JPH0689017B2 - Bbm−2478b抗生物質 - Google Patents

Bbm−2478b抗生物質

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JPH0689017B2
JPH0689017B2 JP5107146A JP10714693A JPH0689017B2 JP H0689017 B2 JPH0689017 B2 JP H0689017B2 JP 5107146 A JP5107146 A JP 5107146A JP 10714693 A JP10714693 A JP 10714693A JP H0689017 B2 JPH0689017 B2 JP H0689017B2
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正隆 小西
孝子 菅原
威夫 宮気
洋 川口
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ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社
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    • C07H17/04Heterocyclic radicals containing only oxygen as ring hetero atoms
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な抗生物質ならびに
その生産、採取および2種の生物活性成分への分離に関
する。
【0002】
【従来の技術】本発明の抗生物質化合物は、アグリコ
ン、チヤータリン(chartarin)、チヤートリ
ユーシン(chartreusin)のアグリコンおよ
び1つの糖部分からなるグリコシドである。本発明のB
BM−2478Bはアグリコンに結合している式
【0003】
【化4】
【0004】の1つの糖部分を有し、一方本発明に関連
のある他の抗生物質であるBBM−2478Aは更に式
【0005】
【化5】
【0006】を有するアミノ糖を有している。
【0007】例えば、J.アム.ケム.ソク(J.A
m.Chem.Soc.)、75巻、4011−401
2頁、1953年およびヘルブ.シム.アクタ(Hel
v.Chim.Acta)、47巻、1459−148
4頁、1964年に開示されている抗生物質チヤートリ
ユーシンは本発明の抗生物質と同じアグリコン部分を有
しているが、2種の異った糖、すなわちD−フコースお
よびD−ジキタロースを含有している。
【0008】チヤートリユーシンは下記の構造式
【0009】
【化6】
【0010】を有し、そしてストレプトマイセス・チヤ
ートリユーシス(StrePtomyces char
treusis)、ストレプトマイセス・SP.No.
747〔S.ヴイリデイス(S.viridis)、ス
トレプトマイセス・Sp.6A36〔S.ヴイリドクロ
モゲネス(S.viridochromogenes)
およびストレプトマイセス・Sp.X−3988および
S−465と称される2種の放線菌の醗酵により生産さ
れる。チヤートリユーシンは一見すると抗生物質747
および抗生物質X−465Aと同じものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、BBM−2
478Bと称する新規な抗生物質を提供しようとするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】BBM−2478Bは菌
株J907−21(ATCC 39417)と称する放
線菌またはその変異株を深部好気条件下に同化可能な炭
素および窒素源を含む水性栄養培地中でその中に実質的
な量のBBM−2478Bが該菌株で生産されるまで培
養し、そして次に培地からBBM−2478Bを採取す
ることにより生産される。生成物はBBM−2478A
およびBBM−2478Bと称する2種の生物活性成分
抗生物質を含有し、これらは通常のクロマトグラフイー
