JPH0692808A - 抗菌剤 - Google Patents

抗菌剤

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JPH0692808A
JPH0692808A JP4246815A JP24681592A JPH0692808A JP H0692808 A JPH0692808 A JP H0692808A JP 4246815 A JP4246815 A JP 4246815A JP 24681592 A JP24681592 A JP 24681592A JP H0692808 A JPH0692808 A JP H0692808A
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complex compound
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Namihiro Okabayashi
南洋 岡林
Shihei Haku
志平 白
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 トリメトキシシリルプロピルジエチレントリ
アミン等の一般式、X−Y−Z(Xは金属イオンに配位
可能な基、Yは2価の炭化水素基で主鎖に酸素、窒素、
または、硫黄原子を有してもよい、Zはアルコキシシリ
ル基を示す)の配位子が、銀イオン等の金属イオンに配
位してなる金属錯体化合物を主成分とする抗菌剤。 【効果】 本抗菌剤は有機溶媒に可溶、アルコキシシリ
ル基を有するので表面にOH基等の官能基を有するもの
に化学的に結合でき、縮合反応により高分子を形成し不
溶化するので表面に固定化され易い。また抗菌性は金属
錯体から解離した金属イオンによるので広い拡散範囲に
わたって有効であり、且つ金属錯体化合物の縮合物も抗
菌性を示す。この金属イオンを徐放する固定化抗菌剤は
幅広い用途が期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の細菌及びカビ類
に対して抗菌性を示す金属錯体部分と反応性の高いアル
コキシシリル基とを有する金属錯体化合物を有効成分と
する抗菌剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】近年、毒性の低い抗菌剤
として様々な物質の表面に固定化できる抗菌剤(以下、
固定化抗菌剤という)や、銀や銅等の金属イオンをゼオ
ライトや溶解性ガラス等に固定した抗菌性無機粒子等が
多くの分野で利用されるようになってきた。
【0003】固定化抗菌剤としては、3ー(トリメトキ
シシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム
クロライドのようなシリコン型固定化抗菌剤や、ポリマ
ー鎖に第四アンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、ビ
グアナイド類等を導入したポリマー固定化抗菌剤などが
ある。
【0004】シリコン型固定化抗菌剤は、いろいろな物
質の表面への固定化が可能であり、更に、固定化後は溶
解成分を含まないため毒性が低いという特徴を持つ。し
かし、溶解成分を含まないため、抗菌作用はこの殺菌剤
が固定化された局所に限定され、また、加水分解により
縮合したものは抗菌性を示さないという報告もあり、用
途によってはその改良が望まれている。ポリマー固定化
抗菌剤は、ポリマーに抗菌作用を付与するのに適してい
るが、用途がポリマーに限定されているばかりか、ポリ
マー合成時に抗菌活性基をポリマー鎖に導入しなければ
ならないという欠点もある。
【0005】一方、銀や銅などの金属イオンがゼオライ
トや溶解性ガラスなどに固定されたものである抗菌性の
無機粒子は、粒子中の微量の金属イオンが解離すること
によって抗菌作用を示す。このため、抗菌作用が粒子の
周辺にも及ぶので、例えば、粒子をポリマーに混練する
ことによって、ポリマーに抗菌性を付与することが可能
である。しかしながら、従来より知られている抗菌性の
無機粒子は、耐久性が乏しい、材質が無機イオン交換体
に限定される、粒子の形状、粒子径、粒度分布等のコン
トロールが困難であるなど、改良すべき点が多い。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、上記課
