JPH0692680A - 磁気ヘッド又は磁気ディスクの基板用結晶化ガラス及びその製法 - Google Patents

磁気ヘッド又は磁気ディスクの基板用結晶化ガラス及びその製法

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JPH0692680A
JPH0692680A JP24765792A JP24765792A JPH0692680A JP H0692680 A JPH0692680 A JP H0692680A JP 24765792 A JP24765792 A JP 24765792A JP 24765792 A JP24765792 A JP 24765792A JP H0692680 A JPH0692680 A JP H0692680A
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JP
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glass
crystallized glass
lithium
substrate
silica
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JP24765792A
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Moriya Suzuki
守也 鈴木
Junji Hayakawa
惇二 早川
Joichi Tamada
穣一 玉田
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 線熱膨脹係数を磁性薄膜にマッチングさせ且
つ加工容易な積層コア型磁気ヘッド又はハードディスク
の基板用結晶化ガラス。 【構成】 リチウム−シリケート系結晶化ガラスにおい
て、酸化リチウムとシリカのモル比を1対1ないし1対
2とし、アルミナを0.001ないし0.1モル比、無水
燐酸(P25)を0.01〜0.15モル比、酸化カリウ
ム(K2O)を0.01〜0.17モル比添加し、結晶化
熱処理した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、VTR、コンピュータ
等の信号記録再生用磁気ヘッド、又は磁気信号記録用ハ
ードディスクの非磁性基板に用いる結晶化ガラスと、そ
の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気ヘッドには、フェライト単結
晶が素材に使用されてきたが、磁気記録媒体の飽和磁束
の高密度化、保磁力の高度化に伴ない、近時はセラミッ
ク焼結体から成る非磁性基板上にセンダスト、パーマロ
イ或いはアモルファス金属を積層した磁気ヘッドが使用
されている。しかしセラミック焼結体には、空孔や結晶
障壁があるため、これを磁気ヘッド基板に加工する際、
割れ、欠け、チッピングが生じ易い欠点がある。
【0003】セラミック焼結体基板の上記欠点に対処す
るため、最近はガラス中に微細な結晶を析出させた結晶
化ガラスが積層型磁気ヘッドの非磁性基板として使用さ
れている(例えば、SANYO TECHNICAL
REVIEW 第22巻第2号 64頁 1990
年)。図1は結晶化ガラスによる非磁性基板(1)を使用
した公知のセンダスト積層コア型磁気ヘッドであって、
コア半体の一方の基板(1)上にセンダスト合金の積層膜
(2)を蒸着或いはスパッタリングによって形成し、他方
の基板(1a)を接合ガラスの溶融によって接合し、且つ
2つのコア半体を接合ガラス(3)によって接合し、一体
化したものである。
【0004】上記の構成から判るとおり、磁気ヘッド基
板(1)に用いるべき結晶化ガラスの特性は次の条件を満
すことが必要とされている。 1) センダスト薄膜の線熱膨脹係数150×10-7
