JPH0688204A - 横型バッチ浸炭窒化炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 雰囲気熱処理による浸炭窒化後の急冷を焼入
れ油を使用せず、公害物質の使用が不要で、自動化、省
力化に適する浸炭窒化炉を提供することを目的とする。 【構成】 浸炭窒化のための加熱後の急冷を行なうソル
トバス室１０を加熱室７に隣接して設け、ワーク９を横
移動させて加熱室７からソルトバス室１０に搬入する横
型バッチ浸炭窒化炉とし、ソルトバス室の加熱室に通ず
る出口に密閉扉４ｂを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼の表面処理法の一つ
である雰囲気熱処理による浸炭窒化処理を行うための浸
炭窒化炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋼の表面組織を非常に硬いものにする表
面処理法として、浸炭・窒化雰囲気（例えば商品名をＲ
Ｘガスと称するN₂、H₂及びCOを主成分とするガスにNH₃
を３〜５％添加したガス）中で、鋼を通常７８０〜８５
０℃に加熱保持した後、急冷することにより、鋼にＣ及
びＮを浸炭、窒化、拡散する雰囲気熱処理法が知られて
いる。

【０００３】加熱された材料を急冷する手段としては、
焼入れ油への浸漬が一般的であるが、この方法では、焼
入れ後、クロロセンによる脱脂洗浄をしなければならな
い。

【０００４】ところが、クロロセンは１９９５年度以
後、公害汚濁防止法により使えなくなる可能性が高く、
他の洗浄法が開発されない場合、焼入れ油は使えなくな
る。

【０００５】焼入れ油以外の急冷手段として、現在ソル
トバスによる冷却（マルテンパー、マルクエンチ）が行
なわれているが、ピット炉に限られている。

【０００６】しかし、ピット炉は構造上、自動化しにく
く、省力化の点で将来性に問題がある。また、ソルトバ
スがピット炉に限定される理由として、横型バッチ炉及
び連続炉にした場合、ソルトガスが加熱室に入り、発熱
体を損傷するという理由が挙げられている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、雰囲気熱処
理法による鋼の浸炭・窒化法の急冷法に関する上記の問
題点にかんがみ、自動化、省力化に適する横型バッチ浸
炭・窒化炉の冷却をソルトバスで行なった場合にも、ソ
ルトガスによる加熱室の発熱体の損傷が発生する可能性
の少い浸炭窒化炉を提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する本
発明は、ソルトバス冷却槽を有するソルトバス室が加熱
室に隣接して設けられ、加熱室内で浸炭・窒化雰囲気中
で加熱された被処理材を、横移動させてソルトバス室に
搬入し、ソルトバス冷却槽中のソルトバスに浸漬して急
冷する横型バッチ浸炭・窒化炉であって、ソルトバス室
の加熱室に通ずる出口に密閉扉を設けたことを特徴とす
る。

【０００９】

【作用】本発明の浸炭窒化炉は上記の如く構成され、加
熱後の被処理材の急冷はソルトバスにより行なわれるの
で、焼入れ油で急冷する場合のように、クロロセンのよ
うな物質を使用して脱脂洗浄をする必要がなく、水洗
（シャワー）で済む。そのため１９９５年度以後施行さ
れる公害防止法に抵触して使用できなくなるおそれはな
い。

【００１０】また、形式を横型バッチ炉としたことによ
り、自動化、省力化に対応することができ、加熱室に隣
接して設けられたソルトバス室の加熱室に通ずる出口に
密閉扉を設けたので、ソルトバスより生ずるソルトガス
は密閉扉に遮断されて加熱室に浸入することは殆んど防
止され、加熱室内の発熱体を損傷する可能性はなくな
る。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を、図面に基づいて詳
細に説明する。図１は、本発明によるソルトバス冷却方
式の横型バッチ浸炭窒化炉の一実施例の構成を示す図で
ある。

