JPH0689437B2 - オ−ステナイト系ステンレス鋼合金 - Google Patents

オ−ステナイト系ステンレス鋼合金

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JPH0689437B2
JPH0689437B2 JP1056575A JP5657589A JPH0689437B2 JP H0689437 B2 JPH0689437 B2 JP H0689437B2 JP 1056575 A JP1056575 A JP 1056575A JP 5657589 A JP5657589 A JP 5657589A JP H0689437 B2 JPH0689437 B2 JP H0689437B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、原子炉の内部のごとくに高度の放射線照射を
受ける環境中において使用するためのオーステナイト系
ステンレス鋼合金組成物に関するものである。更に詳し
く言えば本発明は、照射促進応力腐食割れに対する優れ
た抵抗性を有しかつ照射によって誘起される長期放射能
すなわち、誘導放射能による長期にわたる影響の低減を
示すようなオーステナイト系ステンレス鋼合金組成物に
関する。
発明の背景 原子炉用の部品を製造するためには、腐食性条件および
その他の侵食性条件に対して優れた抵抗性を有すること
が知られるステンレス鋼合金、とりわけ高クロム−ニッ
ケル型のステンレス鋼合金が通例使用されている。たと
えば、核燃料、中性子吸収用制御ユニットおよび中性子
源ホルダは、タイプ304ステンレス鋼もしくは類似の合
金組成物から成る被覆または外被の内部に収容されてい
ることが多い。上記のものをはじめとする多くのかかる
部品は、強い放射線や高い温度のごとき攻撃的な条件が
最も苛酷かつ強力に作用する原子炉の核分裂性炉心の内
部および周囲に配置されるのである。
一般に、液体化焼なましまたは圧延焼なましを施したス
テンレス鋼は、様々な劣化原因の中でも、粒間応力腐食
割れおよびそれに伴う破損に対して実質的な抵抗性を有
するものと考えられている。しかしながら、水冷型原子
炉の核分裂性炉心の内部および周囲において使用した場
合に通例見られるような高度の放射線照射を受けた際に
は、粒間応力腐食割れのためにステンレス鋼の劣化およ
び破損が起こることが判明した。このような照射に伴う
粒間応力腐食割れは、ステンレス鋼がいわゆる液体化焼
なましまたは圧延焼なましを受けた状態にあっても起こ
るのである。なお、上記のごとき溶体化焼なましまたは
圧延焼なましとは、ステンレス鋼を通例約1850〜約2050
°Fの範囲内にまで加熱した後に急冷することにより、
炭化物を溶体化すると共にそれらの核生成および粒界へ
の析出を防止するための処理技術である。
それ故、放射線の場の集中、多量の放射線照射あるいは
それら両方に由来する高レベルの放射線照射は、とりわ
け不純物の偏析を促進することにより、ステンレス鋼の
劣化をもたらす大きな要因の1つであるという理論が立
てられている。
溶体化焼なましまたは圧延焼なましによる脱鋭敏化を受
けていないステンレス鋼、すなわち放射線照射を受けな
いステンレス鋼については、粒間応力腐食割れを軽減す
るために様々な努力が行われてきたが、その中には「安
定化」された合金の開発が含まれている。たとえば、安
定な炭化物を生成するように意図された各種の合金元素
を含有する合金が開発されている。かかる安定な炭化物
とは、少なくとも1900°Fの焼なまし温度における溶体
化に耐えて炭素を保持し、それによって以後の高温暴露
時における炭化クロムの生成を防止するようなものであ
る。このような目的のために提唱された合金元素として
はチタン、ニオブおよびタンタルが挙げられる。かかる
ステンレス鋼合金の一例としては、タイプ348の名称で
市販されているものが挙げられる。米国金属学会から19
80年に刊行された「メタルズ・ハンドブック(Metals H
andbook)」(第9版)の第3巻の5頁には、タイプ348
ステンレス鋼が下記のごとき組成を有することが示され
