JPH0685090U - 硬度漏れ防止硬水軟化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 単一の硬水軟化装置によって軟水を生成して
いる硬水軟化装置システムにおいて、通水開始時に発生
する硬度が所定値以上の水が軟水使用機器へ供給されな
いようにする。 【構成】 硬水軟化装置下流側から上流へ接続する循環
流路を設け、循環流路中に設けた循環制御弁と循環ポン
プを制御することによって、硬水軟化装置へ通水開始直
後の硬度漏れを起こしている水が軟水使用機器へ送られ
ないようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は止水時及び通水開始時に発生する硬度漏れを防止した硬水軟化装置に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ボイラ等にはスケールを防止するために給水中の硬度成分を除去する必要があ る。Ｎａ型強酸性陽イオン交換樹脂を充填した塔内を通水することによって水中 の硬度成分を除去する硬水軟化装置は、イオン交換樹脂の特性上、止水中に微量 の硬度漏れを発生する。常時軟水が必要な場合は複数の硬水軟化装置を設けてい るために、通水開始時に硬水軟化装置を直列に接続することによって、一台目か ら硬度漏れが発生しても二台目の軟化装置によって硬度が除去されるようにする ことができるが、単一の硬水軟化装置で軟水を生成している場合は硬度漏れを防 ぐことができず、小型貫流ボイラのように少量のスケールが発生しても著しく伝 熱効率が低下したり、過熱の危険性がある場合、少量の硬度漏れも問題になって いた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は、単一の硬水軟化装置によって軟水を生成し ている場合でも通水開始時の硬度漏れを起こすことのない硬水軟化装置の供給に ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上流より、循環配管合流点、硬水軟化装置、循環配管分岐点、通水制御弁、処 理水タンク、軟水使用装置と接続している通水ラインにおいて、循環配管分岐点 と循環配管合流点の間を循環用の通水配管によって接続して循環流路を形成し、 循環流路途中に循環制御弁、循環ポンプを設ける。さらに、硬水軟化装置、通水 制御弁、循環制御弁、循環ポンプのそれぞれに接続され、内部にタイマー機構を 有した通水制御装置を設けておく。止水後、通水を再開する場合、通水制御装置 によって一定時間は軟水使用装置へ給水されないように通水制御弁を閉、循環制 御弁を開とし、循環ポンプを稼働させる。硬水軟化装置を通過した水は、循環ポ ンプによって硬水軟化装置の上流側へ送られ、再び硬水軟化装置へ通水させる。 一定時間の循環が行われた後、通水制御弁を開、循環制御弁を閉とし、軟水を処 理水タンクへ送る。

【０００５】 また、硬水軟化装置を通過した水量を計測する通水量計測装置を設け、通水量 計測装置も通水制御装置に接続し、タイマーの代わりに通水量計測装置からの信 号によって通水制御弁並びに循環制御弁を制御させる。

【０００６】

【作用】

硬水軟化装置への通水開始時の硬度漏れを起こしている可能性の高い時期の水 を循環させて再び硬水軟化装置へ通水し、イオン交換を行うことで、硬度漏れを 起こした水が軟水使用装置へ送られないようにする。一定時間または一定量の通 水が行われれば硬度漏れを起こす可能性は非常に低くなり、一定時間または一定 量通水後の軟水を軟水使用装置へ供給する。

【０００７】

【実施例】

本考案の一実施例を図を用いて説明する。図１は請求項１の場合の硬水軟化装 置のフローシートであり、通水ラインの上流より逆止弁（１）、循環配管合流点 （２）、イオン交換樹脂によって硬水を軟化させる硬水軟化装置（３）、循環配 管分岐点（４）、通水制御弁（５）、処理水を貯水しておく処理水タンク（６） と連結され、循環配管分岐点と循環配管合流点を結び、硬水軟化装置下流側から 上流側へ循環させる循環配管（７）の途中に循環制御弁（９）が設けられている 。硬水軟化装置への通水は一定の水圧をかける必要があるため、循環配管の途中 に循環ポンプ（８）を設置し、硬水軟化装置下流の水を再び硬水軟化装置へ通水 できるようにする。通水制御装置（１０）は内部にタイマー部（１２）を持ち、 硬水軟化装置、通水制御弁、循環ポンプ、循環制御弁のそれぞれに接続されてい る。通水制御装置のタイマーに設定されている時間は、硬水軟化装置への通水開 始直後に発生する硬度漏れが解消されるまでの時間が設定されている。

【０００８】 通常、硬水軟化装置への通水は、処理水タンクの水位が低下することによって 始められる。硬水軟化装置へ通水が始められた時、硬水軟化装置から通水開始の 信号が通水制御装置に送られ、通水制御装置はタイマーのカウントを始めると共 に通水制御弁を閉じ、循環制御弁を開き、循環ポンプを稼働させる。硬水軟化装 置へ送られた水はイオン交換樹脂によって軟水化されるが、通水開始直後は硬度 漏れが発生している可能性があり、一定時間水がイオン交換樹脂を通過するまで は、硬水軟化装置から取り出された水は硬水軟化装置の上流に送られ、再び硬水 軟化装置へ送られるため、硬度漏れを起こした水が軟水使用機器へ送られること は無い。タイマーによって一定時間経過したことが出力されると、通水制御装置 は通水制御弁を開き、循環制御弁を閉じ、循環ポンプの稼働を停止する。その後 は硬水軟化装置から取り出された水は処理水タンクへ送られ、軟水使用機器に給 水される。

