JPH08120530A - 紡績用回転リング - Google Patents

紡績用回転リング

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JPH08120530A
JPH08120530A JP26220194A JP26220194A JPH08120530A JP H08120530 A JPH08120530 A JP H08120530A JP 26220194 A JP26220194 A JP 26220194A JP 26220194 A JP26220194 A JP 26220194A JP H08120530 A JPH08120530 A JP H08120530A
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Japan
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ring
spinning
brake
brake piece
guide groove
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JP26220194A
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Hiroshi Yamaguchi
博史 山口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】半径方向のみにブレーキ力が発生し、軸承部に
対する軸方向への荷重がかからないブレーキ機構を有し
た紡績用回転リングを提供することを目的とする。 【構成】リングレールに固定されるホルダー11とホル
ダー11によって軸受部を介して回転自在に支持される
リング回転体13とを有してなる紡績用回転リング1に
おいて、リング回転体13には、ほぼ半径方向に沿う複
数のガイド溝24が周方向に等間隔で形成されたスライ
ドガイド23が設けられ、各ガイド溝24には、ガイド
溝に沿って移動可能なブレーキ片25が嵌め込まれ、ホ
ルダー11の内周には、ブレーキ片25が当接して摺動
することが可能なブレーキ摺接面39が設けられて構成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リング精紡機、撚糸機
などの紡績機械(紡機)の高速化に適合し得る回転リン
グに関し、特に回転リングのブレーキ装置の高速化対応
機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、トラベラーの回転摩擦力をト
ルクとして回転するように構成された回転リング(消極
回転リング)は、特公昭54−15934号公報などに
より公知である。
【0003】また、この様な機構の回転リングについ
て、機台停止時のリング回転体のオーバーランを防止す
るための公知の機構として、空気又は油などの流体抵抗
により、又はレバーなどの機械的な挟圧、摩擦を加え、
又は電磁石を用いるなどの方法により、リング回転体の
惰性回転を防止するようにしたブレーキ機構が公知とな
っている。
【0004】しかしこれら公知のブレーキ機構は、主と
して機台停止時において全錘同時に作動するものであ
り、リングの惰性回転オーバーランによるスナールの発
生とこれによる再始動時の一斉糸切れを防止することが
目的であった。
【0005】したがって、紡糸操業中の個々のリング回
転体又はトラベラーの固有誤差や摩損状態の差により発
生する各錘間の紡糸張力差、及び、分玉位置によるスト
レッチ長さやチェース間リングレールの昇降運動に起因
する紡糸中の張力変動に対応したリング回転体個々の回
転変化に対応し得るものではなかった。
【0006】このため、個々錘のリング回転のバラツキ
を調整し、リング回転体の回転支持部が空気軸受化する
ことによるトラベラーとの同速化を防止する手段とし
て、本発明者は、特開平1−201529号においてう
ず電流による磁気ブレーキ方式を、特公平2−2744
9号及び特開平3−300321号においてゴム状軟弾
性体による直接接触摩擦ブレーキ方式を、それぞれ先に
提案した。
【0007】前者の磁気ブレーキ方式では、リング回転
が一定の回転速度を超えて高速化すると、永久磁石は稀
土類などからなる異方性多極着磁の強力なものでもうず
電流によるブレーキ効果が急減する難点があり、また高
価でもある。
【0008】後者のゴム状軟弾性体による直接接触摩擦
ブレーキ方式では、精紡機スピンドル回転の急激な上昇
にともなうリング回転体の高速化需要に対して、摩耗耐
久性、摩擦熱による溶着などの問題が生じたので、特開
平3−8821号において間接摩擦ブレーキ方式を開発
して再提案し、消極回転リングに画期的実用性を与える
成果を得た。
【0009】しかしながら、現在最も実用性に優れた前
記特開平3−8821号間接摩擦ブレーキ方式では次の
問題があった。すなわち、 ブレーキシューとブレーキリングがリング回転体の下
部に装着されており、これがリング回転体全体の重量を
重くすること。
【0010】軟弾性体ブレーキシューは高精度の嵌合
性と形状の均一化が要求されるのに対し、合成ゴムなど
の軟弾性体エラストマーの特性に起因する歪や硬度のバ
ラツキによる不良率が高く、コストアップが避けられな
い。
【0011】ブレーキシューにかかる遠心力に基づく
垂直分力を利用し、ブレーキリングを介して接触、摩擦
圧をかける原理に基づくため、固定されたホルダーの底
面に対し軸受摺動材を介して圧接し、リング回転体のブ
レーキシューとホルダーの底面とによって軸受摺動材を
挟圧することとなり、軸受摺動材にも必要以上の摩擦圧
による磨耗を強いる結果を誘発する。
【0012】その結果として、挟圧ブレーキ効果が非
常に高く、そのため設定したリング回転の最高回転数が
均一化される特徴がある。反面、この均一性は、前述し
たように、紡糸張力の錘間バラツキが大きいとき、又は
同一重量のトラベラーでより高速紡出を行おうとすると
きには、前記ブレーキ作動時のリング回転数の上限の均
一化制御には別の問題も生じ得る。
【0013】例えば、エステル100%の40番手紡出
は、高速仕様のφ38の固定リングで、スピンドル回転
の上昇限度を最高14000〜15000RPMとする
と、トラベラー速度は30m/s弱である。これに対
し、間接摩擦ブレーキ方式のφ41の回転リングでは、
スピンドル回転が20000〜22000RPMでも紡
出容易である。したがって、この場合のトラベラー速度
は47m/s以上である。
【0014】このとき、回転リング上限22000RP
M、固定リング安全下限14000RPMとし、これら
の差に安全のための余裕(1000RPM)を加えて回
転リングの上限回転数を設定すると、9000RPM
(=22000−14000+1000)となる。
【0015】つまり、リング回転体の回転速度を900
0RPMに設定すれば、トラベラーと回転リングとの相
対速度は、27.9m/秒〔=41×π×(22000
−9000)÷60〕となり、高速仕様の固定リングを
下回るから、糸切れ又は糸質の点では安定した良質糸が
得られることとなり、トラベラーにかかる摩擦圧も減少
するので、トラベラーの焼損による変換寿命も実施例で
は30〜50%延長する。
【0016】ここで問題とするのは,リング回転上限を
一定としたとき、錘間紡糸張力のバラツキが、始動時か
ら満管までの全紡糸区間において各錘毎に特定できない
場合が多いことである。
【0017】すなわち、分玉位置によるストレッチ長さ
の変化、リングレールの昇降によるチェース間巻取り速
度の差などの共通要因以外に、リング回転体の軸受部
の摩擦抵抗、リングフランジの摩擦抵抗(疵、表面粗
さ、摩損度、歪、他)、トラベラーの個別摩擦抵抗
(形状及び硬度バラツキ、表面状態、焼損磨耗度)など
の不確定要因が加わり,各錘毎、分玉別に、紡糸張力の
不均一が生じる。特に個別要因中、によるトラベラー
焼損及び喰い込み磨耗による紡糸張力変動の要因が最も
著しく、大きな問題となっている.
