JPH06797A - ロータリ式シート切断装置およびその製造方法 - Google Patents

ロータリ式シート切断装置およびその製造方法

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JPH06797A
JPH06797A JP15184192A JP15184192A JPH06797A JP H06797 A JPH06797 A JP H06797A JP 15184192 A JP15184192 A JP 15184192A JP 15184192 A JP15184192 A JP 15184192A JP H06797 A JPH06797 A JP H06797A
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YASUKI SEIMITSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来は、工具鋼などの焼入れした鋼を用いて
刃物を製作していたが、本発明は、低硬度材料を使用し
て、プレス加工のみで刃物を製造したロータリ式シート
切断装置およびその製造方法を提供することを目的とす
る。 【構成】 回転刃、固定刃とも直線刃先とし、2°以上
の大きい剪断角とすることにより切断力と刃先圧接力を
下げて、刃物の硬さがビッカース硬さ 450以下でも刃先
摩耗の発生と摩耗の影響を抑え、シート切断装置として
十分な耐久性を有する安価な刃物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファクシミリ、プリン
タなどの事務機械において、ロール状の紙、フィルムな
どの記録媒体、あるいは布用ファイバー、金属箔等のシ
ートを任意の長さに切断する目的に用いられるロータリ
式シート切断装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のロータリ式シート切断装置は、例
えば実公昭45-16863号公報あるいは実公昭53-7079号公
報に記載された装置のように、回転刃の刃先は円筒面と
その軸心面に対して傾いた面との交差稜として形成さ
れ、一方固定刃はその直線刃先を固定刃に対して圧接し
た構造である。図9は、このような従来構造の刃物の断
面形状を示したもので、回転刃1の刃先3は、回転刃円
筒面4の先端に位置するので、繰り返しの使用によって
刃先部分が摩耗を生じて丸くなった場合は、固定刃5の
刃先6が、既に切断を終了した位置の回転刃の円筒面4
と干渉してこれから切断しようとする位置の刃先同志の
間にある被切断材(図示せず)への剪断応力の集中を妨
げる傾向となるのである。
【0003】そして、従来このような目的に広く使用さ
れている切断装置の刃先は、耐摩耗性を付与する観点か
ら工具鋼などの焼入れした鋼が刃先材料として使用され
るために、素材の機械加工、熱処理、刃先部分の研削加
工の順に製造する方法が最も一般的であった。したがっ
て、従来のロータリ式のシート切断装置は、少なくとも
ビッカース硬さ(以下HVとも書く)で500以上に熱処理し
た工具鋼が刃先材料として用いられている。このような
高硬度の材料は、通常の切削、切断等の機械加工、曲げ
加工などを行なうことは困難であるために、焼なまし状
態でこれ等の加工を施したのち、焼入れ・焼もどし熱処
理によって必要な硬さと靭性を得、次いで刃先部分を研
削加工によって仕上げるという工程を経て加工される。
【0004】また、従来のロータリ式シート切断装置に
おける回転刃と固定刃との刃先の相対的な傾きとして与
えられる剪断角は、ファクシミリ、プリンタなどの事務
用機械に使用されるものでは、約1°程度未満の値が広
く用いられている。実公昭45-16863号公報、実公昭53-7
079号公報あるいは実開平01-121689号公報に記載された
装置では、剪断角は回転刃の刃先線を構成する面の一方
を軸芯線に対して傾けることにより、回転刃と固定刃と
の刃先線を相対的に傾けて与えられているので、剪断角
を大きくするためには、回転刃の軌跡円の半径を大きく