題を解決すべき鋭意検討した結果、金属イオンに配位可
能な基及びアルコキシシリル基を持つ化合物を配位子と
する金属錯体化合物は、あらゆるものに抗菌性を付与す
るための抗菌剤として有効であることを見いだし、本発
明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、一般式、X−Y−Z(但
し、Xは金属イオンに配位可能な基、Yは炭化水素で主
鎖に酸素、窒素、または、硫黄を有していてもよい、Z
はアルコキシシリル基を示す)で表される配位子が金属
イオンに配位してなる金属錯体化合物を主成分とするこ
とを特徴とする抗菌剤である。
【0008】本発明の金属錯体化合物は、一般式X−Y
−Zで表される配位子が金属イオンに配位した化合物で
ある。
【0009】一般式X−Y−Zで表される配位子の基X
は、金属イオンに配位可能な基であれば、特に限定され
ない。このような基として、例えば、窒素、硫黄、酸素
等を含む基がある。窒素を含む基として例えば、アミノ
基、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン等の
アルキルアミノ基、アミド基、アゾ基、アミジノ基、ピ
リジル基、ピロリル基、キノリル基等を例示することが
できる。硫黄を含む基としては、スルフヒドリル基(メ
ルカプト基)、チオキソ基、チエニル基、テニル基、テ
ノイル基、チオホルミル基、チオアセチル基、メチルチ
オニル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、チオカ
ルボキシル基等を例示できる。更に、酸素を含む基とし
て、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、
等がある。該基Xには、上記の窒素、硫黄、又は酸素を
含む基が単独または2種以上で構成される。
【0010】好適な配位可能な基の代表例として、H2
N−、CH3N(H)−、2ーピリジル基、2ーピロリ
ル基、2ーキノリル基、HS−、CH3S−、2ーチエ
ニル基、HOOC−等の単座配位子となりうるもの;H
2N(CH22NHー、H2N(CH23NH−、4ー
(2、2`ービピリジル)基、5ー(1、10ーフェナ
ントロリル)基、HS(CH22S−、CH3S(C
22S−、OS(CH22S−、(HOOC)2
ー、H3CCOCOCH2ー、HOOCCH2NH−、H
OOC(CH22NH−、5(8ーヒドロキシキノリ
ル)基、HOOCCH2S−、HO(CH22NH−、
HS(CH22NH−等の二座配位可能なもの;(HO
OC)2Nー、(HOC24)NH(CH22NH−、
2N(CH22NH(CH22NH−、HSCH2CH
(COOH)NHー、HO(CH22S(CH2)2N
H−、H2N(CH22S(CH22NH−、(HOC2
42N−等の三座配位可能なもの; H2N(CH22NH(CH2)NH(CH22NH−、
2N(CH22S(CH22S(CH22NH−等の
四座配位可能なもの; (HOOCCH22N(CH22N(CH2COOH)
−の様に五座配位可能なもの等を示すことができる。
【0011】このうち、取扱操作性などを考慮すると、
2N−、H2N(CH2)NH−、H2N(CH22NH
(CH22NH−、H2N(CH22NH(CH22
H(CH22NH−等が特に好ましい。
【0012】一般式X−Y−Zで表される配位子のY
は、X部分とZ部分とを連結する役目をするものであ
り、その化学組成は特に限定されない。Yは、通常、炭
化水素を示すが、炭素及び水素以外に主鎖に窒素、酸
素、硫黄等を含んでいてもよい。このようなものとし
て、例えば、ー(CH2aー、ー(CH2aN(C
2bー、ー(CH2aS(CH2b−、ー(CH2a
O(CH2b− (ここで、a及びbは1〜6の整数を
示す)がある。
【0013】一般式X−Y−Zで表される配位子のZ
は、アルコキシシリル基を示し、アルコキシシリル基で
あれば特に限定されるものではない。例えば、トリメト
キシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロピルシ
リル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシ
シリル基、エチルジメトキシシリル基、ジエチルメトキ
シシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエト
キシシリル基、エチルジエトキシシリル基、ジエチルエ
トキシシリル基等のアルコキシシリル基を例示できる。
【0014】一般式、X−Y−Zで表される配位子の具
体的な代表例として、H2N(CH23Si(OCH3
3、CH3S(CH23Si(OCH33、H2N(C
22NH(CH23Si(OCH33、H2N(C
22NH(CH22NH(CH23Si(OC
33、H2N(CH22NH(CH22NH(CH2
2(CH23Si(OCH33、H2N(CH23NH
(CH23Si(OCH33、CH3S(CH22
(CH23Si(OCH33、O=S(CH22S(C
23Si(OCH33、CH3S(CH22S(C
22S(CH23Si(OCH33、HO(CH22
NH(CH23Si(OCH33、H3CS(CH22
NH(CH23Si(OCH33、HS(CH22NH
(CH23Si(OCH33、H2N(CH23Si
(OC253、H2N(CH22NH(CH23Si
(OC253、H2N(CH22NH(CH22NH
(CH23Si(OC253、H2N(CH23Si
(CH3)(OC252、H2N(CH22NH(C
23Si(CH3)(OC252、H2N(CH22
NH(CH22NH(CH23Si(CH32(OC2
5)、H2N(CH22S(CH23Si(OC
33、等がある。
【0015】このうち、H2N(CH22NH(CH2
3Si(OCH33、H2N(CH23NH(CH23
i(OCH33、HO(CH22NH(CH23Si
(OH33、H2N(CH22S(CH23Si(OC
33、CH3S(CH22S(CH23Si(OC
33が好ましく、より好ましくは、H2N(CH22
NH(CH23Si(OCH33、H2N(CH23
H(CH23Si(OCH33である。
【0016】前記一般式X−Y−Zで表される化合物の
合成には、公知の合成方法を限定なく採用することがで
きる。 例えば、γークロルプロピルトリアルコキシシ
ランとエチレンジアミンやトリメチレンジアミン等のポ
リアミン(又は、ポリイミン)との反応によりNートリ
アルコキシシリルプロピル基を持つアミノ化合物を合成
する方法等が示される。
【0017】本発明の金属錯体化合物は、上記配位子が
金属イオンに配位してなるものである。該金属イオン
は、上記配位子が配位可能な金属イオンであり、且つ生
成する金属錯体化合物が抗菌性を示すものであれば、特
に限定されるものではない。このような金属イオンとし
て、例えば、銀、銅、亜鉛、錫等の金属のイオンがあ
る。このうち、抗菌性の強度や環境問題等を考慮すると
銀及び銅イオンが好ましい。例えば、銅イオンの場合、
その電荷は+1であっても+2であってもよい。
【0018】本発明において、前記一般式X−Y−Zで
表される配位子の上記金属イオンへの配位状態は、金属
イオン1個に対して前記一般式X−Y−Zで表される配
位子が少なくとも1分子配位している状態であり、配位
状態は単座配位あるいは多座配位(キレート配位)のど
ちらであってもよい。前記の金属イオンには、一般式X
−Y−Zで表される配位子の他にも、金属イオンに配位
可能な他の化合物が配位していてもよい。即ち、本発明
の金属錯体は、混合配位子錯体であってもよい。
【0019】本発明の金属錯体化合物の製法は、特に限
定されないが、前記一般式X−Y−Zで表される配位子
及び金属イオンの供給源となる金属化合物の組合せに応
じて、最も簡便な製法を採用することができる。例え
ば、金属化合物が溶解してなる溶液に、前記一般式X−
Y−Zで表される配位子、及び所望により触媒を加え
て、本発明の金属錯体化合物を製造する方法が挙げられ
る。
【0020】上記金属化合物としては、前記一般式X−
Y−Zで表される配位子と反応可能な金属化合物を限定
なく使用することができる。具体的に例示すれば、塩化
第二銅、塩化第一銅、塩化クロミウム、塩化亜鉛、塩化
第二錫、塩化第一錫等の金属ハロゲン化物;硝酸亜鉛、
硝酸銀、硝酸銅、硝酸カドミニウム等の金属硝酸塩;亜
鉛ビス(アセチルアセトナト)、クロミウムトリス(ア
セチルアセトナト)、等のアセチルアセトナト金属錯
体;過塩素酸銀、過塩素酸亜鉛等の過塩素酸塩;銅ジイ
ゾポロポキシド、亜鉛ジエトキシド、錫テトラ−sec
−ブトキシド等の金属アルコキシド化合物等がある。
【0021】また、金属錯体化合物の合成に用いる触媒
