JPH0688836B2 - 焦電性磁器材料及びその製造方法 - Google Patents
焦電性磁器材料及びその製造方法Info
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- JPH0688836B2 JPH0688836B2 JP63093338A JP9333888A JPH0688836B2 JP H0688836 B2 JPH0688836 B2 JP H0688836B2 JP 63093338 A JP63093338 A JP 63093338A JP 9333888 A JP9333888 A JP 9333888A JP H0688836 B2 JPH0688836 B2 JP H0688836B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は赤外線検出器等に用いられる焦電性磁器材料に
関するものである。
関するものである。
(従来の技術) 焦電型赤外線検出器の素子材料として、チタン酸鉛系磁
器、チタン酸ジルコン酸鉛系磁器、タンタル酸リチウム
等の単結晶、ポリフッ化ビニリデン等の高分子材料、と
多々知られている。このような材料の中で、チタン酸ジ
ルコン酸鉛系磁器は安価で、加工性に富み、広く汎用赤
外線検出器の素子材料として使用されている。赤外線検
出器の電圧感度(Rv)と素子材料特性との関係は次式で
表されている。
器、チタン酸ジルコン酸鉛系磁器、タンタル酸リチウム
等の単結晶、ポリフッ化ビニリデン等の高分子材料、と
多々知られている。このような材料の中で、チタン酸ジ
ルコン酸鉛系磁器は安価で、加工性に富み、広く汎用赤
外線検出器の素子材料として使用されている。赤外線検
出器の電圧感度(Rv)と素子材料特性との関係は次式で
表されている。
(η:放射率、P:素子の焦電係数、A:素子受光面積、
ω:角周波数、εr:素子の比誘電率、εo:真空の誘電
率、c:素子の比熱、ρ:素子の密度) すなわち、赤外線検出器の素子材料としての焦電性磁器
材料は、温度変化に対する自発分極の変化である焦電係
数P(dPs/dT)が大きいほど、また比誘電率(εr)が
小さいほど優れた材料である。この焦電係数Pは、相転
移によって大きな値になるとが知られている。チタン酸
ジルコン酸鉛系磁器の相転移は、常誘電体−強誘電体間
の相転移と、菱面体結晶内の強誘電体低温相−高温相間
の相転移とがある。前者の相転移によるものは焦電効果
に関して再度の分極処理を行なう必要を生じる場合があ
り、さらに比誘電率が大きく、焦電性磁器材料としては
不適合である。後者の相転移はこのような欠点がほとん
どないため、この相転移を利用した焦電性磁器材料が研
究されてきた。この強誘電体低温相−高温相間の相転移
を利用した焦電性磁器組成物の技術として、チタン酸ジ
ルコン酸鉛を主成分とする材料が特開昭59-182585号公
報に記載されている。しかしながら、この磁器組成物は
PbZrO3が0.93〜0.97モルとPbZrO3の含有率が高く、焼成
温度が高くなり、かつ組成を変えて相転移を室温付近に
て実現させることも難しい。
ω:角周波数、εr:素子の比誘電率、εo:真空の誘電
率、c:素子の比熱、ρ:素子の密度) すなわち、赤外線検出器の素子材料としての焦電性磁器
材料は、温度変化に対する自発分極の変化である焦電係
数P(dPs/dT)が大きいほど、また比誘電率(εr)が
小さいほど優れた材料である。この焦電係数Pは、相転
移によって大きな値になるとが知られている。チタン酸
ジルコン酸鉛系磁器の相転移は、常誘電体−強誘電体間
の相転移と、菱面体結晶内の強誘電体低温相−高温相間
の相転移とがある。前者の相転移によるものは焦電効果
に関して再度の分極処理を行なう必要を生じる場合があ
り、さらに比誘電率が大きく、焦電性磁器材料としては
不適合である。後者の相転移はこのような欠点がほとん
