JPH0689488B2 - 紡績用回転リング - Google Patents

紡績用回転リング

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JPH0689488B2
JPH0689488B2 JP1122024A JP12202489A JPH0689488B2 JP H0689488 B2 JPH0689488 B2 JP H0689488B2 JP 1122024 A JP1122024 A JP 1122024A JP 12202489 A JP12202489 A JP 12202489A JP H0689488 B2 JPH0689488 B2 JP H0689488B2
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spinning
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brake shoe
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博史 山口
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博史 山口
木村 弘
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トラベラーの回転による摺動摩擦をトルクと
してリング回転体が回転する消極回転式の紡績用回転リ
ングに関し、特にそのブレーキ機構に関する。
〔従来の技術及びその課題〕
従来より、ホルダーによって軸承部を介し回転自在に支
持されるリング回転体を有し、このリング回転体がトラ
ベラーの回転による摺動摩擦力をトルクとして回転する
ように構成された紡績用回転リングは、特公昭54−1593
4号公報などにより公知である。
また、このような機構の消極回転リングについて、機台
停止時のリングオーバーランを防止するための公知の機
構として、リング回転体に翼や突起を設け、空気又は液
体などの流体抵抗によりリング回転体の回転を抑制する
回転制御機構、又はレバーなどの機構を介して機械的に
リング回転体に挟圧摩擦を加え、リング回転体の惰性回
転を防止するようにしたブレーキ機構がある。
これらの機構の内、リング回転体に空気摩擦翼を設けて
リング回転を制御する機構は、リング回転が高速化して
惰性回転力が大きくなれば、リングのオーバーラン防止
は困難となる。また、リング回転体の下端に翼又は突起
を突出させ、機台停止時に油槽などを持ち上げ、液体の
抵抗によりリング回転体に制動をかける機構や、リング
レールの裏面にリング回転体の下端を突出させその突出
部にレバーなどを介して直接的に挾圧摩擦を加えるブレ
ーキ機構は、いずれも全機台のリング回転を一斉に同時
停止させようとするものであるが、機台一斉停止時以外
の紡糸工程中に於て、リング個々別の損傷差やトラベラ
ー摩耗の個別差による焼損、喰込み、コッピングモーシ
ョンによるストレッチ長さの変化、チェース間リングレ
ールの昇降時などのショックやトラベラーの変速回転に
より瞬間的紡糸張力変動を受けた場合、空気軸受又はス
ラスト軸受では、吊上け張力により、瞬間的ともいえる
短時間にJカーブを描いてトラベラーと同速化し、チェ
ース間トラベラーの最高回転数と同期することを本発明
者は経験により解明している。
この場合、リング回転は、惰性によりトラベラーのチェ
ース間変速に対応して変速し得ないため、トラベラー回
転に対し、オーバーランと同速回転を反復するので、バ
ルーン張力に激しい異状変動が生じる。しかし、リング
回転を制御する公知のブレーキ方法は、上述の如く主と
して満管停止時のリング惰性回転によるオーバーラン防
止目的の一斉制動方式の強制ブレーキか、又は本発明者
が先に提案した特願昭62-134382号及び特公昭54-15934
号に見られる接触ブレーキ方式であったが、今日の精紡
機がスピンドル回転2万〜2万5千RPMの高速紡出が可
能となり、それに対応するためインバータその他による
スピンドル回転の自動制御は可能であっても、トラベラ
ーのトルクによる回転する機構の消極回転リングを使用
する限り、機台停止時全錘一斉制動方式では、紡出中の
個々錘のリング回転を減変速制御することはできない。