としては、酸、アルカリ、活性炭等公知のものを使用す
ることができる。
【0022】さらに、上記金属化合物を溶解する溶媒
は、一般式X−Y−Zで表される配位子に含まれるアル
コキシシリル基を容易に加水分解しないものであれば、
公知の溶媒を限定なく使用することができる。このよう
な溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、トリ
クロロメタン、テトラクロロメタン等のハロゲン化物;
ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル
類;アセトン、アセチルアセトン、エチルメチルケトン
等のケトン類等がある。
【0023】金属錯体化合物を合成する場合、前記の金
属化合物と一般式X−Y−Zで表される配位子との仕込
量の比(モル比)は、通常、製造する金属錯体化合物の
種類に応じて調整する。例えば、金属イオン1個に対し
て該配位子が2分子が配位する場合、通常、金属化合物
と一般式X−Y−Zで表される配位子との仕込量のモル
比を1:2とする。
【0024】前記の金属化合物と一般式X−Y−Zで表
される配位子とより金属錯体が生成するための温度及び
時間は特に限定されるものではない。通常、室温ないし
100℃の温度において、数分ないし1週間の時間をか
けて行われる。反応時間は、加熱又は前記の触媒の使用
により短縮可能である。
【0025】そして、金属化合物と一般式X−Y−Zで
表される配位子との反応等により得られる金属錯体化合
物は、必要に応じてイオン交換カラム、分子ふるいカラ
ム、単離後の洗浄等によって精製される。
【0026】本発明の金属錯体化合物は、一般式X−Y
−Zで表される配位子の分子内に存在する窒素、酸素、
硫黄等が前記金属イオンに配位したものであり、金属イ
オンの電荷及び配位子の電荷との組合せによって、対イ
オンを有する塩になる場合と無電荷の錯化合物になる場
合とがある。
【0027】例えば,金属錯体化合物が[M(L1
(L2)]nx(Mは金属イオン、L1及びL2のうち少な
くとも一方はアルコキシシラン化合物であり、nは整
数、xは+又は−を示す)であるとすると、Mが+2価
であり、L1及びL2がエチレンジアミンのように無電荷
であれば、n=2、x=+となり、生成する金属錯体化
合物は陽イオンとなる。また、Mが+2価であり、L1
及びL2がカルボキシイオン(COO-)とNH2を各々
1個有する−1価の化合物である場合、n=0となり、
生成する金属錯体化合物は無電荷となる。更に、Mが+
2価であり、L1及びL2がカルボキシイオン(CO
-)を2個有する−2価の化合物である場合、n=
2、x=−となり、生成する金属錯体化合物は陰イオン
となる。ここで、金属錯体化合物が陰イオン又は陽イオ
ンである場合、対イオンとして各々陽イオン又は陰イオ
ンを有する塩(錯塩)となる。
【0028】本発明の金属錯体化合物の代表例として、
[Ag(TMSPEDA)2]NO3、[Ag(TMSP
DETA)2]NO3、[Cu(TMSPEDA)2
(NO32、[Cu(TMSPEDA)2]NO3、[C
u(TMSPDETA)2](NO32等を挙げること
ができる。
【0029】ここで、TMSPEDA及びTMSPDE
TAは、それぞれH2N(CH22NH(CH23Si
(OCH33、H2N(CH22NH(CH22NH
(CH23Si(OCH33を示す。
【0030】本発明の金属錯体化合物の化学構造は、通
常一般的な化学分析手段で決定できる。このような化学
分析手段として、例えば、赤外線吸収スペクトル(以
下、IRスペクトルという)、可視及び紫外光吸収スペ
クトル、核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRスペクト
ルという)、原子吸光スペクトル、誘導結合高周波プラ
ズマ(以下、ICPという)分析及び元素分析等があ
る。NMRスペクトル、元素分析及びIRスペクトルで
は一般式X−Y−Zで表される配位子が本発明の金属錯
体中に含まれることを確認できる。IR、可視及び紫外
光吸収スペクトルでは一般式X−Y−Zで表される配位
子が金属イオンに配位していることを確認できる。例え
ば、IRスペクトルでは、一般式X−Y−Zで表される
配位子の金属イオンに配位可能な基がアミノ基である場
合、該アミノ基は金属に配位するとピークの位置が高エ