しなくてはならず、装置の大型化を招く結果となるから
である。この種の事務機械では装置の小型化は一般的な
要請であり、この点から従来の装置は回転刃の軸心を大
きく傾けることによる装置の複雑化や大型化を防止する
ため、剪断角を約1°程度未満に抑えているのである。
【0005】次に従来の切断装置が剪断角が1°程度未
満に抑えられている理由を図10を参照しながら、実例
に基づいて説明する。例えば、幅が257mmあるJIS B4サ
イズの紙を切断するカッタはその刃幅を265mmに設定
し、さらに回転刃の直径は、スペースを可能な限り少な
くするため、φ20mm程度に設計される。(剪断角1°
(θ)、直径20mmの時) 直径20mmφの円柱の軸芯に傾きを設けた面によって、回
転刃に1°(θ)の剪断角を与えた時、回転刃の切始め側
と切終わり側の半径方向の角度の差と高さの差を幾何学
的に計算すると角度は27°、高さは4.5mmの差となって
回転刃として十分使用できる(図10A)。(剪断角2°
(2θ)、直径20mmの時) ところが、この回転刃に2θの剪断角を与えようとした
とき、同じようにして切始め側と切終わり側の半径方向
の角度の差と高さの差を計算すると、角度は68°、高さ
の差は9.3mmとなるから、切終わり側では刃物の厚さ
は、0.7mmしかとれず、刃物として使えるものにはなら
ないうえに製造もできなくなる(図10B)。(剪断角2
°(2θ)、直径2Dmmの時)
【0006】そこで、剪断角を2θ与えて、強度的にも
十分な回転刃を得ようとすると、回転刃の直径は40mmに
倍増するので、カッタ全体が占めるスペースは4倍にも
なり、カッタを小型化しようとする要求は満たされなく
なる(図10C)。そのため、従来のカッタの回転刃は、
必然的に必要最小限の剪断角1°前後が与えられている
のである。本発明は、回転刃と固定刃の両刃の刃先線を
2平面の稜で構成して直線刃先とし、両刃に2°以上の
大きな剪断角と互いに逃げ角を与えることによって、刃
物の硬さを従来常識外であったHV450以下でも刃物とし
て使えるようにしたものである。さて、1°の剪断角を
有する切断装置において、例えばファクシミリ用の記録
紙として広く用いられている厚さ 0.065mm程度の感熱記
録紙1枚を剪断する時、刃先にかかる力は、15〜20N(N
はニュートン,1kg=9.8N)程度であり、被切断紙が通常の
複写機で用いられる厚さ 0.08mm程度の普通紙の場合は2
0〜25N程度である。また、このような構造のロータリ式
切断装置において、安定な切断を行なうために必要な刃
先同志を圧接する力は、5〜10N程度に設定するのが普通
である。すなわち、従来の1°程度の剪断角を有する切
断装置では、刃先にかかる力が比較的大きく、安定な切
断を行なうために必要な刃先同志の圧接力も大きいの
で、刃先摩耗を避けることができず、どうしても高硬度
の刃物材料を使う必要があったのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように高硬度の材
料を刃先材として用いるのは、繰り返し切断動作により
刃先部分に生じた摩耗が限度を越すと安定な切断ができ
ない状態すなわち寿命が尽きた状態となるために、刃先
の耐摩耗性を確保することが主目的である。本願発明者
は、シート切断装置の摩耗について検討した結果、シー
ト切断装置の幾何学的設計形状および構造と、刃先部分
に発生する摩耗の進行速度および摩耗限度との間には一
定の関係があることを知見し、切断装置としての所期の
寿命を得るために、従来用いられているように刃先材料
として高硬度の材料を使用することは必須の条件ではな
いことがわかった。このことを考慮すれば、より容易に
加工可能な低硬度の材料を用いて、必要十分な性能を有
する刃物を製造することが可能であることが判明した。
図9に示すような回転刃の刃先3が円筒面4の先端とし
て与えられている場合、固定刃の刃先6は、切断動作毎
に回転刃の刃先3との接触に引き続いて、円筒面4との
摩擦を生じて、刃先の摩耗を助長しているのである。
【0008】したがって、本発明が解決しようとする従
