JPH0684920B2 - 欠陥及び異硬度部分の検出方法及び装置 - Google Patents

欠陥及び異硬度部分の検出方法及び装置

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JPH0684920B2
JPH0684920B2 JP4285491A JP28549192A JPH0684920B2 JP H0684920 B2 JPH0684920 B2 JP H0684920B2 JP 4285491 A JP4285491 A JP 4285491A JP 28549192 A JP28549192 A JP 28549192A JP H0684920 B2 JPH0684920 B2 JP H0684920B2
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wave
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淨 坪井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被測定物の定常振動
を用いた非破壊検査により欠陥及び異硬度部分を検出す
る方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】機械や製品の部品に亀裂、空洞、凹みな
どの欠陥があると、この部品の破壊により重大な危険を
招くおそれがある。そこで、これら亀裂、空洞、凹み等
の欠陥を有する部品は、機械や製品の組み立て前に、部
品の製造ラインにおいて検出して取り除くことができる
ことが好ましい。
【0003】また、欠陥等が生じていない部品であって
も、例えば鋳鉄の含有黒鉛が局所的に球状化していて、
その部分が他の部分よりも高い硬度になっていると、こ
の部品を使用中にその硬い部分から亀裂や欠けを生じる
恐れがある。そこで、このように、局部的に硬度の異な
る部分が存在する部品も製造ラインにおいて検出できる
ことが望ましい。
【0004】ところで、欠陥の検出及び位置評定のため
の非破壊検査方法としては、従来、超音波の反射による
方法、AE(アコースティックエミション)による亀裂
発生時の音による検出方法、CCDカメラによる観測
法、X線写真法、カラーチェック法など知られている。
【0005】一方、被測定物中に硬度の異なる部分が存
在するか否かを被測定物の原形をとどめたまま検出する
方法は、従来、存在しない。
【0006】しかしながら、上記の従来の非破壊検査に
よる欠陥検出方法は、それぞれ、以下のような取扱上の
問題があった。
【0007】すなわち、例えば超音波探傷法は、被測定
物に接触させて欠陥を検出する方法であり、超音波の直
進性からセンサを当てた部分しか測定できず、センサ接
続面における不整合による反射や、僅かな角度差で見え
る波形が異なり、判別が容易でない。
【0008】また、AE法の場合は、超音波探傷法と同
じように接触法であると共に、進行性の亀裂でないと測
定できない。逆に進行性のあるものでは亀裂を拡大しな
がら測定することになる。
【0009】また、CCDカメラによる観測法では、亀
裂や凹みなどの欠陥以外のしみや模様があっても、判定
を乱す欠点があり、また、鋳造物等において「す」と呼
ばれる空洞は検出できない。
【0010】また、X線写真法は、直接、目視できるの
で有効だが、肉厚の薄い被測定物や厚い被測定物などで
は、X線量の調整が厄介で観測できなかったりする。ま
た、被測定物の全数検査に向かず、製造ライン上での検
査に向かない。
【0011】さらに、前述したように、被測定物に硬度
が局所的に異なる部分、すなわち異硬度部分があった
り、硬度の違う異物が混入しても、これを検出する方法
は従来存在せず、製造ラインにおいて、このような部品
を取り除くことは従来はできなかった。
【0012】そこで、本願の発明者は、以上のような欠
点のない欠陥及び異硬度部分の検出方法及び装置を、先
に出願した(特願平1−259183号、特願平1−2
