JPH0683665B2 - 培地、およびそれによる蛋白質又はペプチドの製造方法 - Google Patents

培地、およびそれによる蛋白質又はペプチドの製造方法

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JPH0683665B2
JPH0683665B2 JP2144122A JP14412290A JPH0683665B2 JP H0683665 B2 JPH0683665 B2 JP H0683665B2 JP 2144122 A JP2144122 A JP 2144122A JP 14412290 A JP14412290 A JP 14412290A JP H0683665 B2 JPH0683665 B2 JP H0683665B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、微生物が菌体外に分泌生産する蛋白質又はペ
プチドを分解することなく、効率よく製造する上で有用
な培地、およびそれによる蛋白質又はペプチドの製造方
法に関する。
[従来の技術と発明が解決しようとする課題] 遺伝子組換え技術は、酵素などを用いて試験管内で異種
のDNAをペクターに組込んで組換体を作製し、それを生
細胞である宿主に移入することにより、組込まれたDNA
に基づき異種の蛋白質、ペプチドを生産する技術であ
る。これらの遺伝子操作技術の進歩により、従来、天然
界には微量しか存在しない蛋白質及びペプチドを大量に
調製することが可能となる。
しかしながら、従来最も頻繁に利用されている宿主であ
る大腸菌は、菌体内に大量に蛋白質、ペプチドなどを生
産すると、不溶性の凝集物(インクルージョンボディ
ー)を生成し、蛋白質及びペプチドが不活性型となる。
また、大腸菌は、発熱物質となるエンドトキシンを産生
する。従って、生産物を医薬品として利用するために
は、これらを複雑な工程により、完全に除去し精製する
必要があるので、コストおよび時間を要する欠点を有し
ている。
一方、菌体外に有用物質を生産する微生物を宿主として
用いる場合には、種々の利点がある。すなわち、菌体
外に有用物質を生産する種類の大腸菌、シュードモナス
属(Pseudomonas)細菌、スタフィロコッカス属(Staph
ylococcus)細菌などのエンドトキシンを生産する微生
物では、これらの発熱物質の生産物への混入を避けられ
ること、枯草菌、放線菌、酵母、カピなどの安全性が
高く、本来菌体外に蛋白質を分泌する能力が高い微生物
を用いることにより、生産物を大量に、かつ不溶化する
ことなく活性型で得ることができること、生産物の分
離精製が容易なことなど様々な利点を有している。
しかしながら、多くの微生物は、蛋白質分解酵素である
プロテアーゼを菌体外に分泌するため、微生物が生産し
た有用な蛋白質やペプチドが分解され、蓄積されないと
いう問題がある。
この宿主由来のプテアーゼによる生産物の分解を抑制す
るため、プロテアーゼ欠損株の育成が提案されている
(J.Bacteriol.,160,442−444(1984);Appl.Environ.M
icrobiol.,53,379−384,(1987)、特開昭64−37285号
公報など) しかし、現在までに報告されている低プロテアーゼ生産
性の宿主においても、菌体外に生産した遺伝子産物であ
る蛋白質やペプチドの分解を効果的に抑制することは困
難である。
一方、本出願人らは、宿主由来のプロテアーゼによる生
産物(例えば、大腸菌由来のβ−ラクタマーゼ)の分解
を抑制するためには、コハク酸、マレイン酸、フマル
酸、酢酸またはそれらの塩などの有機酸を含む培地中で
宿主を培養することが有用であることを見いだし、先に
出願した(特開昭61−52297号公報)。
本発明の目的は、宿主由来のプロテアーゼによる蛋白質
やペプチドの分解を効果的に抑制できる培地を提供する
ことにある。
本発明の他の目的は、蛋白質やペプチドを安定かつ高い
収率で得ることができる蛋白質又はペプチドの製造方法
を提供することにある。
[発明の構成] 本発明者らは、更に、安価で取扱が容易で、しかも宿主
