JPH0681979U - カートリッジ式シーラント押出容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 紙筒胴と板紙製の天蓋と天蓋の中央開口に嵌
着する合成樹脂製の流出管とよりなる天部構造を有する
カートリッジ式シーラント押出容器を得る。 【構成】 周縁に立上り周壁２５を形成した円盤状の板
紙製の天蓋２の中央開口２０に突出筒部３１の下端にフ
ランジ３２を有する合成樹脂製の流出管３を嵌挿接着
し、その天蓋２を紙筒胴１の開口内に嵌入してその立上
り周壁２５を紙筒胴１の開口端縁の内カール部５により
包被して加圧接着固定した天部構造とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は粘稠なシーラントを収容密封し、使用時にその流出管部の封止を開放 して押出しガンにより、シーラントを圧出し得るようにしたカートリッジ式シー ラント押出容器に関し、特に紙筒胴とその上端開口に嵌着する板紙製の天蓋とそ の天蓋の中央に嵌着した合成樹脂製の流出管とよりなる天部構造を有するカート リッジ式シーラント押出容器の提供を目的とする。

【０００２】

【従来の技術】

カートリッジ式シーラント押出容器を、紙筒胴とその一端開口に嵌着固定した 合成樹脂製流出管を有する金属板製の天蓋あるいは流出管を一体に有する合成樹 脂製の天蓋と他端開口内に嵌入したプランジャーとにより構成したものは、例え ば実開昭６０−１３３３７公報，特公平２−６０５８５公報に示されるように従 来公知である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

カートリッジ式シーラント押出容器は、収容シーラントを押出し使用後は、再 使用が不可能で、通常焼却，破砕などの廃棄処分されるものである。 従来のシーラント押出容器において廃棄処分が容易な紙筒胴を用いることは一 般に行われているが、その天部構造として金属板製の天蓋、あるいはこれに合成 樹脂製の流出管を嵌着した天蓋、または流出管を一体とした合成樹脂製天蓋を用 いているため、廃棄処分上の難点を有していた。 したがって、本考案は容器本体として紙筒胴を用いる上記のごとき容器の天部 構造として金属板を用いること無くまた合成樹脂使用量を必要最小限として従来 の難点を解決することを課題とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は紙筒胴の上部開口端にに嵌着する天蓋として板紙製のものを用い且つ 天蓋と紙筒胴端の結合構造ならびに天蓋とその中央開口に嵌着する合成樹脂製の 流出管との結合構造を安定強固になすことによって、前記の課題を解決したカー トリッジ式シーラント押出容器を得たものである。 なお、本考案における板紙製天蓋の両表面ならびに紙筒胴の内表面となる合成 樹脂および流出管の材料である合成樹脂は、いずれもポリエチレン，ポリプロピ レンなどの公知の熱可塑性合成樹脂であり、以下これらは単に合成樹脂と称して 説明する。

【０００５】 本考案の要旨は、上面に合成樹脂層、下面に順次アルミ箔，合成樹脂層を積層 した板紙製の中央開口と立上り周壁を形成した天蓋と、該天蓋の中央開口に挿入 嵌着した突出筒部の下端にフランジを有する合成樹脂製の流出管と、前記流出管 を嵌着した板紙製の天蓋が紙筒の上部開口内に嵌入されて、その立上り周壁を上 部開口端縁のカール部によって包被固定した内面に順次アルミ箔，合成樹脂層を 積層したライニングを設けた紙筒胴とからなる天部構造を有することを特徴とす るカートリッジ式シーラント押出容器にあり、さらに前記の要旨において天蓋の 下面を流出管のフランジ上面に熱融着し、且つ天蓋の立上り周壁の両面とこれを 包被する紙筒胴の内カール部内面とを熱融して固定したこと、流出管の流出口を 、そのフランジ及び天蓋の下面に展張接着したインナーシールにより封止したこ とを包含するものである。

【０００６】 前記において、紙筒胴は複数の紙層を巻回接着積層した紙筒の内面に順次アル ミ箔，合成樹脂層を積層したライニングを設けたものであり、該合成樹脂層はフ ィルムラミネートまたはコーティングにより形成したものである。 天蓋はその素材として板紙の表面に合成樹脂層、裏面に順次アルミ箔，合成樹 脂層を形成した積層板を用い、これを打抜き成形して円板周縁部を曲折した立上 り周壁とその中心に中央開口を形成し、その中央開口と立上り周壁の間が環状の 面板部としたものである。

