JPH0682453B2 - 磁気記録再生装置の回転ヘッドアセンブリ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ビデオテープレコーダ、デジタルオーデイ
オテープレコーダの如き磁気記録再生装置の回転ヘツド
アセンブリ、特に特殊再生のための磁気ヘツドの軸方向
変位手段の改良に関する。

〔従来の技術〕

第３図は例えば実開昭61−163323号公報に示された形式
の従来の可動磁気ヘツド型回転ヘツドアセンブリを示す
縦断面図であり、図において、（１）は磁気テープ
（２）を螺旋状に案内するリード溝（101）を外周面（1
02）に有する固定シリンダ、（３）は玉軸受（４）を介
して固定シリンダ（１）から回転可能に支持された中心
軸、（５）は前記中心軸（３）に固定された回転シリン
ダであつて、前記中心軸（３）に固定されたフランジ
（501）およびこのフランジ（501）に固定された本体
（502）からなつている。（６）は円周方向に180゜の間
隔を置いて回転シリンダ（５）によつて担持された磁気
ヘツドであつて、各磁気ヘツド（６）毎に独立して回転
シリンダ（５）に固定して設けられた板状圧電素子
（７）の先端に固定されている。（８）は回転シリンダ
（５）を回転駆動するためのモータであつて、（801）
はその固定子、（802）は回転子である。（９）は玉軸
受（４）の保持部材である。

（10）は圧電素子（７）に所定の方向の電圧を印加する
ための電源であつて、一方の出力端子（Ａ）は接地さ
れ、他方の出力端子（Ｂ）には回転シリンダ（５）の一
回転の間に一サイルクの変化をする可変電圧を出力する
ものである。（11）は回転シリンダ（５）に固定された
スリツプリング装置であつて、電源（10）の出力電圧は
リード（12）、ブラシ（13）、スリツプリング装置（1
1）およびリード（14）を介して各圧電素子（７）に印
加される。

次に動作について説明する。モータ（８）で回転シリン
ダ（５）を回転駆動すると、磁気ヘツド（６）も中心軸
（３）を中心として回転し、固定シリンダ（１）のリー
ド溝（101）に沿つて螺旋状に案内されて走行する磁気
テープ（２）に情報を記録し、あるいは記録された情報
を再生する。

しかして、記録時と異なる速度で再生する特殊再生（高
速再生、低速再生、静止再生等）の時には、磁気ヘツド
（６）を固定したままでは、通常再生時と同様に磁気テ
ープ（２）をトレースできない。そこで、特殊再生に応
じた電圧を電源（10）から出力してこれを各圧電素子
（７）に印加して圧電素子（７）を中心軸（３）の軸方
向に伸縮させる訳である。即ち、この電圧は先に述べた
ように回転シリンダ（５）の一回転の間に一サイクルの
変化をし、従つて圧電素子（７）も回転シリンダ（５）
の回転に同期して軸方向に伸縮し、これにより圧電素子
（７）に固定された磁気ヘツド（６）を上下、即ち軸方
向に変位させて磁気テープ（２）を通常再生時と同様に
トレースさせるようになつている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の特殊再生機能を有する回転ヘツドアセンブリは以
上のように構成されており、各磁気ヘツド（６）毎に圧
電素子（７）を設けなければならず磁気ヘツド（６）の
軸方向の変位機構が複雑になる問題点があつた。

この発明は従来のもののかかる問題点を解決するために
なされたもので、磁気ヘツドの軸方向変位機構が簡単で
部品点数も少ない磁気記録再生装置の回転ヘツドアセン
ブリを提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る回転ヘツドアセンブリは、磁気ヘツドを
回転シリンダに固定すると共に中心軸を固定シリンダに
固定し、軸受をラジアル流体軸受とスラスト流体軸受と
で構成し、スラスト流体軸受のスラスト軸受部材とこれ
に対向する回転シリンダの部分との間に圧電素子を配設
し、この圧電素子に電圧を印加してこれを軸方向に伸縮
させるようにしたものである。

