JP2013019029A - 熱処理治具および熱処理装置 - Google Patents

熱処理治具および熱処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、浸窒焼入れ処理において、浸窒処理および焼入れをワーク表面に均一に施して、ワークに変形不良が生じることを防止することができる熱処理治具および熱処理装置を提供するものである。
【解決手段】複数のワークWが載置され、熱処理炉1内にて前記ワークWの熱処理を行う際および前記ワークWを冷却油に浸漬する際に用いられる熱処理治具2であって、前記ワークWが載置される治具本体21と、前記治具本体21の側面外周を覆う側壁22とを有し、前記側壁22は、その上部および下部が前記治具本体21に対して固定されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、複数のワークが載置され、熱処理炉内にて前記ワークの熱処理を行う際および前記ワークを冷媒に浸漬する際に用いられる熱処理治具、および前記熱処理治具を備えた熱処理装置に関する。
従来から、鉄や鉄合金などの鉄鋼材料にて構成されるワークの表面に窒素を浸透拡散させるとともに焼入れ処理を施して、ワークの表面に硬化層を形成した浸窒焼入れ品を得るといったように、ワークに対する熱処理である浸窒焼入れ処理が行われている。
具体的には、前記ワークを熱処理炉内に投入し、該熱処理炉によりワークを焼入れ可能温度(ワークをオーステナイト組織にする温度)にまで加熱するとともに、前記熱処理炉内にアンモニアガスまたはアンモニアガスと窒素ガスとを供給する。
前記ガスが供給された熱処理炉内に前記ワークを投入することで、ワークの表面から窒素が拡散することとなる。
そして、ワークの表面から窒素を拡散させた後に、ワークを冷媒となる冷却油が貯溜される油槽に浸漬することにより急冷して焼入れを行うことで、表面の硬度が高く内部の硬度が低い浸窒焼入れ品が得られる。
一般的に、浸窒焼入れ処理を行う場合は、多数のワークを熱処理治具に収納した状態で熱処理炉内に搬入して処理が行われるが、熱処理炉内におけるアンモニア濃度のばらつきが大きいと、得られた浸窒焼入れ品毎の表面硬度や硬化深さのばらつきが大きくなり、一定品質の製品を得ることが困難となってしまう。
従って、特許文献1に記載されるように、熱処理炉内におけるアンモニア濃度のばらつきを抑えるために、多数のワークを収納した状態で熱処理炉内に搬入される熱処理治具の側面外周を板状部材により覆うことが行われている。
このように熱処理治具の側面外周を板状部材により覆うことで、熱処理炉内の雰囲気が熱処理治具の側面から熱処理治具内に流入することを阻止し、前記雰囲気が熱処理治具の下方からのみ熱処理治具内に流入するように構成しているので、熱処理治具内に載置されているワークは、同じアンモニア濃度の雰囲気に晒されて、浸窒反応が均一に進行することとなる。
これにより、各ワークに浸窒焼入れ処理を施すことにより得られた浸窒焼入れ品の表面硬度や硬化深さのばらつきを抑えることができ、一定品質の製品を得ることが可能となっている。
特開2010−7128号公報
前述のように、熱処理治具の側面外周を板状部材にて覆う場合は、例えば板状部材を熱処理治具側面の上端から吊り下げるように設置していた。つまり、板状部材は、その上端部のみが熱処理治具に固定され、その下部は熱処理治具に何ら固定されていなかった。
浸窒処理を終えたワークに焼入れを行う場合は、ワークを収納した熱処理治具を油槽に上方から浸漬することによりワークを冷却するが、熱処理治具を油槽に浸漬する際には、油槽の冷却油が熱処理治具の下面から熱処理治具内に流入し、熱処理治具内を下方から上方へ向かって流れる。
しかし、熱処理治具の側面外周を覆っている板状部材は、熱処理治具に上端部が固定されているだけであるので、熱処理治具を油槽に浸漬する際に、前記板状部材の下部が冷却油の流れにより熱処理治具から浮き上がって、熱処理治具の側面外周から離れるため、冷却油は熱処理治具の下端部からのみならず、側面からも熱処理治具内に流入することとなり、熱処理治具内を流れる冷却油に乱流が発生してしまう。
