JPH0682176U - 室内暖房及び消臭機能付き便座装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温風暖房装置と消臭装置とを備えた便座装置
において、便器ボールからの異臭の拡散を抑え、便所内
を快適な環境に保つようにすること。 【構成】 局部洗浄機能等を組み込んだ便座付きのケー
シングの中に、外部から空気を吸引して加熱後に温風を
放出する温風暖房装置及び便器のボール部から臭気を含
んだ空気を吸引して消臭しその後放出する消臭装置を備
え、着座検知の期間又は臭気の検知期間であって温風暖
房装置が作動しているときは、消臭装置側への空気の吸
引力を温風暖房装置側よりも優勢とし、臭気を含む空気
を消臭装置側へ流して温風暖房装置からの臭気の拡散を
抑える。また、消臭装置の吸引力の増強と同時に温風暖
房装置の吸引力の低減又は作動停止によっても、同様に
臭気の拡散を防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、便器本体に備える便座に係り、とくに便所の室内暖房及び使用時の 臭気を消す消臭機能を備えた便座装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

便器本体に備える便座として、温水洗浄機能を持つ温水洗浄便座が従来から利 用されている。この温水洗浄便座は、洗浄機能だけでなくたとえば室内暖房や除 臭等も含めた多機能化が進められている。

【０００３】 図６は温水洗浄便座の一例を示す図であり、便器本体１の上に固定したケーシ ング２に便座３と便蓋４とを開閉自在に取り付けている。ケーシング２には、便 座３に座った人が操作するための操作盤２ａを備え、この操作盤２ａによってケ ーシング２から進退可能とした洗浄ノズル２ｂの作動や便座３の暖房等の操作を 行う。

【０００４】 このような温水洗浄便座に対し、多機能化の例として、たとえば便所内の暖房 のための温風暖房装置５や用便時の臭気を消すための消臭装置６がそれぞれ組み 込まれる。

【０００５】 この温風暖房装置５は、操作盤２ａの下方のケーシング２の中に収納され、送 風ファン，ヒータ及び温度センサ等を備えたものである。そして、温風暖房装置 ５の温風放出端はケーシング２の底面側に開口し、たとえばケーシング２の背面 等の適当な箇所に開けた吸気口から空気を吸引し、ヒータによる加熱の後に放出 端から温風を放出する。

【０００６】 また、消臭装置６は正面から見て右側のケーシング２の中に収納され、便器本 体１のボール部１ａに吸引部を臨ませたダクト７に流路を接続したものである。 そして、空気の吸引用のファンとオゾナイザや触媒等による消臭部を備え、ケー シング２の底面から除臭した空気を放出する。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

ケーシング２に開ける吸気口は、ケーシング２内への異物の入り込みや内部電 装品の被水を防ぐため、たとえば細長くしたスリットを配列したものや小孔を分 布させて開けるというものに限られやすい。このため、温風暖房装置５を常時作 動させておくと、スリットや小孔に綿埃等が付着しやすい。

【０００８】 また、便所内での便器本体１の配置姿勢等によって、吸気口が便所の壁や配管 等に非常に近くなってしまう場合では、吸気口からの空気の取り入れの際の抵抗 が大きくなる。

【０００９】 このように、綿埃の付着や周囲の設備による抵抗が増えると、温風暖房装置４ のファンを作動させたときその吸引能力に見合う空気量を吸引口から取り入れる ことができず、余所から不足の空気を賄うような空気流れがケーシング２の内部 で起こりやすい。

【００１０】 一方、ケーシング２が外部に開く部分として、洗浄ノズル２ｂが移動するとき の通路となる出没口２ｃがある。この出没口２ｃは、ケーシング２の前面側の下 部を開放させたものとして形成され、洗浄ノズル２ｂの動作に干渉しない程度の 大きさを持つものである。

【００１１】 したがって、吸気口が本来の開口面積より狭まったり周囲の設備による抵抗が 大きくなったりしたときには、この出没口２ｃから空気が吸引されてしまい、温 風暖房装置５によって加熱されて放出される。

【００１２】 ところが、出没口２ｃは便器本体１のボール部に臨んで開放されているので、 用便時では臭気を含んだ空気が吸引されることになる。このため、温風暖房装置 ５からは臭いのある温風が放出されることになり、便所内に異臭が拡散してしま う。

【００１３】 一方、消臭装置６はその作動によってダクト７を経由してボール部１ａから臭 気を含んだ空気を吸引し、消臭した後に放出する。しかしながら、温風暖房装置 ５は、吸気口の詰まり等の際にはこの消臭装置６の作動に関係なく出没口２ｂか らも空気を吸い込むので、消臭されないまま温風となって排出される。

