JPH0689429B2 - ろう付け後熱伝導度および犠牲陽極効果にすぐれた熱交換器フィン材用アルミニウム合金 - Google Patents

ろう付け後熱伝導度および犠牲陽極効果にすぐれた熱交換器フィン材用アルミニウム合金

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JPH0689429B2
JPH0689429B2 JP1242319A JP24231989A JPH0689429B2 JP H0689429 B2 JPH0689429 B2 JP H0689429B2 JP 1242319 A JP1242319 A JP 1242319A JP 24231989 A JP24231989 A JP 24231989A JP H0689429 B2 JPH0689429 B2 JP H0689429B2
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重徳 山内
祐治 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ラジエータやカーエアコンなどのようにフィ
ンと作動流体通路構成材料とがろう付により接合される
熱交換器のフィン材用アルミニウム合金に関し、特にろ
う付け後の熱伝導度が高く、犠牲陽極効果にすぐれたフ
ィン材用アルミニウム合金に関する。
[従来の技術] 自動車などのラジエータ、エアコン、インタークーラや
オイルクーラなどの熱交換器においては、Al−Cu系合
金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Cu系合金などの作動流体通
路構成材料と、アルミニウム系合金のフィン材とがろう
付けにより組立てられている。そして、フィン材には、
作動流体通路構成材料を防食するために犠牲陽極効果が
要求さえ、又、ろう付け時に高温加熱によって変形した
り、ろうが侵食したりしないように優れた耐高温座屈性
が要求される。ろう付け時の変形やろうの侵食を防ぐた
めにはMnの添加が有効であり、フィン材には3003や3203
などのAl−Mn系合金が用いられる。そして、犠牲陽極効
果を付与するためには、AI−Mn合金にZn、Sn、Inなどを
添加して電気化学的に卑にする方法(例えば特開昭62−
120455号公報参照)が、又、耐高温座屈性(耐高温サグ
性)を更に向上させるためには、Cr、Ti、Zrなどを添加
する方法(例えば特開昭50−118919号公報参照)が提案
されている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、近年、熱交換器の軽量化、コストの低減など
の要求が強く、これに対応するためには熱交換器の構成
材料(作動流体通路構成材やフィン材など)を薄肉化す
ることが必要となっている。しかしフィン材を薄肉化す
ると伝熱断面積が小さくなるために、熱交換性能に支障
をきたすという問題が生じている。
この問題を解消するためには、ろう付け後のフィン材の
熱伝導度を高めることが有効であるが、Al−Mn系合金の
場合、ろう付け時に高温でMnが固溶するため、熱伝導度
の低下が著しい。熱伝導性にすぐれたフィン材として、
Mn:0.1〜0.8%、Zr:0.02〜0.2%、及びSi:0.1〜0.8%を
含むアルミニウム合金も提案されているが(特公昭63−
23260号公報参照)、この場合、Mnが少ないためにろう
付け後の強度が低く使用中にフィン倒れや変形が生じや
すい。又、フィン材の電位が卑でないため、犠牲陽極効
果が小さい。又、Si:0.03〜0.3%、Fe:0.05〜0.6%を含
み、Zr:0.01〜0.4%。Mn:0.01〜0.3%の1種または2種
を含有するアルミニウム合金に提案されているが(特開
昭63−45352号公報参照)、この場合はフィン材の電位
が卑でないため、犠牲陽極効果が小さい。更に、熱伝導
度が高い純アルミニウム(1050、1070など)にZn、Sn、
InあるいはCr、Ti、Zrなどを添加したフィン材を使用す
る試みも行なわれているが、この場合、熱伝導度は高い
もののろう付け後の強度が低いためにフィン倒れが生じ
やすく、問題の根本的な解決にはなっていない。
本発明はこの点を根本的に解決せんとするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、種々のアルミニウム合金について検討を
行い、従来のAl−Mn系合金に比べてろう付け後の強度を
大幅に低下させることなく、熱伝導度が大幅に向上し、
犠牲陽極効果及び耐高温座屈性にすぐれたフィン材用ア
ルミニウム合金を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、Fe:0.9〜1.8%、Si:0.2〜0.6%、
Mn:0.1〜0.35%、Zr:0.05〜0.20%、Cu:0.3%以下を含
有し、更にIn:0.005〜0.1%、Sn:0.01〜0.1%、Ga:0.01
〜0.2%及びBi:0.01〜0.1%のうち1種又は2種以上を
含有し、残部Al及び不可避的不純物からなることを特徴
とするろう付け後熱伝導度及び犠牲陽極効果にすぐれた
熱交換器フィン材用アルミニウム合金である。
本発明における各成分の限定理由は次のとおりである。
Fe:Feは合金の強度すなわちろう付け前のフィン材の強
度とともにろう付け後の強度を向上させる。本発明合金
はMn、Siを含んでいるので、Fe:0.9%以上で強度向上の
効果が大きい。0.9未満では効果が十分でない。一方1.8
%を超えると鋳造時に粗大な晶出物が生成し、板材の製
造が困難になる。
Si:SiはAl−Mn−Si系あるいはAl−Mn−Fe−Si系の化合
物を生成してMnの固溶量を減少させ、熱伝導度を向上さ
せる。その含有量が0.2%未満では効果が十分でなく、
0.6%を越えると逆に熱伝導度が低下する。
Mn:Feと同様にろう付け前およびろう付け後の強度を向
上させる。又、耐高温座屈性および成形加工性を改良す
る。0.1%未満で効果が十分でなく、0.35%を越えると
熱伝導度が低下する。
Zr:Zrは耐高温座屈性を向上させる。下限未満では効果
が十分でなく、上限を越えるとろう付け後の熱伝導度が
低下する。
Cu:ろう付け後のフィンの強度を向上させる。上限を越
えると電位が貴になり、犠牲陽極効果が損われる。
In、Sn、Ga、Bi:フィン材の電位を卑にし、犠牲陽極効
果を付与する。下限未満では効果が十分でなく、上限を
越えると効果が飽和するばかりでなく、自己耐食性、圧
延加工性が劣化する。
その他の元素では、本発明合金の効果を損わない範囲
で、Mg、Cr、Tiなどを含んでもよい。ただし、いずれも
含有量が多くなると熱伝導度が低下するので、Mgは0.2
%以下、Crは0.05%以下、Tiは0.05%以下にすることが
望ましい。Mgは、フッ化物フラックスろう付けを行う場
合にはフラックスと反応するので更に低く、すなわち0.
