JPH0682464A - 回転検出センサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】駆動軸アッシーに焼成マグネット板を配設しつ
つ、斯かるマグネット板の不測の破損を確実に防ぐこと
のできる回転検出センサを提供する。 【構成】駆動軸アッシー１３のロータ板５の周縁部に、
リング状に焼成してなる希土類マグネット板６と、強磁
性材料で形勢した補強用ヨーク板１４とを密接してイン
サート成形したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は回転検出センサに係り、
特に自動車のトランスミッション等に装着され、このト
ランスミッションでの回転を電気信号に変換して指示計
器に出力する回転検出センサに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、自動車に搭載される車速セン
サとして、磁気感応素子に近接配置されたマグネットに
自動車のトランスミッションでの回転を伝達し、この回
転による磁界の変化を上記磁気感応素子で検知して、磁
気感応素子で発生する電気信号を各種指示計器に出力す
る回転検出センサが多く用いられている。

【０００３】図４乃至図６はこのような従来の回転検出
センサを示したもので、アルミダイカスト等からなる２
つのケース体１ａ，１ｂを接合してなるハウジング１の
内部には、一対の軸受メタル２ａ．２ｂが軸方向に離れ
て配置されており、この軸受メタル２ａ，２ｂには、駆
動軸３が回転自在に支持されている。この駆動軸３の両
端部には、トランスミッション等の回転駆動源に接続さ
れるジョイントキー（図示せず）が嵌挿される穴部４，
４が形成されており、上記駆動軸３の長手方向中間部外
周には、ロータ板５が配設されている。また、このロー
タ板５の周縁部には、ロータ板５と同じ厚さ寸法の磁力
特性に優れたリング状の希土類マグネット板６が配設さ
れている。

【０００４】また、上記マグネット板６は、例えば面着
磁によって、その周方向に多極着磁されており、このマ
グネット板６の一方の端面部の近傍には、所定の磁気感
応素子７を有する配線板８が配設されている。また、上
記駆動軸３の一端側径方向対称位置には、軸方向に延び
るスリット９が形成されており、このスリット９には、
図６に示したように、環状部１０ａとその内側中央の円
板部１０ｂとを径方向の連結片１０ｃで連結してなるス
トッパ板１０が、その連結片１０ｃで係合するようにな
っている。

【０００５】また、上記スリット９形成側の穴部４の内
部であって、上記ストッパ板１０の奥部には、コイルス
プリング１１が配設されており、さらに、上記ロータ板
５の一方の端面と一方の軸受メタル２ａとの間、ロータ
板５の他方の端面とストッパ板１０との間、及びストッ
パ板１０と他方の軸受メタル２ｂとの間には、それぞれ
ワッシャ１２，１２…が介設されている。

【０００６】本実施例においては、トランスミッション
等の図示しない回転駆動源により駆動軸３が回転駆動さ
れ、駆動軸３とともにロータ板５の周縁部のマグネット
板６が回転され、このマグネット板６の回転により磁気
感応素子７で発生する電気信号を配線板８を介して所定
の指示計器に出力するようになっている。

【０００７】このとき、上記コイルスプリング１１の付
勢力により、駆動軸３全体が図４中上方に押圧されると
共に、ストッパ板１０が下方に押圧されるようになり、
これにより、ロータ板５がワッシャ１２を介して一方の
軸受メタル２ａの端面に押圧されると共に、ストッパ板
１０がワッシャ１２を介して他方の軸受メタル２ｂの端
面に押圧されるようになっている。これにより、駆動軸
３及びロータ板５に一定の制動力が付与され、車両の停
止または低速走行時における振動等により発生する駆動
軸３等の振れを防ぐようになっている。

【０００８】このような回転検出センサにおいて、図５
に示したような駆動軸アッシー１３を形成するには、所
定の金型内にリング状に焼成してなる希土類マグネット
板６を配置し、駆動軸３及びロータ板５部分に所定の樹
脂材料を充填、固化させるものであるが、上記マグネッ
ト板６をロータ板５部分にインサート成形する際の樹脂
材料の注入圧力で焼成マグネット板６が割れないように
するために、マグネット板６を大きく形成する必要があ
り、これによりマグネット板６の径方向寸法及び厚さ寸
法が大きくなっている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の回
転検出センサにおいては、リング状に焼成してなる希土
類マグネット板６を備えた駆動軸アッシー１３をハウジ
ング１内に組み込んでいるので、この組み上がった製品
としての回転センサを何らかの原因で落下した場合に
は、落下による衝撃がハウジング１、軸受メタル２ａ，
２ｂを介して駆動軸アッシー１３に伝達され、さらに駆
動軸アッシー１３のマグネット板６に伝達されるように
なり、このマグネット板６に伝達される衝撃エネルギが
マグネット板６の割れ強度エネルギ以上であるときは、
マグネット板６に割れが発生するおそれがあり、一方、
上記希土類マグネット板６は、磁力特性が優れる反面、
極めて高価でその製造方法も複雑であるので、製造コス
トを抑える等の観点から、一度製品内に組み込んだ駆動
軸アッシー１３のマグネット板６を極力破損させないよ
うにしたいという要望が強かった。