【0018】
【発明が解決しようとする課題】これら張力変動要因を
包含しながら、スピンドル回転をさらに上昇させ、高速
仕様と称する固定リングのリングとトラベラーの相対速
度限界まで回転リングによる紡出回転を上昇させようと
する場合には、単純計算で、リング回転数上限を上述の
計算例である9000RPMから12000RPMにあ
げ得れば、スピンドル回転数上昇限界は、φ38のリン
グで27000RPM(=15000+12000)、
φ41のリングで約25000RPM(=27000×
38/41)とすることができる。
【0019】しかしながら、先願の個別錘毎に回転制御
し得る摩擦ブレーキ方式では、上述のごとくブレーキ部
と軸受摺動材による挟圧力によって、スピンドル回転上
昇にかかわらず、ブレーキ作動後におけるリング回転体
の追従上昇は、500〜2000RPMの範囲に止まる
(エステル100%の40番手紡出、トラベラー4/0
〜2/0の場合)。
【0020】他方、同一紡糸条件でスピンドル回転のみ
を上昇させる場合、通常の固定リングでは同一重量番手
での変速可能範囲は2000〜4000RPMが限度と
され、それ以上の回転上昇は張力過大による糸切れ、糸
質不良を生じ、逆に回転低下はバルーン崩壊による糸切
れとなるので、スピンドル回転の上限を上げることは、
紡糸可能範囲の制約から始動時(スイッチオン時)の設
定回転数も上げざるを得ないことは自明である。
【0021】例えば、スピンドルの始動時の設定回転数
を、糸切れに至らない安全上限の13000RPMと
し、全紡糸プログラムのスピンドル回転上昇限度を上述
のように27000〜25000RPMとすれば、紡出
回転の変速範囲は、14000〜12000〔=(27
000〜25000)−13000〕となるが、上述し
たトラベラーの適応変速範囲との差は、平均で1000
0RPM前後に達する。この差を、(リング回転数+リ
ング変速回転数)及びリング回転による紡糸張力変動シ
ョック吸収作用でカバーしなければならない。
【0022】しかるに、上述のごとく先願で公知の間接
摩擦ブレーキ方式の回転リングでも、スピンドル回転上
昇にともなう広範囲のリング回転の追従上昇は困難であ
り、リング回転上昇頭打ち後のスピンドル回転上昇は、
過大紡糸張力によるシゴキなど糸質低下と糸切れなどの
原因となり、且つトラベラー焼損磨耗が続発して高速化
を妨げていた。
【0023】本発明は、半径方向のみにブレーキ力が発
生し、軸承部に対する軸方向への荷重がかからないブレ
ーキ機構を有した紡績用回転リングを提供することを目
的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る紡
績用回転リングは、リングレールに固定されるホルダー
と、前記ホルダーによって軸受部を介して回転自在に支
持されるリング回転体とを有してなる紡績用回転リング
において、前記リング回転体には、ほぼ半径方向に沿う
複数のガイド溝が周方向に等間隔で形成されたスライド
ガイドが設けられ、前記各ガイド溝には、当該ガイド溝
に沿って移動可能なブレーキ片が嵌め込まれ、前記ホル
ダーの内周には、前記ブレーキ片が当接して摺動するこ
とが可能なブレーキ摺接面が設けられ、て構成される。
【0025】請求項2の発明に係る紡績用回転リングで
は、前記ガイド溝は、半径方向外方が上方に傾斜するよ
うに形成されており、前記ブレーキ片は、前記ガイド溝
内において、前記回転リングが所定の回転数よりも低い
とき又は停止しているときに、その自重によって半径方
向内方に移動して前記ブレーキ摺接面とは非接触となる
ように構成される。
【0026】請求項3の発明に係る紡績用回転リングで
は、前記ガイド溝は、平面視において半径方向に沿って
真っ直ぐに形成されてなる。請求項4の発明に係る紡績
用回転リングでは、前記ガイド溝は、平面視において、
半径方向外方が回転方向後方に傾斜するように形成され
てなる。
【0027】請求項5の発明に係る紡績用回転リングで
は、前記ガイド溝は、平面視においてにおいて、半径方
向外方が回転方向前方に傾斜するように形成されてな
る。請求項6の発明に係る紡績用回転リングでは、前記
ガイド溝の両側の各壁面は、平面視において直線状であ
る。
【0028】請求項7の発明に係る紡績用回転リングで
は、前記ガイド溝の両側の各壁面は、平面視において曲
線状である。請求項8の発明に係る紡績用回転リングで
は、前記スライドガイドは、リング状であって且つ鉛直
面による断面形状が略L字状であり、前記回転リングの
リング本体の内周面に沿って嵌め込まれた円筒状部と、
前記円筒状部に連続して前記リング本体の下端部から半
径方向の外方へ向かって張り出したガイド鍔部とからな
っており、前記ガイド溝は、前記ガイド鍔部の上面に形
成されてなる。
【0029】請求項9の発明に係る紡績用回転リングで
は、前記ホルダーは、その下端部の外周面側から下方に
突出したブレーキ筒を有しており、前記ブレーキ摺接面
は、前記ブレーキ筒の内周面に形成されてなる。
【0030】請求項10の発明に係る紡績用回転リング
では、前記リング本体の下端面は、前記ガイド溝の底面
と平行に形成され、前記ブレーキ片の上面と前記リング
本体の下端面との間には第1の間隙が設けられており、
前記ブレーキ片の上面と前記ブレーキ摺接面に連続する
前記ホルダーの下端面との間には第2の間隙が設けられ
ており、前記第2の間隙は前記第1の間隙よりも大きく
設定されてなる。
【0031】請求項11の発明に係る紡績用回転リング
では、前記ブレーキ片の上面又は下面の少なくとも一方
には、前記リング回転体の回転によって生じる空気流の
圧力によって当該ブレーキ片を半径方向外方へ押す力を
生じさせるための、周方向に対して傾斜した斜壁面が形
成されてなる。
【0032】請求項12の発明に係る紡績用回転リング
では、前記斜壁面は、前記ブレーキ片の幅方向の全幅に
わたって設けられた切欠き溝の半径方向外方の壁面から
なる。
【0033】請求項13の発明に係る紡績用回転リング
では、前記斜壁面は、前記ブレーキ片の全幅にわたって
円弧状に延びるように形成されてなる。請求項14の発
明に係る紡績用回転リングでは、前記斜壁面は、前記ブ
レーキ片の全幅にわたって直線状に延びるように形成さ
れてなる。
【0034】請求項15の発明に係る紡績用回転リング
では、前記斜壁面は、幅方向の両端から幅方向の中央に
向かって傾斜するように形成されてなる。請求項16の
発明に係る紡績用回転リングは、前記ブレーキ片の下面
には、当該ブレーキ片の移動方向に沿った複数のスライ
ド溝が設けられてなる。
【0035】請求項17の発明に係る紡績用回転リング
は、前記ガイド溝の底面には突起が設けられ、前記ブレ
ーキ片の底面には前記突起と係合する凹所が設けられて
なる。
【0036】請求項18の発明に係る紡績用回転リング
では、前記スライドガイド及び前記ブレーキ片は、導電
性を有したエンジニアリングプラスチックからなる。請
求項19の発明に係る紡績用回転リングは、前記ブレー
キ片には、重量及び重心位置の調整のために、エンジニ
アリングプラスチックと比重の異なる物質が一部に充填
されてなる。
【0037】請求項20の発明に係る紡績用回転リング
では、前記ガイド溝は、半径方向外方が上方に傾斜する
ように形成されており、前記ブレーキ片は、前記ガイド
溝内において、前記回転リングが所定の回転数よりも低
いとき又は停止しているときに、その自重によって半径
方向内方に移動して前記ブレーキ摺接面とは非接触とな
るように構成されており、前記ブレーキ片の上面又は下
面の少なくとも一方には、前記リング回転体の回転によ
って生じる空気流が当たることにより当該ブレーキ片を
半径方向外方へ押す力を生じさせるための、周方向に対
して傾斜した斜壁面が形成され、前記ブレーキ片には、