このように、熱処理治具内を流れる冷却油に乱流が発生すると、冷却油によるワークの冷却が部位ごとで不均一に行われることとなり、ワークに曲がりなどの変形不良が生じる原因となってしまう。
そこで、本発明においては、浸窒焼入れ処理において、浸窒処理および焼入れをワーク表面に均一に施して、ワークへの変形不良の発生を防止することができる熱処理治具および熱処理装置を提供するものである。
上記課題を解決する熱処理治具および熱処理装置は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、複数のワークが載置され、熱処理炉内にて前記ワークの熱処理を行う際および前記ワークを冷媒に浸漬する際に用いられる熱処理治具であって、前記ワークが載置される治具本体と、前記治具本体の側面外周を覆う側壁とを有し、前記側壁は、その上部および下部が前記治具本体に対して固定されている。
また、請求項2記載の如く、前記治具本体は、前記ワークが収納される容器と、前記容器が載置固定される基台とを備え、前記側壁の上部が、前記容器に固定されている。
また、請求項3記載の如く、請求項1または請求項2に記載の熱処理治具を備え、前記熱処理治具に載置されたワークに対して熱処理を行う。
本発明によれば、ワーク表面に対して均一な浸窒処理が行われるとともに、ワークの外周面が冷却油により均等に冷却されて、均一に焼入れが施されることとなり、焼入れ後のワークに曲がりなどの形状不良が発生することを防止できる。
本発明に係る熱処理装置を示す側面断面図である。 同じく熱処理装置の熱処理炉における加熱室を示す正面断面図である。 同じく熱処理装置の熱処理治具を示す斜視図である。 同じく熱処理治具を示す一部側面断面図である。 同じく熱処理治具を示す平面図である。 同じく熱処理治具を油槽に浸漬したときの、熱処理治具内における冷却油の流れを示す側面断面図である。 同じく熱処理治具を油槽に浸漬したときの、ワークに対する冷却油の流れ方向を示す側面図である。 熱処理治具に、熱処理治具の側面外周を覆う側壁を設けなかった場合の、熱処理治具内における冷却油の流れを示す側面断面図である。 熱処理治具に設けた、熱処理治具の側面外周を覆う側壁の上端部のみが熱処理治具に固定されている場合の、熱処理治具内における冷却油の流れを示す側面断面図である。 熱処理治具に、熱処理治具の側面外周を覆う側壁を設けなかった場合、および熱処理治具に設けた、熱処理治具の側面外周を覆う側壁の上端部のみが熱処理治具に固定されている場合の、ワークに対する冷却油の流れ方向を示す側面図である。
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
図1に示す熱処理装置は、熱処理炉1と、鉄または鉄合金にて構成されるワークWが多数載置された熱処理治具2とを備えており、ワークWを載置した状態の熱処理治具2を熱処理炉1内に搬入して熱処理を行うことで、ワークWの表面に窒素を浸透拡散させるとともに焼入れを施す浸窒焼入れ処理を行うためのものである。
また、前記熱処理装置には搬送レール3が備えられており、熱処理治具2を熱処理炉1内へ搬入する際には、熱処理治具2を搬送レール3に沿って移動するように構成している。
熱処理炉1は、前室1aと、前室1aに連続して配置される加熱室1bと、前室1aの下方に配置される焼入れ油槽1cとを備えている。
前室1aと外部との間には第一開閉扉15aが設けられ、前室1aと加熱室1bとの間には第二開閉扉15bが設けられている。
また、加熱室1b内には加熱室1b内を加熱するための加熱具であるヒーター13と、加熱室1b内の雰囲気を攪拌するためのファン14と、加熱室1b内にアンモニアガスなどのガスを供給するためのガス供給管12とが設けられている。
加熱室1b内に設けられるヒーター13は、例えば加熱室1b内のワーク搬送方向と直交する方向における両側面部に配置されている。
