JPH0681838A

JPH0681838A - ハイブリッド空気軸受け

Info

Publication number: JPH0681838A
Application number: JP25410492A
Authority: JP
Inventors: Kiyozumi Fukui; 清純福井
Original assignee: Teijin Seiki Co Ltd
Current assignee: Nabtesco Corp
Priority date: 1992-08-29
Filing date: 1992-08-29
Publication date: 1994-03-22

Abstract

(57)【要約】【目的】高速で損失が少なく、寿命が長く、信頼性の
高い空気軸受けを提供する。【構成】回転軸（２）がケース本体（１）のブッシュ
（４）に空気軸受けを介して回転可能に支承されてお
り、軸の両端部には転がり軸受け（３）が設けられてい
る。転がり軸受けは軸およびケース本体の間に実質的に
遊嵌状態で設けられており、転がり軸受けのインナーレ
ース（３ａ）と軸との間にはゴム製のＯリング（６）が
設けられている。転がり軸受けは定常状態においては軸
とともに回転するが、実質的に無負荷状態であり、軸に
衝撃荷重が作用した場合には転がり軸受けがＯリングを
介して軸を支承し、これにより軸と空気軸受け部として
のブッシュ内周との金属接触が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は空気軸受けに衝突防止装
置を付加することにより、高速で損失が少なく、寿命が
長く、且つ、信頼性の高い空気軸受けを提供するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】空気軸受けは、僅かな軸受け動力（マサ
ツ）損失で、高い回転速度で運転することに適している
が、衝撃的な荷重が付加されたときに、空気の圧縮性に
より容易に変位して金属接触を発生して重大な焼き付き
に進展する。空気の圧縮性に起因するこのような過度応
答特性による信頼性の低さは装置の実用性を著しく損な
い、これまで高速、大容量の空気軸受けは実用されてい
ない。

【０００３】この欠点を補うものとして、空気軸受けを
具備した軸と同軸上に玉軸受けを配し、定常時には軸受
け内輪と軸には適当なスキマを付与するようにし、衝撃
荷重が加わったときに、軸が軸心から大きく動き金属接
触しようとするが、その直前に玉軸受けが荷重を受ける
ようにした衝突防止装置を備えた空気軸受けが提案され
ているが（例えば実開平４−５１３０４号公報）、これ
も高速用途には実用されない。その理由は、定常状態の
軸と玉軸受け内輪との間にスキマを開けているため定常
時は玉軸受けは回転しておらず、荷重が加わり軸と内輪
が当たったときに、玉軸受けが急激に回転を開始し且
つ、荷重を支える。このため、この構造では比較的低速
での用途に限定される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
技術に付随する問題点を解決して、衝撃的な荷重が付加
されたときも焼き付きが生じず、高速で使用でき、寿命
の長い、信頼性の高い空気軸受けを提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
目的を静止部材、該静止部材に対して回転可能な回転部
材、前記静止部材と回転部材との間に設けられた空気軸
受け部材、前記静止部材と回転部材との間に該回転部材
に対して遊嵌状態で設けられた転がり軸受け、並びに弾
性体、磁性流体および粘性状態からなるグループから選
択された１つの材料からなり前記転がり軸受けの回転部
材側レースと前記回転部材との間に設けられ、定常状態
においては前記転がり軸受けが実質的に無荷重状態であ
って前記回転部材側レースが回転部材とともに回転する
ことを許容し、衝撃荷重を受けると前記転がり軸受けが
該荷重を受けるようにする衝撃受容部材からなることを
特徴とするハイブリット空気軸受けにより達成する。

【０００６】

【作用】本発明では当該転がり軸受けと軸受け内輪の一
部に弾性体や、磁性流体、粘性流体等を配し、常時は転
がり軸受けは軸とともに回転はしているが、荷重を受け
ることはないようにし、高速用途でも支障なく機能する
衝突防止装置を持つ空気軸受けを提供するものである。

【０００７】転がり軸受けとしての玉軸受けはボール径
を小さくし、またボールの材質としてはセラミックスを
選ぶなどして軽量化および潤滑特性を向上し無負荷高速
運転に対する配慮は行うことが好ましい。

【０００８】本発明の衝撃受容部材に用いる弾性体は、
応力の増加により生じた変形が、その増加が除去された
ときに完全に消失する固体のことであり、具体的には、
例えばエラストマー（ゴム）などからなるＯリングを用
いることができる。この場合Ｏリングの硬度はＨＳ７０
程度とすることが好ましい。