℃,パーマロイの場合120×10-7/℃,アモルファ
スの場合110×10-7/℃に近付ける様に、結晶化ガ
ラスの線熱膨脹係数の値も90〜150×10-7/℃程
度であること。 2) 結晶粒径を2μm以下とし、面粗度を120オング
ストローム以下に小さくし、センダスト薄膜と非磁性基
板との接合精度を高くし、磁気ヘッドのトラック幅の接
合誤差が規定内に収まる様にすること。 3) コア半体を接合用ガラスの溶着によって結合する際
の処理温度は約700℃であるから、結晶化ガラスの屈
伏点は800℃以上の耐熱性であること。 4) 従来のフェライト単結晶磁気ヘッドの耐摩耗性及び
硬度と同程度となる様に、ビッカース硬度はHV600
以上であること。 5) 電気的絶縁性がよく、基板加工時に割れ、欠けの発
生が少ない様な機械的強度を有していること。
【0005】磁気記録媒体のハードディスクについて
は、その非磁性基板として従来はアルミニウム系合金や
樹脂材料が使用されていた。しかし最近では、ディスク
の小型化、磁気記録の高密度化に伴なって、磁気ヘッド
の低浮上技術、ディスクの高速回転化が進み、そのため
ディスク表面の表面精度が一層厳しく要求される様にな
った。従来のアルミニウム系合金や樹脂材料では要求値
を満たさなくなり、これに代わって結晶化ガラスをハー
ドディスク基板として用いる試みがなされている(NI
KKEI NEW MATERIALS 1989年1
1月20日号 125頁)。磁気記録用ハードディスク
は図2に示す如く、非磁性結晶化ガラス基板(4)上に、
Ni−Pメッキ層(5)を厚さ10〜20μm程度、無電
解メッキによって被覆し、このメッキ層を研磨加工し、
基板(4)の硬さを補っている。更にメッキ層(5)上にス
パッター装置によって、中間層(6)、磁性層(7)、保護
膜(8)、潤滑剤層(19)を成膜したものである。各層の
材料としては、中間層(6)にはCr、磁性層(7)にはC
o−Ni−Cr又はCo−Cr−Ta、保護層(8)には
カーボン又はジルコニアが使用される。各層の厚さは、
中間層(6)は2000〜3000オングストローム、磁
性層(7)は500〜800オングストローム、保護層
(8)は200〜300オングストロームである。基板
(4)は、表面の面粗度及び硬度が重要な要素として厳し
い条件が要求されており、更に磁気ヘッドの非磁性基板
と同じく、中間層(6)と磁性層(7)の薄膜を付着させた
ときに、基板の反りが発生しない様に線熱膨脹係数のマ
ッチングが必要となる。従って磁気記録用ハードディス
ク基板の結晶化ガラスには、積層型磁気ヘッドの非磁性
基板用の結晶化ガラスと同様な条件が求められている。
【0006】以下の説明では、磁気ヘッド基板用及びハ
ードディスク基板用の結晶化ガラスを一括している。リ
チウム−シリケート系結晶化ガラスにおける線熱膨脹係
数の値は、結晶化ガラス内に析出する結晶によって大き
く左右される。安定したガラス領域で製造したガラスを
結晶化熱処理したときの析出結晶の種類は、珪酸リチウ
ム、二珪酸リチウム、石英、トリジマイト、クリストバ
ライト等である。これ等析出結晶の線熱膨脹係数は、珪
酸リチウムが200×10-7/℃、二珪酸リチウムが1
10×10-7/℃である。これ等の結晶の析出は、酸化
リチウム(Li2O)とシリカ(SiO2)の組成比及び
冷却速度によって決定される。従ってガラスの組成比を
適当に決め、核形成材であるZrO2、TiO2等を添加
して結晶化を促進することによって、これらの結晶及
び、これらの結晶の混晶を効果的に析出させ、結晶化ガ
ラスが必要とする線熱膨脹係数を得ている。しかし、こ
れ等の結晶の中で、トリジマイト及びクリストバライト
は300℃付近で異常膨脹する特性があり、また析出の
ための添加物を含有するため好ましくない。
【0007】結晶化ガラスの線熱膨脹係数を調節する別
の方法としては、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類酸