ガス供給管12は加熱室1bの天井面におけるファン14の近傍位置から下方へ向けてアンモニアガスなどのガスを供給するように配置されている。
また、前記ファン14は加熱室1bの天井面近傍に配置されており、上方または下方から供給される雰囲気を側方へ送風するように構成されている。
焼入れ油槽1c内には、焼入れ時にワークWを急冷するための冷媒である冷却油が貯溜されている。
このように構成される熱処理炉1を用いてワークWの浸窒焼入れ処理が行われるが、浸窒焼入れ処理を行う際には、まず熱処理治具2に複数のワークWを載置し、ワークWが載置された熱処理治具2を搬送レール3に沿って移動させて前室1a内に搬送する。
前室1aに熱処理治具2を搬送した後、第一開閉扉15aおよび第二開閉扉15bを閉じて前室1a内を真空引きし、その後前室1a内に窒素ガスを充填する。
次に、第二開閉扉15bを開いて、ワークWが載置された熱処理治具2を搬送レール3に沿って前室1aから搬送口1dを通じて加熱室1b内に搬送する。
加熱室1b内に熱処理治具2が搬送された後、ヒーター13により加熱室1b内の雰囲気を加熱することによりワークWの加熱を行う。この場合、ファン14により加熱室1b内の雰囲気を攪拌することで、加熱室1b内における各箇所の温度、雰囲気を一定にしている。
ヒーター13によりワークWを加熱した後、その加熱状態を維持しながら、ガス供給管12から加熱室1b内に所定流量のアンモニアガス(またはアンモニアガスおよび窒素ガス)を供給する。
つまり、加熱室1bでのワークWへの浸窒処理は、アンモニアガス(またはアンモニアガスおよび窒素ガス)の雰囲気下で行われる。
また、加熱室1bにてワークWへ浸窒処理を行うときには加熱室1b内の雰囲気をヒーター13により所定の温度に加熱するが、前記ヒーター13による加熱は、加熱室1b内の温度が所定の時間だけ所定の温度に維持されるように、熱処理炉1に接続される制御装置4により制御される。
なお、ワークWに対する浸窒処理を行うときには、加熱室1bのヒーター13による加熱は、例えばワークWの温度が800℃程度以上、特に800℃程度から850℃程度までの範囲の温度となるように行われる。
また、制御装置4は、前記ファン14の運転や熱処理炉1内におけるワークWの搬送や、第一開閉扉15aおよび第二開閉扉15bの開閉や、加熱室1b内へのアンモニアガスの供給などの制御も行う。
加熱室1bでのワークWの加熱が完了すると、第二開閉扉15bを開いてワークWが載置された熱処理治具2を焼入れ油槽1cへ搬送し、該焼入れ油槽1c内の冷却油に熱処理治具2内に収納されたワークWを浸漬して急冷する。
これにより、ワークWにおけるオーステナイト組織がマルテンサイト化されて、ワークWの焼入れが行われることとなり、浸窒焼入れ品が得られる。
図2〜図5に示すように、熱処理治具2は、ワークWを収納するための治具本体21と、治具本体21の側面外周を覆う側壁22・22・・・とを有している。治具本体21は、ワークWが収納される容器である複数のバスケット21a・21a・・・と、前記バスケット21aが載置固定される基台21bとを備えている。
バスケット21aは、複数のワークW・W・・・が収納される箱状部材である。ワークWとしては、例えば鉄や鉄合金などの鉄鋼材料を丸棒状に形成した部材が用いられている。各ワークW・W・・・は、その軸心方向を上下方向に向けた姿勢で、即ち立設姿勢でバスケット21a内に載置されている。
基台21b上には複数のバスケット21a・21a・・・が行列状に並設されており、各行列位置のバスケット21a・21a・・・は、基台21b上において複数段に積み上げられている(本例においては、一段につき2行3列に配列されたものが4段に積層されている)。基台21b上に載置される複数のバスケット21a・21a・・・は、全体的に直方体状に積み上げられている。
また、上下に隣接するバスケット21a・21a間には、隙間Gが存在している。
