JPH0692478B2 - 熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents

熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造方法

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JPH0692478B2
JPH0692478B2 JP60140117A JP14011785A JPH0692478B2 JP H0692478 B2 JPH0692478 B2 JP H0692478B2 JP 60140117 A JP60140117 A JP 60140117A JP 14011785 A JP14011785 A JP 14011785A JP H0692478 B2 JPH0692478 B2 JP H0692478B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、改良された熱硬化性ポリウレタン樹脂、さら
に詳しくいえば遅延回復特性を有する、容易に変形可能
な熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造方法に関するもので
ある。本発明方法により製造された軟質で、変形可能な
熱硬化性ポリウレタン樹脂は、さらに低い圧縮永久ひず
み及び広い温度範囲にわたって高い温度不感応減衰性を
示すという特徴を有している。
従来の技術 圧縮後に、遅延回復性を示す軟質ポリウレタンは、既に
知られている(英国特許第1,564,195号明細書)。この
ポリウレタンは、遊離のヒドロキシル基を含み、ポリオ
ールを化学量論的量よりも少ない量のイソシアネートと
反応させることによって得られる。また、軟質ポリウレ
タンは、化学量論的当量に対して必要な量よりもかなり
過剰のポリイソシアネートを導入することによっても製
造することができる。この過剰のイソシアネートは可塑
剤として作用するが、それは水分が生成物と接触するの
を防止されている場合だけであり、このような生成物は
ほとんど実用的な価値がない。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、このような従来の軟質ポリウレタンが
示すような欠点を克服し、良好な遅延回復性を有する実
質的な熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造方法を提供する
ことである。
問題点を解決するための手段 本発明に従えば、(a)ポリオール、(b)多価アルコ
ール、(c)一価アルコール及び(d)ポリイソシアネ
ートを反応させて熱硬化性ポリウレタン樹脂を製造する
方法において、 (1)ワンショット法で行うこと、 (2)上記の(a)ポリオールが2,500〜8,000の範囲の
分子量をもつ、実質的に第一級ヒドロキシル末端基をも
つこと、 (3)上記の(c)一価アルコールが炭素数10以下の脂
肪族一価第一級アルコールであること、 (4)反応混合物のイソシアネート指数が1.0以上であ
ること、 (5)(a)ポリオールの所定量に対して、(b)多価
アルコール量の(c)一価アルコール量に対する割合
を、上記ポリウレタン樹脂について以下の(i)〜(i
v)の特性; (i)−40℃〜60℃の温度範囲にわたって0.1よりも大
きいtanδ、 (ii)0〜90の範囲のショアA硬度、 (iii)15%よりも小さい圧縮永久歪み及び (iv)30kg/cm2よりも小さい引張強さ が達成されるように調整すること によってその目的を達成することができる。
本発明方法で得られる熱硬化性ポリウレタン樹脂(以
下、本発明のポリウレタンという)は、後述の方法によ
り−40℃ないし60℃の温度範囲にわたって測定したとき
に、0.1よりも大きい、好ましくは0.2よりも大きい、特
に0.3よりも大きいtanδを有することが必要である。
また、本発明のポリウレタンは、後述の方法により測定
した圧縮永久ひずみが15%未満好ましくは10%未満で、
引張強さが30kg/cm2未満好ましくは20kg/cm2未満であ
る。
本発明で用いるポリオールは、2〜6、好ましくは2〜
3の範囲の官能性を有するものであり、また2,500〜8,0
00、好ましくは2,500〜4,000の範囲の分子量を有するも
のである。
本発明のポリウレタンは、エネルギー減衰特性が改善さ
れるように構成される。このものは、わずかに交さ結合
したポリウレタンであるが、英国特許第1,564,195号明
細書に記載されているポリウレタンとは異なり、あらゆ
る実用的な目的に対し、ポリオールやポリイソシアネー
トのいずれも過剰でなく完全に反応している。すなわ
ち、本発明のポリウレタンは遊離のヒドロキシル基を含
んでいない。
既に知られているように、ポリウレタンの硬度が大きく