【０００７】 天蓋の中央開口に嵌着される合成樹脂製の流出管は、突出筒部とその下端外周 方向に突出したフランジを一体に成形したものであって、その突出筒部はそれ自 体を流出ノズルとし、あるいは外周面を雄ねじ部として別個の流出ノズルを螺着 し得るものとするが、いずれの場合においてもその基部外形は天蓋中央開口径と ほぼ一致したものとする。 また、流出管のフランジは、天蓋下面に熱融着されて、流出管を天蓋に強固に 嵌着結合するものであるが、融着の際の熱浸透性を高め且つ容器の容量をできる だけ確保するために、その厚さが必要な強度の範囲内で成るべく薄いものが望ま しく、その形状は一定厚さの円板状または外周に向かって順次薄厚さとしたテー パー面を有する円板状のものとし、その外径寸法は天蓋補強の程度に応じて適宜 に決定すればよい。

【０００８】 本考案容器の天部構造は、紙筒胴と板紙製の天蓋と合成樹脂製の流出管とによ って構成されるが、その製造に当って、流出管を嵌着固定した天蓋を紙筒胴の上 部開口内に嵌挿してその立上り周壁が紙筒胴端縁から一定の深さになるように維 持して、紙筒胴端縁を立上り周壁内面に当接するように屈曲し、ローレット加工 により圧着して立上り周壁を包被した内カール部を形成し、その屈曲圧着加工時 又は内カール部形成後に、高周波あるいは熱風などの公知の加熱手段を加えて立 上り周壁の両面を内カール部の紙筒胴内面に融着せしめる。 上記の天部構造を有した容器内にシーラントを充填した後に、他端開口内にプ ランジャーを嵌入することにより、シーラントを収容した本考案のカートリッジ 式シーラント押出容器が得られる。

【０００９】 なお、前期の流出管のフランジ下面に流出口を封止するように展張接着するイ ンナーシールとしてはアルミ箔の両面に合成樹脂層を設けた積層シートが適当で あり、特に高度な気液遮断性が必要なシーラントを収容する場合には、フランジ 下面を含む天蓋の下面全面にわたって展張接着する場合もあり、また流出管の流 出口が突出筒部上端で封止する一体の盲部を有しあるいは突出筒部から外方に延 出したコーンノズルを有してその先端が封止された場合には、流出口の内部開口 をインナーシールにより二重封止とし又はインナーシールを設けないこともある 。

【００１０】

【作用】

本考案のカートリッジ式シーラント押出容器は前記の天部構造により、その板 紙製の天蓋の中央開口に嵌着した合成樹脂製の流出管のフランジにより天蓋中央 部が補強されるとともに天蓋の立上り周壁が紙筒胴端縁の内カール部によって包 被固定されて特にシーラント押出し内圧による離脱方向の力に耐える結合強度が 得られるれので、従来の金属板製，合成樹脂製の天蓋を用いたものと殆ど変わら ない安定強固な天部強度を有したものとすることができる。

【００１１】 押出容器に封入されるシーラントは、水分と反応硬化するものが多く、このよ うなシーラントを充填密封する場合には、その容器は高い気密性を有することが 必要であり、その気密性は使用前の保管，運搬などのさいの外部環境条件の変化 によっても維持されなければならない。 すなわち、カートリッジ式シーラント押出容器は、容器本体底部に摺動可能に 嵌挿されたプランジャーの外周面が容器本体内周面に密着することにより、気密 性を保つものであり、該容器が気温や日射などのにより昇温した場合には、封入 したシーラントが熱膨脹し、これに伴ってプランジャーは容器本体外方に移動し て内圧上昇を避けることができるが、温度低下によるシーラントの体積収縮のさ いは容器内圧の減少にともなって容器本体の縮径を生じて、プランジャーの容器 本体内方への移動が円滑に行われ難く、往々にして容器内部が減圧状態となり、 プランジャー近傍のシーラントを硬化する問題点があった。 本考案のシーラント押出容器の天部構造は、従来の金属板製，合成樹脂製の天 蓋に比して可撓性の高い板紙製の天蓋を用いているので、収容シーラントの温度 変化による容積変動に応じて天蓋面が容器の内方又は外方へ撓み変形して内部の 圧力変動を著しく緩和することができ、特に降温のさいに、容器内部の減圧状態 の発生を防止し、外気の流入を回避することができる。