各側壁22・22・・・は板状部材にて構成されており、直方体状に積み上げられた複数のバスケット21a・21a・・・の各側面と略同じ面積および形状に形成されている。即ち、複数のバスケット21a・21a・・・の各側面は、それぞれ対応した一枚の側壁22によりその全面が覆われている。
これにより、治具本体21の側面外周が全体的に側壁22・22・・・により覆われることとなり、また上下に隣接するバスケット21a・21a間に存在する隙間Gが閉塞されている。
各側壁22・22・・・は、その上端部および下端部が、それぞれ固定フック23・23・・・および固定ブロック24・24・・・により、治具本体21に固定されている。
各固定フック23・23・・・は、各側壁22・22・・・の上端部と、基台21b上に積み上げられている最上段のバスケット21a・21a・・・とを連結するフック部材であり、当該固定フック23・23・・・により側壁22・22・・・の上端部がバスケット21a・21a・・・に固定されている。
また、各固定ブロック24・24・・・は、各側壁22・22・・・の下端部と基台21bとを連結するブロック状の部材であり、当該固定ブロック24・24・・・により側壁22・22・・・の下端部が基台21bに固定されている。
本例の場合、各側壁22・22・・・の上端部および下端部は、それぞれ複数箇所において、固定フック23・23・・・および固定ブロック24・24・・・により、それぞれバスケット21a・21a・・・および基台21bに固定されている。
本例の場合、各側壁22・22・・・における固定フック23・23・・・は、一つの最上段バスケット21aに対して二つの割合で配置されており、各側壁22・22・・・における固定ブロック24・24・・・は、一つの最下段バスケット21aに対して一つの割合で配置されている。
バスケット21aは、上面が開放された箱部材にて構成されており、その底板21cには上下方向に貫通する複数の開口部21d・21d・・・が開口している。これにより、バスケット21aの底板21cにおいては、開口部21d・21d・・・を通じて気体および液体が上下方向に通過可能となっている。
また、基台21b上に積み上げられている最上段のバスケット21aの上面には、天板21eが載置されている。天板21eは、例えば複数の板状部材を立てた姿勢で(板面が前後左右方向へ向く姿勢)格子状に組んで構成されており、上下方向に貫通する開口部を有している。これにより、天板21eにおいては、前記開口部を通じて気体および液体が上下方向に通過可能となっている。
基台21bには、上下方向に貫通する複数の開口部21f・21f・・・が形成されている。開口部21f・21f・・・は、少なくともバスケット21a・21a・・・が載置されている部分の全体にわたって形成されている。
これにより、基台21bにおいては、開口部21f・21f・・・を通じて気体および液体が上下方向に通過可能となっている。
このように構成される熱処理治具2を、加熱室1b内に搬入して、ワークWに対して加熱処理を施す場合、加熱室1b内および熱処理治具2内における加熱室1b内の雰囲気の流れは、以下のようになる。
つまり、図2に示すように、ファン14によりワーク搬送方向と直交する方向の外側方へ送風された雰囲気は、熱処理治具2の両側方に位置するヒーター13に沿って下方へ移動し、さらに熱処理治具2側へ流れる。
この場合、加熱室1b内の上部で熱処理治具2側へ流れた雰囲気は熱処理治具2の上方を通過し、加熱室1b内の上下中間部で熱処理治具2側へ流れた雰囲気は熱処理治具2の側面に達し、加熱室1b内の下部で熱処理治具2側へ流れた雰囲気は熱処理治具2の下方へ回り込む。
加熱室1b内の上部において熱処理治具2の上方を通過した雰囲気は再度ファン14側へ戻る。
また、加熱室1b内の上下中間部で熱処理治具2側へ流れた雰囲気は熱処理治具2における治具本体21の側面に達するが、治具本体21の側面は側壁22・22・・・に覆われており、上下のバスケット21a・21a間の隙間Gが外周側に対して閉塞しているため、熱処理治具2の側面に達した雰囲気が熱処理治具2内に流入することはできない。
