JPH0683668B2 - 耐熱性α−アミラ−ゼの製造方法 - Google Patents

耐熱性α−アミラ−ゼの製造方法

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JPH0683668B2
JPH0683668B2 JP60155135A JP15513585A JPH0683668B2 JP H0683668 B2 JPH0683668 B2 JP H0683668B2 JP 60155135 A JP60155135 A JP 60155135A JP 15513585 A JP15513585 A JP 15513585A JP H0683668 B2 JPH0683668 B2 JP H0683668B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、好熱嫌気性細菌を用いて新規なα−アミラー
ゼを製造する方法に係り、特に、好熱嫌気性細菌を培養
する際の培養基質の炭素源に関するものである。
〔発明の背景〕
耐熱性酵素は常温用酵素に比べ、加熱やpHの変化にも安
定性が高く、酵素利用工業には極めて有用である。従来
のα−アミラーゼは好気性細菌を起源とするものに限ら
れている。(嶋村等:特公昭47−12946号公報)。上記
の好気性細菌の中でチルス・ズブチリス(Bacillus sub
tilis)及びバチルス・リチエニホルミス(Bacillus Li
cheniformis)を起源とするα−アミラーゼは、すでに
工業生産され、澱粉加工や繊維ののり抜きに使用されて
いる。これら公知のα−アミラーゼは、いずれも酵素本
体のたん白質だけでは耐熱性を発揮できず、カルシウム
イオンの存在下ではじめて耐熱性を示す。通常数mM〜20
mM(服部:特開昭51−44652号公報、特開昭51−44690号
公報)、少なくとも1mM(斉藤:特開昭48−35083号公
報)のカルシウム濃度を必要とする。
本発明者等は、耐熱性にすぐれ、かつカルシウム要求性
の低いα−アミラーゼを得ることを目的に酵素及び酵素
生産用微生物の探索を行つた。その結果、クロスツリジ
ウム属に属する偏性嫌気性細菌(クロスツリジウム属細
菌RS−0001,colstridium sp RS−0001,微工研条寄第104
3号(FERM BP−1043)が、酵素の特性、特にカルシウム
要求性ならびに作用pH域が従来のα−アミラーゼと全く
異なる新規な耐熱性α−アミラーゼを生成することを見
い出した。
α−アミラーゼの製造は、(i)殿粉、デキストリン等
を炭素源として細菌を培養し、培養液中にα−アミラー
ゼを分泌させる。(ii)培養液中からα−アミラーゼを
回収・精製する。といつた工程に従つて行われる。この
ため、α−アミラーゼを効率的に生産するには、培養液
中に効率よくα−アミラーゼを分泌せしめることが必要
である。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、好熱嫌気性細菌の生産する、耐熱性に
優れ、かつカルシウム要求性の低い新規なα−アミラー
ゼを培養液中に多量に分泌させることができる、好熱性
嫌気性細菌のための培養用炭素源を提供することにあ
る。
〔発明の概要〕
本発明者らは、耐熱性にすぐれ、かつカルシウム要求性
の低い新しいタイプのα−アミラーゼを得ることを目指
し、酵素生産用微生物の探索を行つた。その結果、クロ
スツリジウム属に属する好熱性嫌気性細菌(クロスツリ
ジウム属細菌RS−0001,Clostridium sp.RS−0001,微工
研条寄第1043号(FERM BP−1043)が上記の要件を満た
す新規な耐熱性α−アミラーゼを生成することを見い出
した。そして、本菌を用いてα−アミラーゼの効率的な
生産方法につき鋭意研究した結果、本発明に至つた。
本発明の特徴は、クロスツリジウム属に属する細菌を培
養する際に用いる培養基中に、炭素源としてマルトース
を用いることにある。マルトースを炭素源として用いる
ことにより、殿粉やデキストリンを用いた場合に比べ、
培養液中に分泌されるα−アミラーゼ量は約2倍にも達
する。また、マルトースは、炭素源として単独で用いる