なる速度は、いくつかのファクターにより制御される
が、その中の1つにイソシアネート指数がある。
例えばイソシアネート指数1.05における硬度の増加速度
に比べ、イソシアネート指数1.01における硬度の増加速
度が速くなることが知られている。そして、最適なの
は、イソシアネート指数が約1.03の点である。同様に、
ポリウレタンの性質は、ポリマーの構造を変えることに
より、あるいは充てん剤及び可塑剤の導入により、ある
いはこれらの組合せにより改質することができることも
知られている。本発明のポリウレタンを形成するのに用
いうる触媒としては、一般にポリウレタンの製造に際し
て用いられているもの、例えば第三アミン類、スズ、
鉛、水銀、鉄、ニッケル又はコバルトの化合物、第三ア
ミン類とこれら金属化合物の少なくとも1種との混合物
などを挙げることができる。
本発明のポリウレタンの性質は、一定のポリオール含量
において、一価アルコールに対する多価アルコール、好
ましくは短鎖ジオールの比率を変えることによって調節
される。このようにして、樹脂の硬度を、寸法的に不安
定な半固体状態から、ショアA硬度がほぼ90という高い
値を示す固体まで変化させることができる。そして、多
くの場合、ショアA硬度0から20までの硬度をもつ樹脂
にするのが好ましい。このような樹脂は、通常、室温下
において反応させることによって形成されるが、より急
速に交さ結合を行わせるために、さらに高い硬化温度を
用いてもよい。この際ポリイソシアネートは化学量論的
量で用いるのが好ましいが、ポリイソシアネートの必要
量よりもやや多く用いても正常な条件で得られる樹脂の
性質に対して著しい悪影響を生じることはない。
本発明で用いるのに適したポリイソシアネートの例とし
ては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、重
合状MDI、トリレンジイソシアネート、脂環族ジイソシ
アネート例えばジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、p-フェニレンジ
イソシアネート及びトランス−1,4-シクロヘキサンジイ
ソシアネートを挙げることができる。
次に本発明で用いうる多価アルコールの例としては、グ
リセリン、1,4-ブタンジオール、ペンタエリトリトー
ル、トリメチロールプロパン、1,2-プロピレングリコー
ル、1,6-ヘキサンジオール、2-エチルヘキサン‐1,3-ジ
オール、ヒドロキノンのビス(ヒドロキシエチルエーテ
ル)及び商品名「プルリオールQ(Pluriol Q)」(BAS
F社製)で市販されている1,1′,1″,1‐エチレンジニ
トリロテトラ‐(2-プロパノール)のような四官能性多
価アルコールなどを挙げることができる。この多価アル
コールとしては、短鎖ジオールが好ましく、特にヒドロ
キシル基の全部が第一級ヒドロキシル基であるもの、例
えば1,4-ブタンジオールが好適である。場合によって
は、第二級ヒドロキシル基をもつものや分子中に第一級
ヒドロキシル基と第二級ヒドロキシル基の両方をもつも
のを用いることもできる。
また、適当な脂肪族一価第一級アルコールの例として
は、C1〜C10の脂肪族第一級アルコール特にC1〜C6の範
囲内のもの、すなわちメチルアルコールからn-ヘキサノ
ールまでのものを挙げることができる。商品名「シンナ
ーPU(ThinnerPU)」(バイエル社製)としして知られ
ている当量155の一価エーテルアルコールも、本発明で
用いるのに適している。脂肪族一価第一級アルコールの
混合物も用いることができる。
本発明のポリウレタンは常法に従って発泡体にすること
ができる。例えば高圧を加えて樹脂中に溶解したガスを
放出させることにより、あるいは外部からの加熱又はポ
リウレタンの重合の間に発生する化学的発熱により蒸気
圧を著しく増大する低沸点液体を導入することにより、
あるいはガスを発生する反応性液体、例えばポリイソシ
アネートと反応して二酸化炭素を生じる水を導入するこ
とによって発泡体を得ることができる。この発泡体は、
実質的に開放セル型又は閉鎖セル型のいずれでもよい。
さらに本発明のポリウレタンから、全面に皮膜を有する
発泡体を製造することもできる。また機械的なあわ立て
を用いる方法や、微小中空球により構造的発泡体とする
方法にも適している。
本発明によれば、また2種のマスターバッチ原料を調製
し、これらを適当な割合で混合することにより、所要の
性質をもつ樹脂やその中間的性質をもつ樹脂を、各硬度
に要求される特別な組成物を調製することなく、広い硬
度範囲にわたって製造することができる。このことは、
さらに各組合せごとのマスターバッチを、それぞれ化学
量論的当量を与えるために同じ量のポリイソシアネート
を必要とするような組成に調製することによっても達成
される。この方法は、後述の実施例中に示されている。
以上、本発明において、脂肪族一価第一級アルコール又
