JPH0678597B2 - 耐食性、溶接性および表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板 - Google Patents

耐食性、溶接性および表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板

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JPH0678597B2
JPH0678597B2 JP8853689A JP8853689A JPH0678597B2 JP H0678597 B2 JPH0678597 B2 JP H0678597B2 JP 8853689 A JP8853689 A JP 8853689A JP 8853689 A JP8853689 A JP 8853689A JP H0678597 B2 JPH0678597 B2 JP H0678597B2
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    • C25D11/00Electrolytic coating by surface reaction, i.e. forming conversion layers
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐食性および溶接性に優れ、そして、良好
な表面色調を有する、缶用材料として好適な電解クロメ
ート処理鋼板に関するものである。
〔従来の技術〕
鋼板の少なくとも一つの表面上に、下層としての金属ク
ロム層と、そして、金属クロム層の上に形成された、上
層としての水和クロム酸化物層とからなるクロメート被
膜を有する電解クロメート処理鋼板は、耐食性のみなら
ず、クロメート被膜と、その上に形成された塗料被膜と
の間の塗料密着性にも優れており、そして、錫メッキ鋼
板に比べて安価である。従って、電解クロメート処理鋼
板は、例えば、食缶、ペール缶、18缶およびオイル缶
のような缶の材料として、錫メッキ鋼板に代って、広く
使用されている。
このような電解クロメート処理鋼板製の缶には、上蓋を
底蓋とそして有機樹脂や特殊セメント等の接着剤によっ
て継目が接着された胴とからなる接着缶(3ピース
缶)、および、コップ状の缶体および胴からなる2ピー
ス缶がある。
しかしながら、電解クロメート処理鋼板は、上蓋と、底
蓋と、そして、電気抵抗溶接によって継目が溶接された
胴とからなる溶接缶の材料としては、あまり使用されて
いない。その理由は、電解クロメート処理鋼板の溶接性
が悪いからである。ところが、溶接缶は、継目の強度が
高いので、近年、その需要が高まっている。従って、電
解クロメート処理鋼板を溶接缶の材料として使用するた
めに、その溶接性の向上が要求されている。
電解クロメート処理鋼板の溶接性が悪い原因は、次の通
りである。即ち、クロメー被膜を形成する、下層として
の金属クロム層および上層としての水和クロム酸化物層
は、共に非熱伝導性であり、更に、上層としての水和ク
ロム酸化物層は、非導電性である。従って、缶の胴の重
ね合わされた部分の継目を、電気抵抗溶接によって溶接
する場合に、上層としての水和クロム酸化物層が電気抵
抗層となるため、溶接されるべき部分の接触抵抗値が高
くなる。接触抵抗値は、溶接時に局部的に過大電流が流
れるかどうかを評価するための基準である。即ち、接触
抵抗値が高い場合には、溶接電流の通路が狭いために、
局部的に過大電流が流れやすい。電解クロメート処理鋼
板の接触抵抗値は、102から105μΩ/mmであって、溶
接缶用の他の表面処理鋼板に比べて極めて高い。従っ
て、電解クロメート処理鋼板を電気抵抗溶接によって溶
接すると、溶接開始直後の溶接電流値は低く、一定時間
経過した後に、所定の溶接電流値になる。その結果、溶
接開始時に電解クロメート処理鋼板が局部的に発熱し
て、チリが発生し、そして、溶接部にブローホール等の
