JPH0678741A - ワインの製造方法 - Google Patents

ワインの製造方法

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JPH0678741A
JPH0678741A JP4231928A JP23192892A JPH0678741A JP H0678741 A JPH0678741 A JP H0678741A JP 4231928 A JP4231928 A JP 4231928A JP 23192892 A JP23192892 A JP 23192892A JP H0678741 A JPH0678741 A JP H0678741A
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章 舟橋
Hideo Kuwahira
秀夫 桑平
Shinji Iwazawa
伸次 岩沢
Takashi Kikuchi
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 風味成分を添加することなく、かつ特に複雑
な工程を加えることなくワインの風味を改善できる方法
を提供する。 【構成】 ブドウ果汁を含むワイン原料を気密状態下で
加圧発酵させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、まろやかでこく味のあ
るバランスのとれた優れた風味のワインを製造できる方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、甲州種のような比較的淡泊な味の
ブドウから得られるワインを辛口に仕上げた場合、淡泊
でこく味がなく特徴のないワインしかできなかった。ま
た、中国産の白羽種ブドウを原料とした場合でも、酸味
が強く、固い淡泊なワインしかできなかった。
【0003】また、加圧状態を経るワインの製造方法
で、酵母の自己分解に伴うペプチド、アミノ酸などの増
加により製品の風味が影響されるものに、シャンパン
(Champagne)の製造方法がある。しかし、シャンパン
は一旦出来上ったワインに更に糖と酵母を加え、密封し
て再発酵させて発泡酒に仕上げるものである。この再発
酵は通常瓶詰めした密封状態で行われ、瓶内は加圧状態
となる。シャンパンの製造においては、再発酵終了後も
澱とワインは分離されずに瓶内に置かれる結果、シャン
パン独特の発泡性と熟成により産生される香り、いわゆ
るブケーが生じる。このように、シャンパンは、一旦発
酵させた後、再発酵させて強い発泡性を持たせ、かつ飲
用時に非常に微細な持続性のある起泡を得るもので、一
旦発酵させた後再発酵させるという手間を要し、風味も
全く異なった発泡酒である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、まろ
やかでこく味のあるワインの製造方法、なかでも甲州種
や白羽種のような比較的淡泊なブドウを原料とした場合
においてもまろやかでこく味のあるワインを製造できる
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のワインの製造方
法は、ブドウ果汁を含むワイン原料に酵母を加え、気密
状態下で加圧発酵させることを特徴とする。すなわち、
本発明のワインの製造方法は、発酵に先だってブドウ果
汁を含むワイン原料に酵母を加え、これを気密密閉容器
内で、すなわち気密状態下で発酵させ、発酵とともに生
成する二酸化炭素等により該容器内圧が高まり、終始殆
ど加圧下で発酵させる方法で、これにより、通常の発酵
法によるワインよりもまろやかでこく味のあるバランス
のある優れた風味のワインを得るものである。
【0006】本発明において、「気密状態下」とは、内
圧が上昇可能な密閉雰囲気を意味し、具体的には密閉構
造を有するタンク、瓶、缶及び樽等の容積変化の少な
い、あるいはほとんどない容器を用いて気密状態を得る
ことを意味する。
【0007】従来、甲州種や白羽種のような比較的淡泊
な味のブドウを原料としたワインの風味は、その果実成
分に起因し、特徴のない淡泊な味にしかならなかった。
こうしたワインの味とその成分との因果関係について
は、特定の成分とワインの風味の関係が明らかにされつ
つあり、アミノ酸などの窒素化合物がある程度多い方が
こく味があり、うま味があるといわれている。
【0008】ところで、甲州種はアミノ酸などの窒素化
合物が少ないためその味は淡泊で固い感じがあり、また
白羽種は甲州種よりもアミノ酸含量は多いが、酸が多す
ぎて味にバランスが取れておらず淡泊に感じるものと考
えられていた。
【0009】そこで、本発明者らは、味の淡泊なブドウ
