JP7448952B2 - 揮発性有機化合物分析装置及び揮発性有機化合物の分析方法 - Google Patents
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Description
これまで、揮発性有機化合物を分析する揮発性有機化合物の分析方法や揮発性有機化合物分析装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかし、従来の揮発性有機化合物分析装置では、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析装置の内部に設けられたカラムを昇温する時間又は降温する時間が長くかかっていた。そのため、その場、分析結果を迅速に知ることは困難であった。また、揮発性有機化合物を分析する際、大気が混流してしまい、装置に不具合が生じてしまったり、検出精度が低下してしまったりすることもあった。
したがって、この揮発性有機化合物分析方法によって、揮発性有機化合物の定性分析・定量分析を迅速に行うことができる。
したがって、揮発性有機化合物の結露を防止することができるとともに、脱離させた揮発性有機化合物を効率よく、ガスクロマトグラフ質量分析部に導入できる。
吸着管3の後方(三方バルブV1と接続されている側と反対側)には、第一流路11が設けられ、この第一流路11によって、吸着管3と真空ポンプ4が連結されている。この第一流路11には、二方ソレノイドバルブ(第二流路変更部)V2と、二方ソレノイドバルブV2よりも真空ポンプ4側に三方ソレノイドバルブ(第三流路変更部)V3が、それぞれ設けられている。三方ソレノイドバルブV3には、パージガス導入路7が連結されている。
二方ソレノイドバルブV2は、真空ポンプ4とパージガス用ストップバルブとして使用され、三方ソレノイドバルブV3は、真空ポンプ4とパージガスの切り替えバルブとして使用される。
この三方ソレノイドバルブV4は、キャリアガス切り替えバルブとして使用される。
試料導入管2は、例えば、石英管を取り巻く電気炉で構成され、VOCが通過する流路は、内面不活性化処理されている。この試料導入管2には、三方バルブV1と連結する側と反対側に、翳し口2aが形成されている。また、試料導入管2には、測温センサーを含むヒーター(加温部)2bが設けられている。
吸着管3は、図2に示すように、吸着管本体3aと、吸着管本体3aの周囲に設けられたRFコイル3bとを備えている。
吸着管本体3aには、例えば、外径6mm、長さ36mmの石英ガラス製のチューブを使用する。そして、吸着管本体3aの内部には、吸着剤(有機吸着剤)3cとして、2.6 Diphenyl-p-Phenylene Oxideのポーラスポリマービーズ(Tenax)が詰められている。この吸着剤3cは、両側に石英ウール3dが設けられることで、固定されている。さらに、吸着管本体3aの先端の内部には、強磁性パイプ3eが設けられている。この強磁性パイプ3eには、キュリー点が約300℃であるものを使用する。
ガスクロマトグラフ質量分析器5は、金属製のキャピラリーカラム5aを備えている(図1)。このキャピラリーカラム5aには、キャピラリーカラム5aの両端を通電させた、直接通電型の恒温槽(恒温部)が設けられている。この恒温槽によって、キャピラリーカラム5aの抵抗値変化を利用し、温度の制御を行うことができる。また、昇温又は降温の迅速化を図る目的で、キャピラリーカラム5aは、耐熱被覆材により被覆され、ファンが設けられている。
本実施形態に係るVOC分析方法は、VOC吸着工程(第一工程)と、大気排出工程(第二工程)と、分析工程(第三工程)とを含む。以下、各工程について説明する。
VOC吸着工程では、三方バルブV1によって試料導入管2と吸着管3を連通させ、二方ソレノイドバルブV2によって第一流路11を開状態とし、三方ソレノイドバルブV4によってガスクロマトグラフ質量分析器5とキャリアガス導入路6を連通させた状態とする(図1)。この際、第二流路12には、キャリアガスが導入される。
この状態で、三方ソレノイドバルブV3によって第一流路11と真空ポンプ4を連通させ、吸着管3の内部及び第一流路11の内部を負圧状態とし、常温下で、翳し口2aに測定対象である試料を翳してサンプリングを行う。そうすると、試料から発生したVOCは、試料導入管2及び三方バルブV1を通過し、吸着管3に吸引され、吸着剤3cに吸着する。この真空ポンプ4によるVOCの吸引は、約5秒間行い、VOCを吸着管3に捕集する。
なお、例えば、ポリエチレンシートのように、常温下でVOCを発生しない試料を測定する場合は、ヒーター2bによって加温された試料導入管2の内部で、試料を翳すことでサンプリングを行う。
次に、図3に示すように、三方ソレノイドバルブV3によって第一流路11とパージガス導入路7を連通させ、第一流路11を介して、吸着管3に向けてパージガスを約5秒間流入させる。パージガスの流入速度は、VOC吸着工程におけるVOCの吸引速度と同じ速度とする。
そうすると、吸着管3、三方バルブV1、試料導入管2の内部に混流している大気(空気)は、VOC分析装置1の外部に排出される。
