JPS6335730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は超高速リング精紡機の回転リング制動
装置に関するものであり、更に詳しくは回転リン
グの停止時期を、エアベアリングを介して回転自
在に浮遊支持された回転リングを備えた超高速リ
ング精紡機の停止時期と同調させるための回転リ
ング制動装置に関するものである。

従来の技術 リング式精紡機の高速化に際し、リングとトラ
ベラとの間に働く摩擦抵抗を減少させる目的で、
エアベアリングを介してリングを回転自在に支持
する方式が提唱されている。このような回転リン
グを備えた精紡機は、在来の固定式リングを備え
た精紡機に比較して著しく高いスピンドル回転数
を有し〔例えば常用スピンドル30000r／ｍ乃至
50000r／ｍ〕、生産性の向上ならびに製造コスト
の低減に対して注目すべき効果を発揮することが
できる。

発明が解決しようとする問題点 上記の如きエアベアリングで浮遊支持された回
転リングを使用し、定常紡糸時に於けるトラベラ
と回転リングとの相対速度を減少させることによ
つて、摩擦抵抗の増大に起因するトラベラの飛散
や焼損、あるいはこれらの障害に起因する糸切れ
の多発等のトラブルを効果的に回避することがで
きる。しかしながら、回転式リングを備えた精紡
機に、以下に記載するような特有の問題点が付随
していることも否定することのできない事実であ
る。即ち、精紡機停止時に回転リングに全く制動
力が作用しないと、第４図に見られるように、ス
ピンドルインサートに回転自在に支持されている
スピンドルと、スピンドルインサートの軸受部材
との間に働く摩擦抵抗等によつて、スピンドルが
比較的早く停止するのに対し、エアベアリングに
よつて浮遊状態に支持された回転リングとエアベ
アリングとの間には、前者に比較して小さな摩擦
抵抗が働くに過ぎず、回転リングはスピンドルが
停止した後に於いても実質上非制動状態に置か
れ、慣性により回転し続ける傾向を示す。この結
果、既に停止状態に到達したスピンドルに紡出糸
条が捲き付き、糸切れとなる。このような障害を
回避するためには、スピンドルの回転数が設定値
を下廻る迄に、前記回転リングの惰性回転を実質
上停止せしめる必要がある。斯くして、複数個の
ブレーキシユーから回転リングにエアベアリング
の許容ラジアル荷重よりも小さな合成制動力を伝
達し、該回転リングをスピンドルの回転停止に先
立つて完全に停止せしめる全錘一斉停止方式の回
転リング制動装置の設置が要請され、これに応え
て種々の型式の制動装置が提唱されている。しか
しながら、在来の制動装置は一般的に構造が複雑
であり、超高速リング精紡機の生産性向上ならび
に紡出糸条の品質向上を図るうえに大きな制約が
認められていた。

本発明の主要な目的は、超高速リング精紡機、
特にその回転リング制動装置に認められている上
記の如き問題点を解決することのできる、制動リ
ングの周囲に２個の弾性制動部材を対設してなる
回転リング制動装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段 斯かる目的に鑑みて本発明は、リングレールに
装着されたエアベアリングを介して回転自在に浮
遊支持された回転リングを有する超高速リング精
紡機に於いて、前記回転リングの制動装置を、前
記回転リングと一体構造をなす制動リングと、該
制動リングの周囲に配設された弾性制動機構とで
構成した超高速リング精紡機の回転リング制動装
置を要旨とするものである。

作 用 回転リングに固着された制動リングの周囲に配
設された２個の弾性制動部材の制動圧ならびに制
動開始時期を調節することによつて、スピンドル
の回転数が予め設定された下限値を下廻る迄に回
転リングの回転運動を停止させる。本発明に係る
制動装置を使用することによつて、回転リングの
惰性回転による糸切れの発生を効果的に防止する
ことができる。

実施例 １ 第１図は本発明の第１の実施態様を例示する回
転リング制動装置の部分平面図であり、第３図は
エアベアリングによつて浮遊状態に支持された回
転リングの縦断面図である。先ず、回転リング１
は、第３図に見られるようにその下部に円筒状の
制動リング１ａを固着すると共に、リングレール
２に装着されたエアベアリング３によつて回転自
在に、且つ、リングレール２に対して浮遊状態で
支承されている。エアベアリング３は、ステンレ
ス鋼製のハウジング部材４の内部に、多孔質の焼
結金属材料から成形されたエア担持リング５なら
びにアルミニユーム製の回転体６を嵌装したもの
であつて、エア導入口７から導入されたエアを回
転リング１および該回転リングの下部に接合され
た制動リング１ａの浮遊支持媒体として機能せし
めるように、回転リング１と制動リング１ａとの
中間に円環状のエア導入室３ａを形成している。
回転リング制動装置は第１図に例示するように、
前記リングレール２の幅方向中心に垂設された第
１のピン８ａに一端を嵌挿し、他端を後記弾性制
動機構の支持部材１３ａ，１３ｂの側縁部に垂設
された第２のピン８ｂに嵌挿した２個１組の揺動
レバー９ａ，９ｂと、制動リング１ａの側周面と
対向するようにリングレールの全長に亘つて互い
に平行に配設された２本の支持部材１３ａ，１３
ｂの内側面に２個１組で対向配置された弾性制動
機構１０ａ，１０ｂから構成されている。更に詳
細に説明すると、本実施例に於ける弾性制動機構
１０ａ，１０ｂは、バネ材１１ａ，１１ｂおよび
ブレーキシユー１２ａ，１２ｂから構成されてお
り、制動時に前記エアベアリング３の許容ラジア
ル荷重よりも低い制動圧を制動リング１ａに作用
させるため、バネ材１１ａ，１１ｂのバネ定数な
らびに合成ゴム等の高摩擦性材料から成形された
ブレーキシユー１２ａ，１２ｂの摩擦係数を適切
に選定されている。尚、ブレーキシユー１２ａ，
１２ｂおよびバネ材１１ａ，１１ｂは、制動時の
バツクリング現象を回避するため、前記制動リン
グ１ａの中心に対して点対称状に、即ち、回転リ
ング１の回転方向から見て下流側にブレーキシユ
ー１２ａ，１２ｂを固着したバネ材１１ａ，１１
ｂの先端部が位置するように支持部材１３ａ，１
３ｂに対する配設位置を調整されている。上記の
説明から理解されるように、支持部材１３ａ，１
３ｂならびに揺動レバー９ａ，９ｂは、回転リン
グ１の制動時に前記第１のピン８ａを中心にして
相対移動することによつて該支持部材１３ａ，１
３ｂの間隔を狭める平行リンク機構を形成してお
り、該支持部材同士の接近動作を利用してバネ材
１１ａ，１１ｂの先端部に固着されたブレーキシ
ユー１２ａ，１２ｂを制動リング１ａの側胴面に
押し当て、回転リング１に所望の制動力を伝達す
る。尚、超高速リング精紡機のギヤエンドもしく
はアウトエンドに向かつて延びる前記支持部材１
３ａ，１３ｂの端部には、減圧弁、電磁弁、タイ
マーおよびスピンドル回転数の検出器等からなる
制動力の制御装置〔何れも図示省略〕が連設され
ており、該制御装置の作動条件を調節することに
よつて、回転リング１の制動時期ならびに制動リ
ング１ａに作用する押圧力の大きさを自由に設定
することができる。

