JPH0687207B2 - ディジタル制御位置サーボ装置 - Google Patents

ディジタル制御位置サーボ装置

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JPH0687207B2
JPH0687207B2 JP41654990A JP41654990A JPH0687207B2 JP H0687207 B2 JPH0687207 B2 JP H0687207B2 JP 41654990 A JP41654990 A JP 41654990A JP 41654990 A JP41654990 A JP 41654990A JP H0687207 B2 JPH0687207 B2 JP H0687207B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディジタル制御位置サー
ボ装置、特に被制御体の特性が二次振動系を含むディジ
タル制御位置サーボ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速演算プロセッサなどの普及に
伴って、自動化機器のサーボ系は急速にディジタル化さ
れてきている。ディジタルサーボ系におけるサンプリン
グ周期は、従来のアナログサーボ系をディジタル化する
際に新たに付加された基本的なパラメータであり、その
設定の如何によってサーボ系の特性は大きく変わる。デ
ィジタルサーボ系は、多くの場合サンプリング周期が長
くなると系の特性は劣化する。一方、サンプリング周期
を短くするにつれてサーボ系を構成する信号検出器や信
号処理装置などのコストは一般的に高くなる。したがっ
て、サンプリング周期の選択は、サーボ系の性能とコス
トの間の妥協に委ねられる場合が多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが最近、サンプ
リング周期を短く設定しすぎると、構成されたディジタ
ルサーボ系はその制御対象によって特性がかえって劣化
する場合があると報告されている。つまり、制御対象の
特性によってサーボ系の性能指標を最大とするサンプリ
ング周期が存在する場合があるのである。
【0004】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的はサンプリング周期の選択によ
ってもたらされたサーボ系の安定化原理を周波数特性に
着目した手法で明らかにし、この原理を利用して多サン
プル遅れを制御動作に導入することによりサンプリング
周期を短縮する装置を提示するとともに、この原理をむ
だ時間をもつサーボ系の安定化に適用した装置を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明にかかるディジタル制御位置サーボ装置は、被
制御体に減衰係数ζが0.3より小さい二次振動系を含
むディジタル制御位置サーボ装置において、外部から印
加される指令、外乱などに対してアリアシングによって
制御精度が低下しないようにサンプリング周期Tsを短
く選定し、かつこのサーボ装置の特性のゲイン余有が大
きくなるように、この特性の中に、線形位相遅れ特性を
挿入したことを特徴とする。
【0006】また、請求項2記載のデイジタル位置制御
サーボ装置は、前記線形位相遅れ特性がnサンプル遅れ
(n>1の自然数)なる無駄時間特性であることを特徴
とする。
【0007】また、請求項3記載のディジタル位置制御
サーボ装置は、前記線形位相遅れ特性が所定の次数mを
有するバターワースフィルター特性、チェビシェフフィ
ルター特性などであって低域通過特性のフィルター特性
であることを特徴とする。
【0008】また、請求項4記載のディジタル位置制御
サーボ装置は、前記低域通過特性の遮断角周波数が請求
項1の被制御体の固有振動角周波数より低く選ばれたこ
とを特徴とする。
【0009】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の好適な実施例に
ついて説明する。一般に、自動化機器におけるサーボ系
は、サーボモータや負荷からなる制御対象と、検出器や
補償要素からなる制御器とにより構成されている。
【0010】すなわち、図1に示されるように、サーボ
系10はサーボモータ12と負荷14とを含み、ボール
ネジやベルトなどの低剛性送り機構16によって連結さ
れている。
【0011】この場合の数学的モデルが図2に示され
る。なお、図2において、ωnは低剛性の機構部モデル
の固有角周波数、ζは同モデルの減衰係数、kfは同モ
デルの回転変位から直線変位への変換係数、mは負荷の