大気除去工程後、分析工程を行う。この分析工程では、図4に示すように、三方バルブV1によって吸着管3とガスクロマトグラフ質量分析器5を連通させ、二方ソレノイドバルブV2によって第一流路11を閉状態とし、三方ソレノイドバルブV4によってキャリアガスを第一流路11側に流入させた状態とする。そして、RFコイル3bによるキュリーポイント加熱法により、VOCが吸着された吸着剤3c、吸着管本体3aの先端に設けられた強磁性パイプ3e(吸着剤3cから三方バルブV1に至る流路)を急速に約300℃に加熱する。
この急速な加熱によって、吸着管3に捕集されていたVOCは、吸着剤3cから脱離し、第一流路11から流入したキャリアガスによって、三方バルブV1を通過し、ガスクロマトグラフ質量分析器5に導入される。そして、ガスクロマトグラフ質量分析器5によって、VOCの定性・定量分析を行う(GC/MS)。
なお、分析工程は、大気排出工程を省略し、VOC吸着工程後にすることもできる。
したがって、本実施形態に係るVOC分析方法を使用することで、VOCの定性・定量分析を迅速に行うことができる。
一方、定量分析を目的とし、液相をコーティングした5mのキャピラリーカラムを使用した場合、VOC吸着工程においてサンプリングの5秒間、分析工程においてパージングの5秒間及びGC/MS分析の50秒間、合計60秒間でVOCの定性・定量分析を行うことができる。
そうすると、VOCがガスクロマトグラフ質量分析器5に導入される際に、VOC成分の結露を防止することが可能となり、かつ脱離させたVOCを効率よく、ガスクロマトグラフ質量分析器5に導入することができる。
また、本実施形態に係るVOC分析装置1は、食品など室温で香気成分を発する試料を翳し口2aの上部に翳すだけで、VOCの測定が可能である。一方、プラスチックフィルムやプラスチック容器(低VOC試料)などの室温でVOCを発しない試料は、加温された試料導入管2の内部に数秒間翳すことで、VOCの測定が可能である。
2 試料導入管(試料導入部)
2a 翳し口
2b ヒーター(加温部)
3 吸着管
3a 吸着管本体
3b RFコイル
3c 吸着剤
3d 石英ウール
3e 強磁性パイプ
4 真空ポンプ(ポンプ部)
5 ガスクロマトグラフ質量分析器(ガスクロマトグラフ質量分析部)
5a キャピラリーカラム
6 キャリアガス導入路
7 パージガス導入路
11 第一流路
12 第二流路
V1 三方バルブ(第一流路変更部)
V2 二方ソレノイドバルブ(第二流路変更部)
V3 三方ソレノイドバルブ(第三流路変更部)
V4 三方ソレノイドバルブ(第四流路変更部)
Claims (4)
- 加温部を有し、試料が導入される試料導入部と、
第一流路変更部を介して前記試料導入部と接続され、RFコイルを有し、前記試料に含まれる揮発性有機化合物を吸着させる吸着部と、
第二流路変更部が設けられた第一流路を介して、前記吸着部と接続されたポンプ部と、
前記第一流路変更部を介して、前記試料導入部及び前記吸着部が接続され、キャピラリーカラムと、このキャピラリーカラムに直接通電された恒温部とを有し、前記第一流路と連結された第二流路が接続されたガスクロマトグラフ質量分析部と、
前記第二流路変更部よりも前記ポンプ部側に設けられた第三流路変更部を介して、前記第一流路に接続されたパージガス導入部と、
第四流路変更部を介して、前記第二流路に接続されたキャリアガス導入部と、
を備える、
ことを特徴とする揮発性有機化合物分析装置。 - 請求項1に記載の揮発性有機化合物分析装置を使用した揮発性有機化合物の分析方法であって、
前記第二流路を介して、前記キャリアガス導入部から、キャリアガスを前記ガスクロマトグラフ質量分析部に流すとともに、前記ポンプ部によって、前記第一流路及び前記吸着部を負圧状態とすることで、前記揮発性有機化合物を前記吸着部に誘導し、前記吸着部に吸着させる第一工程と、
前記第一工程後、前記吸着部の前記負圧状態を解除し、前記第二流路及び前記第一流路を介して、前記パージガス導入部から、前記吸着部にパージガスを流すことで、前記吸着部に混流した大気を前記試料導入部から外部に排出させる第二工程と、
前記第二工程後、前記第二流路及び前記第一流路を介して、前記キャリアガス導入部から、前記吸着部に前記キャリアガスを流し、前記吸着部から前記揮発性有機化合物を脱離させるとともに、この脱離した揮発性有機化合物を、前記第一流路変更部を介して、前記ガスクロマトグラフ質量分析部に導入させ、分析する第三工程と、を含む、
ことを特徴とする揮発性有機化合物の分析方法。 - 前記第三工程において、前記RFコイルにより、少なくとも前記吸着部をキュリー点まで加熱し、前記吸着部から前記揮発性有機化合物を脱離させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の揮発性有機化合物の分析方法。 - 前記恒温部により、前記キャピラリーカラムの昇温又は降温を調整する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
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