どないため、この相転移を利用した焦電性磁器材料が研
究されてきた。この強誘電体低温相−高温相間の相転移
を利用した焦電性磁器組成物の技術として、チタン酸ジ
ルコン酸鉛を主成分とする材料が特開昭59-182585号公
報に記載されている。しかしながら、この磁器組成物は
PbZrO3が0.93〜0.97モルとPbZrO3の含有率が高く、焼成
温度が高くなり、かつ組成を変えて相転移を室温付近に
て実現させることも難しい。
(発明が解決しようとする問題点) チタン酸ジルコン酸鉛系磁器においては、前記特開昭59
-182585号公報にも記載されているようにジルコン酸鉛
の含有率が大きい組成のところに強誘電体低温相−高温
相間の相転移がみられる。しかしながら、ジルコン酸鉛
の含有率が大きい組成の磁器は、一般的に焼成温度は13
00℃以上と高くする必要があり、必然的にPb0が蒸発し
易くなる。又、ジルコン酸鉛が約0.95モルを超える組成
の場合には焦電性のない反強誘電相がある。この反強誘
電相を避けるため強誘電体低温相−高温間の相転移温度
(To)の組成制御には限界があり、従来約50℃以下の温
度領域では、強誘電体低温相−高温相間の相転移はみら
れていない。そして、従来の強誘電体低温相−高温相間
における相転移を用いた焦電性磁器は相転移を生じる温
度の範囲が狭いため、赤外線検出器等へ応用する場合、
使用温度が狭い範囲に限定される欠点があった。
-182585号公報にも記載されているようにジルコン酸鉛
の含有率が大きい組成のところに強誘電体低温相−高温
相間の相転移がみられる。しかしながら、ジルコン酸鉛
の含有率が大きい組成の磁器は、一般的に焼成温度は13
00℃以上と高くする必要があり、必然的にPb0が蒸発し
易くなる。又、ジルコン酸鉛が約0.95モルを超える組成
の場合には焦電性のない反強誘電相がある。この反強誘
電相を避けるため強誘電体低温相−高温間の相転移温度
(To)の組成制御には限界があり、従来約50℃以下の温
度領域では、強誘電体低温相−高温相間の相転移はみら
れていない。そして、従来の強誘電体低温相−高温相間
における相転移を用いた焦電性磁器は相転移を生じる温
度の範囲が狭いため、赤外線検出器等へ応用する場合、
使用温度が狭い範囲に限定される欠点があった。
本発明は比較的低い温度領域において焦電効果に優れる
と共に誘電損失(tanδ)を小さくし、誘電的ノイズが
少なく、使用温度範囲を広くした焦電性複合磁器組成物
及びその製造方法の提供を目的とする。
と共に誘電損失(tanδ)を小さくし、誘電的ノイズが
少なく、使用温度範囲を広くした焦電性複合磁器組成物
及びその製造方法の提供を目的とする。
(問題を解決するための手段) 前記問題を解決するため、まずチタン酸ジルコン酸鉛を
主成分として強誘電体低温相−高温相間の相転移温度
(To)を低下させ、且つ、焼成条件を緩和し、従来より
比較的低い温度に於いて相転移がみられる焦電性磁器組
成物を得るため、基本組成式 Pb(ZryTiz)O3 ・・・(1) 但し式中のy,zは0<y≦1、かつz=1−yで定めら
れるPb(ZryTiz)O3磁器に、成分として Pb(Nb2/3Mn1/3)O3 を加え、前記Pb(ZryTiz)O3磁器のPbZrO3又はPbTiO3又
は両者の一部をPb(Nb2/3Mn1/3)O3で置きかえた、 Pb{(Nb2/3Mn1/3)xZryTi(1−x−y)}O3 ・・・
(2) で表わされる組成を有し相転移温度が異なるチタン酸ジ
ルコン酸鉛組成物からなるを調製し、これらチタン酸ジ
ルコン酸鉛群から二つ以上を混合し、焼結することによ
り、各相転移による焦電効果を利用して広い温度域に於
いて平坦な焦電係数温度特性性曲線を示す実用性のある
焦電効果を有する焦電性複合磁器組成物を得ることが判
明した。
主成分として強誘電体低温相−高温相間の相転移温度
(To)を低下させ、且つ、焼成条件を緩和し、従来より
比較的低い温度に於いて相転移がみられる焦電性磁器組