化物を添加することにより、結晶化ガラス内の約50%
を占めるガラスマトリックスの線熱膨脹係数を高め、こ
れにより結晶化ガラス全体の線熱膨脹係数を大きくして
いる。
【0008】
【解決するべき課題】結晶化ガラスの線熱膨脹係数を高
めるために、アルカリ金属酸化物を添加すると、結晶化
ガラスの屈伏点を低くし、基板としての使用温度を限定
してしまう。また、アルカリ金属酸化物の添加が過度に
なされると、ガラスは安定なガラス状態から外れて、失
透状態となる。即ちガラス原料を混合し、溶融したガラ
スを鋳型に注入し成形する際の冷却過程で、ガラス状態
とならずに結晶化が進み、成形する鋳込みの途中、若し
くは鋳込みの後に、析出結晶ができて結晶化ガラスとな
ってしまう。析出結晶は気泡を含み、透明度が消えてい
る。失透領域での析出結晶の主成分は珪酸リチウムであ
るため、線熱膨脹係数が200×10-7/℃といった非
常に大きな値となる。そのため析出結晶の成長が大き
く、劈開性の強い結晶化ガラスとなるため、脆く、ヒビ
割れが発生し易くなって、本発明の目的には不適であ
る。更に核形成化材を大量に添加すると、熱処理条件の
僅かの違いによって結晶の析出状態や線熱膨脹係数の値
が変化するため、結晶化熱処理の条件に厳しい規制を加
えねばならない問題がある。
【0009】リチウム−シリケート結晶化ガラスにおい
て、シリカを増量して、酸化リチウム対シリカのモル比
が1対2以下(即ちシリカのモル比が酸化リチウムの2
倍以上)のとき、リチウムイオンの量が増加するにした
がって、その結晶化ガラスの結晶粒子は細かくなり、し
かも線熱膨脹係数は大きくなる傾向を示すから、リチウ
ムの組成比を増すことが、基板の線熱膨脹係数を積層膜
の線熱膨脹係数に近づけることが出来て、望ましい。し
かしながら、酸化リチウムの組成比が増えて、酸化リチ
ウムとシリカのモル比が1対2以上(即ちシリカのモル
比が酸化リチウムの2倍以下)になると、ガラスは失透
状態となりやすい。そのため従来の非磁性基板用結晶化
ガラスにおいて、酸化リチウム対シリカのモル比が1対
2よりも大きい、酸化リチウム多量の組成領域は、基板
用には使えなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、リチウム
−シリケート系結晶化ガラスの組成比が、従来はガラス
失透領域であると言われていた範囲内において、安定な
結晶化ガラスを製造することに成功した。発明者等は、
ガラス失透状態が起こる原因を究明し、失透現象は、ガ
ラス溶融時にはリチウムイオンの移動性(モビリティ)
が大きくなること、及びガラス溶融時の湯の粘性が低い
ために生じると考えた。なぜならばガラス中の酸化リチ
ウムとシリカとの組成比において、酸化リチウムの量が
増加すると相対的にシリカの量は低下するため、ガラス
の湯の粘性は低くなる。それと同時にガラス中のリチウ
ムイオンのモビリティは大きくなり、結晶化が生じ易い
状態となるからである。
【0011】本発明では、酸化リチウムとシリカの組成
比が1対1ないし1対2のモル比で従来ガラス失透領域
とされていたリチウム−シリケート系結晶化ガラスにお
いて、ガラス溶融時の湯の粘性をアルミナを添加するこ
とにより高め、リチウムイオンのモビリテイを制御し
て、ガラスの失透を防止することにより、安定したガラ
スを作成し、これを結晶化熱処理する。これにより、磁
気記録ヘッド又はハードディスクの非磁性基板の結晶化
ガラスとしての新たな特性を得ることができ、微結晶で
線熱膨脹係数が90〜150×10-7/℃の結晶化ガラ
スの作製に成功した。
【0012】また本発明においては、前記ガラス失透領
域で、酸化リチウムとシリカとの組成に酸化リチウム1
モルに対してアルミナを0.03〜0.05モルの割合で
添加して、ガラス溶融時の湯の粘度を高め、リチウムイ
オンのモビリテイを低下させ、更に若干の核形成化材を