質量、Jは同モデルの回転系の慣性モーメントである。
【0012】一方、サーボ系は図3のように制御器特性
Giをもつ電流制御ループ、制御器特性Gvをもつ速度
制御ループおよび制御器特性Gpをもつ位置制御ループ
よりなる多重ループ構造をもつものが多くなっている。
図3において、kTはモータのトルク定数(モータに印
加された電流とモータが発生するトルクとの間の変換定
数)、kEはモータの逆起電圧定数、Rはモータの回路
の抵抗値、Lはモータの回路のインダクタンス値であ
る。
【0013】さらに、電流制御器および速度制御器など
が適切に設計されれば、位置サーボ系は図4のように簡
略化できる。図4において、kは制御ゲイン、Tvは速
度ループの時定数である。
【0014】ここで、速度制御ループの応答特性が低剛
性負荷の応答特性より十分速く、位置制御ループではサ
ンプリング周期Tsによるディジタルサーボ系が構成さ
れ比例制御を行なうとすると図5のような系となる。図
5において、ζとωnは低剛性負荷の減衰係数と固有角
周波数(rad/sec)である。一般的に、低剛性位置決め
機構において、ζが1よりかなり小さく、ωnが数Hz
〜数十Hz程度であることが多い。
【0015】制御対象である二次振動系の固有角周波数
ωnは制御対象の物理的な実態によってその値が大きく
変わり、その結果、構成されたサーボ系の特性も大きく
変わる。そこで、図5のサーボ系の特性解析に一般性を
持たせるために、サーボ系の各パラメータを正規化して
おく。ここでは、制御対象の固有角周波数ωnを用い
て、図5のサーボ系におけるすべてのパラメータを正規
化(無次元化)する。正規化されたサーボ系の各パラメ
ータを表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】これらの正規化されたパラメータを用い
て、図5のサーボ系を図6のように正規化することがで
きる。図6における1サンプル遅れ要素は、制御装置に
おける制御演算の時間遅れをモデリングしたものであ
り、また、ここでは零次ホールダを用いている。これら
は一般的なディジタル制御装置によく存在するものであ
る。
【0018】開ループ周波数特性に基づく安定化原理の
説明 開ループの周波性特性はサーボ系の安定性を局所的に把
握する際に便利である。つまり、開ループのゲイン特性
と位相特性との関係を利用してサーボ系の臨界安定状態
を調べることができる。
【0019】図6のサーボ系の開ループパルス伝達関数
Go(z)はz変換を用いて以下のように求められる。
【0020】
【数1】
【0021】z=exp(jτsΩ)を(1)式に代入
すると、図6のサーボ系の開ループ周波数特性が計算で
きる。ζ=0.01の場合を例として、正規化サンプリ
ング周期τSを零から大きくしていくと、対応する開ル
ープ周波数特性は図7のように得られる。図7から明ら
かなように、ゲイン特性の曲線に極小値と極大値(共振
値)がそれぞれ周波数ΩmとΩMにおいて現れる。また、
サンプリング周期τSを大きくしていくと、ゲイン特性
に変化がほとんどなく位相遅れだけが大きくなってい
る。
【0022】周知のように、位相交差周波数(位相が−
πとなる周波数)において、ゲインが1以下であればサ
ーボ系は安定であり、逆の場合にはサーボ系は不安定と
なる。サンプリング周期τS=0(アナログサーボ)の
場合を見てみると、位相交差周波数はほぼ共振周波数と
一致していることがわかる。これがサーボ系の制御ゲイ
ンを制限する原因である。しかし、サンプリング周期を
長くしていくと位相交差周波数が共振周波数から離れて
いく。位相交差周波数が共振周波数から離れることは、
サーボ系の制御ゲインが共振値に制限されなくなること
を意味する。特に、サンプリング周期τS≒1.7のと
き位相交差周波数と極小ゲイン周波数とは重なり、サー
ボ系の制御ゲインを最も高く設定することができる。言
い換えれば、制御ゲインを同じく設定した場合、サンプ
リング周期τS≒1.7とすればサーボ系に最大のゲイ
ン余有が得られることになる。
【0023】さらに、この安定化原理を数式化すること
もできる。z変換の定義により、図6のサーボ系の開ル
ープ周波数応答を次のように表わすことができる。
【0024】
【数2】
【0025】ただし、D(s'),H(s'),G(s')はそ
れぞれ1サンプル遅れ要素、零次ホールダ、二次振動要
素を含む制御対象の特性である。つまり、
【0026】
【数3】
【0027】Ω<<2π/τsの場合、前記(3)式は
以下のように近似できる。
【0028】
【数4】
【0029】(8)式の右辺の前半は零次ホールダのゲ