場合のみならず、殿粉もしくは可溶性殿粉とマルトース
とを混合して用いた場合にも、α−アミラーゼの分泌を
促進する。すなわち、殿粉もしくは、可溶性殿粉若しく
はデキストリンを単一で炭素源として用いた場合に比
べ、多量のα−アミラーゼを培養液中に分泌させる。
なお、マルトースと同様に、グルコース2分子の縮合物
であるイソマルトースの場合には、上記のような、α−
アミラーゼ産生促進効果は認められない。
培養液中に分布されたα−アミラーゼは、殿粉粒子等へ
の吸着法、硫酸アンモニウム塩による塩析法、分子ふる
い膜による過法、分子ふるいクロマト、イオン交換液
体クロマト法等、従来よりα−アミラーゼ精製法として
公知の手法により分離,精製したのち、製品化される。
本発明に用いるα−アミラーゼを産生するクロスツリジ
ウム属に属する細菌(Clostridium sp RS−0001)は工
業技術院微生物工業技術研究所に寄託している(受託番
号;微工研条寄第1043号(FERM BP−1043)。まず、本
菌の菌学的性質の詳細を説明する。
A.形態的性質 (1)栄養細胞の形態 下記の殿粉・ペプトン培地の寒天平板上、嫌気性雰囲気
中、60℃で2日間培養した場合、栄養細胞は0.4〜0.8×
2〜5μmの大きさの直状の桿菌である。3日間以上の
培養では、上記の形状の栄養細胞が単独に存在する他、
連鎖するものも生ずる。液体培養でも同様となる。
殿粉・プペトン培地の組成 可溶性殿粉 1.5% ペプトン 0.5% 酵母エキス 0.5% KH2PO4 0.7% Na2HPO4 0.35% MgSO4・7H2O 0.001% 寒 天 2.0% チオグリコール酸ナトリウム 0.1% 水道水 pH6.4 (2)胞子の有無 殿粉・ペプトン培地の寒天平板培養及び液体培養で胞子
の形成が認められる。
B.培養的特性 (1)コロニーの形態 殿粉・ペプトン培地の寒天平板培養でのコロニーは、中
心部がやや隆起した扁平な円形となり、周縁部は全縁で
ある。色素生成は見られず、表面に光沢を有し乳白色不
透明である。また、粘着性を有する。
(2)肉汁培地の寒天平板培養及び穿刺絶養生育して殿
粉・ペプトン培地と同様のコロニーを生ずる。
肉汁寒天培養地組成 肉エキス 1.0% ペプトン 1.0% 食 塩 0.2% チオグリコール酸ナトリウム 0.1% 寒 天 1.5% 蒸留水 pH6.0 (3)肉汁培地の穿刺培養 水素と炭素ガスを含むガスの発生を伴つて生育し、この
ため寒天培地が2〜3個所で分断される。
(4)肉汁液体培養 嫌気的雰囲気下でのみ生育し、培養液が自濁する。
肉汁培地の組成 肉エキス 1.0% ペプトン 1.0% 食 塩 0.2% チオグリコール酸ナトリウム 0.1% 蒸留水 pH6.0 (5)肉汁・セラチン培養 生育は認められない。
肉汁・ゼラチン培地の組成 肉エキス 1.0% ペプトン 1.0% 食 塩 0.2% ゼラチン 15% チオグリコール酸ナトリウム 0.1% 蒸留水 pH6.0 (6)リトマスミルク培養 ガス発生を伴い、固く凝固し、酸の生成により赤変す
る。
C.生理的性質 (1)生育の温度範囲 40〜63℃で生育する。30℃で生育認められず、60℃付近
で良好。
(2)生育のpH範囲 pH5〜7。5.6付近が良好。
(3)酸素に対する態度 偏性嫌気性 (4)O−Fテスト(Hugh Laifson変法) 空気雰囲気中では生育みられず陰性。流動パラフイン重
層による嫌気性条件下では菌が生育し、酸を生成して培
養液が黄色となる。
培地組成 ペプトン 1.0% グルコース 1.0% 食 塩 0.2% K2HPO4 0.03% チオグリコール酸ナトリウム 0.1% ブロムクレゾールパープル 0.002% 寒 天 0.3% 蒸留水 pH6.0 (5)硝酸塩の還元 陰性。
(6)VPテスト 陰性。
(7)MRテスト 陽性,赤変化する。
(8)インドール生成 ペプトン水に生育しないため測定できない。
(9)硫化水素の生成 陰性(Kligrerの培地使用において)。
(10)殿粉の加水分解 陽性。可溶性殿粉だけでなく、馬鈴薯殿粉など粒状殿粉
も分解する。
(11)クエン酸の利用 陰性(Simmons培地使用において)。