欠陥が生ずる。従って、電解クロメート処理鋼板を溶接
する場合には、従来、溶接されるべき部分のクロメート
被膜を研磨等によって除去しなければならず、このため
に、多くの時間および労力を要していた。
上述した問題を解決する手段として、次の方法が知られ
ている。
(1) 特公昭57−19752号公報に開示された、鋼板の
表面上に形成された、3〜40mg/mの付着量の下層とし
ての金属クロム層と、そして、金属クロム層の上に形成
された、2〜15mg/mの付着量の上層としての水和クロ
ム酸化物層とからなり、金属クロム層がポーラス状に形
成されていることを特徴とする、溶接性に優れたクロム
メッキ鋼板。(以下、先行技術1という) (2) 特開昭61−213398号公報に開示された、鋼板の
表面上に形成された、10〜40mg/mの付着量の下層とし
ての金属クロム層と、そして、金属クロム層の上に形成
された、3〜30mg/mの付着量の均一な厚さを有する水
和クロム酸化物層とからなり、金属クロム層が平滑状に
形成されていることを特徴とする、塗装後の耐食性に優
れた溶接缶用ティンフリー鋼板。(以下、先行技術2と
いう) (3) 特開昭62−54096号公報に開示された、鋼板の
表面上に形成された、5〜200mg/mの付着量の下層と
しての金属クロム層と、そして、金属クロム層の上に形
成された、3〜30mg/mの付着量の水和クロム酸化物層
とからなり、金属クロム層の全表面にわたって多数の粒
状突起が形成されていることを特徴とする、溶接性に優
れた電解クロメート処理鋼板。(以下、先行技術3とい
う) 〔発明が解決しようとする課題〕 上述した先行技術1には、次のような問題がある。即
ち、溶接性の向上のために、金属クロム層の付着量を減
少させ且つ金属クロム層をポーラス状に形成した結果、
耐食性の劣化が大きい。
上述した先行技術2には、次のような問題がある。即
ち、溶接性の向上のために、先行技術1と同様に金属ク
ロム層の付着量を減少させている。先行技術2において
は、金属クロム層を平滑状に形成して、水和クロム酸化
物層の厚さを均一に保っているが、金属クロム層の付着
量の減少に伴なう耐食性の劣化は、依然として大きい。
上述した先行技術3によれば、非導電性である上層とし
ての水和クロム酸化物層は、電気抵抗溶接時に、下層と
しての金属クロム層の全表面にわたって形成された多数
の粒状突起によって破壊される結果、溶接されるべき部
分の接触抵抗値が低下し、溶接性が向上する。そして、
金属クロム層の付着量も通常のレベルであるから、耐食
性が劣化することもない。
しかしながら、先行技術3には、次のような問題があ
る。即ち、金属クロム層の全表面にわたって形成された
多数の微細な粒状突起のために、金属クロム層中におい
て、反射光が回折、干渉する結果、電解クロメート処理
鋼板の表面が黒色または茶褐色に見え、その表面色調が
著しく損なわれる。更に、金属クロム層の表面に形成さ
れた粒状突起の数が多いほど水和クロム酸化物が多く析
出しやすいため、所定の付着量の水和クロム酸化物層を
形成することが困難になる。
従って、この発明の目的は、耐食性および溶接性に優
れ、そして、良好な表面色調を有する電解クロメート処
理鋼板を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上述した観点から、耐食性、溶接性およ
び表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板を開発すべ
く、鋭意研究を重ねた。その結果次の知見を得た。
(1) 錫メッキ鋼板は、溶接性が良好であるから、溶
接缶の材料として広く使用されている。錫メッキ鋼板の
溶接性が良好である理由は、次の通りである。即ち、錫
は、軟らかく且つ低い融点を有している。従って、缶の
胴の重ね合わされた部分の継目を、電気抵抗溶接によっ
て溶接する際に、重ね合わされた部分を、広い範囲で接
触させることができ、更に、溶接時に発生するジュール
熱により錫が溶融するので、前記重ね合わされた部分の