5184号、特願平2−86035号など参照)。
【0013】この先に提案した方法は、被測定物を加振
して発生した、この被測定物の振動を非接触でピックア
ップして、電気信号に変換し、その電気信号をスペクト
ル分析することにより、欠陥及び異硬度部分の有無及び
大きさの検出を行う方法である。
【0014】この発明の発明者による研究の結果、加振
された被測定物の振動をピックアップしてスペクトル分
析すると、被測定物の形状に応じて定まる固有周波数位
置に、スペクトルのピークが現れ、そして、欠陥及び/
または異硬度部分(異物を含む)がある場合には、その
各対応するスペクトルのピークが2つに別れることが観
測できることが判明した。
【0015】これは、次のように考察することができ
る。すなわち、加振により被測定物には、それに固有の
定常波振動(縦振動)を生じ、その振動のため固有周波
数位置に立つスペクトルを観測できる。そして、欠陥や
異硬度部分がないときにはそのスペクトルは、図12A
に示すように、固有周波数位置のそれぞれにおいて1つ
のピーク11,12,13が現れるものとして観測でき
る。
【0016】しかし、欠陥があると、この欠陥部を振動
が伝達できないため、迂回する伝播路が生じ、振動のエ
ネルギーは前記固有の振動のエネルギーと、その迂回路
を通る振動のエネルギーとに別れ、迂回路を通る振動は
前記固有の振動よりも伝播路が長くなることからスペク
トルの立つ周波数が固有の振動によるスペクトルより低
くなる。そのために、図12Bに示すように、固有周波
数位置のスペクトルのピーク11,12,13よりも周
波数が低い側に別のスペクトルのピーク14,15,1
6が現れ、それぞれのスペクトルのピークが2つに別れ
る。
【0017】また、振動の伝播速度は物質の硬さに応じ
て異なり、硬度が高いほど伝播速度が速くなる性質を有
している。このため、局部的に硬度の異なる部分が存在
すると、その部分では振動の伝播速度が固有振動の伝播
速度と異なり、その振動のエネルギーは、固有振動のエ
ネルギーと前記硬度の異なる部分を通る振動のエネルギ
ーとに振動のエネルギーが別れる。この場合、被測定物
中に他の部分よりも硬い部分が偏在すると、基本固有振
動スペクトルと、それよりも高い周波数側のスペクトル
とに別れて現れ、また、同様にして被測定物中に他の部
分よりも柔らかい部分が偏在すると、基本固有振動のス
ペクトルと、それよりも低い周波数側のスペクトルとに
別れて観測される。
【0018】このようにして、固有振動が持つスペクト
ルが2つに別れて観測できるか否かにより、被測定物中
の欠陥及び異硬度部分が存在するか否かを検出すること
ができる。
【0019】そして、上記の2つに分かれたスペクトル
の周波数差は、その定常波振動の伝播方向の欠陥または
異硬度部分の長さに対応していることを、発明者は、確
認している。したがって、欠陥ないし異硬度部分がある
場合には、2つに別れたスペクトルのピークの周波数差
を求めれば、欠陥及び異硬度部分の前記定常波振動の伝
播方向の長さを知ることができ、各伝播方向の欠陥等の
長さから、欠陥等の大きさ(容積)や形状を検出するこ
とができる。
【0020】ところで、欠陥等の振動波の伝播方向の長
さが微小な場合には、その振動波のスペクトラムのピー
クは、2つに分かれず、スペクトラムのQ値が小さくな
る。これは、固有振動波のスペクトラムと、欠陥等の存
在による振動波のスペクトラムとが、演算装置の十分で
ない周波数分解能のために、分離せずに結合したものと
して観察されるためであると考えられる。この場合に
は、このQ値を検出することにより、欠陥及び異硬度部
分の有無及び大きさの判定をすることができる。
【0021】一般に、Q値は、物体内の振動波の減衰と
しての対数減衰率に対応している。例えば被測定物が材
質的な変化を起こした場合、被測定物内の振動波は、図
10に示すように、その変化に応じた割合で減衰する。
この減衰曲線は、エクスポネンシャル曲線となり、対数
減衰率と称されている。材質的な変化などの一様な変化
の場合のQ値の変化は、図11に示すように、周波数の