(12)アンモニウム塩の利用 ペプトン水に生育しないため測定できない。
(13)色素の菌体外生成 陰性。
(14)ウレアーゼ 陰性。
(15)オキシダーゼ活性 陰性。
(16)カタラーゼ活性 陰性。
(17)糖の資化性 糖の資化性及びダラーム管を用いたガス発生有無の観察
結果を下表に示す。
(18)無機塩培地への生育 生育認められず。
(19)有機酸の生成 各種培地から生成する有機酸組成を第2表に示す。
供試液体培地の組成 炭素源 1.0% ペプトン 1.0% 食 塩 0.2% チオグリコール酸ナトリウム 0.1 蒸留水 pH6.4 これらの結果よりホルドマン(Holdeman)の嫌気性細菌
分類マニユアルに基づき、クロスツリジウム属に属する
細菌と同定した。
次に、本細菌により得られる耐熱性α−アミラーゼの酵
素的特性について記す。
尚、α−アミラーゼ活性の測定方法は次のように行つ
た。
ブルーバリユー法(Blue value法)(日本化学会編:実
験化学講座24巻、生物化学II、p279、丸善書店、1969)
による糊精化力を測定した。本法は、殿粉の分子が加水
分解されるのに伴い、殿粉−より素複合体(complex)
に基づく青色の発色量が、分子量の低下に比例して減少
する原理を応用したものである。まず、2mg/mlの殿粉溶
液2ml及び0.1Mくえん酸緩衝液(pH4.0)1mlを試験管に
取り、60℃水浴中で5分間振盪した。次いで、粗酸素液
として培養液1mlを加え、30分間反応させた。反応
後、反応液0.4mlを採取し、直ちに0.5M酢酸溶液2mlと混
合して酵素反応を停止させた。次にその1mlを10mlの1/3
000Nよう素溶液中に加え、680nmでの吸光度を分光光度
計を用いて測定した。一方、酵素液を加えた直後の反応
液(以下Ot反応液と略称する)を採取して同様に発色さ
せ、吸光度を測定した。なお、殿粉としては重合度約20
00のアミロースを用いた。
α−アミラーゼ活性は次式により算出した。
(1)作用及び基質特異性 本発明の細菌が産生する酵素は、馬鈴しょ,とうろもこ
し,甘しょ等の殿粉を加水分解する液体型α−アミラー
ゼである。
(2)至適pH 第3図に、従来公知の代表的なα−アミラーゼの作用pH
曲線を示す。曲線4で示した小笠原等のバチルス・ズブ
チリス(J・Biochem.67.65.1970年)及び曲線6で示し
た斎藤等のバチルス・リチエニホルミス(特開昭48−35
083号公報)を起源とするα−アミラーゼは、pH4〜11に
好適域を有する(最適pHでの活性の80%を有するpH域と
する)。従来公知の酸性α−アミラーゼのうち、最も酸
性側で活性の高い田中等によるバチルス・リチエニホル
ミス起源α−アミラーゼ(特開昭52−151970号公報,曲
線3)では、好適域が3.5〜6.3にあり、pH2で全く活性
を示さない。
これに対し、本発明に係る菌により産生されるα−アミ
ラーゼI(曲線1)ならびにα−アミラーゼII(曲線
2)の60℃における最適pH域は、いずれも4付近にあ
り、かつ好適pHはそれぞれ2〜5.7,2〜6.3にあって、従
来の酸性α−アミラーゼにくらべ、さらに酸性側でも高
い活性を有する。すなわち、pH2では、従来の酸性α−
アミラーゼが全く活性を示さないのに対し、本発明細菌
によるα−アミラーゼはそれぞれ95%,81%の高い活性
を示す。
なお、酵素反応は次の反応系を用いた。
酵素液:0.6〜1.3μg/ml 基質:アミロース1mg/ml クエン酸緩衝液:0.025M 上述したように、本発明細菌によるα−アミラーゼは従
来の酸性α−アミラーゼと作用pH域を異にすることか
ら、新しいα−アミラーゼであることは明らかである。
(3)pH安定性 本発明細菌によるα−アミラーゼI及びIIを、pH2,4,6,
7の各pH(0.025Mクエン酸緩衝液)下で、60℃、30分間
インキュベートした。反応液を稀釈してpHを4.0に調製
し、アミロースを基質として残存活性を測定した。その
結果両α−アミラーゼは、上記のpH処理で完全に活性が
保持されていた。したがって、本α−アミラーゼは酸性
域でも安定性が高い特徴を有している。
(4)至適温度 第4図に示す如く、本発明細菌によるα−アミラーゼI