このため、上述のごとく、トラベラーのチェース間最高
回転数とリング回転数が同期化した錘で生じる急激な張
力変動の反復により、特に合繊純糸や高級品種、細番手
紡出では、毛羽発生、シゴキネップ、弱糸など糸質低下
を招来する問題が生じる。
また先に提案した直接接触式摩擦ブレーキは、個々錘リ
ングの高速化及びトラベラーと同期回転することを防止
する効果は充分であるが、ブレーキシューが固定ホルダ
ーの接触面に同時に前面接触すると、そのブレーキシュ
ーの材質、硬度弾性、空隙寸法の設定などの固有特性に
より、摩擦トルクの総和の一定化と共にリング最高回転
数もブレーキ特性により常に一定化する。その結果、更
にスピンドル回転上昇によるトラベラーの摩擦トルクが
増加しても、ブレーキシューのブレーキトルクの方が遥
かに大きいため、リング回転はトラベラートルクに追従
して増速することなく同一回転数を維持するため、スピ
ンドル回転の上昇曲線との乖離は次第に大きくなり、紡
糸張力の増大をもたらし、限界紡糸張力に達した時点
で、スピンドル回転上昇限界となる。
その結果、摩擦ブレーキ作動点をスピンドル回転の高速
化に合せて、リング回転数上限を引上げるようブレーキ
機構固有特性の設定を行えば、例えば、スピンドル最高
回転数を2万RPMとして、リング最高回転数がその60%
の1万2千RPMとなるようブレーキシューの設定を行え
ば、停台減速時には、リングの惰性回転による停止時間
がスピンドル停止時間より長くなって、オーバーランに
起因するスナール発生量が大きくなる危険性があるの
で、リング回転の惰性を減殺しながら、例えばリング回
転を6千〜5千RPMにまで低下させてから停台するよ
う、スピンドル減速曲線を長くとる必要が生じる。
このため、リング回転限界を7千〜6千RPMに止めるブ
レーキ機構に設定する必要が生じ、精度紡機の高速化性
能を制約又は減殺する結果となっていた。
本発明は、上述の問題に鑑み、リング回転体の軸承部が
空気軸受化することなどによって生ずる過度の高速化、
特にトラベラー回転の最高回転との同期化を抑えるとと
もに、停台時のオーバーランを防止し且つリング回転数
の変化曲線がスピンドル回転数変化曲線に対して極端な
乖離を生じない回転差を維持しうるよう、個々錘リング
の最高回転数を高めることが可能な紡績用回転リングを
提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係る回転リングは、上述の課題を解決するた
め、ホルダーと、該ホルダーによって軸承部を介し回転
自在に支持されるリング回転体とを有してなる紡績用回
転リングであり、前記リング回転体の下端部には、外方
下方へ開いた傾斜部を有し、前記リング回転体の回転時
の遠心力によって変形して前記ホルダーの下端面の摺接
面と接触する弾性体からなる環状のブレーキシューが設
けられており、前記ブレーキシューの傾斜部は、周方向
に波打った波形に形成されてなる。
〔作用〕
リング回転体の回転にともなってブレーキシューも回転
し、この回転による遠心力によって、ブレーキシューは
外方下方へ開いた傾斜部が持ち上がるように変形する。
このとき、傾斜部が周方向に波打った波形であると、波
形が偏平に近づくように変形することから周長が伸長し
易く、傾斜部は遠心力の増大に応じて円滑に持ち上が
る。
回転速度がある速度に達すると、傾斜部がホルダーなど
の固定摺接部と接触し、その接触圧力によってリング回
転体を引き下げる力が働き、その結果、軸承部及びブレ
ーキシューの接触面において摩擦によるフレーキ力が発
生し、リング回転体の過度の高速回転が防止される。ブ
レーキ力は回転数に応じて増大または減少する。
〔実施例〕
第1図は紡績用回転リングの構造の一例を示す断面正面
図である。
第1図の紡績用回転リング1は、ホルダー11、及び、軸
承部12を介しホルダー11によって回転自在に支持された
リング回転体13とから構成されている。
リング回転体13は、トラベラー14が摺動回転可能なフラ
ンジローター21、フランジローター21の内周面下部に螺
子込まれて一体化された下部ローター22、緩み止め用の
皿バネ23、下部ローター22の内周面下部に嵌入されたブ
レーキシュー24、ブレーキシュー24を下部ローター22に
固定するための押さえリング25、及び、ダストカバー20
から構成されている。