高い方と、低い方とに対象な変化である。
【0022】一方、被測定物に欠陥が生じた場合にも、
その欠陥の大きさに応じて定常振動が減衰する。これが
Q値に対応しているから、上記の対数減衰率を求める方
法を用いて、欠陥等の場合のQ値の大きさを求めること
が考えられる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、被測定
物に欠陥や異硬度部分が存在する場合には、前述したよ
うに、Q値が小さくなるとは言っても、固有振動波の周
波数を中心として左右対象に広がるのではなく、周波数
の低い側のみ、あるいは周波数の高い側のみが広がる非
対象のものとなるため、従来の対数減衰率の検出方法
は、適用できないことが判明した。その理由は、以下の
通りであることが判明した。
【0024】すなわち、その定常波のエンベロープは、
図10のようなエクスポネンシャル曲線ではなく、例え
ば図12に示すような正弦波状になっていることを、本
願の発明者は研究の結果、発見した。これは、被測定物
を加振して生じた振動をピックアップして得られた信号
の時系列波形は、欠陥等による振動波による変調を受け
ているからであると考えられる。
【0025】対数減衰率を求めるためには時間ウインド
ーを設定して、その時間ウインドー内の波形の減衰率を
計算するが、上記ような正弦波の時系列波形となると、
ウインドーにより抽出した範囲により、エンベロープ波
形が減衰ではなく、増幅されているような場合もあり、
もはや従来の対数減衰率の検出方法は、適用不能になっ
てしまうのである。
【0026】この発明は、以上の欠点を解決することが
できる欠陥や異硬度部分の検出方法及び装置を提供する
ことを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】この発明による欠陥及び
異硬度部分の検出方法においては、上記課題を解決する
ため、被測定物を加振し、この被測定物に生じる振動を
ピックアップして得られた信号から、上記被測定物に固
有の定常波振動を抽出し、この定常波振動の時系列波形
のエンベロープの平均うねりを求め、この平均うねりか
ら上記被測定物の欠陥及び異硬度部分の有無及び大きさ
を検出するようにしたことを特徴とする。
【0028】
【作用】この発明においては、定常振動波の時系列波形
のエンベロープの平均うねりが検出される。時系列波形
のエンベロープが正弦波になっていても、全体として
は、波形振幅が減衰することに変わりはなく、エンベロ
ープの平均うねりは、この全体としての波形振幅の減衰
に対応したものとなっている。したがって、、この平均
うねりから、欠陥あるいは異硬度部分の有無の判別が行
なわれ、また、その平均うねりの度合いから、欠陥等の
大きさ及び形状が判定される。
【0029】
【実施例】以下、この発明による一実施例を図を参照し
ながら説明する。図1は、この発明による欠陥及び異硬
度部分の検出装置の一実施例のブロック図である。
【0030】被測定物31は、例えばマイクロコンピュ
ータを有する制御装置32によって制御される搬送装置
33によって、測定用ステージ34上に搬入されて載置
される。
【0031】測定用ステージ34は、例えば発泡ポリウ
レタンや硬質ゴム等により構成される。そして、この測
定用ステージ34に被測定物31が載置されたことが、
例えば測定用ステージ34に設けられたセンサによって
検出されると、制御装置32は、加振装置35を駆動
し、被測定物31を加振する。この例では、加振装置3
5は、例えば振り子状におもり等の衝撃物により被測定
物31を、例えばインパルス衝撃する。おもりの駆動機
構は、衝撃後、おもりが被測定物から即座に離れるよう
にカム機構等により構成される。なお、加振は、1回で
はなく、複数回行なってもよく、しかも、異なる複数の
部位を加振するようにしてもよい。
【0032】以上のようにして、加振された被測定物3
1の振動は、無接触で出力振動受信装置36のセンサ3
7で検出され、電気信号に変換され、シグナルコンディ