来のロータリ式シート切断装置における課題は大別して
3点ある。第一の課題は切断装置自体の軽量小型化であ
る。第二の課題は刃先に生じた摩耗が切断の安定性に及
ぼす影響を軽減することで、回転刃の刃先の形状を固定
刃の刃先が回転刃の刃先とだけ接触し、上述した円筒面
など他の部分と接触しない形状とすることである。すな
わち、シートを切断すること、および刃先同志の摩擦に
より、たとえ刃先に摩耗が生じても、切味があまり変化
しないで安定した切断を可能とすることである。
【0009】本発明が解決しようとする従来のロータリ
式シート切断装置における第三の課題は、刃先に生じる
摩耗の進行を軽減しようとするものである。一般に金属
の摩耗の進行は、摩擦圧力と摩擦距離に比例するものと
考えられており、ロータリ式シート切断装置の刃先の摩
耗に関しては、摩擦距離は、切断回数に比例するととも
に刃先の形状に依存する。一方摩擦圧力は、刃先の圧接
力に比例し、圧接力を小さくすることは切断力を低下さ
せることになる。そこで本願発明の目的は、刃先の摩擦
圧力すなわち圧接力を軽減しても切断力を低下させない
で、刃先の摩耗を少なくして刃物を長寿命とすることで
ある。本発明は、上述した従来のロータリ式シート切断
装置が有する解決すべき3点の課題を解消することによ
って、従来の高価な材料を用い、しかも複雑な工程を経
て製造されている刃物を、より安価な材料を用いて熱処
理も不用とする簡素な工程によって製造し、しかも必要
十分な耐久性を有するシート切断装置を提供することを
目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、従来の
切断装置が有する第一の課題に対する解決の手段とし
て、刃先を構成する刃物としてプレス打抜きができる程
度の硬さを有する薄い鋼板または鉄板を用いたことであ
り、第二の課題に対する解決の手段を従来の回転刃と固
定刃でなるロータリー式シート切断装置では、剪断角を
付与する手段として回転刃を円筒面の刃先としていたも
のを回転刃、固定刃のいずれも直線刃物としたことであ
り、第三の課題に対する解決の手段を、従来の剪断角の
常識であった値の2倍以上の2°以上の剪断角を与えた
構造としたことにある。第一の手段のような刃物の構造
とすることにより、小型軽量化が可能となり、第二、第
三の手段のような刃物の構造とすることにより、刃先の
摩耗が進行し難く、また刃先の摩耗が切断の可否に影響
し難くなるので、従来用いられているよりも低硬度の材
料を用いて刃物を製造しても十分な耐久性のある切断装
置が得られるのである。
【0011】本発明は、ロータリ式であるシート切断装
置に限定される。具体的には、本願の第1発明は、直線
刃先を有する回転刃と固定刃の少なくとも一方が、ビッ
カース硬さ 450以下の硬さを有し、前記回転刃と固定刃
は、それぞれの刃先線がなす角度のうちの剪断角が2°
以上である構造であり、前記それぞれの刃先線が交差圧
接しシートを切断することを特徴とするロータリ式シー
ト切断装置である。本発明のロータリ式シート切断装置
は、回転刃と固定刃がいずれも直線刃先であること、直
線刃先を有する回転刃と固定刃の少なくとも一方が、ビ
ッカース硬さ 450以下の硬さを有すること、回転刃と固
定刃は、それぞれの刃先線がなす角度のうちの剪断角が
2°以上であることが必須であり、このうちの1つが欠
けても、小型軽量化を達成しつつ安定してシートを切断
できるロータリ式シート切断装置は実現することができ
ない。特に、剪断角を2°以上とすることにより初めて
刃先の硬さをHV450以下とすることができるので、剪断
角と刃先の硬さの規定は密接な関係がある。また第3発
明は、回転刃と固定刃の刃先線が剪断角を形成するよう
に、前記回転刃の刃先線のみ、または前記回転刃および
前記固定刃の両方の刃先線が前記回転刃の回転軸芯線に
対して傾きを有することを特徴とする第1発明に記載の
ロータリ式シート切断装置である。さらに第4発明は、
ビッカース硬さ 450以下の鋼板または鉄板に剪断加工と
曲げ成形を施した直線刃先を有する回転刃と固定刃の少