添加することにより、結晶化熱処理の際に極めて細かい
微結晶を得るものである。
【0013】更に本発明は、前記ガラス失透領域で、ア
ルミナに代えて、高温でガラスの粘性を高めることの出
来る他の物質例えばZnO2、CaO、Fe23の1種
以上を酸化リチウムとシリカの結晶化ガラスの組成へ添
加することによって、安定な結晶化ガラスを得るもので
ある。
【0014】本発明はまた、前記ガラス失透領域で、酸
化リチウムとシリカの組成に加える核形成化材として、
ZrO2或いはTiO2の1種類以上を0.5〜5重量
%、若しくはPt、Ag、Auの各元素の1種類以上を
0.0001〜0.01重量%、又はこれ等を混合して添
加することによって、結晶粒径を2μm以下にするもの
である。
【0015】本発明の結晶化ガラスはまた、酸化リチウ
ムとシリカの組成比が1対1ないし1対2モル比であっ
て、酸化リチウム1モル比に対してアルミナを0.00
1ないし0.1モル比、無水燐酸を0.01〜0.15モ
ル比、酸化カリウムを0.01〜0.17モル比添加し、
結晶化熱処理したものである。
【0016】
【作用】本発明の基礎となる結晶化ガラスは、酸化リチ
ウムとシリカの組成比が1対1ないし1対2モル比であ
って、酸化リチウム含有量が多いため線熱膨脹係数は大
きくできるが、いわゆる失透領域にある。しかし、アル
ミナ又はZnO,CaO,Fe23の添加により、リチ
ウムのモビリティを下げ、ガラスの湯の粘性を高めたか
ら、溶融冷却過程における結晶の成長が抑制され、その
後の熱処理によって微細な結晶が析出し、安定な結晶化
ガラスが得られる。
【0017】また、無水燐酸及び酸化カリウムを同時に
添加した相乗効果により、結晶化ガラスの欠点であった
加工性を改善し、一層安定した結晶化ガラスの製造が可
能となった。
【0018】
【実施例】本発明のリチウム−シリケート系結晶化ガラ
スは、酸化リチウムとシリカを1対1ないし1対2のモ
ル比で含有している。好ましくは前記酸化リチウムとシ
リカとの組成比が1対1.75であり、それにアルミナ
を酸化リチウム1モルに対し0.03ないし0.05モル
添加し、結晶化熱処理することにより、珪酸リチウム、
二珪酸リチウム、β−スポジュウメンを主成分とした析
出結晶を生成するものである。
【0019】酸化リチウムを増量してシリカとの組成比
を1対1より大きくし、モル比で酸化リチウムがシリカ
を越えると、溶融後固化したガラスに失透が生じたり、
ガラスに分相が生じて正常なガラスにならず、鋳込みの
際にヒビ割れや、発泡が生じて、到底基板としては利用
できない。従って酸化リチウムとシリカのモル比の上限
は1対1とした。
【0020】又、シリカを増量して、酸化リチウム対シ
リカのモル比が1対2以下(シリカのモル比がリチウム
の2倍以上)の場合、ガラスを作製する際の溶融温度が
1600℃を越え、ガラスの作製が困難となる。通常は
融点を下げる作用があるアルカリ類、アルカリ土類の物
質を混入して溶融温度を下げて対処している。しかし乍
ら本発明は出来上がった結晶化ガラスの屈伏点の低下を
防ぐため、リチウム−シリカ−アルミナの基本構成で課
題の解決を画っているから、融点を下げるための第三の
物質の混入が必要となる範囲は除外している。酸化リチ
ウムとシリカとアルミナの組成比を、モル比で1対2.
5対0.01から1対2.5対0.05の間でガラスの融
点実験を行ない、1590℃まで昇温したが、ガラスの
溶融は困難であった。従って酸化リチウムとシリカのモ
ル比の下限は1対2とした。
【0021】更に、前記組成領域におけるリチウム−シ
リケート系結晶化ガラスにおいて、アルミナ又はZn
O,CaO,Fe23の如く、ガラス溶融時の湯の粘性
を高くする物質を添加する他に、結晶化ガラスの結晶の
微細化を目的として、核形成剤としてZrO2,TiO2
のいずれか1種以上を0.5〜5重量%、若しくはP
t,Ag,Auの各元素の1種以上を0.0001〜0.
