JPH0692217A - ブレーキ制御方法 - Google Patents

ブレーキ制御方法

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JPH0692217A
JPH0692217A JP24506592A JP24506592A JPH0692217A JP H0692217 A JPH0692217 A JP H0692217A JP 24506592 A JP24506592 A JP 24506592A JP 24506592 A JP24506592 A JP 24506592A JP H0692217 A JPH0692217 A JP H0692217A
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braking
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修 鈴木
Takafuka Tanaka
敬深 田中
Tatsuo Hayashi
達生 林
Takushi Matto
卓志 松任
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ブレーキ圧を増加させる際、路面状況あるいは
制動状態に拘らず、良好な操縦フィーリングを確実に実
現できるブレーキ制御方法を提供することを目的とす
る。 【構成】本発明に係るブレーキ制御方法では、車輪速度
から推定車体速度を求め(ステップS3)、これに基づ
いてスリップ率を求め(ステップS5)、これによりア
ンチロック制動等を行うが、この際、車輪加減速度やス
リップ率に基づいて設定された目標クランク角、あるい
は推定車体速度から求められる車体減速度から路面状況
あるいは制動状態を推定し、これによって昇圧レートを
変更してブレーキ制御を行う(ステップS9〜S1
1)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンチロック制動から
通常制動に移行する場合等、ブレーキ圧を上昇させる
際、車体の制動状態および路面状態に基づいて、最適の
昇圧レートを設定し、この昇圧レートに基づいて制動力
を制御して車体の走行安定性を確保するとともに、最適
な制動力を確保するブレーキ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や自動二輪車等において、ブレー
キの制御を行うためにアンチロック制御用モジュレータ
を備えたブレーキ制御装置が使用されている。
【0003】例えば、自動二輪車に組み込まれるアンチ
ロック制御用モジュレータは、運転者のレバー操作、ペ
ダル操作により発生されるブレーキ作動指令を油圧力に
変換するマスタシリンダに連通する入力油圧室と、車輪
のブレーキディスクに制動力を発生させるキャリパシリ
ンダに連通する出力油圧室と、前記入力油圧室と出力油
圧室とを連通並びに遮断するカットバルブと、前記出力
油圧室側に配設されアンチロック制動時にカットバルブ
を閉弁させるとともに、出力油圧室の容積を増大させて
油圧力を減少させるエキスパンダピストンと、このエキ
スパンダピストンに当接し回転駆動源を介して回動自在
なクランク部材とを備えている。
【0004】この場合、上記のモジュレータでは、制動
時に車輪がロック状態になることを阻止するため、エキ
スパンダピストンを変位させて出力油圧室の容積を増大
させることにより、キャリパシリンダによる制動力(キ
ャリパ圧)を減圧させる。そして、ロック状態の危険性
が回避されると、エキスパンダピストンを変位させてカ
ットバルブを開弁させることにより、通常の制動が行わ
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術では、アンチロック制動から通常制動に移行す
る際、図13中、QR間の破線に示すように、キャリパ
圧Pcがマスタシリンダに発生するマスタ圧Pmに向か
って最大昇圧レートで急激に増圧してしまう。
【0006】また、車体制動中にアンチロック制動が行
われている際、車輪に対する路面摩擦係数の低い路面
(以下、低μ路という)から車輪に対する路面摩擦係数
の高い路面(以下、高μ路という)に移行した場合、先
ず、前輪が高μ路に移行し、車輪のグリップ力が増大し
てスリップ率が減少するため、ブレーキ圧を増加させる