成物を得るため、基本組成式 Pb(ZryTiz)O3 ・・・(1) 但し式中のy,zは0<y≦1、かつz=1−yで定めら
れるPb(ZryTiz)O3磁器に、成分として Pb(Nb2/3Mn1/3)O3 を加え、前記Pb(ZryTiz)O3磁器のPbZrO3又はPbTiO3又
は両者の一部をPb(Nb2/3Mn1/3)O3で置きかえた、 Pb{(Nb2/3Mn1/3)xZryTi(1−x−y)}O3 ・・・
(2) で表わされる組成を有し相転移温度が異なるチタン酸ジ
ルコン酸鉛組成物からなるを調製し、これらチタン酸ジ
ルコン酸鉛群から二つ以上を混合し、焼結することによ
り、各相転移による焦電効果を利用して広い温度域に於
いて平坦な焦電係数温度特性性曲線を示す実用性のある
焦電効果を有する焦電性複合磁器組成物を得ることが判
明した。
たとえばPbZrO3 0.8モル、PbTiO3 0.2モルから成るチタ
ン酸ジルコン酸鉛磁器のPbZrO3 0.1モルをPb(Nb2/3Mn1
/3)O3 0.1モルで置きかえて、PbZrO3 0.7モル、PbTiO3
0.2モル、Pb(Nb2/3Mn1/3)O3 0.1モルから成る磁器組
成物とすることができる。
ン酸ジルコン酸鉛磁器のPbZrO3 0.1モルをPb(Nb2/3Mn1
/3)O3 0.1モルで置きかえて、PbZrO3 0.7モル、PbTiO3
0.2モル、Pb(Nb2/3Mn1/3)O3 0.1モルから成る磁器組
成物とすることができる。
前記(2)式中のx,yはx+y≦1で、 0.05≦x≦0.20 0.80≦y≦0.95 で表わされる強誘電体低温相−高温相間の相転移を持っ
た焦電性磁器材料である。
た焦電性磁器材料である。
なお、前記組成式(1)のPb(ZryTiz)O3で表わされる
磁器に、Pb(Nb2/3Mn1/3)O3のような成分を加え、焼成
して得た前記(2)式で表わされるような成分系の磁
器、又はさらに成分を加えた磁器を変成Pb(ZryTiz)O3
磁器と称する。また、焦電性磁器材料としては比誘電率
が低いことが望まれるが、前記(2)式で表わされる磁
器とすることにより比誘電率は低下する。前記の組成式
のx及びyの値の範囲内では強誘電体低温相−高温間の
相転移温度を低下させることができ、従来より比較的低
い温度領域に於いて相転移を生じる。又、この種の磁器
組成物は、焦電性効果に優れていると共に、さらに、ta
nδ(誘電損失)が小さく、誘電的ノイズが小さいこと
が要求されるが、前記組成の磁器に副原料としてMnO2、
又はCr2O3、又はMnO2とCr2O3を0.5〜1.0重量パーセント
加えると、焦電性効果を維持したtanδ(誘電損失)の
少ない磁器組成物となる。
磁器に、Pb(Nb2/3Mn1/3)O3のような成分を加え、焼成
して得た前記(2)式で表わされるような成分系の磁
器、又はさらに成分を加えた磁器を変成Pb(ZryTiz)O3
磁器と称する。また、焦電性磁器材料としては比誘電率
が低いことが望まれるが、前記(2)式で表わされる磁
器とすることにより比誘電率は低下する。前記の組成式
のx及びyの値の範囲内では強誘電体低温相−高温間の
相転移温度を低下させることができ、従来より比較的低
い温度領域に於いて相転移を生じる。又、この種の磁器
組成物は、焦電性効果に優れていると共に、さらに、ta
nδ(誘電損失)が小さく、誘電的ノイズが小さいこと
が要求されるが、前記組成の磁器に副原料としてMnO2、
又はCr2O3、又はMnO2とCr2O3を0.5〜1.0重量パーセント
加えると、焦電性効果を維持したtanδ(誘電損失)の
少ない磁器組成物となる。
平坦な焦電係数温度特性を得るために、強誘電体低温相
−高温相間に相転移点(To)を持つ焦電性磁器組成物で
あって相転移温度が異なるもの二つ以上を混合し、焼結
することにより、各相転移による焦電効果を利用して広
い温度域に於いて平坦な焦電係数温度特性曲線を示す実