なくとも一方を製造することを特徴とするロータリ式シ
ート切断装置の製造方法である。
【0012】
【作用】本発明の2°以上の大きい剪断角の設定は、本
発明における刃物の硬さと極めて密接な相互依存性があ
る。以下、この点について説明する。本発明の2°以上
の大きな剪断角は、切断力を軽減するとともに、刃先同
志の圧接力を小さくしても安定な切断を可能とするの
で、摩擦圧力の低減による摩耗の進行を抑制する効果を
生ずるものである。そのため、刃先の硬さをHV450以下
に低くしてもそれほど大きな摩耗は生じない。一方で剪
断角が大きくなるほど、シート切断装置のスペースが大
きくなることは避けられないので、上限はせいぜい5°
位に留めるのが望ましい。さらに望ましくは、3°位に
留めるとスペースも小さく、切断力も軽減できる効果が
ある。2°以上の剪断角を付与するために、回転刃の刃
先線を回転刃の軸芯線に対して傾きを設けてやると、切
断装置全体の体積が大きくなる現象が生ずるが、このよ
うな現象を嫌う用途には、回転刃の刃先線の回転刃の軸
芯線に対する傾きを1°前後に小さくしておいて、さら
に固定刃の刃先線を回転刃の回転軸芯線に対して傾けて
やれば、剪断角2°以上を確保することができる。
【0013】このような大きな剪断角を設けることによ
り、圧接力を小さくできるので刃物相互の摩擦が大幅に
減少する。刃物の摩耗が大幅に減少すると、刃物の硬さ
は従来のように高硬度としなくても十分な耐久性が得ら
れるので、本発明の刃物の硬さはビッカース硬さ450以
下とする。ビッカース硬さが450以下ではプレス打抜き
等の剪断加工や曲げ成形ができるが、ビッカース硬さが
450を越えると、上述の加工を安定して行なうことは難
しくなるので、刃物の硬さをビッカース硬さ 450以下に
限定する。ビッカース硬さの下限は、望ましくはHV50以
上であり、刃物材質としては、鋼以外に真ちゅうなどの
非鉄金属または硬質プラスチックでも構わない。剛性が
小さいと考えられる場合には、刃物を曲げ成形して剛性
を持たせればよいのである。本発明では剪断角を2°以
上とすることにより、選択できる刃物材質の種類が大幅
に増加するという効果がある。
【0014】本発明では刃物の刃先は二平面の交わりと
して形成される稜として与えられて直線刃先となる。具
体的な例でいうと、図4における回転刃刃先3と固定刃
刃先6は、それぞれ二平面の交わりの稜となっているこ
とがわかる。したがって、従来の構造のロータリ式切断
装置のように回転刃の刃先の軌跡と同一の軌跡円筒面が
存在しないために、刃先同志を圧接する構造と相まっ
て、常に刃先の先端同志で被切断材に剪断応力を集中す
ることができる。この構造は同時に、切断終了位置で相
互の刃先が触れ合うことがないために不必要な刃先同志
の摩擦を避けることができる点で、実質的に摩擦距離を
低減する効果により、刃先の摩耗を軽減する効果を有す
るものである。
【0015】次に本発明のロータリ式シート切断装置の
製造方法について述べる。本発明の刃物の硬さはビッカ
ース硬さ 450以下であり、市販の1〜2mm程度の薄いばね
用鋼板や鋼帯、鉄板、または非鉄金属をプレス等で打ち
抜くだけで次の曲げ加工に供給される。ただし、打抜き
時のバリが発生する場合には必要に応じてバリを除去す
ればよい。従来の刃物は熱処理を前提としていたので、
焼入・焼もどし等の熱処理が必要であったが、本発明は
その必要がなく、この点が本発明の特徴の一つである。
ただし、本発明では基本的には薄い材料を用いるので、
剛性も小さくなる。そこで、剛性を高める目的と刃物自
体の取付のために曲げ加工を行なうとよい。これが本願
の第3発明である。曲げ成形での断面形状はL字型が最
も製作が簡単なので望ましい。しかし、L字型の2面の
なす角度の設定は自由であり、90°より大きくした
り、小さくしたり自由に変えることができ、その角度は
問わない。また、L字型以外の断面形状とすることもで
き、図5〜図8は、L字型以外の断面形状の例であり、
これ等の断面形状を複数で組み合わせた刃物とすること
もできる。上述の説明からもわかるように、本発明の刃
