−プロピルフェノール、2−イソプロピ
ルフェノール、3−イソプロピルフェノール、チモー
ル、カルバクロール、2−n−ブチルフェノール、o−
ビニルフェノール等の飽和または不飽和の脂肪族炭化水
素基置換フェノール類、2−フェニルフェノール、3−
フェニルフェノール等の芳香族炭化水素基置換フェノー
ル類、グアヤコール、m−メトキシフェノール、2,6
−ジメトキシフェノール等のアルコキシ基置換フェノー
ル類、2−ヒドロキシフェネチルアルコール、3−ヒド
ロキシフェネチルアルコール、サリチルアルコール等の
ヒドロキシアルキル基置換フェノール類、サリチル酸等
のカルボキシル基置換フェノール類、2−ヒドロキシー
5−スルホ安息香酸等のスルホン基置換フェノール類、
o−アミノフェノール等のアミノ基置換フェノール類、
2,3−ジニトロフェノール等のニトロ基置換フェノー
ル類、2−クロロフェノール、2,3−ジクロロフェノ
ール、2−ブロモフェノール等のハロゲン置換フェノー
ル類等を例示できる。
【0010】本発明の方法で使用されるフェノール類の
第4級ホスホニウム塩は、上記フェノール類と第4級ホ
スホニウムハイドロオキサイドとの反応により得られ
る。第4級ホスホニウムハイドロオキサイドの例として
は、一般式(1)
【0011】
【化1】{( R1)( R2)( R3)( R4)P}+ (OH)- ( 式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は炭素数1〜16の
直鎖もしくは分岐アルキル基、シクロヘキシル基、ベン
ジル基またはフェニル基を示し、互いに同一であっても
異なっていてもよい)で表され、例示すれば、テトラメ
チルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラエチルホ
スホニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−プロピル
ホスホニウムハイドロオキサイド、テトライソプロピル
ホスホニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチル
ホスホニウムハイドロオキサイド、テトラ−sec −ブチ
ルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ヘキ
シルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−オ
クチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラフェニ
ルホスホニウムハイドロオキサイド、トリエチルベンジ
ルホスホニウムハイドロオキサイド、トリ−n−ブチル
メチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリ−n−ブ
チル−n−オクチルホスホニウムハイドロオキサイド、
トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウムハイドロオ
キサイド、トリ−n−ブチルシクロヘキシルホスホニウ
ムハイドロオキサイド、トリ−n−ブチルフェニルホス
ホニウムハイドロオキサイド、トリフェニルメチルホス
ホニウムハイドロオキサイド、トリフェニル−n−ブチ
ルホスホニウムハイドロオキサイド、トリフェニル−n
−オクチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリフェ
ニルベンジルホスホニウムハイドロオキサイド、トリフ
ェニルシクロヘキシルホスホニウムハイドロオキサイ
ド、トリシクロヘキシルフェニルホスホニウムハイドロ
オキサイド、トリシクロヘキシルメチルホスホニウムハ
イドロオキサイド等を示す事が出来る。
【0012】さらに、3次元の架橋高分子基体にホスホ
ニウム基を導入した陰イオン交換樹脂も使用できる。こ
の場合にも、陰イオン交換樹脂のホスホニウムハイドロ
オキサイド部分とフェノール類が反応しフェノール類の
第4級ホスホニウム塩を生成できる。フェノール類の第
4級ホスホニウム塩は二酸化炭素との反応に際し出来る
だけ水分を含まない事が好ましい。
【0013】本反応で使用される二酸化炭素は、固体、
液体及び気体のいずれの状態でも使用できる。また、必
要に応じて窒素、アルゴン、メタン等本反応に対して不
活性な気体で希釈して使用する事もできる。 本発明の
方法で使用される溶媒は、反応に悪影響を及ぼさないも
のであればいずれも使用する事ができる。
【0014】例えば、メタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、i-プロパノール、n−ブタノール、i−ブ
タノール、t−ブタノール等のアルコール類、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1、4−あるいは
2、3−ブタンジオール等の多価アルコール類、ジエチ
ルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチ
ルケトン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタ
ノン、アセトフェノン等のケトン類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン類、クロロトルエン、クロロキシレン
等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、ジ
クロロメタン、1、2−ジクロロエタン、1、1、2、
2−テトラクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素
類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N
−メチル−2−ピロリドン等のN−置換アミド類、ジメ
チルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等の