軸承部12は、ホルダー11の内周面に形成されたV溝31、
フランジローター21と下部ローター22とによってリング
回転体13の外周面に形成されたV溝32、これらのV溝3
1,32の間に嵌まりこんだ多数の硬球33,33…、及び、こ
れら硬球33が互いに一定の間隔を保持するように装着さ
れた円筒状のリテーナ34からなっている。なお硬球33
は、無給油軸受機能を有する高硬度樹脂(例えばポリイ
ミド、ポリアミドイミドなど)、セラミック、カーボン
球、MOS2コーティング鋼球などからなる。
ホルダー11は、リングレール41の取りつけ穴42に嵌入し
た後、取りつけ周溝43にストップリング44が嵌め込まれ
て固定されている。ホルダー11の下端面には、その断面
形状が下方に凸となった円弧状の摺接部45が形成されて
いる。ブレーキシュー24は、合成ゴム又は合成樹脂など
の軟弾性体を材料とし、垂直部51、傾斜部52、及び、こ
れらを接続する屈曲部53からなっている。
垂直部51は、ほぼ円筒状であり、外周面に多数の突起筋
51aが設けられ、下部スーター22の内周面に嵌まり込む
とともに、下部ローター22の内周面に設けられた多数の
係合溝22aに突起筋51aが係合し、且つ、垂直部51の内周
面に円筒状押さえリング25が嵌まり込んでいる。この円
筒状押さえリング25の外周と下部ロータ22の内周面によ
ってブレーキシュー24の垂直部51は挟弾圧を受け、下部
ローター22に対して抜けないよう圧入固定されている。
屈曲部53は、断面が中心側に向かって括れた円弧状に形
成されており、傾斜部52がその遠心力で外方上方へ容易
に変形可能な弾性屈曲部を構成している。
傾斜部52は、リング回転体13が回転せずに停止している
とき、すなわちその自由状態にあるときは、外方斜め下
方へ開いた状態であり、その表面と水平面との間の角度
αは45±15度程度である。リング回転体13が回転する
と、ブレーキシュー24も一体的に回転し、傾斜部52はそ
の遠心力によって屈曲部53を中心として扇面状に周縁部
が開き、分力により水平化しようとして上方へ持ち上が
るように弾性変形する。傾斜部52の変形量は、リング回
転体13の回転数上昇に応じて大きくなる。
回転数がある値まで上昇すると、第1図の鎖線で示すよ
うに、まず、傾斜部52の中央部分の表面が摺接部45に接
触し、回転数がさらに上昇すると、傾斜部52は摺接部45
に沿って接触面積が増大するように変形し、傾斜部52の
外周近い部分の表面も接触する。したがって、リング回
転体13の回転数に応じて、ブレーキシュー24によるブレ
ーキ力が増大する。
次に、上述のように構成された紡績用回転リング1の作
用についてさらに詳しく説明する。
スピンドルの回転によってトラベラー14が回転し、トラ
ベラー14との摺動摩擦力をトルクとして回転体13が回転
する。
リング回転体13の回転によって、ブレーキシュー24も同
様に回転し、その遠心力作用によって、下方テーパー状
に開いた傾斜部52は、回転数がある設定速度に達する
と、ブレーキシュー24の弾性に抗して伸長変形し、屈曲
部53を中心として次第に持ち上り、水平化しようとして
摺接部45に接触する。
この接触摩擦抵抗力と、ブレーキシュー24の傾斜部52の
持ち上り水平化による上方接触圧に対応して、リング回
転体13への引下げ力が働き、硬球33を介して軸承部12と
ブレーキシュー24の傾斜部52の表面との双方で、ホルダ
ー11を上下から挾む形の摩擦圧力が生じる。この摩擦圧
力がリング回転体13の回転トルクに抑圧を与えるととも
に摩擦ブレーキ力を作用させ、挟圧と摩擦ブレーキ力に
よってリング回転体13の回転数を設定限度内に制動し、
リング回転体13がトラベラー14と同速化すること、及び
過度に高速化することを防止する。
このとき、摺接部45が円弧状であるので、ブレーキシュ
ー24の弾性変化率が高まり、ブレーキシユー24が遠心力
作用により持ち上って摺接部45に接触する場合に、リン
グ回転体13の回転数が5千〜6千RPMの中高速域では、
ブレーキシュー24(傾斜部52)を持ち上げる遠心力の分
力及びこれによって生じるブレーキシュー24の弾性変形
量が小さく、そのため、摺接部45との接触も線接触又は
点接触であって接触面積も小さく、したがって接触摩擦
圧も低く、摩擦抵抗の総和も小さい。つまり、そうなる