操作で分離され、実質的に純粋な形態で単離することが
できる。
【0013】BBM−2478AおよびBは好気性グラ
ム陽性細菌および嫌気性細菌に対して抗菌活性を示す。
BBM−2478Aはまた実験動物腫瘍での悪性腫瘍の
生育を抑制する。
【0014】本発明はBBM−2478Bと称する新規
なグリコシド抗生物質ならびに菌株J907−21と称
する放線菌菌株の醗酵によるその製造に関する。エル・
サルバドルで採集された土壌試料から単離された生産菌
は現在のところ非ストレプトマイセス放線菌菌株として
のみ分類されている。この菌株の生物学的に純粋な培養
体は常法で調製され、米国、ワシントン州、アメリカン
・タイプ・カルチユア・コレクシヨン(the Ame
rican TyPe Culture Collec
tion)に受理番号ATCC39417で寄託されて
いる。
【0015】生産培養体の分類学 菌株J907−21は良く分枝した、非断片栄養菌糸を
形成するが、真の気菌糸を担有する能力を欠除してい
る。この菌株は現在まで検査したところでは無胞子性で
ある。細胞壁にメソージアミノピメリン酸また全細胞加
水分解物にマデユロース(madurose)含有して
いるので、菌株J907−21は細胞壁タイプIII
に入る。菌株J907−21は例えば胞子鎖および胞子
のうのようないずれの形態学的に重要な主要部を担有し
ていない。それで、現在のところ、菌株J907−21
は非ストレプトマイセス放線菌菌株として分類すること
ができるのみである。
【0016】形態学 菌株J907−21は長い、良く分枝した栄養菌糸(巾
0.4μm)を形成し、この菌糸は棒状もしくは球状細
胞に分断されていない。発育不全の短い気菌糸が若干の
寒天培地で時には形成されるが、真の気菌糸はいずれの
記述培地でも形成されない。胞子形成部分および胞子は
検査された限りでは観察されていない。
【0017】培養特性 表1に示すように、この菌株は天然有機培地では普通に
生育するが、ほとんどの合成培地では貧弱な生育を示
す。菌株907−21は真の気菌糸を形成しないが、発
育不全の短い気菌糸が部分的にISP No.2および
4ならびにベネツト寒天で形成される。発育不全の気菌
糸はまたコバラミンもしくはビタミン複合体を補完した
ISP No.7培地でも形成される。栄養菌糸の裏面
の色はほとんどの寒天培地で淡黄色乃至種々の色相の褐
色である。深赤色菌糸色素がISPNo.2培地および
VDYA(V8ジコース−デキストロース−酵忍 キス
寒天)で生産される。メラノイド色素はIPS No.
1、6および7培地)で生産されない。ISP No.
2培地でのコロニーは極めてもり上り、硬くかつ折り重
なっている。
【0018】生理学的特性 最高の生育は28℃および37℃でみとめられる。7℃
および45℃で生育がみられない。生育は15℃〜43
℃の範囲である。メラニンはL−3,4−ジヒドロキシ
−フエニルアラニン(L−DOPA)からは形成されな
い。菌株J907−21は4%以下で塩化ナトリウムに
耐容するが5%では耐容しないし、またリゾチームに感
受性を有する。菌株J907−21はほとんど全てのペ
ントースおよびヘキソースを利用する。生理学的特性お
よび炭水化物利用性をそれぞれ表2および3に示す。
【0019】細胞壁アミノ酸および全細胞糖成分 細胞壁のアミノ酸組成をアプル.ミクロビオル(App
l.Microbiol.)、13巻、236−243
頁、1965年にベツカー(Becker)等により、
またJ.バクテリオル(J.Bacteriol.)、
89巻、444−453頁、1965年に山口より報告
された方法に従って検討し、またアミノ酸分析計(日立
0342Uモデル)によっても測定した。全細胞加水分
解物中の糖成分を、“ケミカル・メソツズ・アズ・クラ
イテリア・フオア・ザ・セパレーション・オブ・ノカル
デイアエ・フロム・アザー・アクチノマイセテス・バイ
オロジイ・オブ・ザ・アクチノマイセテス・アンド・リ
レーテツド・オーガニズムズ(Chemical Me
thods As Criteria For The
Separation Of Nocardiae
From Other Actinomycetes.