接触面積は一層広げられる。更に、溶接されるべき部分
に局部的に過大な溶接電流が流れることはなく、鋼板の
局部的な発熱によるチリの発生が防止される。本発明者
等は、上述のような、錫の溶接向上作用について、更に
研究を進めた結果、錫による溶接性向上のためには、必
ずしも、鋼板の全表面に錫が存在している必要はなく、
鋼板の表面上に部分的に錫が存在していれば足り、且
つ、多数の粒状または角状の突起(以下、粒状突起とい
う)が形成された金属クロム層上に錫メッキを施こせ
ば、粒状突起による溶接性の向上効果とあいまって、僅
かの錫量で大幅に溶接性が向上することがわかった。
(2) 錫メッキ被膜は、白色系の色調を有している。
従って、金属クロム層の表面に形成された粒状突起の上
に錫メッキ層が存在すれば、電解クロメート処理鋼板の
表面色調が損なわれることはない。
(3) 鋼板の表面上に形成された金属クロム層の上に
錫メッキ層を形成すれば、錫メッキ層に溶融処理を施す
際、または、最上層に形成された塗料被膜の焼付け処理
を施す際に、金属クロム層がバリヤーとなって、鋼板に
よる錫の合金化が防止される。従って、錫メッキ層の付
着量を減少させることができる。
この発明は、上述の知見に基いてなされたものであっ
て、鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、5〜
200mg/mの付着量の下層としての金属クロム層と、前
記金属クロム層の上に形成された、30〜800mg/mの付
着量の中間層としての錫メッキ層と、前記錫メッキ層の
上に形成された、クロム換算で3〜30mg/mの付着量の
上層としてのクロメート層とからなり、前記金属クロム
層に、2×105個/mm以上の密度で粒状突起が形成され
ていることに特徴を有するものである。
次に、この発明を、図面を参照しながら説明する。第1
図は、この発明の電解クロメート処理鋼板の断面の模式
図である。第1図に示すように、この発明の電解クロメ
ート処理鋼板は、鋼板1の少なくとも1つの表面上に形
成された、下層としての金属クロム層2と、金属クロム
層2の上に形成された、中間層としての錫メッキ層3
と、錫メッキ層3の上に形成された、上層としてのクロ
メート層4とからなっており、金属クロム層2の表面上
には、多数の粒状突起5が形成されている。そして、金
属クロム層2の表面上に形成された多数の粒状突起5の
ために、錫メッキ層3およびクロメート層4も、突起5
に沿った形状に形成されている。
下層としての金属クロム層2の付着量は、5から200mg/
mの範囲内に限定すべきである。金属クロム層2の付
着量が5mg/m未満では、所望の耐食性が得られず、且
つ、金属クロム層2の上に形成された錫メッキ3に対す
る溶融処理時、または、塗料被膜に対する焼付け処理時
における、金属クロム層2のバリヤー効果が少なく、錫
の合金化量が多くなる。一方、金属クロム層2の付着量
が200mg/mを超えても、耐食性に格別の向上が得られ
ず、かえって、溶接性が劣化する。金属クロム層2の付
着量の好ましい範囲は、50から150mg/mである。
この発明において、金属クロム層2の表面に粒状突起5
を形成する理由は、金属クロム層2の上に形成される錫
メッキ層3との相乗効果によって、溶接性を向上させる
ためである。粒状突起5の密度は、2×105個/mm以上
に限定すべきである。粒状突起5の密度が2×105個/mm
未満では、上述した作用に所望の効果が得られない。
金属クロム層の上に錫メッキ層が形成されていない、従
来の電解クロメート処理鋼板の金属クロム層の表面に、
溶接性向上のための粒状突起を形成する場合には、粒状
突起が、鋼板のすべての結晶方位面に均一に分布して形
成されていることが必要である。しかしながら、この発
明においては金属クロム層2の上に、溶接性向上作用を
有する錫メッキ層3が形成されているから、上述の密度
の粒状突起5を、必ずしも鋼板1のすべての結晶方位面
に均一に分布して形成する必要はなく、特定の結晶面に
集中して形成させてもよい。
