JPH068254Y2 - パテイキユレ−ト除去装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はパティキュレートの除去装置に係り、特にシリ
ンダ内における燃焼によって生じたパティキュレートを
多孔質のフィルタによって捕捉して排気ガスから除去す
るようにした装置に関する。

〔考案の概要〕

本考案は、排気ガスの流れを制御する回転板をフィルタ
の前方に配設し、フィルタの中心部にパティキュレート
が集中しないように回転板で排気ガスの流れを制御する
とともに、このフィルタで捕捉されたパティキュレート
を再燃焼させる際に回転板を回転させてその姿勢を変化
させ、フィルタの中心部における排気ガスの流量を増大
させることにより、再燃焼時のフィルタの中心部の温度
を下げてその破壊を防止するようにしたものであある。

〔従来の技術〕

一般に内燃機関は、密閉されたシリンダ内で燃料を燃焼
させることによって出力を取出すようにしている。そし
てこのような燃料の燃焼の際に粒子状の物質、すなわち
パティキュレートを発生することになる。このようなパ
ティキュレートは特にディーゼルエンジンにおいて多く
発生される。そこでこのようなパティキュレートを排気
ガスから除去するために、排気管中にパティキュレート
フィルタを設け、このフィルタによってパティキュレー
トを捕捉するようにしている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記パティキュレートフィルタは多孔質のセラミックか
ら構成されており、その孔の部分でパティキュレートを
捕捉して除去するようになっている。従ってこのような
フィルタによれば、その中に徐々にパティキュレートが
堆積することになり、排気ガスの流動に対する抵抗が大
きくなり、エンジンの背圧が高くなる。そこでフィルタ
にたまったパティキュレートを間欠的に燃焼させてい
る。ところがパティキュレートはフィルタの中心部にお
いて集中的に捕捉され易く、このためにパティキュレー
トの再燃焼時にフィルタの中心部の温度が過度に上昇し
てフィルタが破壊される可能性がある。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたものであっ
て、フィルタによって捕捉されたパティキュレートを再
燃焼させる際にその中心部の温度が上昇し、これによっ
てフィルタが破壊されるのを防止するようにしたパティ
キュレート除去装置を提供することを目的とするもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、シリンダ内における燃焼によって生じたパテ
ィキュレートを多孔質のフィルタによって捕捉して排気
ガス中から除去するようにした装置において、 排気ガスの流れを制御する回転板を前記フィルタの軸線
とほぼ直交する軸を中心として回転可能に前記フィルタ
の前方に該フィルタの前端部から離間した状態で配設
し、 前記回転板の回転角度を変化させる駆動手段と、 通常のパティキュレートの捕捉時には前記回転板を前記
フィルタの軸線とほぼ直角な姿勢とし、捕捉されたパテ
ィキュレートを再燃焼させる際には前記回転板を前記フ
ィルタの軸線とほぼ平行な向きとなるように前記駆動手
段を制御するコントローラとを設けるようにしたことを
特徴とするパティキュレート除去装置に関するものであ
る。

〔作用〕

排気ガス中のパティキュレートをこのパティキュレート
フィルタによって除去する通常のパティキュレートの捕
捉時には、コントローラと駆動手段とによって回転板を
フィルタの軸線とほぼ直角な姿勢とする。従ってフィル
タの前方に配された回転板がフィルタの中心部にパティ
キュレートが集中しないように排気ガスの流れを制御す
ることになる。

またこのパティキュレートフィルタで捕捉されたパティ
キュレートを再燃焼させる際には、駆動手段とコントロ
ーラとによって回転板をフィルタの軸線方向とほぼ平行
な向きになるようにする。従ってフィルタの中心部にお
ける排気ガスの流量が増大し、再燃焼時におけるフィル
タの中心部の温度を低くし、フィルタの温度分布をより
均一化することによって、フィルタのとくに中心部が局
部的に熱によって破壊されることを防止する。

〔実施例〕

以下本考案を図示の一実施例につき説明する。第３図は
本考案の一実施例に係るパティキュレート除去装置を備
えるディーゼルエンジン１０を示すものであって、この
ディーゼルエンジン１０のシリンダブロックの一側部に
は排気ガスを取出すための排気マニホールド１１が接続
されている。この排気マニホールド１１はその先端部が
排気管１２と接続されるようになっている。そして排気
管１２には直径が大きなケーシング１３が一体に設けら
れており、このケーシング１３内にパティキュレートフ
ィルタ１４が設けられている。パティキュレートフィル
タ１４は排気ガス中のパティキュレートを除去するため
のフィルタを構成しており、これによってパティキュレ
ートを含まない排気ガスを大気中に放出するようになっ
ている。

パティキュレートフィルタは第２図に示すように、多数
の貫通孔１６を備えるとともに、入口側が閉塞された貫
通孔１６と出口側が閉塞された貫通孔１６とが交互に形
成されている。従って入口側が開かれた貫通孔内に入っ
た排気ガスは、このフィルタ１４の多孔質の壁面１７を
通って出口側が開放された貫通孔１６に至り、そしてこ
の貫通孔１６から排出されることになり、壁面１７を通
過する際に排気ガス中のパティキュレートが除去される
ようになっている。さらにこのフィルタ１４の入口側に
は円板状をなす回転板１８が設けられており、支軸１９
を中心として回動可能に支持されている。そしてこの支
軸１９にロータリプランジャ２０が連結されている。そ
してプランジャ２０はコントローラ２１と接続されると
ともに、このコントローラ２１はフィルタ１４の入口側
の圧力センサ２２および出口側の温度センサ２３とそれ
ぞれ接続されている。