重量及び重心位置の調整のために、エンジニアリングプ
ラスチックと比重の異なる物質が一部に充填されてお
り、前記ガイド溝の上下方向の傾斜角度、前記斜壁面の
周方向に対する傾斜角度、及び充填された前記物質の材
質が、使用条件に応じて最適化されてなる。
【0038】
【作用】リング回転体の回転速度が一定以上になると、
ブレーキ片は遠心力によって外方へ移動する力を受け
る。その力が、ブレーキ片とガイド溝との間の摩擦力、
傾斜角度による内方向への分力、ガイド溝の壁面によっ
て押される力、又は突起と凹所との係合による係止力な
どの総計を越えると、ブレーキ片はブレーキ摺接面に接
触し、ブレーキ力が発生する。
【0039】そのブレーキ力は、ブレーキ片に加わる遠
心力によって、ブレーキ摺接面を半径方向の外方へのみ
押すので、軸承部には軸方向の荷重が加わることがな
い。また、リング回転が一定回転を超えて高速化する
と、ブレーキ片に設けた斜壁面に当たる空気流による圧
力によってブレーキ力が増加する。
【0040】
【実施例】図1は本発明に係る第1実施例の紡績用回転
リング1の断面正面図、図2は図1の紡績用回転リング
1のII─II線矢視断面図である。なお、図1においては
リング回転体13の回転によってブレーキ片25が外方
へ張り出している状態を示し、図2においては、4つの
ブレーキ片25のうちの2つが外方へ張り出し、他の2
つが戻っている状態を示している。
【0041】紡績用回転リング1は、ホルダー11、及
び、ホルダー11に対し軸承部12を介して回転自在に
支持されたリング回転体13とから構成されている。リ
ング回転体13は、トラベラー14が摺動回転可能なフ
ランジローター21、フランジローター21の内周面下
部に嵌入して一体化された下部ローター22、下部ロー
ター22の内周面下部に弾圧嵌入されたスライドガイド
23、スライドガイド23のガイド鍔部23aに設けら
れたガイド溝24に半径方向に移動可能に嵌め込まれた
ブレーキ片25、及びダストカバー26などから構成さ
れている。フランジローター21及び下部ローター22
によって、リング本体RRが構成されている。
【0042】フランジローター21には斜面21aが、
下部ローター22には斜面22aが、それぞれ形成され
ており、これら斜面21a及び斜面22aによって軸受
けのためのV溝31が形成されている。
【0043】下部ローター22の内周面22bの上部に
は環状溝22cが形成されており、スライドガイド23
の上端部に設けられた環状突起23cがその環状溝22
cに嵌まり込んでいる。
【0044】ホルダー11は、ホルダー本体35と、ホ
ルダー本体35に取り付けられた軸受カバー36とから
なる。ホルダー本体35の下部には、水平な下端面37
が設けられており、この下端面37の外周面側から下方
にブレーキ筒38が突出して設けられている。ブレーキ
筒38の内周面に、円筒面であるブレーキ摺接面39が
形成されている。ホルダー本体35の上部には、内周面
35a及び水平面35bが形成されている。
【0045】軸受カバー36は、ステンレス鋼などの金
属板をプレス加工することによって形成される。したが
って安価である。軸受カバー36は、ホルダー本体35
の上部の外周面に上方から嵌め込まれた後、周方向に複
数箇所設けられたカシメ部36aを内方へかしめ、ホル
ダー本体35の外周の周方向に複数箇所設けられた凹所
35d内に押し込むことによって、ホルダー本体35に
対する回転止めと抜け止めがなされている。
【0046】ホルダー本体35の内周面35aと水平面
35b、及び軸受カバー36の下面36bによって、軸
受けのための凹溝32が形成されている。軸承部12
は、リング回転体13に形成されたV溝31、ホルダー
11に形成された凹溝32、及びこれらV溝31及び凹
溝32の間に微小な間隙を有して嵌まり込んだ環状のス
ライドリング33から構成されている。
【0047】紡績用回転リング1の組み立てに当たって
は、ホルダー11にスライドリング33を嵌め込み、軸
受カバー36を被せてカシメ部36aをかしめる。その
後、スライドリング33を上下から挟むようにしてフラ
ンジローター21及び下部ローター22を挿入し、フラ
ンジローター21と下部ローター22とを互いに圧入し
て一体化する。そして、ガイド溝24にブレーキ片25
を嵌め込んだスライドガイド23を、下部ローター22
の内周面22bに嵌め込む。
【0048】組み立てられた紡績用回転リング1は、ホ
ルダー11がリングレール41の取りつけ穴42に嵌入
された後、取りつけ周溝43にストップリング44が嵌
め込まれて固定される。
【0049】なお、紡績用回転リング1においては、そ
の構造を簡単化してコストの低減を図るために、凹溝3
2の断面形状を略コ字形としたが、V溝31と同様なV
溝とし、スライドリング33の断面形状を特開平1−1
0840号に示されるように菱形としてもよい。また、
組み立ての容易化と部品コストの低減のために、凹溝3
2を形成するために軸受カバー36を嵌め込んだが、凹
溝32を有したホルダー11を一体に形成してもよい。
【0050】上述にように構成された紡績用回転リング
1は、スライドリング33がホルダー11及びリング回
転体13に対して摺動して回転可能である。リング回転
体13は、軸承部12によって、ホルダー11と同軸上
で回転可能に支持されている。したがって、トラベラー
14の回転による摩擦力をトルクとして、リング回転体
13は円滑に回転し得る。
【0051】なお、ダストカバー26の裏面26aに
は、その回転によって外方への空気流を生じさせてダス
トを排出するための斜溝が形成されている。裏面26a
の内方にあるフランジローター21の鍔斜面にも、回転
によって外方への転がり摩擦によってダストを排出する
ための斜溝が形成されている。
【0052】次に、ブレーキ機構について説明する。図
3はスライドガイド23を拡大して示す平面断面図、図
4はブレーキ片25を拡大して示す右側面図、図5はブ
レーキ片25の平面図、図6はブレーキ片25の正面
図、図7はブレーキ片25の断面側面図である。なお、
図3の(A)はブレーキ片25が戻っている状態を示
し、図3の(B)はブレーキ片25が張り出されブレー
キ筒38のブレーキ摺接面39に接している状態を示し
ている。
【0053】スライドガイド23及びブレーキ片25の
材料として、摩擦係数が低く耐磨耗性及び耐熱性に優れ
た導電性ハイ・エンプラが用いられる。例えば、炭素繊
維又は銅などの導電物質を含む四弗化エチレン、ポリイ
ミド系、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエ
ーテルケトン)、四弗化樹脂系、ナイロン樹脂系などの
エンジニアプラスチックが用いられ、金型成形される。
これによってリング回転体13の軽量化を図ることがで
き、回転惰力の減少と張力変動にともなうリング回転の
変速追従性の向上を図ることができる。さらに、組立構
造の簡素化、金型成形による部品精度均一化、及びコス
トの低減を図ることができる。
【0054】スライドガイド23は、全体形状がリング
状であり、且つ鉛直面による断面形状が略L字状であ
る。スライドガイド23は、上述したように、下部ロー
ター22の内周面22bに嵌め込まれた円筒状部23b
と、円筒状部23bに連続して下部ローター22の下端
部から半径方向の外方へ向かって張り出したガイド鍔部
23aとからなっている。ガイド鍔部23aの上面に、
4つのガイド溝24が等間隔で形成されている。
【0055】ガイド溝24は、その底面24aが、半径
方向外方が上方に傾斜するように形成されている。その
傾斜角度α1は、例えば20度となっている。この傾斜
角度α1は、例えば10度、15度、30度、45度、