イン特性であり、後半は制御対象のゲイン特性である。
また、(9)式の右辺の各項はそれぞれ1サンプル遅れ
要素の位相,零次ホールダの位相,制御対象における積
分要素の位相と二次振動要素の位相である。
【0030】(8)式をΩで微分してd|Go|/dΩ
=0とすると、ゲイン特性の極値周波数を求めることが
できる。また、Ω<<2π/τS の場合、零次ホールダ
のゲイン特性はほぼ一定であるので、(8)式の第二項
の分母をΩで微分すればよい。
【0031】従って、極大ゲイン周波数(共振周波数)
ΩMと極小ゲイン特性Ωmは(11)式及び(12)式の
ように得られる。
【0032】
【数5】
【0033】この結果からゲイン特性はサンプリング周
期に依存しないことがわかる。また、(11)〜(1
2)式の解すなわちゲイン特性に極値が存在する条件
(Ωm,ΩM:実数)として(13)式が得られる。
【0034】
【数6】
【0035】(13)式が満たされれば、すでに述べた
ようにサンプリング周期を適切に設定するとサーボ系の
ゲイン余有は向上する。
【0036】一方、サーボ系に設定できるゲインを最も
高くするためには位相交差周波数と極小ゲイン周波数と
を一致させればよい。(9)式と(12)式を利用し
て、この条件を(14)式のように表すことができる。
【0037】
【数7】
【0038】(14)式をτSについて解くと図6のサ
ーボ系に制御ゲインが最も高く設定できるサンプリング
周期τsoptを(15)式のように推定することができ
る。
【0039】
【数8】
【0040】さらに、(12)式のΩmと(15)式の
τsoptを(8)式に代入して|Go|=1とすると、τ
soptに対応するサーボ系の安定限界ゲインκmaxは(1
6)式のように得られる。
【0041】
【数9】
【0042】(12)式のΩmと(15)式のτsopt
数値範囲を考察すると、(7)式の近似条件はほぼ満た
されていることが確認できる。以上の推定方法によって
得られた結果と真値の数値解の例を表2に示す。
【0043】
【表2】 ──────────────────────────────────── τsopt κmax ζ ──────────────────────────────── 真値 本発明による 真値 本発明による 近似値 近似値 ──────────────────────────────────── 0 1.82 1.81 0.405 0.403 ──────────────────────────────────── 0.02 1.78 1.77 0.404 0.403 ──────────────────────────────────── 0.04 1.74 1.73 0.404 0.402 ──────────────────────────────────── 0.06 1.70 1.68 0.404 0.403 ──────────────────────────────────── 0.08 1.65 1.63 0.405 0.404 ──────────────────────────────────── 0.10 1.59 1.57 0.406 0.405 ──────────────────────────────────── 0.20 1.25 1.22 0.423 0.422 ────────────────────────────────────
【0044】これらの数値例からわかるように、ここで
提案した最適サンプリング周期及びそれに対応するサー
ボ系の安定限界ゲインの推定方法は、推定誤差が小さく
十分に利用できる。
【0045】以上で示した開ループ周波数特性に基づく
解析により以下のような結論が得られる。つまり、サン
プリング周期を適切に長く設定すれば二次振動要素を含
むサーボ系を安定化できるということの原理は、サンプ
リング動作及び制御動作における時間遅れに起因する位
相遅れによってサーボ系の共振が回避できることをもた
らす。
【0046】1〜多サンプル遅れをもつサーボ系への応
サンプリング周期が長くなると、サーボ系はノイズや外
乱による影響を受けやすいことが知られている。本発明
で提示したサンプリング周期の選択方法はこの問題にも
対処しなければならない。ここで、上で得られた結論に
基づきサーボ系の制御動作に多サンプル遅れをもたせる
ことにより最適サンプリング周期を短縮する方式を提示
する。
【0047】ここでは、図8のように制御動作にnサン
プル遅れをもたせるサーボ系を考える。ただし、サンプ
ル遅れ数nは自然数とする。前述の解析結果から、図8
のサーボ系で制御ゲインが最も高く設定できるサンプリ