物の曲げ成形とは、成形後の断面形状はどのようなもの
であってもよく、打抜いた平面の材料に何等かの曲げ加
工が加わっておれば十分である。本発明のロータリー式
シート切断装置は、剪断角を大きくする工夫により、硬
さの低い薄い鋼板または鉄板を刃物材質として選択する
ことができるので、軽量化と小型化が達成できる。
【0016】
【実施例】
(実施例1)図1は、本発明の一実施例を示す正面図
で、図2は図1の断面図である。これらは一般的な紙の
サイズであるA4サイズの幅(切断幅 225mm)のロータ
リ式シート切断装置を示しており、回転刃1は、JIS G
4313に規定されているばね用ステンレス鋼帯(SUS304-CS
P,調質の記号:1/2H(硬さHV310以上の規定)、実際の鋼帯
の硬さ HV320、厚さ 1.2mm)の板材を略L形断面に曲げ
て製作し、回転刃軸芯2に対して、2°傾いた直線の回
転刃刃先3を設けて回転刃と固定刃の刃先線がなす剪断
角θ3を2°とした。固定刃5は、回転刃と同じ材質と
厚さで、同じように略L形断面に曲げて製作し、固定刃
刃先6を回転刃1に圧接した。この刃先材質は、元来板
ばね用の材料であり、硬さがHV320程度であるので、従
来の機械加工、熱処理、研削加工を経て製造される刃物
に比較して、飛躍的に生産性の高いプレスによる打抜
き、曲げ加工によって刃物を製作できた。
【0017】このようにして製作したロータリ式シート
切断装置は、従来よりも大きな剪断角を有しており、切
断時に刃先に作用する力は従来のものより小さい。本発
明によれば、ファクシミリ用の厚さ 0.065mm程度の感熱
記録紙1枚を切断するとき刃先にかかる力は、8〜12N程
度、被切断紙が通常の複写機で用いられる厚さ 0.08mm
程度の普通紙の場合は、10〜14N程度でそれぞれの紙の
厚みに対応する刃先にかかる力は、1°の剪断角を有す
る従来の刃物に比較して40%ないし50%軽減できる。ま
た、安定な切断を行なうために必要な刃先同志を圧接す
る力は3〜5N程度で十分であり、従来の刃物の約半分で
よい。この実施例のロータリ式シート切断装置を、ファ
クシミリ用の厚さ 0.065mmの感熱記録紙を切断する試験
を行なったところ連続して12万回以上切断することがで
きた。この切断回数は、通常の事務用として使用される
ファクシミリ用の切断装置としては十分な耐久性を有す
るものである。しかし、この構造では、幾何学的な理論
上から刃先同志の干渉が大きくなるので、駆動源にやや
大きい負担がかかる。
【0018】(実施例2)図3は、本発明の別の実施例
を示す正面図で、図4は図3の断面図である。実施例1
と同じA4サイズの幅(切断幅 225mm)のロータリ式シ
ート切断装置を示しており、その回転刃1は、JIS G 48
02に規定されているばね用冷間圧延鋼帯(S50C-CSP,調質
の記号:R(冷間圧延ままのもの、硬さHV230〜270の規
定)、実際の鋼帯の硬さ HV240、厚さ 1.2mm)の板材をL
形断面に曲げて製作し、その回転刃軸芯2に対して、θ
1を0.8°傾いた直線の回転刃刃先3を設け、固定刃5は
回転刃1と同じ材料により、同じようにL形断面に曲げ
て製作して固定刃刃先6は、回転刃の軸芯2に対して剪
断角を増す向きにθ2を1.2°傾けて、回転刃1に圧接し
たので、固定刃と回転刃の刃先線が相対的になす剪断角
はθ3は2°であり、ファクシミリ用の厚さ 0.065mmの感
熱記録紙を連続して12万回以上切断することができるこ
とを確認した。このような刃物の構成とした場合は、回
転刃の刃先の回転径が小さい割に大きな剪断角が得ら
れ、切断装置全体を小型なものとすることができた。
【0019】(実施例3)本実施例は、図3、図4に示
す切断装置の構造を用い、実施例2よりも大きい紙用の
本発明の別の実施例を示すもので、B4サイズの幅(切
断幅 265mm)のロータリ式シート切断装置である。回転
刃1、固定刃5とも、実施例2に示すものと刃物の大き
さ以外は同じ構造のもので製造したので剪断角θ3は2°
である。刃物の材料としてはJIS G 3141に規定されてい
る冷間圧延鋼帯(SPCC,調質区分:1/8硬質(硬さ HV95〜13