由来のプロテアーゼによる蛋白質やペプチドの分解を効
果的で抑制できる添加物を鋭意探索した結果、アミノ酸
とその塩、または無機塩を含む培地においても、宿主由
来のプロテアーゼによる、生産した遺伝子産物の分解が
効果的に抑制されることを見いだした。そして、宿主由
来のプロテアーゼによる遺伝子産物分解を効果的に抑制
するためには、培地のイオン強度を高めることが有効で
あることが明らかになり、本発明に至った。すなわち、
本発明は、蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生産する
微生物を培養する培地であって、蛋白質又はペプチドを
菌体外に分泌生産する微生物を培養する培地であって、
イオン強度が1以上であり、かつ下記(1)〜(3)の
何れかの成分を含む培地提供する。
(1)アミノ酸又はそのアルカリ金属もしくはアンモニ
ウム塩 (2)1価の無機陽イオンと1価の無機陰イオンとから
なる無機塩 (3)(A)アミノ酸又はその塩、(B)無機塩、およ
び(C)有機酸又はその塩の3種の成分のうち2種以上
の成分 また本発明は、蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生産
する微生物を、上記培地で培養する蛋白質又はペプチド
の製造方法を提供する。
本発明は、慣用の炭素源、窒素源、無機塩類、増殖因子
成分などを含む広い範囲の培地に適用できる。培地の種
類は、特に制限されず、培養する微生物に応じて、天然
培地、半合成培地、及び合成培地の中から選択できる。
培地は、寒天やゼラチンなどを含む固形培地であっても
よいが、好ましくは液体培地である。
培地は、前記(1)〜(3)の何れかの成分を含んでい
ればよい。
アミノ酸としては、例えば、L−グルタミン酸、L−ア
スパラギン酸、アルギニン、リジンなどが挙げられる。
またアミノ酸は、ナトリウム、カリウム、リチウム、ア
ンモニウムなどとの塩であってもよい。
無機塩の具体例としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫
酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸アンモニウム、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化アンモニ
ウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、
硝酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、
リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸
リチウム、リン酸二水素リチウム、リン酸アンモニウ
ム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニ
ウム、リン酸水素ナトリウムアンモニウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウムなど
が挙げられる。無機塩を単独で用いる場合には、1価の
無機陽イオンと1価の無機陰イオンととの無機塩が使用
される。無機塩を前記(A)アミノ酸又はその塩および
/または(C)有機酸又はその塩と組合せて用いる場合
には、上記無機塩のほか、2価の陽イオン又は2価の陰
イオンを有する無機塩も使用できる。
好ましい無機塩には、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム
が含まれる。
有機酸としては、カルボン酸が好ましい。カルボン酸と
しては、例えば、酢酸、コハク酸、マレイン酸、フマル
酸、グルタル酸、3,3−ジメチルグルタン酸、リンゴ
酸、アジピン酸、ズベリン酸、トランス−アコニット酸
などが挙げられる。有機酸の塩としては、ナトリウム、
カリウム、リチウム、アンモニウム塩などが挙げられ
る。
これらの成分の中で高電解質の化合物が好ましい。これ
らの成分は、前記(1)〜(3)の何れかの成分を含む