ング周期は、次の関係式(17)を満たすことがわか
る。
【0048】
【数10】
【0049】(17)式の左辺の各項は、それぞれnサ
ンプル遅れ要素の位相,零次ホールダの位相,制御対象
における積分要素の位相と二次振動要素の位相である。
また、Ωmは図8のサーボ系の開ループ極小ゲイン周波
数であり、(12)式によって計算できる。
【0050】(17)式をτSについて解くと、図8の
サーボ系に制御ゲインを最も高く設定できるサンプリン
グ周期τsoptを次の(18)式のように推定することが
できる。
【0051】
【数11】
【0052】又、(18)式のτsoptに対応するサーボ
系の安定化限界ゲインκmaxは(16)式を用いて推定
することができる。
【0053】(18)式からサンプル遅れ数nが大きく
なると、最適サンプリング周期τsoptが小さくなること
が理解される。つまり、制御動作におけるサンプル遅れ
数を増やすことによって最適サンプリング周期を短縮す
ることができ、サーボ系におけるノイズや外乱の影響を
低減することが可能である。
【0054】ζ=0.01,n=1,2の場合の最適サ
ンプリング周期は(18)式を利用してτsopt=1.7
9,1.08のように推定される。また、制御ゲインを
κ=0.2とし、これらの条件を図8のサーボ系に代入
してその閉ループ周波数特性を計算すると図9,図10
のような結果が得られる。周知のようにアリアス現象が
発生する周波数はΩi=2iπ/ τS(i:整数)を中
心とする周波数帯域である。この結果より、サンプリン
グ周期を短くすればアリアス現象の発生しない周波数帯
域は広くなることがわかる。図9の場合、Ω1=3.5
0であり、図10の場合、Ω1=5.84であることが
確認できる。
【0055】むだ時間をもつサーボ系への応用 制御対象や制御装置にむだ時間が存在することがある。
該むだ時間は位相遅れをもたらしサーボ系の安定性を損
う要因の一つとして問題視されている。ここでは、以上
の説明で明らかにしたサーボ系の安定化原理に従いサン
プリング周期を選択することにより、むだ時間をもつサ
ーボ系の安定化手法を提示する。
【0056】図11に示されているように、制御対象に
長さTdのむだ時間(正規化むだ時間τd=Tdωn)が存
在し、制御動作にnサンプル遅れをもたせるサーボ系を
考える。以上で述べてきた安定化原理に従って、図11
のサーボ系に最も高い制御ゲインが設定できるサンプリ
ング周期は(19)の関係式を満たすことがわかる。
【0057】
【数12】
【0058】(19)式をτSについて解くと、最適サ
ンプリング周期τsoptは(20)式のように得られる。
【0059】
【数13】
【0060】サンプリング周期が正の値を取らなければ
ならないことから、図11のサーボ系に最適なサンプリ
ング周期が存在しうるむだ時間の長さの上限は(18)
式から求められる。つまり、(21)式のようになる。
【0061】
【数14】
【0062】以上の結果をまとめると、むだ時間と二次
振動要素を含むサーボ系の最適サンプリング周期の選択
方法は以下のように得られる。(1)ζとτdのいずれ
かが(13)式と(21)式を満たさなければ、サンプ
リング周期をできるだけ短く設定する。(2)ζとτd
がともに(13)式と(21)式を満たす場合、サンプ
リング周期を(20)式に従って設定する。なお、サン
プル遅れ数をn≧0の整数とする。また、nを大きくす
ることによってサンプリング周期を短くすることもでき
る。
【0063】線形位相遅れ特性をもち、伝達ゲインが低
域通過特性を有するフィルターの活用 時間遅れに起因する位相遅れ(線形位相遅れ)を利用す
ることによって、サーボ系の共振を回避し安定化が実現
できる本発明の原理は、本発明の実施形態のさらなる発
展に適用することができる。
【0064】図6に示す1サンプル遅れ及び零次ホール
ダ特性の伝達利得(入力に対する出力の振幅の比)に着
目すれば、(8)式の第1項に示すように、ΩτS/2
が小さいとき、この伝達特性はほぼ1である。従って、
(8)式の第2項の共振特性(これは図7においてΩ=
ΩMの近傍のゲイン特性のピークにより示される)を示
す低剛性負荷の伝達利得gに影響を与えず、gのピーク
(Ω=ΩM近傍)を低減することもできない。このピー
クのある分だけΩ=ΩMの共振を出力Xoの挙動にもたら
しやすいことになり、このピークの(Ω=ΩM近傍のg
の)値を低減することが、図3に示す位置制御特性Gp
の課題の一つとなる。
【0065】このような事情は図8の多サンプル遅れ特
性及び図11のむだ時間特性を含むサーボ系においても
