JPH0682434A - ガスクロマトグラフィ用熱分解装置 - Google Patents

ガスクロマトグラフィ用熱分解装置

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JPH0682434A
JPH0682434A JP23618292A JP23618292A JPH0682434A JP H0682434 A JPH0682434 A JP H0682434A JP 23618292 A JP23618292 A JP 23618292A JP 23618292 A JP23618292 A JP 23618292A JP H0682434 A JPH0682434 A JP H0682434A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高分子樹脂等からなる分析試料を正確に分析で
きるとともに、操作が容易なガスクロマトグラフィ用熱
分解装置を提供する。 【構成】熱分解装置1に、分析試料を熱分解する加熱手
段4を設ける。熱分解装置1に分析試料を挿入すると共
に分析試料を加熱位置8または加熱されない位置9に保
持する分析試料供給手段10を設ける。分析試料供給手
段10により分析試料が最初に加熱位置8に保持された
ときに加熱手段4の温度を低分子成分が気化する温度と
し、分析試料供給手段10により一旦加熱されない位置
9に保持された分析試料が再び加熱位置8に保持された
ときに加熱手段4の温度を高分子成分が熱分解する温度
とする加熱温度制御手段12を設ける。熱分解装置1に
圧縮空気を導入して加熱位置8を冷却する冷却手段1
3,14を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子樹脂等からなる
分析試料を熱分解してガスクロマトグラフィに供するた
めに使用される熱分解ガスクロマトグラフィ用熱分解装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子樹脂等からなる固体または液体の
分析試料をガスクロマトグラフィにより分析するときに
は、まず前記分析試料を熱分解して気化させる必要があ
る。そこで、従来、前記分析試料を熱分解して気化させ
る熱分解装置として、ガスクロマトグラフィカラムの上
流側に単一の加熱手段を設けてなるガスクロマトグラフ
ィ用熱分解装置が知られている。
【0003】前記熱分解装置は、一方の端部がガスクロ
マトグラフィカラムに接続され、他方が開放端部となっ
ているシリンダーの外周部に、前記分析試料を熱分解し
て気化させる加熱手段が設けられている。前記装置で
は、前記開放端部から前記シリンダーに挿入された前記
分析試料が前記加熱手段により熱分解され、気化した成
分が前記シリンダーに導入されるキャリヤーガスにより
前記ガスクロマトグラフィカラムに送入されるようにな
っている。
【0004】前記高分子樹脂等からなる分析試料は樹脂
のベースとなる高分子成分の他に可塑剤等の低分子成分
を含んでおり、前記高分子樹脂の特性を明らかにしよう
とする際には、前記高分子成分の組成ばかりでなく前記
低分子成分の組成も明らかにすることが望まれる。とこ
ろが、前記従来の熱分解装置では、前記分析試料の熱分
解を前記高分子成分が熱分解する温度で行うので、前記
低分子成分は該成分を構成する分子自体がさらに細かく
熱分解されたり、化学反応を起こして変質したりして、
前記低分子成分を相互に分離することが難しいとの不都
合がある。
【0005】前記不都合を解決するために、前記従来の
熱分解装置で、前記分析試料の高分子成分を熱分解する
前に、前記分析試料が挿入された前記加熱手段自体を2
00〜300℃に加熱された加熱ブロックに挿入するよ
うにした熱分解装置が提案されている。このような熱分
解装置によれば、前記分析試料がまず前記加熱ブロック
で加熱され前記低分子成分が気化し、次いで前記加熱手
段による加熱を行うことにより前記高分子成分が熱分解
されるので、前記低分子成分が熱分解されたり、変質す
ることがなく、高い精度でその組成を分析することがで
きる。
【0006】しかし、前記高分子成分は、前記低分子成
分が気化されたのち分析が完了するまで、前記加熱手段
ごと前記加熱ブロック内に保持されて加熱雰囲気中に曝
されているため、この間に好ましくない反応が起きて正
確な分析が困難になる虞れがある。前記好ましくない反
応としては、例えば、試料挿入時に前記シリンダーに空