スルホン類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル類、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、エ
チレン尿素等の環状尿素類、ヘキサメチルホスホルアミ
ド等のリン酸アミド類、トリブチルホスフィンオキサイ
ド等のホスフィンオキサイド類等が例示できる。これら
の中では、非プロトン性極性溶媒であるN−置換アミド
類、環状尿素類、リン酸アミド類、ホスフィンオキサイ
ド類、スルホキシド類、スルホン類等が好ましい。
【0015】これらの溶媒は、反応に際し単独あるいは
二種以上の混合物として使用する事ができる。反応は上
記の溶媒種からなる単独あるいは混合溶媒1リットルに
対し、フェノール類の第4級ホスホニウム塩を0.1 〜10
モル、好ましくは0.5 〜5モル使用する。二酸化酸素の
量は本反応が起こるのに必要な化学量論量以上供給すれ
ば良い。
【0016】反応は減圧下、常圧下、加圧下いずれでも
実施できるが、好ましくは、常圧下または加圧下で行
う。加圧下で反応を行う場合の二酸化炭素圧力は1〜50
kg/cm2ゲージ程度で十分である。反応温度は、50〜220
℃、好ましくは、60〜200 ℃の範囲である。反応温度が
これより低いとフェノール類の転化率が低下し、反応の
進行が遅くなり好ましくない。一方、反応温度がこれよ
り高いと、生成物の安定性に問題が生じる。
【0017】反応時間は特に限定されないが、一般に反
応時間を延ばす事によって転化率を高める事ができる。
反応時間は、原料、反応温度、溶媒および二酸化炭素圧
力によって変わるが、例えば、反応温度140 ℃では0.5
〜72時間である。
【0018】本発明の方法は、回分式、半回分式または
連続式のいずれの反応方式でも実施する事ができる。反
応生成物は、反応終了後、塩酸、硫酸等の酸を加え酸性
とした後、抽出あるいは晶析等通常の方法で分離精製で
きる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれ等の実施例に限定されるもの
ではない。なお、分析及び定量は、高速液体クロマトグ
ラフィーで行った。
【0020】実施例1 撹拌機、ガス吹き込み管、還流冷却器および水分離器を
備えた200ml ガラス製四つ口フラスコに、テトラ−n−
ブチルホスホニウムハイドロオキサイド(以下TBPHと略
記する)の40%水溶液68.07g(TBPHとして99.99mmol
)、フェノール 9.40g( 99.88mmol)およびトルエン1
32.9gを入れ、窒素ガスを吹き込みながら1時間撹拌し
た。次にフラスコを加熱し88〜112 ℃で脱水反応を行い
水40.89g(理論回収量に対し96.8%)を得た。さらに加
熱しトルエンを回収しフェノールのテトラ−n−ブチル
ホスホニウム塩(以下TBPPと略記する)を得た。フラス
コを室温まで冷却後、予めモレキュラーシーブで脱水し
たジメチルホルムアミド(以下DMFと略記する)27.87g
を溶媒として加え、常圧で窒素雰囲気下140 ℃まで昇温
し、直ちに窒素を二酸化炭素に替え二酸化炭素を190 ml
/minの流量でフラスコ内に導入しながら反応を行った。
反応開始後1、3、5、8の各時間後に分析を行ったと
ころパラヒドロキシ安息香酸(以下POB と略記する)が
それぞれ0.33、0.71、 0.90 、1.05 mmol 生成してお
り、サリチル酸(以下SAと略記する)および4−ヒドロ
キシイソフタル酸(以下OIP と略記する)は検出されな
かった。 実施例2 実施例1においてDMF に代えてトリ−n−ブチルホスフ
ィンオキシサイド90.5g を溶媒として用いた以外は実施
例1と同様に反応を行った。その結果、反応開始後3時
間後に分析を行ったところPOB が0.09mmol生成してお
り、SAおよびOIPは検出されなかった。
【0021】実施例3 実施例1においてDMF に代えてジメチルスルホキシド3
1.89gを溶媒として用いた以外は実施例1と同様に反応
を行った。その結果、反応開始後1、3、5の各時間後
に分析を行ったところPOB がそれぞれ0.54、1.17、1.60
mmol生成しており、SAおよびOIP は検出されなかった。
【0022】実施例4 実施例1においてDMF に代えて1,3−ジメチル−2−
イミダゾリジノン46.11gを溶媒として用いた以外は実施
例1と同様に反応を行った。その結果、反応開始後1、
3の各時間後に分析を行ったところPOB がそれぞれ0.3
0、0.57mmol生成しており、SAおよびOIP は検出されな
かった。
【0023】実施例5 実施例1においてDMF に代えてスルホラン47.02gを溶媒
として用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。そ
の結果、反応開始後1、3、5の各時間後に分析を行っ
たところPOB がそれぞれ0.44、1.00、1.38mmol生成して
おり、SAおよびOIP は検出されなかった。
【0024】
【発明の効果】本発明により、フェノール類の第4級ホ
スホニウム塩に二酸化炭素を作用させると、サリチル酸
類および4−ヒドロキシイソフタル酸類は全く生成せ
ず、選択的にパラヒドロキシ安息香酸類が生成する事が
可能となり、従来行われていた煩雑な分離精製工程を簡
略化できるため、工業的価値は極めて大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類の第4級ホスホニウム塩に
    二酸化炭素を作用させる事を特徴とするフェノール類の
    選択的パラ位カルボキシル化方法。
  2. 【請求項2】 フェノール類がフェノールであり、カル
    ボキシル化生成物がパラヒドロキシ安息香酸である請求
    項1記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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