01重量%、又はこれ等を混合して添加し、結晶粒径を
2μm以下にせしめる。
【0022】結晶化熱処理の工程は、先ず結晶化処理す
るべき固体ガラスを炉の均熱部にセットした後、加熱を
開始し、加熱昇温速度を60〜80℃/時の速度で炉の
温度を核形成温度(500〜800℃)まで上昇させ
る。この状態でガラスの核形成温度を約2時間温度保持
して、ガラス内に結晶の元となる結晶核を生成させて核
形成を行なう。次いで加熱昇温速度を60〜80℃/時
の速度で炉の温度を結晶化温度(850〜1200℃)
まで上昇させ、この状態でガラスの結晶化温度を約2〜
10時間、温度保持してガラスの結晶化を行なう。その
後、150〜300℃/時の速度で炉の温度を降温す
る。そして結晶化されたガラスインゴットを所定寸法に
スライシング、研磨等を行ない、結晶化ガラス基板を作
製するのである。このようにして作製された結晶化ガラ
スは気孔も少なく、硬度も硬く、耐熱性が良いのが特徴
である。
【0023】本発明者等は、酸化リチウムのモル数を基
準として、シリカとの組成比を1対1.75モル比及び
1対2.00モル比に維持し、アルミナの添加量を変え
た7例の結晶化ガラスを製造した。これ等7例の組成比
を基にガラスを溶融し鋳込んで自然空冷した時の状態、
結晶化熱処理後の特性等を実験した。その結果は表1に
記載する通りである。
【0024】
【表1】
【0025】表1において、上の2例が比較例であっ
て、溶融ガラスを鋳込む時点で結晶化した。下の5例が
本発明の実施例の一部であり、アルミナ添加による効果
が出ていることが分かる。
【0026】(他の実施例)積層コア型磁気ヘッドの非
磁性基板として結晶化ガラスを使用する場合は、従来の
セラミックの持っている欠点は改善され、耐熱温度、硬
度、面粗度は、ガラス成分の組成比を調節することによ
って制御し易いという利点がある。しかし、その反面、
素材が硬すぎるため、切断加工に使用するダイヤモンド
ブレードカッターが極度に摩耗し、長時間の切断加工時
間を強いられる加工性の悪さの問題があった。更に前記
実施例のリチウム−アルミ−シリケート系結晶化ガラス
においては、線熱膨脹係数を130×10-7/℃以上の
値にすることは難しい。
【0027】本発明は、リチウム−アルミ−シリケート
系結晶化ガラス組成に、酸化リチウム1モル比に対して
無水燐酸(P25)を0.001〜0.15モル比および
酸化カリウム(K2O)を0.01〜0.17モル比添加
することにより、加工性を良くし、線熱膨脹係数を13
0×10-7/℃以上の値にすることができた。リチウム
−アルミ−シリケート系結晶化ガラスの失透近傍のガラ
ス領域 (失透はせず安定したガラス領域)において、
酸化リチウムに対するモル比で 0.01以上の酸化カリ
ウム(K2O)を単独で加えた場合、それを溶融、鋳込
んでいくと、鋳込みの際にはガラスは安定した状態とな
らずに結晶化による失透が生ずる。この原因としては、
酸化カリウムを添加することにより、ガラス溶融時の湯
の粘性が低下し、溶融ガラス内のLiイオン のモビリ
ティが大きくなったため、鋳込み時に安定したガラスと
成り得ず、失透現象が生じたものと考えられる。したが
って、酸化カリウム(K2O)単独の添加はガラスの失
透現象を招き、線熱膨脹係数や加工性の改善には寄与す
ることができなかった。
【0028】また一方、リチウム−アルミ−シリケート
系結晶化ガラスの失透近傍ガラス領域で、無水燐酸(P
25)を単独でモル比0.01以上添加していくと、安
定したガラスの状態は増加するが、線熱膨脹係数の値は
添加しない状態に比べて低くなり、結晶化熱処理による
ガラス内の結晶化度も低下することがわかった。これは
無水燐酸(P25)を添加することによって、結晶化ガ
ラスを形成する組成の一部が無水燐酸(P25)と化学
反応を起し、燐酸塩ガラスとしてガラスマトリクスの一
部に取り込まれるため、結晶化度が低下するものと思わ
れる。この実験を通じて無水燐酸(P25)の添加は、
線熱膨脹係数の低下をもたらす問題はあるが、失透近傍
のガラス組成領域で、より安定したガラスの作製を可能
とし、また、結晶化度の低下により結晶化ガラスの硬度