ショナー38にて所定の信号処理がなされる。センサ3
7は、振動を検出できるものであれば、どのようなもの
でも使用でき、変位計等を用いることもできる。もっと
も、周囲からの雑音振動をできるだけ拾わないようにす
るために、被測定物31の方向に鋭い指向性を有するも
のが好ましい。
【0033】シグナルコンディショナー38では、電気
信号が増幅され、また、不要高低域成分の除去(トレン
ドの除去)などが行われる。
【0034】ところで、被測定物には、その相対向する
面により伝播方向の異なる複数個の縦振動波が発生す
る。したがって、シグナルコンディショナー38の出力
中には、この被測定物に固有の複数個の縦振動波が含ま
れている。この複数個の縦振動波の周波数は、被測定物
の材質、形状により定まり、一般に異なっている。
【0035】例えば、被測定物が、図2に示すような中
実円筒1の場合、これを加振すると、中心線に平行な方
向を伝播方向とする縦振動波Vnと、中心線を中心と
する回転方向を伝播方向とする縦振動波Vcと、中心
線を通る方向を伝播方向とする縦振動波Vrとが、固
有振動波(定常振動波)として発生する。
【0036】これら3つの振動波について、先に提案し
た発明のようにスペクトル分析すると、亀裂、いわゆる
「す」と呼ばれる空洞、凹みなどの欠陥や、異硬度部分
がない場合には、この円筒3の高さをh、上下面の半径
をrとしたとき、図3に示すように、寸法h,2πr,
rに応じた周波数位置に、それぞれ1つのピーク21,
22,23が立つスペクトルが得られる。この場合、h
>2πrとすれば、周波数の低い方から順に、ピーク2
1は、振動波Vnのスペクトル、ピーク22は、振動波
Vcのスペクトル、ピーク23は、振動波Vrのスペク
トルとなる。
【0037】円筒1に、例えば、図4に示すような主と
して中心線方向に沿った方向のクラック2がある場合に
は、そのスペクトル分析結果は、図5に示すようなもの
となった。すなわち、前述した理由から各振動波Vn,
Vc,Vrのそれぞれについて、固有周波数のものと、
クラック2の存在のために発生する周波数のものとが生
じるので、それぞれの1次のスペクトルは、固有周波数
位置のピーク21,22,23と、それより周波数の低
い方のピーク24,25,26との2つに分かれる。
【0038】この場合、各スペクトラムのそれぞれを拡
大した図6に示すように、2つに分かれたスペクトルの
ピーク21,24の周波数差Δfnは、円筒3の上面ま
たは下面の面積Snと、クラック4をこの円筒3の上面
または下面に投影した面積Tnとの比Tn/Snに比例
したものとなる。また、2つに分かれたスペクトルのピ
ーク22,25の周波数差Δfcは、円筒3の縦断面の
平均面積Scと、クラック4をこの平均断面に投影した
面積Tcとの比Tc/Scに比例したものとなる。さら
に、スペクトルのピーク23,26の周波数差Δfr
は、クラック4の円筒3の中心線方向に向かう長さ(深
さ)Deに比例したものとなる。
【0039】したがって、上記スペクトルのピークの周
波数差Δfn,Δfc,Δfrを測定することにより、
上記面積比Sn/Tn,Sc/Tc及び深さDeを求め
ることができる。そして、これより投影面積Tn,Tc
を求めることができるので、これら3つの値Tn,T
c,Deから被測定物である円筒3に生じたクラック4
の大きさ(容積)及び形状を判別することができる。
【0040】図5、図6の場合には、Δfcに比べてか
なりΔfnが小さいので、クラック2は中心線方向に沿
ったものであることが分かり、そして、Δfcからクラ
ック2の中心線方向の長さが分かり、Δfrから側周面
から中心線方向に向かう深さが分かる。なお、この円筒
の例の場合、投影面積Tn及びTcから円筒に換算した
クラックの容積を求めることができる。そして、深さD
eの情報を用いることにより、クラック2が円筒1にお
いて、どのような形状で発生しているかを特定すること
ができる。
【0041】ところで、スペクトル分析する方法は、構
成が複雑になる。また、振動波の伝播方向の長さが微小