気が混入したときに、前記高分子成分が前記加熱雰囲気
中に曝されて前記空気中の酸素により酸化される反応等
がある。
【0007】また、特開平2−201156号公報に
は、前記従来の熱分解装置における単一の加熱手段を、
前記分析試料を熱分解して気化させる主加熱手段と、前
記主加熱手段より低い温度で前記分析試料を加熱する副
加熱手段との2つの加熱手段に分離したガスクロマトグ
ラフィ用熱分解装置が開示されている。前記公報に開示
された熱分解装置は、一方の端部がガスクロマトグラフ
ィカラムに接続され、他方が開放端部となっているシリ
ンダーの外周部に、ガスクロマトグラフィカラム側に前
記主加熱手段を設け、前記開放端部側に前記副加熱手段
を設けた構成となっている。前記熱分解装置では、前記
主加熱手段または副加熱手段で気化された成分が、前記
シリンダーに導入されるキャリヤーガスにより前記ガス
クロマトグラフィカラムに送入されるようになってい
る。
【0008】前記熱分解装置には、さらに前記シリンダ
ーの前記開放端部から挿入された前記分析試料を前記シ
リンダー中で前記主加熱手段による加熱位置、前記副加
熱手段による加熱位置及びいずれの加熱手段によっても
加熱されない位置の間を移動できるようにした試料移動
手段が設けられている。
【0009】前記装置では、前記主加熱手段と前記副加
熱手段とが同時に作動されるようになっており、まず、
前記分析試料が前記試料移動手段により前記シリンダー
の前記開放端部から挿入されて前記副加熱手段による加
熱位置に保持され、前記副加熱手段により50〜400
℃に加熱される。すると、前記分析試料に含まれる低分
子成分が気化され、前記キャリヤーガスにより前記ガス
クロマトグラフィカラムに送入され、前記低分子成分の
分析が行われる。
【0010】前記分析試料は、前記低分子成分が気化し
てガスクロマトグラフィによる分析が完了するまで、前
記試料移動手段により前記シリンダー中のいずれの加熱
手段によっても加熱されない位置に移動されて待機して
いる。前記分析試料は前記低分子成分の分析が完了する
と、前記試料移動手段により前記主加熱手段による加熱
位置に移動され、この位置に保持される。そして、前記
分析試料は前記主加熱手段により300〜1000℃に
加熱されて熱分解され、気化された各成分が前記キャリ
ヤーガスにより前記ガスクロマトグラフィカラムに送入
される。
【0011】前記熱分解装置によれば、前記分析試料は
前記のように2段階に加熱されて、まず前記高分子樹脂
などからなる分析試料に含まれる可塑剤などの低分子成
分が気化され、次いで前記樹脂のベースとなっている高
分子成分が熱分解されるので、前記低分子が熱分解され
たり、変質することがなく、高い精度で分析することが
できると期待される。また、前記分析試料は、前記低分
子成分が分析されている間、いずれの加熱手段によって
も加熱されない位置に移動されて待機しており、加熱雰
囲気中に曝されることがないので、前記高分子成分が酸
化等の好ましくない反応により変質することがなく、正
確に分析することができる。
【0012】ところが、本発明者が前記公報に開示され
たガスクロマトグラフィ用熱分解装置を用いて高分子樹
脂などからなる分析試料の組成分析について検討を重ね
た結果、前記熱分解装置においても、前記主加熱手段の
温度が高くなると前記低分子成分が分解されることがあ
ることを見出した。次に、前記分析試料として可塑剤を
含むアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用い
た場合を例に取り、前記知見について説明する。
【0013】前記公報に開示されたガスクロマトグラフ
ィ用熱分解装置を用い、前記主加熱手段の温度を300
〜700℃の範囲で変化させて、前記NBRに含まれる
可塑剤のガスクロマトグラフィを行った。図4(a)乃
至図4(e)は、それぞれ前記主加熱手段の温度を30
0℃、400℃、500℃、600℃、700℃とした
ときのクロマトグラムを示している。
【0014】前記NBRは、前記可塑剤として、アジピ
ン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ジオクチル(DO
P)、セバシン酸ジオクチル(DOS)の3種の化合物
を含んでいる。前記化合物は、図4(a)乃至図4
(d)示のクロマトグラムで保持時間約15分にDOA
のピーク21が現れ、以下保持時間約18分までの間に
順にDOPのピーク22、DOSのピーク23が現れて
いる。