【００１２】

【実施例】 以下、図面に示す実施例について説明する。 図１は一部を切欠し要部を断面として示したカートリッジ式シーラント押出容 器の側面図、図２はその肩部の拡大断面図、図３は板紙製の天蓋の斜視図、図４ は合成樹脂製の流出管の斜視図、図５は紙筒胴の一部を切欠断面とした側面図で ある。 図１において紙筒胴１はその内面に順次アルミ箔９１，ラミネート又はコーテ ィングにより形成した合成樹脂層９２よりなるライニング９を有している。 天蓋２は板紙２２の上面に合成樹脂層２１、下面に順次アルミ箔２３，合成樹 脂層２４を積層した素板を、プレス打抜き成形することにより図３に示したよう に中心に中央開口２０、周縁に立上り周壁２５を形成した紙筒胴１の内径に一致 した外形を有した円盤状物である。 流出管３は図４に示したように突出筒部３１の下端に外周に向かって順次薄厚 としたテーパ円板状のフランジ３２を一体に成形した合成樹脂成形品であって、 中心に流出口３３が貫設され、突出筒部３１の外周面にコーンノズル７を螺着す るための雄ねじ部３４を有する。

【００１３】 前記の流出管３の突出筒部３１の外周の雄ねじ部３４の外径は、天蓋２の中央 開口２０径と一致せしめ、流出管３を天蓋２に嵌挿した後、流出管３のフランジ ３２の上面を天蓋２の下面に熱融着して安定した結合状態とし、同時に天蓋２が 補強される。 流出管３の流出口３３は、フランジ３２の下面から天蓋２の下面にわたって張 設したアルミ箔４２の両面に合成樹脂層４１，４３を有するインナーシールによ って封止する。

【００１４】 流出管３を嵌着固定した天蓋２は紙筒胴１の上部開口内へ嵌入してその立上り 周壁２５が紙筒胴１の上端縁から一定の深さになる位置を維持して、紙筒胴１の 上端縁を立上り周壁２５の内面に当接するように屈曲加工して立上り周壁２５を 包被した内カール部５の内外面を加熱圧着することによって立上り周壁２５の両 面の合成樹脂層２１，２４と紙筒胴１内面の合成樹脂層９２とを融着固定して、 強固な天部構造が得られる。 この天部構造を設けた紙筒胴１とその他端開口内に摺動可能に嵌入するプラン ジャー６とによってカートリッジ式シーラント押出容器が得られる。

【００１５】 図５は本容器に適する紙筒胴１の胴壁の積層構造の一例を示した部分切欠断面 図である。 従来一枚の板紙を円筒状に丸めて両端縁を重ね合わせて接着して形成した紙筒 を、容器胴部として用いることは公知であるが、このような紙筒胴は強度が不十 分で、その開口端に蓋板を固定するために、該開口端縁をカール加工する場合に 、その加工圧力によって座屈変形を生じ、また容器内部からの圧力によって変形 破損を生じ易く、またその紙筒内面に紙縁重ね合わせ目の段差を有しているため 、シーラント押出容器の胴部としてプランジャーとの密封性が得難く、とうてい シーラント押出容器に用いることができないものである。 本考案において用いる紙筒胴１は図２に示すように最内層となる合成樹脂層９ ２，アルミ箔９１よりなるライニング９と、紙層８とよりなる積層構造を有し、 その各層は図４に示すようにそれぞれのテープをスパイラル状に巻回して円筒状 に接着することにより形成され、紙層８は、第１紙層８１，第２紙層８２，第３ 紙層８３よりなり、第１，第２紙層はそれぞれテープ側縁相互が衝合わせ目８５ ，８６をなし、第３紙層も衝合わせ目とするのが一般的であるが必要に応じ図の ようにテープ側縁相互が重合わせ目８７となるようにスパイラル巻きされて積層 接着され、紙筒胴１内面に段差を生ずること無く、重合わせ目を有する最外層に よる補強がなされて、開口端縁のカール加工によって座屈変形を生じなく耐圧性 の大なるシーラント押出容器の紙筒胴とすることができる。 なお、必要に応じて上記の紙筒胴１の外面に装飾層を設ける。

