JPH0680410B2 - 電子秤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、外来電磁波の影響を除去するとともに、秤量
皿の帯電による内部回路の故障を防止する電子秤に関す
る。

（従来技術） 第３図は電子秤の斜視図を示すものであり、同図におい
て、Ａは電子秤のケースである。該ケースＡは上下A1,A
2部分に分離可能であり、プラスチック成型品により形
成される。ケースＡの上部には、重量を測定する商品な
どの被計量物を載置する秤量皿Ｄが設けられている。ケ
ースＡの前面には、被計量物となる商品名あるいはその
商品名を表す略数字記号、数値などを電子秤に入力する
キーボード部と該置数値や重量等を表示する表示部が設
けられている。またケースＡの後部には、仕様プレート
Ｐが貼着されている。ケースＡ内には、第４図に示すよ
うに、重量検出用のロードセルａと、ロードセルａで検
出されたアナログ値の重量信号をデジタル値に変換する
A/D変換器や演算増幅器を用いた増幅回路とローパスフ
ィルタやダイオード、抵抗、コンデンサ等を配置する回
路基板ｂ、図示しないマイクロコンピュータ等からなる
制御装置を設けた回路基板が設けられている。ケースＡ
の上方に設けた秤量皿Ｄは、ロードセルａの可動部に皿
受けｆを介してネジｅにより固定されている。

（従来技術の問題点） このような構成の電子秤において （１）金属性の秤量皿や皿受けを使用すると到来する外
来電磁波が秤量皿Ｄにより捕えられ、これが秤量皿Ｄか
らロードセルａの歪ゲージに流れ、これがたとえば回路
基板ｂ内混入して計量誤差を生じたり、またこれに起因
する雑音成分がコンピュータに混入してこれが誤動作を
起すような場合がある。

（２）これに対処するためには、秤量皿とロードセルと
の間に絶縁物を介装すれば良いが、しかし、帯電した計
量物の載荷により秤量皿が帯電した場合には、その静電
気の逃げ場がなくなるので、皿とケースとの間で或は皿
と作業者との間でスパークし、この雑音成分が回路基板
ｂの何処かに混入して誤動作を起したり、またこれが原
因で回路素子等に故障が生じたりする場合がある。

等の問題があった。

このため、従来は、 （１）導電性の塗料をケース内部に塗布する。

（２）金属体で回路全体をシールドする。

等により上記の不都合に対処していた。しかしながら、 （１）の対応では、塗布された導電性の塗料が剥離しや
すく、また、この導電性の塗料が酸化して抵抗値が増大
しシールド効果が低減するという欠点があった。また、 （２）の対応では、構造が複雑となり、製造コストが高
くなるという欠点があった。

（発明の目的） 本発明は、このような従来技術の問題点の解消を目的と
し、簡単な構成により、外部電磁波の影響を除去すると
共に、秤量皿の帯電による内部回路の故障発生を防止し
た電子秤を提供するものである。

（発明の概要） 本発明は、次のように構成された電子秤を提供すること
により、従来技術の問題点を解決するものである。すな
わち、 その電子秤の構成は、少なくとも重量検出器と、その検
出信号処理を実行する電子回路とをケースで囲撓すると
ともに、該ケース上面に設けた連通口を介して該ケース
上部の導電性の秤量皿と上記重量検出器とを結合して成
る電子秤において、上記ケースの全部または一部を導電
性樹脂材で形成するとともに、上記秤量皿と上記ケース
とを絶縁体を介して機械的に取り付けかつこれらの間を
電気的に接続したものである。

（作用） 秤量皿と導電性ケースが電気的に接続されているため、
電子秤の周囲に到来する電磁波は、この秤量皿とケース
により完全に遮蔽され、内部には影響しない。また、秤
量皿はケースと電気的に接続されているため秤量皿が帯
電しても、静電気はケース並びにケースと接続した電源
グランドを介して放電し、従来のようなスパークは生じ
ない。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。