制御が行われる。しかしながら、後輪は低μ路にあるた
め、前輪のキャリパ圧Pcを単純に最大昇圧レートで昇
圧すると、前後輪の制動力が大幅に異なるため、操縦フ
ィーリングが低下するというおそれがある。したがっ
て、後輪が高μ路に移行するまで、昇圧レートを所定の
値に抑制するのが望ましい。
【0007】そこで、特開昭49−15874号公報に
開示されているように、二系統のオリフィスを有する二
重構造カットバルブを備えたモジュレータが知られてい
るが、これも前記入力油圧室と前記出力油圧室の液圧差
で作動するため、昇圧レートが限定され、路面状況ある
いは制動状態に適する種々の昇圧レートを実現すること
ができないという問題が指摘されている。
【0008】本発明は、この種の問題を解決するために
なされたものであって、ブレーキ圧を増加させる際、路
面状況あるいは制動状態に拘らず、良好な操縦フィーリ
ングを確実に実現できるブレーキ制御方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、ブレーキレバーあるいはブレーキペダ
ル等の操作入力に対応してマスタシリンダからキャリパ
シリンダに圧力を伝達することにより、車輪に制動力を
付与する通常制動と、駆動手段を介して進退自在なエキ
スパンダピストンによりカットバルブを進退させ、前記
カットバルブを閉成することにより、キャリパシリンダ
とマスタシリンダを遮断し、前記キャリパシリンダに連
通する出力油圧室の容積を調整して制動力を制御するア
ンチロック制動とを行うブレーキ制御方法であって、前
記操作入力状態を検出する過程と、路面状態を検出する
過程と、前記操作入力状態と前記路面状態に基付いて、
アンチロック制動時の前記キャリパシリンダの圧力の昇
圧レートを設定する過程と、前記昇圧レートに従ってエ
キスパンダピストンを変位させてブレーキ圧を増加させ
る過程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明に係るブレーキ制御方法では、路面状態
と操作入力状態を検出し、これに基づいてキャリパシリ
ンダの最適な昇圧レートを設定し、この昇圧レートに従
ってエキスパンダピストンを変位させてブレーキ圧を増
加させるため、操縦フィーリング等が良好に確保され
る。
【0011】
【実施例】本発明に係るブレーキ制御方法について、好
適な実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細
に説明する。
【0012】図2において、参照符号10は自動二輪車
を示し、この自動二輪車10は、本体部12とハンドル
部14と前輪部16と後輪部18とを備える。
【0013】この自動二輪車10に、本実施例に係る制
御方法を実施するためのブレーキ制御装置20が配設さ
れる。図1に示すように、このブレーキ制御装置20
は、アンチロック制御用モジュレータ22を備え、この
モジュレータ22を構成する駆動手段としての直流モー
タ24にはピニオン26が軸着され、このピニオン26
にギヤ28が噛合する。ギヤ28は、クランク軸30に
軸支されており、このクランク軸30にはクランクアー
ム32を介してクランクピン34の一端部が偏心して連
結されており、このクランクピン34の他端部にはクラ
ンクアーム36を介してエキスパンダピストン(後述す
る)の位置を検出するためのポテンショメータ38が取
着される。
【0014】前記クランクピン34にカムベアリング4
0が回転自在に装着され、このカムベアリング40の下
端側は、スプリング収納部42に収納されたリターンス
プリング44の作用下に上限位置方向に常時押圧され
る。カムベアリング40の上端側にはエキスパンダピス
トン46が当接するとともに、このエキスパンダピスト
ン46は、カムベアリング40の上下動に伴って上下に
変位してカットバルブ機構80を作動させる。
【0015】このエキスパンダピストン46の上部に、
カットバルブ機構80を内蔵したカットバルブ収納部5
0が配設され、このカットバルブ収納部50の入力ポー
ト52には通路54を介してマスタシリンダ56が接続
される一方、カットバルブ収納部50の出力ポート58
には通路60を介して車輪制動用キャリパシリンダ62
が接続される。このマスタシリンダ56とキャリパシリ
ンダ62とは、通路54、モジュレータ22および通路