用性のある焦電効果を有する焦電性複合磁器組成物を得
ることができる。この焼結は、二つ以上の、相転移温度
の異なる組成磁器の焼結であって、焼成後の磁器を再度
粉砕し、整粒、混合、成型後焼結するため、粒子が成長
し、この二つ以上の組成磁器が固溶体となることが予測
される。このような粒子の成長や固溶体の形成は、組合
わせた磁器の持つそれぞれの相転移による焦電効果を利
用して平坦な焦電係数温度特性とするためには望ましく
ないので、約800℃以上1300℃未満程度の温度にて粒子
成長を抑制し、完全固溶体を形成することなく焼結させ
るのが好ましく、加熱加圧装置での焼結が適している。
しかし、常圧でも焼結条件を選定することによって加圧
焼結と同等の焦電特性が得られる。
−高温相間に相転移点(To)を持つ焦電性磁器組成物で
あって相転移温度が異なるもの二つ以上を混合し、焼結
することにより、各相転移による焦電効果を利用して広
い温度域に於いて平坦な焦電係数温度特性曲線を示す実
用性のある焦電効果を有する焦電性複合磁器組成物を得
ることができる。この焼結は、二つ以上の、相転移温度
の異なる組成磁器の焼結であって、焼成後の磁器を再度
粉砕し、整粒、混合、成型後焼結するため、粒子が成長
し、この二つ以上の組成磁器が固溶体となることが予測
される。このような粒子の成長や固溶体の形成は、組合
わせた磁器の持つそれぞれの相転移による焦電効果を利
用して平坦な焦電係数温度特性とするためには望ましく
ないので、約800℃以上1300℃未満程度の温度にて粒子
成長を抑制し、完全固溶体を形成することなく焼結させ
るのが好ましく、加熱加圧装置での焼結が適している。
しかし、常圧でも焼結条件を選定することによって加圧
焼結と同等の焦電特性が得られる。
強誘電体低温相−高温相間の相転移を有する磁器組成物
としては、例えば次の組成物がある。
としては、例えば次の組成物がある。
Pb{(Nb2/3Mn1/3)0.10Zr0.875Ti0.025}O3+0.5wt% MnO2+0.5wt%Cr2O3(x=0.1mol,y=0.875mol) その製造の概要としては例えばPb0、Nb2O5、MnO2、Cr2O
3、ZrO2、TiO2の化学的に高純度の粉末を用い、所定の
値となるように秤取し、ボールミル、撹拌混合機等にて
均一な混合物としたのち、例えば800℃〜950℃の温度で
仮焼成する。仮焼成した混合物は再度粉砕混合し、均一
な仮焼成粉末とする。これに有機バインダーを加え、例
えば直径20〜30mm、厚さ1〜2mmに加圧成型し、1150〜1
250℃で2時間ほど焼成を行う。これにより強誘電体低
温相−高温相間に相転移を持つ焦電性磁器組成物が得ら
れる。
3、ZrO2、TiO2の化学的に高純度の粉末を用い、所定の
値となるように秤取し、ボールミル、撹拌混合機等にて
均一な混合物としたのち、例えば800℃〜950℃の温度で
仮焼成する。仮焼成した混合物は再度粉砕混合し、均一
な仮焼成粉末とする。これに有機バインダーを加え、例
えば直径20〜30mm、厚さ1〜2mmに加圧成型し、1150〜1
250℃で2時間ほど焼成を行う。これにより強誘電体低
温相−高温相間に相転移を持つ焦電性磁器組成物が得ら
れる。
複合磁器組成物を得るには上記方法によって相転移温度
の異なる焦電性磁器組成物を二つ以上製造し、これらを
再度個々に粉砕し、粉末化し、再び有機バインダーを加
え、例えば30〜40meshのフルイにて整粒をする。これら
磁器組成整粒物を混合機にて混合し、例えば直径25〜40
mm、厚さ15〜30mmに加圧成型する。脱バインダー処理と
して、600〜900℃にて3〜6時間加熱処理をし、ホット
プレス、HIP等の加熱加圧装置にて800〜1100℃、800〜1
500kg/cm2、1時間程焼結する。常圧による焼結では、
焼結温度1000℃〜1230℃にて2〜3時間ほど焼結する。
これにより、焦電性複合磁器組成物が得られる。
の異なる焦電性磁器組成物を二つ以上製造し、これらを