Biology Of The Actinomyce
tes And Related Organism
s)、11巻、78−92頁、1976年に、レツヘバ
リア(Lechevalier)およびレツヘバリアに
より説明されている操作に従って同定した。菌株J90
7−21の細胞壁はメソージアミノピメリン酸および小
量のグリシンを含有している。全細胞加水分解物はグル
コース、マンノース、マデユロースおよびリボースの存
在を示す。上記の細胞壁組成および全細胞糖成分は菌株
J907−21が細胞壁タイプIIIに属しているこ
とを示している。
【0020】分類学 菌株J907−21は中温性、グラム陽性放線菌であ
り、時には発育不全の短い気菌糸を形成するが、真の気
菌糸、胞子担有体および胞子を形成する能力を欠除して
いる。菌株J907−21はタイプIII細胞壁を有
している。タイプIII細胞壁を有する既知の放線菌
には、アクチノマデユラ(Actinomadur
a)、ミクロビスポラ(Microbispora)、
ストレプトスポランジウム(Streptospora
ndium)、スピリロスポラ(SPirillosp
ora)、プラノモノスポラ(Planomonosp
ora)、プラノビスポラ(Planobispor
a)およびデルマトフイルス(Dermatophil
us)属が包含される。天然の偏性動物病源体であるデ
ルマトフイルス属の栄養菌糸は横軸および縦軸双方の隔
壁を示す。従って、菌株J907−21は明らかにデル
マトフイルス属と区別される。残りの6種の属は気菌糸
上に胞子小胞(胞子のう)もしくは分節胞子を担有する
ことを特徴とする。ストレプトマイセス(Strept
omyces)の種とは異り、これら6つの属の多くの
菌株は胞子形成において多少なりともより好みがあると
報告されている。それ故、菌株J907−21は多分上
記6種の属の一つに属するものとなろう。6種の属のう
ち、アクチノマデユラ属は世界に広く分布している土壌
棲息菌であると報告されている。ゴードン(Gordo
n)はJ.ゼネ.ミクロビオル.(J.Gen.Mic
robiol.)、109巻、69−78頁、1978
年でノカルデイア誘起アクチノマデユラ・マデユラエ
(Actinomaduramadurae)の生理学
的14分類群を特徴づけした。ゴードンの生理学的検討
に基づいて、菌株J907−21をA.マデユラエと比
較した(表4)。菌株J907−21は細胞壁タイプI
IIおよびIVを有する他の分類群(類似54.8%
−76.9%)よりもアクチノマデユラ・マデラエ(類
似85.7%)により密接な関係を有していた。しかし
ながら、タイプIII細胞壁を有する6種の属間の生
理学的関係が確立されていない。それはこれらのものが
形態学において相互に明白に相違しているからである。
それで、菌株J907−21は無胞子性の非−ストレプ
トマイセス(non−Streptomyces)と分
類することができるだけである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
【0028】他の微生物の場合と同じく、菌株J907
−21の特性は変化させることができる。例えば、菌株
J907−21の人工変異株は様々の既知の変異源例え
ば紫外線、X線、高周波、放射線および化学薬品での処
理によって得ることができる。BBM−2478抗生物
質を生産する菌株J907−21の全ての天然および人
工変異株もまた本発明の範囲内に包含されることが企図
されている。
【0029】抗生物質の生産 本発明のBBM−2478抗生物質は、水性栄養培地中
深部好気条件下で菌株J907−21(ATCC 39
417)またはそのBBM−2478生産変異株を培養
することによって生産される。生産菌は同化可能な炭素
源例えば同化可能な炭水化物を含む栄養培地中で生育す
る。適当な炭素源の例には、グリセリン、アラビノー
ス、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノー
ス、可溶性でんぷん、マンニツトおよびセルビオースが
包含される。栄養培地はまた同化可能な窒素源例えば魚
粉、大豆粉、コーン・スチープ・リカー、ペプトン、肉
エキス、落花生粉酵母エキスまたはアンモニウム塩をも
含有していなければならない。無機塩例えば塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、りん酸塩等を必要に応じて加える。所望により微量
元素、例えば銅、マンガン、鉄、亜鉛、等も培地に加え
てもよいし、またはこれは培地の他の成分の不純分とし
て供給してもよい。培養温度は生産菌株が生育可能であ
る任意の温度例えば15−43℃であってもよいが、醗
酵を25−35℃殊に27−32℃で実施するのが好ま
しい。中性もしくは中性近辺のpHを培地に使用するの
が好ましい。抗生物質の生産は一般に約6−10日の間
行われる。通常、約6−7日で最適な生産が達成され
る。比較的小量の生産には、振とうフラスコおよび表面
培養を使用し得るが、より大量の製造には無菌タンクで
の深部好気培養が好ましい。タンク醗酵を実施する場
合、微生物からの胞子をブロス培地に接種することによ
り栄養培地中に増殖接種体を生成させるのが望ましく、
また若く、活性のある増殖接種体が得られたときはそれ
を無菌的に醗酵タンク培地に移す。タンクおよびびんの
通気は無菌の空気を醗酵培地の表面にまたはその中に圧
入することによって提供することができる。機械的羽根
車により更にかくはんをしてもよい。必要ならば、消泡
剤例えばラード油を加えてもよい。
【0030】醗酵培地中のBBM−2478の生産は醗
酵中に供試菌としてミクロコツカス・ルテウス(Mic
rococcus luteus)PCI 1001を
用いるペーパー・デイスク寒天拡散アツセーにより容易
に追跡することができる。
【0031】BBM−2478抗生物質の単離 最適ブロス力価が得られた後、菌糸および未溶解残渣を
常法例えば濾過または遠心分離により醗酵ブロスから分
離する。菌糸ケーキ中の抗生物質は、菌糸ケーキをメタ
ノールで抽出し、不溶物を濾去しそしてメタノール抽出
液を水溶液に濃縮することにより採取することができ
る。ブロス上澄液中の活性分はn−ブタノールでの抽出
およびブタノール抽出液の水溶液への濃縮により採取す
ることができる。BBM−2478AおよびBの抗生物
質を含む水性メタノールおよびブタノール抽出液を次に
通常のクロマトグラフイー精製操作にかけて精製BBM
−2478AおよびBを提供する。好ましい精製方法は
以下の実施例2に記載する。
【0032】BBM−2478抗生物質の物理化学的性
質 BBM−2478AおよびBは黄橙色結晶性固体として
得られる。BBM−2478の両成分は表5に示す如く
薄層クロマトグラフイー(TLC)によりチヤートリエ
ーシン(chartreusin)と区別することがで
きる。BBM−2478Aはジメチルスルホキサイド、
ジメチルホルムアミド、ジオキサンおよび酸性の水に易
溶であり、メタノール、エタノールおよびクロロホルム
に微溶であり、そしてその他の有機溶媒に不溶である。
BBM−2478Bの溶解性はBBM−2478Aと類
似しているが、但しBBM−2478Bは酸性の水に不
溶である。BBM−2478AおよびBは塩化第二鉄お
よびアンスロン試薬に陽性反応を呈し、BBM−247
8Aはニンヒドリンに陽性反応を示すが、BBM−24
78Bは同じ試験では陰性である。トレンスおよび坂口
反応は両成分共に陰性である。BBM−2478Aおよ
びBの物理化学的性質を表6に要約する。二つの成分の
UVスペクトルは同じであり、中性および酸性溶液で2
36、266、398および422nmに、またアルカ
リ性溶液で240、268および435nmで極大を示
す。これらのスペクトルはチヤートリユーシンと密接に
関連している。BBM−2478AおよびBのIRスペ
クトルをそれぞれ図1および図2に示す。BBM−24
78Aのプロトン(PMR)および13C−NMR(C