60を介して相互に接続され、かつ、この経路には油圧
用のオイルが充填される。マスタシリンダ56は、ブレ
ーキレバー64の作用下に油圧の調節を行い、カットバ
ルブ機構80を介してキャリパシリンダ62を駆動し、
前輪部16および後輪部18に配設されたディスクプレ
ート66にキャリパ圧Pc(制動力)を付与する。
【0016】ポテンショメータ38および直流モータ2
4は、モータコントローラ70に接続され、このモータ
コントローラ70は、コントロールユニット72に接続
される。このコントロールユニット72には、前輪部1
6および後輪部18の車輪速度を検出するための車輪速
度センサ74、76が接続されている。
【0017】前記カットバルブ機構80は、図3〜図5
に示すように、カットバルブ収納部50に入力ポート5
2から出力ポート58側に二段階で縮径する円筒形状の
連通孔90を画成し、前記連通孔90の2段階に縮径す
る部分をそれぞれ着座部94、92とする。前記連通孔
90には、球体であるカットバルブ96と、内部にオリ
フィス98が画成されているオリフィスバルブ100と
が挿入されている。前記カットバルブ96は、オリフィ
スバルブ100にコイルスプリング102を介して連結
され、前記コイルスプリング102の弾性力により下向
きに押圧され、着座部92に当接する。前記オリフィス
バルブ100は、入力ポート52の上面にコイルスプリ
ング104を介して連結され、前記コイルスプリング1
04の弾性力により下向きに押圧され、着座部94に着
座する。前記カットバルブ96は、エキスパンダピスト
ン46の凸状の先端部106が当接することにより変位
する。なお、コイルスプリング104は、コイルスプリ
ング102よりも弾性力が大きく設定してある。
【0018】したがって、前記カットバルブ機構80
は、直流モータ24を駆動してクランクピン34を偏位
させ、エキスパンダピストン46を上下動させることに
より、基本的に次の三状態に制御される。すなわち、図
3に示すように、エキスパンダピストン46が下降し、
カットバルブ96からエキスパンダピストン46の先端
部106が離間し、カットバルブ96が着座部92に着
座することにより入力ポート52と出力ポート58を遮
断する状態(以下、ABS状態という)、また、図4に
示すように、前記ABS状態よりもエキスパダピストン
46が上昇してカットバルブ96に当接し、前記カット
バルブ96を着座部92から離間させるが、前記カット
バルブ96がオリフィスバルブ100に当接せず、前記
オリフィスバルブ100が着座部94に着座した状態で
入力ポート52と出力ポート58をオリフィス98を介
して連通する状態(以下、オリフィス状態という)、さ
らに、図5に示すように、前記オリフィス状態よりもエ
キスパンダピストン46が上昇して、カットバルブ96
をオリフィスバルブ100に当接させて、オリフィスバ
ルブ100を着座部94から離間させて入力ポート52
と出力ポート58を連通する状態(以下、通常状態とい
う)である。なお、前記オリフィス状態では、カットバ
ルブ96が着座部92から離間することにより、コイル
スプリング102が圧縮され、前記コイルスプリング1
02の弾性力によりオリフィスバルブ100が上方に付
勢されるが、前記オリフィスバルブ100を下方に付勢
するコイルスプリング104がコイルスプリング102
の弾性力よりも大きく設定されているため、前記オリフ
ィスバルブ100が着座94から離間することはない。
【0019】したがって、直流モータ24の位置制御、
すなわち、エキスパンダピストン46の位置を制御する
ことにより、前記三状態を入力ポート52と出力ポート
58の液圧差によらず切り換えられる。
【0020】次に、このように構成されるブレーキ制御
装置20の動作について、本実施例に係るブレーキ制御
方法との関連で説明する。
【0021】通常制動時には、リターンスプリング44
の弾発力によってクランクピン34は予め設定された上
限位置に保持され、このクランクピン34に装着された
カムベアリング40がエキスパンダピストン46を押し
上げた状態で維持されている。これにより、カットバル
ブ48がエキスパンダピストン46によって押し上げら
れ、カットバルブ機構80が通常状態となり、入力ポー
ト52と出力ポート58とを連通させている(図5参
照)。
【0022】そして、ブレーキレバー64が把持される