金属クロム層2の上に形成される中間層としての錫メッ
キ層3の付着量は、30から800mg/mの範囲内に限定す
べきである。錫メッキ層3に対する溶融処理時、また
は、塗料被膜に対する焼付け処理時に、錫の一部が、金
属クロム層2のポアを通し、鋼板1まで浸透して、合金
化することが避けられない。従って、錫メッキ層3の付
着量が30mg/m未満では、上述の合金化する錫量を考慮
すると、所望の溶接性向上効果が得られない。一方、錫
メッキ層3の付着量が800mg/mを超えても、溶接性に
格別の向上が得られず、錫は高価な金属であるから、不
経済である。
金属クロム層2の表面に形成された粒状突起5の厚さ
は、金属クロム層2の平坦部の厚さの約3〜10倍であ
る。従って、錫メッキ層3に対する溶融処理時、また
は、塗料被膜に対する焼付処理時に、合金化して消失す
る。金属クロム層2上の錫は、その平坦部よりも粒状突
起5の方が少ない。この結果、上述した溶融処理時また
は焼付処理時において、少なくとも粒状突起5の上に
は、錫を残存させることができる。
前述したように、溶接性を向上させるためには、部分的
に錫が存在していれば足りるから、錫メッキ層3の付着
量は、粒状突起5の上にだけ錫が存在する程度の少ない
量でよい。この場合、粒状突起5の密度は、前述したよ
うに、2×105個/mm以上であることが必要で、前記密
度が2×105個/mm未満では、粒状突起5の上に錫が存
在していても、粒状突起5の数が少ないために溶接性の
向上効果が低い。
金属クロム層2の表面に粒状突起5を形成し、且つその
上に錫メッキ層3を形成したことにより、更に、次によ
うな効果が得られる。即ち、前述したように、金属クロ
ム層2の表面に、多数の粒状突起5が形成されている
と、金属クロム層2中において、反射光が回折,干渉す
る結果、電解クロメート処理鋼板の表面色調が著しく損
なわれるが、金属クロム層2の上に、白色系の錫メッキ
層3が形成されていることによって、表面色調が良好に
なる。
更に、下層としての金属クロム層と上層としての水和ク
ロム酸化物層とからなるクロメート被膜が形成された従
来の電解クロメート処理鋼板において、金属クロム層の
表面に粒状突起を形成すると、水和クロム酸化物が比較
的多く付着しやすい。このため、所定量の水和クロム酸
化物層を形成することが容易ではなかったが、本発明の
ように、金属クロム層2の上に錫メッキ層3を形成すれ
ば、錫メッキ層3の上に、所定量の水和クロム酸化物層
即ちクロメート層4を容易に形成することができる。
更に、錫メッキ層3は、下層としての金属クロム層2の
粒状突起5に沿った、凹凸状に形成される。従って、こ
のような凹凸状の錫メッキ層3によって、塗装後の耐食
性、および、耐塗膜下腐食性を向上させることができ
る。金属クロム層2の粒状突起5の密度が2×105個/mm
未満では、錫メッキ層3に形成される凹凸が減少し、
上述した効果が得られない。従って、この点からも、粒
状突起5の密度は、2×105個/mm以上であることを必
要とする。
錫メッキ層3の上に形成される上層としてのクロメート
層4は、水和クロム酸化物層、または、金属クロム層と
前記金属クロム層の上の水和クロム酸化物層とからなっ
ている。クロメート層4の付着量は、クロム換算で3か
ら30mg/mの範囲内に限定すべきである。クロメート層
4の付着量が、クロム換算で3mg/m未満では、耐食性
および塗装性が劣化する。一方、クロメート層4の付着
量が、クロム換算で30mg/mを超えると溶接性が劣化す
る。クロメート層4の付着量の好ましい範囲は、クロム
換算で5〜15mg/mである。
次に、この発明の電解クロメート処理鋼板の製造方法に
ついて述べる。鋼板1を、脱脂し次いで酸洗した後、主
剤としての無水クロム酸およびクロム酸塩のうちの少な
くとも1つと、助剤としての硫酸,硫酸塩および弗化物
のうちの少なくとも1つとからなる公知の電解液によ
り、鋼板1に陰極電解処理を施して、鋼板1の少なくと
も1つの表面上に、5〜200mg/mの付着量の下層とし