1%以下に抑えることが望ましい。Tiは鋳造時の結晶微
細化のために合金元素として添加してもよいし、Al−Ti
−B微細化剤として添加してもよいが、上記の範囲内に
抑えることが望ましい。
[実施例] 第1表に示す合金No.1〜29を溶解・鋳造し、均質化処
理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍および仕上げ冷間圧
延を行い、0.07mm厚さのフィン材を得た。得られたフィ
ン材をろう付け後の条件とするために5×10-5Torr以下
の真空中で600℃×3分間の加熱処理を行った後、引張
試験、熱伝導度を測定した。一般に金属の熱伝導度と電
気伝導度との間には比例関係があるので、ここでは熱伝
導度に代えて電気伝導度(25℃)を測定した。また、犠
牲陽極効果を評価するため、pH3に調整した3%NaCl水
溶液中に8時間浸漬後、自然電極電位を測定した。
また、フィン材にコルゲート加工を施し、3003材を芯材
とし4004材を皮材(ろう材)とするプレート材の上に乗
せて、真空ろう付けを行い、ろう付け性を調べた。また
フィンとプレートの接合部についてCASS試験をJIS D02
01に基づき1ケ月間行い、プレートの最大腐食深さの測
定と、フィンの腐食状況を観察した。
結果を第1表に併記する。
本発明に係わる合金No.1〜13材は、引張強度が8.8kgf/m
m2以上と高く、電気伝導度も46%以上と高く(従来材の
3003は38%)熱伝導度が高いことを示している。また、
ろう付け性も良好であり、自然電極電位も−740から−7
90mVvsSCEの範囲であり電気化学的に卑である。また、C
ASS試験後のプレート材の最大腐食深さは、0.05〜0.07m
mと小さく犠牲陽極効果に優れている。また、フィンの
腐食状況も正常である。これに対し、比較合金のNo.14
は、Fe含有量が0.11%と少ないため、引張強度が7.8kgf
/mm2と低い。
No.15は、Fe含有量が2.03%と多いため、鋳造時に粗大
晶出物が生じたため、圧延が困難となり、試験を中断し
た。
No.16は、Si含有量が0.13%と少ないため、電気伝導度
が42%IACSと低く、熱伝導度が低い。
No.17は、Si含有量が0.85%と多いため、電気伝導度が4
1%IACSと低く、熱伝導度が低い。
No.18は、Mn含有量が0.08%と少ないため、引張強度が
8.0kgf/mm2と低い。
No.19は、Mn含有量が0.49%と多いため、電気伝導度が4
2%IACSと低く、熱伝導度が低い。
No.20はZr含有量が0.02%と少ないため、ろう付け試験
でフィンに座屈が生じた。これはフィン材中へろうが侵
食したためである。
No.21は、Zr含有量が0.29%と多いため、電気伝導度が4
2%IACSと低く、熱伝導度が低い。
No.22はCu含有量が0.49%と多いため、自然電極電位が
−700mVvsSCEであり、電気化学的に貴となり、犠牲陽極
効果に劣るものである。このためプレート材の最大腐食
深さも0.42mmと大きくなった。
No.23は、In、Sn、Ga、Biを含有しないため自然電極電
位が−700mVvsSCEと電気化学的に貴であり、犠牲陽極効
果に劣るものである。このためプレート材の最大腐食深
さも0.40と大きくなった。
No.24から27は、In、Sn、Ga及びBi含有量が発明の範囲
より多いため、フィン材の自己耐食性が劣り、フィンの
消耗が顕著である。
No.28は、従来使用されてきた3003合金の場合であり、
電気伝導度が38%IACSと低く、熱伝導度が低い。また、
自然電極電位が−680mVvsSCEと電気化学的に貴で、犠牲
陽極効果に劣るものである。このためプレート材の最大
腐食深さも0.45mmと大きくなった。
No.29は、従来使用されてきた3203合金にGaを添加した
場合であり、Gaの含有のために自然電極電位が−740mVv
sSCEとなり、犠牲陽極効果は改善されるが、電気伝導度
は37%IACSと低く、熱伝導度が低い。
[発明の効果] 本発明によると、熱伝導度、犠牲陽極効果、耐高温座屈
性、強度に優れたフィン材が提供でき、フィン材の薄肉
化が可能となり、熱交換器の軽量化、低コスト化に寄与
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 健志 愛知県名古屋市港区千年3丁目1番12号 住友軽金属工業株式会社技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−124811(JP,A) 特開 平1−234541(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe:0.9〜1.8%、Si:0.2〜0.6%、Mn:0.1〜
    0.35%、Zr:0.05〜0.20%、Cu:0.3%以下を含有し、更
    にIn:0.005〜0.1%、Sn:0.01〜0.1%、Ga:0.01〜0.2%
    及びBi:0.01〜0.1%のうち1種又は2種以上を含有し、
    残部Al及び不可避的不純物からなることを特徴とするろ
    う付け後熱伝導度及び犠牲陽極効果にすぐれた熱交換器
    フィン材用アルミニウム合金。
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