は一価アルコールの混合物が果している基本的な役割を
説明した。この一価アルコールの構造を系統的に変えて
いくと、相当するポリウレタンの圧縮永久ひずみ、硬度
及び破断伸びが漸進的に変化することが認められる。
実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)tanδの測定 国際標準参照番号ISO 2856-1975(E)において損失係
数と定義されたtan δは材料の減衰性の測定尺度であ
る。
測定にはダイナミック機械的熱分析装置(DMTA、ポリマ
ー・ラボラトリーズ社製)を用いた。試験条件は通常次
のとおりであった。
曲げモード 試験周波数 1ヘルツ 昇温速度 2℃/分 開始温度 −80℃ 終了温度 +80℃ (2)引張強さ及び伸び これらはイギリス国標準903、パートA2(1971)によっ
て決定した。
(3)圧縮永久ひずみ これらはイギリス国標準903、パートA6(1969)によっ
て測定したが、測定条件は、40℃において20時間ひずみ
25%に変えた。
(4)硬度 測定にはショア社製の手持ち式の硬度計を用いた。通
常、ショアAとショアOOの2種のスケールを使用した。
これらのスケールの両端値はそれぞれ対応している。た
とえば、ショアA“0"はショアOO“0"と、また、ショア
A“100"はショアOO“100"と対応している。ショアOOの
測定範囲0〜70がショアAの0〜20に相当し、よりよい
感度が得られるので、ショアOOは硬度の低いものの測定
に使用する。
実施例において、部及び百分比は特に記載のない限り重
量による。
実施例1 次に示す2種のマスターバッチ組成物TN43とTN44とを調
製した。
これをみれば分るように、このマスターバッチは一価ア
ルコールを含有するものである。また、TN43のn-ブタノ
ールの代りに当量のメチルアルコール、、エチルアルコ
ール、n-プロパノール及びn-ヘキサノールを用いること
により同様にしてマスターバッチ組成物を調製した。こ
の例においては、2種のマスターバッチを一定の割合す
なわち6:4で使用した。そして、一価アルコールの種類
を変えるとともに組成物中に存在する一価アルコールノ
当量を変えて実験した。マスターバッチ組成物TN43の量
を一定にするために、フタル酸ジオクチルの量を変えて
必要な調整を施した。TN43の6重量部とTN44の4重量部
とを混合し、得られたマスターバッチ10重量部を、デス
モジュールVL(Desmodur VL)1重量部と混合した。こ
のようにして得たポリウレタン樹脂の性質を第1表に示
す。
第1表から明らかなように、圧縮永久ひずみは脂肪族ア
ルコールの炭素鎖の長さが増大するとともに単調に変化
する。
また、得られた樹脂の硬度は脂肪族アルコールの炭素鎖
の長さが増大するに従って減少してn-プロパノールのと
ころで極小となり、それ以後は炭素鎖の長さが増大して
も硬度には大した影響は現れない。
破断伸びは、炭素鎖の増大に従って増大する。
実施例2 この例は、ポリウレタン樹脂の物性が、反応性成分の割
合、すなわちポリオール:多価アルコール:一価第一級
アルコールの比率の変化に影響されることを示すもので
ある。
この例においては、ポリオールとして末端ヒドロキシル
基をもつポリブタジエンを、多価アルコールとして1,4-
ブタンジオールを、一価第一級アルコールとしてn-ブタ
ノールそれぞれ次に示す量で使用した。
各組成の樹脂の硬度の変化に与える結果を第1図に示
す。この図から明らかなように、反応成分の割合を変え
ることによって広い範囲の硬度をもつ樹脂を製造するこ
とができる。
第2表は、ポリブタジエンを40重量%に維持し、ブタノ
ールに対するブタンジオールの割合を変えたときのtan
δへの影響を示すものである。tan δはブタノールの百
分比が増大するに従って増大し、ブタノールが39重量%
の高水準のときに−60℃ないし+60℃の温度範囲にわた
ってtan δは0.30又はそれ以上を示す。
実施例3 この例は、ポリウレタン樹脂の物性に対するポリオール
の効果を示すためのものである。
この例においては、以下に示す数種の市販ポリオールを
使用した。
上記のポリオールの組成表示は次のとおりである。
ポリブタジエン:第一級ヒドロキシル末端基をもつポリ
ブタジエン F2805:エチレンオキシド末端基をもつポリ(プロピレン
グリコール) F5502:エチレンオキシド末端基をもつポリ(プロピレン
グリコール) ポリブタジエンをベースとした組成物の例は実施例1及
び2に示されている。
F5502をベースとした組成物の例を以下に示す。
F5502をベースとした系列は次に示す組合せから成って
いる。
EL45とEL46 EL43とEL44 EL47とEL48 EL49とEL50 このようにして得られた樹脂の硬度曲線を第2図に示
す。
上記の系列から選択された樹脂及びTN系列の樹脂の代表
的な物理的性質を以下に示す。
発明の効果 本発明のポリウレタンを製造するための原料は、慣用の