その他の種々の適当な角度でもよい。また、ガイド溝2
4は、リング回転体13の平面視で溝幅中心線が半径方
向に沿って真っ直ぐに形成されている。つまり、ガイド
溝24の両側の壁面24b,24cが互いに平行であ
り、これらがリング回転体13の平面視で直線状となっ
ている。
【0056】ブレーキ片25は、上述したように、ガイ
ド溝24に沿って半径方向に移動可能である。ブレーキ
片25の平行な側面25b,25cは、ガイド溝24の
壁面24b,24cと平行であり、且つこれらの間に僅
かなクリアランスを有している。底面25aと上面の部
分25dとは平行であり、上面の残りの部分25eは、
ブレーキ片25をガイド溝24内に置いたときに水平面
となるように形成されている。また、外周面25fは、
ブレーキ筒38のブレーキ摺接面39に沿うように、ブ
レーキ片25をガイド溝24内に置いたときに鉛直方向
の円筒面となるように形成されている。背面25gは、
底面25a及び上面部分25dと垂直方向の円筒面とな
るように形成されている。この背面25gを平面に形成
してもよい。
【0057】ブレーキ片25の部分25eには、側面2
5b,25c間の全幅にわたる切欠き溝61が設けられ
ている。切欠き溝61は、その壁面61a,61bが平
面視で曲線状であり、その外側の壁面61aが、リング
回転体13の回転によって生じる空気流Jがそれに当た
るように周方向に対して傾斜して形成されている。内側
の壁面61bは、外側の壁面61aに沿うように形成さ
れている。したがって、壁面61aと外周面25fとの
間の部分の肉厚は、リング回転体13の回転方向の前方
の部分の肉厚T1が、後方の部分の肉厚T2よりも小さ
い。
【0058】ブレーキ片25の底面25aには、リング
回転体13の半径方向に沿う複数のスライド溝62が設
けられている。このスライド溝62は、ガイド溝24内
におけるブレーキ片25の半径方向の滑動を容易にする
とともに、風綿塵の噛み込みによる作動阻害の影響をな
くしている。このようなスライド溝62をブレーキ片2
5の両側面25b,25cにも併設することによって、
綿塵阻害の影響と滑動摩擦をより少なくすることができ
る。
【0059】ブレーキ片25には、その重量及び重心位
置の調整のために、金属からなる重鎮63が埋め込まれ
ている。下部ローター22の下端面22dは、ガイド溝
24の底面24aの勾配と同じ勾配となるようにこの底
面24aと平行に、したがってブレーキ片25の上面の
部分25dと平行に形成されている。ブレーキ片25の
部分25dと下部ローター22の下端面22dとの間に
は第1の間隙c1が設けられており、ブレーキ片25の
部分25eとホルダー11の下端面37との間には第2
の間隙c2が設けられている。第2の間隙c2の最小値
は第1の間隙c1の最大値よりも大きく設定されてい
る。
【0060】ブレーキ片25は、ガイド溝24内におい
て、リング回転体13の回転が所定の回転速度(回転
数)よりも低いとき、又は停止しているときに、その自
重によりガイド溝24の底面24aを滑って半径方向内
方に移動し、ブレーキ筒38のブレーキ摺接面39とは
非接触となる。リング回転体13の回転が所定の回転速
度よりも大きくなると、その遠心力によって半径方向外
方に移動し、ブレーキ筒38のブレーキ摺接面39と接
触する。接触したときの摩擦力、したがってブレーキ力
は、リング回転体13の回転速度が大きくなるほど大き
い。
【0061】また、ブレーキ片25が外方に移動してブ
レーキ摺接面39と接触した状態でさらにリング回転が
上昇し、一定限度(例えばZ点)を超えると、ブレーキ
片25の切欠き溝61を通過する空気流Jが壁面61a
に当たり、空気圧の半径方向分力がブレーキ片25をブ
レーキ筒38のブレーキ摺接面39への加圧力を増大さ
せるので、ブレーキ力はその分増大し、スピンドル高速
域におけるリング回転の追従上昇を制約する。
【0062】ガイド溝24の傾斜角度α1、ブレーキ片
25の重量及び重心位置、切欠き溝61の壁面61aの
空気流Jに対する角度などが、使用条件に応じて最適化
されている。
【0063】次に、紡績用回転リング1の作用を説明す
る。リング回転体13が停止しているときには、ブレー
キ片25は自重によってガイド溝24を半径方向内方に
移動し、その背面25gの上端縁がスライドガイド23
の円筒状部23bの外周面に当接している。このとき、
ブレーキ片25の外周面25fは、ブレーキ筒38のブ
レーキ摺接面39から最も離れた位置にある。
【0064】リング回転体13が回転を始め、その回転
速度が所定の回転速度K(K点)を越えると、ブレーキ
片25に加わる遠心力がブレーキ片25に加わる重力及
び摩擦力などに打ち勝って、ブレーキ片25は半径外方
へ振り出される。これによって、ブレーキ片25の外周
面25fはブレーキ筒38のブレーキ摺接面39と接触
し、摩擦によるブレーキ力を生じる。
【0065】また、リング回転体13の回転速度が所定
の回転速度Kよりも低下すると、ブレーキ片25は自重
によってガイド溝24を滑動降下し、ブレーキ筒38の
ブレーキ摺接面39から離れ、背面25gの上端縁がス
ライドガイド23の円筒状部23bの外周面に当接して
停止する。
【0066】また、ブレーキ片25がブレーキ筒38の
ブレーキ摺接面39に接触した状態において、ブレーキ
片25の上面部分25eはホルダー11の下端面37と
常に非接触状態を保っているため、ブレーキ筒38のブ
レーキ摺接面39を外方へ押しつける半径方向のブレー
キ力のみが作用し、軸方向の力は何ら作用しない。
【0067】したがって、ホルダーの底面を軸方向に加
圧してブレーキ作用を行う公知の摩擦ブレーキ式回転リ
ングとは異なり、ブレーキ力が発生しても軸承部12に
はリング回転体を引き下げる軸方向荷重の増大がないの
で、リング回転体13の回転速度をスピンドル回転上昇
に追従し易くし、従来よりもより高速域まで上昇させる
ことができる。
【0068】ブレーキ片25がブレーキ摺接面39に接
触した後、さらにスピンドル回転の上昇にともなうリン
グ回転体13の回転の上昇によって、ブレーキ片25に
作用する遠心力も増大し、これにともなってブレーキ筒
38のブレーキ摺接面39に作用する摩擦圧力も増加す
るが、リング回転が高速域において一定の回転限度(例
えばZ)を超えると、ブレーキ片25に作用する遠心力
に加え、切欠き溝61を通過する空気流Jの外方圧力に
よってブレーキ力が増大され、リング回転がスピンドル
回転の上昇に追従して、過剰に高速化することを制約す
る。
【0069】ブレーキ片25の高さ寸法、幅寸法、長さ
寸法、重量、材質及び材料の密度、重鎮63の重量及び
位置、傾斜角度α1,α2、切欠き溝61の形状、傾斜
角度、及び傾斜方向などを、紡績用回転リング1の大き
さ及び使用目的によって最適に選定し、ブレーキ力の生
じるときの回転速度K、空気圧力によるZ等、ブレーキ
力の大きさなどを最適に設定することができる。
【0070】以下において、紡績用回転リング1の各部
の構造又は形状の変形例を説明する。以下の図におい
て、紡績用回転リング1と同様の機能を有する部分には
紡績用回転リング1と同一の符号を付して説明を省略す
る。
【0071】上述した紡績用回転リング1のブレーキ片
25においては、切欠き溝61の壁面61a,61bを
平面視で曲線状としたが、これを直線状としてもよい。
図8は他の実施例のブレーキ片25Aの平面図である。
【0072】上述したブレーキ片25においては、斜め
の切欠き溝61を設け、回転方向の前方の部分の肉厚T
1が後方の部分の肉厚T2よりも小さくなるようにした
が、ブレーキ片25Aでは、両側面25b,25cの部
分の肉厚を小さく、中央部分の肉厚を大きくし、切欠き
溝が左右対称形となるようにした。