限り、同種又は異種の成分を単独または二種以上組合せ
て使用できる。なお、アミノ酸とその塩、無機塩、有機
酸とその塩の三種の成分のうち二種以上の成分を組合わ
せて培地に添加する場合には、宿主由来のプロテアーゼ
による遺伝子産物の分解が効果的に抑制される。
培地のイオン強度は、その培地中で宿主の微生物が増殖
可能であり、かつ、その培地中で生産した遺伝子産物
の、宿主由来のプロテアーゼによる分解が効果的に抑制
されるような値に設定される。このようなイオン強度
は、1以上、好ましくは1.25〜3、更に好ましくは1.5
〜2.5程度である。
培地のイオン強度は、前記電解質成分のイオン種の電荷
数に応じて、その濃度を調整することにより制御でき
る。
また培地のpHは、水酸化ナトリウムなどの塩基性化合物
や、有機酸などの酸性化合物を用いて微生物の培養に適
した値、例えばpH6〜8程度に調整することができる。
なお、分泌生産される蛋白質やペプチドを更に安定化さ
せるため、本発明の培地には、プロテアーゼ阻害剤、例
えば、フェニルメチルスルホニルフルオライドなどを添
加してもよい。プロテアーゼ阻害剤の添加量は、例え
ば、0.01〜1.0mM程度である。
本発明の培地は、蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生
産する微生物の培養に好適に適用でき、微生物が分泌す
る有用な蛋白質又はペプチドの分解を著しく抑制する。
従って、蛋白質又はペプチドを安定かつ効率よく得るこ
とができる。
本発明の蛋白質又はペプチドの製造方法において、培養
する微生物は、蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生産
する微生物であれば特に制限されない。有用な蛋白質や
ペプチドを効率よく得るため、遺伝子組換え技術によ
り、目的とする遺伝子産物をコードする異種のDNA断片
を慣用の方法によりベクターに組込んでDNA組換え体を
作製し、組換え体を慣用の方法により宿主に移入し形質
転換した微生物が好ましい。
遺伝子産物としては、蛋白質及びペプチドである限り、
動物由来、植物由来、微生物由来などの種類を問わず、
本発明の方法により生産可能である。遺伝子産物として
は、例えば、α−インターフェロン、β−インターフェ
ロン、γ−インターフェロン、インターロイキン−1、
インターロイキン−2、インターロイキン−3、プロス
タグランジンン、成長ホルモン、ウロキナーゼ、インシ
ュリン、カルシトニンなどのペプチドホルモン、β−ラ
クタマーゼ、アミラーゼ、イソメラーゼなどのタンパク
酵素などが挙げられる。また遺伝子産物には、比較的分
子量の小さな有用なペプチドと、キャリアーとなる蛋白
質とが切断可能に連結された融合蛋白質も含まれる。こ
のような融合蛋白質には、血管拡張作用を有するバソア
クティプ・インテスティナル・ポリペプチド(以下、VI
Pと称する)を含むもの、例えば、スタフィロコッカス
・アウレウス(Staphylococcus aureus)由来のプロテ
インA(特開昭53−245677号公報参照)の構造遺伝子中
の404番目のアミノ酸(シグナルペプチドを除いて)で
あるAspの後、プロテアーゼによる融合蛋白質からのペ
プチド部分の分離のマーカーとなる配列を介して、VIP
−グリシン、すなわち、下記アミノ酸配列 H−Eis−Ser−Asp−Ala−Val−Phe−Thr−Asp−Asn−T
yr−Thr−Arg−Leu−MArg−Lys−Gln−Met−Ala−Val−
Lys−Lys−Tyr−Leu−Asn−Ser−Ile−Leu−Asn−Gly−
OH を結合した融合蛋白質(以下、プロテインA−VIP−Gly
と称する)なども含まれる。
宿主としては、例えば、大腸菌、枯草菌などの細菌や放
射菌、酵母、カビなどが利用できる。これらの宿主の中
で、特に安全性が高く、菌体外に蛋白質を多量に分泌す
るパチルス(Bacillus)属に属する微生物、特にバチル
ス・サブチリス(Bacillus subtilis)が好ましい。さ
らに、パチルス・サブチリスの中で、菌体外へのプロテ