ネルギー側にシフトするので、アミノ基の金属イオンへ
の配位を確認できる。また、可視光吸収スペクトルで
は、例えば、銅イオンのような遷移金属イオンが金属錯
体化合物を形成すると、d−d遷移に基づく吸収ピーク
が現われるので、錯体の形成を確認できる。更に、原子
吸光スペクトル及びICP分析では、本発明の金属錯体
化合物中に金属イオンが含まれることを確認できる。
【0031】本発明の金属錯体化合物の金属イオンが、
遷移金属の場合には、通常、鮮やかな色を呈し、可視光
の波長領域に強い吸収を示す。該金属イオンが遷移金属
イオンでない場合には、可視光領域には吸収を示さない
場合があるが、紫外光又は赤外光に対しては吸収を示
す。
【0032】本発明の金属錯体化合物は、通常溶媒に可
溶であるがアルコキシシリル基を有するので、加熱、或
は、酸、アルカリ、水などによって容易に重縮合し、不
溶性になる。又、本発明の金属錯体化合物のアルコキシ
シリル基は、セラミックス、ガラス、紙等あらゆる物質
の表面と化学的に結合し易い。更に、他のアルコキシシ
ラン化合物や金属アルコキシド化合物との縮重合反応を
利用して、抗菌性のガラス、ゲル、又は粒子を合成する
ことができる。例えば、本発明の金属錯体化合物をテト
ラエチルシリケートとの部分加水分解物と混合すれば、
両化合物の縮合物が生成する。この縮合物をアルカリ性
アルコール中で加水分解すれば、金属錯体を含有するシ
リカ系の粒子を製造することができる。更に、該縮合物
を徐々に加水分解しバルク体を調製すれば抗菌性のゲル
又はガラスが得られる。
【0033】本発明の金属錯体化合物を主成分とする抗
菌剤は、金属錯体化合物を含有しておれば、金属錯体化
合物そのものであっても良いし、例えば、液体等で希釈
したものであってもよい。抗菌剤中の金属錯体化合物の
希釈剤及び濃度は、任意に選択できる。
【0034】本発明の抗菌剤としての使用方法は、特に
制限されないが、通常金属錯体化合物の溶液として使用
する方法が好ましく採用される。
【0035】上記の金属錯体化合物の溶液を使用する方
法としては、例えば単離された金属錯体化合物を適当な
溶媒に溶解して得られる溶液を使用する方法、或は、前
に例示した金属錯体化合物の製法において得られる反応
溶液、即ち本発明の金属錯体化合物を含んでなる反応溶
液をそのまま、該金属錯体化合物を単離することなく使
用する方法等がある。
【0036】本発明の金属錯体化合物を、上記したよう
に適当な溶媒に溶解して抗菌剤として使用する場合、溶
媒としては、金属錯体化合物のアルコキシシリル基を即
座に加水分解しないものを限定なく使用することができ
る。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ルジエチレングリコール等のアルコール類;ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素
類;ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素な
どハロゲン化合物;アセトン、アセチルアセトン、エチ
ルメチルケトン等ケトン類;その他アセトニトリル、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチル
エーテル等の溶媒がある。ここで、金属錯体化合物の金
属イオンが銀イオンである場合、溶媒にハロゲン化合物
が含まれているとハロゲン化銀を形成し使用前に沈澱が
生成する場合があるので、ハロゲン化合物の使用は好ま
しくない。
【0037】上記の抗菌剤に含まれる金属錯体化合物
は、1種類のみであっても、2種類以上が混合されてい
てもよい。
【0038】本発明の抗菌剤の抗菌性の評価は、公知の
方法で行うことができる。このような方法として例え
ば、繊維製品衛生加工協議会の抗菌防臭加工評価試験法
である菌数測定法やシェークフラスコ法、日本防菌防ば
い学会の抗菌加工を施した繊維製品の細菌生育抑制試験
法、アメリカのAATCC Test Methodの
Agar Plate Method(以後、ハローテ
ストという)及び織物の抗菌加工の評価方法、JISの
かび抵抗性試験方法、並びに、シェーカテスト法等があ
る。
【0039】
【発明の効果】本発明の抗菌剤の金属錯体化合物は、有
機溶媒に可溶であり、又アルコキシシリル基を有するの
で表面にOH基等の官能基を有するあらゆるものに対し