【0073】すなわち、図8において、ブレーキ片25
Aは、切欠き溝61Aを有しており、その外方の壁面6
1e,61fは、両側面25b,25cに向かって開い
ている。これによって両側面25b,25cの部分の肉
厚T3が小さく、中央部分の肉厚T4が大きくなってい
る。
【0074】このブレーキ片25Aでは、リング回転体
13の回転方向がいずれの方向であっても、壁面61e
又は61fに当たる空気流Jによるブレーキ片25の外
方圧力の増加により、ブレーキ力が増大する。したがっ
て、リング回転体13の回転方向に応じてブレーキ片を
取り替えるといった手間が不要となり、正・逆、撚り、
紡糸目的に兼用することができる。
【0075】図9は他の実施例の紡績用回転リング1B
の図2と同様の断面図である。図9において、紡績用回
転リング1Bは、平面視で、ガイド溝24Bの半径方向
外方、つまりガイド溝24Bの両側面の半径方向外方
が、リング回転体13の回転方向後方に傾斜するように
形成されている。ブレーキ片25Bの側面もガイド溝2
4Bの壁面24に沿って傾斜している。
【0076】このようにすると、図2に示す標準的なガ
イド溝24の場合に比較してブレーキ作動時のリング回
転にともなう同一遠心力作用に対し、ブレーキ片25B
が外方へ張り出し易いので、リング回転速度のK点の位
置を引き下げる作用を行うことができる。
【0077】図10は他の実施例の紡績用回転リング1
Cの図2と同様の断面図である。図10において、紡績
用回転リング1Cは、平面視で、ガイド溝24Cの半径
方向外方がリング回転体13の回転方向後方に傾斜する
ように形成されている。さらに、ガイド溝24Cの壁面
24b,24cが、紡績用回転リング1では平面視で直
線状であったのに対し、図10の紡績用回転リング1C
では円弧状であるため、ブレーキ片25の側面抵抗がさ
らに小さく、リング回転速度のK点位置をより引き下げ
る作用がある。
【0078】図11は他の実施例の紡績用回転リング1
Dの図2と同様の断面図である。図11において、ガイ
ド溝24Dは、その半径方向外方がリング回転体13の
回転方向前方に傾斜するように形成されている。このよ
うにすると、リング回転体13の回転にともなうブレー
キ片25Dの外方への張り出しを遅らせることができ
る。
【0079】すなわち、ガイド溝24Dのリング回転方
向に対し後側に位置する壁面24cと、ブレーキ片25
Dの側面25cとの接圧により、ブレーキ片25Dには
半径方向内方に向かって遠心力に抗して戻ろうとする側
面抵抗が作用し、図2及び図9に示す場合と比較する
と、リング回転による遠心力が同一の場合に、リング回
転始動時のブレーキ片25Dによるブレーキ作用を遅ら
せることとなる。
【0080】その結果、始動時の急速なスピンドル回転
上昇に対するリング回転の追従上昇可能時間を長くする
ことができ、図2に示す標準的なガイド溝24の場合と
比較して、ブレーキ接触作動時のリング回転を高くする
ことができる。また、全ブレーキ作動区間を通じて、同
一のスピンドル回転に対するリング回転速度をより高速
域に誘動することができ、ブレーキ作動タイミングの調
整とリング最高回転速度の設定調整が可能となる。
【0081】図12は他の実施例の紡績用回転リング1
Eの一部の断面正面図、図13は図12の紡績用回転リ
ング1Eの断面平面図、図14はブレーキ片25Eの底
面図である。なお、図12はブレーキ片25Eが外方へ
移動してブレーキ筒38のブレーキ摺接面39に接触し
ている状態を示す。
【0082】紡績用回転リング1Eでは、リング回転体
13のガイド溝24Eの底面24aに、その幅方向に一
定幅を持つ断面三角形状の低い突起筋24eが形成され
ており、ブレーキ片25Eの底面25aに、突起筋24
eが嵌まり込む凹溝25hがその幅方向全幅にわたって
設けられている。なお、突起筋24eの断面は円弧形状
でもよい。ブレーキ片25Eは、リング回転体13が停
止状態のときには、その背面25gが円筒状部23bの
外周面に当接している。このとき、ガイド溝24の突起
筋24eがブレーキ片25Eの凹溝25hに嵌まり込ん
でいる。この状態では、突起筋24eと凹溝25hとの
係合によって、ブレーキ片25Eが外方へ移動し難くな
っている。したがって、ブレーキ片25Eが移動してブ
レーキ摺接面39に当接するには、リング回転体13が
より高速で回転する必要があるため、他の条件が一定で
あれば、ブレーキ力の生じるときの回転速度Kが大きく
なる。つまり、この実施例の紡績用回転リング1Eで
は、ブレーキ力の生じるときの回転速度Kを大きくし、
始動時の急激なスピンドル回転上昇に対するリング回転
の始動上昇を容易にし、ブレーキ作動のタイミングを遅
らせることで回転上昇追従性を高めることができる。
【0083】なお、リング回転が上昇し、ガイド溝24
の底面24aに設けた低い突起筋24eの高さを、これ
に係合するブレーキ片25の凹溝25hが乗り越えられ
る遠心力作用がブレーキ片25に働くリング回転に達し
たときは、ブレーキ片25の凹溝25hの内周側斜面
は、突起高さを容易に乗り越え得る角度に形成されてい
る。また、リング回転が高速域から急速に低下し、ブレ
ーキ片25がガイド溝24の底面24aの斜面を滑降し
て、最下端位置に戻ろうとするときは、ガイド溝24の
底面24aの低い突起筋24eが障害とならないよう
に、ブレーキ片25の底面25aの背面25g側には大
きな面取り状斜面25jを設け、且つ、ガイド溝24の
低い突起筋24eの外周側斜面を水平状又は外周側で若
干高い鈍角状としてブレーキ片25の下降を容易にする
とともに、ブレーキ片25の底面25aの下端が上述の
突起筋24eを通過するときの持ち上がりシロは、スラ
イドガイド23のガイド溝24上部に設けた空隙23h
と下部ローター22の下端面22dとガイド溝24の底
面24aとの深さ方向の間隙によって吸収される機構と
なっている。
【0084】図15は他の実施例の紡績用回転リング1
Fの一部の断面正面図、図16は紡績用回転リング1F
のブレーキ片25Fの平面図である。図15において
は、ブレーキ片25Fが外方へ移動してブレーキ筒38
のブレーキ摺接面39に接触している状態が示されてい
る。
【0085】紡績用回転リング1Fに用いられるブレー
キ片25Fは、他の例のブレーキ片の切欠き溝61より
も内周側の部分を削除した形状であり、側面視がくさび
状を呈している。すなわち、ブレーキ片25Fでは、外
周側の摺接部片64の内周面が斜めの円弧状に形成され
て壁面64aとなっており、この壁面64aに当たる空
気流Jによる外方圧力の増加により、ブレーキ力が増大
する。摺接部片64の上面部分64bとホルダー本体3
5の下端面37との間には、上面部分25dと下部ロー
ター22の下端面22dとの間よりも大きい間隙が設け
られる。
【0086】次に、上述の実施例の紡績用回転リング1
の特性を、特開平3−8821号に開示されている間接
摩擦ブレーキ方式の紡績用回転リングの特性と比較して
説明する。
【0087】図17は本発明に係る紡績用回転リング1
の特性及び前記間接摩擦ブレーキ方式の特性に基づくリ
ング回転数の変化曲線と、これにともなう紡糸張力の変
動限界から機台紡出速度即ちスピンドル回転上昇限度の
比較を示す特性図である。
【0088】図において、曲線SCはスピンドルの変速
曲線であり、図17は、始動時(スイッチオン時)から
スピンドルの紡出可能最高回転速度までの回転上昇に対
応して、本願紡績用回転リング1のリング回転体13の
回転速度R及び紡糸張力Tの変動の平均的な値を示して
いる。同時に、公知の特開平3−8821号間接摩擦ブ
レーキ方式回転リングのリング回転体の回転速度Rjの
変動の平均的な値と、紡糸張力Tとを示している。これ
らの例では、エステル100%40番手の精紡糸をイン