アーゼ生産性を突然変異などの手法により低下させた菌
株が好ましい。プロテアーゼ生産性の低い宿主を前記培
地と組合せて培養する場合には、遺伝子産物の分解を著
しく抑制でき、蛋白質やペプチドを効率よく多量に得る
ことができる。
上記プロテアーゼ産物性の低い枯草菌としては、例え
ば、(1)本出願人が特開昭64−37284号公報において
提案したように、パチルス・サブチリス104HL株に、pap
遺伝子を導入したバチルス・サブチリスDY−16株(微工
研菌寄第9488号);(2)アルカリプロテアーゼ及び中
性プロテアーゼの生産能を欠き、かつプロテアーゼ活性
が野生株の3%以下である枯草菌に、spo OA△677変異
遺伝子を導入した菌株などが挙げられる。特に好ましい
菌株は上記(2)に属する菌株であり、このような菌株
には、例えば、特願平1−281440号において、本発明者
らが提案したように、バチルス・サブチリス104HL株にs
po OA△677変異遺伝子を導入した菌株、特にバチルス
・サブチリスSPO11株(微工研菌寄第10987号)、バチル
ス・サブチリスDY−16株にspo OA△677変異遺伝子を導
入した菌株、特にバチルス・サブチリスSPL14株(微工
研菌寄第10988号)などが含まれる。プロテアーゼ生産
性の低い菌株の中で、バチルス・サブチリスSPL14株が
特に好ましい。
なお、pap培地を有する菌株としては、例えば、バチル
ス・サブチリスT2N26株[アグリカルチュラル・アンド
・バイオロジカルケミストリー(Agric.Biol.Chem.),4
3;2343−2249,1979]などが挙げられる。
spo OA△677遺伝子を有する菌株としては、例えば、バ
チルス・サブチリスATCC35138株、ATCC39090株、ATCC39
091株、ATCC39092株、ATCC39094株、ATCC39096株などが
挙げられる。これらの株は、アメリカン・タイプ・カル
チャー・コレクション(American Type Culture Cor
rection)から入手できる。
DNA組換え体により形質転換された宿主微生物の培養
は、微生物の培養に採用される通常の条件、例えば、温
度15〜45℃、好ましくは25〜40℃、培養時間10〜60時間
程度の条件で行なうことができる。培地が液体培地であ
る場合には、通常、振盪培養又は通気攪拌培養法が採用
できる。培地のイオン強度は、培養開始時に1以上であ
ればよく、培養中に、アミノ酸とその塩、無機塩、有機
酸とその塩などを添加してもよい。
培養により分泌生産された蛋白質及びペプチドは、慣用
の方法で培地から分離、採取される。
なお、本発明の好ましい態様は次の通りである。
(a)少なくとも、(1)アミノ酸又はそのアルカリ金
属塩もしくはアンモニウム塩、(2)1価の無機陽イオ
ンと1価の無機陰イオンとからなる無機塩、又は(3a)
(A)アミノ酸又はその塩および(B)無機塩、の何れ
かの成分を含み、イオン強度が1.25〜3、好ましくは1.
5〜2.5である培地。
(b)アミノ酸とその塩、および無機塩の少なくとも1
つの成分と、有機酸とその塩とを含み、イオン強度が1.
25〜3、好ましくは1.5〜2.5である培地。
(c)アミノ酸とその塩が、L−グルタミン酸、L−ア
スパラギン酸と、これらのナトリウム、カリウム、アン
モニウム塩である培地。
(d)無機塩が、硫酸、塩酸、硝酸と、これらのナトリ
ウム、カリウム、アンモニウム塩である培地。
(e)有機酸とその塩が、コハク酸、マレイン酸、フマ
ル酸、グルタル酸、3,3−ジメチルグルタン酸、リンゴ
酸、アジピン酸、ズベリン酸、トランス−アコニット酸
と、これらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩で
ある培地。
(f)蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生産する微生
物が、異種のDNAとベクターDNAとのDNA組換え体で形質
転換された、バチルス属、好ましくはバチルス・サブチ
リス属、さらに好ましくは菌体外へのプロテアーゼ生産