【００１４】 このように、温風暖房装置５をケーシング２の中に組み込むと、消臭装置６を 備えているにも拘わらず、温風暖房装置５からの異臭を含んだ温風が拡散される ことになる。したがって、便座３に座って使用している人にとっては、異臭の雰 囲気の中に曝されることになり、不快感を伴いやすい。

【００１５】 本考案において解決すべき課題は、温風暖房装置を作動させているときでも、 消臭装置による十分な消臭を可能とすると共に温風暖房装置による臭気の拡散を 抑えることにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、局部洗浄機能等の電装品を収納したケーシングと、該ケーシングに 開閉自在に取り付けた便座と、該便座に座った人を検知するための着座センサと を備え、前記ケーシングを便器本体に固定する便座装置であって、前記ケーシン グの内部に、外部から空気を吸引して加熱後に温風を放出する室内暖房用の温風 暖房装置を組み込むと共に、前記便器本体のボール部側から空気を吸引して除臭 する消臭装置を備え、前記着座センサによる人の着座検知の期間であって且つ前 記温風暖房装置が動作中は、前記消臭装置の空気吸引力を定常運転時よりも大き くする系を備えてなることを特徴とする。

【００１７】 また、便器本体のボール部の臭気を検出する臭気センサを備え、この臭気セン サによる臭気検知の期間であって且つ温風暖房暖房装置の動作中は、消臭装置の 空気吸引力を定常運転時よりも大きくする系とすることもできる。

【００１８】 更に、着座センサによる人の検知の期間又は記臭気センサによる臭気検知の期 間では、消臭装置の空気吸引能力を大とすると共に温風暖房装置の空気吸引能力 を小又は停止させるようにしてもよい。

【００１９】

【作用】

ケーシングの内部に備えた温風暖房装置及び消臭装置は、人が便座に着座又は 臭気の発生の検知を基準として消臭装置側への空気の引きが強くなるように制御 される。このため、便器本体のボール部から引かれる空気はその殆どが消臭装置 へと吸引され、臭気を含んだ空気は除臭され、温風暖房装置からは臭いを含まな い温風が放出される。 また、着座又は臭気の検知によって温風暖房装置の吸引 力の低下又は作動を停止させるように制御すれば、消臭装置による効率のよい消 臭が可能となると同時に温風暖房装置による臭気の拡散が防止される。

【００２０】

【実施例】

図１は本考案の便座装置の概要を示す一部切欠左側面図である。

【００２１】 便座装置は図６に示したものと同様に便器本体１に固定したケーシング２と便 座３及び便蓋４とによって構成されている。そして、同様に操作盤２ａの下方に 位置するケーシング２の内部に温風暖房装置５が組み込まれ、ケーシング２の底 部にはスリット状の空気孔２ｄを設けている。

【００２２】 温風暖房装置５は、ハウジング５ａの内部にモータ５ｂによって駆動される送 風ファン５ｃを組み込むと共にその下流をケーシング２の底部側に伸ばしたもの であり、送風ファン５ｃからの空気をヒータ５ｄによって加熱し、下端から放出 可能とする。そして、温風温度を検知するための温度センサ５ｅを組み込み、そ の信号を受けて送風ファン５ｃのモータ５ｂの回転数やヒータ５ｄへの通電量を 制御するためのコントローラ８をケーシング２内に備える。また、操作盤２ａに は、温風暖房装置５を作動させる暖房スイッチ２ｅと停止させる停止スイッチ２ ｆとを設ける。

【００２３】 一方、便座３には、人の着座を検知する検知系を設け、図示の例では、便座３ の中に組み込んだ感圧式の着座センサ３ａを備える。この着座センサ３ａは、人 が便座３に座ったときの負荷によって検知信号をコントローラ６に入力し、人の 着座がないときには出力信号がないオン・オフ式のものである。なお、このよう な感圧式のものに代えて、ケーシング２の前面側に組み込まれた赤外線等を利用 した反射型又は透過型の光電スイッチを用いることもできる。