(曲線11)及びII(曲線12)の至適pH4.0における至適
温度は、いずれも80℃付近である。好適温度(最適温度
での活性の80%を有する温度域とする)は65〜87℃であ
る。なお、反応にはクエン酸緩衝液0.025Mを用いた。
(5)熱安定性 本発明細菌によるα−アミラーゼIIをpH6.0で20μM塩
化カルシウムの存在下に60〜97℃に加熱処理し、残存活
性を測定した。これをもとに各温度における活性半減期
を求め、その結果を第5図に示す。80℃及び90℃におけ
る活性半減期(基質無添加)はそれぞれ8時間、0.5時
間であり、熱安定性にすぐれている。α−アミラーゼI
についても90℃における活性半減期は約0.5時間と、α
−アミラーゼIIと同等の耐熱性を有する。一方、従来の
α−アミラーゼの例とし、バチルス・リチエニホルミス
に属するα−アミラーゼ生産菌、及びバチルス・ズブチ
リスに属するα−アミラーゼ生産菌の培養液から調製し
た部分精製α−アミラーゼ製品を用い、カルシウム濃度
20mMにおいて半減期を実測した。その結果を第5図に付
記する。反応は、クエン酸緩衝液を用いて、両α−アミ
ラーゼの最適pHである6.0で行った。前者の80℃におけ
る半減期は0.6時間、後者の70℃における半減期は0.6時
間である。本発明細菌によるα−アミラーゼの耐熱性
(曲線21)は、従来公知のサーマス属の耐熱性α−アミ
ラーゼには及ばないが、バチルス属のα−アミラーゼ
(バチルス・リチエニホルミスSP、を起源とする耐熱性
α−アミラーゼ、曲線22)とくらべ遜色ない。
(6)液熱性に及ぼす金属塩の影響 本発明細菌によるα−アミラーゼIIの耐熱性に及ぼす金
属塩の影響を第3表に示す。α−アミラーゼIIの水溶液
に各種の金属塩を5mM濃度になる様に添加し、加熱処理
を行って活性を測定した。そして、加熱処理前に対する
加熱処理後の活性、すなわち残存活性を%で表示した。
加熱処理及び活性測定は以下の条件で行った。
加熱処理条件 pH6.0 加熱温度 :80℃ 保持時間 :30分 活性測定は、試料液を希釈後、以下の条件下で行った。
なお、各金属塩を本添加濃度で添加しても、活性測定に
影響のないことを確認している。
活性測定条件 pH4.0(0.025Mクエン酸緩衝液) 活性測定温度:60℃ 第3表から明らかに、カルシウムイオンに保護効果が認
められるのに対し、ナトリウム、カリウム及びマグネシ
ウムの各イオンについては、さしたる保護効果は認めら
れない。一方、ニッケル、コバルト、亜鉛及びマンガン
の各イオンは耐熱性を低下させる。また、本α−アミラ
ーゼは0.5μMのEDTAで耐熱性を失うことも確認してい
る。
本α−アミラーゼのカルシウム要求濃度は第6図曲線31
に示すように、100μM(4ppm)であり、水道水中のカ
ルシウム濃度で十分安定化される。さらに本酵素は1μ
M以下のカルシウム濃度においても65%の活性を保持し
ている。また、α−アミラーゼIもα−アミラーゼIIと
同等のカルシウム要求性を有している。
これに対し、バチルス・リチエニホルミスに属するα−
アミラーゼ生産菌から部分精製したα−アミラーゼは、
第6図曲線32に示すように、30mMのカルシウムイオンを
必要とする。なお、加熱処理は両酵素ともpH6,80℃で30
分間加熱し、活性測定は各々の最適にて60℃で行った。
一方、バチルス・ズブチリスの耐熱性α−アミラーゼで
は、カルシウム必要濃度は3〜10mMである(特開昭51−
44690号公報、特開昭58−34117号公報)。
したがって、本発明α−アミラーゼは、従来公知の耐熱
性α−アミラーゼに比べ著しくカルシウム要求性が低
い。
(7)精製方法 実施例において詳述するので、ここでは簡単な説明にと
どめる。
本発明細菌によるα−アミラーゼ生産菌を、殿粉、ペプ
トン及び酵母エキスを含有する液体培地に接種し、嫌気
条件下で60℃に1〜3日間培養する。培養液を遠心分離
等により菌体及びそれ以外の不溶物質を除したいわゆる
培養濾液を得る。次いで、培養濾液を、モレキュラシー
ブ膜濾過,イオン交換クロマト,ゲル濾過クロマト,塩
析等の公知の方法を適宜利用して、本発明細菌によるα
−アミラーゼを濃縮するとともにそれ以外の不純物を除