性の低いバチルス・サブチリスである蛋白質又はペプチ
ドの製造方法。
(g)プロテアーゼ生産性の低いバチルス・サブチリス
が、アルカリプロテアーゼ及び中性プロテアーゼの生産
能を欠き、かつプロテアーゼ活性が野生株の3%以下で
ある枯草菌に、spo OA△677変異遺伝子を導入した菌
株、好ましくはバチルス・サブチリスSPO11株(微工研
菌寄第10987号)、さらに好ましくはバチルス・サブチ
リスSPL14株(微工研菌寄第10988号)である蛋白質又は
ペプチドの製造方法。
[発明の効果] 本発明の培地、およびそれによる蛋白質又はペプチドの
製造方法によれば、宿主由来のプロテアーゼによる、菌
体外に分必生産された蛋白質及びペプチドの分解を著し
く抑制できるので、蛋白質及びペプチドを安定かつ多量
に効率よく得ることができる。
[実施例] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明す
る。
低プロテアーゼ生産性宿主バチルス・サブチリスSPL14
株の作製 spo OA△677遺伝子及びリンコマイシン耐性遺伝子(以
下、Linと表す)を有する枯草菌であるバチルス・サ
ブチリスATCC39096株を、表1に示すLB培地を用いて、
温度37℃で対数増殖期まで振盪培養した。
培養液50ml中に含まれる菌体を集め、斉藤・三浦の方法
(H.Saito,K.Miura,Biochim.Biophys.Acta,72,619(196
3))により染色体DNAを抽出精製した。
得られた染色体DNAを用いて、コンピテントセルトラン
スフォーメーション法により、バチルス・サブチリスDY
−16株を形質転換した。次に、得られた形質転換株を、
50μg/mlのリンコマイシンを含むLB寒天板培地を用いて
培養し、Linの導入された株を選択した。
その結果、約800株のリンコマイシン耐性形質転換株を
得た。次いで、以下のようにして、これらのリンコマイ
シン耐性形質転換株から胞子形成能欠損株を51株分離し
た。
ヒスチジンを50mg/含む最小寒天培地に形質転換した
枯草菌をまき、温度37℃で48時間培養した。以下の指標
1〜3に合致する菌株を、胞子形成能欠損株として選別
した。
1.胞子形成培地に形質転換株を植菌しそのコロニーがメ
ラニン色素生産能を失ったこと、 2.温度80℃で10分間の熱処理に耐性を示さないこと、及
び 3.顕微鏡検査により胞子形成を認めないこと。得られた
胞子形成能欠損株173株の中でプロテアーゼ活性が最も
低い株を、下記のようにして選別し、プロテアーゼ活性
を測定した。
1重量%のカゼインを含むLB寒天平板培地に、胞子形成
能欠損形質転換株と、親株であるバチルス・サブチリス
DY−16株とを別々に植菌し、温度37℃で24時間培養し
た。菌体が分泌するプロテアーゼによりカゼインが分解
されるので、カゼインの分解により形成される菌体の回
りのハローの大きさを指標として、バチルス・サブチリ
スDY−16株よりもブロテアーゼ生産能が低下した菌株を
40株分離した。
バチルス・サブチリスDY−16株と、プロテアーゼ活性が
低下した形質転換株40株とを、それぞれ、LB培地10mlを
用いて一晩培養した後、培養液1mlを遠心分離し、その
上清に存在するプロテアーゼの活性を測定した。すなわ
ち、0.2%FITC−カゼイン(シグマ社製)、100mMトリス
−塩酸緩衝液(pH7.5)、2mM塩化カルシウムを含む基質
溶液100μに、プロテアーゼを含む上清試験溶液100μ
を添加し、37℃で3時間反応させた。反応終了後、反
応液に200μの7.5%トリクロロ酢酸を添加して反応を
停止し、遠心分離により上清を得、500mMトリス−塩酸
緩衝液(pH8.5)で中和した後、励起波長490nm、発光波
長525nmの螢光を測定した。
なお、カゼインから、1分間に1μMのTyr相当のトリ
クロロ酢酸可溶性ペプチドを遊離する酵素活性を1Uと
し、プロナーゼ(科研製薬製)を基準として換算した。
その結果、プロテアーゼ活性が親株バチルス・サブチリ
スDY−16株に比べて、極端に低下した4株を得、これら
の菌株を、それぞれ、バチルス・サブチリスSPL9株、SP