0の規定)、鋼帯の実際の硬さ HV125,厚さ 1.6mm)を用
い、プレス打ち抜き加工後、刃先となる部分の打ち抜き
加工時に生じたダレと破断面の凹凸を取り除く目的で、
エンドミルによる機械加工により3.2S程度の表面粗さに
まで加工した後、曲げ加工を行なった。この場合でもフ
ァクシミリ用の厚さ 0.065mmの感熱記録紙を連続して4
万回以上切断できることが確認された。個人用や家庭用
のファクシミリなどの用途としては十分許容できる程度
の耐久性を有するものであり、この場合にはより一層安
価な材料を用いてシート切断装置を製造することができ
た。
【0020】(実施例4)実施例2で示した図3,4と
同じ構造のロータリ式シート切断装置を用い、回転刃1
はJIS G 4313に規定されているばね用ステンレス鋼帯(S
US304-CSP,調質の記号:1/2H(硬さHV310以上の規定)実際
の鋼帯の硬さ HV320,厚さ 1.2mm)の板材で製作した。固
定刃5はJIS G 4313に規定されているばね用ステンレス
鋼帯(SUS631-CSP,調質の記号:3/4H、鋼帯の硬さHV410)
を用い、L形断面に曲げて製作した後、析出硬化熱処理
を施してHV455とした。この固定刃と回転刃を組合せた
ロータリ式シート切断装置で、ファクシミリ用の厚さ
0.065mmの感熱記録紙を切断する試験を行なった。刃先
部分は、硬さが低い回転刃の方が摩耗がやや進行しやす
い傾向が認められたが、特に異常はなく、12万回以上切
断することができた。
【0021】(実施例5)図3,4に示す構造の切断装
置を用い、回転刃1はJIS G 4313に規定されているばね
用ステンレス鋼帯(SUS631-CSP,調質の記号:3/4H、鋼帯
の硬さHV410)を用い、L形断面に曲げて製作した後、析
出硬化熱処理を施してHV459とした。固定刃5は、JIS G
4313に規定されているばね用ステンレス鋼帯(SUS304-C
SP,調質の記号:1/2H(硬さHV310以上の規定)実際の鋼帯
の硬さ HV320,厚さ 1.2mm)の板材で製作した。回転刃1
には、回転刃軸芯2に対しθ1を0.8°とした直線の回転
刃刃先3を設け、固定刃5は回転刃軸芯2に対してθ2
を1.2°として、回転刃刃先3と固定刃刃先6の刃先線
が相対的になす剪断角θ3を2°としてある。この切断装
置でファクシミリ用の厚さ 0.065mmの感熱記録紙を切断
する試験を行なった。刃先部分は、硬さが低い固定刃の
方が摩耗がやや進行し易い傾向が認められたが、特にと
りあげるほどの以上はなく、12万回以上切断することが
できた。
【0022】(実施例6)図3,4に示す構造の切断装
置を用い、回転刃1と固定刃5をJIS G 4802に規定され
ているばね用冷間圧延用鋼帯(S50C-CSP,調質の記号:R
(冷間圧延ままのもの、硬さ HV230〜270の規定)、実際
の鋼帯の硬さ HV240,厚さ 1.2mm)板材をL形断面に曲げ
て製作した。 そして、(1)θ1 1.0°,θ2 1.9°,θ3 2.9° (2)θ1 1.8°,θ2 2.2°,θ3 4.0° (3)θ1 2.0°,θ2 2.7°,θ3 4.7° として、θ.を3.0°、4.0°、5.0°に振らせて切断装置
を組立て、感熱記録紙の切断試験を行なった。剪断角で
あるθ3が大きくなるにつれ、切断装置が必要とする占
有体積が大きくなったが、切断状況に特に異常はなく、
12万回以上切断することができた。
【0023】(実施例7)比較例として図1に示す構造
の切断装置を用い、回転刃1と固定刃5をJIS G3141に
規定されている冷間圧延鋼帯(SPCC,調質区分:1/8硬質
(硬さ HV95〜130の規定)、鋼帯の実際の硬さ HV125,厚
さ 1.6mm)を用いて製造した。次いで、剪断角θ3を1.5
°に設定して組立て、感熱記録紙の切断試験を行なっ
た。本実施例では、剪断角θ3が小さいため、刃先に加
わる圧接力が大きくなって、早期に刃先摩耗が発生し、
約5万回切断した時に、切れ味が非常に悪くなった。