【0015】前記装置では、図4(a)及び図4(b)
から明らかなように、主加熱手段の温度が300〜40
0℃のときには前記各可塑剤が分解することなく検出さ
れている。ところが、図4(d)示のように、600℃
では前記各可塑剤のピーク21,22,23が減少し始
め、保持時間約5分に小さなピーク24が現れる。ピー
ク24はDOPの分解生成物であるフェノールと考えら
れ、前記各可塑剤が熱分解していることが明らかであ
る。
【0016】さらに、700℃では前記各可塑剤のピー
ク21,22,23が消滅し、保持時間約6分に大きな
ピーク25が現れる。ピーク25はDOA及びDOSが
分解して生じた未同定生成物である。
【0017】図4(a)乃至図4(e)示のクロマトグ
ラムから算出した、前記主加熱手段の温度と前記各可塑
剤の分解率との関係を図5に示す。図5から、DOPは
前記主加熱手段の温度が400℃を超えたときから、D
OA及びDOSは600℃弱から分解を始め、700℃
では全可塑剤が分解することが明らかである。
【0018】以上の結果から、前記可塑剤(低分子成
分)の分解は、前記副加熱手段で気化された前記可塑剤
が前記キャリヤーガスにより前記シリンダーの外周部に
前記主加熱手段が設けられている部分を通過して前記ガ
スクロマトグラフィカラムに送入される際に、前記副加
熱手段と同時に作動されている前記主加熱手段の加熱に
より起きるものと考えられる。
【0019】前記考察から、前記公報記載のガスクロマ
トグラフィ用熱分解装置では、主加熱手段の温度を40
0℃以下に設定しておけば、前記可塑剤などの低分子成
分が熱分解されたり変質されることなく、正確に分離で
きることが明らかである。しかし、前記主加熱手段の温
度を400℃以下としたのでは、前記高分子成分の熱分
解が困難である。
【0020】そこで、前記主加熱手段の温度を、前記低
分子成分が気化される間は400℃以下としておき、前
記高分子成分を熱分解する際に400℃以上に昇温する
ことが考えられる。しかしながら、前記公報記載のガス
クロマトグラフィ用熱分解装置で前記のようにするため
には、前記主加熱手段の温度を前記高分子成分の熱分解
のために昇温したり、次の試料の測定のために冷却した
りする操作が煩雑になるとの不都合がある。また、加熱
手段が主加熱手段と副加熱手段とに別れているため誤操
作の虞れもある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、高分子樹脂等からなる分析試料を正確に
分析できるとともに、操作が容易なガスクロマトグラフ
ィ用熱分解装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明のガスクロマトグ
ラフィ用熱分解装置は、熱分解ガスクロマトグラフィ用
熱分解装置において、分析試料を熱分解するための加熱
手段を設け、該熱分解装置に該分析試料を挿入すると共
に該分析試料を該加熱手段による加熱位置または加熱さ
れない位置に保持する分析試料供給手段を設け、該分析
試料供給手段により該分析試料が最初に前記加熱位置に
保持されたときに該加熱手段の温度を低分子成分が気化
する温度とし、該分析試料供給手段により一旦前記加熱
されない位置に保持された該固体試料が再び前記加熱位
置に保持されたときに該加熱手段の温度を高分子成分が
熱分解する温度とする加熱温度制御手段を設けてなるこ
とを特徴とする。
【0023】また、本発明のガスクロマトグラフィ用熱
分解装置は、前記加熱手段の温度を高分子成分が熱分解
する温度としたのち、前記熱分解装置に冷媒を導入して
前記加熱手段を冷却する冷却手段を設けてなることを特
徴とする。前記冷媒としては、圧縮空気、炭酸ガス、液
体窒素等を使用することができるが、安価に得られる圧
縮空気を使用することが好ましい。また、急速に冷却す
るためには、炭酸ガス、液体窒素等が好ましい。
【0024】
【作用】本発明のガスクロマトグラフィ用熱分解装置で
は、前記試料供給手段により前記熱分解装置に挿入され
た高分子樹脂等からなる分析試料は、まず、前記加熱手
段による加熱位置に保持される。このとき、前記加熱手
段は前記加熱温度制御手段により低分子成分が気化する
温度にされているので、前記分析試料に含まれる可塑剤
等の低分子成分が気化される。
【0025】前記低分子成分が気化されると、前記分析
試料は前記試料供給手段により前記加熱手段により加熱
されない位置に移動されて保持され、前記低分子成分の
ガスクロマトグラフィによる分析が完了するまで待機さ
せられる。