な場合には、Q値の変化として検出する必要があり、こ
れは前述したように容易でない。
【0042】このため、この発明においては、スペクト
ル分析せずに、以下に説明するようにして欠陥等の判定
を行う。前述したように、本願の発明者の研究の結果、
クラックあるいは「す」などの欠陥や、偏析による異硬
度部分の存在があると、その時系列波形のエンベロープ
波形は、これら欠陥等による波形の変調により正弦波と
なることが判明した。そして、その正弦波のエンベロー
プ波形の周波数が前記周波数差Δfn,Δfc,Δfr
に等しいことを確認した。
【0043】この場合、エンベロープ波形の最大振幅の
減衰率は、そのエンベロープの周波数に応じたもので、
周波数が高ければ減衰率も大きくなる。エンベロープ波
形の最大振幅の減衰率は、エンベロープ波形の平均減衰
率、すなわち、平均うねりに応じたものである。したが
って、この平均うねりを求めることにより、欠陥等の有
無及び欠陥等の大きさの判定を行うようにする。
【0044】すなわち、シグナルコンディショナー38
の出力信号は、波形処理手段40に供給される。この波
形処理手段40及びこの手段40以降は、デジタル信号
処理の構成とすることができるものである。この波形処
理手段40においては、加振による強制振動の成分を除
去する処理と、前記各伝播方向の定常波振動成分を抽出
する処理と、抽出した定常波振動成分のエンベロープ波
形を検出し、さらに、そのエンベロープ波形の平均うね
りを検出する処理とを行う。
【0045】先ず、加振による強制振動の成分を除去す
る処理について説明する。すなわち、被測定物を強制的
に振動させた場合、その強制振動などが固有振動(定常
波としての縦振動波)と混在することになる。しかし、
ここで問題にする振動は、被測定物の形状が持つ固有振
動である。そこで、これら固有振動以外をできるだけ除
去して、欠陥の検出を容易にする。このため、この例で
は次のようにして強制振動成分を除去するようにしてい
る。
【0046】被測定物31には、粗密波である前記縦振
動波(縦波)のほかに、密度変化を伴わない横波が生じ
る。この横波は、被測定物31の重心付近を加振するこ
とにより、発生させない、あるいは微小に押さえること
ができる。
【0047】次に、強制振動に対しては、センサ37か
らの信号の測定開始点を、加振時から所定時間経過した
時点とすることで、影響を除去するようにする。すなわ
ち、被測定物31を加振する場合、正弦波法とインパル
ス衝撃法とがあるが、正弦波法の場合には、一定条件で
被測定物31を加振しておき、ある瞬間で、これを停止
する。そして、その停止時から少し時間経過した時点か
ら振動の測定を開始する。インパルス衝撃法の場合に
は、衝撃を与える等して加振した直後から少し時間を経
過した時点から測定を開始する。
【0048】この場合の加振停止時、あるいは衝撃時か
ら測定を開始するまでの時間は、次のようにして定める
ことができる。すなわち、被測定物31中を伝わる音波
の速度cは、そのヤング率E(弾性係数)とその物体の
密度ρによって異なり、 c2 =E/ρ の関係がある。そして、例えば、この例のインパルス衝
撃法による場合、衝撃直後からピックアップした振動の
時系列波形は図7Aのようになる。
【0049】この図7Aの波形からもわかるように、加
振後の振動は地震波の場合と同じであるので、上記のよ
うに速度の速い縦波や遅い波が混在しており、また、振
動に強制振動が残り、被測定物31の形状に特有の固有
振動波形になっていない。この形状に特有の固有振動波
は、例えばコマの「さいさ運動」のように、停止する少
し前に、観測されるものであると考えられる。このた
め、図7Bのような矩形波の時間ウインドーW(t) を設
定し、このウインドーW(t) によって、この例では強制
振動波を除去する。
【0050】すなわち、シグナルコンディショナー38
の出力信号は波形処理手段40の強制振動除去手段41
に供給されて、ウインドーW(t) 形成手段42からの前
記のウインドー信号W(t) と掛け算される。これによ