が低下するため、加工性が良くなることが判明した。
【0029】次に、同一組成で酸化カリウム(K2O)
と無水燐酸(P25)とを同時に添加し、各々の添加量
を増加していくと、結晶化熱処理の結晶ガラスの線熱膨
脹係数は増加傾向を示し、そのビッカース硬度は減少傾
向を示した。図3はリチウム−アルミ−シリカ結晶化ガ
ラス組成(Li2O:SiO2:A23=1:1.75:
0.05)に無水燐酸(P25)をモル比で0.03添加
し、酸化カリウム(K2O)をモル比で0から0.20ま
で添加量を変化させて、結晶化ガラスを作製し、その特
性を測定したものである。この図からもわかるように、
結晶化熱処理を施した結晶化ガラスでは、酸化カリウム
を増加するにつれて線熱膨脹係数は急激に増加し、また
逆に、結晶化ガラスの硬度は低下していく。
【0030】この原因を考えると、結晶化熱処理を施し
た結晶化ガラス内の結晶としては、珪酸リチウムおよび
二珪酸リチウムの結晶が混在しているが、酸化カリウム
の添加量が増加するにつれて、比較的結晶成長しにくい
二珪酸リチウム結晶が減少し、これにより線熱膨脹係数
の大きい珪酸リチウム結晶の比が増すために、線熱膨脹
係数が増加していくものと思われる。上記状態を調べる
ため、酸化リチウム、シリカ、アルミナの組成比が1対
1.75対0.05のリチウム−アルミ−シリケート系結
晶化ガラスに無水燐酸(P25)をモル比で0.05添
加し、それと同時に酸化カリウムの添加量モル比Xを酸
化リチウム1モルに対して0から0.08モルまで増加
させて、各々の結晶化ガラスを作製し、その結晶構造を
X線回折によって調べた。その結果を図4に示してい
る。図4において、珪酸リチウムの結晶に対応するピー
クに“1”を付し、二珪酸リチウムに対応するピークに
“2”を付している。
【0031】この図からもわかるように、酸化カリウム
(K2O)の添加量X=0のときは、珪酸リチウムの結
晶と二珪酸リチウムの結晶が混在しているが、酸化カリ
ウム(K2O)の添加量X=0.03以上に増加していく
と、珪酸リチウムの結晶“1”に比べて、結晶化しにく
い二珪酸リチウム結晶“2”が減少して行くのがわか
る。また、硬度の減少に関しては、図3に示すように、
酸化カリウムの添加量の増加に伴い、この酸化リチウム
が、同時に添加した無水燐酸(P25)とリチウム−ア
ルミ−シリケート系ガラス組成中の酸化リチウムおよび
シリカ(SiO2)と反応して、リチウム−カリ−燐酸
塩ガラスマトリックスを形成するため、結晶化ガラスの
結晶化度が低下して、硬度も減少するものと思われる。
【0032】これらの結果、非磁性基板の線熱膨脹係数
の値が120×10-7/℃以上のものが作製可能となっ
たため、線熱膨脹係数の大きいセンダストを使用した磁
性薄膜と組み合わせて、積層コア型磁気ヘッドの製作が
容易となった。また、結晶化ガラスの結晶化度が低下
し、その結果、素材の硬度も適度に減少して、加工性が
良くなることがわかった。
【0033】
【発明の効果】本発明は、リチウム−シリケート系ガラ
スの酸化リチウム及びシリカの組成比において、酸化リ
チウムの量を増して従来結晶化ガラスの失透領域と思わ
れていた1対1ないし1対2の範囲で用い、これにアル
ミナを添加することによってガラスは安定状態で結晶
し、しかもアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物を
多量に用いることなく、線熱膨脹係数を磁気ヘッドのセ
ンダスト或いはハードディスクの中間層にマッチングす
る様に高めることが出来た。
【0034】又、リチウム−アルミ−シリケート系結晶
化ガラスに無水燐酸および酸化カリウムを同時に添加す
るにより、結晶化ガラスの線熱膨脹係数は増加し、硬度
は適度に減少して加工性は改善された。
【0035】上記実施例の説明及び図面は、本発明を説
明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発
明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではな
い。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許