【００２４】 図２は便座装置の要部を示す一部切欠右側面図である。

【００２５】 正面から見て便器本体１の右側に沿って下に垂れる部分のケーシング２の内部 に消臭装置６が組み込まれている。

【００２６】 この消臭装置６は、便器本体１のボール部１ａに臨む側を開放端としたダクト ７に連通するハウジング６ａを備えたものである。ハウジング６ａはケーシング ２の底面側に向かう形状としてその下端を開放して放出口とし、内部にはモータ ６ｂによって回転する掃気ファン６ｃを収納している。また、この掃気ファン６ ｃの回転によってダクト７を経由してボール１ａから吸引される空気を消臭する ため、オゾナイザ６ｄ及び触媒６ｅをそれぞれ組み込む。

【００２７】 消臭装置６は、たとえば、人が便座３に着座したときに自動的に作動を開始し 、臭気が十分に除去されるように、使用後に人が便座３から立ち去って或る程度 の時間が経過した後に自動的に停止するようにコントローラ８によって制御する ものとする。なお、このような自動操作に代えて、操作盤２ａに消臭スイッチ２ ｇ及び消臭停止スイッチ２ｈを設けておき、これらを利用した手動操作とするこ ともできる。

【００２８】 更に、ケーシング２が便器本体１のボール部を臨む位置には、臭気センサ９を をボール部側に曝して設ける（図１参照）。この臭気センサ９は、臭気の濃度に よって抵抗値が変わる素子を用いたものが利用可能であり、抵抗値の変化をコン トローラ８に入力することによって、臭気の有無を判断可能である。

【００２９】 ここで、温風暖房装置５及び消臭装置６は、それぞれ人の着座検知又は臭気検 知に基づいて作動がコントローラ８によって制御される。この制御のパターンは 、人が便座３に着座したことを着座センサ３ａが検知している期間又は臭気セン サ９が臭気を検知している期間であって、しかも温風暖房装置５が作動している ときでは、消臭装置６の掃気ファン６ｃの吸引能力を温風暖房装置５の非作動時 よりも大きくするというものである。

【００３０】 図３は着座センサ３ａによる人の検知信号に基いて消臭装置６の作動の制御を 実行するフローチャートである。

【００３１】 このフローでは、暖房スイッチ２ｅをオンしていても、人が着座していなけれ ば着座センサ３ａからの信号の入力はなく、消臭装置６は作動しない。また、暖 房が不要のときに温風暖房装置５を停止させている期間でも人が着座すれば消臭 装置６は作動する。この温風暖房装置５の停止期間での消臭装置６のモータ６ｂ の出力を定常値とする。

【００３２】 暖房スイッチ２ｅがオンされているとき、人が便座３に座ってこれを着座セン サ３ａが検知すると、コントローラ８によって消臭装置６のモータ６ｂが作動し 、ボール部１ａからの空気を吸引して消臭を開始する。このとき、モータ６ｂの 出力はその定常値よりも大きくし、望ましくは温風暖房装置５の送風ファン５ｃ による空気吸引力より優るようにする。なお、このようなモータ６ｂの出力の制 御は、モータ５ｂが直流式であれば電圧を変化させ、交流式であれば周波数を変 えることによって行えることは無論である。

【００３３】 このように、温風暖房装置５を作動させていても、人が便座３に座ればその期 間の間だけ消臭装置６の空気吸引力が定常値よりも大きくなり望ましくは温風暖 房装置５のそれよりも大きくなる。このため、用便中に異臭を含んだ空気はダク ト７から消臭装置６側へ吸引されて消臭され、温風暖房装置５からの臭気の拡散 が防止される。

【００３４】 図４は臭気センサ９による臭気の検知に基づいて消臭装置６の作動の制御を実 行するフローチャートである。

【００３５】 この例では、用便による臭気の発生時期から消臭装置６はその空気の吸引力が 作動中の温風暖房装置５の吸引力よりも大きくなるように制御される。したがっ て、臭気の発生時期に合わせて消臭装置６へ臭気を含んだ空気が吸引され、先の 場合と同様に温風暖房装置５を作動させているときでも臭気の拡散はない。

【００３６】 図５は温風暖房装置５が作動していて人が着座している期間では、消臭装置６ のモータ６ｂの出力を定常値よりも上げると同時に、温風暖房装置５のモータ５ ｂの出力をその定常運転時よりも下げるか停止させる制御のフローチャートであ る。

【００３７】 この例では、人が便座３に座れば消臭装置６の吸引力が上がるのに加えて温風 暖房装置５の吸引力が下がるか又は零となる。このため、先の例と同様に消臭装 置６による消臭が効率よく行われると同時に、温風暖房装置５からの温風の噴出 は少なくなるので、臭気の拡散がより効果的に抑えられる。そして、温風暖房装 置５を停止させる制御であれば、臭気の拡散は全くなく、快適な環境を得ること ができる。