て化学的な結合が可能であるばかりでなく、縮合反応に
より高分子を形成し不溶化するので表面に固定化され易
い。従って、種々の物質に対して寿命の長い抗菌性を付
与できる。また、抗菌性は金属錯体から解離した金属イ
オンに起因するので、金属イオンが拡散する広い範囲に
わたって有効であり、且つ、金属錯体化合物の縮合物も
抗菌性を示す。このように金属イオンを徐放する固定化
抗菌剤は、従来の四級アミン塩酸塩系の抗菌剤にはみら
れない特質であり、幅広い用途が期待される。
【0040】本発明の金属錯体化合物を主成分とする抗
菌剤で、ガラス、繊維、活性炭、セラミックス、金属、
モルタル、石膏、園芸用の藻、シート、フィルム、紙等
を処理することによって抗菌性を付与することが可能で
ある。また、直接塗料の一成分として加えることによっ
て抗菌性塗料を調製することも可能である。
【0041】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例により制限されるもの
ではない。
【0042】以下の実施例において、TMSPDETA
とは前出の構造を有するトリメトキシシリルプロピルジ
エチレントリアミンであり、TMSPEDAとは同じく
前出の構造を有するトリメトキシシリルプロピルエチレ
ンジアミンである。
【0043】本発明の抗菌剤の抗菌性の評価は、下記に
示すハローテストで行った。
【0044】ハローテストは、布、紙、ガラス板、セラ
ミックス等のように板、繊維、織物、フィルム等の抗菌
性を調べるのに適しており、平板寒天の培地上に、試験
片を貼り付け、培養後の阻止帯の幅を測定する方法であ
る。培地の作製法は次の通りである。Bacto-pepton10
g、Beaf Extract5g、塩化ナトリウム5gを蒸留水1
リットルに溶かした溶液のpHを、2NのNaOHで
6.8に調整し、培養液を調製した。この培養液10m
lを試験管(12.5×17mm)に分取し、120
℃、1atm、で20分間滅菌した。これに菌株を移植
し、37℃で24時間培養し、菌液を調製した。先に調
製した培養液に、培養液に対して1.5w%の寒天を添
加後、十分に溶解させた。次に、120℃、1atm
で、20分間滅菌した。これを45℃まで冷却した後、
菌液1mlを冷却した液に接種し、菌接種寒天培養液を
調製した。該菌接種寒天培養液を、プレート(21×1
5cm)に分注し菌接種寒天培地を調製した。被検サン
プルを菌接種寒天培地に静かに圧接し、貼り付けた。こ
うして調製した被検サンプルが貼り付けられた菌接種寒
天培地を、37℃で24時間培養した。その後、平板培
地の底を通し裏から試験片の周りの阻止帯の幅を測定し
た。被検サンプルの抗菌性を示す阻止帯の幅は、下記式
によって求められる。禁止帯が存在すれば、被検物に抗
菌性があることを示す。
【0045】本試験に用いた菌は、黄色ブドウ球菌及び
枯草菌の2種類である。黄色ブドウ球菌を用いた試験の
結果をAで、又、枯草菌を用いた場合の結果をBで示
す。
【0046】 W=( T−D)/2 ; W=阻止帯の幅(mm) T=試験を含めた阻止帯の直径(mm) D=試験片の直径(mm) 実施例1 窒素雰囲気下で、硝酸銀AgNO3 0.51gをCH
3CN 30mlに溶かした溶液にTMSPEDA
1.33gを滴下した。室温で4時間間撹拌した後、ロ
ータリーエバポレーターで溶媒を除去し無色の液状生成
物を得た。ICP分析によりAgが含有されているこ
と、並びに、図1に示すようにIRスペクトルよるとT
MSPEDAが含まれそのアミノ基が高エネルギー側に
シフトしていることより、、この化合物は〔Ag(TM
SPEDA)2〕NO3と同定した。この銀錯体1gを4
7.5mlのエタノールと2.5mlの水との混合溶媒
に溶かし抗菌剤(AGー1)を調製した。この抗菌剤
(AG−1)をポリプロピレン容器にとり、これにガラ
ス繊維ろ紙(東洋濾紙、QR200)を30分間浸漬し
た。次いで、このろ紙を7Gの遠心脱水器で、8分間脱
水した後、110℃で30分間乾燥し、抗菌処理ガラス
繊維ろ紙を得た。ハローテストによる抗菌性試験による
と、阻止帯幅がA及びB共に、1mmであった。
【0047】比較例1 実施例1で用いたシリカ繊維ろ紙の抗菌処理を行ってい
ないものの阻止帯幅はA及びB共に、0mmであった。
【0048】実施例2 実施例1で合成した銀錯体1gを水100mlに溶かし
抗菌剤(AG−2)を調製した。この抗菌剤(AGー