を原料とした場合に、味のうまさとしての風味成分を添
加することなく、ワイン中の風味成分を増強し、かつ風
味不良成分を減少させる方法を種々研究した結果、密閉
容器内で加圧発酵を行うことによって、甲州種や白羽種
のような淡泊なワインを原料とした場合、まろやかでこ
く味のあるワインを得ることができること、またこの加
圧発酵法が他の品種のブドウを原料とした場合にも効果
的であることを新たに見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0010】本発明の方法は、風味成分を添加すること
なく、ワイン中の風味成分を増強できるという利点に加
えて、複雑な製造工程を必要とせず、製造時間あるいは
管理上大きな負担をかけることなく、ワインの風味を改
良できるという利点を有する。
【0011】なお、ワイン製造において加圧発酵による
風味の改良に関する報告等はなく、ビール醸造において
加圧による発酵制御に関する研究報告がある。しかしな
がら、このビールの加圧発酵は、香気成分の制御の可能
性をみたもので、風味の改善を意図したものではなく、
本発明の加圧発酵によるワインの風味の改善について何
等示唆するものではない。また、前述したシャンパンの
製造における加圧状態での再発酵は、アルコール発酵を
行った後の発泡性を得るためのものであり、本願発明の
方法とは本質的に異なる。
【0012】すなわち、本発明の方法では、果汁等を含
むワイン原料に、糖の含有量が少ないときは必要に応じ
て適量補糖後、これに酵母を接種して気密状態下にお
く。例えば、容器を密閉し(補糖は発酵中でも良い。こ
のとき一時的に容器内の加圧状態を破ることがあるが、
再び密閉するとで遅滞なく加圧状態に復帰するので問題
はない。)、発酵によって生成する二酸化炭素等によっ
て容器内を加圧状態として(発酵前に二酸化炭素を圧入
してもよい。)発酵を継続させ、酵母の代謝に変化を起
こさせてワインの風味を改良する。
【0013】このワイン風味の改良は、気密状態下に発
酵させることにより、発酵雰囲気中に二酸化炭素を主と
するガスが充満し、一部は発酵基質中に溶解してこれが
酵母の増殖態様、消長に影響し、酵母がワイン原料を基
質として増殖する過程でその代謝系になんらかの変化を
きたすからではないかと考えられる。その結果、おそら
く風味成分の組成や含量に変化が起き、風味良好成分が
増加し、あるいは風味不良成分が減少するからではない
かと考えられる。
【0014】本発明の加圧発酵方法に用いるワイン原料
は特に限定されず、ブドウ果汁を含む常法により調製さ
れたものが利用できる。例えば、常法によりブドウを破
砕、除梗した後、圧搾して得たものをワイン原料として
用いることができる。ワイン原料の組成は、目的とする
ワインの種類に応じて選択する。ワイン原料の調製に使
用するブドウの品種としては、白の場合は甲州種や白羽
種がよいが、リースリング、シャルドネ、セミヨン等の
白ワインの製造に利用されている品種や、また赤ワイン
の場合には、マスカットベリーA、カベルネソービニヨ
ン、メルロー等の赤ワインの製造に利用されて品種を挙
げることができるが、これらに限定されることはない。
ワイン原料の調製にあたっては、ブドウの破砕時に、酸
化防止、野生酵母や雑菌の増殖防止のために亜硫酸を常
法どおり加えても良い。
【0015】このようにして得られたブドウ果汁を含む
ワイン原料を、気密状態下におくため密閉できる容器に
入れ、これに酵母(酒母あるいは乾燥酵母でもよい)を
常法の範囲内で接種したあと、容器を密閉して、所定の
温度で発酵を行う。容器は、内圧に対する耐圧性を有す
るものを用いる。
【0016】ブドウ果汁を含むワイン原料は、その仕込
みに際して、果汁の糖含量により必要に応じて酒税法の
許可範囲内で適量補糖する。糖は酒税法で認可された砂
糖、ブドウ糖、果糖のいずれか、またはこれらの2種以
上の組合せでも良い。また、補糖は発酵中に行っても良
い。この発酵中の補糖を容器内の圧力を一旦開放して行
う場合には、補糖時に容器内の加圧状態を破ることにな
るが、補糖後に容器を再び密閉すると容器内圧は遅滞な
く上昇し加圧状態に復帰するので問題はない。また、果
皮、種子等を混在させて発酵を行い、発酵中にこれらを
除去する場合でも、発酵中の補糖と同様に、容器内の加
圧状態を一旦破っても、再び密閉することで遅滞なく加
圧状態が得られるの問題はない。
【0017】使用酵母は、普通ワイン醸造で使用される
ワイン酵母が良い。発酵温度は、白ワインの場合は品質
上いわゆる低温発酵(20℃以下)がよく、赤ワインの
場合は醸し発酵(果汁、果皮、種子の混合状態での発
酵)は25℃〜30℃がよい。また、醸し発酵後、後発
酵する場合は20℃内外がよい。発酵時の圧力は、0.