ようにブレーキシュー24の形状、材質、硬化弾性値が設
定されている。
ブレーキシュー24の接触摩擦抵抗を越えて更にスピンド
ルの回転上昇によりリング回転体13の回転トルクが上昇
増加するにともない、ブレーキシュー24の傾斜部52は遠
心力増大による変性変形を増して更に持ち上り、摺接部
45との接触圧力の増加につれてブレーキシュー24の受け
る摩擦抵抗も増加し、リング回転体13の回転数は最初の
接触時より20〜30%程度増加し、7千〜1万RPM程度ま
で引上げられて回転数の限界に達するように設定されて
いる。
したがって、ブレーキシュー24が接触し始めて、リング
回転体13の回転に制動を加え始めてから、リング回転体
13の回転数が上昇限界に達するまで、スピンドルの回転
上昇にともなうリング回転体13の回転の追従上昇効果を
生じる。
これらの条件設定は、紡出糸の品種、番手、紡出スピン
ドル回転範囲、仕掛けトラベラー、リング径、リフト、
その他紡糸条件及び機台性能により異るが、概ね、細・
中番手用及び太番手用に大別され、さらに機台条件によ
り、最高回転数が2万RPM以下の準高速用と、最高回転
数が2万〜2万5千RPMの最新高速精紡機用が、この紡
績用回転リング1の対象と考えられる処から、上述のブ
レーキシュー24の条件設定も数種類の小範囲に限定が可
能である。
第2図は紡績用回転リングの構造の他の例を示す断面正
面図である。
第2図において、第1図の紡績用回転リング1と同様の
作用を有する部材には同一の符号を付して説明を省略す
る。
軸承部12は、ホルダー11の内周面及びリング回転体13の
外周面に形成されたV溝31,32と、これらのV溝31,32の
間に微小な間隙を有して嵌めこんだ環状のスライドリン
グ35とから構成されている。
下部ローター22に弾性嵌入して固定されたブレーキシュ
ー26の傾斜部54は、その断面形状が斜め外方上方に向か
って凸となる円弧状を呈している。また、ホルダー11の
下端面に形成された摺接部46は、円弧状ではなく直線テ
ーパー状となっており、摺接部46と水平面との間に角度
βが設けられている。したがって、傾斜部54と摺接部46
との間の角度θは、自由状態での傾斜部54の表面と水平
面との間の角度αから角度βを差し引いた値となってい
る。
この紡績用回転リング2では、リング回転体13の回転上
昇にともない、遠心力によって傾斜部54が持ち上がるよ
うに変形するが、そのときに、まず、第2図の二点鎖線
で示すように、傾斜部54の内周に近い部分が先に摺接部
46に接触し、リング回転体13の回転数がさらに上昇する
ことによって、傾斜部54が摺接部46の表面に沿って変形
してこれらの接触面積が次第に増大し、やがて、一点鎖
線で示すように、傾斜部54の表面が摺接部46の全面に接
触するようになる。
この紡績用回転リング2の場合でも、リング回転体13の
回転数に応じてブレーキシュー26によるブレーキ力が増
大する。
第3図は本発明に係る紡績用回転リング3の断面正面
図、第4図は第3図の紡績用回転リング3のブレーキシ
ュー27の作用正面図である。
第3図において、第1図の紡績用回転リング1と同様の
作用を有する部材には同一の符号を付してある。
紡績用回転リング3は、ホルダー11、及び、軸承部12を
介してホルダー11によって回転自在に支持されたリング
回転体13とから構成されている。
リング回転体13は、トラベラー14が摺動回転可能なフラ
ンジローター21、フランジローター21と一体化された下
部ローター22、下部ローター22の内周面下部に嵌入され
た環状のブレーキシュー27、ブレーキシュー27を下部ロ
ーター22に固定するための押さえリング25、及び、ダス
トカバー20から構成されている。
軸承部12は、ホルダー11の内周面に形成されたV溝31、
リング回転体13の外周面に設けられた凹溝36、これらV
溝31と凹溝36の間に微小な間隙を有して装着されたスラ
イドリング37から構成されている。
ブレーキシュー27は、合成ゴム又は合成樹脂などの軟弾
性体を材料として、垂直部51、環状の傾斜部55、及び、
これらを接続する屈曲部53からなっている。
垂直部51は、ほぼ円筒状であり、押さえリング25の外周
と下部ロータ22の内周面によってブレーキシュー24の垂
直部51は挟弾圧を受け、下部ローター22に対して抜けな
いよう圧入固定されている。