ての金属クロム層2を形成する。この陰極電解処理時
に、例えば、前記陰極電解処理を断続して施すか、前記
陰極電解処理の途中において、少なくとも1回、鋼板に
陽極電解処理を施すか、または、脱脂し次いで酸洗した
鋼板に、前記陰極電解処理に先立って、無水クロム酸,
クロム酸塩および重クロム酸塩のうちの少なくとも1つ
を含有する電解液により陽極電解処理を施す等の手段に
よって、金属クロム層2に、2×105個/mm以上の密度
の粒状突起5を形成する。
次いで、硫酸第1錫液(フェロスタン液)、塩化第1錫
液(ハロゲン液)またはアルカリ錫メッキ液等の公知の
メッキ液により、錫メッキを施して、金属クロム層2の
上に、30〜800mg/mの付着量の中間層としての錫メッ
キ層3を形成する。このとき、金属クロム層の表面に存
在するクロム酸化物のために、錫メッキの付着性が悪く
なる。従って、金属クロム層の形成時に、例えばメッキ
液の温度を高める等の手段によりクロム酸化物の生成を
抑制し、または、金属クロム層の形成後、比較的長時間
電解液中に浸漬しまたは陽極電解処理を施してクロム酸
化物をできるだけ減少させることが必要である。
錫メッキ時におけるメッキ電流は、金属クロム層の平坦
部よりも粒状突起に集中しやすいため、電流密度は、平
坦部よりも粒状突起の方が高くなる。従って、錫の付着
量は、平坦部よりも粒状突起の方が多くなり、全体的な
付着量が少なくても、粒状突起には必らず錫を付着させ
ることができる。
上述のようにして、金属クロム層2の上に中間層として
の錫メッキ層3が形成された鋼板1に、例えば、無水ク
ロム酸,クロム酸塩および重クロム酸塩のうちの少なく
とも1つを主剤とする公知の電解液、または、前記主剤
に、硫酸,硫酸塩および弗化物のうちの少なくとも1つ
からなる助剤を添加した公知の電解液により陰極電解処
理を施して、錫メッキ層3の上に、クロム換算で3〜30
mg/mの付着量の上層としてのクロメート層4を形成す
る。かくして、この発明の電解クロメート処理鋼板が得
られる。
次に、この発明を、実施例により、比較例と対比しなが
ら、更に詳細に説明する。
〔実施例〕
板厚0.22mmの冷延鋼板を、通常の方法で脱脂し次いで酸
洗し、次いで、脱脂および酸洗された冷延鋼板に、下記
(1)に示す電解液を使用して陰極電解処理し、そし
て、陰極電解処理時に、下記(2)に示す(A)〜
(C)のうちの何れかの手段により突起形成処理を施し
て、前記冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に、本発明
の範囲内の付着量および本発明の範囲内の密度の粒状突
起を有する、下層としての金属クロム層を形成した。
次いで、下記(3)に示す電解液を使用し、下層として
の金属クロム層の形成された鋼板に錫メッキを施し、金
属クロム層の上に、本発明の範囲内の付着量を有する、
中間層としての錫メッキ層を形成した。次いで、下記
(4)に示す(A)〜(C)のうちの何れかの電解液お
よび電流密度により陰極電解処理を施し、錫メッキ層の
上に、本発明の範囲内の付着量を有する、上層としての
クロメート層を形成した。かくして、第1表に示すこの
発明の範囲内の下層としての金属クロム層,中間層とし
ての錫メッキ層および上層としてのクロメート層を有す
る本発明の供試体(以下、本発明供試体という)No.1〜
7を調製した。
(1) 金属クロムム層の形成のための電解液 成分組成 CrO3:180g/ Na2SiF6:5g/ Na2SO4 :1g/ 温 度:45℃ (2) 突起形成手段 (A) 陰極電解処理の途中において陽極電解処理を施
す。
陰極電解電流密度:30A/dm 陽極電解電流密度: 2A/dm (B) 陰極電解処理に先立って、酸洗処理を省略し、
陽極電解処理を施す。
陰極電解電流密度:100A/dm 陽極電解電流密度: 10A/dm (C) 陰極電解処理を断続して施す。