MR)スペクトルを図3および図4に示す。
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】BBM−2478抗生物質の構造検討 BBM−2478AのCMRスペクトルから、
【0036】
【化7】
【0037】基を含む33個の炭素の存在が実証され
た。BBM−2478Aの微量分析データと組合せたC
MRスペクトルデータからこの抗生物質についてC33
35NO13の分子式が推論される。BBM−247
8Aを0.4Nメタノール性塩化水素で1時間還流下に
加水分解した。沈殿した黄色結晶を濾集した。濾液を真
空で濃縮するとニンヒドリン陽性の糖部分を含むシロツ
プが得られた。結晶性物質は標品との比較スペクトル分
析によりチヤータリン(chartarin)、すなわ
ちチヤートリユーシンのアグリコンと同定された。
【0038】
【化8】
【0039】水性濃縮液に含まれる糖部分は二糖のアノ
マー混合物(化合物I)であり、このものはアンバーラ
イト(Amberlite)CG−50(NH 形)
クロマトグラフイーで分離するとほとんど等量のαおよ
びβ−メチルグリコシド(IaおよびIb)を生じた。
化合物IaおよびIbの分子量は質量(M+1:m/
z 352)およびCMRスペクトルを基にして共にC
1529NOと確定された。IaおよびIbの物理
化学的性質を表7に要約する。化合物IaおよびIbは
それ以上の酸加水分解に抵抗性を示し、そしてグリコシ
ド結合を開裂するのに十分な厳しい酸性条件下で得られ
た糖部分の多大な分解をきたした。化合物IaおよびI
bの混合物(370mg)をメタノール中でアセチル化
するとモノ−N−アセチル誘導体(460mg、M
1:m/z 394)が得られ、このものを4.5N
メタノール性塩化水素中で加水分解した。生成物を、C
HCl−MeOH−C.NHOH(6:1:1)の
低相でのシリカゲルカラムでクロマトグラフイーを行う
とN−アセチルアミノ糖(化合物N−Ac−IIa、1
40mgおよびN−Ac−IIb、22mg)および中
性糖(化合物IIIa、85mgおよびIIIb、79
mg)のα−およびβ−アノマーが得られた。飽和Ba
(OH)溶液で処理すると、N−Ac−IIaは定量
的に遊離アミノ体(化合物IIa)に変換された。II
a、IIIaおよびIIIbの物理化学的データを表8
に示す。IIaはそのNMRスペクトル解析からメチル
2−アミノ−2,6−ジデオキシ−3−O−メチル−α
−D−ガラクトピラノサイドと定められた。表8に示す
如く、IIaのNMRスペクトルは2つのOCHおよ
び1つのC−CHシグナルと共に5つの環プロトンを
包含していた。環プロトンの一次解析はカツプリング定
数J1−2=3.8、J2−3=10.5、J3−4
3.0、J4−5<1.0およびJ5−6=6.4Hz
を示し、これらは指定の構造と相容し得る。更に、N,
O−ジアセチルIIaの物理化学的データ(融点163
−164℃および〔α〕23D:+154°(C=0.
3、CHCl))は、キヤナ.J.ケム(Can.
J.Chem)、52巻、3251−3255頁、19
74年、にM.B.ペリイ(M.B.Perry)によ
りメチル2−アセトアミド−4−O−アセチル−2,6
−ジデオキシ−3−O−メチル−α−D−ガラクトピラ
ノサイドについて報告されたデータと同一である。
【0040】
【化9】
【0041】IIIaのPMRスペクトルはカツプリン
グ定数J1−2=4.5、J4−5<1.0およびJ
5−6=6.7Hzを示し、一方IIIbのスペクトル
はJ1−2=7.8、J4−5<1.0およびJ5−6
=6.5Hzであった。Cでの環プロトンの不存在は
両スペクトルで明白であった。スペクトル解析から、I
IIaおよびIIIbはそれぞれ6−デオキシ−3−C
−メチルグロピラノシド(メチルヴイレノサイド)また
は6−デオキシ−3−C−メチルガラクトピラノサイド
のα−およびβ−メチルグリコシドであることがわかっ