さらに、加熱室1b内の下部において熱処理治具2の下方へ回り込んだ雰囲気は上昇して、熱処理治具2の下端部に位置する基台21bの前記開口部から熱処理治具2内部へ流入する。
このように、熱処理治具2の下端部から内部へ流入した雰囲気により、熱処理治具2内に載置されたワークWの浸窒処理が行われる。
つまり、熱処理治具2内部に流入した雰囲気によりワークWの表面から内部へ向かって窒素が拡散していく。
ここで、高温に加熱された加熱室1b内に供給されたアンモニアガスには熱分解反応が生じるが、ファン14により送風された雰囲気については加熱室1b内の上部から下方へ移動する過程においても熱分解反応が進行する。
従って、加熱室1b内の上部の雰囲気よりも下部の雰囲気の方が、熱分解反応が進んだ状態となっており、加熱室1b内の上部のアンモニア濃度よりも下部のアンモニア濃度の方が低くなる傾向にある。
特にヒーター13の近傍に沿って下降する雰囲気については、ヒーター13が雰囲気以上に高温に加熱されているため熱分解反応の進行が激しく、上部のアンモニア濃度よりも下部のアンモニア濃度の方が低くなる傾向が顕著である。
従って、加熱室1b内の雰囲気が、熱処理治具2の側面における上部から下部にわたって全体的に熱処理治具2内部へ流入可能であった場合は、ファン14の送風により加熱室1b内の上部からヒーター13に沿って下方へ移動する雰囲気が、その移動途中に熱処理治具2の側面から内部へ流入して、熱処理治具2内に載置されているワークWの表面から窒素が拡散していくことになるが、上部の雰囲気におけるアンモニア濃度よりも下部の雰囲気におけるアンモニア濃度の方が低いため、熱処理治具2内の上部に配置されているワークWと下部に配置されているワークWとでは、硬化深さや表面硬度がばらつくことになる。
一方、本実施形態における熱処理治具2においては、治具本体21の側面外周を側壁面となる側壁22・22・・・にて覆い、雰囲気が治具本体21における側面の上下途中部から内部へ流入することを防止するとともに、治具本体21の下面からのみ流入するようにしている。
このように、本実施形態における熱処理治具2内部には、加熱室1b内の下部に存在している雰囲気、すなわち加熱室1b内の上部から下方へ移動する過程でアンモニアガスの熱分解反応が進行した雰囲気のみが流入するため、熱処理治具2内に載置されている各ワークWは同じアンモニア濃度の雰囲気に晒されることになり、浸窒反応が均一に進行することとなる。
これにより、各ワークWに浸窒焼入れ処理を施すことにより得られた浸窒焼入れ品の表面硬度や硬化深さのばらつきを抑えることができ、一定品質の製品を得ることが可能となる。
また、浸窒処理を終えたワークWに対しては、前述のように、ワークWを収納した熱処理治具2を油槽1cに上方から浸漬して、冷却油によりワークを冷却することで焼入れが行われるが、この場合の熱処理治具2内における冷却油の流れは以下のようになる。
つまり、図6に示すように、熱処理治具2を油槽1cに貯溜された冷却油内に浸漬すると、冷却油は熱処理治具2の下方から基台21bの開口部21f・21f・・・を通じて熱処理治具2内に浸入する。
この場合、本実施形態の熱処理治具2(治具本体21)の側面外周は側壁22・22・・・により覆われているため、冷却油は積み上げられたバスケット21a・21a・・・の側面に開口する隙間Gを通じて熱処理治具2内に浸入することができず、熱処理治具2の下面部に位置する基台21bの開口部21f・21f・・・のみを通じて熱処理治具2内に浸入することとなる。
従って、熱処理治具2内においては、冷却油は下方から上方へ向かって、即ちバスケット21a・21a・・・内に収納されるワークWの軸方向に沿って、流れが乱れることなく直線的に流通する。
これにより、図7に示すように、冷却油はワークWの周囲を軸方向に沿って均一に流れ、ワークWの外周面は均等に冷却されて、均一に焼入れが施されることとなり、焼入れ後のワークWに曲がりなどの形状不良が発生することもない。