【0026】次に、前記低分子成分のガスクロマトグラ
フィによる分析が完了すると、前記分析試料は再び前記
試料供給手段により前記加熱位置に移動されて保持され
る。このとき、前記加熱手段は前記加熱温度制御手段に
より高分子成分が熱分解する温度にされているので、前
記分析試料の樹脂のベースとなっている高分子成分が熱
分解されて気化される。
【0027】本発明のガスクロマトグラフィ用熱分解装
置によれば、前記のように低分子成分の気化と高分子成
分の熱分解とを単一の加熱手段の加熱温度を二段階に変
化させることにより行うようにしたので、気化された低
分子成分が熱分解されたり変質されたりすることがな
い。また、前記低分子成分がガスクロマトグラフィに供
されている間、前記分析試料は前記試料供給手段により
前記加熱手段により加熱されない位置に保持されている
ので、前記高分子成分が加熱雰囲気中に曝されることが
なく、酸化等の好ましくない反応により変質することが
ない。
【0028】従って、前記分析試料の成分が、高分子成
分と低分子成分とのいずれについても正確に分析され
る。また、前記加熱手段を単一にしたので、加熱温度を
変化させる操作が簡略になり、誤操作の虞れが低減され
る。
【0029】また、前記冷却手段を設けてなる本発明の
ガスクロマトグラフィ用熱分解装置によれば、一つの試
料の分析が終了すると、前記冷却手段により前記熱分解
装置内に冷媒が導入される。このようにすることによ
り、高分子成分が熱分解する温度に加熱されている前記
加熱手段が容易に冷却され、次の試料を測定する際に、
前記加熱手段の温度調整が容易になる。
【0030】
【実施例】次に、添付の図面を参照しながら本発明のガ
スクロマトグラフィ用熱分解装置についてさらに詳しく
説明する。図1は本実施例のガスクロマトグラフィ用熱
分解装置の説明的断面図であり、図2は本実施例のガス
クロマトグラフィ用熱分解装置における加熱手段の温度
と気化された低分子成分の収量との関係を示すグラフで
あり、図3は本実施例のガスクロマトグラフィ用熱分解
装置における加熱手段の温度と分析の再現性との関係を
示すグラフである。
【0031】図1に示すように、本実施例のガスクロマ
トグラフィ用熱分解装置1は、石英管からなるシリンダ
ー2の一方の端部2aが金属製キャピラリーカラムから
なるガスクロマトグラフィカラム3に接続され、他方の
端部が開放端部2bとなっている。シリンダー2の外周
部には、開放端部2bから挿入される分析試料を熱分解
して気化させる加熱手段4として電気ヒータが設けられ
ている。
【0032】シリンダー2の開放端部2bには、大径の
シリンダー5が接続されており、シリンダー5にはキャ
リヤーガス導入口6が設けられている。キャリヤーガス
導入口6は、シリンダー5の外部に設けられたキャリヤ
ーガスボンベ7に接続されており、加熱手段4で気化さ
れた成分は、キャリヤーガス導入口6から導入されるキ
ャリヤーガスによりガスクロマトグラフィカラム3に送
入されて分析される。
【0033】シリンダー5には、その内径に沿って気密
に摺動して前記開放端部2bから前記分析試料を挿入す
ると共に、前記分析試料をシリンダー2内の加熱手段4
による加熱位置8またはシリンダー5内の加熱手段4に
より加熱されない位置9に保持する分析試料供給手段1
0が設けられている。分析試料供給手段10は、先端に
試料保持部11が設けられている。
【0034】また、シリンダー2の外部には、加熱温度
制御手段12及び圧縮空気ボンベ13が設けられてい
る。加熱温度制御手段12は加熱手段4と電気的に接続
されており、分析試料供給手段10により前記分析試料
が最初に加熱位置8に保持されたときに加熱手段4の温
度を低分子成分が気化する温度とし、分析試料供給手段
10により一旦加熱されない位置9に保持された前記分
析試料が再び加熱位置8に保持されたときに加熱手段4
の温度を高分子成分が熱分解する温度とするように、加
熱手段4の温度を制御する。
【0035】圧縮空気ボンベ13はシリンダー2に対し
て加熱温度制御手段12の反対側に設けられており、冷
却制御装置14が付設されている。冷却制御装置14は
圧縮空気ボンベ13の開閉を制御し、加熱温度制御手段
12により加熱手段4の温度が高分子成分を熱分解する
温度とされたのち、圧縮空気ボンベ13からシリンダー
2及び加熱手段4の周囲に圧縮空気を導入し、前記加熱
手段4を冷却する。
【0036】尚、シリンダー5には死空間排気弁13が
設けられており、死空間排気弁15は開閉弁15aによ