再度個々に粉砕し、粉末化し、再び有機バインダーを加
え、例えば30〜40meshのフルイにて整粒をする。これら
磁器組成整粒物を混合機にて混合し、例えば直径25〜40
mm、厚さ15〜30mmに加圧成型する。脱バインダー処理と
して、600〜900℃にて3〜6時間加熱処理をし、ホット
プレス、HIP等の加熱加圧装置にて800〜1100℃、800〜1
500kg/cm2、1時間程焼結する。常圧による焼結では、
焼結温度1000℃〜1230℃にて2〜3時間ほど焼結する。
これにより、焦電性複合磁器組成物が得られる。
以上のように作成した複合焼結物は切断、研磨によっ
て、例えば直径10〜20mm、厚さ0.1〜0.5mmに加工され、
蒸着により両面に電極を付け、50℃〜150℃に加温した
シリコン油中で1〜4KV/mmの直流電圧を印加して分極処
理が行われる。
て、例えば直径10〜20mm、厚さ0.1〜0.5mmに加工され、
蒸着により両面に電極を付け、50℃〜150℃に加温した
シリコン油中で1〜4KV/mmの直流電圧を印加して分極処
理が行われる。
出発原料として、PbO、Nb2O5、MnO2、ZrO2、TiO2、Cr2O
3の高純度粉末を用い、これら原料を所定の割合で配合
し、ボールミルにて4時間混合し、850℃にて2時間仮
焼成した。この仮焼成物をボールミルにて12時間粉砕混
合し、10%ポリビニルアルコール水溶液を加え混練し、
1.5ton/cm2の圧力にて直径25mm、厚さ1.5mmの円板に加
圧成型した。次にこの円板を1230℃、2時間本焼成した
後、研磨加工にて直径20mm、厚さ0.5mmの円板にし、両
面に蒸着にて銀電極を付け、80℃にシリコン油中にて2K
V/mmの直流電圧を印加して分極処理を行った。
3の高純度粉末を用い、これら原料を所定の割合で配合
し、ボールミルにて4時間混合し、850℃にて2時間仮
焼成した。この仮焼成物をボールミルにて12時間粉砕混
合し、10%ポリビニルアルコール水溶液を加え混練し、
1.5ton/cm2の圧力にて直径25mm、厚さ1.5mmの円板に加
圧成型した。次にこの円板を1230℃、2時間本焼成した
後、研磨加工にて直径20mm、厚さ0.5mmの円板にし、両
面に蒸着にて銀電極を付け、80℃にシリコン油中にて2K
V/mmの直流電圧を印加して分極処理を行った。
このようにして前記(2)式の組成の焦電性磁器すなわ
ちPb{(Nb2/3Mn1/3)xZryTi(1−x−y)}O3を、第
1表に番号1乃至9で示すように、xとyの比率を変え
た9種類の変成チタン酸ジルコン酸鉛磁器組成物群を調
製した。これらは強誘電体低温相−高温相間の相転移を
有し、かつ相転移温度がそれぞれ異なる。これら磁器組
成物の各特性値も参考に第1表に示されている(表中の
焦電係数(Po)は相転移温度(To)に於ける値であ
る)。
ちPb{(Nb2/3Mn1/3)xZryTi(1−x−y)}O3を、第
1表に番号1乃至9で示すように、xとyの比率を変え
た9種類の変成チタン酸ジルコン酸鉛磁器組成物群を調
製した。これらは強誘電体低温相−高温相間の相転移を
有し、かつ相転移温度がそれぞれ異なる。これら磁器組
成物の各特性値も参考に第1表に示されている(表中の
焦電係数(Po)は相転移温度(To)に於ける値であ
る)。
第1表の変成チタン酸ジルコン酸鉛磁器組成物群の番号
3、及び番号4の磁器組成物の焦電係数温度特性曲線は
第1図及び第2図にそれぞれ示されている。番号3、及
び番号4の磁器組成物の両者共、焦電係数Pは相転移温
度(To)にて焦電係数(Po)が鋭いピークを示してい
る。
3、及び番号4の磁器組成物の焦電係数温度特性曲線は
第1図及び第2図にそれぞれ示されている。番号3、及
び番号4の磁器組成物の両者共、焦電係数Pは相転移温
度(To)にて焦電係数(Po)が鋭いピークを示してい
る。
第1表に示されるように、x=0.05〜0.2、y=0.8〜0.