【００１２】本実施例の横型バッチ浸炭窒化炉は、ソル
トバス室１０の一方の側部には搬送台１１が設けられ、
他方の側部には加熱室７が設けられている。搬送台１１
の上面に載置されたワーク９をソルトバス室１０内を経
て加熱室７内のスキットレール６上に搬送するためのプ
ッシュプル駆動装置１が搬送台１１内に設けられてい
る。

【００１３】ソルトバス室１０内にはエレベータ３が昇
降可能に設けられ、その載置面を図に示す如く搬送台１
１の上面に一致させた状態でワーク９はプッシュプル駆
動装置１により、搬送台１１からエレベータ３上に移送
され、さらに加熱室７内のスキットレール６上に搬送す
ることができる。

【００１４】ソルトバス室１０内の、上記のワーク搬送
路より下方にはソルトバス冷却槽２が設けられ、エレベ
ータ３によりワークを冷却槽２内のソルトバスに浸漬
し、引上げることが可能となっている。

【００１５】ソルトバス室１０の搬送台側及び加熱室側
の出口には夫々密閉扉４ａ及び４ｂが設けられている。

【００１６】加熱室７内のスキットレール６の下位及び
側部にはヒータ８が設けられている他、パージガス及び
雰囲気ガスを加熱室内に供給する手段が設けられてい
る。加熱室７の入口には扉５が設けられている。

【００１７】搬送台１１上に搬送されてきたワーク９は
１個ずつプッシュプル駆動装置１により加熱室７に搬送
される。ワーク９が加熱室に搬送された後、扉５が閉鎖
され、加熱室７内はN₂ガスでパージされ、雰囲気ガスで
充され所定温度迄昇温後、浸炭・窒化拡散処理が行なわ
れる。次いで、扉５が開かれ、プッシュプル駆動装置１
により加熱されたワーク９が加熱室７からソルトバス室
１０内のエレベータ３の載置面上迄引出される。ソルト
バス室の両側の扉４ａ、４ｂを閉じた後エレベータ３は
ワーク９を載せたまゝ下降し、ワーク９をソルトバス冷
却槽２内に浸漬し急冷する。この際発生するソルトガス
は、密閉扉４ａ、４ｂにより、ソルトバス室１０から外
部に洩れることが防止され、加熱室７内にソルトガスが
侵入して発熱体８を損傷することは防止される。冷却
後、ワーク９はエレベータ３によりソルトバス冷却槽２
より引上げられ、扉４ａを開いて、プッシュプル駆動装
置によりワーク９は搬送台１１迄引出され、作業は終了
する。

【００１８】

【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、雰囲気熱
処理法による浸炭・窒化のため加熱されたワークの急冷
はソルトバスにより行なわれるので、将来使用が禁止さ
れるおそれのあるクロロセン等の脱脂洗浄剤の使用が不
必要であり、ソルトバスより発生するソルトガスは密閉
扉により遮断されて加熱室内に侵入することがなく、ソ
ルトガスによるヒータの損傷は防止される。又、炉の形
式を横型バッチ炉としたので自動化、省力化に対応する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の浸炭・窒化炉の構成を示す側
断面図である。

【符号の説明】

１ プッシュプル駆動装置 ２ ソルトバス冷却槽 ３ エレベータ ４ａ、４ｂ ソルトバス室出口密閉扉 ５ 加熱室扉 ６ スキットレール ７ 加熱室 ８ ヒータ ９ ワーク（被処理材） １０ ソルトバス室 １１ 搬送台

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤沢 昭一 埼玉県志木市柏町６−８−24 ソーラー金 属加工研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ソルトバス冷却槽を有するソルトバス室
   が加熱室に隣接して設けられ、加熱室内で浸炭・窒化雰
   囲気中で加熱された被処理材を横移動させてソルトバス
   室に搬入し、ソルトバス冷却槽中のソルトバスに浸漬し
   て急冷する横型バッチ浸炭窒化炉であって、ソルトバス
   室の加熱室に通ずる出口に密閉扉を設けたことを特徴と
   する浸炭窒化炉。