り開閉自在になっている。また、シリンダー2とガスク
ロマトグラフィカラム3との接続部の外周部には、イン
ターフェース炉16が設けられており、加熱手段4とは
独立に制御されている。
【0037】次に、本実施例のガスクロマトグラフィ用
熱分解装置の作動について説明する。
【0038】本実施例のガスクロマトグラフィ装置で
は、まず、高分子樹脂等からなる分析試料を分析試料供
給手段10の先端に設けられた試料保持部11に固定す
る。次に、死空間排気弁15を開き、キャリヤーガスボ
ンベ7からキャリヤーガス導入口6を介してシリンダー
5内にキャリヤーガスを導入して、シリンダー5内の空
気を排気する。前記操作後、死空間排気弁13を閉じる
ことにより、シリンダー5内が前記キャリヤーガスで置
換されて死空間となることを避けることができ、分析精
度が向上する。
【0039】次に、分析試料供給手段10をシリンダー
5の内径に沿って摺動させて前進させることにより、前
記分析試料が開放端部2bからシリンダー2の内部に挿
入され、加熱手段4による加熱位置8に保持される。
【0040】このとき、加熱手段4は加熱温度制御手段
12により、前記分析試料に含まれる可塑剤などの低分
子成分が気化する温度に設定されているので、前記低分
子成分が気化される。次いで、気化された低分子成分が
キャリヤーガスボンベ7からキャリヤーガス導入口6を
介してシリンダー2内に導入されるキャリヤーガスによ
り、ガスクロマトグラフィカラム3に送入される。
【0041】次に、ガスクロマトグラフィカラム3が装
填されているカラム恒温槽(図示せず)を所定の温度に
加熱することにより、前記低分子成分のガスクロマトグ
ラフィが行われる。前記気化された低分子成分は、カラ
ム恒温槽が加熱されるまで一時的にガスクロマトグラフ
ィカラム3の先端部に滞留するが、シリンダー2とガス
クロマトグラフィカラム3との接続部の外周部にはイン
ターフェース炉16が配設されているので、前記気化さ
れた低分子成分の凝結が避けられる。
【0042】前記低分子成分が気化されると、前記分析
試料は分析試料供給手段10により後退させられ、シリ
ンダー5内の加熱手段4により加熱されない位置9に移
動されて保持され、前記低分子成分のガスクロマトグラ
フィが完了するまで待機させられる。このようにするこ
とにより、前記分析試料は前記低分子成分のガスクロマ
トグラフィが完了するまで加熱位置8の加熱雰囲気に曝
されることがなく、酸化など好ましくない反応による変
質を防止することができる。
【0043】次に、前記低分子成分のガスクロマトグラ
フィが完了すると、前記分析試料は再び分析試料供給手
段10により前記と同様にして加熱位置8に移動されて
保持される。このとき、加熱手段4は加熱温度制御手段
12により高分子成分が熱分解する温度にされているの
で、前記分析試料の樹脂のベースとなっている高分子成
分が気化される。そして、熱分解された高分子成分が前
記キャリヤーガスにより、前記低分子成分の場合と同様
にして、前記ガスクロマトグラフィカラム3に送入され
分析される。
【0044】前記のようにして、一つの試料の分析が終
了すると、冷却制御装置14により圧縮空気ボンベ13
が開放され、シリンダー2及び加熱手段4の周囲に圧縮
空気が導入される。前記圧縮空気は図示しない排気口か
ら排気され、流通する圧縮空気により高分子成分が熱分
解する温度に加熱されている加熱手段4が冷却される。
加熱手段4が冷却されると、冷却制御装置14により圧
縮空気ボンベ13が閉鎖され、次の試料の測定が準備さ
れる。
【0045】次に、本実施例のガスクロマトグラフィ用
熱分解装置1を用いて、可塑剤を含むアクリロニトリル
ブタジエンゴム(NBR)の分析を行った。前記NBR
は、前記可塑剤として、アジピン酸ジオクチル(DO
A)、フタル酸ジオクチル(DOP)、セバシン酸ジオ
クチル(DOS)の3種の化合物を含んでいる。
【0046】前記分析は、加熱温度制御手段12により
低分子成分が気化する温度を200℃、300℃、55
0℃、600℃に設定し、前記可塑剤中最も熱分解され
やすいDOP(図5参照)の前記各温度での収率を求め
ることにより、前記可塑剤が熱分解されずに分析を行え
る適温を調べる目的で行った。結果を図2に示す。
【0047】図2から、DOPの収率は300℃のとき
にほぼ理論値に一致(収率約100%)し、この温度で
前記可塑剤を熱分解させることなく正確に分析できるこ
とが明らかである。200℃ではDOPの気化が不十分
であり、550℃及び600℃では熱分解により収率が