屈曲部53は、断面が中心側に向かって括れた円弧状に形
成されており、傾斜部52がその遠心力で外方上方へ容易
に変形可能な弾性屈曲部を構成している。
傾斜部55は、リング回転体13が回転せずに停止している
とき、すなわちその自由状態にあるときは、外方斜め下
方へ開いた状態となり、その表面と水平面との間の角度
αは45±15度程度である。また、傾斜部55は、周方向に
波打った波形を呈している。リング回転体13が回転する
と、ブレーキシュー27も一体的に回転し、傾斜部55はそ
の遠心力によって扇面状に周縁部が開き、上方分力によ
り水平化しようとして屈曲部53を中心として上方へ持ち
上げるように弾性変形する。傾斜部52の変形量は、リン
グ回転体13の回転数上昇に応じて大きくなる。
第4図の左半分は自由状態での傾斜部55を示し、右半分
は摺接部45に接触した状態での傾斜部55を示している。
この紡績用回転リング3では、リング回転体13の回転上
昇にともない、遠心力によって傾斜部55が持ち上がり、
傾斜部55の波上部55aと波下部55bとの距離が小さくなる
ように変形するが、そのときに、第3図の鎖線で示すよ
うに、まず、傾斜部55の波上部55aの中央部が先に摺接
部45に接触し、リング回転体13の回転数がさらに上昇す
ることによって、傾斜部55の波上部55aが摺接部45に押
し付けられて若干拡がるとともに、その外周部に近い部
分も摺接部45に接触するようになる。
この紡績用回転リング3の場合でも、リング回転体13の
回転数に応じてブレーキシュー27によるブレーキ力が増
大する。また、この紡績用回転リング3では、傾斜部55
が波形であるから、傾斜部55が拡がり易く、遠心力によ
って持ち上がり易い。さらに、最初に波上部55aが摺接
部45に接触した後、回転数の増大につれて波形が偏平に
近づき接触面積が増大する状態、すなわち傾斜部55が周
方向に延びきる以前の状態では、紡糸張力の変動による
リング回転体の上下移動の衝撃が傾斜部55によって吸収
される。
上述の回転リング1,2,3においては、リング回転体13の
回転数がある一定の値に達するとブレーキ力が作用する
ので、消極回転リングの最大の特徴である紡糸張力コン
トロール作用が損なわれることなく、毛羽発生、シゴキ
ネップ、その他糸質の低下の招来が防止される。また、
リング回転体13の過度の高速回転が防止されることによ
って、その慣性による惰性回転が抑制され、これによっ
て、機台の停止時においてスピンドルが停止する以前に
リング回転体13の回転が停止し、リング回転体13のオー
バーランによるスナールの発生が防止される。
しかも、リング回転体13の回転数の上昇にともない、ブ
レーキシュー24,26,27の傾斜部52,54,55が弾性変形によ
り次第に持ち上り、まず摺接部45,46と最小面積の点接
触又は線接触して、トラベラー14によるトルクよりもブ
レーキシュー24,26,27による摩擦抵抗の方が低い状態と
し、リング回転体13の回転がさらに上昇すると、傾斜部
52,54,55はさらに持ち上って接触圧が高まり、接触摩擦
抵抗が増大してトラベラー14によるリング回転トルクと
バラスンし、リング回転体13の回転上昇は頭打ちとな
り、同一回転を維持するに至る。
この様に、ブレーキシュー24,26,27の接触当初からリン
グ回転上昇が頭打ちするまで、少なくとも千〜3千RPM
のリング回転上昇が可能となる。
その結果、スピンドル回転に介する標準的なリング回転
差を1万3千〜1万4千RPMとし、ブレーキ接触当初の
リング回転数を6千〜7千RPMとすると、リング回転数
の上限は7千〜1万RPMとなるから、スピンドル回転上
昇限度は、2万〜2万4千RPMとなり、固定式の紡績用
リングに対する紡糸速度は30〜50%上昇する。
また、上述の回転リング1,2,3では、リング回転の最高
を設定したブレーキを採用することが出来るので、トラ
ベラー回転と同速化したり、過度の高速回転をすること
がないので、軸承部12を転り軸受やエアー支承軸受など
の複雑な機構や他の動力を要せず、耐摩耗性ハイ・エン
プラによる摺動摩擦軸承を使用して長期の使用に耐える
ので、構造簡単廉価であり、精紡機を大幅に改造するこ
となく従来の精紡機にリング単体で取り替えて使用する
ことが可能である。
上述の実施例によると、個々錘リングの対トラベラー同