た。メチルβ−D−ヴイレノサイドの標品はIIIbと
はTLCおよびNMRスペクトルによって相違すること
がわかった。メチルヴイレノサイドのHおよびH
グナルはIIIbのシグナルよりも相当に低い磁場に観
察され、このことはメチルヴイレノサイドのC−OH
がアキシアル配位であり、一方IIIbのそれは配位が
エクアトリアルであることを示している。IIIaおよ
びIIIbの旋光値ならびにIIIaについて観察され
たΔ〔M〕CuAm(−1309°)に基いてIIIに
対してD−配位が定められた。すなわち、IIIaおよ
びIIIbはそれぞれメチル6−デオキシ−3−C−メ
チル−α−およびβ−D−ガラクトピラノサイドである
ことが決定された。
【0042】
【化10】
【0043】2個の糖の結合は、IaおよびIbおよび
それらのアセテートの質量スペクトルにより確認され、
これらスペクトルは二糖のII→III配列に指定され
得るフラグメントイオンを示した。200MHz PM
RスペクトルおよびN,O−トリアセチル−Iaについ
て実施したデカツプリング実験から、糖IIはα−グリ
コシド結合によってIIIのC−OHに結合している
ことが明らかとなり、かくしてIaおよびIbの構造が
以下に示すとおりに決定された。
【0044】
【化11】
【0045】種々のpHで測定したBBM−2478A
のUVスペクトルはチヤートリユーシンのそれに非常に
類似している。このことは、BBM−2478Aの二糖
部分がチヤートリユーシンと同じヒドロキシ基でチヤー
タリリンに結合していることを示唆している。BBM−
2478AとチヤートリユーシンのクロロホルムのIR
スペクトルはカルボニル吸収の同一パターンを示し、こ
れは上述の指定を支持するものである。N−アセチル−
BBM−2478AのNMRスペクトルで、IIIのア
ノーマープロトンはJ=8.0Hzのスペースで二重線
に上昇し、これは本発明者等に抗生物質に対してIII
のβ−ピラノサイド構造の指定を可能とするものであ
る。C262210の分子式が微量分析に基いてB
BM−2478Bに指定された。温和な酸メタノール分
解で、BBM−2478BはチヤータリンおよびBBM
−2478Aから得られたのと同一の中性糖(IIIa
およびIIIb)を生成した。従って、BBM−247
8Bは明らかにアミノ糖部分(II)を有していないB
BM−2478Aの類似体である。それで、BBM−2
478AおよびBの構造は次のとおりに確定された。
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【表10】
【0049】
【表11】
【0050】生物学的性質 BBM−2478の最小阻止濃度(MIC)をチヤート
リユーシンと比較して種々のグラム陽性およびグラム陰
性細菌および真菌ならびにいくつかの嫌気性菌に対して
系列2倍寒天希釈法により測定した。栄養寒天培地をグ
ラム陽性およびグラム陰性細菌に対し、またGAM寒天
培地を嫌気性菌に対し、そしてサブロード(Sabou
raud)寒天培地を真菌に対して使用した。表9に示
す如く、BBM−2478A、Bおよびチヤートリユー
シンはグラム陽性細菌および嫌気性菌に対して同じよう
な抗菌スペクトラムを示したが、グラム陰性菌および真
菌に対しては無効であった。BBM−2478Aの抗ブ
ドウ球菌活性はBBM−2478Bまたはチヤートリユ
ーシンよりも2−4倍高いものであった。
【0051】
【表12】
【0052】BBM−2478Aの抗腫瘍活性をリンパ
球性白血症P388、リンパ系白血症L1210および
黒皮性色素細胞腫B16に対してチヤートリユーシンと
比較してマウスで測定した。腫瘍はそれぞれ接種サイズ
10、10および10細胞/マウスでBDFマウ
スに腹腔内移植した。供試化合物を10%ジメチルスル
ホキサイドを含む0.9%食塩水に溶かし、そして腫瘍
移植後24時間に段階投与量の抗生物質を腹腔内投与し
た。処置を1日1回9日間行った(qd 1→9)。結
果を表10、11および12に示す。BBM−2478