【０００９】また、本発明の衝撃受容部材として用いる
磁性流体は、油または他の液体に鉄粉を混ぜて作られた
混合物であり、最近、回転軸シールなどに用いているも
のであり、この場合には回転軸の隙間に磁性流体を封入
することにより回転中に液やガスが漏洩することが防止
でき、これにより内外を完全に遮断、密閉するととも
に、その摩擦も殆どないことが知られている。

【００１０】更に、本発明の衝撃受容部材として用いる
粘性流体としては、具体的にはグリースとか高粘度の油
を用いることができる。粘性流体は粘性がかなり大き
く、そのため粘性力が液体中の全力学場において重要な
役割を持つ流体をいい、磁性流体と同様、回転部材と固
定部材の間の隙間に封入される。

【００１１】実施例に示すように回転部材を回転軸と
し、固定静止部材をケースとした場合に、組立時におけ
る玉軸受け外輪（アウターレース）とケースの内径との
隙間、また玉軸受け内輪（インナーレース）と軸外径と
の隙間は大体同程度とし、０．０１０mmから０．０１５
mm程度とすることが好ましい。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を示す添付図面に従い
詳細に説明する。図１は本発明に係るハイブリッド空気
軸受けの断面図であり、ケース本体１は固定脚部を有す
る筒形状をしており、左側壁面の中心部に軸を貫通する
開口１ｂが穿たれている。ケース本体１の軸芯部に軸２
が貫通されており、軸２の軸方向中央部分に対向してケ
ース本体１に円筒状のブッシュ４が取着され、ケース本
体１内に形成された圧縮空気供給通路１ａからブッシュ
４内に放射方向に形成された噴出口４ａを通じて軸受け
用空気が噴出されるようになっている。なお、図２は放
射状に形成された噴出口４ａを示すＡ−Ａ断面図であ
る。上記構成によりケース本体１と軸２との間に空気軸
受けが形成され、軸２はケース本体１内において回転自
在となっている。

【００１３】軸２の空気軸受けを形成されている部分の
左右両側には、一対の転がり軸受け３が設けられてお
り、この転がり軸受け３は軸２に衝撃荷重が作用したと
きにのみ作用する軸受けとなっている。転がり軸受け３
は通常の転がり軸受けに比べてケース本体１および軸２
との嵌合隙間を十分大きくしており（一例として隙間が
０．０１０mm〜０．０１５mm）、軸受けが実質的に遊嵌
状態で軸２とケース本体１の間に装着されている。

【００１４】なお、転がり軸受け３と空気軸受けを形成
しているブッシュ４との間には軸２とケース本体１の間
の空気軸受けから排出された空気をケース本体１に形成
された排気孔１ｃを通して外部へ戻すための小孔５ａを
有するディスタンスピース５が装着されている。

【００１５】転がり軸受け３の内輪（インナーレース）
３ａには、周方向に浅い溝３ｄが形成されており、この
溝３ｄと軸２との間には本発明の衝撃受容部材としての
一例であるゴム製のＯリング６が装着されている。

【００１６】また、ケース本体１の右端部には蓋部材７
が被せられ、ボルト８によりケース本体１に固定されて
おり、軸２の左側先端には例えば工作機械の研削加工用
砥石９が取着されており、また、軸２の右端には軸２を
回転駆動するプーリ１０が取着されている。

【００１７】上記構成からなる本実施例においては、ケ
ース本体１の外部から軸受け用空気が供給され、ブッシ
ュ４と軸２との間に空気軸受けが形成され、軸２は空気
軸受けにより静圧により支承され自由回転可能となる。
この状態でプーリ１０から伝達された駆動力により軸２
は高速回転される。定常状態においては転がり軸受け３
の内輪３ａは軸２とＯリング６を介して接続されてお
り、Ｏリング６により軸受け３の内輪は軸２とともに回
転される。

【００１８】一方、転がり軸受け３の外輪３ｂはケース
本体１に装着されており、この間において転がり軸受け
３のボール３ｃは回転するが、軸２が空気軸受けにより
支承されているため、実質的に転がり軸受け３は無負荷
状態となっている。