実施例 ２ 第２図は本発明の第２の実施態様を例示する回
転リング制動装置の部分平面図である。エアベア
リング３による回転リング１の浮遊支持状態は第
３図に示す実施態様と同様であるから細部に亘る
説明は省略する。本実施例に於ける回転リング制
動装置は、リングレール２の全長に亘つて平行に
配設されたスリツト１３付き鋼管１４ａ，１４
ｂ、該スリツト付き鋼管内に挿入された弾性変形
可能な合成ゴム製チユーブ１５ａ，１５ｂ、リン
グレール２の下面に於いて隣接するスピンドル間
に固着された支持片１６ａ，１６ｂ………、該支
持片に基端部を固着され、隣接する制動リング１
ａ，１ｂの回転方向に沿つてＳ字状に延びるバネ
材１７ａ，１７ｂ、および該バネ材の先端に固着
された状態で前記制動リング１ａ，１ｂの側周面
ならびにスリツト１３と対向するブレーキシユー
１２ａ，１２ｂから構成されている。

超高速リング精紡機の全錘一斉停台に際して
は、前記合成ゴム製チユーブ１５ａ，１５ｂ内に
圧縮空気を導入し、スリツト１３から該合成ゴム
製チユーブを膨出させ、これによつてブレーキシ
ユー１２ａ，１２ｂに制動リング１ａ，１ｂ制動
用の押圧力を伝達する。尚、超高速リング精紡機
のギヤエンドおよびアウトエンドに向かつて延び
る前記合成ゴム製チユーブ１５ａ，１５ｂの端部
は、前記実施例１と同様に電磁弁、タイマー、減
圧弁およびスピンドル回転数の検出器等からなる
制動力の制御装置〔何れも図示省略〕に接続され
ており、該制御装置の作動条件を調整することに
よつて、合成ゴム製チユーブ１５ａ，１５ｂ内に
導入する空気の圧力、回転リング１の制動開始時
期ならびに制動リング１ａ，１ｂに付与する押圧
力の大きさを自由に設定することができる。

発明の効果 本発明装置は上記の如き構造を備えているか
ら、制動リングに対する弾性制動機構の作動開始
時期ならびに制動力の大きさを適切に選定するこ
とによつて、第４図に参照符号Ａで示すように、
超高速リング精紡機の停止に際し、予め設定され
た回転リングのブレーキ作動点Cpで作動し、回
転リングの回転を急速に停止せしめる。従つて、
本発明装置によれば、回転リングの惰性回転に起
因する超高速リング精紡機停止時の糸切れを略完
全に防止することができる。本発明装置はまた、
その全体構造が極めて簡易であるから、故障が少
なく、安定した制動性能を長期間に亘つて持続す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の実施態様を例示
する回転リング制動装置の部分平面図であり、第
３図はエアベアリングによつて浮遊状態に支持さ
れた回転リングの縦断面図である。また第４図は
本発明装置の制動特性を例示する回転数−惰性回
転時間線図である。 １……回転リング、１ａ……制動リング、２…
…リングレール、３……エアベアリング、１１
ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂ，１５ａ，１５ｂ，
１７ａ，１７ｂ……弾性制動機構。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ リングレールに装着されたエアベアリングを
   介して回転自在に浮遊支持された回転リングを有
   する超高速リング精紡機に於いて、前記回転リン
   グの制動装置を、前記回転リングと一体構造をな
   す制動リングと、該制動リングの周囲に配設され
   た弾性制動機構とで構成したことを特徴とする超
   高速リング精紡機の回転リング制動装置。 ２ 前記弾性制動機構を、制動リングの周囲に対
   向状態で配設された複数個のブレーキシユーから
   形成してなる特許請求の範囲第１項に記載の回転
   リング制動装置。 ３ 前記ブレーキシユーの固着端を、制動リング
   の回転方向から見て上流側に位置せしめた特許請
   求の範囲第２項に記載の回転リング制動装置。