バータによる多段階変速可能な高速精紡機を用いて紡出
した平均値を示している。
【0089】前記挟圧式間接摩擦ブレーキ方式のφ41
リングを用いた紡出プログラムの設定では、ブレーキ方
式の制約から、リング回転の最高を8000〜9000
RPMとせざるを得ず、このリング回転限度に基づく機
台スピンドル回転の上限も、紡糸張力変動限界から、始
動時1300RPM、中玉最高24000〜25000
RPMに設定するのが限度であるから、図17の実施例
では上記条件での紡出プログラムを設定し、本願ブレー
キ方式の回転リングとの比較において、スピンドル回転
上昇曲線SCに対するリング回転速度曲線(Rに対する
Rj)と紡糸張力(Tに対するTj)変動曲線の比較に
ついて説明する。
【0090】空ボビン0分玉より仕掛けて、スイッチオ
ンから時間t1(t1は数秒乃至数十秒)が経過する
と、スピンドル回転速度Sは13000RPMに達し、
1〜1.5分玉で18000RPMとなり、3.5〜4
分玉で最高回転速度である25000RPMとなる紡出
プログラムでは、この間における前記公知の紡績用回転
リングのリング回転とブレーキ作動状況は、図17のリ
ング回転速度Rjに示すように、始動時にはリング軸受
部の静摩擦抵抗により、スピンドルの始動から数秒乃至
数十秒のタイムラグをおいて回転始動を始め、急速に増
速して約6000RPMに達し、その後スピンドルの増
速にともなって少々緩やかな増速を続け、8000RP
Mに達して一応リング回転は頭打ちとなる。
【0091】これは、6000RPMの時点で軟弾性体
ブレーキシュー上に遊嵌載置されたブレーキリングがリ
ング回転体及びこれと一体に回転するブレーキシュー上
にあって、固定ホルダーと不規則接触し、リング回転の
増速化に一定のブレーキ作用をなしているためである。
この段階では、ブレーキシューは遠心力の垂直分力によ
り周緑部が持ち上がり、ブレーキリングを押し上げては
いるが、ホルダー下端面にブレーキリングを介して摩擦
圧をかけるには至っていないので、リング軸受部には軸
方向の引下げ圧力は負荷されていない。
【0092】その後さらにスピンドルの回転速度が上昇
し、18000RPMに達し、リング回転が設定速度の
8000RPMに達すると、ブレーキシュー周緑部は、
ブレーキリングを介して固定ホルダー底面に軸方向の摩
擦圧力を加え、三者の間の空隙は0となり、ブレーキリ
ングはブレーキシューの弾性に加圧されブレーキシュー
と同一回転しながら固定ホルダー底面を軸方向に加圧摺
動し、ブレーキ作用を行う。
【0093】しかしながら、ホルダー底面は鏡面化した
高硬度の金属表面であり、ブレーキリングは低摩擦係
数、耐摩擦性、耐熱性で導電性のあるハイ・エンプラ材
で平滑に仕上げられているので、ブレーキシューのゴム
状弾性による軸方向の圧力(P)に拘らず、回転方向の
μは低いので、リング回転体及びブレーキシューと同一
回転を行うのに何ら問題はない。したがって、三者の遊
隙が0となり、さらにリング回転の上昇による軸方向の
加圧が加われば、ホルダー底面を加圧する力(P)はリ
ング回転体を引き下げる力として働き、ブレーキリング
と軸受部摺動材、スライドリングを介して、リング回転
体でホルダーを軸方向に狭圧摩擦を加える結果となる。
【0094】このため、ブレーキシューがブレーキリン
グを加圧後は、スピンドル回転のさらなる上昇にもかか
わらず、リング回転体の回転上昇は微増に止まり、図1
7の例ではスピンドル回転速度Sが18000RPMか
ら25000RPMに7000RPMも上昇しても、公
知比較対象の変速曲線によるリング回転速度Rjは、8
000RPMから9000RPMに1000RPMしか
上昇していない。
【0095】したがって、スピンドル回転速度Sと対象
リング回転速度Rjの乖離は回転速度Sの上昇にともな
って大きくなり、紡糸張力Tjは急増する。紡出糸の繊
維品種、糸番手、撚りなどの諸条件によって糸強力に大
きな差があるが、この例の場合には紡糸張力が30gを
超えると糸切れ増加、糸質低下を生じるので、回転速度
Sの上昇限度は、24000RPMとなり、このときの
回転速度Rjは約8700RPM、その相対回転差は1
5300RPMであり、トラベラーの対リング速度は3
2.8m/秒となり、トラベラー焼損寿命は短くならざ
るを得ない。
【0096】これに対し、本願紡績用回転リング1を用
いた実施例では、スピンドル回転最高28000RPM
までの紡出プログラムにおけるリング変速曲線RCは、
始動時のリング回転の追従上昇は7000RPM、スピ
ンドル回転速度Sが18000RPMのときのリング回
転速度R(K点における回転速度)は10000RP
M、回転速度Sが24000RPMのときのリング変速
曲線のZ点におけるリング回転速度Rは12000RP
Mに設定され、スピンドル回転速度S対リング回転速度
Rの相対回転速度は8000〜12000RPMであ
り、トラベラーの対リング摺接速度は17.2〜25.
8m/秒であり、前記公知のリング回転速度Rjに対し
て20%以上低い。したがって、トラベラーの昇温によ
る焼損磨耗も少なく、紡糸張力Tも図17のZ点では2
2.5gであり、30gまで更に回転上昇の余地を残し
ている。
【0097】図17の例では、紡糸張力Tの最大値が3
0gに達するのは、スピンドル回転速度Sが26500
RPM以上であり、このときのリング回転速度Rが13
000RPMとすると、相対回転速度は13500RP
M、トラベラー相対速度約29m/秒であり、さらに回
転上昇余力があるといえる。
【0098】また、図17における公知間接摩擦ブレー
キ方式のリング回転速度Rjの回転上昇頭打ち後のスピ
ンドル回転速度Sとリング回転速度Rjの乖離は、紡糸
張力Tの上昇とともにその変動幅を拡大する。
【0099】すなわち、公知間接摩擦ブレーキ方式リン
グにおけるリング回転曲線(Rj)の場合では、スピン
ドル回転速度Sが18000RPMにおける紡糸張力T
jは最小が13g、最大が17.5gであり、その変動
幅が4.5gである。スピンドル回転速度Sが2400
0RPMにおける紡糸張力Tjは最小が22.5g、最
大が30gであり、その変動幅が7.5gであるに対
し、本願の紡績用回転リング1のリング回転変速曲線R
Cの場合では、スピンドル回転速度Sが18000RP
Mのときは紡糸張力Tは11.5〜15gで変動幅が
3.5g、スピンドル回転速度Sが24000RPMの
ときの紡糸張力Tは17.5〜22.5gで変動幅が5
gである。
【0100】すなわち、スピンドル回転速度Sが240
00RPMに達した時点において、紡糸張力Tの最大は
22.5/30=0.75(−25%)、変動幅は5/
7.5=0.666(−33%)となり、本願実施例の
紡績用回転リング1のブレーキ方式はスピンドル回転の
上昇余力と、糸切れの減少、糸質劣下防止効果が認めら
れる。
【0101】これは、公知の軸受狭圧式摩擦ブレーキ方
式では、ブレーキ作動後におけるリング回転の対スピン
ドル追従上昇が困難な構造であるに対し、本実施例の摩
擦ブレーキ方式では遠心力と空気抵抗を利用し、リング
回転体の回転上昇にともなう半径方向のみの摩擦力の増
加をブレーキ作動力としており、軸方向の加圧ブレーキ
力及び摺動軸受に対する摩擦負荷を与えない構造である
こと、及び、紡績用回転リング1のブレーキ片25が樹
脂製であって、従来のゴム軟弾性ブレーキシューと比較
して基本的に軽量であるため、半径方向外方に対する摩
擦圧力が少なく、且つ任意に材質密度を調整したり、金
属などの充填材によって重量や重心位置を調整して、使
用目的に適合する摩擦力を選択設定し得るという利点が
あるため、構造の簡単化をも含めて、ブレーキ作動力も
任意に調整し、公知の摩擦ブレーキ方式と比較して緩や
かで広範囲のブレーキ作用を実現し得るためである。