請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能で
あることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層コア型磁気ヘッドの斜面図である。
【図2】ハードディスクの拡大断面図である。
【図3】リチウム−アルミ−シリケート結晶化ガラス組
成に、無水燐酸(P25)をモル比で0.03添加し、
酸化カリウム(K2O)をモル比で0から0.20添加し
て結晶化ガラスを作製、その線熱膨脹係数とビッカース
硬度を測定した特性図である。
【図4】リチウム−アルミ−シリケート結晶化ガラスに
おいて、P25とK2O を添加したときの、珪酸リチウ
ムの結晶及び二珪酸リチウムの結晶のX線回折図であ
る。
【符号の説明】
(1) 磁気ヘッドの基板 (4) ハードディスクの基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 惇二 大阪府高槻市西冠1丁目21番18号 (72)発明者 玉田 穣一 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三洋 電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム−シリケート系結晶化ガラスに
    於て、酸化リチウムとシリカ(SiO2)の組成比が1
    対1ないし1対2モル比であって、アルミナ,ZnO,
    CaO,Fe23の1種又は2種以上を含有し、結晶化
    熱処理されている磁気ヘッド又は磁気ディスクの基板用
    結晶化ガラス。
  2. 【請求項2】 酸化リチウムとシリカの組成比が1対
    1.75モル比であり、アルミナの含有量は酸化リチウ
    ム1モルに対し0.03ないし0.05モルであり、生成
    した析出結晶は、二珪酸リチウム、珪酸リチウム、β−
    スポジュウメンを主成分としている請求項1の結晶化ガ
    ラス。
  3. 【請求項3】 核形成剤として、ZrO2、TiO2の1
    種以上を0.5〜5重量%、及び/又はPt、Ag、A
    uの1種以上を0.0001〜0.01重量%を含有し、
    結晶粒径は2μm以下である請求項1又は請求項2の結
    晶化ガラス。
  4. 【請求項4】 リチウム−シリケート系結晶化ガラスに
    於て、酸化リチウムとシリカ(SiO2)の組成比が1
    対1ないし1対2モル比であって、酸化リチウム1モル
    に対しアルミナを0.001ないし0.1モル比、無水燐
    酸を0.01〜0.15モル比、酸化カリウムを0.01
    〜0.17モル比含有し、結晶化熱処理されている磁気
    ヘッド又は磁気記録用ディスクの基板用結晶化ガラス。
  5. 【請求項5】 酸化リチウムとシリカ1対1ないし1対
    2モル比に、アルミナ,ZnO,CaO,Fe23の1
    種又は2種以上を添加して溶融後固化したガラス原料を
    結晶化熱処理し、結晶を析出させることを特徴とする磁
    気ヘッド又は磁気ディスクの基板用結晶化ガラスの製
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1042827C (zh) * 1993-05-19 1999-04-07 株式会社小原 磁盘基片用的玻璃-陶瓷及其制法
US6413890B1 (en) 1997-04-28 2002-07-02 Kabushiki Kaisha Ohara Glass-ceramic substrate for a magnetic information storage medium

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CN1042827C (zh) * 1993-05-19 1999-04-07 株式会社小原 磁盘基片用的玻璃-陶瓷及其制法
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