【００１６】 図６〜８は流出管３の変形例を示す断面図であり、いずれも天蓋２に対する嵌 着結合構造は実施例の場合と全く同様であるが、その突出筒部３１の形状が異な るものである。 図６は流出管３の突出筒部３１の流出口３３は、突出筒部３１の上端に一体と された盲部３６により封止されており、使用時にＸＸ線で切断して盲部３６を切 除開口し、適宜のノズルを雄ねじ部３４に螺着して使用するものであり、図７は 突出筒部３１の上端から外方に延びるコーンノズル７１を一体に形成したもので あり、使用時にコーンノズル７１の任意の位置で切断切開して使用し、あるいは コーンノズル７１の基部または任意の位置で切断して他のノズルを雄ねじ部３４ に螺着使用するものであり、図８は突出筒部３１の外周面に雄ねじ部を設けるこ となく、上方をコーンノズル７１としたものである。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案によれば板紙製天蓋に対する合成樹脂製の流出管 の嵌着結合並びに該天蓋への紙筒胴開口の嵌着結合が安定強固となるとともに、 板紙製天蓋が流出管のフランジの接着により補強された耐内圧性の天部構造を有 するカートリッジ式シーラント押出容器を得ることができ、該容器は従来の金属 板製の天蓋、合成樹脂製の天蓋を用いた容器に比べて廃棄処分が容易となるなど の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に置ける一部を切欠し縦断面と
して示した側面図である。

【図２】上記の肩部の拡大断面図である。

【図３】板紙製天蓋の斜視図である。

【図４】合成樹脂製の流出管の斜視図である。

【図５】紙筒胴の一部を切欠した断面図である。

【図６】変形した流出管を装着した天蓋を有した容器天
部の断面図である。

【図７】流出管の他の変形例の断面図である。

【図８】流出管のさらに他の変形例の断面図である。

【符号の説明】

１ 紙筒胴 ２ 天蓋 ３ 流出管 ４ インナーシール ５ 内カール部 ６ プランジャー ８ 紙層 ９ ライニング ２０ 中央開口 ２１ 合成樹脂層 ２２ 板紙 ２３ アルミ箔 ２４ 合成樹脂層 ２５ 立上り周壁 ３１ 突出筒部 ３２ フランジ ３３ 流出口 ３４ 雄ねじ部 ４１ 合成樹脂層 ４２ アルミ箔 ４３ 合成樹脂層 ９１ アルミ箔 ９２ 合成樹脂層

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面に合成樹脂層（２１）、下面に順次
   アルミ箔（２３），合成樹脂層（２４）を積層した板紙
   （２３）製の中央開口（２０）と立上り周壁（２５）を
   形成した天蓋（２）と、害天蓋（２）の中央開口（２
   ０）に挿入嵌着した突出筒部（３１）の下端にフランジ
   （３２）を有する合成樹脂製の流出管（３）と、前記の
   流出管（３）を嵌着した板紙製の天蓋（２）が紙筒の上
   部開口内に嵌入されて、その立上り周壁（２５）を上部
   開口端縁の内カール部（５）によって包被固定した内面
   に順次アルミ箔（９１），合成樹脂層（９２）を積層し
   たライニング（９）を設けた紙筒胴（１）とからなる天
   部構造を有することを特徴とするカートリッジ式シーラ
   ント押出容器。
2. 【請求項２】天蓋（２）下面の合成樹脂層（２４）を流
   出管（３）のフランジ（２４）上面に熱融着し、かつ天
   蓋（２）の立上り周壁（２５）両面の合成樹脂層（２
   １）（２４）と、これを包被する紙筒胴（１）内カール
   部（５）内面の合成樹脂層（９２）とを熱融着して固定
   した請求項１記載のカートリッジ式シーラント押出容
   器。
3. 【請求項３】流出管（３）の流出口（３３）を、そのフ
   ランジ（３２）の下面全面を含む天蓋（２）の下面に展
   張接着したアルミ箔（４２）の両面に合成樹脂層（４
   １）（４３）を積層したインナーシール（４）により封
   止した請求項１または２記載のカートリッジ式シーラン
   ト押出容器。