一方、図8に示すように、熱処理治具2において、治具本体21の側面外周に側壁22・22・・・を設けない状態で、熱処理治具2を冷却油内に浸漬した場合は、冷却油は、基台21bの開口部21f・21f・・・のみならず、積み上げられたバスケット21a・21a・・・の側面に開口する隙間Gからも熱処理治具2内に流入するとともに、熱処理治具2内に流入した冷却油が前記隙間Gを通じて熱処理治具2の外部に流出することとなり、熱処理治具2内における冷却油の流れには乱流が発生し、冷却油は必ずしもワークWの軸方向に沿って流れるものとはならない。
また、図9に示すように、熱処理治具2において、治具本体21の側面外周に側壁22・22・・・を設け、側壁22・22・・・の上端部のみを治具本体21に固定した状態で、熱処理治具2を冷却油内に浸漬した場合、側壁22・22・・・の下端部は治具本体21に固定されていないため、熱処理治具2の下方から上方へ向かう冷却油の流れにより、側壁22・22・・・の下端部が上端部を中心にして外側へ開く。
従って、側壁22・22・・・の下部が治具本体21の側面から離れて、積み上げられたバスケット21a・21a・・・の側面に開口する隙間Gが、外部に対して開放されることとなり、冷却油は、基台21bの開口部21f・21f・・・のみならず、前記隙間Gからも熱処理治具2内に流入するため、熱処理治具2内における冷却油の流れに乱流が発生して、冷却油は必ずしもワークWの軸方向に沿って流れるものとはならない。
このように、治具本体21の側面外周に側壁22・22・・・を設けなかった場合や、治具本体21の側面外周に側壁22・22・・・を設けて、側壁22・22・・・の上端部のみを治具本体21に固定した場合には、熱処理治具2内の冷却油の流れに乱流が発生して、図10に示すように、ワークWの外周面に対する冷却油の流れが一側からに偏った流れとなり、冷却油によるワークWの外周面の冷却が不均一になる(ワークWの外周面における、ワークWに対する冷却油の流れが強い部分が、ワークWに対する冷却油の流れが弱い部分よりも、より良く冷却される)。
これにより、ワークWの外周面における、ワークWに対する冷却油の流れが強い部分が、ワークWに対する冷却油の流れが弱い部分よりも先に冷却されることとなる。つまり、ワークWの冷却油による冷却タイミングがワークWの部位によって異なり、ワークWの外周面の部位によってマルテンサイトへ変態するタイミングに差が生じてしまうため、ワークWに曲がりなどの形状不良が生じてしまう。
これに対し、本実施形態の熱処理治具2においては、治具本体21の側面外周を側壁22・22・・・にて覆い、側壁22・22・・・の上端部及び下端部の両方を治具本体21に対して固定しているので、熱処理治具2を油槽1cの冷却油内に浸漬した場合でも、冷却油の熱処理治具2に対する流れにより側壁22・22・・・が治具本体2の側面から開くことがない。従って、バスケット21a・21a・・・の側面に開口する隙間Gが側壁22・22・・・により閉塞された状態を保持することができ、熱処理治具2内における冷却油の流れが下方から上方へ向かう整流に維持されるので、ワークWの外周面に均一に焼入れが施されることとなり、焼入れ後のワークWに曲がりなどの形状不良が発生することを確実に防止できる。
また、前記側壁22・22・・・を構成する素材としては、モリブデンやタングステンなどの低熱膨張金属を用いることが好ましい。
鉄や鉄合金といった鉄系の素材を用いて側壁22・22・・・を構成した場合、側壁22・22・・・の熱膨張率が大きくなるため、熱処理治具2が加熱および冷却を繰り返しされることにより、側壁22・22・・・に歪みやうねりが生じ易くなり、その歪みやうねりが大きくなる。
このように側壁22・22・・・に歪みやうねりが生じると、ワークWに浸窒処理を施した後に、熱処理治具2を前記油槽1c内の冷却油にワークWを浸漬した際に、熱処理治具2内に流入する冷却油の流れが乱れて乱流となる。
これにより、各ワークWの部位による冷却度合いにばらつきが生じて、焼入れ後のワークWに歪みや変形が発生することとなる。
