JPH0688300A - 耐食性、表面性状にすぐれたステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

耐食性、表面性状にすぐれたステンレス鋼の製造方法

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JPH0688300A
JPH0688300A JP23856292A JP23856292A JPH0688300A JP H0688300 A JPH0688300 A JP H0688300A JP 23856292 A JP23856292 A JP 23856292A JP 23856292 A JP23856292 A JP 23856292A JP H0688300 A JPH0688300 A JP H0688300A
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stainless steel
electrolysis
nitric acid
corrosion resistance
potential
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JP23856292A
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Shigeru Kitani
滋 木谷
Yoshio Hayashi
美生 林
Toshio Kojima
寿男 小島
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステンレス鋼を脱スケール後、見られる表面
性状、耐食性の劣化を防止する技術の確立。 【構成】 脱スケール後、特定電解条件下で素地の硝酸
陰極、陽極電解処理を行うことで表面性状の劣化要因お
よび耐食性劣化要因をぞれぞれ溶解除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼の製造方
法、特に、脱スケール後のフェライト系およびオーステ
ナイト系ステンレス鋼を陰極電解あるいは陽極電解する
に際して電流密度およびステンレス鋼表面の電位を制限
することでステンレス鋼の耐食性および表面性状を改善
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼にあっても焼鈍などの熱処
理等を行うことで表面に酸化スケールが生成することが
あり、使用に先立ってそれらを除去することが必要であ
る。従来より、ステンレス鋼の脱スケール法としては機
械的に除去する方法が行われているが、硝酸水溶液中で
の電解処理 (以下、硝酸電解と呼ぶ) も、工業的に行わ
れている。通常、硝酸電解のみでステンレス鋼の酸化ス
ケールを除去するのは困難なので、前工程として、水酸
化ナトリウムや硝酸ナトリウムの混合溶融塩に浸漬した
り、硫酸ナトリウム水溶液中で陽極電解したりして、酸
化スケール中のクロム酸化物(Cr2O3) を可溶性の6価ク
ロムイオンに変えて溶出させた後、硝酸電解法で脱スケ
ールしている。
【0003】なお、硝酸電解法は主としてフェライト系
ステンレス鋼の脱スケールに用いられており、オーステ
ナイト系ステンレス鋼の場合には前記の溶融塩浸漬など
の後で、硝酸とフッ化水素酸の混酸に浸漬して脱スケー
ルするのが普通である。
【0004】本明細書では機械的に脱スケールする場合
も含めて、これらを「脱スケール後のステンレス鋼」と
称する。
【0005】ところで、硝酸電解による脱スケールにお
いては、効率的に、すみやかに脱スケールすることが最
重要課題であり、このために電解条件等の脱スケール条
件が研究されてきた。そして、従来は、脱スケールすれ
ば良いという考え方であった。例えば、特開昭49−6783
7 号公報にはNa2SO4水溶液中電解処理と塩化第二鉄水溶
液への浸漬後に硝酸電解する方法が開示され、特開昭59
−59900 号公報においては硝酸電解設備の陽極と陰極の
面積比を調節することにより、脱スケール効率を高める
方法が開示されている。これらの方法の目的はいずれも
スケールをより効率的に除去することにある。
【0006】また、硝酸中でのステンレス鋼の陰極電解
は脱スケールの目的で研究されており、例えば特開昭49
−123936号公報には硝酸を含む鉱酸中での陰極電解によ
り脱スケールする方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