同様である。
【0066】一方、線形位相遅れ特性を有し、伝達利得
が低域通過特性を有する公知のフィルターがあり、これ
らの例としてバターワースフィルター,チェビシェフフ
ィルター,楕円フィルター等の名称がついており、例え
ば文献1(谷荻隆嗣:”ディジタル信号処理の理論,
2,フィルタの通信の画像”,コロナ社)第1章に説明
されている。
【0067】その伝達利得g’と位相遅れφ’の特性は
図12のごとくである。図12はバターワースフィルタ
ーの例である。他のチェビシェフ,楕円フィルターも類
似の特性を有する。このようなフィルターは遮断角周波
数Ω’とmで特徴づけられる。共振角周波数Ω’に
おいても伝達利得はΩ’とmで定められる。図12に
おいて、フィルターの次数m(伝達特性を示す多項式の
次数に対応)を低く選定した場合はg1’,φ1’のご
とき特性となり、このときΩ’(図7のΩに対応)
における伝達利得の低減分は で小さい。しかし、位
相交差周波数Ω’は大きくすることができる。また、
次数mを高く選定した場合は、g’,φ’のごとき
特性となり、このときの伝達利得の低減分は のごと
く大きい。 しかし、位相交差周波数Ω’は小さくし
なければならない。
【0068】どのようにmを選定するかは低剛性負荷特
性の減衰係数ζの値によって決めればよい。一般にζが
小さいときmを高く、ζが大きいときmを低くすればよ
い。
【0069】このような低域通過特性を伝達利得の特性
とする線形位相遅れ特性をもつフィルターを図3のGp
に含めた場合の効果により、前述した共振を一層回避す
ることができる。すなわち、Xoの挙動のΩ=ΩMの振動
的振舞の振幅を大幅に低減し、かつこの振動の収束を著
しく速くすることができる。
【0070】かかるフィルターの実施例は前記文献1
(第1章〜第4章)に説明されている。本実施例の他に
図13に示すような実現手段も有効である。すなわち、
該フィルターの離散的データに関する実現形態はディジ
タルフィルターといわれるが、入出力が共に離散データ
であり、本発明の場合のように有限のΩ1’,Ω2’が与
えられる場合、これに対応する許容のデータ処理時間が
ある。
【0071】そこで、図13に示す実施例においては、
ラッチメモリ20を介して供給されるデータをデータバ
ス22に供給し、許容のデータ処理時間内に出力データ
を発生することのできる処理速度をもつ公知のマイクロ
プロセッサ(例えばMPU)24、フィルターの伝達特
性を実現する公知のアルゴリズムをストアしたプログラ
ムメモリ(例えばROM)26,このアルゴリズムを実
行するのに必要なデータをストアする公知のデータメモ
リ(例えばRAM)28及び処理データを出力するラッ
チメモリ30によって構成される。
【0072】なお、図13において、ラッチメモリ2
0,30がラッチするタイミングは、前述の許容時間毎
にMPUの動作の一部で定められる。
【0073】具体的装置例 図14,図15により、以上で説明したこの発明のディ
ジタル制御位置サーボ装置の具体的な実施例を示す。な
お、前記図1に対応する部分には符号100を加えて示
し、説明を省略する。
【0074】図14に示すサーボ系は、モータ112に
より負荷(制御対象)114を駆動制御するものであ
り、それぞれ図1に記したモデルの低剛性特性を有す
る。ここで、θ,XOは図2のθ,xに対応する状態
量、dXO/dtは位置XOの時間的変化率(すなわち速
度)を示す状態量であり、それぞれ検出器Dp,DVによ
り検出される。Dpの例としてはポテンショメータが、
またDVの例としてはタコジェネータが挙げられる。
【0075】そして、本実施例においては、モータ11
2の制御を電流制御部150、速度制御部152、位置
制御部154により行なう。前記電流制御部150は、
モータ112に電流Iaを供給するパワー増幅器15
4、電流指令データIc”を出力するラッチメモリ15
6、電流補償器158からなり、その電流制御特性はG
iで示される。なお、パワー増幅器152の例として
は、公知のパルス幅変調形電力増幅器が挙げられ、パル
ス幅のオン・オフの比率を規定する指令データIc”に
応じて制御される電力を発生し、この電力によってモー
タに制御された電流Iaを供給するようになっている。
また、電流Iaは、公知のホール素子を用いた電流(瞬
時)検出器等の電流検出器Diにより検出される。
【0076】ここで、検出された状態量Ia,dXO/d
t,XOはそれぞれラッチメモリを出力側にもつAD変
換器160,162,164に供給され、これらのラッ
チメモリにはAD変換により、状態量Ia,dXO/d
t,XOに対応したデータIa’,dXO’/dt,XO