95の範囲の比較的低温領域において高い焦電係数値が得
られると共に、焼成温度も1200℃前後にて焼成が可能と
なる磁器組成物を得ることができる。又、MnO2,Cr2O3又
はMnO2とCr2O3を0.5乃至1.0重量パーセント加えた結
果、tanδは2%以下であった。
95の範囲の比較的低温領域において高い焦電係数値が得
られると共に、焼成温度も1200℃前後にて焼成が可能と
なる磁器組成物を得ることができる。又、MnO2,Cr2O3又
はMnO2とCr2O3を0.5乃至1.0重量パーセント加えた結
果、tanδは2%以下であった。
第2表は比較例として、x,yの値が前記範囲外にある磁
器組成物の測定値を示す。x,yの値が前記範囲外にある
ものは相転移がみられず、焦電性も観察されなかつた。
器組成物の測定値を示す。x,yの値が前記範囲外にある
ものは相転移がみられず、焦電性も観察されなかつた。
第3表は比較例として、副原料の添加率が0.5重量パー
セント未満又は1重量パーセントを超えるもののtanδ
の測定値を示す。x,yの値が前記範囲内にある磁器組成
物であっても、tanδは約3パーセント以上であった。
セント未満又は1重量パーセントを超えるもののtanδ
の測定値を示す。x,yの値が前記範囲内にある磁器組成
物であっても、tanδは約3パーセント以上であった。
次に実施例1として前記番号3及び4の焦電性磁器組成
物を使用して本発明の複合磁器組成物を調整する。まず
それぞれを再度粉砕し、10%ポリビニルアルコール水溶
液を加え混練し、40meshフルイにて整粒後、2種の整粒
物を混合し、2.0ton/cm2の圧力にて直径35mm、厚さ20mm
の円柱に加圧成形した。次に脱バインダー処理として、
900℃で3時間加熱処理し、HIP装置にて加熱加圧焼結を
行うため、試料をZrO2粉末とともにHIP焼結用軟網セル
に充填した。セル内を700℃にて脱気し、セルを密封し
てアルゴン雰囲気中にて1000℃、1000kg/cm2、1時間加
熱加圧処理した。得られた複合磁器を直径20mm、厚さ0.
5mmに切断、研磨し、蒸着により両面に銀電極をつけ、8
0℃のシリコン油中にて2KV/mmの直流電圧を印加して分
極処理を行った。
物を使用して本発明の複合磁器組成物を調整する。まず
それぞれを再度粉砕し、10%ポリビニルアルコール水溶
液を加え混練し、40meshフルイにて整粒後、2種の整粒
物を混合し、2.0ton/cm2の圧力にて直径35mm、厚さ20mm
の円柱に加圧成形した。次に脱バインダー処理として、
900℃で3時間加熱処理し、HIP装置にて加熱加圧焼結を
行うため、試料をZrO2粉末とともにHIP焼結用軟網セル
に充填した。セル内を700℃にて脱気し、セルを密封し
てアルゴン雰囲気中にて1000℃、1000kg/cm2、1時間加
熱加圧処理した。得られた複合磁器を直径20mm、厚さ0.