あっても脱スケール後のステンレス鋼の表面性状および
耐食性は、処理条件によっては黒色を呈することがあ
り、また耐食性の大幅な劣化を避けることができないな
ど、問題が見られた。ここに、本発明の目的は、脱スケ
ール後のステンレス鋼の表面状態 (光沢、質感) および
耐食性を改善する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題を解決すべく検討を行い、表面性状、耐食性劣化の原
因について種々検討を重ねた結果、表面性状、耐食性劣
化の原因が脱スケール後のステンレス鋼表面に存在する
金属層、つまりCr濃度が低く、Si濃度の高い金属層が存
在することであることを知った。
【0009】そこで、そのような表面の金属層を溶解す
れば耐食性が改善されるとの着想を得て、硝酸電解に着
目し、さらには金属層の溶解に伴う表面性状を改善する
ため、種々のステンレス鋼について硝酸電解条件を研究
した結果、次の点を見い出し、本発明を完成した。
【0010】上記金属層の溶解には陽極電解ばかりで
なく陰極電解でも効果があること。 電解電流密度およびステンレス鋼の表面電位、さらに
は硝酸濃度、そして溶解量の影響が大きいこと。 脱スケール後のステンレス鋼の表面性状および耐食性
を改善するにはそれらに一定の臨界的範囲が存在するこ
と。
【0011】かくして、本発明の要旨とするところは、
脱スケール後のステンレス鋼を硝酸水溶液中で、下記の
条件で陰極電解または/および陽極電解することを特徴
とする耐食性および表面性状を改善したステンレス鋼の
製造方法である。
【0012】(i) 電解時の電流密度が陰極電解時に12.5
×C〜50×C2[C: 硝酸濃度(%)]の電流値、望ましく
は、25×C〜25×C2 の電流値、陽極電解時に2mA/cm2
超、好ましくは10mA/cm2超であること。
【0013】または (ii)電解時のステンレス鋼表面の電位が陰極電解時に図
3の2本の実線のグラフの間の電位、望ましくは、2本
の破線のグラフの間の電流値、陽極電解時に1.1 V (v
s. SCE)より貴な電位であること。
【0014】本発明の処理の対象としては、焼鈍後化学
的あるいは電気化学的処理によって脱スケールしたステ
ンレス鋼であるが、表面研磨によって脱スケールを行っ
たものも本発明が有利に適用されるのは明らかであろ
う。
【0015】かくして、本発明にしたがって電解酸洗仕
上げすることにより、そのステンレス鋼の耐食性、そし
て外観、つまり表面光沢を制御することができる。本発
明にしたがって電解酸洗することにより、そのステンレ
ス鋼表面に存在する耐食性の劣る金属層を溶解除去し、
耐食性を向上させることができる。
【0016】このような耐食性の改善には、電解による
溶解深さがオーステナイト系ステンレス鋼の場合は、例
えば0.5 μm 以上、フェライト系ステンレス鋼の場合は
例えば0.1 μm 以上とすることで十分である。このよう
な外観の改善には、電解による溶解深さを例えば表面か
らの深さ0.5μm 以上とすることで十分である。
【0017】
【作用】次に、本発明の作用についてさらに具体的に実
験データをもって説明する。本発明者らの研究によれ
ば、硝酸水溶液中での陰極電解によるステンレス鋼の溶
解速度は硝酸濃度の影響を強く受け、一般に濃度が濃い
ほど溶解速度が速い。また、電解電位の影響はステンレ
ス鋼の種類および硝酸濃度によっても異なるが、SCE 基
準で−0.2V (ボルト) より卑な電位で溶解が起こり、電
位が卑になるにつれて溶解速度が速くなる。ただし、電
位があるある値より卑になると、逆に溶解速度は遅くな
り、ついには全く溶解しなくなる (すなわち、カソード
防食される) 。
【0018】そして、溶解速度が極大値を示す電位は硝
酸濃度が濃くなるにつれて卑となる傾向があり、カソー
ド防食されにくくなる。一方、陰極電解による溶解速度
そのものは、ステンレス鋼の種類によっても異なり、一
般にCr含有量の低い低級ステンレス鋼ほど、溶解速度が
速い傾向がある。
【0019】以上の記述においては、電位を制御しなが
らステンレス鋼を電解して溶解する方法を述べたが、同
様なことは電流を制御しながら電解することによっても
行うことができる。
【0020】ステンレス鋼を硝酸中で電解する場合、ス
テンレス鋼表面の電位と電解電流の間には一定の関係が
あり、電位が貴または卑になるにつれて電解電流の絶対
値は大きくなる (ただし、方向は逆) 。従って、電解電
流を決めることにより電位が定まり、これに対応して溶