く。
(8)分子量 本発明細菌によるα−アミラーゼの分子量は未確認であ
るが、モレキュラシーブ膜濾過における挙動から、分子
量は20.000以上と推定される。
以上、本発明細菌により産生される新しい耐熱性α−ア
ミラーゼは、特に作用pH並びにカルシウム要求性におい
て、従来の好気性細菌の生産する耐熱性酵素と著しく異
なる。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の実施例を示し、詳しく説明する。
実施例1 酵素エキス0.5%,ポリペプトン0.5%,リン酸第1カリ
ウム0.7%,リン酸第2ナトリウム0.2%,硫酸マグネシ
ウム・7水和塩0.001%、チオグリコール酸ナトリウム
0.1%,炭素源としてマルトース2%、及び水道水を含
む液体培地(pH6.0)2.7kgを、内容積5の培養槽に入
れ、120℃で10分殺菌した。これに、同上培地にて嫌気
的に培養したクロスツリジウム属細菌の菌体懸濁液0.3k
gを添加した。次いで、ガス出口に水封トラツプを付
し、培養槽内気相部をアルゴンで十分置換後、嫌気条件
下で培養した。培養液のpHは6.0に自動調製し、温度も6
0℃に自動調製した。培養中、一定時間毎に槽内の培養
液の一部を採取し、3500rpmで遠心分離し、0.2μmのフ
イルタで過して除菌したのち、液中のα−アミラーゼ
活性を測定した。その結果、第1図中の曲線1で示すよ
うに、培養開始後16時間で最大61単位/mlのα−アミラ
ーゼを産生した。
比較例1 実施例1において、炭素源として馬鈴薯殿粉2%を用
い、実施例1と同じ要領で培養試験を実施した。α−ア
ミラーゼの産生量を測定した結果、曲線2に示すよう
に、培養開始後44時間後に28単位/mlであつた。
比較例2 実施例1において、炭素源として可溶性殿粉2%を用
い、実施例1と同じ要領で培養試験を実施した。α−ア
ミラーゼの産生量を測定した結果、曲線3に示すように
培養開始後40時間で30単位/mlであつた。
比較例3 実施例1において、炭素源としてデキストリン2%を用
い、実施例1の要領で培養試験を実施した。α−アミラ
ーゼの産生量を測定したところ、曲線4に示すように、
培養開始30時間で30単位/mlであつた。
比較例4 実施例1において、炭素源としてグルコースを用い、実
施例1の要領で培養試験を実施した。α−アミラーゼの
産生量を測定した結果、曲線5に示すように、培養開始
60時間後に6単位/mlであつた。
比較例5 実施例1において、炭素源としてイソマルトースを用
い、実施例1の要領で培養試験を実施した。α−アミラ
ーゼの産生量を測定した結果、曲線6に示すように、培
養開始60時間後に15単位/mlであつた。
実施例1と比較例1〜5を比較することにより、マルト
ースを基質として用いることにより、短時間の培養で高
濃度のα−アミラーゼを生産せしめ得ることが解る。
実施例2 実施例1において、炭素源として、殿粉1.5%及びマル
トース0.5%を加えて培養試験を実施した。α−アミラ
ーゼ産生量は、第2図の曲線11に示すように培養開始46
時間後に52単位/mlまで達した。
実施例3 実施例1において、炭素源として、可溶性殿粉1.5%及
びマルトース0.5%を加えて培養試験を実施した。α−
アミラーゼ産生量は、第2図の曲線12に示すように、培
養開始45時間後に56単位/mlまで達した。
実施例4 実施例1において、炭素源としてデキストリン1.5%及
びマルトース0.5%を加えて培養試験を実施した。α−
アミラーゼ産生量は曲線13に示すように、培養開始41時
間後に58単位/mlまで達した。
実施例2と比較例2とを比較し、実施例3と比較例3と
を比較し、実施例4と比較例4とを比較すると、マルト
ースを単独で炭素源として用いる場合のみならず、馬鈴
薯殿粉、可溶性殿粉、デキストリンのそれぞれと混合し
て用いることにより、これらそれぞれを単独で用いた場
合に比べ、α−アミラーゼ産生量が増加することがわか
る。
実施例5 馬鈴薯殿粉2%,ポリペプトン0.5%,酵母エキス0.5
%,リン酸第1カリウム0.7%,リン酸第2ナトリウム
0.2%,硫酸マグネシウム・7水和物0.001%,チオグリ