5mmに切断、研磨し、蒸着により両面に銀電極をつけ、8
0℃のシリコン油中にて2KV/mmの直流電圧を印加して分
極処理を行った。
さらに、実施例2として実施例1の脱バインダー処理後
の試料を常圧にて1230℃、2時間加熱処理して焼結させ
た。得られた複合磁器を直径20mm、厚さ0.5mmに切断、
研磨し、蒸着により両面に銀電極をつけ、80℃のシリコ
ン油中にて2KV/mmの直流電圧を印加して分極処理を行っ
た。
の試料を常圧にて1230℃、2時間加熱処理して焼結させ
た。得られた複合磁器を直径20mm、厚さ0.5mmに切断、
研磨し、蒸着により両面に銀電極をつけ、80℃のシリコ
ン油中にて2KV/mmの直流電圧を印加して分極処理を行っ
た。
実施例3として前記番号2、3、及び4の焦電性磁器組
成物を再度個々に粉砕し、10%ポリビニルアルコール水
溶液を加え、混練し、40meshフルイにて整粒後、3種の
整粒物を混合した。その後、実施例1の方法と同様の処
理により作成して複合磁器組成物を得た。
成物を再度個々に粉砕し、10%ポリビニルアルコール水
溶液を加え、混練し、40meshフルイにて整粒後、3種の
整粒物を混合した。その後、実施例1の方法と同様の処
理により作成して複合磁器組成物を得た。
このようにして得られた実施例1、2、及び3の焦電性
複合磁器組成物の特性値を第4表に示す(表中に焦電係
数(PR)は相転移範囲内(TR)に於ける値であ
る)。
複合磁器組成物の特性値を第4表に示す(表中に焦電係
数(PR)は相転移範囲内(TR)に於ける値であ
る)。
上記実施例では変成チタン酸ジルコン酸鉛磁器組成物
と、同じく変成チタン酸ジルコン酸鉛磁器組成物であっ
て相転移温度が異なるもの二つ以上を焼結して複合磁器
組成物を得、広い温度領域にわたって概ね平坦な焦電係
数温度特性曲線を示す焦電性複合磁器組成物を製造する
ことができる。
と、同じく変成チタン酸ジルコン酸鉛磁器組成物であっ
て相転移温度が異なるもの二つ以上を焼結して複合磁器
組成物を得、広い温度領域にわたって概ね平坦な焦電係
数温度特性曲線を示す焦電性複合磁器組成物を製造する
ことができる。
実施例1及び2の複合磁器の焦電係数温度特性曲線をそ
れぞれ第3図、第4図に示す。これらの焦電性複合磁器
は、25℃、または49℃に相転移を持つ二つの焦電性磁器
組成物を焼成条件を変えて焼成した複合焼結体であり、
焦電係数Pは第3図、第4図に示すように20℃〜65℃の
温度域に於いて、二つの相転移温度のピーク値が消失し
て比較的平坦な曲線で示される焦電係数温度特性を示し
ている。
れぞれ第3図、第4図に示す。これらの焦電性複合磁器
は、25℃、または49℃に相転移を持つ二つの焦電性磁器
組成物を焼成条件を変えて焼成した複合焼結体であり、
焦電係数Pは第3図、第4図に示すように20℃〜65℃の
温度域に於いて、二つの相転移温度のピーク値が消失し
て比較的平坦な曲線で示される焦電係数温度特性を示し
ている。
(発明の効果) 本発明による焦電性複合磁器組成物は従来の強誘電体低
温相−高温相間の相転移を持つ焦電性磁器に比べ広い温
度領域に於いて高焦電効果を維持することができ、赤外
線検出器等へ応用した場合、使用温度範囲を広くするこ
とができる。
温相−高温相間の相転移を持つ焦電性磁器に比べ広い温
度領域に於いて高焦電効果を維持することができ、赤外
線検出器等へ応用した場合、使用温度範囲を広くするこ
とができる。
又、本発明による焦電性複合磁器組成物での製造方法に
よれば相転移温度が異なる二つ以上のチタン酸ジルコン
酸鉛磁器を混合し焼結して、それぞれの相転移による焦
電効果を利用して広い温度領域において、比較的平坦な
焦電係数温度特性曲線をとるようにした焦電性複合磁器
組成物を製造することができる。
よれば相転移温度が異なる二つ以上のチタン酸ジルコン
酸鉛磁器を混合し焼結して、それぞれの相転移による焦
電効果を利用して広い温度領域において、比較的平坦な
焦電係数温度特性曲線をとるようにした焦電性複合磁器
組成物を製造することができる。
第1図は、番号3の、第2図は番号4の焦電性磁器組成
物の焦電係数温度特性曲線で、図中のToは相転移点(ま
たは相転移温度)、Poは相転移点に於ける焦電係数であ
る。 第3図は実施例1の焦電性複合組成磁器の焦電係数温度
特性曲線で、図中のTRは相転移の範囲を示し、破線か
ら上の部分に複合組成に基づく略平坦な曲線によって焦
電係数特性が示されている。 第4図は実施例2の焦電性複合組成磁器の焦電係数温度
特性曲線で、図中のTRは相転移の範囲を示し、破線か
ら上の部分に複合組成に基づく概ね平坦な曲線によって
焦電係数温度特性が示されている。