解速度も定まるので、一般には電解電流の大きさおよび
方向 (正負) によって溶解速度を制御するのが便利であ
る。
【0021】図1は、SUS430ステンレス鋼を50℃のHNO3
溶液中で電流密度を種々に変えて電解した場合の溶解速
度を示している。この図からわかるように、陽極電解
(正の電流) においては、電流密度がおよそ2mA/cm
2超、好ましくは10mA/cm2超で溶解が始まり、電流密度
が大きくなるほど溶解速度が大きくなる。
【0022】一方、陰極電解 (負の電流) においては、
電流密度が10 mA/cm2 付近から溶解が増加し始め、電流
密度の増大に伴って溶解速度が速くなるが、ある程度以
上の電流密度以上で、逆に溶解速度は小さくなり始め、
ついには全く溶解しなくなる。すなわち、陰極電解の場
合には、ステンレス鋼の溶解が起こる電流密度の範囲が
ある。そして、この範囲は硝酸濃度が濃い程広く、より
大きな電流密度になるまで溶解が起こるため、実質的に
は、硝酸濃度が濃い程、早く溶解させることができる。
【0023】これらの実験結果より、陰極電解によるス
テンレス鋼の溶解に適した電流密度と硝酸濃度との関係
は図2のようにまとめることができる。ここに、図2は
硝酸電解における硝酸濃度と陰極電解の電流密度が表面
性状、耐食性、および溶解速度に及ぼす影響を示すグラ
フである。図2の実線、破線のグラフはそれぞれ、12.5
×C≦I≦50C2 、25×C≦I≦25C2 によって表示さ
れる。これより、適正電流範囲は次の通りであることが
判明した。
【0024】下限: 12.5×C mA/cm2 上限: 50×C2 mA/cm2 [ただし、Cは硝酸濃度(%)] また、前述のようにステンレス鋼表面の電位を制御する
ことによっても溶解速度をコントロールできる。
【0025】この場合についても同様にしてステンレス
鋼の表面電位との相関を求めると図3のグラフが得られ
る。ここに、図3は同じく硝酸濃度とステンレス鋼表面
電位との表面性状に及ぼす影響を示すグラフである。ま
た図3の実線のグラフによってその範囲が、破線のグラ
フによっては好ましい範囲が表示される。
【0026】この方法による適正電位範囲は下記の通り
である。 陽極電解 : +1.1 V(vs SCE)より貴な電位 陰極電解 : −(0.005C+0.15) 〜−(0.005C+2.15) V(v
s. SCE) [ただし、Cは硝酸濃度(%)] 好ましくは−(0.005C+0.35) 〜−(0.005C+1.95) V(vs.
SCE) これらの処理条件を外れるとステンレス鋼の素地の溶解
が十分行われなくなる。つまり、表面性状および耐食性
が劣化する。
【0027】なお、従来技術における脱スケールを目的
に行われる硝酸電解条件は次の通りである。もちろん、
脱スケールは電解だけでは進行せず、予備処理が必要で
あることは云うまでもない。本発明の場合と比較して例
えば陰極電解の場合、低電流であることが分かる。
【0028】硝酸濃度: 10〜15%、陰極電解: 20 mA/cm
2 、陽極電解: 20 mA/cm2 次に、電解によって溶解したステンレス鋼の表面を詳細
に調べた結果、電解電位または電流密度によって表面性
状が大きくことなることが判明した。
【0029】まず、陽極電解について言えば、電解後の
外観は暗い灰色で光沢がなくなるのが大きな特徴であ
る。この原因を調べるため、電解後のステンレス鋼(SUS
430 またはSUS410S)表面をSEM(走査型電子顕微鏡) によ
って観察したところ、直径0.5〜3μm のピットが全面
に生じていることが分かった。すなわち、光がこれらの
ピットによって散乱して一部が吸収されるため、光沢の
ない暗灰色に見えるものと推定される。また、SUS304の
ようなCr−Ni系ステンレス鋼の場合には、ピットは発生
しないが凹凸の非常に大きい表面になっているために、
光沢が全く無かった。
【0030】陰極電解の場合には、電解電位または電流
密度によって外観が異なる。まず、溶解速度が極大値を
示す電位または電流密度の前後で電解すると非常に金属
光沢の大きい表面が得られる。
【0031】この電位や電流密度は、ステンレス鋼の種
類や硝酸濃度によっても異なるため、一定の数値で表現
することはできないが、好適態様にあっては、電位で言
えばおよそ−0.8 〜−2.0 V(vs SCE)、電流で言えば−
200 〜−2500mA/cm2で電解することにより光沢の良い表
面が得られる。SEM 観察によれば、これらの光沢の良い