以上説明した本実施例の内容を表1にまとめて示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば真直な刃先を剪断角2°
以上で交差圧接することにより、刃先にかかるシートか
らの応力および圧接力を小さくして刃先の摩耗を低減し
て長寿命の切断装置が得られる。また、剪断角を2°以
上とすることで刃先にかかる応力や圧接力を小さくする
ことにより、刃物の硬さをビッカース硬さ 450以下に低
くすることができるので、刃物に機械加工後の熱処理を
必要としない上、安価な鋼板または鉄板のプレス打抜き
や曲げ成形が可能となり、軽量な刃物とすることがで
き、かつ非常に安価に製造できる。本発明のロータリ式
シート切断装置は、剪断角を2°以上とすることで刃物
にかかる負荷が小さくなるので、ビッカース硬さが450
以下の非鉄金属やプラスチックを刃材とすることがで
き、刃物材質の選択の幅が広がる効果もある。本発明の
ロータリ式シート切断装置は、上記のように材料と構造
および製法に特徴があるのでファクシミリやキャッシュ
レジスタなどの事務機械用のシート切断装置として必要
十分な耐久性を有するロータリ式シート切断装置を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロータリ式シート切断装置の一実
施例を示す正面図である。
【図2】本発明に係るロータリ式シート切断装置の一実
施例を示す図1の断面図である。
【図3】本発明に係るロータリ式シート切断装置の別の
実施例を示す正面図である。
【図4】本発明に係るロータリ式シート切断装置の別の
実施例を示す図3の断面図である。
【図5】本発明に係る曲げ成形された切断装置の一実施
例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る曲げ成形された切断装置の他の実
施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る曲げ成形された切断装置のさらに
他の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明に係る曲げ成形された切断装置のさらに
他の実施例を示す断面図である。
【図9】従来のロータリ式シート切断装置の一例を示す
断面図である。
【図10】従来のロータリ式シート切断装置において
は、剪断角が1°程度であることを説明する概念図であ
る。
【符号の説明】
1 回転刃 2 回転刃軸芯 3 回転刃刃先 4 回転刃円筒面 5 固定刃 6 固定刃刃先 7 ガイド θ 従来品の剪断角 θ1 本発明の回転刃の傾き θ2 本発明の固定刃の傾き θ3 本発明の剪断角

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線刃先を有する回転刃と固定刃の少な
    くとも一方が、ビッカース硬さ 450以下の硬さを有し、
    前記回転刃と固定刃は、それぞれの刃先線がなす剪断角
    が2°以上である構造であり、前記それぞれの刃先線が
    交差圧接しシートを切断することを特徴とするロータリ
    式シート切断装置。
  2. 【請求項2】 回転刃と固定刃の両刃は互いに逃げ角を
    有することを特徴とする請求項1に記載のロータリ式シ
    ート切断装置。
  3. 【請求項3】 回転刃と固定刃の刃先線が剪断角を形成
    するように、前記回転刃の刃先線のみ、または前記回転
    刃および前記固定刃の両方の刃先線が前記回転刃の回転
    軸芯線に対して傾きを有することを特徴とする請求項1
    に記載のロータリ式シート切断装置。
  4. 【請求項4】 ビッカース硬さ 450以下の鋼板または鉄
    板に剪断加工と曲げ成形を施した直線刃先を有する回転
    刃と固定刃の少なくとも一方を製造し、前記回転刃と固
    定刃の刃先線がなす剪断角が2°以上となるように組み
    立てることを特徴とするロータリ式シート切断装置の製
    造方法。
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