ことによりマスタシリンダ56が付勢され、このマスタ
シリンダ56によって発生したブレーキ油圧は、通路5
4、入力ポート52、出力ポート58および通路60を
介してキャリパシリンダ62に伝達され、ディスクプレ
ート66に制動力がキャリパ圧Pcとして付与される。
【0023】一方、アンチロック制御時には、図6に示
すようなフローチャートに基づいて制御される。すなわ
ち、コントロールユニット72では、車輪速度センサ7
4、76からの出力信号に基づき、前後輪の車輪速度V
wを読み込むとともに、ポテンショメータ38からの出
力信号に基づき、クランクピン34の偏位角度(以下、
クランク角という)を読み込む(ステップS1、ステッ
プS2)。前記前後輪の車輪速度Vwの中、速度の高い
方を推定車体速度Vrとみなす、所謂、ハイセレクトを
行うことにより、推定車体速度Vrを求める(ステップ
S3)とともに、前記車輪速度Vwを微分して車輪加減
速度αを求める(ステップS4)。前記推定車体速度V
rおよび車輪速度Vwからスリップ率λを求める(ステ
ップS5)。さらに、前記推定車体速度Vrから車体減
速度βを求めている(ステップS6)。以上、求められ
た車輪加減速度α、スリップ率λよりアンチロック(A
BS)制御が必要であるかどうかの判定(イネーブル判
定)を行う(ステップS7)。ステップS7でアンチロ
ック制御が必要と判定された場合、前記車輪加減速度α
およびスリップ率λからテーブル等を使用してキャリパ
圧Pcの昇減圧量を求め、目標クランク角θTを設定す
る(ステップS8)。また、車体減速度βにより前記目
標クランク角θTの修正を行う(ステップS9)。ここ
で、前記車体減速度βおよびクランク角θ、目標クラン
ク角θT等に基づき制御状況を判別し、前記目標クラン
ク角θTの値から必要であると判定された場合のみブレ
ークスルー制御により目標角θTを再設定し(ステップ
S10)、前記目標クランク角θTとなるようにモータ
制御を行う(ステップS11)。なお、前記ブレークス
ルー制御とは、従来例で述べたブレークスルーを阻止す
べく、所定の昇圧レートでキャリパ圧を上昇させるため
の制御である。
【0024】また、ステップS9の車体減速度制御と
は、図7のフローチャートに示されるように、車体減速
度βが限界減速度GL 以上であるか否かを判定し(ステ
ップS15)、車体減速度βが限界減速度GL 以上であ
れば、前回のループの目標クランク角θTL が今回のル
ープの目標クランク角θT以上であるか否か、すなわ
ち、キャリパ圧Pcが昇圧方向であるか否かを判定する
(ステップS16)。昇圧方向であると判定された場合
には、それ以上車体減速度βを増加させて車体の安定性
を低下させないように、すなわち、キャリパ圧Pcを増
加させないように今回のループの目標クランク角θTを
前回のループの目標クランク角θTL に再設定するもの
である(ステップS17)。
【0025】ここで、ステップS10のブレークスルー
制御を図8のフローチャートを参照して詳細に説明す
る。先ず、ポテンショメータ38によって検出されたク
ランク角θが所定角度A以上であるか否かを判定する
(ステップS20)。ここで、所定角度Aとは、図3の
状態から、オリフィスバルブ100がエキスパンダピス
トン46の先端部106により変位されるカットバルブ
96に当接され、着座部94から離間する際のクランク
角である。なお、クランク角は、エキスパンダピストン
46の上限位置に相当するクランクピン34の偏位角度
を0°とし、下限方向を正に設定している。すなわち、
前記所定角度Aよりも小さいということは、前記カット
バルブ機構80がすでに通常状態であり、ブレークスル
ー制御の対象ではないということなる。したがって、所
定角度A以上の場合のみ以下の状況判別を行う。
【0026】続いて、車体減速度βが0.5G以上であ
るか否かを判定する(ステップS21)。これは、通
常、アスファルト路面がドライである場合等の高μ路で
は制動時に0.5G以上となっていることから、車体減
速度βが0.5G以上であれば高μ路であると判定して
いる。
【0027】車体減速度βが0.5G未満である場合に
は、さらに、車体減速度βが0.2G以下であるか否か
を判定する(ステップS22)。これは、通常、アスフ
ァルト路面がウェットである場合等の路面摩擦係数が低
い路面(以下、低μ路という)、あるいは、短時間にブ