物の焦電係数温度特性曲線で、図中のToは相転移点(ま
たは相転移温度)、Poは相転移点に於ける焦電係数であ
る。 第3図は実施例1の焦電性複合組成磁器の焦電係数温度
特性曲線で、図中のTRは相転移の範囲を示し、破線か
ら上の部分に複合組成に基づく略平坦な曲線によって焦
電係数特性が示されている。 第4図は実施例2の焦電性複合組成磁器の焦電係数温度
特性曲線で、図中のTRは相転移の範囲を示し、破線か
ら上の部分に複合組成に基づく概ね平坦な曲線によって
焦電係数温度特性が示されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中塚 宏 静岡県静岡市緑町8―6 (72)発明者 桑原 啓至 静岡県富士宮市星山85―231 (72)発明者 斉藤 昭三 静岡県静岡市緑が丘町18―2 (72)発明者 杉山 治 静岡県静岡市高松2449 (72)発明者 萱沼 広行 静岡県静岡市新間393―1 螢ケ丘団地ゆ り棟205号 (56)参考文献 特開 昭62−241825(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】Pb{(Nb2/3Mn1/3)xZryTi(1−x−
y)}O3の組成式で表わされ、式中のx,yはx=0.05〜
0.20、y=0.80〜0.95、かつx+y≦1となる範囲で定
められる組成物に、該組成物に対して0.5〜1.0重量パー
セントのMnO2、又はCr2O3、又はMnO2とCr2O3との混合物
を混合して焼成した焦電性磁器組成物であって、強誘電
体低温相−高温相間の相転移を有する前記焦電性磁器組
成物の、少なくとも二つ以上から成る群より選んだ、相
転移温度の異なる二つ以上の焦電性磁器組成物を混合し
て焼結することを特徴とする焦電性複合磁器組成物の製
造方法。 - 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の方法で製造し
た焦電性複合磁器組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63093338A JPH0688836B2 (ja) | 1988-04-18 | 1988-04-18 | 焦電性磁器材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63093338A JPH0688836B2 (ja) | 1988-04-18 | 1988-04-18 | 焦電性磁器材料及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01264962A JPH01264962A (ja) | 1989-10-23 |
JPH0688836B2 true JPH0688836B2 (ja) | 1994-11-09 |
Family
ID=14079482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63093338A Expired - Fee Related JPH0688836B2 (ja) | 1988-04-18 | 1988-04-18 | 焦電性磁器材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0688836B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2347416B (en) | 1999-02-22 | 2001-02-14 | Infrared Integrated Syst Ltd | Ferroelectric ceramics |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5110815B2 (ja) * | 1972-05-22 | 1976-04-07 | ||
JPS5528560B2 (ja) * | 1974-10-08 | 1980-07-29 | ||
JPH0798663B2 (ja) * | 1986-04-14 | 1995-10-25 | 住友金属鉱山株式会社 | 赤外線センサー用焦電体磁器の製法 |
-
1988
- 1988-04-18 JP JP63093338A patent/JPH0688836B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01264962A (ja) | 1989-10-23 |
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