が一定間隔のタイミングで格納され、このタイミング毎
に更新されるようになっている。
【0077】以上の構成において、一定の間隔とは図5
に示したサンプリング周期Tsであり、AD変換器16
0,162,164の特性は、サンプリング記号+零次
ホールダで示される。
【0078】一方、指令Xrはラッチメモリ166を介
して離散データXr’に変換される。メモリ166のラ
ッチのタイミングはAD変換器160,162,164
のラッチメモリと同様であり、この特性はサンプリング
記号+零次ホールダにて示される。
【0079】以上のようにして、サンプリング周期Ts
で更新される離散データXr’,Ic”,Ia’,dXO
/dt,XOは図15に示すディジタルデータ入力〜出
力部にて処理される。サンプリング周期tsはこの処理
部で費やされる処理時間を許容する。
【0080】なお、図15において、図14と対応する
部分には同一符号を付して説明を省略する。図15のマ
イクロプロセッサMPU’は、データバスを介してラッ
チメモリ156,166、AD変換器160,162,
164の入出力データを、サンプリング周期Ts毎の時
間間隔で更新する。すなわち、ラッチメモリ166、ラ
ッチメモリ付AD変換器160,162,164に離散
データXr’,Ia’,dXO’/dt,XO をセット
し、各々の処理時間に必要なタイミングで、時間をずら
して離散データXr’,Ia’,dXO’/dt,XOをそ
れぞれMPU’に取り込み、それぞれ時間をずらしてデ
ータメモリRAM’にセットする。以後、サンプリング
周期Tsの時間内でこれらのデータを処理し、それぞれ
電流制御ループの出力データIc”,速度制御ループの
出力(=電流制御ループの指令データ)Ic’,位置制
御ループの出力データ(=速度制御ループの指令デー
タ)dXc'/dtを発生させる。出力データIc”は図
15の処理部の出力データであって、図14のパルス幅
変調形パワ増幅器152の動作を規定している。
【0081】このように各制御ループの入力データ(電
流制御ループIc’,Ia’:速度制御ループdXc’/
dt,dXO’/dt:位置制御ループXr’,XO’)
を用いて、データを加工し、それぞれ出力データ
(Ic”,Ic’,dXc’/dt)を発生させるデータ
処理のアルゴリズムは、図15のプログラムメモリRO
M’にストアされている。
【0082】公知のアルゴリズムの内容は例えば次のご
とくである。ここで、特性Gi,GV,Gpは図3に示す
特性に対応する。すなわち、電流制御ループのアルゴリ
ズムにより発揮される電流制御器の特性Giは、電流補
償器158,ラッチメモリ156、パワー増幅器152
(これ自体の特性は定数である)により実現される。電
流補償器158は、図15のハードウェアと、ROM’
の一部に格納される電流制御アルゴリズムと、RAM’
の一部に格納され更新されるこのアルゴリズムに必要な
データにより構成される。Giの特性は例えば、Ki(A
i+Bi×積分)のごとき公知の特性で構成される。ここ
で、Kiはゲイン定数、AiとBiはそれぞれ定数であ
る。
【0083】また、速度制御ループのアルゴリズムによ
り発揮される速度制御器の特性GVは速度制御部152
により実現される。制御部152は、図15のハードウ
ェアと、ROM’の一部に格納される速度制御アルゴリ
ズムと、RAM’の一部に格納され更新されるこのアル
ゴリズムに必要なデータにより構成される。GVの特性
は、KV(AV+BV×積分)のごとき公知の特性で構成
される。ここで、KVはゲイン定数,AVとBVは定数で
ある。
【0084】以上の電流制御ループ,速度制御ループが
動作したとき一般に図5(ただしkの代わりにGp)の
ようになることは、前述した通りである。
【0085】さらに、位置制御ループのアルゴリズムに
より発揮される位置制御部154の特性Gpは、図6の
制御ゲインkと、零次ホールダを含み、さらに図8の多
サンプル遅れ特性または図11のむだ時間特性に対応す
る多サンプル遅れ特性、または図12に示す線形位相遅
れ特性を有する低域通過フィルターである。制御部15
4は図15のハードウェアと、ROM’の一部に格納さ
れる図6〜図8または図6〜図11または図6〜図13
に対応するアルゴリズムと、RAM’の一部に格納され
更新されるこのアルゴリズムに必要なデータにより構成
される。
【0086】以上のように、この発明は図15のごとき
簡易公知の手段を活用して所用のアルゴリズムによるこ
の発明のオリジナルな安定化原理を実現することがで
き、低剛性特性の挙動の制御を従来の方式よりもはるか