ている。合金成分 重量パーセント C 最高0.08 Mn 最高2.00 Si 最高1.00 Cr 17.0〜19.0 Ni 9.0〜13.0 P 最高0.045 S 最高0.03 Cu 最高0.2 Nb+Ta Cの最低10倍 発明の要約 本発明は、放射線照射を受ける用途のために有用な、特
定比率の合金元素を含有するオーステナイト系ステンレ
ス鋼合金組成物に関する。かかるオーステナイト系ステ
ンレス鋼合金組成物は放射線照射の劣化作用に対して抵
抗性を有すると共に、照射によって誘起される長期放射
線の低減をも示すものである。
発明の目的 本発明の主たる目的は、高レベル放射線への長期暴露に
帰因し得る有害な作用に対して効果的な抵抗性を有する
オーステナイト系ステンレス鋼合金組成物を提供するこ
とにある。
また、長い期間にわたって高レベルの放射線に暴露され
た場合にもそれの物理的および化学的健全性を実質的に
保持するようなオーステナイト系ステンレス鋼合金組成
物を提供することも本発明の目的の1つである。
更にまた、照射によって促進される粒間応力腐食割れに
対して効果的な抵抗性を有するようなオーステナイト系
ステンレス鋼合金組成物を提供することも本発明の目的
の1つである。
更にまた、使用に際して多量の高レベル放射線照射を受
けたことによって生じる長期放射能の低減を示すような
オーステナイト系ステンレス鋼合金組成物を提供するこ
とも本発明の目的の1つである。
更にまた、照射後における放射線の放出が少ないために
安価に処理し得るようなオーステナイト系ステンレス鋼
合金組成物を提供することも本発明の目的の1つであ
る。
発明の詳細な説明 本発明は、シー・エル・マンテル(C.L.Mantell)編
「エンジニアリング・マテリアルズ・ハンドブック(En
gineering Materials Handbook)」(1958年版)の5−
12および5−13頁の第5−4表中に示されたような高ク
ロム−ニッケル型のオーステナイト系ステンレス鋼(す
なわち、タイプ304および関連する高クロム−ニッケル
合金)において見られることのある照射劣化感受性の問
題を解決することを主眼とするものである。上記のごと
きオーステナイト系ステンレス鋼は、約18〜20(重量)
%のクロム、約9〜11(重量)%のニッケル、最高約2
(重量)%のマンガン、並びに残部の鉄および偶発不純
物から成っている。
本発明はタイプ304オーステナイト系ステンレス鋼の改
良を成すものであって、かかる標準のオーステナイト系
ステンレス鋼の特定成分に一定の制限を加えると共に正
確な比率の追加合金成分を含有させて成るような特定の
合金組成物に関する。
本発明の合金組成物は、下記に述べるような基本合金成
分に関する要求条件を別にすれば、約18〜20(重量)%
のクロム、約9〜11(重量)%のニッケル、約1.5〜2
(重量)%のマンガン、並びに残部の鉄および偶発不純
物から成っている。タイプ304のオーステナイトステン
レス鋼に準じるためであるかかる合金組成物の炭素含量
は約0.02〜約0.04(重量)%に制限される。また、ニオ
ブおよびタンタルの合計量は炭素含量の最低14倍に相当
すると共に、合金組成物全体の最高約0.65(重量)%ま
でに制限される。ニオブ及びタンタルは、高いレベルや
長期にわたる照射を受けた場合の応力腐食割れ耐性を高
める効果がある。特に、ニオブはタンタルより有効であ
る。そして、前述の最大量の制限により、誘導放射能に
よる長期にわたる影響を防止できる。更にまた、ニオブ
の含量は合金組成物全体の約0.25(重量)%以下に制限
される。0.25(重量)%を超えるとNb94の半減期(2000
0年)が極めて長いため、これを含む原子炉用部品の使
用終了後の取扱いに厳しい影響を及ぼすことになる。従
って、タンタルの含量は合金組成物全体の約0.4(重
量)%までの値を取り得るわけである。0.4(重量)%
より多くしても、応力腐食割れに対する効果の増大より
も中性子吸収による損失が重大になってくる。尚、タン
タルの半減期(Ta182114日)は短い。
上記に規定されたような炭素の含量並びにニオブおよび
タンタルの比率を別にすれば、本発明の合金組成物を構
成する(数種の偶発成分を含めた)残りの成分の概略含