2)300mlをポリプロピレン容器にとり、これに脱
脂綿(日本薬局方脱脂綿、ピップフジモト)を30分間
浸漬した。次いで、脱脂綿を7Gの遠心脱水器で、8分
間脱水した後、110℃で30分間乾燥し、抗菌処理脱
脂綿を得た。ハローテストによる抗菌性試験によると、
阻止帯の幅はA及びB共に、2mmであった。
【0049】実施例3 実施例1で合成した銀錯体5gをエタノール100ml
に溶かし、抗菌剤(AG−3)を調製した。この抗菌剤
(AGー3)300mlをポリプロピレン容器にとり、
これに濾紙(東洋濾紙、Quantative Ash
less)を30分間浸漬した。次いで、濾紙を7Gの
遠心脱水器で、8分間脱水した後、110℃で30分間
乾燥し、抗菌処理濾紙を得た。ハローテストによる抗菌
性試験によると、阻止帯の幅はA及びB共に、2mmで
あった。
【0050】実施例4 5mlのメタノールに TMSPEDA 0.34g及
び硝酸銀0.13gを加えた溶液を、室温で15分間攪
拌後、ろ過により不溶物を除去した。これを錯体溶液と
する。 これと別に、メタノール15mlと1.3gの
1N硝酸水溶液の混合液にテトラエチルシリケート(以
後、TESという)15gを溶かした溶液を15分間攪
拌、続いて濾過した後、これ先のに錯体溶液に加えた。
この溶液を更に40分攪拌し、抗菌剤(AGSIー1)
を得た。この抗菌剤(AGSIー1)に、合成洗剤、エ
タノール、次いでアセトンで洗浄した後、110℃で1
0分間乾燥したガラス板を浸漬した。20分後に抗菌剤
より取り出し、エタノールで洗浄し、更に、120℃で
30分間加熱乾燥し、抗菌処理ガラス板を得た。ハロー
テストによると阻止帯の幅はA及びB共に、1mmであ
った。
【0051】実施例5 無水塩化第二銅(CuCl2)0.34gを20mlの
エタノールに溶かした溶液とTMSPDETA1.33
gを20mlのエタノールに溶かした溶液とを混合後、
室温で1時間撹拌した。得られた溶液を孔径0.5μm
のテフロンフィルターでろ過した。ろ液をロータリイバ
ポレターにかけ、溶媒を除去し、青色の金属錯体を得
た。得られた金属錯体は、図2に示す吸収スペクトルが
645nm付近にピークを有していることより銅イオン
にH2NCH2CH2NH−がキレート配位していること
を示し、また、図3に示すIRスペクトルがTMSPD
ETAが含有されていることを示していることより、
〔Cu(TMSPDETA)2〕C12であると同定し
た。得られた銅錯体2gを98mlのエタノールに溶か
し、抗菌剤(CU−1)を調製した。この抗菌剤(CU
−1)をポリプロピレン容器にとり、これにガラス繊維
ろ紙(東洋濾紙、QR200)を30分間浸漬した。次
いで、このろ紙を7Gの遠心脱水器で、8分間脱水した
後、110℃で30分間乾燥し、抗菌処理ガラス繊維ろ
紙を得た。ハローテストによる抗菌性試験によると、阻
止帯幅がA及びB共に、0.2mmであった。
【0052】実施例6 実施例1で調製した抗菌剤(AG−1)50mlと実施
例5で調製した抗菌剤(CU−1)50mlとを混合
し、抗菌剤(AGCUー1)を調製た。この抗菌剤(A
GCU−1)をポリプロピレン容器にとり、これにガラ
ス繊維ろ紙(東洋濾紙、QR200)を30分間浸漬し
た。次いで、このろ濾紙を7Gの遠心脱水器で、8分間
脱水した後、110℃で30分間乾燥し、抗菌処理ガラ
ス繊維ろ紙を得た。ハローテストによる抗菌性試験によ
ると、阻止帯幅がA及びB共に、0.8mmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた金属錯体のIRスペク
トルを示す。
【図2】 実施例5で得られた金属錯体のメタノール
溶液の可視光吸収スペクトルを示す。
【図3】 実施例5で得られた金属錯体のIRスペク
トルを示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式、X−Y−Z(但し、Xは金属イ
    オンに配位可能な基、Yは2価の炭化水素基で主鎖に酸
    素、窒素、または硫黄原子を有していてもよい、Zはア
    ルコキシシリル基を示す)で表される配位子が金属イオ
    ンに配位してなる金属錯体化合物を主成分とすることを
    特徴とする抗菌剤。
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