コール酸ナトリウム0.1%及び水道水を含む液体培地(p
H6.0)2.7kgに90℃、5分間の熱処理を施したのち、60
℃まで冷却した。次いで、これにβ−アミラーゼ1000単
位を加え、60℃,pH6.0で1時間反応させた。1時間後、
反応液中には0.54%のマルトースが含まれていた。次い
で、これを内容積5の培養槽に入れ、120℃で10分
間、高圧蒸気殺菌を行つた。以下、実施例Е1と同じ要
領により培養試験を行つたところ、培養開始後38時間で
56単位/mlのα−アミラーゼを産生した。
培養終了後、4℃まで冷却したのち、7000rpmの遠心分
離により菌体を除去した。次いで、ポアサイズ0.45μm
のフイルタで培養液の清澄化を行い、培養液2.8kgを
得た。次に、4℃に冷却下、とうもろこし殿粉150gを添
加し、10分間撹拌下で接触させたのち、遠心過を行
い、とうもろこし殿粉を回収した。回収した殿粉に4℃
に冷却した純粋1を加え、殿粉の洗浄を行つた。次い
で、65℃に加熱した純粋0.8に上記のとうもろこし殿
粉を入れてα−アミラーゼの脱着を行つた。ついで直ち
に遠心過器を用いて、殿粉粒子を除去し、α−アミラ
ーゼ液0.75を得た。α−アミラーゼ液は分子ふるい膜
(分画分子量2万)を用いて濃縮したのち凍結乾燥し、
α−アミラーゼ標品15mgを得た。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、クロスツリジウム属の好熱性嫌気
性細菌を用いて耐熱性α−アミラーゼを生産する場合、
本発明を適用して、培養基中に、炭素源としてグルコー
ス残基が2個以上のグルコース多量体を混合して用いる
ことにより、耐熱性に優れ、かつカルシウム要求量の低
いα−アミラーゼを培養液中に多量に分泌せしめること
ができるという優れた実用的効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ、本発明方法の実施例に
おける効果を説明するための図表である。 第3図は本発明細菌の産生する耐熱性α−アミラーゼと
従来の耐熱性α−アミラーゼとのα−アミラーゼ活性に
及ぼすpHの影響を示す特性図、第4図は本発明細菌の産
生する耐熱性α−アミラーゼのα−アミラーゼ活性に及
ぼす温度の影響を示す特性図、第5図は本発明細菌の産
生する耐熱性α−アミラーゼと従来の耐熱性α−アミラ
ーゼの各例における耐熱性を示す特性図、第6図は本発
明細菌の産生する耐熱性α−アミラーゼと従来のα−ア
ミラーゼの各例における加熱処理によるα−アミラーゼ
活性に対するカルシウム濃度の影響を示す特性図であ
る。 1,11,12,13……本発明の実施例におけるα−アミラーゼ
活性の時間に伴う変化を示すカーブ、2,3,4,5,6……比
較例におけるα−アミラーゼ活性の時間に伴う変化を示
すカーブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 勇作 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−41482(JP,A) 特開 昭61−115484(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素源を用いて細菌を培養し培養液中にα
    −アミラーゼを分泌させて回収・精製し耐熱性を有し且
    つカルシウム要求性の低いα−アミラーゼを製造する方
    法において、前記細菌としてクロスツリジウム属の好熱
    性嫌気性細菌RS−0001(FERM BP−1043)を用い、前記
    炭素源としてマルトースと更に澱粉,可溶性澱粉、デキ
    ストリンのうちの一種との混合物を用いて、pHが5〜7
    の範囲内の培養液中にα−アミラーゼを分泌させること
    を特徴とする耐熱性α−アミラーゼの製造方法。
JP60155135A 1985-07-16 1985-07-16 耐熱性α−アミラ−ゼの製造方法 Expired - Lifetime JPH0683668B2 (ja)

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