【００１０】本発明は上記した点に鑑みてなされたもの
で、駆動軸アッシーにマグネット板を配設しつつ、斯か
るマグネット板の不測の破損を確実に防ぐことのできる
回転検出センサを提供することを目的とするものであ
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る回転検出センサは、周縁部にマグネット板
を備えるロータ板を駆動軸に配してなる駆動軸アッシー
をハウジング内に回転自在に配設し、上記マグネット板
の端面部に近接して磁気感応素子を配設してなる回転検
出センサにおいて、上記マグネット板の上記磁気感応素
子に面しない端面部に、マグネット板と密接して補強用
ヨーク板を配設したことをその特徴とするものである。

【００１２】

【作用】本発明によれば、駆動軸アッシーのロータ板の
周縁部に配設されたマグネット板の磁気感応素子に面し
ない端面部に、マグネット板と密接して補強用ヨーク板
を配設しているので、斯かるマグネット板と補強用ヨー
ク板とを駆動軸アッシー中にインサート成形する際の樹
脂注入圧力による応力を補強用ヨーク板が受けること
で、マグネット板に作用する上記注入圧力による応力を
下げることができるものである。また、上記マグネット
板と補強用ヨーク板とを備える駆動軸アッシーが組み込
まれた製品としての回転検出センサを落下した場合、落
下による衝撃エネルギが補強用ヨーク板に吸収されるこ
とで、マグネット板に伝達される衝撃エネルギが極めて
小さくなるものである。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１乃至図３を参照
して説明する。図１乃至図３は本発明に係る回転検出セ
ンサに組み込まれる駆動軸アッシー１３の一実施例を示
したもので、図示しないハウジング内に一対の軸受メタ
ルを介して回転自在に配設される駆動軸アッシー１３
は、駆動軸３の長手方向中間部外周にロータ板５が配設
されており、また、上記駆動軸３の両端部には、図示し
ないジョイントキーが嵌挿される穴部４，４が形成され
ている。また、上記駆動軸３の一端側径方向対称位置に
は、軸方向に延びるスリット９が形成されており、この
スリット９形成側の穴部４の内部であって、上記スリッ
ト９に係合される図示しないストッパ板の奥部には、図
示しないコイルスプリングが配設されるようになってい
る。そして、このコイルスプリングの付勢力により、駆
動軸アッシー１３のロータ板５が図示しない一方の軸受
メタルに押圧されると共に、ストッパ板が図示しない他
方の軸受メタルに押圧されるようになっており、これに
より、駆動軸アッシー１３に一定の制動力が付与される
ようになっている。

【００１４】また、上記ロータ板５の周縁部には、ロー
タ板５より薄いリング状に焼成してなる希土類マグネッ
ト板６が、図示しない磁気感応素子に面するように配設
されており、このマグネット板６の磁気感応素子側端面
部がロータ板５の一方の端面部と面一になるようになっ
ている。ここで、上記希土類マグネット板６は、磁力特
性が極めて優れたものであるが、その反面、極めて高価
で、その製造方法が複雑なものである。

【００１５】また、本実施例においては、上記マグネッ
ト板６の磁気感応素子に面しない他方の端面部には、マ
グネット板６の径方向寸法より大きな寸法を有するリン
グ状の補強用ヨーク板１４がマグネット板６に密接して
配設されており、上記マグネット板６と補強用ヨーク板
１４とを積層した厚さ寸法が上記ロータ板５の厚さ寸法
より小さくなるようになっている。この補強用ヨーク板
１４は、例えば、鉄板等の強磁性材料で形成されてい
る。

【００１６】斯かる駆動軸アッシー１３を形成するに
は、リング状に焼成してなる薄板の希土類マグネット板
６と補強用ヨーク板１４とを積層して所定の金型内に配
置し、駆動軸３及びロータ板５となる部位に所定の樹脂
材料を充填し、固化させるものである。そして、この駆
動軸アッシー１３を図示しない着磁装置のヨーク中に配
設して、上記マグネット板６を面着磁し、図２に示した
ように、マグネット板６をその周方向に多極着磁するも
のである。

【００１７】このとき、本実施例においては、マグネッ
ト板６の端面部にマグネット板６と密接して補強用ヨー
ク板１４が配設されているので、斯かるマグネット板６
及び補強用ヨーク板１４をロータ板５の周縁部にインサ
ート成形する際に、補強用ヨーク板１４が防護壁として
機能するようになり、金型内に充填される樹脂材料の注
入圧力によってマグネット板６に割れが生ずることを防
ぐことができ、このようにマグネット板６が割れにくく
なることで、従来のものよりマグネット板６を、その径
方向及び厚さ方向に小さくすることができる。