Aは最小有効量に換算してチヤートリユーシンよりもほ
ぼ10−30倍活性であり、また供試全腫瘍に対してチ
ヤートリユーシンよりもすぐれたT/C値を達成した。
BBM−2478Bは抗腫瘍活性を欠いていることがわ
かった。BBM−2478Aの急性毒性を単独腹腔内投
与によりマウス(dd Y系)で求めた。LD50は3
8mg/kgであった。
【0053】
【表13】
【0054】
【表14】
【0055】
【表15】
【0056】上述の如く、BBM−2478AおよびB
は好気性グラム陽性細菌および嫌気性細菌に対して強力
な抗菌活性を有し、それ故かかる細菌によって生じる感
染性疾患に対して哺乳動物およびその他の動物の治療処
置に有用である。更に、これらの化合物は抗菌剤のその
他の通常の適用例例えば医療および歯科装置の消毒に利
用することができる。
【0057】実験用マウス腫瘍系に対してBBM−24
78Aが示す顕著な抗腫瘍活性により、BBM−247
8Aはまた哺乳動物の腫瘍の生長を阻止するのに治療上
有用であることが示されている。
【0058】従って、本発明および本発明に関連のある
知見によれば、細菌感染症に罹っている動物宿主に有効
抗菌量のBBM−2478AまたはBBM−2478B
あるいはその製薬組成物を投与することからなる該宿主
を治療的に処置する方法が提供される。更に、本発明に
関連のある知見によれば、悪性腫瘍に罹っている哺乳動
物宿主に腫瘍抑制量のBBM−2478Aまたはその製
薬組成物を投与することからなる該宿主を治療的に処置
する方法が提供される。
【0059】本発明の他の特徴によれば、有効抗菌量の
BBM−2478AまたはBBM−2478Bを不活性
な製薬上許容し得る担体または希釈剤と組合さって含有
することを特徴とする製薬組成物が提供される。これら
の組成物は非経口投与に適した任意の製薬形態で調製す
ることができる。
【0060】非経口投与のための本発明の組成物には、
無菌の水性または非水性溶液、懸濁液またはエマルジヨ
ンが包含される。これらはまた使用直前に無菌の水、生
理食塩水または若干の他の無菌注射可能な媒質に溶解し
得る無菌の固型製剤の形態で製造することもできる。
【0061】BBM−2478抗生物質の実際の好まし
い使用量は、特別な成分、特別な処方組成物、適用の様
式および特別な部位、処置する宿主および疾患に従って
変ることが明らかである。薬物の作用を変更する多くの
要因例えば年令、体重、性別、食事、投与時間、投与経
路、排泄の速度、宿主の状態、薬物の併用、反応感受性
および疾患の程度は当業者により考慮される。投与は最
大許容投与量内で連続もしくは間けつして行うことがで
きる。所定の状態の組合せに対する最適適用程度は上記
のガイドラインに鑑み通常の適用量決定テストを用いて
当業者が定めることができる。
【0062】次の実施例は説明のためにのみ提示するも
のであり、本発明の範囲を限定することを企図するもの
ではない。温度は他に指示のない限り全て℃である。ア
ンバーライト(Amberlite)CG−50は、カ
ルボン酸型弱酸性陽イオン交換樹脂に対する米国、ロー
ム・アンド・ハース・カンパニー(Rohm & Ha
as Co.)の商品名であり、ダイアイオン(Dia
ion)HP−20は、非イオン性マクロ網状ポリマー
樹脂に対する日本国、三菱化成工業株式会社の商品名で
ある。
【0063】
【実施例】
実施例1 BBM−2478AおよびBの醗酵 放線菌菌株No.J907−21の良く生育した斜面培
地を用いて、3%可溶性でんぷん、1%バクトーリバー
(Bactoliver)〔デイフコ(Difc
o)〕、0.5%魚粉、0.3% NaCl、0.1%
(NHSOおよび0.6% CaCOからな
る栄養培地(滅菌前にpHを7.0に調節した)に接種
した。栄養培地を回転しんとう機(250rpm)で7
2時間28℃で培養し、そして生育物5mlを栄養培地
と同一の組成を有する醗酵培地100mlの入った50