レーキ入力を繰り返す状態(以下、繰り返し入力)では
制動時に0.2G以下となっていることから、車体減速
度βが0.2G以下であれば低μ路あるいは繰り返し入
力であると判定している。
【0028】車体減速度βが0.2G以下であると判定
された場合には、フラグを立てる(ステップS23)。
さらに、目標クランク角θTが所定角度B以下であるか
否かを判定する(ステップS24)。すなわち、低μ路
であれば、キャリパ圧Pcの減圧量が増大されるため、
目標クランク角θTが大きく、繰り返し入力ではこれに
比して目標クランク角θTが小さい。そこで、この低μ
路と繰り返し入力の閾値として所定角度Bを設定する。
【0029】目標クランク角θTが所定角度B以下であ
れば、繰り返し入力であると判定し、後述する繰り返し
入力のブレークスルー処理を行う(ステップS25)。
さらに、フラグをクリアする(ステップS26)。
【0030】一方、ステップS21において、車体減速
度βが0.5G以上、すなわち、高μ路であると判定さ
れた場合、フラグが立っているか否かを判定する(ステ
ップS27)。フラグが立っている場合には、前回のル
ープでステップS22およびステップS24において低
μ路であると判定され、今回のループで高μ路であると
判定されたことになる。すなわち、車輪が低μ路から高
μ路に移行した(以下、μジャンプ)と判定し、目標ク
ランク角度θTが所定角度C以下であるか否かを判定す
る(ステップS28)。ここで、所定角度Cは、この角
度以下に目標クランク角θTが設定してあるとブレーク
スルーになる角度である。
【0031】目標クランク角θTが所定角度C以下の場
合には、後述するμジャンプのブレークスルー処理を行
う(ステップS29)。さらに、フラグをクリアする
(ステップS30)。
【0032】また、前記ステップS27において、フラ
グが立っていない場合には、高μ路であると判定して、
目標クランク角θTが所定角度D以下であるか否かを判
定する(ステップS31)。ここで、所定角度Dは、こ
の角度以下に目標クランク角θTが設定してあるとブレ
ークスルーになる角度である。
【0033】目標クランク角θTが所定角度D以下の場
合には、後述する高μ路のブレークスルー処理を行う
(ステップS32)。
【0034】このようにして、高μ路、μジャンプ、繰
り返し入力の状態を検出し、それぞれに対応するブレー
クスルー制御を次のように行う。
【0035】まず、高μ路のブレークスルー制御につい
て、図9に示す制御結果に基づいて説明する。すなわ
ち、ライダーのブレーキ操作に基づき、マスタシリンダ
56から通常状態であるカットバルブ機構80を介して
キャリパシリンダ62にブレーキ圧が伝達される。した
がって、マスタシリンダ56の圧力(以下、マスタ圧P
mという)の上昇にキャリパ圧Pcを追従させる。した
がって、車輪が制動されることにより、車輪速度Vwが
推定車体速度Vrから離間してスリップ率λが増大し、
アンチロック制動に入る。すなわち、カットバルブ機構
80をABS状態にし、モータコントローラ70により
直流モータ24を駆動し、目標クランク角θTとなるよ
うにクランクピン34を偏位させ、エキスパンダピスト
ン46を上下動させて出力ポート58の容積を増減させ
ることにより、キャリパ圧Pcを所定の圧力値P1以下
に制御する(図9参照)。このアンチロック制動によ
り、車輪速度Vwが推定車体速度Vr近傍まで復帰する
ことにより、アンチロック制動から通常制動に切り換わ
る場合には、キャリパ圧Pcは、所定の圧力値P1まで
マスタ圧Pmに追従させた(図9参照)後、その圧力
値P1から限界圧力値P2まで設定されたレートで緩や
かに昇圧する(図9参照)。限界圧力値P2まで達し
たキャリパ圧Pcは、その圧力を保持される(図9参
照)。
【0036】ここで、所定の圧力値P1から限界圧力値
P2まで設定されたレートで緩やかに昇圧するのは、車
体減速度βがノイズ成分を除去するために数十〜数回前
の演算ループで検出された推定車体速度Vrと今回の演
算ループで検出された推定車体速度Vrの差に基づいて
演算されているため、実際の車体減速度と差を生じてお
り、昇圧レートが高いと、キャリパ圧Pcが前記限界圧
力値P2を越える前に車体減速度の上昇を感知できず、
すなわち、車体減速度制御(ステップS15〜S17)
に移行できないため、後輪接地荷重が低下して車体の走