陰極電解電流密度:30A/dm (3) 錫メッキ層の形成のための電解液 成分組成 SnSO4 :50g/ フェノールスルホン酸:70g/ エトキシ化ナフトールスルホン酸:5g/ 温 度:50℃ 相対流速 :300m/分 (4) クロメート層の形成のための電解液および電流
密度 (A) 電解液 :CrO350g/ 電流密度:10A/dm (B) 電解液 :Na2Cr2O7・2H2O 30g/ 電流密度:20A/dm (C) 電解液 :CrO320g/ Na2SO40.2g/ 電流密度:10A/dm 次に、比較のために、第1表に併せて示す、錫メッキ量
または金属クロム層の粒状突起が、本発明の範囲外であ
る比較用の供試体(以下、比較用供試体という)No.1〜
5を調製した。比較用供試体No.1は、次のようにして調
製した。板厚0.22mmの冷延鋼板を、通常の方法で脱脂し
次いで酸洗し、次いで、脱脂および酸洗された冷延鋼板
に、前述の(1)に示す電解液を使用して陰極電解処理
を施し、そして、陰極電解処理時に、前述の(2)の
(A)に示す手段により突起形成処理を施して、前記冷
延鋼板の少なくとも1つの表面上に、本発明の範囲内の
付着量および本発明の範囲内の密度の粒状突起を有する
金属クロム層、および、水和クロム酸化物層のみを形成
した。比較用供試体No.1においては、金属クロム層の上
に、中間層としての錫メッキ層が形成されていない。
比較用供試体No.2は、次のようにして調製した。前記冷
延鋼板に、前述の(1)に示す電解液を使用して陰極電
解処理を施し、そして、陰極電解処理時に、前述の
(2)の(C)に示す手段により突起形成処理を施し
て、前記冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に、粒状突
起を有する下層としての金属クロム層を形成した。次い
で、前述の(3)に示す電解液を使用し、金属クロム層
の形成された鋼板に錫メッキを施して、金属クロム層の
上に中間層としての錫メッキ層を形成し、次いで、前述
の(4)の(C)に示す電解液を使用して陰極電解処理
を施し、錫メッキ層の上に、上層としてのクロメート層
を形成した。比較用供試体No.2においては、粒状突起の
密度が本発明の範囲を外れて少ない。
比較用供試体No.3は、突起形成処理を前述の(2)の
(B)に示す手段にって行なったほかは、比較用供試体
No.2と同じ方法により調製した。比較用供試体No.3にお
いっては、錫メッキ層の付着量が本発明の範囲を外れて
少ない。
比較用供試体No.4および5は、金属クロム層の形成のた
めの陰極電解処理時に、突起形成処理を施さず、30A/dm
の電流密度で連続的に陰極電解処理を行なったほか
は、比較用供試体No.2と同じ方法により調製した。比較
用供試体No.4および5においては、金属クロム層に粒状
突起が形成されていない。
上述のようにして調製された本発明供試体No.1〜7およ
び比較用供試体No.1〜5の各々について、表面色調,塗
装後耐食性および溶接性を、次に述べるように評価し
た。評価の結果を、第1表に併せて示す。
(1) 表面色調 本発明供試体および比較用供試体の各々について、その
表面色調を目視によって調べ、これを評価した。評価基
準は、次の通りである。
○:供試体のまま、および、供試体の表面につや出し塗
装を施した後においても、供試体の表面が黒色または茶
褐色に見えることはなく、表面色調が良好である。
×:供試体のままの場合でも、その表面が黒色または茶
褐色に見、表面色調が不良である。
(2) 塗装後耐食性 本発明供試体および比較用供試体の各々の表面を、50mg
/mの量のエポキフシェノール系塗料で塗装し、焼付け
した後、鋭利なカッターナイフで、塗膜面から鋼板表面
に達するクロス状の疵を付し、次いで、エリクセン試験
機で、クロス状の疵の長さ方向中心から5mmの幅で裏面
から押し出した。このような状態の本発明供試体および
比較用供試体の各々を、1.5wt.%の食塩および1.5wt.%
のクエン酸からなる、38℃の温度の水溶液中に4日間浸
漬し、クロス状の疵部の腐食幅を測定して、下記により
評価した。