量は下記の通りである。合成成分 重量パーセント 鉄 残 部 クロム 18.0〜20.0 ニッケル 9.0〜11.0 マンガン 1.5〜2.0 リン 最高0.005 硫黄 最高0.004 ケイ素 最高0.03 窒素 最高0.03 アルミニウム 最高0.03 カルシウム 最高0.01 ホウ素 最高0.003 コバルト 最高0.05 尚、ホウ素及びコバルトは、中性子吸収断面が極めて大
きいために制限される。リン、硫黄、窒素、カルシウ
ム、アルミニウム、ケイ素、各種脆性や粒間割れの原因
となるので制限される。また、アルミニウム、ケイ素フ
ェライトを生成するので、これを防止するためにも制限
される。
上記のごときオーステナイト系ステンレス鋼を例えば原
子炉内制御棒ユニットの材料に使用したが、原子炉の運
転により高レベル放射能にさらされたり、数年もの長期
間にわたって放射能にさらされたにもかかわらず、応力
腐食割れを生じることが従来のオーステナイト系ステン
レス鋼よりも少なかった。そして、使用終了後において
は約1年の貯蔵で取扱い可能なレベルに放射能が低下し
ていた。それ故、本発明の合金組成物を用いて原子炉の
内部および周囲において使用すべき各種部品を製造すれ
ば、照射条件下における長期の使用に際してもそれらは
健全な状態に保持されると共に効果的な性能を発揮する
のである。更にまた、本発明の合金組成物は、Nb94のよ
うな半減期の長い元素の量を制限したので、照射によっ
て誘起される長期放射能の低減を示すため、使用終了後
における処理の際の安全性が確保されると共に、経費の
節減および期間の大幅な短縮が得られることにもなる。
本発明に基づく好適なオーステナイト系ステンレス鋼合
金組成物を例示すれば、下記の通りである。合金成分 重量パーセント 炭素 0.033 クロム 19.49 ニッケル 9.34 マンガン 1.75 タンタル 0.40 ニオブ 0.02 硫黄 0.003 リン 0.001 窒素 0.003 ケイ素 0.03 鉄 残 部 物理的性質 降伏点(Ksi) 40.0〜47.0 伸び(%) 48〜52 結晶粒度(ASTM) 9.5 硬さ(Ra) 88
フロントページの続き (72)発明者 アルビン・ジョセフ・ジャコブス アメリカ合衆国、カリフォルニア州、サ ン・ホゼイ、オルモ・コート、1005番 (72)発明者 デビッド・ウェスレイ・サンダスキイ アメリカ合衆国、カリフォルニア州、ロ ス・ガトス、スカイライン・ブルーバー ド、19245番 (56)参考文献 特開 昭62−238355(JP,A) 特開 昭55−89458(JP,A) 特開 昭54−42325(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.04%以下の炭素、1.5〜2%のマンガ
    ン、18〜20(重量)%のクロム、9〜11(重量)%のニ
    ッケル、0.25(重量)%以下のニオブ、0.4(重量)%
    以下のタンタル、0.005(重量)%以下のリン、0.004
    (重量)%以下の硫黄、0.03(重量)%以下のケイ素、
    0.03(重量)%以下の窒素、0.03(重量)%以下のアル
    ミニウム、0.01(重量)%以下のカルシウム、0.003
    (重量)%以下のホウ素、0.05(重量)%以下のコバル
    ト、並びに残部の鉄および偶発不純物から成り、ニオブ
    およびタンタルの合計量が炭素の量の14倍以上で且つ0.
    65(重量)%以下であり、かつ前記ニオブの含量が合金
    組成物全体の0.25(重量)%以下に制限される結果とし
    て、照射促進応力腐食割れに対する抵抗性を有しかつ照
    射によって誘起される長期放射能の低減を示すことを特
    徴とする、放射線暴露用途のために有用な低炭素オース
    テナイト系ステンレス鋼合金組成物。
  2. 【請求項2】0.02〜0.04(重量)%の範囲内の量で炭素
    を含有する請求項1記載のステンレス鋼合金組成物。
  3. 【請求項3】少なくとも0.28(重量)%の合計量でニオ
    ブおよびタンタルを含有する請求項1記載のステンレス
    鋼合金組成物。
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