【００３８】 また、着座センサ３ａによる人の着座に基づく制御に代えて、図５において括 弧内に記載しているように、臭気センサ９による臭気の検知に基づく制御とした 場合も全く同様である。

【００３９】 更に、以上のような制御においては、温風暖房装置５の作動を停止させないで も臭気の拡散が防止できるので、たとえば気温が低いときに長時間便所に留まっ ていても寒さを感じることがなく、直ぐに次の人が使う場合でも低すぎない温度 の雰囲気とすることができる。

【００４０】

【考案の効果】

本考案では、人が便座に座ったこと又は臭気の発生の検知に基づいて、温風暖 房装置が作動していても、消臭装置側への空気の吸引を大きくするので、異臭の 除去が確実に行われ、温風暖房装置からの臭気の拡散が抑えることができ、使っ ている人や次に使う人に対して不快感を与えることがない。

【００４１】 また、消臭装置の吸引力の増加に加えて温風暖房装置の吸引力の低下又は停止 の制御を行うようにすれば、消臭装置側への空気の吸引が促進されると同時に温 風暖房装置からの放出が少なく又は零となるので、臭気の拡散がより一層効果的 に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の便座装置の要部の概略であって温風暖
房装置の組み込みを示す一部切欠左側面図である。

【図２】消臭装置の組み込みを示す便座装置の一部切欠
右側面図である。

【図３】人の着座期間を基準とした消臭装置及び温風暖
房装置の制御を示すフローチャートである。

【図４】臭気検知期間を基準とした消臭装置及び温風暖
房装置の制御を示すフローチャートである。

【図５】消臭装置の吸引力の増大と同時に温風暖房装置
の吸引力の低減又は停止の制御を示すフローチャートで
ある。

【図６】温風暖房装置を組み込んだ温水洗浄装置の例を
示す図である。

【符号の説明】

１ 便器本体 ５ 温風暖房装
置 ２ ケーシング ５ｂ モータ ２ｂ 洗浄ノズル ５ｃ 送風ファン ２ｃ 出没口 ６ 消臭装置 ２ｄ 空気孔 ６ｂ モータ ２ｅ 暖房スイッチ ６ｃ 掃気ファン ２ｆ 停止スイッチ ７ ダクト ２ｇ 消臭スイッチ ８ コントロー
ラ ２ｈ 消臭停止スイッチ ９ 臭気センサ ３ 便座 ３ａ 着座センサ ４ 便蓋

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小島 洋一 愛知県春日井市愛知町１番地 愛知電機株 式会社内 (72)考案者 友▲廣▼ 敦志 愛知県春日井市愛知町１番地 愛知電機株 式会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 局部洗浄機能等の電装品を収納したケー
   シングと、該ケーシングに開閉自在に取り付けた便座
   と、該便座に座った人を検知するための着座センサとを
   備え、前記ケーシングを便器本体に固定する便座装置で
   あって、前記ケーシングの内部に、外部から空気を吸引
   して加熱後に温風を放出する室内暖房用の温風暖房装置
   を組み込むと共に、前記便器本体のボール部側から空気
   を吸引して除臭する消臭装置を備え、前記着座センサに
   よる人の着座検知の期間であって且つ前記温風暖房装置
   が動作中は、前記消臭装置の空気吸引力を定常運転時よ
   りも大きくする系を備えてなる室内暖房及び消臭機能付
   き便座装置。
2. 【請求項２】 局部洗浄機能等の電装品を収納したケー
   シングと、該ケーシングに開閉自在に取り付けた便座
   と、便器本体のボール部の臭気を検出する臭気センサと
   を備え、前記ケーシングの内部に、外部から空気を吸引
   して加熱後に温風を放出する室内暖房用の温風暖房装置
   を組み込むと共に、前記便器本体のボール部側から空気
   を吸引して除臭する消臭装置を備え、前記臭気センサに
   よる臭気検知の期間であって且つ前記温風暖房暖房装置
   の動作中は、前記消臭装置の空気吸引力を定常運転時よ
   りも大きくする系を備えてなる室内暖房及び消臭機能付
   き便座装置。
3. 【請求項３】 前記着座センサによる人の検知の期間又
   は前記臭気センサによる臭気検知の期間では、前記消臭
   装置の空気吸引能力を大とすると共に前記暖房装置の空
   気吸引能力を小又は停止させる系を備えてなる請求項１
   又は２記載の室内暖房及び消臭機能付き便座装置。