【００１８】また、マグネット板６と密接して補強用ヨ
ーク板１４が配設されることで、これらがインサート成
形された駆動軸アッシー１３が組み込まれた製品として
の回転検出センサを何らかの原因で落下した場合でも、
駆動軸アッシー１３に伝達される衝撃エネルギがマグネ
ット板６と補強用ヨーク板１４とに分配されて伝達され
るようになり、また、マグネット板６に伝達された衝撃
エネルギが補強用ヨーク板１４に伝達、吸収されるよう
になり、これにより、マグネット板６に最終的に伝達さ
れる衝撃エネルギが極めて小さくなり、斯かるエネルギ
がマグネット板６の割れ強度エネルギより十分に小さく
なることで、マグネット板６に割れが発生するおそれが
なくなり、製品内に組み込んだ駆動軸アッシー１３のマ
グネット板６の不測の破損を確実に防ぐことができる。

【００１９】さらに、上記したようにマグネット板６を
従来のものより薄く形成できるので、斯かるマグネット
板６を面着磁する際に、マグネット板６の厚さ方向にわ
たって未着磁部分が生ずることなく確実に着磁できるよ
うになり、これにより図３に示したように、面着磁され
たマグネット板６に形成される磁気回路１５の効率を向
上させることができ、また、マグネット板６の一面に強
磁性材料からなる補強用ヨーク板１４が密接して配設さ
れることで、より磁気回路１５の効率を向上させること
ができる。そして、斯かる磁気回路の向上によるマグネ
ット板６の磁束密度の向上により、マグネット板６を面
着磁する際の着磁エネルギを下げることができ、図示し
ない着磁装置のヨークに巻回した銅線の寿命を延ばすこ
とができる。

【００２０】従って、本実施例においては、マグネット
板６と密接して補強用ヨーク板１４を配設しているの
で、これらを駆動軸アッシー１３中にインサート成形す
る際の樹脂注入圧力による応力を補強用ヨーク板１４が
受けることで、マグネット板６に作用する上記注入圧力
による応力を下げることができ、これにより、上記イン
サート成形時にマグネット板６に割れが生ずることを防
ぐことができ、また、上記マグネット板６と補強用ヨー
ク板１４とを備える駆動軸アッシー１３が組み込まれた
製品としての回転検出センサを落下した場合でも、落下
による衝撃エネルギが補強用ヨーク板１４に吸収される
ことで、マグネット板６に伝達される衝撃エネルギを極
めて小さくすることができ、これにより、マグネット板
６の不測の破損を確実に防止することができ、このよう
に、高価でその製造方法が複雑な上記マグネット板６の
破損を防ぐことで、製品としての回転検出センサの製造
コストを著しく抑えることができる。

【００２１】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、必要に応じて種々変更することができるも
のであり、上記希土類マグネット板の代わりにプラスチ
ックマグネット板を用いても、同様の作用、効果を得る
ことができるものである。

【００２２】

【発明の効果】以上述べたように本発明に係る回転検出
センサは、駆動軸アッシーのロータ板の周縁部に配設さ
れたマグネット板の磁気感応素子に面しない端面部に、
マグネット板と密接して補強用ヨーク板を配設している
ので、斯かるマグネット板と補強用ヨーク板とを駆動軸
アッシー中にインサート成形する際に、マグネット板に
割れが生ずることを防ぐことができ、また、斯かるマグ
ネット板と補強用ヨーク板とを備える駆動軸アッシーが
組み込まれた製品としての回転検出センサを落下した場
合でも、落下による衝撃エネルギでマグネット板に割れ
が生ずることを防ぐことができ、高価でその製造方法が
複雑な上記マグネット板の破損を確実に防ぐことで、製
品としての回転検出センサの製造コストを著しく抑える
ことができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る回転検出センサに組み込まれる駆
動軸アッシーの一実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１のロータ板部分にインサート成形されたマ
グネット板の着磁状態を説明するロータ板部分の要部側
面図である。

【図３】図２の着磁部分の磁力線の状態を説明する図で
ある。

【図４】従来の回転検出センサを示す縦断面図である。

【図５】従来の回転検出センサの駆動軸アッシーを示す
縦断面図である。

【図６】従来の回転検出センサの駆動軸アッシーに組み
込まれるストッパ板の平面図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ａ，２ｂ 軸受メタル ３ 駆動軸 ４ 穴部 ５ ロータ板 ６ マグネット板 ７ 磁気感応素子 ９ スリット １０ ストッパ板 １１ コイルスプリング １２ ワッシャ １３ 駆動軸アッシー １４ 補強用ヨーク板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 周縁部にマグネット板を備えるロータ板
   を駆動軸に配してなる駆動軸アッシーをハウジング内に
   回転自在に配設し、上記マグネット板の端面部に近接し
   て磁気感応素子を配設してなる回転検出センサにおい
   て、 上記マグネット板の上記磁気感応素子に面しない端面部
   に、マグネット板と密接して補強用ヨーク板を配設した
   ことを特徴とする回転検出センサ。