L11株、SPL14株、SPL39株とした。
そして、バチルス・サブチリスDY−16株及びこれらのプ
ロテアーゼ活性が低下した形質転換株を10mlのLB培地で
18時間培養した後、50mlのMedium A培地(Journal o
f Bacteriology,165,796−804,1986)に菌体を移し、
培養24時間及び48時間培養した後、培養上清中のプロテ
アーゼの活性を上記と同様にして測定した。
その結果を表2に示す。
(表中、OD600は、波長600nmにおける培養液上清の吸光
度を示す。また割合は、親株バチルス・サブチリスDY−
16株のプロテアーゼ活性を100としたときの相対値を示
す。) 表2より、形質転換株4株は、親株よりもプロテアーゼ
活性が1/20以下と低いことが確認された。特にSPL14株
は、プロテアーゼ活性が、親株であるDY−16株の3%程
度に抑制されていることが確認された。このSPL14株
は、前記の遺伝子マーカーを有している。またこれらの
菌体株は、いずれも、ヒスチジンとロイシンに対する要
求性を有しており、遺伝子組換え実験において宿主に要
求される複数の栄養要求性を確認した。
なお、形質転換に供したバチルス・サブチリスDY−16株
のプロテアーゼ活性を、プロテアーゼの野生株であるバ
チルス・サブチリス207−25株と比較したところ、表3
に示す結果が得られた。なお、プロテアーゼ活性は、前
記と同様にして、菌株を24時間培養し、測定した。
表3より、バチルス・サブチリスDY−16株は野生株207
−25株の約1%しかプロテアーゼを生産しない。
上記のようにして得られたバチルス・サブチリスSPL14
株を下記のプラスミドpMD235の宿主として用いた。
プロテインA−VIP−Gly融合蛋白質の発現用プラスミド
pMD235の作成 (1)プロテインA遺伝子の取得 プロテインA遺伝子を含むプラスミドで形質転換された
大腸菌Escherichia coli MV1304/pDCP2411(特開昭68
−245677号公報参照)より、アルカリ法[Nucl.Acids
Res.7,1513〜1523,(1979)]を用いてプラスミドpDCP2
411を調製した。得られたプラスミドDNA(10μg)を制
限酵素EcoRIとBamHI(各々20units)で消化し、プロテ
インA遺伝子を含む2.2kbのDNA断片を得た。
(2)プラスミドpMD200の作製 プロテインA培地を含む2.2kbのEcoRI/BamHI断片(1μ
g)と、プラスミドpUB110のEcoRI/BamHI長鎖断片(0.5
μg)とを、T4DNAリガーゼ(100units)を用いて連結
し、枯草菌Bacillus subtilis PSL1株(オハイオ州立
大学のバチルス・ジェネティックストックセンターより
入手可能)をプロトプラスト法で形質転換した[Mol.Ge
n.Genet.,168,111〜115,(1979)]。
得られたカナマイシン耐性(Km)株をLB培地(1.0%
トリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、pH7.2)10m
l(カナマイシンKmを10μg/ml含有)で37℃、16時間培
養した。その培養上清液について、ELISA[Proc.Natl.A
cad.Sci.USA,80,697〜701,(1983)]によってプロテイ
ンAの生産性を検討し、その結果、プラスミドpMD200を
含むB.subtilis PSL1株を得た。
(3)VIP−Gly遺伝子の化学合成 29アミノ酸残基からなるVIP−GlyをコードするDNA配列
と、そのN末端に制限酵素PstIの切断部位とカリクレイ
ンの認識配列であるPhe−Argを含むスペーサー領域のDN
A配列、さらにC末端側に終始コドンTAA TAGと制限酵
素BamHIの切断部位を付加した122bpのVIP−Gly遺伝子を
DBA合成装置(アプライド・バイオシステムズ社 モデ
ル381A)で化学合成した。
(4)プロテインA−VIP−Gly融合蛋白質発現プラスミ
ドpMD235の作製 化学合成したVIP−Gly遺伝子(5μg)の5′末端をリ