0mlエルレンマイエルフラスコに移した。醗酵を回転
しんとう機で28℃で7−10日間行った。醗酵ブロス
中の抗菌活性を供試菌としてミクロコツカス・ルテウス
(Micrococcus luteus)PCI10
01を用いるペーパーデイスク寒天拡散法により測定し
た。抗生物質生産性は6−7日間の醗酵後に150mc
g/mlの最大力価に達した。
【0064】実施例2 BBM−2478AおよびBの単離、精製 実施例1の如くして製造、採集したブロス(201、p
H6.8)をシヤープレス型遠心分離機〔コクサン(K
okusan)No.4A〕を用いて菌糸ケーキと上澄
液とに分離した。菌糸ケーキをメタノール各51で3回
抽出した。不溶物を濾去した後、メタノール性抽出液を
合し、そして真空で水溶液に濃縮した。醗酵ブロスの上
澄液をn−ブタノール(201)で抽出し、そして抽出
液を真空で蒸発して水溶液とした。2種の水性濃縮液を
合し、ダイアイオン(Diaion HP−20)のカ
ラム〔三菱化成、5.5×60cm〕にかけた。このカ
ラムを連続して水(51)、50%水性メタノール(5
1)および80%水性メタノール(61)で展開した。
BBM−2478を含むフラクシヨンを供試菌として
B.スブチリス(B.Subtilis)M−45(R
ec)を用いるペーパー・デイスク・アツセイでモニ
ターした。80%水性メタノールで溶出した活性フラク
シヨンをプールし、減圧蒸発し、そして凍結乾燥すると
粗製BBM−2478複合体の黄色固体4.5gが得ら
れた。粗製複合体をクロロホルムで予洗したシリカゲル
カラム(巾3.5×55cm)にかけ、そして活性分を
メタノール濃度を段階的に増大する(5−10%V/
V)クロロホルム−メタノール混合物で溶出した。5%
メタノールで溶出される第一の活性フラクシヨンを集
め、真空で濃縮し、そして凍結乾燥するとBBM−24
78B(72mg)が得られた。10%メタノールで溶
出される第二活性フラクシヨンを同様に処理するとBB
M−2478Aの半純粋な固体(2.51g)が得られ
た。後者の固体を中間圧液体クロマトグラム(カラム:
キリヤマ(Kiriyama)、巾11×500mm、
ポンプ、FMIラブ・ポンプ、圧力80−90psi)
を用いてシリカゲルで更にクロマトグラフイーを行っ
た。クロロホルム−メタノールでの溶出により、活性フ
ラクシヨンが得られ、このものを真空で濃縮するとBB
M−2478Aの均一な固体(1.30g)が得られ
た。この固体をメタノールから結晶化させるとBBM−
2478A−水和物の黄橙色棒状晶が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のBBM−2478Bに類似のBBM−
2478Aの赤外吸収スペクトルを示す。
【図2】本発明のBBM−2478Bの赤外吸収スペク
トルを示す。
【図3】BBM−2478Aのプロトン磁気共鳴スペク
トル(80MHz、CDOD)を示す。
【図4】BBM−2478Aの13C核磁気共鳴スペク
トル(20MHz、d−DMSO)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 を有する抗生物質BBM−2478B。
  2. 【請求項2】 深部好気条件下に同化可能な炭素および
    窒素源を含有する水性栄養培地中で菌株J907−21
    (ATCC 39417)またはそのBBM−2478
    B−生産変異株を実質的な量のBBM−2478Bが該
    培地中に該菌で生産されるまで培養し、そして次に培地
    からBBM−2478Bを採取することを特徴とする次
    式の抗生物質BBM−2478Bの生産方法。 【化2】
  3. 【請求項3】 次式 【化3】 を有するBBM−2478B抗生物質の抗菌有効量を製
    薬上許容し得る担体または希釈剤と組合さって含有する
    ことを特徴とする抗菌剤。
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