に高いゲイン余有で行なうことができる。
【0087】すなわち、図16は図5における振動的な
被制御体の特性による出力X0の応答の挙動を示す図で
あり、ζ=0.01の場合である。図6の1サンプル遅
れのある系によりどのように応答の挙動が改善されるか
を示す。すなわち、(18)式に従って、n=1として
τs=1.79を求め、κ=0.04として得られた出
力X0の応答の挙動を図17に示す。同図より図16の
振動的挙動が著しく改善されていることが理解される。
しかしながら、まだ小規模の共振に基づく振動の存在が
認められる。
【0088】これに対して、図12に示すような線形位
相遅れ特性をもつ低域通過フィルタの例としてバターワ
ースフィルタ(次数m=3)を用い、その遮断周波数を
Ω1'=0.3とし、サンプリング周期τs=0.5とす
ると、出力X0の応答の挙動は図18に示すようにな
る。図18に示すところでは、図17に認められた共振
に基づき振動が認められない。
【0089】
【発明の効果】以上のように、本発明の安定化原理を用
いた線形位相遅れ特性をもつディジタル制御位置サーボ
装置は、内在する2次振動要素に対して出力X0の応答
の挙動を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なサーボ系のモデル化図である。
【図2】図1の数学的モデル化図である。
【図3】一般的なサーボ系の多重制御ループ構造の説明
図である。
【図4】図3に示した位置サーボ系の簡略化モデル図で
ある。
【図5】本発明の対象とするサーボ系の説明図である。
【図6】正規化された本発明の対象とするサーボ系の説
明図である。
【図7】開ループ周波数特性図である。
【図8】多サンプル遅れ要素をもつディジタル制御サー
ボ系の説明図である。
【図9】n=1,τs=1.79のときの閉ループ特性
の周波数特性図である。
【図10】n=2,τs=1.08のときの閉ループ特
性の周波数特性図である。
【図11】無駄時間をもつディジタル制御サーボ系の説
明図である。
【図12】線形位相遅れ特性をもつ低域通過フィルター
の特性図である。
【図13】線形位相遅れ特性をもつ低域通過フィルター
の実施例の説明図である。
【図14】本発明のディジタル制御位置サーボ装置の具
体的実施例の説明図である。
【図15】図14の実施例によるディジタル入力〜出力
処理部のハードウェアの構成図である。
【図16】図5における振動的な被制御体の特性による
出力の応答の挙動図である。
【図17】本安定化原理により選定された最適サンプリ
ング周期を用いて改善された1サンプル遅れ系における
出力の応答の挙動図である。
【図18】線形位相遅れ低域通過フィルタによって改善
された出力の挙動図である。
【符号の説明】
10 サーボ系 12 モータ 14 負荷(被制御体) 150 電流制御部 152 速度制御部 154 位置制御部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被制御体に減衰係数ζが0.3より小さ
    い二次振動系を含むディジタル制御位置サーボ装置にお
    いて、外部から印加される指令、外乱などに対してアリ
    アシングによって制御精度が低下しないようにサンプリ
    ング周期Tsを短く選定し、かつこのサーボ装置の特性
    のゲイン余有が大きくなるように、この特性の中に、線
    形位相遅れ特性を挿入したことを特徴とするディジタル
    制御位置サーボ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された装置において、前
    記線形位相遅れ特性がnサンプル遅れ(n>1の自然
    数)なる無駄時間特性であることを特徴とするディジタ
    ル制御位置サーボ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された装置において、前
    記線形位相遅れ特性が所定の次数mを有するバターワー
    スフィルター特性、チェビシェフフィルター特性などで
    あって低域通過特性のフィルター特性であることを特徴
    とするディジタル制御位置サーボ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載された装置において、前
    記低域通過特性の遮断角周波数が請求項1の被制御体の
    固有振動角周波数より低く選ばれたことを特徴とするデ
    ィジタル制御位置サーボ装置。
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