〔作用〕

この発明においては、中心軸を固定シリンダに固定し、
軸受をラジアル流体軸受とスラスト流体軸受とで構成す
ることにより、回転シリンダは固定シリンダに対して軸
方向に変位可能に支持され、圧電素子を軸方向に伸縮さ
せることにより、回転シリンダ、従つてまたこれに固定
された磁気ヘツドが軸方向に変位する。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を第１図について説明する。
第１図はこの発明の一実施例による回転ヘツドアセンブ
リの縦断面図であつて、前記従来のものと同一部分には
同一符号を付してその説明は省略する。

図において、（503）は軸受ハウジングであつて、回転
シリンダ（５）の一部を構成しており、本体（502）に
圧入、焼ばめ等の適宜の手段によつて固定されている。
中心軸（３）はやはり圧入、焼ばね等の適宜の手段によ
り固定シリンダ（１）に固定されており、軸受ハウジン
グ（503）のスリーブ部（504）がこの中心軸（５）に遊
嵌されている。（15）はスラスト軸受部材であつて、中
心軸（３）の端面に対向して配設されている。（505）
は閉塞部材であつて、軸受ハウジング（503）に適宜の
手段で固定され、回転シリンダ（５）の一部を構成する
ものである。（16）は圧電素子であつて、スラスト軸受
部材（15）の中心軸（３）端面に対向した面とは反対側
の面と閉塞部材（505）との間に配設されている。（1
7）は中心軸（３）の外周面に形成されたスパイラルグ
ルーブ、（18）は中心軸（３）と軸受ハウジング（50
3）との間に介在する潤滑油であつて、前記スパイラル
グルーブ（17）と潤滑油（18）とによつてラジアル流体
軸受が構成される。スパイラルグルーブ（17）は軸受ハ
ウジング（503）の内周面に形成しても良い。また、中
心軸（３）とスラスト軸受部材（15）の互いに対向する
面のいずれか一方にもスパイラルグルーブが形成されて
おり、このスパイラルグルーブとこれらの面の間に介在
する潤滑油（18）によつてスラスト流体軸受が構成され
る。かくして、回転シリンダ（５）はこれらの流体軸受
によつて固定シリンダ（１）に対して軸方向に変位可能
に支持されることになる。また磁気ヘツド（６）は回転
シリンダ（５）に固定されており、従つて回転シリンダ
（５）の軸方向の変位により磁気ヘツド（６）も軸方向
に変位することになる。

圧電素子（16）は所定の方向に電圧を印加すると所定の
方向に伸縮するものであるので、圧電素子（16）の配向
および電源（10）からの圧電素子（16）へ電圧の印加方
向は圧電素子（16）を軸方向に伸縮させるように選択す
る。

次に動作について説明する。標準速度で記録した情報を
特殊再生するには、その特殊再生の種類に応じた電圧を
電源（10）から発生させる。この電圧はリード（12）、
ブラシ（13）、スリツプリング装置（11）およびリード
（14）を介して圧電素子（16）に印加される。圧電素子
（16）は印加された電圧に応じて軸方向に伸縮し、回転
シリンダ（５）を前記伸縮に応じて上下させる。これに
より、磁気ヘツド（６）も上下に変位して、磁気テープ
（２）を再生速度に応じて正確にトレースすることにな
る。回転シリンダ（５）の下向きの変位はその自重およ
びモータ（８）の固定子（801）と回転子（802）との間
の吸引力により行なわれる。

しかして、圧電素子（16）は回転シリンダ（５）全体を
軸方向に変位させるようになつているので、磁気ヘツド
（６）が複数個あつても、それぞれの磁気ヘツド（６）
に個別に圧電素子を設ける必要はなく、一個所に設けれ
ば良いので磁気ヘツド（６）の軸方向変位機構が簡略化
される。また、圧電素子（16）は、中心軸（３）の寸法
を調整するだけで、回転ヘツドアセンブリの外形寸法を
大きくすることなく、複数枚構造のものとすることがで
き、磁気ヘツド（６）の変位量を大きくすることができ
る。