り、加振すなわち衝撃後の被測定物31の振動から、強
制振動波が除去され、被測定物31の形状の固有振動成
分のみが抽出される。
【0051】ウインドーW(t) 形成手段42では、制御
装置32からの加振開始の情報を受け、衝撃直後からウ
インドーW(t) の立ち上げ時点までの時間と、ウインド
ーW(t) の幅を設定する。図7の例では、衝撃直後から
20msec経過した時点からウインドーW(t) を立ち上
げ、200msecのウインドー幅を設定する。以上のよう
にして、ウインドーW(t) により被測定物31の形状の
固有振動成分が抽出される。
【0052】次に、強制振動除去手段41の出力信号
は、定常波抽出手段43に供給される。また、周波数ウ
インドー形成手段44において、図8の特性曲線27
a,27b,27cに示すように、スペクトルのピーク
21,22,23の近傍の周波数範囲a部、b部、c部
の成分をそれぞれ抽出するための周波数ウインドーW1
(f)a ,W1(f)b ,W1(f)c が形成される。そして、こ
れら周波数ウインドーW1(f)a ,W1(f)b ,W1(f)c
が、定常波抽出手段43において、強制振動除去手段4
1の出力信号と掛け算され、各伝播方向Vn,Vc,V
rの各定常振動波の成分Ka,Kb,Kcが得られる。
【0053】なお、周波数ウインドーW1(f)a ,W1(f)
b ,W1(f)c の特性曲線は、周波数方向の両肩の部分が
ガウス分布曲線とされると共に、その間がフラットなも
のとされ、掛け算による不要な振動成分が発生しないよ
うにされている。
【0054】この定常波抽出手段43からの出力成分K
a,Kb,Kcは、エンベロープ検出手段45に供給さ
れる。そして、図9に示すような、低域通過特性の周波
数ウインドーW2(f)が周波数ウインドー形成手段46で
形成され、この周波数ウインドーW2(f)がエンベロープ
検出手段45に供給され、各成分のエンベロープ検出出
力EVa,EVb,EVcがこれより得られる。
【0055】各成分のエンベロープ検出出力EVa,E
Vb,EVcは、平均うねり検出手段47に供給され、
各エンベロープ波形の平均うねりが求められる。この平
均うねりは、エンベロープ波形の相関関数の値を求める
ことに等しい。
【0056】以上の波形処理手段40での波形処理をF
FT(ファーストフーリエトランスフォーム)により行
うと、次式の数1のようになる。
【0057】
【数1】 この数1に示した式(1)及び式(2)は、意味的には
同じ式である。
【0058】この場合、被測定物31に全く欠陥がなけ
れば、定常波抽出手段43からの出力成分Ka,Kb,
Kcの時系列波形のエンベロープは、減衰率が非常に小
さい単調減衰の波形を示すものとなる。例えば成分Ka
の時系列波形を例示すると、図10Aに示すようにな
る。そして、そのエンベロープ波形とその平均うねりの
波形は同様のものとなり、図10Bに示すようなものに
なる。
【0059】しかし、被測定物31が欠陥を有する場合
には、これら成分Ka,Kb,Kcの時系列波形のエン
ベロープ検出出力は、欠陥の振動の伝播方向の大きさに
比例した周波数の正弦波状になる。例えば成分Kaにつ
いて例示すると、時系列波形は、欠陥の大きさの大きい
順に、図11A,B,Cのようなものなり、そのエンベ
ロープ検出出力は、それぞれ図11D,E,Fにおい
て、曲線61,62,63に示すようなものとなり、平
均うねりは曲線71,72,73に示すようなものとな
る。すなわち、平均うねりは、欠陥が大きい程、減衰率
の大きいものとなる。
【0060】波形処理手段40の出力、すなわち、平均
うねり検出手段47からのエンベロープ波形の平均うね
り検出出力ECa,ECb,ECcは、欠陥判定手段5
1に供給される。欠陥判定手段51では、上記平均うね
り検出出力ECa,ECb,ECcの減衰率を求める。
そして、これら平均うねり検出出力の減衰率から欠陥の
有無及び各振動波伝播方向の長さを検出する。そして、
各振動波伝播方向の長さから欠陥の容積(大きさ)を検
出し、所定の欠陥についてのスレッショールド値と比較