【０００９】 図２は請求項２の場合の硬水軟化装置のフローシートであり、通水ラインの上 流より逆止弁（１）、循環配管合流点（２）、イオン交換樹脂によって硬水を軟 化させる硬水軟化装置（３）、流量計（１１）、循環配管分岐点（４）、通水制 御弁（５）、処理水を貯水しておく処理水タンク（６）と連結され、硬水軟化装 置下流側から上流側へ循環させる循環配管（７）の途中に循環制御弁（９）が設 けられている。硬水軟化装置への通水は一定の水圧をかける必要があるため、循 環配管の途中に循環ポンプ（８）を設置し、硬水軟化装置下流の水を再び硬水軟 化装置へ通水できるようにする。通水制御装置（１０）は、硬水軟化装置、通水 制御弁、循環ポンプ、循環制御弁、流量計のそれぞれに接続されている。通水制 御装置には、流量計から出力される通水量が入力され、通水開始直後に発生する 硬度漏れが解消されるまでの通水量がイオン交換樹脂を通過するまで、処理水が 循環するように設定しておく。

【００１０】 硬水軟化装置へ通水が始められた時、硬水軟化装置から通水開始の信号が通水 制御装置に送られ、通水制御装置は流量計から出力される通水量の入力を開始し 始めると共に通水制御弁を閉じ、循環制御弁を開き、循環ポンプを稼働させる。 硬水軟化装置へ送られた水はイオン交換樹脂によって軟水化されるが、通水開始 直後は硬度漏れが発生している可能性があり、一定量水がイオン交換樹脂を通過 するまで、硬水軟化装置から取り出された水は硬水軟化装置の上流に送られ、再 び硬水軟化装置へ送られるため、硬度漏れを起こした水が軟水使用機器へ送られ ることは無い。流量計からの信号によって一定量の通水が行われたことが判明し たとき、通水制御装置は通水制御弁を開き、循環制御弁を閉じ、循環ポンプの稼 働を停止する。その後は硬水軟化装置から取り出された水は処理水タンクへ送ら れ、軟水使用機器に給水される。

【００１１】 なお、止水時間が短時間の場合は硬度漏れは起きにくいため、止水時間が短い 場合には循環工程に入らないように調整し、給水と同時に通水開始するよう設定 しておいてもよいし、処理水タンクの水を硬水軟化装置上流へ送るようにしても よい。

【００１２】

【考案の効果】

本考案を実施することで、単一の硬水軟化装置しか使用していなくても通水開 始時に発生していた硬度漏れを防ぐことができ、完全な軟水を給水することがで きるようになり、厳密な水処理の必要な場合でも単一の硬水軟化装置でできるよ うになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 請求項１の一実施例のフローシート

【図２】 請求項２の一実施例のフローシート

【図３】 他の実施例を示したフローシート １ 逆止弁 ２ 循環配管合流点 ３ 硬水軟化装置 ４ 循環配管分岐点 ５ 通水制御弁 ６ 処理水タンク ７ 循環配管 ８ 循環ポンプ ９ 循環制御弁 １０ 通水制御装置 １１ 流量計 １２ タイマー部 １３ 再生時排水ライン

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上流より、循環配管合流点、硬水軟化装
   置、循環配管分岐点、通水制御弁、処理水タンク、軟水
   使用装置と接続し、循環配管分岐点と循環配管合流点の
   間を配管によって接続して循環流路を形成し、循環流路
   途中に循環制御弁、循環ポンプを設け、硬水軟化装置、
   通水制御弁、循環制御弁、循環ポンプのそれぞれに接続
   され、内部にタイマー機構を有した通水制御装置によっ
   て、通水制御弁、循環制御弁の開閉と、循環ポンプの稼
   働を制御し、硬水軟化装置下流の水を再び硬水軟化装置
   へ通水することのできる循環流路を持つことを特徴とす
   る硬度漏れ防止硬水軟化装置。
2. 【請求項２】 請求項１の硬水軟化装置システムにおい
   て、硬水軟化装置を通過した通水量を計測する通水量計
   測装置を設け、硬水軟化装置、通水制御弁、循環制御
   弁、循環ポンプ、通水量計測装置のそれぞれに接続され
   た通水制御装置によって通水制御弁、循環制御弁の開閉
   と、循環ポンプの稼働を制御し、硬水軟化装置下流の水
   を再び硬水軟化装置へ通水する事ができる循環流路を持
   つことを特徴とする硬度漏れ防止硬水軟化装置。