速化防止、及びリング最高回転限度の引き上げが可能と
なり、機台全錘一斉にリング回転体13の回転の制動を行
う停止方法では解決しなかった紡糸工程中のチェース間
トラベラー最高回転にリング回転が同期することによる
紡糸張力の異状変動を未然に防止し、トラベラー回転と
適正回転差を維持するよう個々錘リングの最高回転を制
御することができる。しかも、リング回転体13の回転及
びブレーキ作動に対して別個の動力源を必要とせず、リ
ング回転体13の回転に要するエネルギーは、トラベラー
14の摩耗、焼損のエネルギーを転換することにより、ト
ラベラーの焼損を減じて、トラベラー14の取替え周期を
2〜3倍に延長し得る。そして、トラベラー14の微振動
と紡糸のシゴキをリング回転エネルギーに転換する結
果、紡糸の毛羽は綿中番手で3分の1乃至5分の1に減
少する。
なお、上述の紡績用回転リング1,2,3は、構造が簡単で
あり且つ安価に製作でき、しかも高額な機台改造も必要
なく、経済効率が極めて高いものである。
上述の実施例において、垂直部51、傾斜部55、及び屈曲
部53を合成樹脂などにより一体に形成したブレーキシュ
ー27について説明したが、その構成は種々変更すること
ができる。例えば、屈曲部53を弾性変形可能な板バネに
よって形成するとともに、この板バネの屈曲部によっ
て、合成樹脂などからなる垂直部51と傾斜部55とを連結
するように構成してもよい。また、傾斜部55の上にリン
グ状の別のブレーキシューを載置し、傾斜部55の変形に
よってその別のブレーキシューが上下方向に移動するよ
うにしておき、リング回転体13の回転により別のブレー
キシューが持ち上がって摺接部45に接触するように構成
してもよい。その他、軸承部12の構造、フランジロータ
ー21と下部ローター22との連結構造、ブラケット27のリ
ング回転体13への取りつけ構造などは、種々のものを採
用することができる。また、波上部55aに耐磨耗性材料
をライニングするなど、各部の構造、形状、寸法、材質
などは、上述した以外に種々変更することができる。
〔発明の効果〕
本発明によると、リング回転体の過度の高速化、特にト
ラベラー回転の最高回転と同期化するのを防止すること
ができるとともに、ブレーキングを行う回転数範囲を拡
げることが容易となる。したがって、リング回転体がス
ピンドル回転に対してほぼ一定回転差を維持しうるよ
う、個々錘リングの最高回転数を高めることが可能とな
り、また、ブレーキング開始回転数を低く設定できるこ
とから、停台時のリング惰性回転によるオーバーラン、
スナール過多の現象を解消し得るので、スピンドルの回
転速度を大幅に上昇させることが可能になり、生産性の
向上に寄与することができる。加えて、ブレーキシュー
の摺接部が波形であって周方向に伸長し易く且つ上下方
向に撓み易いので、遠心力の増大につれて傾斜部が円滑
に持ち上がり、ホルダー側との最初の接触が穏やかにな
るとともに、紡糸張力変動によるリング回転体の上下移
動の衝撃がブレーキシューにより吸収され、トラベラー
走行の安定化による糸質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は紡績用回転リングの構造の一例を示す断面正面
図、第2図は紡績用回転リングの構造の他の例を示す断
面正面図、第3図は本発明に係る紡績用回転リングの断
面正面図、第4図は第3図の紡績用回転リングのブレー
キシューの作用正面図である。 3…紡績用回転リング、11…ホルダー、12…軸承部、13
…リング回転体、27…ブレーキシュー、45…摺接部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホルダーと、該ホルダーによって軸承部を
    介し回転自在に支持されるリング回転体とを有してなる
    紡績用回転リングにおいて、 前記リング回転体の下端部には、外方下方へ開いた傾斜
    部を有し、前記リング回転体の回転時の遠心力によって
    変形して前記ホルダーの下端面の摺接面と接触する弾性
    体からなる環状のブレーキシューが設けられており、 前記ブレーキシューの傾斜部は、周方向に波打った波形
    に形成され てなることを特徴とする紡績用回転リング。
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