ステンレス鋼表面は平坦であり、ピットや粒界溝は認め
られない。
【0032】また、−0.3 〜−0.8 V(vs SCE)、あるい
は−数+〜−数百mA/cm2で電解することにより、Cr系ス
テンレス鋼の場合は光沢の少ない明るい灰色、Cr−Ni系
ステンレス鋼の場合には光沢の少ないナシ地肌の表面が
得られる。SEM 観察によれば、これらの表面はかなり凹
凸が大きいが、ピットや粒界溝は認められない。
【0033】次に、電解による溶解量は目的に応じて調
整する必要がある。まず、外観 (光沢、色調) を所望の
ものにしようとする場合には、通常1μm 以上の深さの
溶解が必要であるが、電解前の材料の表面状況によって
は、0.5 μm 程度でも所期の光沢や色調が得られること
もある。
【0034】耐食性を所望のものにしようとする場合に
も、ある程度の深さの溶解が必要であり、その深さは電
解前の材料によって異なる。例えば、SUS304ステンレス
鋼を空気中で1100℃程度で約1分間焼鈍すると表面に酸
化スケールが生成するが、酸化スケール中には、CrやMn
が濃縮するために、スケール直下にCr濃度が低く、Si濃
度の高い金属層が生成する。
【0035】図4は、この焼鈍材をSIMS (二次イオン質
量分析法) で表面分析した結果を示している。この場合
の酸化スケールの厚さはおよそ0.5 μm であるが、この
下におよそ2μm の厚さのCr濃度が低い金属層 (Si濃度
が高い金属層) が生成しているため、この層を除去しな
ければ、SUS304ステンレス鋼本来の耐食性は得られな
い。同様なことは、フェライト系ステンレス鋼 (例え
ば、SUS430) についても言える。ただし、フェライト系
ステンレス鋼の場合には、焼鈍中におけるCrの拡散が速
いので、オーステナイト系ステンレス鋼のような明瞭な
Cr欠乏層が認められないが、Siの濃化した金属層が生成
する。そして、このようなSi濃化層を除去しなければ、
本来の耐食性が得られないことはオーステナイト系ステ
ンレス鋼の場合と同じである。
【0036】本発明にかかる硝酸中での電解処理は、こ
のようなCr欠乏層やSi濃化層を溶解して除去するのに適
しており、例えば、中性塩水溶液中での電解処理、すな
わちルスナー法として知られているNa2SO4水溶液中での
電解処理では、金属層を溶解することができない。しか
も、硝酸中での電解は酸洗後の外観を電解条件によって
ある程度コントロールできるという点で、硝フッ酸浸漬
法より優れている。
【0037】以上に述べたように、硝酸中での電解処理
自体は、ステンレス鋼の脱スケール法として知られてい
たが、これはもっぱらスケールの除去法として用いられ
ており、一方、本発明はこれをステンレス鋼の金属溶解
法として用いることにより、従来得られなかった外観や
耐食性を得ることができる点で、従来の脱スケール法と
は異なる。また、本発明によれば、ステンレス鋼の溶解
速度を処理条件を変えることにより自由にコントロール
することができる。次に、実施例により本発明の作用効
果についてさらに詳しく説明する。
【0038】
【実施例】
(実施例1)市販の2B仕様のステンレス鋼を湿式研摩 (粒
度1000番) したものを供試材として、種々の濃度の硝酸
中で対極を白金として陽極電解または陰極電解し、処理
後の外観および溶解深さを調べた。結果を表1に示す。
なお、電流密度の負号は陰極電流、正号は陽極電流を示
している。
【0039】
【表1】
【0040】表1から判るように、本発明法の電解条件
によれば、陰極電解においてSUS304ステンレス鋼はにぶ
い金属光沢を有する梨地肌やさらに金属光沢を増した滑
らかな表面に仕上げることができるし、SUS430やSUS410
S のCr系ステンレス鋼は灰色または白色の光沢のない表
面または光沢のある滑らかな面に仕上げることができ
る。また、陽極電解においては、灰色または黒灰色の全
く光沢のない、落ちついた感じの表面に仕上げることが
できる。一方、本発明法の条件を外れたものは、色ムラ
や、局部溶解による光沢ムラが発生し、外観が損なわれ
た。
【0041】(実施例2)SUS304およびSUS430のステンレ
ス鋼の鏡面研摩材 (板厚1.5 mm) をブタンガスの燃焼雰
囲気中でそれぞれ1150℃および830 ℃で180 秒間焼鈍し
たのち、生成した酸化スケールを1200番湿式研摩および
羽布研摩により注意深く取り除いて金属面を露出させ
た。続いて、50℃、12%硝酸溶液中で陽極電解と陰極電
解のくり返しにより酸洗したのち、6カ月間の大気暴露