この発明の他の実施例の主要部の縦断面図が第２図に示
されている。この実施例が先の実施例と異なるのは、先
の実施例では圧電素子（16）が軸受ハウジング（503）
頂部の凹所内に収納されているのに対し、この実施例で
は圧電素子（16）を軸受ハウジング（503）の外部に配
設し、閉塞部材（505）の中に収容するようにした点
で、他は同様である。この実施例でも先の実施例と全く
同様な効果が得られることはいうまでもない。

なお、いずれの実施例においても、圧電素子（16）はス
ラスト軸受部材（15）に接着等の適宜の手段で固定する
のが好ましい。このようにすることにより、例えば圧電
素子（16）とスラスト軸受部材（15）との間に潤滑油が
侵入するなどして、圧電素子（16）とスラスト軸受部材
（15）との軸方向相対位置が変化するのが防止され、特
殊再生はもとより標準の記録再生も正確に行なうことが
できる。これと同様な意味で、圧電素子（16）と閉塞部
材（505）も互いに固定しておくのが好ましい。

また、前記実施例では、圧電素子（16）のスラスト軸受
部材（15）とは反対の側は回転シリンダ（５）の閉塞部
材（505）に対向しているが、特に閉塞部材（505）でな
ければならないことはなく、回転シリンダ（５）の前記
スラスト軸受部材（15）に対向した部分であれば他の部
材であつても良い。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、中心軸と回転シリン
ダとの間の軸受を流体軸受とし、前記中心軸の端部と回
転シリンダとの間に圧電素子を配設するという極めて簡
単な構成により、磁気ヘツドの軸方向変位機構が簡単に
なる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例による回転ヘツドアセンブ
リの軸方向縦断面図、第２図はこの発明の他の実施例の
主要部の軸方向縦断面図、第３図は従来の回転ヘツドア
センブリの軸方向縦断面図である。 図において、（１）は固定シリンダ、（101）はリード
溝、（102）は外周面、（２）は磁気テープ、（３）は
中心軸、（５）は回転シリンダ、（６）は磁気ヘツド、
（10）は電源、（15）はスラスト軸受部材、（16）は圧
電素子、（17）はスパイラルグルーブ、（18）は潤滑油
である。 なお、各図中同一符号は同一部または相当部を示す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープを外周面で案内する固定シリン
   ダ、前記磁気テープに情報を記録再生する複数の磁気ヘ
   ツドを担持した回転シリンダ、および前記回転シリンダ
   を軸受を介して前記固定シリンダから回転可能に支持す
   る中心軸を備えた磁気記録再生装置の回転ヘツドアセン
   ブリにおいて、前記磁気ヘツドを回転シリンダに固定
   し、前記中心軸を前記固定シリンダに固定し、前記軸受
   を前記中心軸の周面とこれに対向する回転シリンダの部
   分との間に形成されたラジアル流体軸受と、前記中心軸
   の端面とこれに対向して配設されたスラスト軸受部材と
   の間に形成されたスラスト流体軸受とで構成し、前記ス
   ラスト軸受部材の前記中心軸端面に対向した面とは反対
   側の面とこれに軸方向に対向する回転シリンダの部分と
   の間に圧電素子を配設し、更に前記圧電素子を前記軸方
   向に伸縮させるように前記圧電素子に電圧を印加する電
   源を設けたことを特徴とする磁気記録再生装置の回転ヘ
   ツドアセンブリ。
2. 【請求項２】圧電素子をスラスト軸受部材に固定したこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の磁気記録再
   生装置の回転ヘツドアセンブリ。
3. 【請求項３】圧電素子を回転シリンダに固定したことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の磁気記録再生装
   置の回転ヘツドアセンブリ。