以上のような構成において、ディーゼルエンジン１０内
において軽油が燃焼されると、これによって生じた排気
ガスは排気マニホールド１１によって取出されるととも
に、排気管１２を通して大気中に放出されるようになっ
ている。そして排気管１２を通る排気ガスはパティキュ
レートフィルタ１４によってその中に含まれるパティキ
ュレートが除去されるようになっている。すなわち第２
図に示すように、排気ガスは入口側が開されたフィルタ
１４の貫通孔１６内に入り、この貫通孔１６の多孔質の
壁面１７を通過して隣接する貫通孔１６の後側の開口か
ら排出されるようになっている。そしてこのときに壁面
１７によってパティキュレートが捕捉されることにな
る。従ってこのフィルタ１４を通過した排気ガスからパ
ティキュレートが除去されることになる。

このフィルタ１４の前方側には上述の如く円板状の回転
板１８が設けられている。そして圧力センサ２２および
温度センサ２３によってそれぞれ検出されるフィルタ１
４の入口側の背圧と排気ガスの温度とに応じて、コント
ローラ２１によってロータリプランジャ２０を介して回
転板１８を回動させるようにしている。

圧力センサ２２によって検出される圧力が低くかつフィ
ルタ１４の出口側において温度センサ２３で検出される
温度が低い場合には、このフィルタ１４によって通常の
パティキュレートの捕捉が行なわれる。そしてこの場合
にはロータリプランジャ２０によって回転板１８は第２
図に示すように、フィルタ１４の軸線と直角な姿勢で保
持される。従ってこの回転板１８によって、フィルタ１
４の中心部における排気ガスの流量を少なくし、これに
よってフィルタ１４の中心部に局部的にパティキュレー
トが集中して捕捉されるのを防止するようにしている。

このフィルタ１４によってパティキュレートが捕捉され
ると、このフィルタ１４の抵抗が大きくなるために圧力
センサ２２によって検出されるエンジンの背圧が上昇す
ることになり、これに応じてフィルタ１４で捕捉された
パティキュレートが再燃焼される。すると温度センサ２
３が再燃焼に伴なう温度上昇を検出することになり、同
時にコントローラ２１は第１図に示すように、ロータリ
プランジャ２０によって回転板１８を９０°回転させ、
フィルタ１４の軸線と平行な向きになるように変化させ
る。従ってこの回転板１８の回転によってフィルタ１４
の中心部の排気ガスの流量が増大することになり、これ
によってフィルタ１４の中心部の温度が下がるととも
に、フィルタ１４の半径方向における温度分布が均一化
させることになる。従ってフィルタ１４の一部が局部的
に高温になって破壊されることが確実に防止されるよう
になる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案は、排気ガスの流れを制御する回転
板をフィルタの軸線とほぼ直交する軸を中心として回転
可能にフィルタの前方にこのフィルタの前端部から離間
した状態で配設し、通常のパティキュレートの捕捉時に
は、駆動手段とコントローラとによって回転板をフィル
タの軸線とほぼ直角な姿勢とするとともに、捕捉された
パティキュレートを再燃焼させる際には、駆動手段とコ
ントローラとによって、回転板をフィルタの軸線とほぼ
平行な向きになるようにしたものである。

従ってとくにパティキュレートフィルタによって排気ガ
ス中のパティキュレートを捕捉する際に、フィルタの軸
線とほぼ直角な姿勢の回転板によってフィルタの中心部
にパティキュレートが集中しないように排気ガスの流れ
を制御することによって、フィルタの中心部に集中して
パティキュレートが捕捉堆積されることが防止される。
すなわちパティキュレートフィルタの横断面方向におい
て、パティキュレートがその全面にまんべんなく捕捉さ
れるようになり、これによってパティキュレートフィル
タの利用効率が向上することになる。

またパティキュレートフィルタによって捕捉されたパテ
ィキュレートを再燃焼させる際には、回転板がフィルタ
の軸線とほぼ平行な向きになるようにしており、フィル
タの中心部における排気ガスの流量を増大させることが
可能になる。従ってパティキュレートを再燃焼させる際
にフィルタの中心部の温度が局部的に過度に上昇するこ
とが防止され、これによってフィルタのとくに中心部の
局部的な溶損による破壊が回避されることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るパティキュレートの除
去装置の回転板が回転された状態の縦断面図、第２図は
回転板が普通の位置にある場合の同装置の縦断面図、第
３図はこのパティキュレート除去装置を備えるエンジン
の平面図である。 なお図面に用いた符号において、 １０…ディーゼルエンジン １２…排気管 １３…ケーシング １４…パティキュレートフィルタ １６…貫通孔 １７…多孔質の壁面 １８…回転板 １９…支軸 ２０…ロータリプランジャ ２１…コントローラ ２２…圧力センサ ２３…温度センサ である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダ内における燃焼によって生じたパ
   ティキュレートを多孔質のフィルタによって捕捉して排
   気ガス中から除去するようにした装置において、 排気ガスの流れを制御する回転板を前記フィルタの軸線
   とほぼ直交する軸を中心として回転可能に前記フィルタ
   の前方に該フィルタの前端部から離間した状態で配設
   し、 前記回転板の回転角度を変化させる駆動手段と、 通常のパティキュレートの捕捉時には前記回転板を前記
   フィルタの軸線とほぼ直角な姿勢とし、捕捉されたパテ
   ィキュレートを再燃焼させる際には前記回転板を前記フ
   ィルタの軸線とほぼ平行な向きとなるように前記駆動手
   段を制御するコントローラとを設けるようにしたことを
   特徴とするパティキュレート除去装置。