して、良品・不良品の判定を行う。また、各振動波伝播
方向の長さから欠陥の形状を検出することができる。
【0061】欠陥判定手段51は、求めた欠陥の大き
さ、良品・不良品の判定結果の情報を制御装置32に送
る。制御装置32は、欠陥の大きさ、良品・不良品の判
定結果を、累積的に記憶し、その記憶内容を出力手段5
2に送る。出力手段52は、これらの情報をディスプレ
イに表示したり、記録紙にプリントアウトする。制御装
置32は、また、良品・不良品の判定結果に基づいて、
被測定物が不良品の場合には、搬送装置33に被測定物
31を搬入せずに、排除するような制御を行う。
【0062】なお、クラックではなく、「す」や異硬度
部分が被測定物に存在しても、上述と全く同様にして、
その「す」や異硬度部分の存在の有無と、大きさ・形状
を判定することができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、被測定物を加振して、その振動波をピックアップ
し、その時系列波形から被測定物の固有振動の周波数成
分を抽出し、抽出した成分の時系列波形のエンベロープ
波形の平均うねりを検出することにより、被測定物中に
欠陥及び異硬度部分の有無及びその大きさ・形状を検出
することができる。
【0064】この発明によれば、スペクトル分析するこ
となく、時系列信号から欠陥及び異硬度部分の存在の有
無及び欠陥等の大きさを検出することができるので、ス
ペクトル分析の分解能に関係なく、常に正しく欠陥等の
有無及び大きさを検出することができる。特に、欠陥等
が微小な場合でも、この発明によれば、正確、かつ、確
実に、欠陥等の検出・判定を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を適用した欠陥検出装置の一実
施例のブロック図である。
【図2】この発明による検出方法が適用される被測定物
の例としての円筒を示す図である。
【図3】欠陥がない場合の円筒の定常振動波のスペクト
ルを示す図である。
【図4】円筒に生じたクラックの例を示す図である。
【図5】図4のクラックがある場合の円筒の定常振動波
のスペクトルを示す図である。
【図6】図5の一部をそれぞれ拡大した図である。
【図7】図5の一部の動作説明のための図である。
【図8】図5の一部の動作説明のための図である。
【図9】図5の一部の動作説明のための図である。
【図10】図5の一部の動作説明のための図である。
【図11】欠陥等がある場合の時系列波形の例を示す図
である。
【図12】先に提案した欠陥検出方法を説明するための
スペクトルを示す図である。
【符号の説明】 31 被測定物 35 加振装置 37 センサ 40 波形処理手段 43 定常波抽出手段 45 エンベロープ検出手段 47 平均うねり検出手段 51 欠陥判定手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定物を加振し、 この被測定物に生じる振動をピックアップして得られた
    信号から、上記被測定物に固有の定常波振動を抽出し、 この定常波振動の時系列波形のエンベロープの平均うね
    りを求め、この平均うねりから上記被測定物の欠陥及び
    異硬度部分の有無及び大きさを検出するようにした欠陥
    及び異硬度部分の検出方法。
  2. 【請求項2】 被測定物を加振する加振手段と、 上記被測定物の振動をピックアップし、電気信号に変換
    するピックアップ手段と、 このピックアップ手段からの信号中の上記被測定物の定
    常振動成分を抽出する抽出手段と、 上記抽出手段からの時系列データのエンベロープ波形を
    検出する手段と、 上記検出されたエンベロープ波形の平均うねりを演算す
    る手段と、 上記平均うねりから上記被測定物の欠陥及び異硬度部分
    の存在の有無及び大きさを検出する手段とを備える欠陥
    及び異硬度部分の検出装置。
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