第１図は、本発明を実施した電子秤の概略断面図であ
る。なお、従来例と同様の構成要素については同一符号
を付し、それらの詳細な説明を省略する。

本発明において、ケースＡ全体を同電位となるよう導電
性のプラスチック材で一体に形成する。導電性のプラス
チック材は、たとえばABS系樹脂、ポリカーボネート樹
脂系など、周知の成形用プラスチック材からなり、第２
図（ａ）に示すように、その中には、太さ５ミクロン〜
25ミクロン程度の太さを有するステンレス製の短繊維Ｆ
が混入されている。このステンレス繊維は、互いに絡み
合って接触しており、このためケースＡ全体が導電性と
なる。ケースＡの一部には、第２図（ａ）に詳細に示す
ように、アース端子Ｅが植設されており、このアース端
子はケースＡの中に混入されているステンレス製の短繊
維Ｆと接触している。したがって、アース端子Ｅを設置
してアースを取れば、ケースＡ全体がアース電位とな
る。またケースＡの内部には、上下のケースA1,A2を組
み付けるスタッドＳが立設されている。このスタッドＳ
の根部にはローレットが切ってあり、その部分は、アー
ス端子Ｅと同様、ステンレス製の短繊維Ｆと接触してい
る。なお、このスタッドＳに上部ケースA1が取り付けら
れるとき、それらのアース電位部分と接触するものであ
る。

なお、導電性のケースＡは、第２図（ｂ）に示すよう
に、ステンレス製の短繊維Ｆを中心部に集めた構造を取
ることもできるし、また、第２図（ｃ）に示すように、
その中心部に、ステンレス繊維にて織られた織布FFを中
心部に集めた構造を取ることもできる。さらに他の実施
例では、ケースＡを構成するプラスチックの中に炭素粉
末を混入したり、ステンレス繊維と同様に、炭素繊維を
混入して、ケース全体を導電性とすることもできる。ま
た、直流電源のグランド端子とケースＡ内の短繊維Ｆと
を接続してケースＡの静電気が電源ラインに流れるよう
にしても良い。

金属製の秤量皿Ｄとロードセルとの間には、絶縁材ｇを
取付けて秤量皿に到来した外部電磁波（高周波電流）が
ロードセルに貼付けた歪ゲージに流れないようにすると
ともに、該高周波電流が歪ゲージに影響しない箇所、例
えば、ロードセルの歪ゲージ貼付反対面と秤量皿とを導
線Ｌで接続する。これによって、秤量皿がアンテナとし
て作用しても、これに誘起した高周波電流は、第１図に
示すように、計量皿Ｄに発生した高周波電圧は、導線Ｌ
から金属線のロードセルａの歪ゲージ取り付け面と反対
側に流れ、ここからロードセルが固定されている金属製
の基板BSを通って、ケースＡの導電部分と電気的に接続
しているスタッドＳを介してケースＡに抜ける。この高
周波電流は、歪ゲージを避けて流れ歪ゲージや回路基板
に伝わらない。さらに、帯電した被計量物の載荷により
秤量皿Ｄに生じた静電気もケースに伝わり、更にケース
と接続したアース線や電源ラインを介して流れるので、
秤量皿とケース或は回路基板などとの間にスパークが発
生しない。

なお、上記実施例では、秤量皿Ｄが金属製であるが、こ
れをプラスチック製のものにしてもよいし、また上述の
如く、ステンレス繊維や炭素繊維を混入したり炭素粉末
を混入して導電性とした秤量皿を用いてもよいことは勿
論のことである。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、ケースの全部又
は一部を導電性樹脂材で形成するとともに、上記秤量皿
と上記ケースとを電気的に接続したので、到来する外部
電磁波の影響で計量誤差が発生するのを防止でき、ま
た、秤量皿の帯電によるスパークやこれによる内部回路
の故障発生等を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の概略の構成図、第２図は本発明の要部
を示す部分断面図、第３図は従来例の斜視図、第４図は
従来例の構成図である。 ａ…ロードセル、ｂ…回路基板、Ａ…ケース、Ｄ…秤量
皿、ｅ…ネジ、ｆ…皿受け、ｇ…絶縁材。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも重量検出器と、その検出信号処
   理を実行する電子回路とをケースで囲撓するとともに、
   該ケース上面に設けた連通口を介して該ケース上部の導
   電性の秤量皿と上記重量検出器とを結合してななる電子
   秤において、上記ケースの全部又は一部を導電性樹脂材
   で形成するとともに、上記秤量皿と上記ケースとを絶縁
   体を介して機械的に取り付けかつこれらの間を電気的に
   接続したことを特徴とする電子秤。
2. 【請求項２】上記導電性の秤量皿は金属製であること特
   徴とする特許請求の範囲第（１）項に記載の電子秤。
3. 【請求項３】上記導電性の秤量皿は導電性合成樹脂製で
   あること特徴とする特許請求の範囲第（１）項に記載の
   電子秤。
4. 【請求項４】上起動電性合成樹脂は、金属繊維を混入し
   て成る導電性合成樹脂であることを特徴とする特許請求
   の範囲第（１）項に記載の電子秤。
5. 【請求項５】上記ケースが電源グランドと接続されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第（１）項に記載の
   電子秤。