行安定性を損なうおそれがあるためである。
【0037】次に、μジャンプのブレークスルー制御に
ついて、図10に示す制御結果に基づいて説明する。す
なわち、ライダーのブレーキ操作に基づき、マスタシリ
ンダ56から通常状態であるカットバルブ機構80を介
してキャリパシリンダ62にブレーキ圧が伝達される。
したがって、マスタ圧Pmの上昇にキャリパ圧Pcを追
従させる(図10参照)。しかし、低μ路であるた
め、車輪速度Vwは素早く低下し、スリップ率λが増大
するため、カットバルブ機構80をABS状態にし、さ
らにエキスパンダピストン46を下降させて出力ポート
58の容積を増加させることにより、車輪速度Vwを推
定車体速度Vr近傍に復帰させ、以下、前記エキスパン
ダピストン46をABS状態で上下動させて出力ポート
58の容積を変化させて所定スリップ率以内に制御する
(図10参照)。t3の時点において、車輪が低μ路
から高μ路に移行すると、車輪のグリップ力が増大し、
推定車体速度Vrと車輪速度Vwがほぼ同一になり、ス
リップ率が低下して、ABS制動から通常制動に移行す
る。したがって、キャリパ圧Pcは、マスタ圧Pmを追
従して上昇するが、前輪の場合、通常制動までの移行時
間Δt1(t3〜t4)が設定時間の範囲内、好適に
は、0.1s〜0.3sになるように昇圧レートを設定
する(図10参照)。これは、μジャンプの場合、前
輪が高μ路に移行してから、後輪が高μ路に移行するま
での時間差があり、この間に前輪を通常制動し、後輪を
アンチロック制動とすると、前後輪の制動力の差が大き
くなり、操縦フィーリングが低下するおそれがあるから
である。
【0038】最後に繰り返し入力のブレークスルー制御
について、図11を参照して説明する。すなわち、ライ
ダーがブレーキ操作を繰り返して行う場合には、先ず、
一回目のブレーキ入力(I部参照)においては、通常制
動により、マスタ圧Pmに追従してキャリパ圧Pcを上
昇させる(図11参照)。車輪速度Vwの低下に基づ
いてスリップ率λが増大してABS制動に切り換える。
すなわち、所定のキャリパ圧以下に制御される(図11
参照)。さらに、ブレーキ入力の減少、すなわち、マ
スタ圧Pmの減少に伴ってキャリパ圧Pcも減少する
(図11参照)。
【0039】この後、一定時間内に再びブレーキ入力
(II部参照)があった場合には、キャリパ圧Pcがマス
タ圧Pm(ブレーキ入力)に比例することが肝要であ
る。すなわち、ライダーは、自らの操作量を実際の車体
減速度βで体感することにより、微妙なブレーキングを
行いたいからである。したがって、ブレーキ操作時t5
から一定時間後のt6までの所定の時間Δt2で、車体
減速度βを体感できる所定の圧力値までキャリパ圧Pc
を昇圧するように昇圧レートを設定する(図10参
照)。前記時間Δt2は、好適には0.3ms以下であ
る。
【0040】このようにして、設定された昇圧レートに
応じて、キャリパ圧Pcを増加させて制御する(図9
、図10、図11参照)。例えば、図12に示す
ように、カットバルブ96にエキスパンダピストン46
の先端部106が当接するクランク角Eおよび前記カッ
トバルブ96がオリフィスバルブ100に当接するクラ
ンク角Fに対して、目標クランク角θTをカットバルブ
機構80がオリフィス状態となるクランク角GとABS
状態になるクランク角H、Iに設定し、これに基づい
て、モータコントローラ70により直流モータ24が駆
動される。したがって、クランクピン34は、前記目標
クランク角θTに基づいて偏位し、これによってエキス
パンダピストン46が上下動し、カットバルブ96を着
座部92に対して着座、離間を繰り返させる。したがっ
て、カットバルブ機構80は、オリフィス状態の時に、
オリフィス98を介して入力ポート52から出力ポート
58にマスタ圧Pmを伝達して、図13に示すような昇
圧レートでキャリパ圧Pcを上昇させる。この昇圧レー
トは、目標パターンを適宜変更することにより、所望の
昇圧レートに設定できる。
【0041】このように、本実施例においては、路面状
況を車体減速度βから推定し、また、ブレーキ操作状況
をクランク角θおよび目標クランク角θTから検出して
おり、この路面状況およびブレーキ操作状況に応じてア
ンチロック制御から通常制動に移行する際のキャリパ圧
Pcの昇圧レートを設定し、この昇圧レートに対応する
ように、オリフィス状態とABS状態に対応する目標ク