ツウ・パート混合装置を用いて簡単に配合するこどかで
き、適当な組成、あるいは2種のマスターバッチ例えば
EL45とEL46の組合せを選択することにより、硬く、こわ
い固体からほとんど無視しうる寸法安定性をもつ半固体
に至るまでの種々の樹脂を得ることができる。
このようにして得られる半固体状の樹脂は、振動防止装
置の充てん物として有用である。他方、固体状の樹脂
は、衝撃が加わる個所やエネルギーを必要とする個所に
おいて同じような用途に供される。また、圧縮永久ひず
みが低いところから、シールや耐ひずみ性が重要視され
る装置、特に圧縮に際しこの性質が低モジュラスと結合
して生じる個所、例えば50%圧縮において10MN/m2
満、望ましくは50%圧縮において2MN/m2未満になるよう
な個所に使用されるが、必ずしもこれに限定されるわけ
ではない。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、実施例で得られた本発明のウレタ
ン樹脂の硬度曲線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−109595(JP,A) 特開 昭52−109596(JP,A) 特開 昭54−3198(JP,A) 特開 昭55−36298(JP,A) 特開 昭55−110114(JP,A) 特開 昭56−10517(JP,A) 特開 昭56−136814(JP,A) 特開 昭50−52195(JP,A) 特開 昭60−219220(JP,A) 特開 昭60−243112(JP,A) 特開 昭47−7948(JP,A) 特公 昭44−22113(JP,B1) 特公 昭45−10956(JP,B1)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリオール、(b)多価アルコー
    ル、(c)一価アルコール及び(d)ポリイソシアネー
    トを反応させて熱硬化性ポリウレタン樹脂を製造する方
    法において、 (1)ワンショット法で行うこと、 (2)上記の(a)ポリオールが2,500〜8,000の範囲の
    分子量及び第一級ヒドロキシル末端基をもつこと、 (3)上記の(c)一価アルコールが炭素数10以下の脂
    肪族一価第一級アルコールであること、 (4)反応混合物のイソシアネート指数が1.0以上であ
    ること、 (5)(a)ポリオールの所定量に対して、(b)多価
    アルコール量の(c)一価アルコール量に対する割合
    を、上記ポリウレタン樹脂について以下の(i)〜(i
    v)の特性; (i)−40℃〜60℃の温度範囲にわたって0.1よりも大
    きいtanδ、 (ii)0〜90の範囲のショアA硬度、 (iii)15%よりも小さい圧縮永久歪み及び (iv)30kg/cm2よりも小さい引張強さ が達成されるように調整すること を特徴とする熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】ポリオールが2〜6の範囲の官能性を有す
    る特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】ポリオールが2〜3の範囲の官能性を有す
    る特許請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】ポリオールが2,500〜4,000の範囲の分子量
    をもつ特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに
    記載の方法。
  5. 【請求項5】脂肪族一価第一級アルコールが炭素数1〜
    6のものである特許請求の範囲第1項ないし第4項のい
    ずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】ポリウレタン樹脂が−40℃〜60℃の温度範
    囲にわたって0.3よりも大きいtanδを有する特許請求の
    範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】ポリウレタン樹脂が0〜20の範囲のショア
    硬度を有する特許請求の範囲第1項ないし第6項のいず
    れかに記載の方法。
  8. 【請求項8】ポリウレタン樹脂が20kg/cm2よりも小さい
    引張強さを有する特許請求の範囲第1項ないし第7項の
    いずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】ポリウレタン樹脂が10%よりも小さい室温
    における圧縮永久歪みを有する特許請求の範囲第1項な
    いし第8項のいずれかに記載の方法。
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