【００１９】特に、転がり軸受け３のボール３ｃを小径
とすることにより、高速回転時のボール３ｃとレース３
ａまたは３ｂとの接触面積を小さくし、高速回転時の負
荷を小さくし、無負荷高速回転を可能としている。ボー
ルの大きさは通常の玉軸受けに使われているボールの例
えば５０％程度の大きさとすることが好ましい。また、
転がり軸受け３のボール３ｃはセラミックス（例えば窒
化けい素）とし、軽量化することが好ましい。これによ
り定常状態において、玉軸受け３が殆ど無負荷状態で高
速回転することが可能となる。

【００２０】このような状態の下で軸受け３に衝撃的に
荷重が掛かった場合には、この荷重によりＯリング６が
圧縮され、Ｏリング６はそれにより弾性変形をし、変形
により軸受け３に負荷が掛かり、転がり軸受け３が衝撃
荷重を受け持つことになる。これにより軸２とケース本
体１の軸受けブッシュ４との金属接触を生じることがな
く、空気軸受けが損傷することがない。また、この場合
に衝撃荷重が掛かる前においても転がり軸受け３の回転
部材、すなわち、実施例においてはボール３ｃと内輪３
ａとは軸２とともに高速回転しているために、衝撃荷重
が掛かった場合においても、軸２と軸受け３の回転側と
の間の速度差が殆どない状態であるために衝撃荷重作用
時の軸２と軸受け３との間の速度差による衝撃がなく、
スムースに転がり軸受け３は衝撃荷重を受けることがで
きる。従って、衝撃荷重作用時のショックがなく、従っ
て、軸２を高速回転に使用することができる。

【００２１】以上の説明においては空気軸受けを静圧式
空気軸受けとして構成しているが、本発明は動圧式空気
軸受け装置にも適用することができる。また、上記の実
施例においては衝撃荷重受容部材として弾性体（ゴム製
のＯリング）について説明したが、同様に磁性流体や粘
性流体を用いてもよく、衝撃的な荷重が作用した場合
に、その荷重を受けて、その直前まで回転部材とともに
回転していた軸受け３のレースが荷重を受けるようにす
ることができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば空気軸受けとともに転が
り玉軸受けを設けており、この玉軸受けは定常状態にお
いては実質的に無負荷状態であり、しかも回転部材とと
もに高速回転しているために、回転部材に衝撃的荷重が
作用した場合にも玉軸受けは回転部材と速度差が殆どな
い状態で衝撃荷重を受けることができ、従って、空気軸
受けの金属面が焼き付けを生じることなく、しかも速度
差がない状態で衝撃荷重を受けるため回転部材を高速回
転させる場合に適用することができる。従って本発明に
よれば、高速で損失が少なく、寿命が長く、且つ信頼性
の高い空気軸受けが提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るハイブリッド空気軸受けの断面図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１ケース本体２軸３転がり玉軸受け４ブッシュ４ａ噴出口６Ｏリング６

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】静止部材、該静止部材に対して回転可能
な回転部材、前記静止部材と回転部材との間に設けられ
た空気軸受け部材、前記静止部材と回転部材との間に該
回転部材に対して遊嵌状態で設けられた転がり軸受け、
並びに弾性体、磁性流体および粘性状態からなるグルー
プから選択された１つの材料からなり前記転がり軸受け
の回転部材側レースと前記回転部材との間に設けられ、
定常状態においては前記転がり軸受けが実質的に無荷重
状態であって前記回転部材側レースが回転部材とともに
回転することを許容し、衝撃荷重を受けると前記転がり
軸受けが該荷重を受けるようにする衝撃受容部材からな
ることを特徴とするハイブリッド空気軸受け。
【請求項２】前記回転部材が回転軸であり、該回転軸
に装着された前記転がり軸受けのアウターレースと前記
固定部材との間に前記衝撃受容部材が設けられているこ
とを特徴とする請求項１に記載のハイブリッド空気軸受
け。
【請求項３】前記衝撃受容部材が弾性体であることを
特徴とする請求項１または２に記載のハイブリッド空気
軸受け。
【請求項４】前記衝撃受容部材が磁性流体であること
を特徴とする請求項１または２に記載のハイブリッド空
気軸受け。
【請求項５】前記衝撃受容部材が粘性流体であること
を特徴とする請求項１または２に記載のハイブリッド空
気軸受け。