ン酸化し、制限酵素PstI、BamHIで消化したプラスミドp
MD200の長鎖断片(1μg)を、T4DNAリガーゼ(200uni
ts)を用いて連結し、枯草菌B.subtilis SPL14株をプ
ロトプラスト法で形質転換した。得られたKm株よりプ
ラスミドpMD235を得た。pMD235中に挿入された部分につ
いて、M13ダイデオキシ法でDNAシーケンシングを行った
ときろ、目的通りにVIP−Gly遺伝子が挿入されていた。
実施例1〜10及び比較例 そして、バチルス・サブチリスDY−16株、SPL14株(pMD
235含有)を、培地A(トリプトン33g、酵母エキス20
g、塩化ナトリウム7.4g、カザミノ酸20g、グルコース10
g、リン酸水素2ナトリウム8g、リン酸2水素カリウム4
g、塩化マンガン0.06mMを1中に含有する)、もしく
は上記培地Aに表4に示す各種の添加物を含む培地(培
地の最終的なpHはNaOHにより7.3に調整した。)100mlに
植菌し、37℃、120rpmの条件でヒダ付き三角フラスコ中
にて行った。培養12時間及び24時間において培養液の一
部をサンプリングし、下記の酵素免疫測定法によりVIP
−Gly量を測定した。その結果を培地1あたりのmgで
表4に示す。なお、培地のイオン強度を下記のようにし
て測定した。
VIP−Glyの酵素免疫測定法による定量 VIP−Glyの酵素免疫測定法による定量は、「酵素免疫測
定法」(石川栄治他編集、医学書院)記載の方法により
行った。
先ず、VIPを用いてウサギを免疫し、抗VIP血清を得た。
この抗VIP血清より「酵素免疫測定法」の第83−92頁記
載のマレイミド−ヒンジ法により抗VIP−IgG、抗VIP−
F(ab′)、抗VIP−ペルオキシダーゼ標識−Fab′を
調製した。
酵素免疫測定法によるVIP−Glyの測定は、以下の手順で
行った。
ELISAプレート(96穴)に抗VIP−F(ab′)を吸着さ
せ、1%牛血清アルブミンでブロッキングした。このプ
レートに被試験液を添加し、VIP−Glyを固相に吸着した
抗VIP−F(ab′)に結合させた後、洗浄し、さらに
抗VIP−ペルオキシダーゼ標識−Fab2を添加し、固相に
結合したVIP−Glyをサンドイッチした。遊離の標識抗体
を除去した後、10mMオルト−フェニレンジアミン(OP
D)、0.025%過酸化水素、50mM酢酸ナトリウム緩衝液
(pH5.0)を含む反応液を添加し、ペルオキシダーゼの
反応により生成する色素を波長490nmの吸収で測定し
た。
標準物質として、アプライド・バイオシステムズ(AB
I)社製のペプチド合成装置により固相合成し、逆相高
速液体クロマトグラフィーにより精製し、アミノ酸組成
を確認したVIP−Glyを用いた。
培地のイオン強度 培地のイオン強度は、電気伝導度計を用いて培地の電気
伝導度を測定し、塩化ナトリウム換算のイオン強度とし
て表4に示した。
表4より、培地のイオン強度が1以上である場合には、
遺伝子産物であるVIP−Glyが多量に蓄積される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/02 C12R 1:125)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生産す
    る微生物を培養する培地であって、イオン強度が1以上
    であり、かつ下記(1)〜(3)の何れかの成分を含む
    ことを特徴とする培地。 (1)アミノ酸又はアルカリ金属塩もしくはアンモニウ
    ム塩 (2)1価の無機陽イオンと1価の無機陰イオンとから
    なる無機塩 (3)(A)アミノ酸又はその塩、(B)無機塩、およ
    び(C)有機酸又はその塩のの3種の成分のうち2種以
    上の成分
  2. 【請求項2】蛋白質又はペプチドを菌体外に分泌生産す
    る微生物を、請求項1記載の培地を培養することを特徴
    とする蛋白質又はペプチドの製造方法。
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