低下しているものと考えられる。
【0048】また、前記操作を前記各温度について5回
ずつ行い、変動係数(標準偏差/平均値×100、単
位:%)を算出することにより、前記分析の再現性を調
べた。結果を図3に示す。図3から、300℃のとき
に、前記変動係数が約1%で最も低くなり、最も再現性
に優れていることが明らかである。
【0049】次に、本実施例のガスクロマトグラフィ用
熱分解装置1を用いて、加熱温度制御手段に12より前
記低分子成分が気化する温度を300℃に設定し、前記
高分子成分が熱分解する温度を600℃に設定して、前
記NBRの分析を行ったところ、前記低分子成分と前記
高分子成分とのいずれについても正確に分析することが
できた。
【0050】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
のガスクロマトグラフィ用熱分解装置によれば、前記高
分子樹脂等からなる分析試料の熱分解を単一の加熱手段
で行うようにし、前記加熱手段の温度を二段階に分けて
制御する加熱温度制御手段を設けることにより低分子成
分の熱分解または変質を防止することができるととも
に、前記低分子成分が分析される間、前記分析試料を前
記加熱手段により加熱されない位置に保持する分析試料
供給手段を設けることにより前記高分子成分が加熱雰囲
気に曝されて変質することを防止することができる。従
って、本発明のガスクロマトグラフィ用熱分解装置によ
れば、前記分析試料を前記低分子成分と前記高分子成分
とのいずれについても正確に分析することができる。
【0051】また、本発明のガスクロマトグラフィ用熱
分解装置によれば、前記分析試料の熱分解を行う加熱手
段が単一であるので、前記加熱手段の温度を二段階に分
けて制御する操作が容易であり、誤動作の虞れを低減す
ることができる。
【0052】また、前記冷却手段を設けてなる本発明の
ガスクロマトグラフィ用熱分解装置によれば、一つの試
料の分析が終了すると、前記冷却手段により前記熱分解
装置内に圧縮空気が導入されるので、高分子成分が熱分
解する温度に加熱されている前記加熱手段が容易に冷却
され、次の試料を測定する際に前記加熱手段の温度を容
易に前記低分子成分が気化する温度にすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるガスクロマトグラフィ用熱分解
装置の一構成例を示す説明的断面図、
【図2】本実施例の用熱分解装置における加熱手段の温
度と気化された低分子成分の収量との関係を示すグラ
フ、
【図3】本実施例の用熱分解装置における加熱手段の温
度と分析の再現性との関係を示すグラフ、
【図4】従来の用熱分解装置における高分子樹脂等から
なる分析試料の分析例を示すクロマトグラム、
【図5】図4示のクロマトグラムから算出した加熱手段
の温度と可塑剤の分解率の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…ガスクロマトグラフィ用熱分解装置、 4…加熱手
段、 8…加熱位置、9…加熱されない位置、 10…
分析試料供給手段、12…加熱温度制御手段、 13,
14…冷却手段。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱分解ガスクロマトグラフィ用熱分解装置
    において、分析試料を熱分解するための加熱手段を設
    け、該熱分解装置に該分析試料を挿入すると共に該分析
    試料を該加熱手段による加熱位置または加熱されない位
    置に保持する分析試料供給手段を設け、該分析試料供給
    手段により該分析試料が最初に前記加熱位置に保持され
    たときに該加熱手段の温度を低分子成分が気化する温度
    とし、該分析試料供給手段により一旦前記加熱されない
    位置に保持された該固体試料が再び前記加熱位置に保持
    されたときに該加熱手段の温度を高分子成分が熱分解す
    る温度とする加熱温度制御手段を設けてなることを特徴
    とするガスクロマトグラフィ用熱分解装置。
  2. 【請求項2】前記加熱手段の温度を高分子成分が熱分解
    する温度としたのち、前記熱分解装置に冷媒を導入して
    前記加熱手段を冷却する冷却手段を設けてなることを特
    徴とする請求項1記載のガスクロマトグラフィ用熱分解
    装置。
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