◎:最大腐食幅:0.5mm以下 ○:最大腐食幅:0.5〜1mm以下 △:最大腐食幅:1超〜2mm以下 (3) 溶接性 本発明供試体および比較用供試体の各々を、スードロニ
ック溶接機を使用し、電流値を徐々に高めながら溶接し
たときの、溶接可能な最低電流値から、スプラッシュの
発生により溶接不能になる前の最高電流値までの、溶接
可能な電流値の範囲即ち溶接電流値制御用のダイヤル目
盛りの範囲について、下記により評価した。
◎:目盛り範囲4以上 ○:目盛り範囲2.5以上、4未満 △:目盛り範囲0.5以上、2.5未満 第1表から明らかなように、金属クロム層の上に錫メッ
キ層が形成されていない比較用供試体No.1においては、
金属クロム層の上に粒状突起が形成されていても、その
塗装後耐食性および溶接性が共に不良であり、且つ、粒
状突起によってその表面色調が不良であった。金属クロ
ム層の上に錫メッキ層が形成されていても、金属クロム
層の粒状突起の密度が本発明の範囲を外れて少ない比較
用供試体No.2においては、溶接性が不良であった。金属
クロム層の上に錫メッキ層が形成されていても、その付
着量が本発明の範囲を外れて少ない比較用供試体No.3に
おいては、その塗装後耐食性および溶接性が共に不良で
あり、且つ、粒状突起によってその表面色調が良であっ
た。そして、金属クロム層の上に錫メッキ層が形成され
ていても、金属クロム層に粒状突起が形成されていない
比較用供試体No.4および5においては、本発明供試体N
o.6および7とほぼ同じ付着量の錫メッキ層が形成され
ているにもかかわらず、残存錫量が少ないために溶接性
が不良であった。
これに対して、本発明供試体No.1〜7においては、何れ
も、その表面色調,塗装後耐食性および溶接性が良好で
あった。
この発明の電解クロメート処理鋼板は、上述のように、
溶接性のほかに、耐食性および表面色調にも優れている
から、溶接缶の材料のほか、接着缶および2ピース缶等
の材料としても広く使用することができる。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、この発明の電解クロメート処理鋼
板によれば、金属クロム層に形成された粒状突起と、金
属クロム層の上に形成された錫メッキ層との相乗効果に
よって、少量の錫で溶接性を向上させることができ、且
つ、耐食性に優れそして表面色調も良好である等、工業
上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の電解クロメート処理鋼板の断面の
模式図である。図面において、 1……鋼板、2……金属クロム層、 3……錫メッキ層、4……クロメート層、 5……粒状突起。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の少なくとも1つの表面上に形成され
    た、5〜200mg/mの付着量の下層としての金属クロム
    層と、前記金属クロム層の上に形成された、30〜800mg/
    mの付着量の中間層としての錫メッキ層と、前記錫メ
    ッキ層の上に形成された、クロム換算で3〜30mg/m
    付着量の上層としてのクロメート層とからなり、前記金
    属クロム層に、2×105個/mm以上の密度で粒状突起が
    形成されていることを特徴とする、耐食性、溶接性およ
    び表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板。
  2. 【請求項2】前記クロメート層が、水和クロム酸化物
    層、または、金属クロム層と前記金属クロム層の上の水
    和クロム酸化物とからなっている、請求項1記載の電解
    クロメート処理鋼板。
JP8853689A 1989-04-07 1989-04-07 耐食性、溶接性および表面色調に優れた電解クロメート処理鋼板 Expired - Lifetime JPH0678597B2 (ja)

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