【0102】次に、紡績用回転リング1のブレーキ動作
について、図17を参照してさらに詳しく説明する。紡
績用回転リング1のブレーキ片25は、リング回転停止
時、及びリング回転が一定速度に達するまでは、その円
弧状の外周面25fがブレーキ筒38のブレーキ摺接面
39と非接触である。スピンドルの始動時においては、
リング回転体13のリング径、重量、その他、軸承部1
2にかかる摩擦抵抗がトラベラートルクよりも大きい間
は、リング回転体13は静止又は微動回転である。
【0103】スピンドル回転速度Sの急上昇によるトラ
ベラートルクがリング回転体の静摩擦抵抗を超え、Jカ
ーブ状に上昇すると、数秒乃至数十秒のタイムラグをお
いてリング回転体13の回転速度Rも急上昇する。リン
グ回転速度Rが一定限度を超えた時点(例えば図17の
リング回転速度曲線のK点を超えた時点)で、ブレーキ
片25の円弧状の外周面25fは鏡面化されたブレーキ
筒38のブレーキ摺接面39に接触し、摩擦ブレーキ力
を生じる。
【0104】図17においては、この定点Kを1000
0RPMに設定しているが、紡糸条件に対応し、ブレー
キ片25の重量、ガイド溝24の傾斜角度α1、ブレー
キ片25とガイド溝24との間隙寸法などを調整するこ
とによって、定点Kを任意に選択可能である。
【0105】図17において、スピンドル回転速度Sの
上昇にともない、リング回転速度Rも遠心力によるブレ
ーキ片25による摺動摩擦抵抗の増加に抗してさらに上
昇し、Z点(この例では12000RPM)を超える
と、ブレーキ片25の上面に設けた切欠き溝61によっ
て形成された斜めの壁面61aに当たる空気流Jにより
ブレーキ片25の半径方向外方に向かう空気圧が合力さ
れ、ブレーキ加圧力が増大する。これによって、リング
回転速度Rを二点鎖線で示すようにZ点からZa点へと
急増させようとする回転トルクを抑制して、リング回転
速度Rを適正範囲内で且つ張力変動ショックを吸収し得
る回転速度の上昇範囲内にコントロールする。
【0106】これは、リング回転速度Rが上昇して、ス
ピンドル回転速度Sとの差が接近すると、リング回転体
13の回転惰性によって紡糸張力の変動ショックが吸収
できなくなり、バルーンの異状変動などのシゴキ現象に
より糸質低下や糸切れ発生原因となるため、これらの現
象を防止するリング回転変速曲線RCの上限を調整制御
するためである。
【0107】上述したように、本実施例の紡績用回転リ
ング1,1B,1C,1Dでは、紡出始動時において、
リング回転が一定限度に達するまでは、ガイド溝24の
傾斜角度α1によるブレーキ片25の半径方向内方への
分力によってブレーキ作用が働かないため、スピンドル
回転の急上昇に対するリング回転の追従上昇を妨げるこ
とがなく、始動時の紡糸張力ショックが吸収され、糸切
れの発生が防止される。
【0108】また、リング回転が上昇し、ブレーキ片2
5がブレーキ摺接面39に接触した後は、ブレーキ片2
5に加わる遠心力と斜めの壁面61aへの空気流Jによ
る圧力とによってブレーキ力が発生するが、そのブレー
キ力はブレーキ摺接面39を半径方向外方へのみ押すの
で、しかも周方向においてバランスがとれているので、
軸承部12には軸方向への荷重や偏荷重がかからない。
【0109】したがって、ブレーキ片25が接触した後
のスピンドル回転上昇に対するリング回転の追従上昇幅
を大きくすることができ、且つリング回転の過剰回転上
昇に対して空気抵抗によるブレーキ力の加重による抑制
力により、スピンドルに対するリング回転差を適当に保
つので、糸切れ増加や糸質低下をともなうことなく、ス
ピンドル回転の上昇を容易にするとともに、各個別錘の
紡糸張力及び分玉、チェースなど紡出過程の経時的又は
サイクル的な張力変化やトラベラー焼損による張力変化
のすべてをリング回転の変化として吸収し、均一張力に
よる糸質の向上が図られる。また、紡績用回転リングの
構造が簡単化され、リング回転体13が軽量化され、部
品精度の均一化及びコスト低減が図られる。
【0110】また、ブレーキ片25の回転と、切欠き溝
61を通過する空気流Jによって、軸承部12から下部
ローター22のテーパー機構を経由して、排出される風
線塵その他のダストが生じた場合にも、上述のブレーキ
機構によってリング下部に排出され、風線詰まりを防止
する機能を有する。
【0111】上述の実施例のブレーキ機構は、組立構造
の簡素化、金型成形による部品精度の均一化、及びコス
ト低減効果が大きく、軸承部12に対するブレーキ負荷
をなくしたことによる軸受磨耗の減少、ブレーキ動力の
節減、及び個々錘における紡糸張力変動要因に基づくリ
ング回転変速範囲の拡大によって、機台、スピンドル回
転の高速化を達成することができる。
【0112】上述の実施例において、ガイド溝24B,
24C,24Dの半径線に対する傾斜角度、偏心円弧の
偏心量、円弧半径、その他、始動時のタイムラグ調整を
含むリング回転上昇特性曲線のタイミングを左右する諸
要件は、紡出繊維の品種、番手、仕掛けトラベラーの重
量、紡出速度、その他、使用目的、機台条件に応じて任
意に設定、調整することができる。ブレーキ片25に重
鎮63を充填したが、重鎮63を充填しないブレーキ片
を用いてもよい。
【0113】上述の実施例において、ブレーキ片25〜
25E、ガイド溝24〜24E、スライドガイド23、
リング回転体13、軸承部12、ホルダー11などの構
造、形状、寸法、材質などは、本発明の主旨に沿って種
々変更することができる。
【0114】
【発明の効果】本発明によると、紡出始動時において、
リング回転が一定限度に達するまではブレーキ作用が働
かないので、スピンドル回転の急上昇に対するリング回
転の追従上昇を妨げることがなく、始動時の紡糸張力シ
ョックが吸収され、糸切れの発生が防止される。
【0115】また、ブレーキ片とブレーキ摺接面との接
触によるブレーキ力は、ブレーキ摺接面を半径方向外方
へのみ押すので、軸承部に対して軸方向への荷重や偏荷
重がかからない。
【0116】したがって、ブレーキ片が接触した後のス
ピンドル回転上昇に対するリング回転の追従上昇幅を大
きくすることができ、糸切れ増加や糸質低下をともなう
ことなくスピンドル回転の上昇を容易にするとともに、
各個別錘の紡糸張力及び分玉、チェースなど紡出過程の
経時的又はサイクル的な張力変化やトラベラー焼損によ
る張力変化をリング回転の変化として吸収し、均一張力
による糸質の向上を図ることが可能となり、且つ軽量
化、構造簡単化と精度向上によるコスト低減の利点を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の紡績用回転リングの
断面正面図である。
【図2】図1の紡績用回転リング1のII─II線矢視断面
図である。
【図3】スライドガイドを拡大して示す平面断面図であ
る。
【図4】ブレーキ片を拡大して示す右側面図である。
【図5】ブレーキ片の平面図である。
【図6】ブレーキ片の正面図である。
【図7】ブレーキ片の断面側面図である。
【図8】他の実施例のブレーキ片の平面図である。
【図9】他の実施例の紡績用回転リングの図2と同様の
断面図である。
【図10】他の実施例の紡績用回転リングの図2と同様
の断面図である。
【図11】他の実施例の紡績用回転リングの図2と同様
の断面図である。
【図12】他の実施例の紡績用回転リングの一部の断面
正面図である。
【図13】図12の紡績用回転リングの断面平面図であ
る。
【図14】ブレーキ片の底面図である。
【図15】他の実施例の紡績用回転リングの一部の断面
正面図である。
【図16】図15の紡績用回転リングのブレーキ片の平
面図である。
【図17】本発明に係る紡績用回転リングの特性及び公