ランク角度θTを所定のパターンで設定し、これに基づ
いて直流モータ24を駆動する。したがって、路面状況
およびブレーキ操作状況に応じた昇圧レートで車体が制
動されるため、操縦フィーリング等が向上する。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るブレーキ制御方法によれ
ば、以下の効果が得られる。
【0043】すなわち、路面状態と操作入力状態を検出
し、これに基づいてキャリパシリンダの最適な昇圧レー
トを設定し、この昇圧レートに従ってエキスパンダピス
トンを変位させてブレーキ圧を増加させるため、操縦フ
ィーリング等が良好に確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレーキ制御方法を実施するブレ
ーキ制御装置の概略全体構成図である。
【図2】前記ブレーキ制御装置を搭載する自動二輪車の
側面説明図である。
【図3】前記ブレーキ制御装置のカットバルブ機構の作
動状態説明図である。
【図4】前記ブレーキ制御装置のカットバルブ機構の作
動状態説明図である。
【図5】前記ブレーキ制御装置のカットバルブ機構の作
動状態説明図である。
【図6】本発明に係るブレーキ制御方法の全体制御フロ
ーチャートである。
【図7】本発明に係るブレーキ制御方法における車体減
速度制御を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るブレーキ制御方法におけるブレー
クスルー制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るブレーキ制御方法において高μ路
における制御結果を示す図である。
【図10】本発明に係るブレーキ制御方法においてμジ
ャンプの場合の制御結果を示す図である。
【図11】本発明に係るブレーキ制御方法において繰り
返し入力の制御結果を示す図である。
【図12】本発明に係るブレーキ制御方法における目標
クランク角の設定を示す図である。
【図13】図12の目標クランク角によって制御された
キャリパ圧の昇圧レートを示す図である。
【図14】従来例に係るブレーキ制御方法におけるブレ
ークスルー説明図である。
【符号の説明】
10…自動二輪車 16…前輪部 18…後輪部 22…モジュレータ 24…直流モータ 34…クランクピン 46…エキスパンダピストン 52…入力ポート 56…マスタシリンダ 58…出力ポート 62…キャリパシリンダ 70…モータコントローラ 72…コントロールユニット 80…カットバルブ機構 92、94…着座部 96…カットバルブ 98…オリフィス 100…オリフィスバルブ 102、104…コイルスプリング 106…先端部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松任 卓志 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキレバーあるいはブレーキペダル等
    の操作入力に対応してマスタシリンダからキャリパシリ
    ンダに圧力を伝達することにより、車輪に制動力を付与
    する通常制動と、駆動手段を介して進退自在なエキスパ
    ンダピストンによりカットバルブを進退させ、前記カッ
    トバルブを閉成することにより、キャリパシリンダとマ
    スタシリンダを遮断し、前記キャリパシリンダに連通す
    る出力油圧室の容積を調整して制動力を制御するアンチ
    ロック制動とを行うブレーキ制御方法であって、 前記操作入力状態を検出する過程と、 路面状態を検出する過程と、 前記操作入力状態と前記路面状態に基付いて、アンチロ
    ック制動時の前記キャリパシリンダの圧力の昇圧レート
    を設定する過程と、 前記昇圧レートに従ってエキスパンダピストンを変位さ
    せてブレーキ圧を増加させる過程と、 を備えることを特徴とするブレーキ制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のブレーキ制御方法におい
    て、路面状態を検出する過程は、車体加減速度から路面
    状態を推定する過程であることを特徴するブレーキ制御
    方法。
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