これに対して、側壁22・22・・・を前述のように低熱膨張金属にて構成すると、加熱および冷却を繰り返し行っても側壁22・22・・・には歪みやうねりがあまり発生しないので、焼入れ時における冷却油の流れに乱れが生じにくく、焼入れ後のワークWに発生する歪みを減少させることができる。
また、側壁22・22・・・に生じる歪みやうねりが小さいため、長期間使用しても焼入れ後のワークWに大きな歪みを発生させることがないので、側壁22・22・・・の寿命を伸ばすことができる。
また、本実施形態の側壁22・22・・・は、一枚の側壁22により、治具本体21における対応する一側面の全体を覆うように構成しているが、これにより、治具本体21の側面の開口部(上下のバスケット21a・21a間の隙間G)を確実に閉塞することが可能となっている。
治具本体21の側面外周を側壁22・22・・・にて覆う方法としては、治具本体21の各側面を複数枚の側壁22・22・・・で覆うように構成することが考えられるが、このように構成した場合、側壁22と側壁22との境界部には必ず隙間が生じてしまうため、熱処理治具2を油槽1cの冷却油内に浸漬して焼入れを行う際に、冷却油が側壁22と側壁22との隙間を流通することが可能となり、熱処理治具2内に浸入する冷却油の流れに乱れが生じて、ワークWの均一な冷却が阻害されてしまう。
従って、側壁22・22・・・は、本実施形態の側壁22・22・・・のように、一枚の側壁22により、治具本体21における対応する一側面の全体を覆うように構成することが好ましい。
次に、本実施形態の熱処理治具2を用いて、熱処理炉1によりワークWに浸窒焼入れ処理を行った場合のワークWに生じた変形と、図9に示したように、側壁22・22・・・の上端部のみを治具本体21に固定した熱処理治具2を用いて、熱処理炉1によりワークWに浸窒焼入れ処理を行った場合のワークWに生じた変形との比較結果を示す。なお、ワークWとしては、鉄鋼素材からなり、径が10mm、長さが100mmの丸棒を用いた。また、ワークWの変形は、浸窒処理前のワークWの軸心に対する浸窒処理後のワークWの軸心の振れ量にて表す。
複数のワークWについて浸窒処理前後の軸心の振れ量を測定した結果、側壁22・22・・・の上端部のみを治具本体21に固定した熱処理治具2の場合は25μm±40μm(平均値±3σ)であり、本実施形態の側壁22・22・・・の上端部および下端部を治具本体21に固定した熱処理治具2の場合は16μm±30μm(平均値±3σ)である。
このように、側壁22・22・・・の上端部および下端部を治具本体21に固定した熱処理治具2のほうが、側壁22・22・・・の上端部のみを治具本体21に固定した熱処理治具2に比べて、ワークWの変形抑制に効果があることがわかる。
G 隙間
W ワーク
1 熱処理炉
1a 前室
1b 加熱室
1c 油槽
2 熱処理治具
21 治具本体
21a バスケット
21b 基台
22 側壁
23 固定フック
24 固定ブロック



Claims (3)

  1. 複数のワークが載置され、熱処理炉内にて前記ワークの熱処理を行う際および前記ワークを冷媒に浸漬する際に用いられる熱処理治具であって、
    前記ワークが載置される治具本体と、前記治具本体の側面外周を覆う側壁とを有し、
    前記側壁は、その上部および下部が前記治具本体に対して固定されている、
    ことを特徴とする熱処理治具。
  2. 前記治具本体は、前記ワークが収納される容器と、前記容器が載置固定される基台とを備え、
    前記側壁の上部が、前記容器に固定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理治具。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱処理治具を備え、前記熱処理治具に載置されたワークに対して熱処理を行う、
    ことを特徴とする熱処理装置。

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