試験により耐食性 (耐さび性) を調べた。結果を表2に
示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2に示した試験結果の例からわかるよう
に、研摩によって酸化スケールを除去したものは、外観
は金属光沢を持ち、通常のステンレス鋼と何ら変わりは
ないが、大気暴露試験により著しい斑点状の発銹が起き
た。
【0044】この理由は次のように考えられる。すなわ
ち、これらの焼鈍後のステンレス鋼は、図2に示すよう
に、酸化スケールの下にSiの濃化した層 (Crの欠乏した
層)が生成しており、この部分の耐食性は、それより深
い部分 (母材) に比べて非常に劣る。研摩によって酸化
スケールを除去しても、その下にあるSi濃化層 (Cr欠乏
層) が残存するために耐食性が劣り、大気暴露試験によ
って孔食等の局部腐食が発生し、発銹したものと考えら
れる。
【0045】一方、本発明法によってSi濃化層 (Cr欠乏
層) の金属を溶解して除去することにより、そのステン
レス鋼本来の組成の金属が表面に出るため、耐食性が良
くなり発銹が少なくなるものと考えられる。ただし、こ
の実施例においては、SUS304ステンレス鋼の場合は電解
時間80秒と120 秒では、SUS430ステンレス鋼の場合は40
秒と80秒ではSi濃化層が完全に除去されておらず、それ
以上の時間電解して完全にSi濃化層を除去したものに比
べると少し、発銹が多かった。
【0046】
【発明の効果】以上より明らかなように、脱スケール
後、特に最終焼鈍酸洗後、本発明によって電解処理を行
うことで、ステンレス鋼の表面性状および耐食性は大幅
に改善でき、ステンレス鋼本来の性質が確保できる。本
発明法は既存の硝酸電解脱スケール設備と同様な設備に
よって、鋼帯に適用することもできるので本発明の実用
上の利益は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】硝酸濃度を変えた場合の電流密度と溶解速度と
の関係を示すグラフである。
【図2】硝酸濃度と陰極電解電流密度とのステンレス鋼
の表面性状に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】陰極電解に際しての硝酸濃度とステンレス鋼表
面電位とのステンレス鋼の表面性状に及ぼす影響を示す
グラフである。
【図4】酸化スケールの成分分析結果を示すグラフであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱スケール後のステンレス鋼を硝酸水溶
    液中で、下記の条件で陰極電解または/および陽極電解
    することを特徴とする耐食性および表面性状を改善した
    ステンレス鋼の製造方法。 (i) 電解時の電流密度が陰極電解時に12.5×C〜50×C
    2 mA/cm2 [C: 硝酸濃度(%)]の電流値、 陽極電解時に2mA/cm2超であること、または (ii)電解時のステンレス鋼表面の電位が陰極電解時に−
    (0.005C+0.15) 〜−(0.005C+2.15) V(vs. SCE) [C:
    硝酸濃度(%)]の電位、 陽極電解時に1.1 V(vs. SCE) より貴な電位であるこ
    と。
  2. 【請求項2】 前記の陰極電解または/および陽極電解
    により、ステンレス鋼表面を厚さ 0.1μm 以上溶解する
    ことを特徴とする請求項1記載のステンレス鋼の製造方
    法。
JP23856292A 1992-09-07 1992-09-07 耐食性、表面性状にすぐれたステンレス鋼の製造方法 Withdrawn JPH0688300A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5976282A (en) * 1996-03-22 1999-11-02 Kawasaki Steel Corporation Method for producing austenitic steel plate with excellent surface brightness and corrosion resistance
JP2022505861A (ja) * 2018-10-26 2022-01-14 アエスクラップ アクチェンゲゼルシャフト 金属製品または合金製品の表面処理方法、および金属製品または合金製品

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