知間接摩擦ブレーキ方式回転リングの特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F 紡績用回転
リング 11 ホルダー 12 軸承部 13 リング回転体 23,23E スライドガイド 23a ガイド鍔部 24,24B,24C,24D,24E ガイド溝 24a 底面 24b,24c 壁面 24e 突起筋 25,25B,25C,25D,25E,25F ブレ
ーキ片 25a 底面 25b,25c 側面 25h 凹溝 39 ブレーキ摺接面 61,61A,61C 切欠き溝 61a 壁面(斜壁面)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リングレールに固定されるホルダーと、前
    記ホルダーによって軸受部を介して回転自在に支持され
    るリング回転体とを有してなる紡績用回転リングにおい
    て、 前記リング回転体には、ほぼ半径方向に沿う複数のガイ
    ド溝が周方向に等間隔で形成されたスライドガイドが設
    けられ、 前記各ガイド溝には、当該ガイド溝に沿って移動可能な
    ブレーキ片が嵌め込まれ、 前記ホルダーの内周には、前記ブレーキ片が当接して摺
    動することが可能なブレーキ摺接面が設けられ、 てなることを特徴とする紡績用回転リング。
  2. 【請求項2】前記ガイド溝は、半径方向外方が上方に傾
    斜するように形成されており、 前記ブレーキ片は、前記ガイド溝内において、前記回転
    リングが所定の回転数よりも低いとき又は停止している
    ときに、その自重によって半径方向内方に移動して前記
    ブレーキ摺接面とは非接触となるように構成されてな
    る、 請求項1記載の紡績用回転リング。
  3. 【請求項3】前記ガイド溝は、平面視において半径方向
    に沿って真っ直ぐに形成されてなる、 請求項1又は請求項2記載の紡績用回転リング。
  4. 【請求項4】前記ガイド溝は、平面視において、半径方
    向外方が回転方向後方に傾斜するように形成されてな
    る、 請求項1又は請求項2記載の紡績用回転リング。
  5. 【請求項5】前記ガイド溝は、平面視においてにおい
    て、半径方向外方が回転方向前方に傾斜するように形成
    されてなる、 請求項1又は請求項2記載の紡績用回転リング。
  6. 【請求項6】前記ガイド溝の両側の各壁面は、平面視に
    おいて直線状である、 請求項4又は請求項5記載の紡績用回転リング。
  7. 【請求項7】前記ガイド溝の両側の各壁面は、平面視に
    おいて曲線状である、 請求項4又は請求項5記載の紡績用回転リング。
  8. 【請求項8】前記スライドガイドは、 リング状であって且つ鉛直面による断面形状が略L字状
    であり、 前記回転リングのリング本体の内周面に沿って嵌め込ま
    れた円筒状部と、前記円筒状部に連続して前記リング本
    体の下端部から半径方向の外方へ向かって張り出したガ
    イド鍔部とからなっており、 前記ガイド溝は、前記ガイド鍔部の上面に形成されてな
    る、 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の紡績用回転リ
    ング。
  9. 【請求項9】前記ホルダーは、その下端部の外周面側か
    ら下方に突出したブレーキ筒を有しており、 前記ブレーキ摺接面は、前記ブレーキ筒の内周面に形成
    されてなる、 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の紡績用回転リ
    ング。
  10. 【請求項10】前記リング本体の下端面は、前記ガイド
    溝の底面と平行に形成され、 前記ブレーキ片の上面と前記リング本体の下端面との間
    には第1の間隙が設けられており、 前記ブレーキ片の上面と前記ブレーキ摺接面に連続する
    前記ホルダーの下端面との間には第2の間隙が設けられ
    ており、 前記第2の間隙は前記第1の間隙よりも大きく設定され
    てなる、 請求項9記載の紡績用回転リング。
  11. 【請求項11】前記ブレーキ片の上面又は下面の少なく
    とも一方には、前記リング回転体の回転によって生じる
    空気流の圧力によって当該ブレーキ片を半径方向外方へ
    押す力を生じさせるための、周方向に対して傾斜した斜
    壁面が形成されてなる、 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の紡績用回転リ
    ング。
  12. 【請求項12】前記斜壁面は、 前記ブレーキ片の幅方向の全幅にわたって設けられた切
    欠き溝の半径方向外方の壁面からなる、 請求項11記載の紡績用回転リング。
  13. 【請求項13】前記斜壁面は、前記ブレーキ片の全幅に
    わたって円弧状に延びるように形成されてなる、 請求項11記載の紡績用回転リング。
  14. 【請求項14】前記斜壁面は、前記ブレーキ片の全幅に
    わたって直線状に延びるように形成されてなる、 請求項11記載の紡績用回転リング。
  15. 【請求項15】前記斜壁面は、幅方向の両端から幅方向
    の中央に向かって傾斜するように形成されてなる、 請求項11記載の紡績用回転リング。
  16. 【請求項16】前記ブレーキ片の下面には、当該ブレー
    キ片の移動方向に沿った複数のスライド溝が設けられて
    なる、 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の紡績用回転リ
    ング。
  17. 【請求項17】前記ガイド溝の底面には突起が設けら
    れ、 前記ブレーキ片の底面には前記突起と係合する凹所が設
    けられ、 てなる請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の紡績用
    回転リング。
  18. 【請求項18】前記スライドガイド及び前記ブレーキ片
    は、導電性を有したエンジニアリングプラスチックから
    なる、 請求項1乃至請求項7記載の紡績用回転リング。
  19. 【請求項19】前記ブレーキ片には、重量及び重心位置
    の調整のために、エンジニアリングプラスチックと比重
    の異なる物質が一部に充填されてなる、 請求項18記載の紡績用回転リング。
  20. 【請求項20】前記ガイド溝は、半径方向外方が上方に
    傾斜するように形成されており、 前記ブレーキ片は、前記ガイド溝内において、前記回転
    リングが所定の回転数よりも低いとき又は停止している
    ときに、その自重によって半径方向内方に移動して前記
    ブレーキ摺接面とは非接触となるように構成されてお
    り、 前記ブレーキ片の上面又は下面の少なくとも一方には、
    前記リング回転体の回転によって生じる空気流が当たる
    ことにより当該ブレーキ片を半径方向外方へ押す力を生
    じさせるための、周方向に対して傾斜した斜壁面が形成
    され、 前記ブレーキ片には、重量及び重心位置の調整のため
    に、エンジニアリングプラスチックと比重の異なる物質
    が一部に充填されており、 前記ガイド溝の上下方向の傾斜角度、前記斜壁面の周方
    向に対する傾斜角度、及び充填された前記物質の材質
    が、使用条件に応じて最適化されてなる、 請求項1記
    載の紡績用回転リング。
JP26220194A 1994-10-26 1994-10-26 紡績用回転リング Pending JPH08120530A (ja)

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