5Kg/cm2(ゲージ圧)以上あればよいが、安全上
から通常は0.5〜5Kg/cm2(ゲージ圧)あれば
本発明の目的は充分達成できる。実際には、最適圧力は
ブドウの品種やその他の条件で変わるので、上記の範囲
から適宜選択して決定すればよい。
【0018】発酵期間は、目標とするワインのタイプに
よって決定する。すなわち、甘口にする場合は糖をある
程度残す必要があるので短く設定し、辛口の場合は殆ど
糖を消費させる必要があるので長く設定する。発酵進捗
管理は比重測定によって正確に行うことができるが、簡
便法として屈折糖度計を用いたBrix(糖度)管理でも充
分可能である。発酵の停止は、減圧して亜硫酸を添加す
る方法、冷却する方法等の常法によって行うことがで
き、その後濾過等の通常行われている処理工程を経て瓶
詰めを行い、必要に応じて熟成させて製品とする。
【0019】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。
【0020】実施例 中国産ブドウ白羽種を破砕、除梗し、圧搾して得た果汁
9リットルを2本の10リットル容耐圧容器に入れた。
1本は加圧発酵、他の1本は常法による非加圧発酵(対
照)とした。なお、破砕時にメタ重亜硫酸カリウムを2
00ppm(亜硫酸として100ppm)添加した。加
圧発酵区、対照区ともブドウ糖により22g/100ミ
リリットルまで補糖し、ワイン酵母W−3を用いた酒母
を果汁に対して3容量%加えた。その後、加圧発酵区は
容器を気密密閉し、対照区はコックを開放して、それぞ
れ15〜17℃で発酵を行わせた。加圧発酵区では発酵
開始とともに容器内の圧力(気相)は上昇し、酒母添加
4日後に最高圧力4.2Kg/cm2(ゲージ圧)に達
した。もちろん対照区の圧力上昇は認められなかった。
対照区は酒母添加後9日で目標のBrix(糖度)に達した
ので発酵を停止させた。一方、加圧発酵区では目標のBr
ixを得るのに対照区の2倍の期間を要した。発酵終了
後、それぞれ濾過、瓶詰めを行い、利き酒及び分析を行
った。なお、利き酒は5名からなる専門パネルにより実
施した。
【0021】加圧発酵ワイン及び対照ワインの利き酒結
果は表1に示した。利き酒の評価法は、評価尺度を1〜
5の5段階、すなわち1が「劣る」、2が「やや劣
る」、3が「ふつう」、4が「やや優れる」、5が「優
れる」の5段階とし、評価点数が4以上であれば本発明
の目的が達成されたとされる。
【0022】一方、評価項目として、味、香り及び総合
の3項目を用いた。味の評価は、こく味及びまろやかさ
について行った。また、総合評価は、こく味及びまろや
かさを含めた全体としての風味の評価であって、こく
味、まろやかさ、香りと同様に独立した項目としている
のでこれらの各評価点から算出したものとは必ずしも一
致しない。
【0023】利き酒を行った結果、本発明の方法により
気密状態下で発酵した加圧発酵ワインが、従来法のワイ
ンより優れ、高い評価を受けた。その違いは主として味
によるものと考えられた。このことは、パネルによる評
価のコメントにおいてもうかがわれた。 一方、従来法
による対照ワインは、どちらかというと味における欠点
の指摘が多く、風味がよいとはいえず、本発明は優れた
風味の改善効果があることがわかった。
【0024】なお、風味の点で高い評価を受けた本発明
の方法による加圧発酵ワインの分析を行ってみたとこ
ろ、表2の結果を得た。表2の結果から明らかなよう
に、本発明の方法による加圧発酵ワインは対照ワインよ
りも明らかに全窒素及び遊離アミノ酸が多く、それぞれ
従来の対照ワインの1.6倍、1.2倍となっていた。
一方、通常ワインにおいては香りの成分とされるイソア
ミルアルコールは少ない方がよいとされるが、表2に示
すとおり本発明の方法による加圧発酵ワインの方がイソ
アミルアルコール含量が少なく、従来の対照ワインの5
8%となっていた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、従来の方法では淡泊で
特徴のない酒質にしかならないブドウから、まろやかで
こく味のあるバランスのとれた、優れた風味のワインを
簡単な製造工程で得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブドウ果汁を含むワイン原料に酵母を加
    え、気密状態下に加圧発酵させることを特徴とするワイ
    ンの製造方法。
  2. 【請求項2】 発酵中に補糖する請求項1に記載のワイ
    ンの製造方法。
  3. 【請求項3】 補糖される糖類として、ショ糖、ブドウ
    糖及び果糖のうち少なくとも1種を用いる請求項2に記
    載のワインの製造方法。
  4. 【請求項4】 ブドウ果汁が、甲州種及び白羽種のブド
    ウの少なくとも1種の果汁である請求項1〜3のいずれ
    かに記載のワインの製造方法。
  5. 【請求項5】 気密状態での圧力が、0.5Kg/cm
    2以上である請求項1〜4のいずれかに記載のワインの
    製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100457707B1 (ko) * 2001-11-21 2004-11-17 유황렬 거봉 포도를 이용한 증류식 포도주의 제조방법
JP2010200651A (ja) * 2009-03-02 2010-09-16 Sapporo Wine Kk ワインの製造方法
US10420250B2 (en) 2015-08-19 2019-09-17 Fujitsu Limited Shutter unit and electronic apparatus
CN113150901A (zh) * 2021-03-24 2021-07-23 山西戎子酒庄有限公司 一种低温酿酒葡萄发酵方法
CN114591797A (zh) * 2022-04-26 2022-06-07 中国农业大学 一种用于混酿葡萄酒的基酒酿造方法及基酒

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